説明

非機能性P2X7レセプター抗体、癌及びその他の容態の診断及び処理

【課題】癌を含む広範囲にわたる疾患及び容態に関する疾患又は容態を検出するためのプローブを提供する。
【解決手段】機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別することができる該プローブ、該プローブは種々の方法でこのことを行うことができる。その一つは、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することである。また、抗体又はその抗体を産生することができるエピトープを使って、疾患又は容態を処置することにも及ぶ。ここで、抗体は、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別することができて、非機能性レセプターに結合するものである。処置方法、薬学的組成物、及びプローブ及び抗体の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌を含む疾患の診断及び処置に関する。本発明が関係する疾患のタイプには、上皮細胞及び悪性リンパ腫に由来する癌が含まれる。本発明は、新生物発生前状態、過敏性腸症候群、並びに、ウイルス性その他の感染等の他の容態にも関する。本発明がその他の疾患及び容態にも適用できることは非常に可能である。
【背景技術】
【0002】
アデノシン三リン酸(ATP)は、P2Xレセプターとして知られるリガンド・ゲート制御されたプリン作動性レセプターを活性化することができる。レセプターサブタイプP2XからP2Xが同定されている。異なるP2Xレセプターサブタイプが、リンパ球、胸腺細胞、マクロファージ及び樹状細胞を含む白血球及び上皮細胞等の多くの細胞に存在することが既知である。
【0003】
P2Xは、幾つかの他のカチオン(カルシウム及びナトリウム等)に対してと同様に、カルシウムイオンに対しても透過性である。P2Xレセプターを介しての細胞中へのカルシウムイオンの流れ込みは、細胞死と関連する。
【0004】
P2Xサブタイプが、多くのタイプの細胞でのアポトーシス(又はプログラム化された細胞死)に関与していると信じられている。ATPの存在下、細胞の表面上で発現されるP2Xレセプターは、細胞膜を通るカルシウムチャンネルを1秒内に開放することができる。ATPへ晒し続けられると、大きな孔が形成されて、数秒乃至数十秒内で、過剰のカルシウムが流れ込み、アポトーシスが誘発されることになる。
【0005】
一般に、ATPへの暴露は、例えば上皮癌細胞の場合にはアポトーシスの結果にはならない。このような細胞は、孔を形成することができないP2Xレセプターを発現することが見出されている。これらは、非機能性レセプターと考えられている。
【0006】
前立腺PC3及び乳MCF7等のヒト癌細胞株並びに齧歯動物ハイブリドーマを含む動物細胞株では、P2Xレセプターは、細胞表面上で非機能性コンフォメーションをとっていることが見出されている。
【0007】
悪性リンパ腫を持つ患者のB細胞は、非機能性P2Xレセプターを発現する。リンパ腫は、細胞溶解破壊を逃れる悪性腫瘍クローンから成長する。この過程により、悪性リンパ腫が累積的に蓄積され、リンパ節腫脹及び/又は脾腫に導かれる。
【発明の概要】
【0008】
第一の態様では、本発明は、疾患又は容態を検出するためのプローブを提供する。該プローブは、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している。好ましくは、該プローブは、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することによって、又は、P2Xレセプター内の孔形成のために必要な一つ以上のタンパク質の結合の変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している。代替する態様では、該プローブは、結合ATPの不在下で晒されたレセプターの一つ以上の部分を検出する。このようなレセプター部分には、P2Xモノマーが含まれる。
【0009】
また、本発明は、疾患又は容態を検出する方法を提供する。該方法には、本発明のプローブを使って機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するステップと、レセプター発現プロフィールを提供するステップと、レセプター発現プロフィールを、正常プロフィールを比較するステップと、が含まれる。プローブそのものと関連して、例えば上述のように、変化を検出することができる。
【0010】
プローブは、天然又は人工のものである。好ましくは、プローブは抗体であり、ポリクローナル、モノクローナル、組み換え、ヒト化抗体又はこれらの適切な断片である。抗体は、ATPの結合部位に隣接する細胞外ドメインに位置するエピトープに対してのものであることが好ましい。ヒトP2Xレセプターの場合には、プローブは、アミノ酸210にあるプロリンがトランスコンフォメーションである配列を有する機能性レセプターと、アミノ酸210にあるプロリンがシスコンフォメーションである配列を有する非機能性レセプターとを区別するように適合していることが好ましい。
【0011】
プローブは、当業者には容易に明らかなように、いかなる適当な技術を使っても調製する
ことができる。
【0012】
ATPの結合部位で起こっている他のコンフォメーション変化を検出することを介して、プローブが、機能性レセプターと非機能性レセプターとを区別することができることは、本発明の範囲内である。例えば、検出される変化は、上記で言及されているプロリン以外のアミノ酸であってもよい。このようなアミノ酸の例として、Pro199が挙げられる。他に例えれば、検出される変化は、幾つかの他の関連であってもよい。
【0013】
