非自立構造物用アンカーおよびアンカー工法
【課題】簡単な構造で安定した耐力を維持し、しかも作業性に優れた非自立性構造物用のアンカーとそのアンカー工法を提供する。
【解決手段】露岩法面aに非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体2を法面aから岩層cに直角状に穿孔した孔3に挿入し、定着用凝固剤4によりアンカー体2を孔3内に定着することで設置されるアンカー1において、孔の開口部に相当する岩盤地表部分を孔3内にかけて円弧状面に整形し、この孔3から突出するように延在したアンカー体2の上部を岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導く方法によりアンカー1を構築する。
【解決手段】露岩法面aに非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体2を法面aから岩層cに直角状に穿孔した孔3に挿入し、定着用凝固剤4によりアンカー体2を孔3内に定着することで設置されるアンカー1において、孔の開口部に相当する岩盤地表部分を孔3内にかけて円弧状面に整形し、この孔3から突出するように延在したアンカー体2の上部を岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導く方法によりアンカー1を構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雪崩や落石などのおそれがある法面等に設置される非自立構造物に好適なアンカーおよびアンカー工法に関する。
【背景技術】
【0002】
非自立構造物として、たとえば吊式雪崩予防柵や覆式ロックネット、ポケット式ロックネットなどがある。
吊式雪崩予防柵は、雪崩の恐れのある法面に柵体や三角錐状の枠体を設置し、これら柵体あるいは枠体を法面の上方部位に固定したアンカーから吊りロープによって吊持して設置される。
ポケット式ロックネットや覆式ロックネットは、落石の恐れのある法面にポケットを形成するように張ったロープを、法面の上方部位に固定したアンカーで吊持して設置される。また、法面に沿って浮石押さえロープを敷設し、そのロープの上部をアンカーで吊持して浮石の落下を防止する構造物なども知られている。
【0003】
上記非自立構造物のアンカーは、地盤が岩層の場合には、岩に直接掘削孔を形成し、この掘削孔に異形棒鋼やねじ加工した丸鋼からなるアンカーロッドを挿入するとともにモルタル、セメントあるいは樹脂等の凝固剤を流し込み、凝固剤を介して岩とアンカーロッドが一体化することで定着する岩用アンカーが用いられている。
【0004】
こうした岩用アンカーにおいては、荷重はアンカー体に対してせん断方向にかかるケースが多く、棒鋼状アンカー体はねじ部断面積にて耐力が決定することから価格の割には低耐力であり、かつ曲げに弱く水平耐力の低下を招く問題があった。
そこで先行技術(特許文献1,2)においては、地表部に表土がある箇所において、棒鋼状アンカー体に円弧状土圧板を装着し、その土圧板が荷重方向に抵抗することによりアンカー体に引抜荷重をかけて変位を制御することが提案されている。
しかし、これら先行技術は特殊な円弧状土圧板をアンカー体と組合せ使用するので、部材数が多く、また、現場への搬入や取り扱い作業も煩雑となり、工事コストが高くなるという問題があった。
【0005】
先行技術(特許文献3)においては、地表部に表土がある箇所において、アンカー体をワイヤロープで構成することが提案されている。
ワイヤロープの本来の使用は引張方向であり、集中するせん断方向への使用は十分な耐力を期待できないので、先行技術では地表部に円弧状の荷受け台を据え置き、その荷受け台の抵抗によりせん断荷重を引張方向へ変換させ、アンカー体に引抜荷重がかかるようにしている。
【0006】
しかし、この先行技術も枕状の荷受け台を面積の大きい盤に据え置いてアンカー体を荷受け台に沿って案内させるようにしているので、やはり部材数が多く、現場への搬入や取り扱い作業も煩雑となり、工事コストが高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−297782号公報
【0008】
【特許文献2】特開2006−214217号公報
【0009】
【特許文献3】特開2008−7969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、確実、安定した耐力を持ち、しかも作業性やコスト面で優れた非自立構造物用アンカーとそのアンカー工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、露岩法面に非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体を法面から岩層に直角状に穿孔した孔に挿入し、定着用凝固剤により前記アンカー体を孔内に定着することで設置されるアンカーにおいて、前記孔の開口部に相当する岩盤地表部分を前記孔内にかけて円弧状面に整形し、この孔から突出するように延在した前記アンカー体の上部を前記岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導いていることを特徴としている。
