説明

非接触IC記録媒体用カードケース

【課題】複数枚の非接触IC記録媒体をカードケース内に収納した場合でも外部装置間での誤認識を防止することができる非接触IC記録媒体用カードケースを提供することを目的とする。
【解決手段】カードケース10を構成するケース本体部30の内部に、非接触ICカード60及び非接触ICカード70を設けるとともに、これら非接触ICカード60及び非接触ICカード70との間に、リーダライタPの電磁波送出面と直接対向し翳された非接触ICカード60に対する通信は可能とし、それ以外の非接触ICカード70に対する通信は不可とし、外部からのデータの送受を遮断する機能を備えた電磁波プロテクタ部材50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の非接触IC(Integrated Circuite)カードを収納する非接触IC記録媒体用カードケースに関し、特に、リーダライタとの通信時の誤認識を防止することができる非接触IC記録媒体用カードケースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いた非接触型ICカード(以下、「非接触ICカード」と言う)が電子マネーカードや定期券用のカードとして様々な用途で利用されている。特に、定期券として利用されている非接触ICカードの場合、改札口に設けたリーダライタに定期券(非接触ICカード)を翳すだけで、この定期券のデータ読み取ることができるため、利便性の高いシステムとして広く利用されている。
【0003】
ここで、通常、定期券の枚数は1枚とは限らず複数(例えば、2枚)の定期券を専用のカードケースに入れて携帯することが多い。このため、複数の定期券(非接触ICカード)が収納されているカードケースをリーダライタに翳した場合、実際に使用したい定期券(非接触ICカード)以外の別の定期券(非接触ICカード)のデータが読み取られるという通信時の読み取り不良(誤認識トラブル)などの不具合が発生する恐れがある。そこで、この種の非接触ICカードによる通信時の誤認識トラブルを防止するカードケースについて種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
[従来の非接触ICカードケースの構成]
以下、図7〜図9を参照して、従来のカードケースの構成の一例として、特許文献1に開示されたカードケースを例に説明する。 図7〜図9は、従来のカードケース1の構成を示す図である。このうち、図7は、カードケース1の全体構成を示す図を、図8は、非接触ICカード5を使用する場合のカードケース1の使用形態(非接触ICカード5の利用時の動作)を、図9は、非接触ICカード6を使用する場合のカードケース1の使用形態(非接触ICカード6の利用時の動作)をそれぞれ示している。
【0005】
図7に示すように、カードケース1は、ほぼ同形状に形成されたケース部2及びケース部2´を備えるとともに、これらケース部2及びケース部2´の結合部に設けたヒンジ部3を支点としてA方向(図7の左側)或いはB方向(図7の右側)に向けて折り畳み自在に構成されている。また、ケース部2の内部には、上から電磁波プロテクタ部材4と非接触ICカード5とが配設され、ケース部2´の内部には、上から非接触ICカード6と電磁波プロテクタ部材4とがそれぞれ配設された状態で構成されている。電磁波プロテクタ部材4は、非接触ICカード4、5とほぼ同形状の平板状に形成され、リーダライタP(図8)と非接触ICカード4或いは、非接触ICカード5との間で、電磁波の進行を減衰或いは遮断する機能を備えている。
【0006】
以上のように構成されるカードケース1において、カードケース1の利用者が非接触ICカード5(定期券)を使用する場合には、この非接触ICカード5が下向きとなるように、ケース部2´をケース部2側(図1のA方向)に向けて折り畳むこととなり、同じく、利用者が非接触ICカード6(定期券)を使用する場合には、この非接触ICカード6が下向きとなるように、ケース部2をケース部2´側(図1のB方向)に向けて折り畳むこととなる。
【0007】
すなわち、図8に示すように、ケース部2′をケース本体部30のA方向側に折り畳んだ状態が、非接触ICカード5を使用する時の状態となる。具体的には、同図に示すように、カードケース1内の非接触ICカード5をリーダライタPに翳すと、リーダライタPの電磁波送出面91から送出された電磁波は、非接触ICカード5に到達できるため、この非接触ICカード5とリーダライタPとの間でのデータの送受信(通信)は可能となる。一方、リーダライタPからの電磁波は、非接触ICカード5から非接触ICカード6に向けて直進しようとするが、この電磁波は、電磁波プロテクタ部材4により遮断されるため、非接触ICカード6とリーダライタPとの間での通信は不可となる。