プローブは、機能性状態による変化のないP2Xレセプターの他の領域をも検出することができるように適合していてもよい。結合ATPを欠いているモノマーサブユニットのコンフォメーションは、プローブを使って検出することができる。選択されるエピトープは、ATPが結合していない場合にのみアクセス可能なレセプターの表面領域の形状を特異的に検出することができるからである。プローブは、孔形成に必要な一つ以上のタンパク質(アクセサリー又は他のタンパク質)の結合の変化を検出することができる。このようなタンパク質の非限定的例示として、ラミニン、インテグリン、ベータ-アクチン、アルファ-アクチン及びスーパービリンがある。
【0014】
本発明では、P2Xサブタイプに特異的抗体は、新形成前組織(preneoplastic tissue)、非常に早期の新生物形成組織(neoplastic tissue)、後期の新生物形成組織の部分を形成する細胞内又は細胞上、並びに、非機能性P2Xレセプターを発現しているいかなる新生物形成細胞上で発現される非機能性P2Xレセプターを特異的に検出する又は結合するために使用される。従って、P2Xレセプターは、通常は細胞膜で発現されるか、そうでなければチャンネルとして部分的に機能することができるにもかかわらず、ゲートが閉じられている場合又は非機能性コンフォメーションにある場合のみに検出されるか結合される。さらに、抗体を用いて、結合したATPを欠いているモノマーサブユニットのコンフォメーションを検出することもできる。なぜなら、選択されるエピトープは、ATPが結合していない場合にのみアクセス可能な表面領域の形状を特異的に検出するからである。
【0015】
本発明では、非機能性P2Xレセプターは、機能性レセプターに存在する構造からコンフォメーション変化を行うエピトープに対しての抗体を使って、検出又は結合され得る。非機能性レセプターのアミノ酸配列は、機能性レセプターのアミノ酸配列と同一であることが見出されている。よって、レセプターのコンフォメーション変化の原因は、レセプターとATPとの相互作用に関係する。上述のように、ATP分子は、レセプターアゴニストとして作用する。そこで、ATPがレセプターに結合している場合には、レセプターは、カルシウムイオンの流入のために細胞膜を通るチャンネルを開くことができる。故に、非機能性は、レセプターへのATPアゴニストの適切な結合の欠如によって生じる。その理由として、生産の欠乏又は分解速度の増加を介しての、ATPの局所的利用率の欠乏が挙げられる。レセプターへのATP結合が途絶されると、レセプターのコンフォメーションが変わる。これは、ATP結合によって影響を受けるタンパク質の領域に結合するように特別に考案された抗体を使うことによって検出される。
【0016】
ヒトP2Xレセプターの場合、コンフォメーション変化に関与する特異的配列には、Pro210が含まれる。Pro210は、結合ATPの不在の下で、トランス型からシス型へとコンフォメーションが変化する。従って、ヒトレセプターの場合、抗体が産生されるための適切なエピトープ配列には、Pro210が含まれ、この残基のいずれかの側に抗体反応を誘発するに必要である適切な範囲に伸張してよい。非限定的な例示としては、Gly200からThr215に伸張するセグメントが挙げられる。更に、他の哺乳動物(例えばラット)からの相同的セグメントも、ヒト組織とクロス反応する場合には、使用され得る。例として、ヒト配列と比較してラットの配列には2つのアミノ酸置換があるけれども、ラットのGly200からThr215までの同一セグメントが使用され得る。
【0017】
非ヒトレセプターの場合には、適切な実験によって特異的配列を確かめることができる。
【0018】
本発明に従い非機能性P2Xレセプターを検出することにより、機能性レセプター(及び、故に正常な細胞)が本質的にはラベル化されないままにある分布パターンを示すことができる。しかし、P2Xレセプターの非機能性コンフォメーションは、新形成前の非常に初期段階で、細胞の核及び細胞質の中に、まずは検出され得る。例えば、上皮細胞癌の場合、本発明の方法を使えば、生検される組織のヘマトキシリ及びンエオシン(「H&E」)染色スライドによって癌の普通の病理学的外観が検出される数年前に、新形成前を検出することが可能である。従って、前立腺癌、皮膚癌及び乳癌等の癌を、早期治療の導入の利益とともに、現在の場合に比べてかなり早期に検出することができる。
【0019】
本発明のプローブ及び方法によって検出される疾患及び容態の全範囲については、まだ確かめられていない。しかし、これらには、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌等の上皮細胞癌、並びに、悪性リンパ腫、過敏性腸症候群及びHIV等のウイルス又は他の病理学的生物体(ミコバクテリウム結核症等)による感染を含む血液の癌が含まれると信じられている。感染は、機能性に必要な補助因子の阻害を介して直接的に、又は、上皮細胞又は他の細胞へのP2X機能を阻害するように働く補助因子をアップレギュレートすることを介して、非機能性レセプターの発現を起こさせる。これにより、感染した細胞は、アポトーシスによる破壊に敏感に反応しなくなる。
【0020】
特に明記しない限り、本明細書で使用される用語「疾患及び容態」は、先行する段落で示される全ての特異的な疾患及び容態を含むと意図されている。
【0021】
過敏性腸症候群(「IBS」)の特別の場合には、この容態を持つ患者では、腸粘膜(上皮の下にある基質に存在する広範囲に分布するリンパ球でP2Xレセプターを通常は発現する)がアップレギュレートされることが現在は見出されている。影響を受けた患者では、この増大した発現は、単離された領域で見出されるか、より極端な場合には腸管の全長にわたって一般に増大する。
【0022】
最小に影響を受けた場合には、全P2Xレセプターがアップレギュレートされるが、これらの全てが機能的で上皮には侵入しない。さらにひどい場合には、全P2Xレセプター発現はより高く、腸のうち最大に影響を受けた区域は、非機能性のレセプターを発現する。これらは、例えば盲腸の粘膜に局所化され、上皮に侵入する。最高にひどい場合では、全P2Xレセプター発現が更に増大し、レセプターのほとんどが、増大した上皮細胞の侵入とともに、非機能性である。
