説明

非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法

【課題】非水系正極材ペーストから効率よく有価金属を回収できる非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法を提供する。
【解決手段】非水系正極材ペーストに有機溶剤を混合して、非水系正極材ペーストに含有されるバインダーおよび有機溶媒を溶解し、溶解成分と非溶解残渣とを分離する。有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータが8.7以上14.0以下である。バインダーおよび有機溶媒が活物質および導電材を包み込んだ状態で凝集することを防止でき、活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを容易に分離することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法に関する。さらに詳しくは、リチウムイオン電池等に用いられる非水系正極材ペーストに含有される活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを分離することにより有価金属を回収する非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池に代表される電池は、正極材、負極材、セパレータ、電解液、およびこれらを収めるケースなどで構成されている。このうち正極材は、導電性を有する帯状基板と、その帯状基板に塗布された正極材ペーストとからなる。非水系の正極材ペーストは、活物質、導電材、およびバインダーが、有機溶媒に混錬されてペースト状となっている。
【0003】
例えば、リチウムイオン電池の正極材ペーストに含有される活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等である。導電材は、グラファイトやアセチレンブラック等のカーボンブラック、カーボンファイバー等の導電性繊維、金属粉末等である。バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体等である。有機溶媒は、エチレンカーボネ−ト、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等であり、これらを単独で、もしくは2種類以上を混合して用いられる。
【0004】
ところで、リチウムイオン電池は、充放電を繰り返すとしだいに充電容量が低下し、最後は使用寿命にいたる。また、リチウムイオン電池の製造工程においては、不良品、工程内部の残留物、発生屑など様々な工程内廃材も生じる。
これら使用寿命となった電池や工程内廃材(以下、両者をまとめて廃電池という)には、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガン等様々な有価金属が含まれているため、その有価金属を回収し再資源化する処理が行なわれる。
【0005】
廃電池から有価金属を回収する方法として、例えば特許文献1に記載の方法が提案されている。
特許文献1の方法は、廃電池を焼き付け、粉砕し、篩い分けをして灰を生成し、その灰を硫酸や過酸化水素で溶解することにより有価金属を回収する方法である。
しかし、特許文献1の方法では、焼き付け工程において、正極材ペーストに含有される有機溶媒を燃焼させる必要があるため、多大なエネルギーが必要であり、燃焼後の排ガス処理が必要であるという問題がある。
【0006】
一方、多大なエネルギーを必要とする燃焼を用いない方法として、特許文献2に記載の方法が提案されている。
特許文献2の方法は、苛性ソーダ溶液で正極材を構成するアルミニウム箔を溶解し、未溶解物を硫酸および過酸化水素水で溶解することにより有価金属を回収する方法である。この方法によれば、熱エネルギーが不要であり、排ガス処理も不要である。
しかし、特許文献2の方法では、正極材ペーストに含有されるバインダーを硫酸および過酸化水素水のみで完全に溶解することは困難であるという問題がある。また、正極材ペーストに含有される有機溶媒が硫酸や過酸化水素水の水溶液に混ざらずに混合不良を招く恐れがあるという問題がある。なお、有機溶媒が極性溶媒であれば水溶液に溶解するが、この場合でも、後工程における金属元素を分離するための溶媒抽出で抽出剤と水溶液との分離が不良となり、分離精製不良を招いて有価金属の回収率が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−149889号公報
【特許文献2】特開2010−277868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑み、非水系正極材ペーストから効率よく有価金属を回収できる非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法は、活物質と、導電材と、バインダーと、有機溶媒とを含有する非水系正極材ペーストから、前記活物質および前記導電材を回収する方法であって、前記非水系正極材ペーストに有機溶剤を混合して、前記バインダーおよび前記有機溶媒を溶解し、溶解成分と非溶解残渣とを分離することを特徴とする。
第2発明の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法は、第1発明において、前記有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータが8.7以上14.0以下の有機溶剤であることを特徴とする。