すなわち、岩盤地表部分において、アンカー体が挿入される孔の開口端をその周縁から孔内にかけてなだらかに曲面で構成するとともに、その曲面にワイヤロープを沿わせることで、本来、剪断力として作用する荷重を引抜き荷重に転換してワイヤロープに直接作用させる。
【0012】
また、上記目的を達成するため本発明のアンカー工法は、露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体としてワイヤロープを用い、法面にワイヤロープを挿入する孔を直角状に穿孔するとともに、孔が開口する岩盤地表部分をビットにより孔内にかけて円弧状面に整形旋削し、さらにこの孔内にワイヤロープを挿入すると共に定着用凝固剤を用いて前記ワイヤロープを定着し、前記ワイヤロープの上部を前記円弧状面に沿わせ、対象非自立構造物と連結することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るアンカー(請求項1)によれば、汎用性のあるワイヤロープをアンカー体として使用することにより、安価でかつ高耐力を実現できるが、それだけでなく、定着用の孔の開口部たる岩盤地表部分を孔内にかけて円弧状に形成され、これにアンカー体の上部が案内されるので、地表部の岩盤を有効利用してせん断方向ではない支圧強度作用と周面摩擦抵抗作用をアンカー体に発揮させることができ、安定した高い耐力が得られる。
【0014】
しかも、ワイヤロープをアンカー体として用いても、法面に案内するための枕的な特別な金具類を全く使用せず、アンカー体の定着孔そのものを利用してせん断力が作用しないようにアンカー体を引き出せるので、金具本体やそれを固定するための副部材の材料費、設置手間が省かれ、大きなコストダウンを図ることができる。
【0015】
請求項2によれば、簡単な構造で安定確実な耐力を発揮できるアンカーを、法面において簡単かつ精度よく施工することができるという効果が得られる。また、施工面に対して露わに設置される枕状部材や土圧板等を用いずともアンカー体を設置できるため、例えば、景観の美しい山肌や海岸線沿いの岩肌において、その景観や自然環境を損なうことなくアンカーを設置できる。つまり、落石や雪崩の防護構造物の設置がとりわけ要求される山間や海岸沿いの斜面において、本発明は特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の非自立構造物用アンカーを覆式ロックネット工に適用した状態を示しており、(a)は平面図、(b)は縦断側面図である。
【図2】本発明の非自立構造物用アンカーを吊式雪崩予防柵工に適用した状態を示しており、(a)(b)は縦断側面図である。
【図3】本発明のアンカーの第1態様を示す縦断側面図である。
【図4】本発明のアンカーの第2態様を示す縦断側面図である。
【図5】(a)は本発明のアンカーの第3態様を示す縦断側面図、(b)は(a)のA−A線からみた矢視図、(c)は(a)のB−B線からみた矢視図である。
【図6】本発明のアンカーの第4態様を示す縦断側面図である。
【図7】(a)(b)は本発明によるアンカー施工の一次穿孔工程を示す図である。
【図8】(a)〜(c)はアンカー施工において、孔の開口端に円弧状面を形成する二次穿孔工程を示す図である。
【図9】図8(c)の孔の開口端を示す要部拡大断面図である。
【図10】(a)〜(f)はアンカー施工の二次穿孔工程の別の態様を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は二次穿孔完了からアンカー設置までの工程を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
岩盤表面において孔の開口端周縁から孔内にかけて形成される円弧状面は、その断面に於いて100〜200mmの曲率半径となっている。
このように曲率半径を設定するとワイヤロープの極端な曲げによる強度低下が起こらず、ワイヤロープを円滑に引張方向で使用することができる。
【実施例1】
【0018】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の非自立構造物用アンカーを覆式ロックネット工の吊持ち用アンカーに適用した状態を示している。図2は本発明の非自立構造物用アンカーを吊式雪崩予防柵工の吊持ち用アンカーに適用した状態を示している。
図1において、5は落石等の虞れがある斜面を指しており、そうした斜面5の岩層からなっている部分に、左右方向に間隔をおいて非自立構造物吊持用アンカー1,1を設置している。また、それらアンカー1に縦ロープ11を連結して、これを地表に沿うように張設し、さらに縦ロープ11に上下等間隔で横ロープ12を連結する。また、縦ロープ11,11間に補強縦ロープ14を配して、格子状に枠組みを構成し、上面に金網13を張設している。
なお、最下端の横ロープ12の両端はアンカーで固定するが、それは本発明のアンカー1,1であってもよい。
【0019】
図2では、雪崩の虞れのある斜面6において、その岩層cからなっている部分に本発明による非自立構造物吊持用アンカー1を設置している。また、雪崩防護柵16の下端部と上端部に主索15を固定するとともに、その端末を前記アンカー1に連結して吊持している。
