説明

非磁性一成分現像剤、現像方法、及び画像形成方法

【課題】本発明の課題は、長期間にわたって、帯電/抵抗が安定し、高画質な画像を出力できる非磁性一成分現像剤、画像形成方法、及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】パウダーレオメーターで、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°におけるトータルエネルギー量が、5〜20mJである静電荷像現像用の非磁性一成分現像剤、該非磁性一成分現像剤を用いた現像方法、及び画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法や静電記録法等における静電潜像の現像のための非磁性一成分現像剤、現像方法、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々の分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体上に形成される静電潜像がトナーを含む現像剤により現像されて、転写、定着工程を経て可視化される。現像に用いられる現像剤にはトナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーなどのようにトナー単独で用いられる一成分現像剤とがある。
【0003】
二成分現像方式は、最も広く利用されている方式であるが、トナー粒子がキャリア表面へ付着することにより現像剤が劣化し、画質を長期に保つことができない等の欠点を有すると共に、現像剤中のトナーの濃度割合を一定に保つ為のトナー濃度コントロールシステムや、現像剤中に新たに追加されるトナーと現像剤を混合するためのミキシング装置が必要であり、そのため現像装置が大型になりやすい。
【0004】
一成分トナー現像方式は、磁性トナーを用いる磁性一成分現像方式と、非磁性トナーを用いる非磁性一成分現像方式とに分類される。磁性一成分現像方式は、内部にマグネットなどの磁界発生手段を設けた現像剤担持体を用いて磁性トナーを保持し現像するもので、トナーの搬送制御が容易なこと、複写機、プリンター等の内部汚染が少ないこと等から、近年数多く実用化されている。
しかしながら、磁性一成分現像方式に用いられる磁性トナーは、その内部にマグネタイト等の黒、或いは茶の有色磁性体を含むため、フルカラー化しにくい。更に、磁性一成分現像装置は、現像ロールの内部に磁石を内包しなければならず、したがって現像ロールの小型化には限界があり、更にはこれに起因する現像装置の小型化にも限界がある。
一方、非磁性一成分現像方式は、トナーに磁性体を用いないため、カラー化が可能であり、且つ、現像剤担持体にマグネットを用いない為、より軽量化、小型化、低コスト化が可能である。
【0005】
ところで、二成分現像方式では、トナーの帯電、搬送手段としてキャリアを用い、トナーとキャリアは現像器内部において充分攪拌、混合された後現像剤担持体に搬送され現像されるため、比較的長時間の使用においても安定した帯電、搬送を持続することが可能であり、また高速の現像装置にも対応しやすい。
しかしながら、非磁性一成分現像方式ではキャリアのような安定した帯電、搬送手段がないため、長時間使用や高速化において帯電・搬送不良が起こりやすい。その結果、長時間安定した画像を得ることが二成分現像方式や磁性一成分現像方式に比べ難しく、未だ改善課題が多いのが現状である。
【0006】
上記状況において、長期使用におけるカブリの発生を軽減し、画像濃度を安定させる方法として、例えば、外添剤の表面シラノール量と炭素量との比率を特定の範囲にすることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、確かにカブリの発生や濃度安定性の点で改善されているが、例えばベタ画像のようなトナー量の供給量の多い画像においては、画像濃度ムラの改善が不充分であった。
また、長期使用におけるカブリの発生を軽減する方法として、外添剤の付着割合を特定の範囲にすることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では長期的に良好な現像性を維持できているが、この場合においてもベタ画像のようなトナー量の供給量が多い画像においては、画像濃度ムラの改善が不充分であった。
【特許文献1】特開2003−195558号公報
【特許文献2】特開2000−298372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、長期間にわたって、画像濃度ムラの発生を抑えた高画質な画像を出力できる非磁性一成分現像剤、現像方法、及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<1> パウダーレオメーターで、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°におけるトータルエネルギー量が、5〜20mJである静電荷像現像用の非磁性一成分現像剤。
【0009】
<2> 現像剤担持体に隣接する現像剤供給部材により現像剤担持体上に現像剤を供給し、層規制部材により現像剤担持体上に所定の帯電量および層厚の現像剤層を形成し、該現像剤層を介して、潜像担持体上の潜像を現像する現像方法であって、
前記現像剤が、パウダーレオメーターにおいて、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°におけるトータルエネルギー量が、5〜20mJであることを特徴とする現像方法。
【0010】
<3> 静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤で前記静電潜像を現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記トナー像を転写材上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、を有する画像記録方法であって、