【0023】
既に議論されてきたように、P2Xレセプターの非機能性は、レセプターへのATPアゴニストの適切な結合の欠如によって生じる。その理由としては、生産欠如を介してのATPの局所的な利用率の欠如又はATPのエクトATPアーゼ(ect−ATPase)酵素分解を介しての分解速度の増加がある。レセプターへのATP結合が途絶されると、レセプターのコンフォメーションが既に議論されてきたように変わる。そして、これは、本発明のプローブを使って検出される。しかし、全P2Xレセプター分布の検出は、ATP結合によって影響を受けないP2Xレセプターの細胞外ドメインの他の領域へのエピトープを使って最大に達成することができる。
【0024】
全P2X分布と、非機能性であって腸粘膜で発現されるレセプターの比率とを特異的に区別するために、一つ又は二つのP2Xサブタイプ特異的抗体を使うことは、本発明の範囲内である。従って、一緒に使われる二つの抗体は、全レセプター数及び閉じられたゲート又は非機能性コンフォメーションにのみ存在するそれらのレセプターチャンネルの両方を検出することができる。第一の抗体は、全P2Xレセプター発現を検出するように適合している。本発明の抗体を含むプローブ又はそれに付けられたプローブは、IBSの検出のための第二抗体を提供することができ、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するだけでなく、レセプターが機能性状態によっては変わらない他の領域の検出を許容する。抗体は、別々に使われてもよいし、一緒に使われてもよい。好ましくは、抗体は、組み合わせで使われる。
【0025】
全P2Xレセプターを、非機能性P2Xレセプターとは別に検出することで、容態のひどさが決定される。胃腸粘膜での非機能性P2Xレセプターの発現は、正常な細胞が実質的にはラベル化されていないパターンで起こる。その後、P2Xレセプターの非機能性のコンフォメーションが上皮の下にある基質で、症候群がマイルドな場合には単離されたパッチ状から、非機能性レセプターの上皮への単離されたパッチ状の浸潤を伴う胃腸路の長さにわたる広範囲な発現の範囲でまず検出される。
【0026】
また、本発明は、過敏性腸症候群を診断する方法を提供する。該方法には、細胞及び/又は組織のP2X発現プロフィールを検出するステップと、そのプロフィールを、正常な細胞及び/又は組織の予め決定された発現プロフィールと比較するステップとが含まれる。好ましくは、P2X発現プロフィールの検出には、一つ以上の抗体の使用が含まれる。更に、このような抗体(単数)又は抗体(複数)は、P2XレセプターへのATPの結合と関連する変化を検出しないという点で、本発明のプローブとは異なることが好ましい。このような抗体の調製は、当業者には容易に明らかであろう。
【0027】
本発明は、一つ以上の抗体を使用して、過敏性腸症候群を診断することを含む。
【0028】
診断は、標準的な免疫組織化学手法を利用する標準的な顕微鏡法において使用され得る。
【0029】
この容態の治療的処置は、本発明の第三の態様との関連で以下で議論される。
【0030】
本発明のプローブ及び方法を使う診断は、インシツのイメージング法を使って、身体組織における分布を検出するために実施される。加えて、標準的顕微鏡法、共焦点顕微鏡法及び活性細胞の蛍光ソーティングを使うことができる。リンパ、前立腺、乳、皮膚、肺、子宮、膀胱、頚、胃、食道及び同様の生検、乳組織及びその他の組織の細針吸引液、及び頚癌の検出用に取られた細胞スミアについて試験するために、普通の免疫組織化学的手法が使われる。本発明のプローブ及び方法を用いて、その他の手法が使われてもよい。
【0031】
本発明は、疾患又は容態を処置するための抗体を提供する。該抗体は、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合しており、且つ、非機能性レセプターにのみ結合するように適合している。好ましくは、該抗体は、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することによって、又は、P2Xレセプター内の孔形成のために必要な一つ以上のタンパク質の結合の変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別し、且つ、非機能性レセプターにのみ結合するように適合している。もう一つの実施形態では、抗体は、結合ATPの不在下で晒されたレセプターの一つ以上の部分を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別する。
【0032】
疾患及び容態を処置するための抗体は、疾患及び容態の診断をするためのプローブとして使われる抗体と同一であってよい。このような抗体は、例えば、時事問題として、皮膚癌の処置に使うことができる。癌の全身性処置については、抗体又はその活性断片は、望ましくない免疫反応副作用を最小にするためにヒト化されているべきである。
【0033】
本発明の抗体は、ヒトを含む哺乳類の疾患又は容態を処置するために使われてもよい。疾患又は容態の例としては、本発明のプローブとの関連で上述されている。
【0034】
また、本発明は、本発明の第二の態様の抗体の産生を引き起こすことができるエピトープを提供する。該エピトープは、Pro210を含み、(ヒトレセプターのP2X配列にある)Gly200からThr215までのセグメントを囲んでいることが好ましい。該エピトープは、好ましくは、化学架橋剤マレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミド(MCS)を介してジフテリア毒素に架橋結合しているC末端Cys残基に付けられているべきである。これにより、付けられたエピトープペプチドによって適合されるコンフォメーションは、安定したシスのプロリン形状を占める。
【0035】