【0020】
図3から図6は本発明による非自立構造物用アンカー1の例を示しており、アンカー体2は、棒鋼ではなく、ワイヤロープを採用している。
すなわちアンカー体2は所要の長さのワイヤロープを1本から数本程度束ねたもので、こうしたアンカー体2を、法面(施工面)の岩盤に対して直角若しくはほぼ直角に穿設した孔3に挿入し、定着用凝固剤4を用いて孔3内に定着している。
また、本発明では、前記孔3の開口部に相当する岩盤地表部分が、その断面において円弧状面30に整形されており、非自立構造物に連結されるアンカー体2の上部20が前記円弧状面30に接触ないし近接するようにして地表に導かれている。
【0021】
アンカー体2には、たとえば3×7構造などからなる直径10〜20mm、1〜2mの長さのワイヤロープが用いられる。また、孔3の奥に差し込まれるワイヤロープの下端部21に抜け止め用の肥大部22を設け、孔3の開口から地表に突出するように延在したワイヤロープの端部(頭部)には非自立構造物そのもの、またはこれから延びる主索に連結される連結部23を設けている。そして、孔3の開口端よりもやや低い位置に位置調整用のスペーサ24を、少なくともひとつ取り付けている。
【0022】
図3から図6はアンカー体2のいくつかの態様を示しているが、本発明がそれらに限定されるものではないことは、もとよりである。
図3に示すアンカー体2は、1本のワイヤロープ2aを平行状に引き揃えてUターン状に折り返し、その先端21側に、スリーブ240を嵌めて半径方向から圧縮して留めるトヨロック加工を施して抜け止め用の肥大部22を形成する。また、Uターン状に折り返された折り返し部分23をリング状にアイ加工し、その直近にスリーブ230を嵌める。そして、半径方向からスリーブ230を圧縮して留めるトヨロック加工により連結部23を形成している。
前記アンカー体2には、アンカー体2を孔3の中心部に収めるためのスペーサ24を設けている。スペーサ24は、アンカー体2において円弧状面30に案内される曲がった区間25よりも若干低い位置に設けられ、孔3に対するアンカー体2の位置を矯正している。なお、孔の長さが1.5mを超える場合などにおいては、スペーサ24は複数用いられることが好ましい。
【0023】
図4は基本的に図3の態様と同じであるが、この例では、アンカー体2の引止め部、すなわち連結部23が、ねじ加工を施したシングルロック加工により構成されている。他は図3の態様と同様である。
図5の態様では、1本のロープ20の孔奥に位置すべき下端部と、孔の出口付近に、トヨロック加工によりそれぞれ肥大部22a,22bを形成する。一方、地上に導かれるロープ端部を折り返してアイ加工し、その直近にスリーブ230を嵌め、スリーブ230を半径方向から圧縮して留めるトヨロック加工により連結部23を形成している。また、前記下端部と孔の出口付近に設けられた2箇所の肥大部22a,22bは、ワイヤロープが孔3内に収められたときにワイヤロープをバランスよく孔中央に安置させるべく、図5(b)(c)のように相反する方向に短尺ロープ220を抱かせている。これによりワイヤロープの軸心がずれ、バランス良く孔3内に配置される。また、バランス良く配置されることで、アンカー体2にスムーズな引張り力を伝達することができる。
【0024】
図6は連結部23の別の態様を示しており、地上に延在させたワイヤロープの先端頭部を切断した状態のままとし、Uターンさせた端末部26を巻き付けグリップやワイヤグリップなどの手段231で留めることで連結部23を形成している。この態様は現場加工で連結部を形成するので簡易である。
なお、その他は図5の態様と同様であるから説明は省略する。アンカー体2は、通常、下端部、構造物連結側をロック加工とするがワイヤロープ1本で構成されている場合は連結側を端部未処理としてもよい。
【0025】
次に、本発明によるアンカー工法を説明する。
露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体2としてワイヤロープを用い、岩盤法面にワイヤロープを挿入する孔3を直角状に穿孔する。また、前記孔3が開口する岩盤地表部分をビットにより孔3内にかけて円弧状面30に旋削整形加工し、さらに孔3内にアンカー体2としてのワイヤロープを挿入する。また、このワイヤロープを定着用凝固剤4を用いて孔3内に定着する。そして、ワイヤロープの上部を前記円弧状面30に沿わせ、その先端の連結部23を対象非自立構造物と連結するものである。
【0026】
ここで、本発明の特徴をまとめると次のとおりである。
1.岩盤地表部分の円弧状面形成
1)岩盤地表部分に円弧状面を形成する方法として、施工機械、施工方法に着目し、アンカー体2と地表部とが接触する岩盤表面にビットを使用して、円弧状の開口端形状を有する孔を形成する。
なお、ここでいうビットとは、穿孔が進むにつれてその旋削径が二次関数のごとく増加する刃構造のビット、また、刃形状の異なるビットを複数種類用いて段階的に旋削径を増加させる構造のビットなどを例示できる。本明細書において「旋削」とは、広義において「研磨」をも含んでよい。