前記現像工程で、前記<2>に記載の非磁性一成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期間にわたって、画像濃度ムラの発生を抑えた高画質な画像を出力できる非磁性一成分現像剤、現像方法、及び画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明者らは画像濃度ムラの発生について検討を行っていたところ、パウダーレオメーターにおいて、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°で測定した場合の、トータルエネルギー量が、5〜20mJとなる現像剤を用いると、画像濃度ムラの発生が少なくなることが明らかとなった。このメカニズムについては明らかになっていないが、次のように推測する。
【0013】
画像濃度ムラの発生は、これまでの検討の結果により、現像剤供給部材への非磁性一成分現像剤の供給状態に関係していると思われる。これを裏付けるためには、現像剤供給部材表面での現像剤の付着状態を明らかにすることが有益であるが、現像剤供給部材は、現像剤を付着させやすいようウレタンスポンジなどで構成されているため、その内部に現像剤が入り込みやすく、現像剤の付着状態を詳細にすることは困難である。しかし、現像剤供給部材表面で現像剤が均一に付着していれば画像濃度は均一になることから、画像濃度ムラが発生するときの現像剤供給部材表面での現像剤は、塊のような不均一な状態で付着しているものと思われる。さらに検討すると、現像剤は凝集しやすい性質を有するため、流動性の悪い現像剤は塊のまま現像剤供給部材に付着しているのではないかと推測する。
したがって、現像剤供給部材表面への供給が均一に行われる現像剤の場合には、画像濃度ムラの発生が少なくなると推測される。
【0014】
更に鋭意研究を重ねた結果、現像剤供給部材への供給に関連する現像剤の流動性は、パウダーレオメーターにおいて、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°で測定した場合の現像剤のトータルエネルギー量と高い相関があることを見出した。特に、当該測定条件でのトータルエネルギー量が5〜20mJの現像剤を用いるときに、画像濃度ムラの発生が抑えられることがわかった。
【0015】
<現像方法>
図1に、本発明の現像方法に用いる一般的な現像器10の概略を示す。
現像器10には、非磁性一成分の現像剤12が格納されている。現像剤12が現像供給部材14に均一に付着するよう、また凝集しないように、現像剤12はアジテーター17によって攪拌される。該現像剤12は、現像器10の内部に備えられた現像剤供給部材14によって、現像剤担持体16に供給される。現像剤担持体16上の現像剤12は、層規制部材(ブレード)18により一定の厚さの現像剤層を形成する。現像剤担持体16は回転可能に現像装置10の外枠に支持されていて、静電潜像担持体20が回転して、静電潜像担持体20上に形成された潜像が現像剤担持体16と対向する位置に到達すると、潜像は現像剤担持体16上に形成された現像剤層に接触し(または、一定の微小間隔で対向し)、現像バイアスにより現像され、潜像担持体20上に画像が形成される。
【0016】
この方式では現像剤担持体上の静電潜像に対応した部分は消費されるが、それ以外の部分は消費されずに現像機内部に回収される。未消費現像剤は現像剤供給部材によって一部剥離され、残りの現像剤担持体上の現像剤は新たに現像剤供給部材によって供給された現像剤と共に層規制ブレードを通過して再度層形成される。
【0017】
次に、現像器10の各部材の材質について説明を行う。
現像剤供給部材14は、その内部に、例えば、ウレタンスポンジ、導電性のポリプロピレンやアクリル系のブラシ等を備えている。
【0018】
現像剤担持体16は、例えば、金属性の回転円筒体と、これを内包するシリコーンゴム等の弾性体スリーブとから構成されているものが挙げられる。また、アルミニウム、SUS、ニッケル等の金属、またはセラミックスを引き抜きしたスリーブ、およびトナーの搬送性や帯電性を制御するため基体表面を、酸化、金属メッキ、研磨、またはブラスト処理等の表面処理を施したものや、これらの基体にアクリル、フェノール等の樹脂やこれに帯電制御剤、導電剤、潤滑剤などを分散させたポリマーコート層をコーテイングしたもの、およびこれらを一体成形したプラスチックスリーブ等の剛体スリーブを用いることができる。
【0019】
層規制部材18としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴム弾性ブレードや、SUS、Al板、リン青銅等の金属ブレードを用いることができる。また、前記ブレードに、アクリル、フェノール、またはウレタン等の樹脂、およびこれらの樹脂に二硫化モリブデン、メラミン、グラファイト、またはシリコーンアクリル等を混合させた樹脂をコートしたり、アクリル、アルミ、テフロン(登録商標)、塩化ビニル、または高密度ポリエチレン等の板、あるいはテープを接着させたり、さらに、ポリオキシメチレン、アクリル、またはガラス等の板を接着させて使用してもよい。
【0020】
次に、パウダーレオメーターによる現像剤の流動性測定について説明する。
粒子の流動性を測定する場合、液体や固体、或いは気体の流動性を測定する場合よりも、多くの要因から影響を受けるため、粒径や表面粗さ等の従来用いられているパラメータでは、正確な粒子の流動性を特定することが困難である。また、流動性を特定するための測定すべき因子(例えば、粒径等)を決定しても、実際にはその因子は流動性に与える影響が少ない場合や、他の因子との組み合わせによってのみその因子を測定する意義が発生する場合もあり、測定因子を決定することでさえ困難である。
更に、粉体の流動性は、外的環境要因によっても著しく異なる。例えば、液体であれば、測定環境が変動しても、流動性の変動幅は然程大きくはないが、粒子の流動性については、湿度や流動させる気体の状態等の外的環境要因によって大きく変動する。このような外的環境要因がいずれの測定因子に影響を与えるかは明確にはされていないため、厳密な測定条件下で測定しても、得られる測定値の再現性に乏しいのが実際である。
【0021】
また、トナー粒子の現像タンク内での流動性については、安息角や嵩密度などを指標としてきたが、これらの物性値は流動性に対して間接的なものであり、流動性を定量化して管理することが困難であった。
【0022】