この特異的なペプチドのコンフォメーションは、一つ以上の疾患又は容態(特に、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌等の上皮細胞癌、並びに、悪性リンパ腫、過敏性腸症候群及びHIV等のウイルス又はミコバクテリウム結核症等の他の病理学的生物体による感染)を持つヒト又は動物に現されると意図される。患者は、コンジュゲートされたエピトープの適用に対して免疫反応を開始し、影響を受けた細胞の表面に現れた非機能性P2Xレセプターを認識する抗体を産生するので、それらへ結合して、複雑になった細胞を破壊するように適切な免疫細胞を変えることが好ましい。細胞死のために初回抗原刺激を受けている他の細胞も影響を受けることが好ましい。
【0036】
上述されている配列は、本発明の範囲を制限するものと理解されてはならない。本発明は、好ましくは非機能性P2Xレセプターのみに対して、好ましくは細胞表面に発現された全機能性レセプターを無視して、そして副作用を防ぐことによって、特異的免疫反応を同様に引き起こす互生配列及びキャリヤー及び架橋剤を含む。
【0037】
また、この第二の態様において、本発明は、患者の疾患又は容態を処置するための治療学的ベヒクルとして本発明の抗体を使用して、正常(機能性)レセプターを発現している全細胞をそのままにしておく一方で、細胞表面に発現される異常型又は非機能性P2Xレセプターを標的にすることによってプログラム化された細胞死を調節することを提供する。本発明は、また、本発明のエピトープを使用して、上述のように抗体産生を起こすことにも及ぶ。
【0038】
また、本発明は、患者の疾患又は容態を処置又は予防するための薬学的組成物を提供する。該組成物は、異常型又は非機能性P2Xレセプターを表面上に発現している細胞のプログラム化された細胞死を調節することができる抗体の薬学的有効量(又は、このような量の産生を起こすエピトープ)を含む。
【0039】
抗体又はエピトープの薬学的有効量は、患者及び疾患又は容態の性質により異なる。これらの変化は、当業者によって確かめられ得る。
【0040】
本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容されるキャリヤーとともに投与される。薬学的に許容されるキャリヤーは、本技術分野において既知のもの又は今後案出されるもので意図される使用に適切なものであってもよい。キャリヤーと同様に、本発明の薬学的組成物は、他の成分(例えば、色素、保存剤、緩衝剤及び抗酸化剤)を含んでよい。
【0041】
本発明の薬学的組成物は、望ましい型をとってよく、例えば、軟膏、クリーム、溶液、懸濁液、粉末、錠剤、カプセル、坐薬又はペッサールの型で投与されてよい。
【0042】
本発明の薬学的組成物は、いかなる適切な方法で投与されてもよく、経口投与、非経口投与、静脈内投与、筋内投与、皮下投与、局所的投与が含まれる。
【0043】
また、本発明は、患者の疾患又は容態を処置又は予防するための方法を提供する。該方法は、本発明に従い薬学的組成物を患者に投与するステップを含む。
【0044】
また、本発明は、患者の疾患又は容態の処置又は予防において、本発明の薬学的組成物の使用を提供する。
【0045】
最適効果のために本発明の薬学的組成物の使用パターンを変える必要があることは、当業者には明らかであろう。疾患又は容態の性質並びにそのひどさを考慮する必要があろう。
【0046】
本発明の第三の態様では、P2Xレセプター(例えば、悪性リンパ腫を持つ患者のB細胞のもの)へのATPの供給を制御するATPアーゼ(酵素)に焦点が置かれる。白血球上のP2Xレセプターのチャンネル開放は、エクトATPアーゼ及びエクトATPジホスホヒドロラーゼ(エクトATPDアーゼ)によるATPアゴニストの迅速な加水分解を介して終了する。これらの酵素は、ATPに依存する数々の生理学的過程を調節する。白血球に対するATPアーゼ及びATPDアーゼ活性の基質特異性は、白血球上に一以上の細胞表面(CD39を含む)が存在することを示唆する。一つ以上のこれらのATPアーゼ又はATPDアーゼの激増は、P2X孔形成を制御するのに必要なATPの供給と、それに引き続く、B細胞数を調節するために必要なプログラム化された細胞死とを制限することができる。
【0047】
同様にして、IBSの場合には、ATPアーゼの激増は、P2XレセプターへのアゴニストATPの適切な結合の欠如に寄与するだろうと信じられている。
【0048】
従って、この第三の態様では、本発明は、患者の疾患又は容態を処置又は予防するための製剤を提供する。該製剤は、患者の細胞又は組織のP2XレセプターへのATPの供給を制御するATPアーゼの発現を調節するように適合している一つ以上の物質を含む。また、本発明は、患者の疾患又は容態を処置又は予防するための方法を提供する。該方法は、患者の細胞又は組織のP2XレセプターへのATPの供給を制御するATPアーゼの発現を調節するように適合している一つ以上の物質を含む製剤を患者に投与するステップを含むものである。
【0049】
このようなATPアーゼの例示として、CD39又はCD73がある。
【0050】
このような物質は、ATP類似体の型をとってよく、好ましくは、加水分解できないもので、P2Xに特異的であるか、又は、P2X結合部位のためのATP利用率を減少させる局所的ATPアーゼの作用を阻害する他の物質であってよい。製剤は、非機能性P2Xレセプターに対して特異的に向けられたヒト化抗体の型であってよい。
【0051】
疾患又は容態は、悪性リンパ腫又はIBSであることが好ましいが、本発明は、他の疾患又は容態にも及ぶことができ、他の上皮細胞又は血液癌や、ウイルス性及び他の病理学的感染も含まれる。
【0052】