2)これにより一切枕型の金具を用いることなく、アンカー体を孔の内部から地表にかけて円弧を描いて設置することができる。また、ワイヤロープをアンカー体とし使用してもそれを安置する金具を使用しないため、金具本体や固定するための副部材の材料費、設置手間を省けることで大きなコストダウンが図れ、従来の岩部用アンカーよりも安価で提供でき、また、汎用性のあるワイヤロープをアンカー体として使用することにより、安価でかつ高耐力が実現できる。
3)地表部の岩盤に対してせん断方向ではない支圧強度と周面摩擦抵抗が得られることから、岩盤強度に対する依存度が少なく、安定した耐力を維持できる。
従来の岩部用アンカーは必ず他の接続用ロープが必要であるが、アンカー体がワイヤロープで構成されており、アンカー体と非自力構造物とを直接連結できるため、短尺化による用地の縮減が可能である。
4)アンカー体2は、安価なわりに破断荷重が高く、汎例性のある直径12mm程度のワイヤロープを使用しても十分な支圧強度が得られる。つまり、アンカー体と地表部との接触岩盤面を、図8に示すようなビット50で円弧状に整形し、アンカー体にせん断ではなく引張荷重をかけることにより、細くても引張荷重に強いワイヤロープの特性を十分に生かすことが出来るからである。
アンカー体の上部は地表部から若干突出するように延在させた状態にして、対象非自立構造物と連結する。定着材はセメント系もしくは樹脂系の固着剤を使用する。
【0027】
次に、本発明によるアンカー工法の工程を説明する。
図7は上記岩盤法面にワイヤロープを挿入するための孔3を形成する一次穿孔工程を示している。
図7(a)、図7(b)のように回転ロッド90aの先端に通常穿孔用のビット131を有する削岩機90を法面に対して直角状に配置し、岩層cに直線状の十分に深い一次穿孔3を形成する。
ついで、図8(a)のように所定の深さの孔3を穿孔したならば、図8(a)(b)に示すような円弧状面加工用のビット50を用いて、そのビット50を穿孔表面に位置させて回転させながら旋削することにより、図8(c)および図9のようにその開口端の断面が円弧状をなす孔3を形成する。
よって、このビットによって旋削された岩盤は、図9の要部拡大断面図に示すように、地表面から孔3内にかけて滑らかな円弧状の曲面を描くように整形される。
前記孔3の開口端において、その周縁から孔3内にかけて形成される円弧状断面の曲率半径は100mmから200mmが適当である。あまり小さい半径ではロープの曲げがきつくなり反力が生じるので好ましくない。
また、孔3の円弧状面加工としては、上記した円弧状面加工用のビット50を用いて行ってもよいが、場合によっては、複数のビットを用いて段階的に行ってもよい。
図10はその例を示す。所定深さの一次穿孔に続いて、図10(a)のように二次穿孔用の第1ビット60を用いて一次穿孔孔3の開口端を拡大しながら深さ120mm程度に達するまで穿孔して2次穿孔孔とする。ついで、前記2次穿孔孔を、回転ロッドの先端に取り付けた2次穿孔用第2ビット62を用いて前記2次穿孔孔の開口端の径を拡げる。なお、図中61は、2次穿孔工程において過穿孔を防止するとともに回転ロッド90aの芯ブレを防止するためのアタッチメントである。そして、2次穿孔用第3ビット63を用いて、さらに深さ150mm程度に達するまで穿孔し、図9に示すような断面円弧状の孔30に仕上げる。すなわち、孔の開口端をその周縁から孔内にかけて段階的に穿孔し、最終的に連続した曲面で構成されるように整形する。
【0028】
また、こうして所定の穿孔加工が終ったならば、開口部分に定着用凝固剤4としてのセメントミルクおよびモルタルを流し、アンカー体2を孔3内に定着させる。
図11はその一例を示している。削岩機90を撤去した後、図11(a)のように、孔3にセメントカプセル70を入れ、その後、図11(b)のようにアンカー体2を孔3に挿入する。続いて、図11(c)のように、アンカー体2の下端部を孔3の底に着座させ、孔3内に定着用凝固剤(モルタル)70aを流し込む。
なお、アンカー体2の挿入時には孔底または中間部に隙間ができないようにするとともに、密着性をよくするためにアンカー体2を上下動させながら孔3に定着用凝固剤4を流込むとよい。そして、定着用凝固剤4が孔3内で凝固し、アンカー体2が固定したことが確認されたならば、図11(d)のように、アンカー体2の上部前記円弧状面30に沿わせ、先端頭部の連結部23を対象非自立構造物と連結する。
【符号の説明】
【0029】
a 法面
c 岩層
1 アンカー
2 アンカー体
3 孔
4 定着用凝固剤
11 縦ロープ
12 横ロープ
30 円弧状面
【技術分野】
【0001】
本発明は雪崩や落石などのおそれがある法面等に設置される非自立構造物に好適なアンカーおよびアンカー工法に関する。
【背景技術】
【0002】
非自立構造物として、たとえば吊式雪崩予防柵や覆式ロックネット、ポケット式ロックネットなどがある。
吊式雪崩予防柵は、雪崩の恐れのある法面に柵体や三角錐状の枠体を設置し、これら柵体あるいは枠体を法面の上方部位に固定したアンカーから吊りロープによって吊持して設置される。
ポケット式ロックネットや覆式ロックネットは、落石の恐れのある法面にポケットを形成するように張ったロープを、法面の上方部位に固定したアンカーで吊持して設置される。また、法面に沿って浮石押さえロープを敷設し、そのロープの上部をアンカーで吊持して浮石の落下を防止する構造物なども知られている。