しかしながら、パウダーレオメーターでは、現像剤から測定機の回転翼にかかるトータルエネルギー量を測定できるため、流動性に起因する各要因を合算した値で得ることができる。それゆえ、パウダーレオメーターでは、従来のように、表面の物性値や粒度分布を調整して得られた現像剤について、測定すべき項目を決定し、各項目について最適物性値を見出して測定することなく、流動性を直接的に測定できる。その結果、パウダーレオメーターで上記数値範囲に該当するかの確認を行うだけで、静電荷像現像用に用いる現像剤として好適であるかの判断が可能となる。このような現像剤の製造管理は、現像剤の流動性を一定に保つことに関して、従来の間接的な値で管理する方法に比べ、極めて実用に適した方法である。また、測定条件を一定とすることも容易であり、測定値の再現性も高い。
つまり、パウダーレオメーターによって得られる値で流動性を特定する方法は、従来の方法に比べて、簡便かつ正確で、信頼性も高い。
【0023】
現像剤の流動性が劣ることによる不均一な現像剤供給部材への付着によって、画像濃度ムラを発生させないようにするためには、パウダーレオメーターで測定した場合に、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°の条件で測定した現像剤のトータルエネルギー量が、5〜20mJとなるようにすることが、極めて有効である。この範囲内にある現像剤は、静電荷像現像に用いたときに流動性が確保され、均一に現像剤が現像剤供給部材に付着し、引き続く現像剤担持体、潜像担時体への現像剤の移動が均一な状態で行われる。その結果、画像濃度ムラ等の画像欠陥を防ぐことができる。
【0024】
なお、パウダーレオメーターでの上記測定値が5mJより低い場合、流動性が高すぎることにより現像担持体近傍から現像剤が噴出してしまい、画像形成装置内を汚す恐れがある。一方、20mJを超える値となる場合は、本発明の課題である画像濃度ムラの発生を抑えることができない。より好ましくは、上記測定値は、8〜18mJの範囲であり、更に好ましくは10〜15mJの範囲である。
【0025】
次に、パウダーレオメーターの測定方法について説明する。
パウダーレオメーターは、充填した粒子中を回転翼が螺旋状に回転することによって得られる回転トルクと垂直荷重とを同時に測定して、流動性を直接的に求める流動性測定装置である。回転トルクと垂直荷重の両方を測定することで、粉体自身の特性や外部環境の影響を含めた流動性について、高感度に検出することができる。また、粒子の充填の状態を一定とした上で測定を行うため、再現性の良好なデータを得ることができる。
【0026】
本発明では、パウダーレオメーターとしてfreeman technology社製のFT4を用いて測定する。なお、測定前に温湿度の影響をなくすため、現像剤は、温度22℃、湿度50%RHの状態で、8時間以上放置したものを用いる。
まず、現像剤を内径50mmのスプリット容器(高さ89mmの160mL容器の上に高さ51mmの円筒を載せ、上下に分離できるようにしたもの)に、高さ89mmを超える量の現像剤を充填する。現像剤を充填した後、充填された現像剤を穏やかに攪拌することによりサンプルの均質化をおこなう操作を実施する。この操作を以下ではコンディショニングと呼ぶことにする。
【0027】
コンディショニングでは、充填した状態で現像剤にストレスを与えないよう現像剤からの抵抗を受けない回転方向(回転翼の羽の傾斜方向にもよるが、図4に示す回転翼では、上から見て左回り)で回転翼を緩やかに撹拌して、過剰の空気や部分的ストレスのほとんどを除去し、サンプルを均質な状態にする。具体的なコンディショニング条件は、5°の進入角で、60mm/secの回転翼の先端スピードで攪拌を行う。このとき、プロペラ型の回転翼が、回転と同時に下方向にも運動するので先端はらせんを描くことになり、このときのプロペラ先端が描くらせん経路の角度を進入角度と呼ぶ。
コンディショニング操作を4回繰り返した後、スプリット容器の容器上端部を静かに動かし、高さ89mmの位置において、ベッセル内部の現像剤をすり切って、160mL容器を満たす現像剤を得る。このような操作を実施するのは、本発明のトータルエネルギーを安定して求めるためには、常に安定して体積一定の粉体を得ることが重要であるからである。
【0028】
以上のようにして、得られた現像剤を内径50mm、高さ140mm、通気可能なメッシュの底板を有する200mL容器に移す。現像剤を200mL容器に移した後、さらにコンディショニングを5回実施した後、通気量30ml/minで空気を流入させながら、容器内を底面からの高さ110mmから10mmまで、進入角度−5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/secで回転する時の回転トルクと垂直荷重を測定する。このときのプロペラの回転方向は、コンディショニングと逆方向(上から見て右回り)である。ここで、30ml/minで空気を流入しながら測定するのは、現像器内での現像剤の流動状態に、より近似させるためである。30ml/minでの通気は、現像剤がアジテーターによって攪拌されたときの現像器内での定常の流動状態を再現しているものと考える。なお、freeman technology社製のFT4では、通気の流入状態は特定されている。
【0029】
回転翼が、容器内に充填された粒子中を充填表面H1からH2まで、進入角度−5°で移動しながら回転翼の先端スピード100mm/secで回転するときの、回転トルクと垂直荷重を測定する。
【0030】
底面からの高さHに対する回転トルク又は垂直荷重の関係を図2(A),図2(B)に示す。回転トルクと垂直荷重から、高さHに対してのエネルギー勾配(mJ/mm)を求めたものが、図3である。図3のエネルギー勾配を積分して得られた面積(図3の斜線部分)が、トータルエネルギー量(mJ)となる。本発明では、底面からの高さ10mmから110mmの区間を積分してトータルエネルギー量を求める。
また、本発明では、誤差による影響を少なくするため、このコンディショニングとエネルギー測定操作のサイクルを5回行って得られた平均値を、本発明で定義するトータルエネルギー量(mJ)とする。
【0031】
回転翼は、freeman technology社製の図4に示す2枚翼プロペラ型のφ48mm径ブレードを用いる。
【0032】