第3発明の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法は、第1発明において、前記有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータが11.2以上12.6以下の有機溶剤であることを特徴とする。
第4発明の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法は、第2発明において、前記有機溶剤は、ベンゼン、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、エタノール、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、アセトアルデヒド、酢酸ビニル、トリクロロアルデヒド、メタノール、のうちの一、または二以上のものからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1発明によれば、非水系正極材ペーストに含有される活物質および導電材を凝集させ、バインダーおよび有機溶媒と分離することにより効率よく有価金属を回収することができる。
第2発明によれば、バインダーおよび有機溶媒が活物質および導電材を包み込んだ状態で凝集することを防止でき、活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを容易に分離することができる。
第3発明によれば、前記活物質および前記導電材の凝集体が有機溶剤中に沈降する大きさとなるため、溶解成分と非溶解残渣とを容易に分離することができる。
第4発明によれば、バインダーおよび有機溶媒が活物質および導電材を包み込んだ状態で凝集することを防止でき、活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを容易に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法のフローチャートである。
【図2】実施例1の試験結果である。
【図3】実施例2の試験結果である。
【図4】比較例の試験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1に基づき廃電池から有価金属を回収する工程を説明する。
まず、第1工程において、廃電池から正極材ペーストを分離する。ここで、廃電池とは、使用済みの電池や、電池の製造工程において排出される不良品、工程内部の残留物、発生屑などの様々な工程内廃材を含む概念である。
【0013】
廃電池が使用済みの電池である場合、例えば、その使用済みの電池を、放電、粉砕等した後に、正極材を取り出し、正極材を構成する帯状基板から正極材ペーストを剥ぎ取るか、帯状基板を苛性ソーダ溶液等で溶解することにより正極材ペーストを分離する。
また、廃電池が行程内廃材である場合には、例えば、廃材である正極材ペーストをそのまま用いるか、不良品の正極材から帯状基板を除去して正極材ペーストを分離する。
【0014】
つぎに、第2工程において、第1工程で分離した正極材ペーストに有機溶剤を混合してスラリーとした後に、所定時間静置する。これにより、正極材ペーストに含有されるバインダーおよび有機溶媒を溶解するとともに、活物質および導電材を凝集させる。
ここで、正極材ペースト中の活物質および導電材は有機溶媒により表面エネルギーが低い状態となり正極材ペースト中に分散して存在している。この正極材ペースト中の有機溶媒を溶解して除去すると、活物質および導電材の表面エネルギーが高い状態となる。そのため、低いエネルギー状態になろうとして活物質および導電材が凝集する。
【0015】
ここで、正極材ペーストに混合する有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータ(以下、単に溶解パラメータまたはSP値という)が8.7以上14.0以下の有機溶剤であることが好ましい。
溶解パラメータが8.7以上14.0以下の有機溶媒であれば、バインダーおよび有機溶媒が活物質および導電材を包み込んだ状態で凝集することを防止でき、後述の第3工程において活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを容易に分離することができるからである。
【0016】
また、特に溶解パラメータが11.2以上12.6以下の有機溶媒を用いることがより好ましい。
溶解パラメータが11.2以上12.6以下の有機溶媒であれば、活物質および導電材の凝集体が有機溶剤中に沈降する大きさとなるため、後述の第3工程において溶解成分と非溶解残渣とを容易に分離することができるからである。例えば、濾過分離により溶解成分と非溶解残渣とを容易に分離することができる。
【0017】
なお、溶解パラメータが8.7以上11.2未満または12.6より大きく14.0以下の有機溶媒を用いた場合には、凝集体が小さく有機溶剤中に分散する可能性がある。このような場合に濾過分離すると、フィルターの目詰まりの原因となる。しかし、このような場合であっても、遠心分離で溶解成分と非溶解残渣とを分離することができる。
【0018】
一方、溶解パラメータが8.7未満の有機溶媒を混合した場合、バインダーおよび有機溶媒の溶解が不十分となり、バインダーおよび有機溶媒が活物質および導電材を包み込んだ状態で凝集し、塊状となる。そうすると、塊の中に取り込まれた活物質および導電材を分離できなくなる。