【0003】
上記非自立構造物のアンカーは、地盤が岩層の場合には、岩に直接掘削孔を形成し、この掘削孔に異形棒鋼やねじ加工した丸鋼からなるアンカーロッドを挿入するとともにモルタル、セメントあるいは樹脂等の凝固剤を流し込み、凝固剤を介して岩とアンカーロッドが一体化することで定着する岩用アンカーが用いられている。
【0004】
こうした岩用アンカーにおいては、荷重はアンカー体に対してせん断方向にかかるケースが多く、棒鋼状アンカー体はねじ部断面積にて耐力が決定することから価格の割には低耐力であり、かつ曲げに弱く水平耐力の低下を招く問題があった。
そこで先行技術(特許文献1,2)においては、地表部に表土がある箇所において、棒鋼状アンカー体に円弧状土圧板を装着し、その土圧板が荷重方向に抵抗することによりアンカー体に引抜荷重をかけて変位を制御することが提案されている。
しかし、これら先行技術は特殊な円弧状土圧板をアンカー体と組合せ使用するので、部材数が多く、また、現場への搬入や取り扱い作業も煩雑となり、工事コストが高くなるという問題があった。
【0005】
先行技術(特許文献3)においては、地表部に表土がある箇所において、アンカー体をワイヤロープで構成することが提案されている。
ワイヤロープの本来の使用は引張方向であり、集中するせん断方向への使用は十分な耐力を期待できないので、先行技術では地表部に円弧状の荷受け台を据え置き、その荷受け台の抵抗によりせん断荷重を引張方向へ変換させ、アンカー体に引抜荷重がかかるようにしている。
【0006】
しかし、この先行技術も枕状の荷受け台を面積の大きい盤に据え置いてアンカー体を荷受け台に沿って案内させるようにしているので、やはり部材数が多く、現場への搬入や取り扱い作業も煩雑となり、工事コストが高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−297782号公報
【0008】
【特許文献2】特開2006−214217号公報
【0009】
【特許文献3】特開2008−7969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、確実、安定した耐力を持ち、しかも作業性やコスト面で優れた非自立構造物用アンカーとそのアンカー工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明は、露岩法面に非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体を法面から岩層に直角状に穿孔した孔に挿入し、定着用凝固剤により前記アンカー体を孔内に定着することで設置されるアンカーにおいて、前記孔の開口部に相当する岩盤地表部分を前記孔内にかけて円弧状面に整形し、この孔から突出するように延在した前記アンカー体の上部を前記岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導いていることを特徴としている。
すなわち、岩盤地表部分において、アンカー体が挿入される孔の開口端をその周縁から孔内にかけてなだらかに曲面で構成するとともに、その曲面にワイヤロープを沿わせることで、本来、剪断力として作用する荷重を引抜き荷重に転換してワイヤロープに直接作用させる。
【0012】
また、上記目的を達成するため本発明のアンカー工法は、露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体としてワイヤロープを用い、法面にワイヤロープを挿入する孔を直角状に穿孔するとともに、孔が開口する岩盤地表部分をビットにより孔内にかけて円弧状面に整形旋削し、さらにこの孔内にワイヤロープを挿入すると共に定着用凝固剤を用いて前記ワイヤロープを定着し、前記ワイヤロープの上部を前記円弧状面に沿わせ、対象非自立構造物と連結することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るアンカー(請求項1)によれば、汎用性のあるワイヤロープをアンカー体として使用することにより、安価でかつ高耐力を実現できるが、それだけでなく、定着用の孔の開口部たる岩盤地表部分を孔内にかけて円弧状に形成され、これにアンカー体の上部が案内されるので、地表部の岩盤を有効利用してせん断方向ではない支圧強度作用と周面摩擦抵抗作用をアンカー体に発揮させることができ、安定した高い耐力が得られる。
【0014】
しかも、ワイヤロープをアンカー体として用いても、法面に案内するための枕的な特別な金具類を全く使用せず、アンカー体の定着孔そのものを利用してせん断力が作用しないようにアンカー体を引き出せるので、金具本体やそれを固定するための副部材の材料費、設置手間が省かれ、大きなコストダウンを図ることができる。
【0015】