【0008】
一方、図9に示すように、ケース部2をケース本体部30のB方向側(図1)に折り畳んだ状態が、非接触ICカード6を使用する時の状態となる。具体的には、同図に示すように、カードケース1内の非接触ICカード6をリーダライタPに翳すと、リーダライタPから送出された電磁波は、非接触ICカード6に到達できるため、この非接触ICカード6とリーダライタPとの間での通信は可能となる。一方、リーダライタPからの電磁波は、非接触ICカード6から非接触ICカード5に向けて直進しようとするが、この電磁波は、電磁波プロテクタ部材4により遮断されるため、非接触ICカード5とリーダライタPとの間での通信は不可となる。
【0009】
【特許文献1】特開2006−018785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上述した従来技術として開示されているカードケース1の場合、以下のような問題が生じる。すなわち、図8及び図9に示すように、ケース部2及びケース部2´同士が正確に折り畳まれている場合は、特に問題がないが、例えば、ケース部2及びケース部2´の当接面ずれたり、ケース部2とケース部2´との間に物が挟まった場合には、実際に通信を目的とするカード以外のカードデータが読み取られるという問題が発生する。以上のことから、カードケース内に複数の非接触IC記録媒体が収納されている場合であってもリーダライタとのデータの送受信時(通信時)には、通信目的とする非接触ICカードのみを対象とすることができ、一方、他の非接触ICカードとの通信を不可とし、これによって、通信時、誤認識を回避することができるカードケースの実現が望まれている。
【0011】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、カードケース内に複数の非接触IC記録媒体が収納されている場合であってもリーダライタとのデータの送受信時(通信時)には、使用目的とする非接触ICカード10のみの通信を可能とし、他の非接触ICカードとの通信を不可とし、これによって、通信時の誤認識を回避することができる非接触IC記録媒体用のカードケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、両側面に、夫々IC記録媒体を収納する第一の収納部及び第二の収納部を設けたケース本体部と、当該ケース本体部の側面の一方を覆うとともに、前記ケース本体部に対して折り畳み自在に構成された蓋体ケース部とを備えた非接触IC記録媒体用カードケースであって、前記第一の収納部と第二の収納部との間に、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートを備えることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、上記発明において、前記ケース本体部の一方の側面及び他方の側面には、第一の着磁部材及び第二の着磁部材がそれぞれ固設され、前記蓋体ケース部の一方の側面及び他方の側面には、前記第一の着磁部材及び第二の着磁部材に対して着磁自在な第一の被着磁部材及び第二の被着磁部材がそれぞれ固設されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、上記発明において、前記蓋体ケース部は、前記ケース本体部の一方の側面を覆うように構成される第一の蓋体ケースと、前記ケース本体部の他方の側面を覆うように構成される第二の蓋体ケースとを備えるとともに、前記第一の蓋体ケース及び前記第二の蓋体ケースの内部には、外部からの通信を遮断する通信遮断シートがそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、上記発明において、前記蓋体ケース部は、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートにより構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カードケースは、両側面に、夫々IC記録媒体を収納する第一の収納部及び第二の収納部を設けたケース本体部と、当該ケース本体部の側面の一方を覆うとともに、ケース本体部に対して折り畳み自在に構成された蓋体ケース部とを備えるともに、第一の収納部と第二の収納部との間に、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートを備える構成としているので、外部装置との通信時に、使用目的とする非接触IC記録媒体のみの通信を可能とし、他の非接触IC記録媒体との通信を不可とすることができるため、通信時の誤認識トラブルを防止することができ、これによって、カードケース内に複数の非接触IC記録媒体を収納することができる。また、ケース本体部の内部に複数の非接触IC記録媒体を隣接した状態で収納することができるので、製造コストの削減を図ることができる。