また、溶解パラメータが14.0より大きい有機溶媒を混合した場合にも、バインダーおよび有機溶媒の溶解が不十分となり、塊状に凝集する。そのため、塊の中に取り込まれた活物質および導電材を分離できなくなる。
【0019】
ここで溶解パラメータは、物質の溶解性を示す値であり、Hildebrandにより定義されたパラメータである。溶解パラメータは、溶質と溶媒との間の凝集力がロンドン分散力のみとした溶液において、凝集エネルギー密度の平方根で定義された値となる。溶質と溶媒の溶解パラメータの値の差が小さいほど、溶媒に対する溶質の溶解性は良好となる。
【0020】
有機溶剤の溶解パラメータの求め方には様々な方法があるが、本明細書ではFedorsにより提唱された推算法(以下、単にFedorsの方法という)から算出した溶解パラメータを用いる。Fedorsの方法では、物質の構造単位の凝集エネルギーおよびモル分子容積から、物質全体の総凝集エネルギーおよび総モル分子容積を算出し、総凝集エネルギーを総モル分子容積で除した値の平方根を溶解パラメータとしている。
【0021】
なお、複数の有機溶剤を混合した混合溶剤の溶解パラメータは、混合する有機溶剤単独の溶解パラメータに混合割合を積算し、それらを加算した値である。
【0022】
上記Fedorsの方法による溶解パラメータが8.7以上14.0以下の有機溶剤としては、例えば、ベンゼン(SP値:8.7)、シクロヘキサノン(SP値:10.5)、アセトン(SP値:9.1)、酢酸エチル(SP値:8.7)、メチルエチルケトン(SP値:9.0)、ジメチルホルムアミド(SP値:12.0)、1−プロパノール(SP値:11.8)、2−プロパノール(SP値:11.6)、1−ブタノール(SP値:11.3)、2−ブタノール(SP値:11.1)、キシレン(SP値:8.8)、トルエン(SP値:8.7)、テトラヒドロフラン(SP値:9.0)、エタノール(SP値:12.6)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.7)、アセトニトリル(SP値:11.2)、アセトアルデヒド(SP値:10.6)、酢酸ビニル(SP値:9.5)、トリクロロアルデヒド(SP値:13.5)、メタノール(SP値:13.8)等があるが、これらに限定されない。
【0023】
さらに、溶解パラメータが11.2以上12.6以下である有機溶剤は、活物質および導電材の凝集体が有機溶剤中に沈降する大きさとなる点でより好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、2−プロパノール(SP値:11.6)、1−ブタノール(SP値:11.3)、エタノール(SP値:12.6)、アセトニトリル(SP値:11.2)等があるが、これらに限定されない。
なお、メチルイソブチルケトン(SP値:8.7)も、活物質および導電材の凝集体が有機溶剤中に沈降する大きさとなるため、好ましい。
【0024】
これらの有機溶剤は、単独で正極材ペーストに混合してもよいし、複数の種類を混合して正極材ペーストに混合してもよい。
【0025】
ここで、複数の有機溶剤を混合する場合には、混合溶剤の溶解パラメータが8.7以上14.0以下となる組み合わせが好ましく、11.2以上12.6以下となる組み合わせがより好ましい。例えば、溶解パタメータが20の溶剤Aを10%、溶解パラメータが10の溶剤Bを90%混合した場合、混合溶剤の溶解パラメータは11(=20×0.1+10×0.9)となり、この様な混合溶媒も用いることができる。
【0026】
また、有機溶剤の正極材ペーストへの混合量は、正極材ペーストの1重量%以上が好ましい。混合量が1重量%未満の場合には、バインダーおよび有機溶媒の溶解が不十分となると考えられるからである。
また、有機溶剤の混合量に上限はないが、正極材ペーストの50倍量以下が好ましい。使用する有機溶剤の量が多いと、廃液処理コストの増加を招くためである。
【0027】
つぎに、第3工程において、濾過分離や遠心分離により、バインダーおよび有機溶媒が溶解した溶解成分と、活物質および導電材が凝集した非溶解残渣とを分離する。
【0028】
最後に、第4工程において、第3工程で得た凝集体から有価金属を回収する。有価金属の回収には種々の方法を用いることができる。例えば、硫酸や塩酸と凝集体とを混合して有価金属を浸出し、ついでアルカリを加えて不純物を沈澱分離し、ついでイオン交換や溶媒抽出などの方法で異なる種類の有価金属を相互に分離し、得られた有価金属の濃縮液から中和、電解採取、ガス還元等の方法で有価金属をメタルや塩類として回収する。
【実施例】
【0029】
つぎに、実施例を説明する。
以下の実施例および比較例では、リチウムイオン電池の製造工程で廃棄物として排出された正極材ペーストを用いた。この正極材ペーストは、40重量%が活物質、5重量%が導電材、3重量%がバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン樹脂、残りの52重量%が有機溶媒としてのN−メチルピロリジノンである。
【0030】
(実施例1)
容積が50mlのビーカーに、上記正極材ペーストを1gづつ5サンプル採取し、それぞれに2−プロパノール(SP値:11.6)、1−ブタノール(SP値:11.3)、エタノール(SP値:12.6)、メチルイソブチルケトン(SP値:8.7)、アセトニトリル(SP値:11.2)を5g添加し、1分間混合してスラリーとした後に、30分間静置した。
静置後は、図2に示すように、いずれのビーカーにも、底一面に黒色の凝集体が沈降した。