請求項2によれば、簡単な構造で安定確実な耐力を発揮できるアンカーを、法面において簡単かつ精度よく施工することができるという効果が得られる。また、施工面に対して露わに設置される枕状部材や土圧板等を用いずともアンカー体を設置できるため、例えば、景観の美しい山肌や海岸線沿いの岩肌において、その景観や自然環境を損なうことなくアンカーを設置できる。つまり、落石や雪崩の防護構造物の設置がとりわけ要求される山間や海岸沿いの斜面において、本発明は特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の非自立構造物用アンカーを覆式ロックネット工に適用した状態を示しており、(a)は平面図、(b)は縦断側面図である。
【図2】本発明の非自立構造物用アンカーを吊式雪崩予防柵工に適用した状態を示しており、(a)(b)は縦断側面図である。
【図3】本発明のアンカーの第1態様を示す縦断側面図である。
【図4】本発明のアンカーの第2態様を示す縦断側面図である。
【図5】(a)は本発明のアンカーの第3態様を示す縦断側面図、(b)は(a)のA−A線からみた矢視図、(c)は(a)のB−B線からみた矢視図である。
【図6】本発明のアンカーの第4態様を示す縦断側面図である。
【図7】(a)(b)は本発明によるアンカー施工の一次穿孔工程を示す図である。
【図8】(a)〜(c)はアンカー施工において、孔の開口端に円弧状面を形成する二次穿孔工程を示す図である。
【図9】図8(c)の孔の開口端を示す要部拡大断面図である。
【図10】(a)〜(f)はアンカー施工の二次穿孔工程の別の態様を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は二次穿孔完了からアンカー設置までの工程を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
岩盤表面において孔の開口端周縁から孔内にかけて形成される円弧状面は、その断面に於いて100〜200mmの曲率半径となっている。
このように曲率半径を設定するとワイヤロープの極端な曲げによる強度低下が起こらず、ワイヤロープを円滑に引張方向で使用することができる。
【実施例1】
【0018】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の非自立構造物用アンカーを覆式ロックネット工の吊持ち用アンカーに適用した状態を示している。図2は本発明の非自立構造物用アンカーを吊式雪崩予防柵工の吊持ち用アンカーに適用した状態を示している。
図1において、5は落石等の虞れがある斜面を指しており、そうした斜面5の岩層からなっている部分に、左右方向に間隔をおいて非自立構造物吊持用アンカー1,1を設置している。また、それらアンカー1に縦ロープ11を連結して、これを地表に沿うように張設し、さらに縦ロープ11に上下等間隔で横ロープ12を連結する。また、縦ロープ11,11間に補強縦ロープ14を配して、格子状に枠組みを構成し、上面に金網13を張設している。
なお、最下端の横ロープ12の両端はアンカーで固定するが、それは本発明のアンカー1,1であってもよい。
【0019】
図2では、雪崩の虞れのある斜面6において、その岩層cからなっている部分に本発明による非自立構造物吊持用アンカー1を設置している。また、雪崩防護柵16の下端部と上端部に主索15を固定するとともに、その端末を前記アンカー1に連結して吊持している。
【0020】
図3から図6は本発明による非自立構造物用アンカー1の例を示しており、アンカー体2は、棒鋼ではなく、ワイヤロープを採用している。
すなわちアンカー体2は所要の長さのワイヤロープを1本から数本程度束ねたもので、こうしたアンカー体2を、法面(施工面)の岩盤に対して直角若しくはほぼ直角に穿設した孔3に挿入し、定着用凝固剤4を用いて孔3内に定着している。
また、本発明では、前記孔3の開口部に相当する岩盤地表部分が、その断面において円弧状面30に整形されており、非自立構造物に連結されるアンカー体2の上部20が前記円弧状面30に接触ないし近接するようにして地表に導かれている。
【0021】
アンカー体2には、たとえば3×7構造などからなる直径10〜20mm、1〜2mの長さのワイヤロープが用いられる。また、孔3の奥に差し込まれるワイヤロープの下端部21に抜け止め用の肥大部22を設け、孔3の開口から地表に突出するように延在したワイヤロープの端部(頭部)には非自立構造物そのもの、またはこれから延びる主索に連結される連結部23を設けている。そして、孔3の開口端よりもやや低い位置に位置調整用のスペーサ24を、少なくともひとつ取り付けている。
【0022】
図3から図6はアンカー体2のいくつかの態様を示しているが、本発明がそれらに限定されるものではないことは、もとよりである。
図3に示すアンカー体2は、1本のワイヤロープ2aを平行状に引き揃えてUターン状に折り返し、その先端21側に、スリーブ240を嵌めて半径方向から圧縮して留めるトヨロック加工を施して抜け止め用の肥大部22を形成する。また、Uターン状に折り返された折り返し部分23をリング状にアイ加工し、その直近にスリーブ230を嵌める。そして、半径方向からスリーブ230を圧縮して留めるトヨロック加工により連結部23を形成している。
前記アンカー体2には、アンカー体2を孔3の中心部に収めるためのスペーサ24を設けている。スペーサ24は、アンカー体2において円弧状面30に案内される曲がった区間25よりも若干低い位置に設けられ、孔3に対するアンカー体2の位置を矯正している。なお、孔の長さが1.5mを超える場合などにおいては、スペーサ24は複数用いられることが好ましい。