本発明に用いる現像剤は、前記したように一成分非磁性現像剤であり、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有する。なお、一成分系現像剤の場合には、現像剤がトナー粒子と同義であることが多く、トナー粒子は、結着樹脂と着色剤とを主成分として含有する。本発明にかかる現像剤は、上記の条件を満足すれば、その他の条件は特に制限されない。
【0033】
上記条件下で測定した場合の現像剤(トナー粒子)のトータルエネルギー量が上記範囲内となるようにするには、(1)トナー粒子形状を極力球形化する、(2)トナー粒子内に含有させるワックス等のオフセット防止剤を少なくする、(3)ワックス等を含有する場合には、微分散化して含有させたり、滲み出ないように内包化させたりする、(4)トナー粒子の粒度分布をシャープ化する、(5)トナー粒子に外添剤を高被覆化させる、などの方法が挙げられ、これらの方法を組み合わせて用いることも好適である。従来の現像剤に比べ、本発明にかかる現像剤は、特に厳しくこれらの条件が適用される。しかしながら、本発明は、上記トータルエネルギー量の範囲に該当する現像剤を用いれば、本発明の画像形成方法において本発明の効果を享受することができることを示すものであり、トナー粒子の組成、製造方法等は限定されることなく、適宜選択して適用することができる。
本発明にかかる現像剤(トナー粒子)は、下記の具体的組成や製造方法を参照して得ることができる。
【0034】
トナー粒子の組成について説明する。
現像剤に含まれる結着樹脂は、トナー粒子に用いうる公知のものを適宜選択することができる。具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらの中でも特に代表的な結着樹脂としては、例えばポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン等が挙げられる。
【0035】
結着樹脂の分子量は用いる樹脂の種類によって異なるが、おおよそ重量平均分子量は、10,000〜30,000であることが好ましく、13,000〜27,000であることがより好ましく、15,000〜25,000であることが更に好ましい。
上記重量平均分子量の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定したものをいう。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いる。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いる。
【0036】
結着樹脂のガラス転移温度は、低温定着性と現像機内における耐熱ストレス性の両立の観点から、40℃〜70℃であることが好ましく、45℃〜65℃であることがより好ましい。
【0037】
ガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定することにより求めた値をいう。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とする。
【0038】
着色剤については特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デユポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・ブルー15:1、ピグメント・ブルー15:3等が使用できる。
【0039】
トナー粒子には必要に応じて帯電制御剤を添加することができる。カラートナーに帯電制御剤を添加する場合には、色調に影響を与えることのない無色又は淡色の帯電制御剤が好ましい。その帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯体、サルチル酸若しくはアルキルサルチル酸の金属錯体若しくは金属塩を用いることが好ましい。
【0040】
また、トナー粒子には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、ワックス等のオフセット防止剤など公知のその他の成分を含むことができる。上記のワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、ポリオレフィンワックス及びその誘導体等を使用できる。誘導体としては酸化物、ビニルモノマーとの重合体、グラフト変性物などを含む。この他に、アルコール、脂肪酸、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、エステルワックス、酸アミド等も使用できる。
【0041】
しかしながら、上述のように、トナー粒子のパウダーレオメーターでの数値範囲を本発明で規定する範囲となるようにするためには、ワックス等のオフセット防止剤を極力少なくすることが好ましい。使用するオフセット防止剤の種類にもよるが、トナー粒子中のワックスの含有率は、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜8質量%であることがより好ましく、1.5質量%〜6質量%であることが更に好ましい。
また、ワックス等を含有する場合には、微分散化して含有させたり、滲み出ないように内包化させたりすることが好適である。ワックス等を微分散化して含有させるには、混練・粉砕トナーの場合はワックス分散助剤としてポリオレフィンとトナー結着樹脂を構成するモノマーの少なくとも一種を構成成分としたグラフトもしくはブロック共重合体を他のトナー構成成分と混合することが好ましい。ワックス等を内包化させるには、懸濁重合法等によりコア/シェル型トナー粒子としてコア部分にワックス等を含有させ、シェル部分にはワックス等を含有させないようにしてトナー粒子を作製することが好ましい。
【0042】
更にトナー粒子には、オイルレス定着を容易にするために無機微粒子を内添することができる。OHPの透過性を得るためには、屈折率がトナー結着樹脂よりも小さい無機微粒子が好ましい。屈折率が大きすぎると、通常の画像においても色が濁ることがある。無機微粒子の具体例としてはSiO2、TiO2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を挙げることができる。