【0031】
つぎに、ビーカー内容物全体をよく攪拌し、捕集径1μmのガラス繊維フィルターを用いて濾過した。
フィルター上に捕集された凝集体を捕集し、顕微鏡で観察すると粒径が1mm以下の凝集体であることが確認された。また、この凝集体をラマン分光法(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 ALMEGA型)で分析すると、導電材を含有することが確認された。さらに、この凝集体に硝酸および硫酸を加えて溶解し、ICP発光分光分析法(SIIナノテクノロジー社製 SPS3520型)で化学成分を分析すると、活物質を含有することが確認された。
【0032】
以上のように、本発明に係る非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法により、非水系正極材ペーストに含有される活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とを分離できることが確認された。また、ラマン分光法による分析とICP発光分光分析法による分析から、活物質および導電材の80%以上を回収できることが確認された。
【0033】
(実施例2)
容積が50mlのビーカーに、上記正極材ペーストを1gづつ4サンプル採取し、それぞれに酢酸エチル(SP値:8.7)、メチルエチルケトン(SP値:9.0)、テトラヒドロフラン(SP値:9.0)、アセトン(SP値:9.1)を5g添加し、1分間混合してスラリーとした後に、30分間静置した。
静置後は、図3に示すように、いずれのビーカーにも、底一面に黒色の凝集体が沈降し、さらに、ビーカー内が全体にわたって黒ずんだ。
【0034】
つぎに、ビーカー内容物全体をよく攪拌し、捕集径1μmのガラス繊維フィルターを用いて濾過した。
フィルター上に捕集された凝集体をラマン分光法で分析すると、導電材を含有することが確認された。さらに、この凝集体に硝酸および硫酸を加えて溶解し、ICP発光分光分析法で化学成分を分析すると、活物質を含有することが確認された。
【0035】
ここで、実施例1は、実施例2と比較して、ビーカー内に凝集体が分散していない(黒ずみがない)状態であることが分かった。そのため、実施例1の方が、溶解成分と非溶解残渣とを容易に分離することができる点で好ましいことが確認された。
【0036】
(比較例)
容積が50mlのビーカーに、上記正極材ペーストを1g採取し、シクロヘキサン(SP値:8.6)を5g添加し、1分間混合してスラリーとした後に、30分間静置した。
静置後は、図4に示すように、ビーカーの底に塊状の黒色の凝集体が生じた。
【0037】
つぎに、ビーカー内容物全体をよく攪拌し、捕集径1μmのガラス繊維フィルターを用いて濾過した。
フィルター上に捕集された凝集体をFTIR法(日本分光社製 FTIR680plus型)で分析すると、凝集体は活物質および導電材がバインダーおよび有機溶媒で包み込まれた状態のものであり、活物質および導電材と、バインダーおよび有機溶媒とが分離した状態ではないことが確認された。
【0038】
以上より、正極材ペーストに混合する有機溶剤は、溶解パラメータが8.7以上14.0以下の有機溶剤であることが好ましいことが確認された。
また、溶解パラメータが11.2以上12.6以下の有機溶剤を用いれば、活物質および導電材の凝集体が有機溶剤中に沈降する大きさとなるため(実施例1参照)、溶解成分と非溶解残渣とを容易に分離できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質と、導電材と、バインダーと、有機溶媒とを含有する非水系正極材ペーストから、前記活物質および前記導電材を回収する方法であって、
前記非水系正極材ペーストに有機溶剤を混合して、前記バインダーおよび前記有機溶媒を溶解し、
溶解成分と非溶解残渣とを分離する
ことを特徴とする非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法。
【請求項2】
前記有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータが8.7以上14.0以下の有機溶剤である
ことを特徴とする請求項1記載の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法。
【請求項3】
前記有機溶剤は、Fedorsの方法による溶解パラメータが11.2以上12.6以下の有機溶剤である
ことを特徴とする請求項1記載の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法。
【請求項4】
前記有機溶剤は、ベンゼン、シクロヘキサノン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、エタノール、メチルイソブチルケトン、アセトニトリル、アセトアルデヒド、酢酸ビニル、トリクロロアルデヒド、メタノール、のうちの一、または二以上のものからなる
ことを特徴とする請求項2記載の非水系正極材ペースト中の有価金属回収方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−51119(P2013−51119A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188370(P2011−188370)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】