悪性リンパ腫の場合には、ATPアーゼは、P2Xレセプターへの結合に利用可能なATPの濃度を減らし、それらを不活性化させるように、P2XレセプターへのATPの局所的供給を制御する。これにより、プログラム化されたB細胞死がかなり減少することになる。このようなATPアーゼは、B細胞の表面で特異的に発現され、悪性リンパ腫でアップレギュレートされるように思われる。好ましくは、特異的ATPアーゼ阻害剤の適用を、P2XレセプターへのATPの利用可能性を調節して、プログラム化されたB細胞死を調節するために使用することができる。
【0053】
悪性リンパ腫の処置に対しては、物質は、ATPアーゼ又はATPDアーゼをブロックすることができる合成アゴニストを、加水分解されないP2Xアゴニストの型で含むことができる。
【0054】
過敏性腸症候群に関しては、本発明の製剤の投与は、影響を受けている粘膜領域の下に横たわる筋肉の過活動を介して減少するレセプター機能を回復されるように意図されている。本発明の製剤は、粘膜に直接に作用して、このような非機能性レセプターを除去する。これにより、局所的正常な胃腸分泌メカニズムが回復する。治療学的処置は、正常なレセプター機能が回復するように、非機能性レセプターへのATPの局所的供給を回復させることを目的とする。レセプター機能を制御することの結果としては、胃腸の分泌及び蠕動の正常な制御の回復がある。これは、合成P2X特異的アゴニスト(ATPアーゼによって加水分解されないものが好ましい)の経腸又は全身性供給の適用によって、非機能性P2Xレセプターに対する抗体(非機能性レセプターを除去するための小さなヒト化特異的抗体であることが好ましい)の全身性の適用によって達成され、機能性レセプターのみが残される。
【0055】
もし、下に横たわる平滑筋の蠕動の異常状態が、正常P2Xレセプターへの結合についてATPの局所的利用可能性を減少させる役割を果たしている場合には、処置には、腸運動を一時的に制限させるための処置の適用を介して平滑筋によるATPのアップテイク又は使用を制限する手段によってアゴニストのこの自然的な供給を回復することが含まれる。
【0056】
また、本発明は、疾患又は容態の処置のための薬学的組成物を提供する。該組成物は、P2XレセプターへのATPの供給を制御するATPアーゼ(酵素)の発現を調節するように適合した一つ以上の物質の薬学的有効量を含むものである。
【0057】
全ての点において、本発明は、非機能性P2Xレセプターをアップレギュレートすることによって感染された細胞でウイルスが保護される場合か、正常な細胞状態からこのようなレセプターがアップレギュレートされる場合の、異常型P2Xレセプターがウイルス感染の結果として関与する他の医学的容態においても成される同様の適用にまで及ぶ。
【0058】
また、本発明は、過敏性腸症候群を処置する方法を提供する。該方法は、先に定義されたように、薬学的組成物を患者に投与するステップを含む。
【0059】
また、本発明は、このような薬学的組成物を、過敏性腸症候群の処置において使用することを提供する。
【0060】
最適効果を得るためには、上述の薬学的に有効な作用剤の一つ以上を使用するパターンを変えることができる。
【0061】
もう一つの表現法では、本発明は、過敏性腸症候群を処置する方法を提供する。該方法は、P2Xレセプター機能を回復させるように適合した組成物を投与するステップを含むものである。レセプター機能は、影響を受けた粘膜領域の下に横たわる筋肉の過活性を介して減少し得る。組成物は、本発明の製剤に含まれる上述した物質と同一のものであってよい。
【0062】
更なる態様においては、本発明は、選択されたコンフォメーションを持つタンパク質の全メンバーに結合することから、特異的薬剤結果(能動的並びに受動的な免疫化)をもたらすために、抗体産生を引き起こすことができるエピトープ(又は抗体そのもの)を使って、タンパク質の異なるコンフォメーションを区別する方法を提供する。この例示としては、vCJD容態をもたらすコンフォメーションにあるプリオンタンパク質がある。タンパク質の異常型は、特異的抗体又はその抗体を産生するためのエピトープ(好ましくは、ヒト化されていて、最適の薬学的効果のためにサイズが減少しているもの)によって、標的とされる。
【発明の説明】
【0063】
診断への適用
本明細書では、動物において特異的非機能性P2X抗体を使い、ヒト及び他の哺乳動物でのほとんどの癌を診断するために本発明のプローブ及び方法の一般的な適用を実証するという例示により説明がなされている。
【0064】
ヒト及び哺乳動物(ネコ及びイヌ等)の前立腺組織では、本発明の抗体が診断に使われると、癌又は前癌性病変の不在の下ではラベル化が成されない。しかし、本発明の診断方法によると、新生物発生前変化(neoplastic change)の最初の兆候が明らかにされる。その一方で、H&E染色によって検出される形態学的変化は、いまなお付随しない。
【0065】
この段階では、上皮細胞の核に最初に現れるレセプターユニットを染色する必要がある。これらは、疾患の後期段階では細胞質に移動し、前立腺全体にわたってフィールド効果として作用するので、癌の存在を確かめるために生検される必要があるのは、より少ない組織である。疾患の後期の段階では、染色は上皮先端により限定される。
【0066】
同様にして、他の上皮細胞癌(ヒト及びネコやイヌ等の他の哺乳動物では、乳癌、肺癌、大腸癌及び皮膚癌)が、マージンを持って検出される。これらの他の組織においては、はっきりしたフィールド効果がないからである。
【0067】
これらの他の組織(乳部組織、頚部組織等)においては、正常組織は染色されない一方で、核染色が細胞質染色に先行するという同一段階の成長が観察される。正常な形態により癌のないことが示唆される場合であっても、乳部で影響を受けている管路系の個々の内の局所的フィールド効果により、乳部組織において影響を受けた管路と腺小葉を容易に検出することができる。隣接する影響を受けていない管路は、染色されないように見える。同様に、影響を受けたリンパ節(癌を含んでいる直接的に消耗している組織)は、影響を受けた白血球のフィールド効果を介して癌の兆候を示す。従って、センチネル節は、節への転移細胞の広がりがなくても検出され得る。
【0068】