これらのうち、特にシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましい。シリカ微粒子は無水シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等を含有するものであってもよいが、屈折率が1.5以下となるように組成を調整することが望ましい。
【0043】
これらの無機微粒子は、表面を予め疎水化処理してもよい。疎水化処理を施すとトナー中での無機微粒子の分散性が向上するとともにトナー内部の無機微粒子の一部がトナー表面に露出するときにも、帯電の環境依存性等に対してより効果的である。この疎水化処理は、疎水化処理剤に無機微粒子を浸漬する等して行うことができる。疎水化処理剤に特に制限はないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を使用できる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシラン系カップリング剤が好適である。
疎水化処理剤の使用量は、無機微粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常無機微粒子100重量部に対して、5〜50重量部の範囲が適当である。
【0044】
本発明においては、転写性、流動性、クリーニング性及び帯電量の制御性、特に流動性を改善するため、トナー粒子に外添剤を含有させることが好ましい。なお、外添剤とは、上記トナーのコア粒子表面に付着させる無機微粒子をいう。
無機微粒子としてはSiO2、TiO2、Al23、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe23、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2n、Al23・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等を使用することができる。これらのうち、特にシリカ微粒子、チタニア微粒子の場合には、流動性が良好となるため好ましい。
【0045】
本発明においては、少なくとも一種類の外添剤の平均粒径は、5〜20nmであり、5〜16nmであることが好ましく、5〜12nmであることがより好ましい。外添剤の平均粒径が5nm未満の場合には、トナー粒子表面に埋まりこんでしまい、トナー粒子の流動性に寄与しない場合がある。一方、20nmを超える場合には、トナー粒子から遊離しやすくなり、トナー粒子の流動性に寄与しないばかりでなく、遊離した外添剤が現像器内に堆積する。
【0046】
上記外添剤の平均粒径は、電子顕微鏡により直接測定することができる。平均粒径を有する外添剤の場合、トナー粒子への埋め込みやトナー粒子からの脱離が抑えられるため、良好な流動性を発揮して、その流動性の持続性にも優れる。
【0047】
上記外添剤の使用量は、下記式(1)で計算される表面被覆率が50〜300%が好ましく、80〜250%がより好ましく、100〜200%が更に好ましい。かかる表面被覆率の場合、本発明にかかる上記パウダーレオメーターでのトータルエネルギー量範囲になるようにトナー粒子を調製しやすい。
【0048】
【数1】

【0049】
上式中、DNは、トナーコア粒子の平均粒径(μm)を表し、ρNは、トナーコア粒子の密度を表し、Daは、外添剤の平均粒径(nm)を表し、ρa外添剤の密度を表し、Xは外添剤の添加量(重量%)を表す。
【0050】
外添剤の無機微粒子の表面は、予め疎水化処理されていることが望ましい。この疎水化処理によりトナー粒子の粉体流動性が改善されるほか、帯電の環境依存性に対しても有効である。疎水化処理は疎水化処理剤に無機微粒子を浸漬する等して行うことができる。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもシラン系カップリング剤が好適である。
【0051】
シラン系カップリング剤としては、例えばクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいずれかのタイプを使用することも可能である。具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。疎水化処理剤の使用量は、無機微粒子の種類等により異なり一概に規定することはできないが、通常無機微粒子100重量部に対して、5〜50重量部の範囲が適当である。
【0052】
また、疎水化処理剤による外添剤の疎水化度は、40%〜100%が好ましく、50%〜90%がより好ましく、60%〜90%が更に好ましい。
本発明における疎水化度は、水50ccに微粒子を0.2g加え、スターラーで攪拌後、メタノールで滴定し、微粒子が全て溶媒に懸濁したときのメタノール滴定量をTccとしたときに、下式で表される疎水化度(M)と定義する。
【0053】
疎水化度(M)=[T/(50+T)]×100(vol.%)
【0054】
トナー粒子の体積平均粒径は、4μm〜20μmが好ましく、より好ましくは5μm〜15μmであり、更に好ましくは6μm〜12μmである。トナー粒子の体積平均粒径が4μm未満であると、流動性が著しく低下するため、層規制部材等による現像剤層の形成が不充分となり、画像にカブリやダートが発生する場合がある。一方、20μmを超える場合は、解像度が低下し、高画質の画像が得られない場合があったり、現像剤単位重量当たりの帯電量が低下し、現像剤層の層形成維持性が低下し、画像にカブリやダートが発生する場合がある。
【0055】
トナー粒子の体積平均粒径の測定法としては、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を0.5〜50mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0〜64μmの範囲の粒子の粒度分布を測定する。測定する粒子数は50,000とする。
得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
【0056】
トナー粒子の好ましい粒径分布としては、粒径4μm以下のトナー粒子の占める割合が、40個数%以下の場合であり、30個数%以下の場合がより好ましく、20個数%以下の場合が更に好ましい。