【0017】
また、本発明によれば、ケース本体部の一方の側面及び他方の側面には、第一の着磁部材及び第二の着磁部材がそれぞれ固設され、蓋体ケース部の一方の側面及び他方の側面には、第一の着磁部材及び第二の着磁部材に対して着磁自在な第一の被着磁部材及び第二の被着磁部材がそれぞれ固設されているので、不用意に蓋体ケース部とケース本体部とが離れて折り畳み状態が開放することを確実に防止することができ、これによって、折り畳み方向が意図しない方向となることを防止することができる。
【0018】
また、本発明によれば、蓋体ケース部は、ケース本体部の一方の側面を覆うように構成される第一の蓋体ケースと、ケース本体部の他方の側面を覆うように構成される第二の蓋体ケースとを備えるとともに、第一の蓋体ケース及び第二の蓋体ケースの内部には、通信を遮断する通信遮断シートがそれぞれ設けられるので、外部から送信される通信を遮断することができ、これによって、第三者による外部からの不正な通信アクセスを確実に遮断することができ、これによって、効果的なスキミング対策を実現することができる。
【0019】
また、本発明によれば、蓋体ケース部は、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートにより構成されるので、外部から送信される通信を遮断することができ、これによって、第三者による外部からの不正な通信アクセスを確実に遮断することができ、これによって、効果的なスキミング対策を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る非接触ICカード用のカードケースの好適な実施例を詳細に説明する。ここで、図1及び図2は、実施例1に係る非接触ICカード用のカードケースの概要および特徴を説明する構成図である。また、図1は、非接触ICカード60を使用する場合のカードケース10の折り畳み状態を、図2は、非接触ICカード70を使用する場合のカードケース10の折り畳み状態をそれぞれ示している。なお、以下に示す実施例1によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
[非接触ICカード用のカードケース10の特徴及び構成]
先ず、図1及び図2を用いて、本実施例1に係る非接触ICカード用のカードケース10の特徴及び構成について説明する。図1及び図2に示すように、カードケース10は、それぞれ横長矩形状のほぼ同一寸法に形成された蓋体ケース部20とケース本体部30とで構成され、これら蓋体ケース部20とケース本体部30とは、ヒンジ部40を支点として両方向(図1で示す左方向或いは図2で示す右方向)に向けて、蓋体ケース部20が折り畳み自在に構成されている。
【0022】
すなわち、図1に示すように、蓋板ケース部20をケース本体部30の片側(図1の左側)に向けて折り畳んだ状態では、蓋板ケース部20の側面22と、ケース本体部30の側面32とが当接し、図2に示すように、蓋板ケース部20をケース本体部30の右側に向けて折り畳んだ状態では、蓋板ケース部20の側面21と、ケース本体部30の側面31とが当接する。
【0023】
ここで、本実施例1のカードケース10は、ほぼ同形状の蓋板ケース部20とケース本体部30とを有する折り畳み自在のケース構成とするとともに、ケース本体部30の内部に複数(2個)の非接触ICカード60及び非接触ICカード70を収納可能とし、これら非接触ICカード60及び非接触ICカード70は、リーダライタPとの通信の可否(データの読み書き)を制御する電磁波プロテクタ部材50を介して、隣接させて配設したことに特徴がある。
【0024】
すなわち、図1及び図2に示すように、ケース本体部30のほぼ中央部には、電磁波の透過を制御する電磁波プロテクタ部材50が設けられ、この電磁波プロテクタ部材50の両側の位置(図1及び図2の左右の位置)には、それぞれ非接触ICカード60及び非接触ICカード70とがそれぞれ対向するように設けられている。