基底細胞癌及び扁平上皮癌並びに悪性黒色腫等の皮膚癌は、ケラチノサイトとメラノサイト層の非機能性レセプター及びチャンネル成分(モノマー)に対して、はっきりしたマージンを持って陽性染色を示す。このマージンを超えると、正常皮膚は、表皮及び真皮深部の両方においてラベル化されない。
【0069】
ヒト前立腺(PC3)及び乳(MCF7)及び齧歯動物ハイブリドーマは、細胞表面上の非機能性レセプターについて陽性であるので、これらの癌細胞ではアポトーシスが阻害される。この診断の一般的な適用は、ヒト以外の他の動物タイプのレセプターの遍在する性質を示すマウスハイブリドーマ細胞上の同一ラベル法によって見受けられる。正常なヒトB細胞リンパ球は、機能性P2Xレセプターが細胞表面上で発現されることを示し、必要なときにアポトーシスを可能にする。一方で、悪性リンパ腫を持つ患者からのヒトB細胞リンパ球は、非機能性P2Xレセプターが細胞表面で発現され、アポトーシスが削減されることを示す。
【0070】
治療的な適用
アポトーシスを起こそうと企てている癌細胞の細胞表面上で発現される、この明らかに偏在するP2X非機能性レセプターを、ヒト及び他の動物のほとんどの癌の処置に使うことができる。以下に例示がある。
【0071】
実施例1
非機能性P2Xへのアフィニティー精製抗体の存在下及び不在下の両方で、マクロファージベース上にマウスハイブリドーマ細胞を増殖した。4日間を超えたとき、精製された正常IgGのみが存在する中で増殖した細胞数は1〜7×10である一方で、非機能性P2X抗体の存在下では、細胞数はほんの1.5×10であった。
【0072】
コントロールとしての正常IgGとともに、又は非機能性P2Xレセプターへのアフィニティー精製抗体とともに、ハイブリドーマ細胞をマウスの中に注入した。非機能性(ATP減少)P2Xレセプター(精製されているが、アフィニティー精製はされていないGタンパク質)に対する抗体又はIgGのいずれかとともに、0.5ml容量中同一の濃度で、10ハイブリドーマ細胞を、6時間にわたって予めインキュウベートし、それをマウスのグループに注入した。2日目に、第二の同一の注入を実行した。
【0073】
11日目に、腫瘍重量を測定した。10匹のマウスのコントロールグループ(そのうち9匹が腫瘍の成長をおこした)の平均腫瘍重量は4.0gであった。その一方で、P2X抗体に晒された10匹のマウスのグループでも9匹が腫瘍の成長を起こしたが、平均腫瘍重量はほんの1.1gであった。
【0074】
実施例2
特異的なアフィニティー精製抗体(特異性を大きく改善するためのもの)を、7日間にわたって液体中で、又はジメチコン・クリーム基剤に懸濁してのいずれかで、3つのヒト基底細胞癌(「BCC」)に適用した。コントロール皮膚は、タンパク質標的の不在により、全体的に影響を受けなかった一方で、処置後にBCC病変の痕跡は検出されなかった。
【0075】
一般に患者に適用することは、局所的適用を用いて明らかにされたように、内部の癌が同じ効率で処置されるように、ヒト化モノクローナル抗体(ヘルセプティン等)の生産を含むことと信じられている。リンパ球等の細胞の細胞表面で発現される全ての正常な機能性P2Xは、副作用を避けるために、抗体の存在によっても影響を受けないままである必要がある。よって、抗体は、アポトーシスを企てているが、それを開始することのできない細胞の細胞表面で発現されるタンパク質にのみ結合するべきである。従って、標的化された全ての細胞は、プログラム化された細胞死を介して自身を殺そうと企てているもののみであり、これには、癌細胞が含まれる。これらの細胞(特に癌細胞)上のP2Xレセプターは、非機能性であるか、ATP−減少状態である。
【0076】
能動的免疫化
治療学的目的に能動的免疫化もまた使うことができる。この場合には、ヒト又は他の哺乳動物は、細胞表面で非機能的(ATPが減少した)形状にあるレセプターによってのみ適合されるコンフォメーションを模倣したコンフォメーションにある特異的エピトープ(単数)又はエピトープ(複数)に対して免疫化される必要がある。機能性レセプターに存在するエピトープの形状の部分的な暴露を含むコンフォメーションの柔軟性は避けられるべきである。例としてのエピトープGly200−Thr215のシスコンフォメーションは、適切な手段で使われる前に固定されるべきである。この概念が堅実であることについての追加証拠としては、抗体を造るために使われたマウス、ウサギ及びヒツジを含む数々の動物の免疫力が低下していないという観察がある。これらの多くの動物では、これまで腫瘍の成長はない。
【0077】
産業上の利用可能性
本発明は、その全ての面において、疾患の早期且つ正確な診断及び効果的な処置(多くの場合には、従来技術で利用可能なものに比べて、はるかに侵襲性又は外傷性でない)をすることができる可能性とともに、ヒト及び動物の医学及び健康の分野に適用を有する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は容態を検出するためのプローブであって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2X7レセプターとを区別するように適合している前記プローブ。
【請求項2】
プローブが、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2X7レセプターとを区別するように適合している、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
プローブが、P2X7レセプター内の孔形成のために必要な一つ以上のタンパク質の結合の変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
プローブが、結合ATPの不在下で晒されたレセプターの一つ以上の部分を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
部分が、P2Xモノマーを含む、請求項4に記載のプローブ。
【請求項6】