また、上記体積平均粒径D50vを求めるときと同様に、小粒径側から体積累積分布を引いた場合に累積84%となる粒径をD84vとし、小粒径側から個数累積分布を引いた場合に累積16%となる粒径をD16p、50%となる粒径をD50p(個数平均粒径)とすると、粗粉側粒度分布指標=D84v/D50vが1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。また、微粉側粒度分布指標=D50p/D16pが1.25以下であることが好ましく、1.20以下であることがより好ましい。
【0057】
このような粒径分布を有するトナー粒子を得るには、重力式の分級機、遠心分離式の分級機、慣性方式の分級機、あるいは、篩による選別により、所望の粒度分布に合わせることができる。
特に、上記粒径分布を有するトナー粒子とするには、風力分級機の方法を用いることが好ましく、この方法において微粉/粗粉を同時に取り除くことが特に好ましい。
【0058】
トナー粒子の粒径分布が、上記範囲よりも広い場合には、既述のパウダーレオメーターによるトータルエネルギー量が規定の範囲から外れる傾向にある。一方、粒径分布が上記範囲よりも狭くしようとすると、分級等の作業が過剰なものとなり作業効率が極めて悪くなる。
【0059】
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と着色剤、所望により帯電制御剤等を予備混合した後、混練機にて溶融混練し、冷却後粉砕した後、上述のように振動篩分機や風力篩分機等を用いて分級を行う、混練粉砕方式を用いて製造することができる。
また、湿式球形化法、懸濁造粒法、懸濁重合法、乳化重合凝集法等によって製造することができる。
【0060】
トナー粒子は、本発明にかかるトータルエネルギー量とするために、極力球形化することが好ましい。下記式(2)で表されるトナー粒子の形状係数SF1は、120以下であることが好ましく、115以下であることがより好ましい。
【0061】
式(2): SF1=(ML2/A)×(π/4)×100
【0062】
上記式(2)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナー粒子の光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーの最大長と投影面積を求め、上記式(2)にしたがって計算し、その平均値を求めることにより得られるものである。SF1は100に近づくほど真球であり、数値が大きくなるほど粒子の最大長さと最小長さに大きな差を有し、不定形になることを意味する。
【0063】
上記トナー形状係数を有するトナー粒子は、粉砕後に熱処理を施したり、或いは乳化重合凝集法等を適用することによって得ることができる。
熱処理の方法は特に制限されないが、熱風処理(例えば、日本ニューマチック社製のSFS−03など)を行うことが好適である。熱処理の温度や時間は、熱処理装置の形態やトナー中の結着樹脂のガラス転移温度や融点によるので一概に言うことができないが、例えば300℃で数分程度で上記SF1が115以下にすることができる。なお温度を高くするとSF1を115にするまでの時間を短くすることができるが、一方でトナー粒子同士が合一しやすくなるため、適宜調整して熱処理を行うことが好ましい。
【0064】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法は、少なくとも、静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを含む現像剤で現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記トナー像を転写材上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、を有する画像記録方法である。なお、現像工程で用いる現像剤は、上記トータルエネルギー量を有する現像剤である。
【0065】
本発明の画像形成方法では、上記帯電工程、露光工程、現像工程、及び転写工程については、公知の技術を適宜適用することができる。さらに、これらの工程に加え、転写工程後の潜像担持体をクリーニングするクリーニング工程、除電工程等を行ってもよい。
【0066】
また、前記現像工程は、図1に示す現像器のように、現像剤は現像剤供給部材に付着し、現像供給部材から現像剤担持体の表面に転送さる。現像剤を担持する現像剤担持体が像担持体に対向して回転し、前記現像剤を像担持体に搬送させて現像する。
【0067】
図5に、本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す。図5において、静電潜像担持体20と、前記静電潜像担持体20を帯電させる帯電手段32と、帯電した静電潜像担持体20を露光して静電潜像担持体20表面に静電潜像を形成させる潜像形成手段(露光手段)34と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段10と、前記トナー像を静電潜像担持体20から被記録材に転写する転写手段36と、被記録材上に転写された未定着の転写画像を定着する定着手段38と、を有する画像形成装置であることが好ましい。
これらの各構成部材、すなわち、静電潜像担持体(電子写真感光体)20、帯電手段32、潜像形成手段34、転写手段36、定着手段38、更に、クリーニング手段および除電手段(図示せず)については、本発明において、特に制限されるものではなく、従来公知の如何なる構成のものも問題なく使用することができる。図5で示す現像手段10は、図1に示す現像器である。
なお、図5における帯電手段32は接触型の帯電手段を示したが、非接触型の帯電手段であってもよい。
【0068】
現像剤担持体の周速は、150mm/sec以上300mm/sec以下で回転することが好適であり、170mm/sec以上280mm/sec以下であることがより好適である。現像剤担持体の周速が150mm/sec未満である場合、近年における高速化の対応に適さず、あまり好ましくない。また、高濃度再現性の点で劣る。一方、300mm/secを超える場合、特に小型現像機に適用した場合には、現像機の機械的強度不足からトリマーの歪みが発生し、現像剤坦持体上の現像剤のむらにより濃度再現性が劣ることがあるため、好ましくない。