【0023】
図4は基本的に図3の態様と同じであるが、この例では、アンカー体2の引止め部、すなわち連結部23が、ねじ加工を施したシングルロック加工により構成されている。他は図3の態様と同様である。
図5の態様では、1本のロープ20の孔奥に位置すべき下端部と、孔の出口付近に、トヨロック加工によりそれぞれ肥大部22a,22bを形成する。一方、地上に導かれるロープ端部を折り返してアイ加工し、その直近にスリーブ230を嵌め、スリーブ230を半径方向から圧縮して留めるトヨロック加工により連結部23を形成している。また、前記下端部と孔の出口付近に設けられた2箇所の肥大部22a,22bは、ワイヤロープが孔3内に収められたときにワイヤロープをバランスよく孔中央に安置させるべく、図5(b)(c)のように相反する方向に短尺ロープ220を抱かせている。これによりワイヤロープの軸心がずれ、バランス良く孔3内に配置される。また、バランス良く配置されることで、アンカー体2にスムーズな引張り力を伝達することができる。
【0024】
図6は連結部23の別の態様を示しており、地上に延在させたワイヤロープの先端頭部を切断した状態のままとし、Uターンさせた端末部26を巻き付けグリップやワイヤグリップなどの手段231で留めることで連結部23を形成している。この態様は現場加工で連結部を形成するので簡易である。
なお、その他は図5の態様と同様であるから説明は省略する。アンカー体2は、通常、下端部、構造物連結側をロック加工とするがワイヤロープ1本で構成されている場合は連結側を端部未処理としてもよい。
【0025】
次に、本発明によるアンカー工法を説明する。
露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体2としてワイヤロープを用い、岩盤法面にワイヤロープを挿入する孔3を直角状に穿孔する。また、前記孔3が開口する岩盤地表部分をビットにより孔3内にかけて円弧状面30に旋削整形加工し、さらに孔3内にアンカー体2としてのワイヤロープを挿入する。また、このワイヤロープを定着用凝固剤4を用いて孔3内に定着する。そして、ワイヤロープの上部を前記円弧状面30に沿わせ、その先端の連結部23を対象非自立構造物と連結するものである。
【0026】
ここで、本発明の特徴をまとめると次のとおりである。
1.岩盤地表部分の円弧状面形成
1)岩盤地表部分に円弧状面を形成する方法として、施工機械、施工方法に着目し、アンカー体2と地表部とが接触する岩盤表面にビットを使用して、円弧状の開口端形状を有する孔を形成する。
なお、ここでいうビットとは、穿孔が進むにつれてその旋削径が二次関数のごとく増加する刃構造のビット、また、刃形状の異なるビットを複数種類用いて段階的に旋削径を増加させる構造のビットなどを例示できる。本明細書において「旋削」とは、広義において「研磨」をも含んでよい。
2)これにより一切枕型の金具を用いることなく、アンカー体を孔の内部から地表にかけて円弧を描いて設置することができる。また、ワイヤロープをアンカー体とし使用してもそれを安置する金具を使用しないため、金具本体や固定するための副部材の材料費、設置手間を省けることで大きなコストダウンが図れ、従来の岩部用アンカーよりも安価で提供でき、また、汎用性のあるワイヤロープをアンカー体として使用することにより、安価でかつ高耐力が実現できる。
3)地表部の岩盤に対してせん断方向ではない支圧強度と周面摩擦抵抗が得られることから、岩盤強度に対する依存度が少なく、安定した耐力を維持できる。
従来の岩部用アンカーは必ず他の接続用ロープが必要であるが、アンカー体がワイヤロープで構成されており、アンカー体と非自力構造物とを直接連結できるため、短尺化による用地の縮減が可能である。
4)アンカー体2は、安価なわりに破断荷重が高く、汎例性のある直径12mm程度のワイヤロープを使用しても十分な支圧強度が得られる。つまり、アンカー体と地表部との接触岩盤面を、図8に示すようなビット50で円弧状に整形し、アンカー体にせん断ではなく引張荷重をかけることにより、細くても引張荷重に強いワイヤロープの特性を十分に生かすことが出来るからである。
アンカー体の上部は地表部から若干突出するように延在させた状態にして、対象非自立構造物と連結する。定着材はセメント系もしくは樹脂系の固着剤を使用する。
【0027】
次に、本発明によるアンカー工法の工程を説明する。
図7は上記岩盤法面にワイヤロープを挿入するための孔3を形成する一次穿孔工程を示している。
図7(a)、図7(b)のように回転ロッド90aの先端に通常穿孔用のビット131を有する削岩機90を法面に対して直角状に配置し、岩層cに直線状の十分に深い一次穿孔3を形成する。
ついで、図8(a)のように所定の深さの孔3を穿孔したならば、図8(a)(b)に示すような円弧状面加工用のビット50を用いて、そのビット50を穿孔表面に位置させて回転させながら旋削することにより、図8(c)および図9のようにその開口端の断面が円弧状をなす孔3を形成する。
よって、このビットによって旋削された岩盤は、図9の要部拡大断面図に示すように、地表面から孔3内にかけて滑らかな円弧状の曲面を描くように整形される。