天然型又は人工型である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項7】
疾患又は容態が、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌、他の上皮細胞癌、悪性リンパ腫、他の血液癌、過敏性腸症候群、及びウイルス又は他の病理学的生物体による感染、から成る群より選択される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項8】
ATP結合部位に隣接した細胞外ドメインに位置する各レセプターのエピトープに対して、抗体が向けられている、請求項7に記載のプローブ。
【請求項9】
レセプターが、哺乳類のP2X7レセプターであり、且つ、アミノ酸210にあるプロリンがトランスコンフォメーションである配列を有する機能性レセプターと、アミノ酸210にあるプロリンがシスコンフォメーションである配列を有する非機能性レセプターとを区別するようにプローブが適合している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項10】
レセプターが、哺乳類のP2Xレセプターであり、且つ、アミノ酸199にあるプロリンがトランスコンフォメーションである配列を有する機能性レセプターと、アミノ酸199にあるプロリンがシスコンフォメーションである配列を有する非機能性レセプターとを区別するようにプローブが適合している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項11】
プローブが、Gly200からThr215まで伸張するP2Xレセプターのエピトープ配列に対して生産された抗体であるか、該抗体を含む、請求項9に記載のプローブ。
【請求項12】
疾患又は容態が、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌、他の上皮細胞癌、悪性リンパ腫、他の血液癌、過敏性腸症候群、及びウイルス又は他の病理学的生物体による感染、から成る群より選択される、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のプローブ。
【請求項13】
ウイルス又は生物体が、HIV又は結核症ミコバクテリウムである、請求項12に記載のプローブ。
【請求項14】
容態が過敏性腸症候群であり、且つ、抗体が、機能性状態による変化のないP2Xレセプターの他の領域をも検出することができる、請求項7に記載のプローブ。
【請求項15】
容態が過敏性腸症候群であり、且つ、抗体が、全P2X発現を検出することができる二次抗体との組み合わせで使用される、請求項7又は14に記載のプローブ。
【請求項16】
疾患又は容態を検出する方法であって、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のプローブを使って、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するステップと、
レセプター発現プロフィールを提供するステップと、
レセプター発現プロフィールを、正常プロフィールと比較するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項17】
レセプター発現プロフィールが、非機能性レセプターのプロフィールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
プローブが、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
プローブが、P2Xレセプター内の孔形成のために必要な一つ以上のタンパク質の結合の変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
プローブが、結合ATPの不在下で晒されたレセプターの一つ以上の部分を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
部分が、P2Xモノマーを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
レセプター発現プロフィールが、インシツ・イメージング法を使って提供される、請求項16乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
レセプター発現プロフィールが、顕微鏡法、共焦点顕微鏡法又は活性化細胞蛍光ソーティングを使って提供される、請求項16乃至21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
疾患又は容態の検出における、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプローブの使用。
【請求項25】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のプローブと複合化している、単離された細胞又は組織サンプル。
【請求項26】
過敏性腸症候群を診断する方法であって、細胞及び/又は組織のP2X7発現プロフィールを検出するステップと、正常細胞及び/又は組織の予め決定されている発現プロフィールと該プロフィールとを比較するステップと、を含む前記方法。
【請求項27】
P2X発現プロフィールの検出が、一つ以上の抗体を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
過敏性腸症候群の診断における一つ以上の抗体の使用。
【請求項29】
過敏性腸症候群を処置する方法であって、P2Xレセプター機能を回復させるように適合している組成物を投与するステップを含む、前記方法。
【請求項30】
疾患又は容態を処置又は予防するための抗体であって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合しており、且つ、非機能性レセプターのみに結合する、前記抗体。