現像剤供給部材はロール状であることが好ましく、現像剤供給部材の現像剤担持体に対する周速比は、現像剤担持体の回転方向と逆方向で0.7以上1.0以下で回転することが好適であり、0.75以上0.95以下であることがより好適である。現像剤供給部材の周速比が0.7未満である場合、現像ロール上のトナーを剥ぎ取る能力が不足し、トナー劣化が起こり易く好ましくない。一方、1.0を超える場合、現像剤供給部材上の現像剤の付着にむらが生じ濃度再現性が劣ることがあるため、好ましくない。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
<各種特性の測定方法>
まず、実施例、比較例で用いた現像剤等の物性測定方法について説明する。
【0071】
−形状係数−
核スライドグラス上に散布したトナー粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置(LUZEXIII、ニレコ社製)に取り込み、50個について、最大長及び面積から、個々の粒子について上記式(2)からSF1を算出し、平均値を求めた
【0072】
−体積平均粒径、粒度分布−
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(ベックマン−コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン−コールター社製)を使用して、粒径を測定した。
【0073】
測定法としては、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5質量%水溶液2ml中に、測定試料を10mg加え、これを前記電解液100〜150ml中に添加した。この測定試料を懸濁させた電解液を超音波分散器で約1分間分散処理を行い、前記コールターカウンターTA−II型により、アパーチャー径が100μmのアパーチャーを用いて、粒径が2.0〜64μmの範囲の粒子の粒度分布を測定した。測定する粒子数は50,000であった。
【0074】
測定された粒度分布を、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積、数それぞれについて小径側から累積分布を描き、全トナー粒子に対して体積で累積16%となる粒径を体積平均粒子径D16v、数で累積16%となる累積個数粒径をD16pと定義する。同様に、体積で累積50%となる粒径を体積平均粒子径D50v、数で累積50%となる粒径を個数平均粒子径D50pと定義する。また、同様に、体積で累積84%となる粒径を体積平均粒子径D84v、数で累積84%となる累積個数粒径をD84pと定義する。体積平均粒径は該D50vである。
また、トナー粒子については、粒径4μm以下の粒子の占める割合を上記得られた粒度分布から求めた。
【0075】
−ガラス転移温度の測定−
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、示差走査熱量計(島津製作所社製:DSC−50)を用い、昇温速度3℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移点は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。
【0076】
−重量平均分子量の測定−
重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した。GPCは、HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)を用い、カラムは、TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度を0.5質量%、流速を0.6ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、IR検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
【0077】
<母体トナーの作製>
(母体トナー(1)の作製)
・ポリエステル樹脂 95部
(テレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物=50/25/25(モノマー質量比)の縮重合体。Tg:60℃、Mw:20,000)
・着色剤 5部
(銅フタロシアニン系顔料(商品名:ECB301、大日精化工業社製)
【0078】
上記混合物をヘンシェルミキサーで混合した後、エクストルーダで溶融混練した。冷却後に粗粉砕したのち、ジェットミルで微粉砕し、さらにこの微粉物をエルボジェット(日鉄鉱業社製、品番EJ−LABO)にてカットポイント5.5μmと9.2μmで微粉と粗粉を除く分級操作を3回繰り返し、体積平均粒径7.5μmであって、粒径4μm以下の占める割合が4個数%の粒度分布を有する母体トナー粒子群(1)を得た。
得られた母体トナー粒子群(1)を日本ニューマチック社製の熱風処理装置(SFS−01、日本ニューマチック社製)を用い、300℃で50g/hrの処理速度で加熱処理を施して球形トナー母粒子(1)を得た。このトナーの平均トナー形状係数は、114であった。
【0079】
(母体トナー(2)〜(5)の作製)
母体トナー(1)の作製において、エルボジェットによる分級操作を3回繰り返したところを、下記表1に示す回数に変更した以外は同様にして、母体トナー(2)〜(4)を作製した。母体トナー(5)については母体トナー(1)の作製において加熱処理を行わない以外は母体トナー(1)と同様に作製した。得られた母体トナー(2)〜(5)の体積平均粒径D50v、粒径4μm以下の占める割合、D84v/D50v、D50p/D16p、及び形状係数SF1は、表1に示す値であった。
【0080】
【表1】

【0081】
[実施例1]
(外添トナー(1)の作製)
母体トナー粒子(1)の100重量部に、シリカ(粒径7nm,シリコーンオイル(商品名:RY300、日本アエロジル社製)処理)2.5重量部をヘンシェルミキサーで混合し、外添トナー(1)を得た。
【0082】
得られた外添トナー((1)のトータルエネルギー量を、既述の方法によってパウダーレオメーターFT4(freeman technology社製)を使用して測定した。外添トナー(1)のトータルエネルギー量は12mJであった。