【0025】
電磁波プロテクタ部材50は、非接触ICカード60及び非接触ICカード70とほぼ同形状の平板状に形成され、リーダライタP(図3)と非接触ICカード60或いは、非接触ICカード70との間で、電磁波の進行を減衰或いは遮断する機能を備えている。
【0026】
具体的に説明すると、この電磁波プロテクタ部材50は、リーダライタPの電磁波送出面91と直接対向する位置に翳された非接触ICカード(図3の例では、非接触ICカード60)とリーダライタPとのデータの送受(通信)は許容し、リーダライタPと直接対向しない非接触ICカード(図3の例では、非接触ICカード70)とリーダライタPとの通信は遮断する機能を備えている。
【0027】
なお、ここで言う電磁波プロテクタ部材50により行なわれる通信の遮断とは、リーダライタPから送出された電磁波を非接触ICカード60或いは非接触ICカード70が受信できない状態(リーダライタPと非接触ICカード60或いは非接触ICカード70間が通信不可)となることを示す。
【0028】
すなわち、通常、リーダライタPの電磁波送出面91に非接触ICカードが収納されているカードケースを翳すと、この電磁波送出面91から送出された誘導電磁波を非接触ICカードの内部に設けたアンテナ(図示せず)が受信し、このアンテナで発生させた誘導起電力により生じた駆動力でICチップが駆動する。
【0029】
また、誘導電磁波に重畳されている電磁波によりICチップ内のデータを読み取ることを行なっているが、本実施例1では、図1及び図2に示すように、非接触ICカード60及び非接触ICカード70との間に電磁波プロテクタ部材50を配置することにより、リーダライタPに対するカードケース10の翳し部位に応じて(非接触ICカード60或いは非接触ICカード70の対向部位)、選択的にリーダライタPとの通信の可否を制御することができる。
【0030】
具体的に説明すると、非接触ICカード60或いは非接触ICカード70の使用選択により、リーダライタPに直接対向させ翳す非接触ICカード60或いは非接触ICカード70を適時選択することができるため、この電磁波プロテクタ部材50は、翳す位置によって、リーダライタPとの間での通信の可否を制御し、非接触ICカード60或いは非接触ICカード70のデータを選択的に読み込む両面読み込みプロテクタとしての機能を備えている。
【0031】
また、ケース本体部30の側面31及び側面32には、それぞれ透過面部80が形成され、この透過面部80によりケース本体部30の内部に収納されている非接触ICカード60或いは非接触ICカード70を目視により確認することができる。なお、これら2つの非接触ICカード60及び非接触ICカード70は、カードを挿入するための通孔(図示せず)からケース本体部30の内部に収納することができる。
【0032】
また、蓋板ケース部20の内部には、非接触ICカード60及び非接触ICカード70の形状よりも僅かに大きい寸法に選定された電磁波プロテクタ部材23が設けられている。ここで、この電磁波プロテクタ部材23は、ケース本体部30側に設けられた電磁波プロテクタ部材50とは相違し、両方向の電磁波の進行を遮断する電磁波シールド部材(両面非読み込みプロテクタ)として機能するシールド部材である。
【0033】
そして、このように、ケース本体部30の片側(図1では、側面32、図2では、側面31)は、蓋体ケース部20により覆われた状態で折り畳む構成としているので、使用者が透過面部80を通じて見ることができるのは、図1では、実際に使用する非接触ICカード60となり、図2では、同じく実際に使用する非接触ICカード70となるため、カードケース10の利用時の使い勝手を図ることができる。
【0034】
[非接触ICカード60の利用形態]
次に、図3及び図4を参照して、カードケース10の内部に収納された非接触ICカード60或いは非接触ICカード70を選択的に使用した場合の動作について詳細に説明する。図3は、非接触ICカード60の利用時の動作を、図4は、非接触ICカード70の利用時の動作をそれぞれ説明する図である。
【0035】
図3は、非接触ICカード10を使用する状態を示す説明図である。同図に示すように、この状態でカードケース10をリーダライタPの電磁波送出面に91近接させ、ケース本体部30の側面31をリーダライタPに翳した状態では、リーダライタPから送出された電磁波は、非接触ICカード60に到達し、この非接触ICカード60とリーダライタPとの間での通信は可能となるため、データの送受信が行なわれる。具体的には、リーダライタPにより非接触ICカード60のデータの読み取りが可能となる。