【請求項31】
抗体が、アデノシン三リン酸(ATP)のレセプターへの結合に関しての変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項30に記載の抗体。
【請求項32】
抗体が、P2Xレセプター内の孔形成のために必要な一つ以上のタンパク質の結合の変化を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項30に記載の抗体。
【請求項33】
抗体が、結合ATPの不在下で晒されたレセプターの一つ以上の部分を検出することによって、機能性P2Xレセプターと非機能性P2Xレセプターとを区別するように適合している、請求項30に記載の抗体。
【請求項34】
部分が、P2Xモノマーを含む、請求項30に記載の抗体。
【請求項35】
請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体であって、ポリクローナル、モノクローナル、組み換え、ヒト化抗体又はこれらの適切な断片である、前記抗体。
【請求項36】
レセプターが、哺乳類のP2Xレセプターであり、且つ、アミノ酸210にあるプロリンがトランスコンフォメーションである配列を有する機能性レセプターと、アミノ酸210にあるプロリンがシスコンフォメーションである配列を有する非機能性レセプターとを区別するように抗体が適合している、請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項37】
Gly200からThr215まで伸張するP2Xレセプターのエピトープ配列に対して生産された、請求項36に記載の抗体。
【請求項38】
レセプターが、哺乳類のP2Xレセプターであり、且つ、アミノ酸199にあるプロリンがトランスコンフォメーションである配列を有する機能性レセプターと、アミノ酸199にあるプロリンがシスコンフォメーションである配列を有する非機能性レセプターとを区別するように抗体が適合している、請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項39】
疾患又は容態が、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌、他の上皮細胞癌、悪性リンパ腫、他の血液癌、過敏性腸症候群、及びウイルス又は他の病理学的生物体による感染、から成る群より選択される、請求項30乃至37のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項40】
ウイルス又は生物体が、HIV又は結核症ミコバクテリウムである、請求項39に記載の抗体。
【請求項41】
請求項30乃至40のいずれか一項に記載の抗体産生を起こすように適合しているエピトープ。
【請求項42】
化学架橋剤マレイミドカプロイル−N−ヒドロキシスクシンイミド(MCS)を介してジフテリア毒素に架橋結合しているCys残基がC末端に付いている、請求項41に記載のエピトープ。
【請求項43】
正常(機能性)P2Xレセプターをそのままにしておく一方で、細胞表面で発現される異常型又は非機能性P2Xレセプターを標的とすることによって、プログラム化された細胞死を調節するための、患者の疾患又は容態を処置する治療用ベヒクルとしての、請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体の使用。
【請求項44】
請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体産生を起こすための、請求項41又は42に記載のエピトープの使用。
【請求項45】
患者の疾患又は容態を処置又は予防するための薬学的組成物であって、その表面に発現された異常型又は非機能性P2Xレセプターを有する細胞のプログラム化された細胞死を調節することができる、請求項30乃至34のいずれか一項に記載の抗体の薬学的有効量、又はこのような量の産生を引き起こすエピトープ、を含む前記組成物。
【請求項46】
患者の疾患又は容態を処置又は予防するための製剤であって、患者の細胞又は組織のP2XレセプターへのATPの供給を制御するATPアーゼの発現を調節するように適合している一つ以上の物質を含む、前記製剤。
【請求項47】
患者の疾患又は容態を処置又は予防するための方法であって、患者の細胞又は組織のP2XレセプターへのATPの供給を制御するATPアーゼの発現を調節するように適合している一つ以上の物質を含む製剤を患者に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項48】
疾患又は容態が、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌、他の上皮細胞癌、悪性リンパ腫、他の血液癌、過敏性腸症候群、及びウイルス又は他の病理学的生物体による感染、から成る群より選択される、請求項46に記載の製剤。
【請求項49】
疾患又は容態が、前立腺癌、乳癌、皮膚癌、肺癌、頚癌、子宮癌、胃癌、食道癌、膀胱癌、大腸癌及び膣癌、他の上皮細胞癌、悪性リンパ腫、他の血液癌、過敏性腸症候群、及びウイルス又は他の病理学的生物体による感染、から成る群より選択される、請求項47に記載の方法。


【公開番号】特開2009−235074(P2009−235074A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−112881(P2009−112881)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願2002−558379(P2002−558379)の分割
【原出願日】平成14年1月17日(2002.1.17)
【出願人】(503081852)イントリート ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】