前記孔3の開口端において、その周縁から孔3内にかけて形成される円弧状断面の曲率半径は100mmから200mmが適当である。あまり小さい半径ではロープの曲げがきつくなり反力が生じるので好ましくない。
また、孔3の円弧状面加工としては、上記した円弧状面加工用のビット50を用いて行ってもよいが、場合によっては、複数のビットを用いて段階的に行ってもよい。
図10はその例を示す。所定深さの一次穿孔に続いて、図10(a)のように二次穿孔用の第1ビット60を用いて一次穿孔孔3の開口端を拡大しながら深さ120mm程度に達するまで穿孔して2次穿孔孔とする。ついで、前記2次穿孔孔を、回転ロッドの先端に取り付けた2次穿孔用第2ビット62を用いて前記2次穿孔孔の開口端の径を拡げる。なお、図中61は、2次穿孔工程において過穿孔を防止するとともに回転ロッド90aの芯ブレを防止するためのアタッチメントである。そして、2次穿孔用第3ビット63を用いて、さらに深さ150mm程度に達するまで穿孔し、図9に示すような断面円弧状の孔30に仕上げる。すなわち、孔の開口端をその周縁から孔内にかけて段階的に穿孔し、最終的に連続した曲面で構成されるように整形する。
【0028】
また、こうして所定の穿孔加工が終ったならば、開口部分に定着用凝固剤4としてのセメントミルクおよびモルタルを流し、アンカー体2を孔3内に定着させる。
図11はその一例を示している。削岩機90を撤去した後、図11(a)のように、孔3にセメントカプセル70を入れ、その後、図11(b)のようにアンカー体2を孔3に挿入する。続いて、図11(c)のように、アンカー体2の下端部を孔3の底に着座させ、孔3内に定着用凝固剤(モルタル)70aを流し込む。
なお、アンカー体2の挿入時には孔底または中間部に隙間ができないようにするとともに、密着性をよくするためにアンカー体2を上下動させながら孔3に定着用凝固剤4を流込むとよい。そして、定着用凝固剤4が孔3内で凝固し、アンカー体2が固定したことが確認されたならば、図11(d)のように、アンカー体2の上部前記円弧状面30に沿わせ、先端頭部の連結部23を対象非自立構造物と連結する。
【符号の説明】
【0029】
a 法面
c 岩層
1 アンカー
2 アンカー体
3 孔
4 定着用凝固剤
11 縦ロープ
12 横ロープ
30 円弧状面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露岩法面に非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体を法面から岩層に直角状に穿孔した孔に挿入し、定着用凝固剤により前記アンカー体を孔内に定着することで設置されるアンカーにおいて、前記孔の開口部に相当する岩盤地表部分を前記孔内にかけて円弧状面に整形し、この孔から突出するように延在した前記アンカー体の上部を前記岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導いていることを特徴としているアンカー。
【請求項2】
露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体としてワイヤロープを用い、法面にワイヤロープを挿入する孔を直角状に穿孔するとともに、孔が開口する岩盤地表部分をビットにより孔内にかけて円弧状面に整形旋削し、さらにこの孔内にワイヤロープを挿入すると共に定着用凝固剤を用いて前記ワイヤロープを定着し、前記ワイヤロープの上部を前記円弧状面に沿わせ、対象非自立構造物と連結することを特徴としているアンカー工法。
【請求項1】
露岩法面に非自立構造物をロープで支持すべくワイヤロープからなるアンカー体を法面から岩層に直角状に穿孔した孔に挿入し、定着用凝固剤により前記アンカー体を孔内に定着することで設置されるアンカーにおいて、前記孔の開口部に相当する岩盤地表部分を前記孔内にかけて円弧状面に整形し、この孔から突出するように延在した前記アンカー体の上部を前記岩盤地表部分の円弧状面に沿うように導いていることを特徴としているアンカー。
【請求項2】
露岩法面に非自立構造物の支持ロープに対するアンカーを得るにあたり、アンカー体としてワイヤロープを用い、法面にワイヤロープを挿入する孔を直角状に穿孔するとともに、孔が開口する岩盤地表部分をビットにより孔内にかけて円弧状面に整形旋削し、さらにこの孔内にワイヤロープを挿入すると共に定着用凝固剤を用いて前記ワイヤロープを定着し、前記ワイヤロープの上部を前記円弧状面に沿わせ、対象非自立構造物と連結することを特徴としているアンカー工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−2222(P2013−2222A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136919(P2011−136919)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【Fターム(参考)】
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