【0036】
一方、同じくリーダライタPから送出され非接触ICカード60から非接触ICカード70に向けて送出される電磁波は、非接触ICカード70の前側(図3の下側)にある電磁波プロテクタ部材50により遮断されるため、電磁波は、非接触ICカード70にまで到達することなく、これにより、非接触ICカード70が作動することはない。
【0037】
すなわち、この場合、実際にカードケース10の使用者が使用対象としている非接触ICカード60とリーダライタPとの間での通信のみが可能となる。また、この場合、リーダライタPではなく外部からの通信なども蓋体ケース部20に設けた電磁波プロテクタ部材23により遮断されるため、非接触ICカード70の作動や不正な通信アクセスは防止される。
【0038】
次に、図4は、非接触ICカード70を使用する状態を示す説明図である。同図に示すように、この状態でカードケース10をリーダライタPの電磁波送出面に91近接させ、ケース本体部30の側面32をリーダライタPに翳した状態では、リーダライタP送出された電磁波は、非接触ICカード70に到達し、この非接触ICカード70とリーダライタPとの間での通信は可能となるため、データの送受信が行なわれる。具体的には、リーダライタPと非接触ICカード70との通信が可能となり、データの送受信による読み取りが可能となる。
【0039】
一方、同じくリーダライタPから送出され非接触ICカード70から非接触ICカード60に向けて送出される電磁波は、非接触ICカード60の前側(図4の下側)にある電磁波プロテクタ部材50により遮断されるため、電磁波は、非接触ICカード60にまで到達することなく、これにより、非接触ICカード60が作動することはない。すなわち、この場合、実際にカードケース10の使用者が使用対象としている非接触ICカード70とリーダライタPとの間での通信のみが可能となる。
【0040】
また、この場合、リーダライタPではなく外部からの通信なども蓋体ケース部20に設けた電磁波プロテクタ部材23により遮断されるため、非接触ICカード60の作動や不正な通信アクセスは防止される。
【0041】
上述してきたように、本実施例1によれば、カードケース10を構成するケース本体部30の内部には、リーダライタPとデータの送受信(通信)を行なう非接触ICカード60及び非接触ICカード70を設けるとともに、これら非接触ICカード60及び非接触ICカード70間には、リーダライタPの電磁波送出面91と直接対向する非接触ICカード60に対する通信は可能とし、それ以外の非接触ICカード70に対する通信は遮断する電磁波プロテクタ部材50を設ける構成としているので、リーダライタPとの通信時に、使用対象とする非接触ICカードのみの通信を可能とし、他の非接触ICカードとの通信を不可とすることができるため、リーダライタPとの通信時の誤認識トラブルを防止することができる。
【実施例2】
【0042】
次に、図5を参照して本実施例2に係る非接触ICカード用のカードケース10aについて説明する。図5は、本実施例3のカードケース10aの特徴及び構成を示す図を示している。
【0043】
同図に示すように、カードケース10aを構成する蓋体ケース部20の一方の側面21及び他方の側面22の下端部(図5の下側)には、一対の磁石部材82がそれぞれ固設されている。同様に、ケース本体部30の側面31及び側面32に設けた透過面部80の下端部(図5の下側)には、蓋体ケース部20の磁石部材82に対して、それぞれ着磁自在な一対の磁石部材81が固設されている。
【0044】
従って、蓋体ケース部20をケース本体部30に対して折り畳んだ場合、蓋体ケース部20の片側の磁石部材82は、ケース本体部30の片側の磁石部材81に着磁することとなる。
【0045】
これにより、例えば、何らかの原因で折り畳まれた状態の蓋体ケース部20とケース本体部30とがズレたり開放しようとしても、磁石部材81と磁石部材82との着磁により、これら蓋体ケース部20とケース本体部30とのズレ及び不用意な開放を防止することができる。
【0046】
すなわち、カードケース10aの使用者の意図に反して不用意に蓋体ケース部20とケース本体部30が開放した場合には、折り畳み方向が逆方向となり、利用する非接触ICカードとは別の非接触ICカードをリーダライタPに翳すなど不具合が発生することを確実に防止することができる。
【0047】