【0083】
[実施例2〜3]
(外添トナー(2)〜(3)の作製)
実施例1の外添トナー(1)の作製において、母体トナー粒子(1)を用いたところを表2に示すように母体トナー(2)〜(3)に変更した以外は同様にして、外添トナー(2)〜(3)を作製した。得られた外添トナー(2)〜(3)のトータルエネルギー量を表2に示す。
【0084】
[実施例4〜5]
実施例1の外添トナー(1)の作製において、外添剤として添加したシリカの量を表2に示すように変更した以外は同様にして、外添トナー(4)〜(5)を作製した。得られた外添トナー(4)〜(5)のトータルエネルギー量を表2に示す。
【0085】
[比較例1]
実施例1の外添トナー(1)の作製において、外添剤を2.5重量部添加したところを0.5重量部に変更した以外は同様にして、比較の外添トナー(1)を作製した。得られた比較の外添トナー(1)のトータルエネルギー量を表2に示す。
【0086】
[比較例2]
実施例2の外添トナー(2)の作製において、外添剤を2.5重量部添加したところを3.5重量部に変更した以外は同様にして、比較の外添トナー(2)を作製した。得られた比較の外添トナー(2)のトータルエネルギー量を表2に示す。
[比較例3〜4]
実施例1の外添トナー(1)の作製において、母体トナー粒子(1)を用いたところを表2に示すように母体トナー(4)〜(5)に変更した以外は同様にして、比較の外添トナー(3)〜(4)を作製した。得られた比較の外添トナー(3)〜(4)のトータルエネルギー量を表2に示す。
【0087】
[比較例5]
特開2003−195558公報の実施例に記載のトナー(1)を、同公報に記載の方法で作製して、比較の外添トナー(5)を得た。得られた比較の外添トナー(5)のトータルエネルギー量を表2に示す。
【0088】
<評価>
得られた実施例1〜7及び比較例1〜4の外添トナーを用いて、Fuji Xerox社製Xerox Phaser 3400Bの改造機により、現像剤供給ロールの現像剤担持体の回転速度との速度比を逆方向で0.85、現像剤担持体の周速200mm/secにて、下記コピーテストを行った。
かかるコピーテストは、28℃、85%RHの環境下で、X−rite社製の反射濃度計X−rite404で測定される画像濃度が1.4〜1.6のエリアカバレッジ100%のベタ画像を印画することにより行った。
【0089】
(初期画像濃度ムラの評価)
ベタ画像を10枚連続で印画し、得られた10枚目の画像について、用紙中央部における用紙搬送方向先端から後端までの距離を均等に10点取り、その箇所をX−riteにて画像濃度を測定したときの濃度差△D(最大濃度−最小濃度)を求めた。
【0090】
(長期使用後の画像濃度ムラの評価)
また、20,000枚印画後に、更に10枚連続で上記ベタ画像を印画し、初期画像濃度ムラと同様の評価方法により、画像濃度ムラの評価を行った。
【0091】
(現像器からの現像剤の噴出し)
現像器から現像剤が噴出していないか、上記長期使用後の画像濃度ムラ評価用にサンプルを作製した後、装置内を目視で確認した。
【0092】
【表2】

【0093】
表2に示すように、上記条件下でのパウダーレオメーターでの測定において、トータルエネルギー量が5〜20mJの非磁性一成分系の現像剤を用いて現像した場合、流動性が良好となり、画像濃度ムラの発生が長期間にわたって抑制され、高画質な画像が安定して出力された。なお、トータルエネルギー量が5mJ未満の場合には、現像器からの噴出しにより画像形成装置内に汚れが発生していた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の現像方法に用いる現像器の一例を示す概略構成図である。
【図2】パウダーレオメーターでのトータルエネルギー量の測定方法を説明するための図である。
【図3】パウダーレオメーターで得られた、垂直荷重とエネルギー勾配との関係を示す図である。
【図4】パウダーレオメーターで用いる回転翼の形状を説明するための図である。
【図5】本発明の画像形成方法に用いる画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0095】
10 現像器(現像手段)
12 現像剤
14 現像剤供給部材
16 現像剤担持体
20 静電潜像担持体
32 帯電手段
34 潜像形成手段(露光手段)
36 転写手段
38 定着手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パウダーレオメーターで、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/sec、回転翼の進入角度−5°におけるトータルエネルギー量が、5〜20mJである静電荷像現像用の非磁性一成分現像剤。
【請求項2】
現像剤担持体に隣接する現像剤供給部材により現像剤担持体上に現像剤を供給し、層規制部材により現像剤担持体上に所定の帯電量および層厚の現像剤層を形成し、該現像剤層を介して、潜像担持体上の潜像を現像する現像方法であって、
前記現像剤が、パウダーレオメーターにおいて、通気量30ml/min、回転翼の先端スピード100mm/secで、回転翼の進入角度−5°におけるトータルエネルギー量が、5〜20mJであることを特徴とする現像方法。
【請求項3】
静電潜像担持体を帯電する帯電工程と、帯電した静電潜像担持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、トナーを含む現像剤で前記静電潜像を現像しトナー像を前記静電潜像担持体上に形成する現像工程と、前記トナー像を転写材上に転写して未定着の転写画像を形成する転写工程と、転写材上に転写された前記未定着の転写画像を定着する定着工程と、を有する画像記録方法であって、
前記現像工程で、請求項1に記載の非磁性一成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−114751(P2007−114751A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245526(P2006−245526)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】