上述したように、本実施例2の非接触ICカードケース10bの場合、カードケース10aを構成する蓋体ケース部20及びケース本体部30には、これら蓋体ケース部20とケース本体部30の当接がズレたり、不用意に開放することを防止する磁石部材81と磁石部材82とが固設されているため、不用意に蓋体ケース部20とケース本体部30とが離隔したり折り畳み状態が開放することを確実に防止することができる。
【0048】
これによって、折り畳み方向が意図しない方向となることを回避することができ、この結果、使用対象となる非接触ICカードとは別の非接触ICカードをリーダライタPに翳すことなどの不具合を確実に防止することができる。
【実施例3】
【0049】
次に、図6を参照して本実施例3に係る非接触ICカード用のカードケース10bについて説明する。図6は、本実施例3のカードケース10bの特徴及び構成を示す図を示している。
【0050】
同図に示すように、前述した実施例1、2で示したカードケース10、10aと本実施例3のカードケース10bとの相違点は、カードケースを構成する蓋体ケース部20及びケース本体部30のうちの蓋体ケース部20を、蓋体ケース部20a及び蓋体ケース部20bとから成る2分割構造とし、これら一対の蓋体ケース部20a及び蓋体ケース部20bとによりケース本体部30の側面31及び側面32を覆う構成としたことに特徴がある。
【0051】
すなわち、図6に示すように、カードケース10bを構成する蓋板ケース部は、実施例1、2で示した蓋体ケース部20の幅寸法のほぼ半分程度の幅寸法に形成された一対の蓋板ケース部20aと蓋板ケース部20bとで構成されている。蓋体ケース部20aを左方向(図6の左側)に向けて折り畳んだ状態では、この蓋体ケース部20の側面22がケース本体部30の側面32と当接する。
【0052】
また、蓋体ケース部20bを右方向(図6の右側)に向けて折り畳んだ状態では、この蓋体ケース部20の側面21がケース本体部30の側面31と当接する。このように、カードケース10bを構成するケース本体部30を蓋体ケース部20a及び蓋体ケース部20bにより両側から覆うことができるため、外部からの通信アクセスは、蓋体ケース部20a及び蓋体ケース部20bの内部に設けた電磁波プロテクタ部材23により確実に遮断することができる。
【0053】
上述してきたように、本実施例3では、非接触ICカードケース10bを構成する蓋体ケース部は、ケース本体部30の一方の側面32を覆うように構成された蓋体ケース部20aと、ケース本体部30の他方の側面31を覆うように構成された蓋体ケース部20bを備えるとともに、これら蓋体ケース部20a及び蓋体ケース部20bの内部には、外部からの通信を遮断する電磁波プロテクタ部材23がそれぞれ設けられるので、外部からの不正な通信アクセスを確実に遮断することができ、これによって、効果的なスキミング対策を実現することができる。
【実施例4】
【0054】
また、上述した実施例1〜3に示したカードケース10、10a、10bは、定期券用の非接触ICカードを収納するカードケースに限定されずネックストラップを取り付けて社内で使用する従業員ホルダー(IDホルダー)として利用することもでき、この場合、利便性の高いIDホルダーを実現することができる。
【0055】
(付記1)両側面に夫々IC記録媒体を収納する第一の収納部及び第二の収納部を設けたケース本体部と、当該ケース本体部の側面の一方を覆うとともに、前記ケース本体部に対して折り畳み自在に構成された蓋体ケース部とを備えた非接触IC記録媒体用カードケースであって、前記第一の収納部と第二の収納部との間に、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートを備えることを特徴とする非接触IC記録媒体用カードケース。
【0056】
(付記2)前記ケース本体部の一方の側面及び他方の側面には、第一の着磁部材及び第二の着磁部材がそれぞれ固設され、前記蓋体ケース部の一方の側面及び他方の側面には、前記第一の着磁部材及び第二の着磁部材に対して着磁自在な第一の被着磁部材及び第二の被着磁部材とがそれぞれ固設されていることを特徴とする付記1に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【0057】
(付記3)前記蓋体ケース部は、前記ケース本体部の一方の側面を覆うように構成される第一の蓋体ケースと、前記ケース本体部の他方の側面を覆うように構成される第二の蓋体ケースとを備えるとともに、前記第一の蓋体ケース及び前記第二の蓋体ケースの内部には、外部からの通信を遮断する通信遮断シートがそれぞれ設けられることを特徴とする付記1または2に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【0058】
(付記4)前記蓋体ケース部は、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートにより構成されることを特徴とする付記1、2または3に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【0059】
(付記5)前記電磁波制御シートの形状及び寸法は、前記第一の非接触型IC記録媒体及び前記第二の非接触型IC記録媒体の形状及び寸法よりも僅かに大きい形状及び寸法となるように選定されることを特徴とする付記1〜付記4のいずれか一つに記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【0060】
以上のように、本発明に係る非接触IC記録媒体用カードケースは、リーダライタからの無線による指示に応答して動作する複数枚の非接触ICカードを収納する非接触IC記録媒体用カードケースに有用であり、特に、相互カード間での誤認識を防止することができる非接触IC記録媒体用カードケースに適する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施例1に係る非接触ICカードケースの特徴及び構成を説明する図である(その1)。
【図2】実施例1に係る非接触ICカードケースの特徴及び構成を説明する図である(その2)。
【図3】図1に示した非接触ICカードの利用時の動作を説明する図である(その1)。
【図4】同非接触ICカードの利用時の動作を説明する図である(その2)。
【図5】実施例2に係る非接触ICカードケースの特徴及び構成を説明する図である。
【図6】実施例3に係る非接触ICカードケースの特徴及び構成を説明する図である。
【図7】従来のカードケースの構成を説明する図である。
【図8】図7に示した非接触ICカードの利用時の動作を説明する図である(その1)。
【図9】同非接触ICカードの利用時の動作を説明する図である(その2)。
【符号の説明】
【0062】
1、10、10a、10b カードケース
2、2′ ケース部
3、40 ヒンジ部
4、50 電磁波プロテクタ部材
5、6、60、70 非接触ICカード
20、20a、20b 蓋体ケース部
21、22、31、32 側面
30 ケース本体部
21、22、31、32 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面に、夫々IC記録媒体を収納する第一の収納部及び第二の収納部を設けたケース本体部と、当該ケース本体部の側面の一方を覆うとともに、前記ケース本体部に対して折り畳み自在に構成された蓋体ケース部とを備えた非接触IC記録媒体用カードケースであって、
前記第一の収納部と第二の収納部との間に、非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートを備えることを特徴とする非接触IC記録媒体用カードケース。
【請求項2】
前記ケース本体部の一方の側面及び他方の側面には、前記第一の着磁部材及び第二の着磁部材がそれぞれ固設され、前記蓋体ケース部の一方の側面及び他方の側面には、前記第一の着磁部材及び第二の着磁部材に対して着磁自在な第一の被着磁部材及び第二の被着磁部材とがそれぞれ固設されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【請求項3】
前記蓋体ケース部は、
前記ケース本体部の一方の側面を覆うように構成される第一の蓋体ケースと、前記ケース本体部の他方の側面を覆うように構成される第二の蓋体ケースとを備えるとともに、前記第一の蓋体ケース及び前記第二の蓋体ケースの内部には、外部からの通信を遮断する通信遮断シートがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。
【請求項4】
前記蓋体ケース部は、
非接触IC記録媒体に対する通信は遮断する電磁波制御シートにより構成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載の非接触IC記録媒体用カードケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−9340(P2009−9340A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169675(P2007−169675)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】