説明

非金属材料の誘導加熱方法

【目的】本発明は、セラミックや木材等の非金属材料を熱加工処理する際に用いられる非金属材料の誘導加熱方法において、大掛りで複雑な加熱装置を要することなく、簡便に非金属材料を誘導加熱処理することを目的とする。
【構成】非金属材料からなる被加熱体としてのセラミック管11の周囲を、耐熱性非金属の布12により被うと共に、この布12とセラミック管11の表面との間の空間を、透磁率の高い金属粉13にて充填し、この金属粉13を、高周波電力が供給される誘導加熱用コイル14を巻回して誘導加熱するので、被加熱体としてのセラミック管11も加熱処理されようになり、非金属材料、例えば木材等をも大掛りな加熱装置なくして簡便に加熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックや木材等の非金属材料を熱加工処理する際に用いられる非金属材料の誘導加熱方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セラミックや木材等の非金属材料は、誘導加熱を行なうことができないため、これら非金属材料の熱加工処理は、電気炉等の加熱炉内で行なっている。また、加熱容器等を使用して熱加工処理を行なう場合もあり、これら加熱容器等は、その外側を電熱あるいは加熱ガス等により加熱している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、従来、上記のような非金属材料は加熱炉内あるいは加熱容器内で加熱処理できるものの、その加熱装置は複雑な構成を要する問題がある。
【0004】また、特に、工場外の施工現地等において非金属材料の加熱要求がある場合には、その加熱設備が整わず、容易に加熱処理を施すことができない問題があった。
【0005】本発明は上記課題に鑑みなされたもので、大掛りで複雑な加熱装置を要することなく、簡便に非金属材料を誘導加熱処理することが可能になる非金属材料の誘導加熱方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係わる非金属材料の誘導加熱方法は、セラミック等の非金属材料からなる被加熱体の周囲を、透磁率の高い金属の粉末にて充填し、この金属粉末を誘導加熱するものである。
【0007】
【作用】つまり、上記被加熱体周囲の金属粉末を誘導加熱することで、被加熱体としての非金属材料も加熱処理されると同時に、被加熱体の形状に容易に合わせた誘導加熱部を構成でき、非金属材料を簡便に加熱することができる。
【0008】
【実施例】以下図面により本発明の一実施例について説明する。
【0009】図1は非金属材料の誘導加熱状態を示すもので、被加熱体としてのセラミック等からなる管11の周囲には、所定の空間をおいて耐熱性のある非金属の布12が同軸状に配置され、この耐熱性非金属の布12は、その両端において上記管11の外周面に密着される。
【0010】つまり、上記耐熱性非金属の布12の内周面と被加熱体としてのセラミック管11の外周面との間には、密閉された筒状の空間が形成されるもので、これにより得られる筒状の空間内には、透磁率の高い金属粉(例えば鉄粉)13が充填される。
【0011】ここで、上記金属粉13を充填するための筒状空間の形成手段としては、上記耐熱性非金属の布12以外に、該布12が袋状になったもの、あるいは耐熱性非金属の筒でもよい。
【0012】そして、上記金属粉13の充填された耐熱性非金属の布12の外周面には、誘導加熱用コイル14が巻回され、この誘導加熱用コイル14には、図示しない誘導電源が接続される。
【0013】図2は上記非金属材料の誘導加熱状態におけるA−A線断面構成を示すもので、すなわち、上記構成の誘導加熱部において、最も外側に巻回された誘導加熱用コイル14に高周波の電力を供給すると、該誘導加熱用コイル14の内側にセラミック管11との間に充填された金属粉13に誘導電流が生じジュール熱が発生される。これにより、上記被加熱体としてのセラミック管11が誘導加熱されるようになる。
【0014】図3は非金属材料の誘導加熱状態の第2実施例を示すもので、被加熱体としてのセラミック等からなる管11の周囲には、キャスタ等に金属粉(例えば鉄粉)を混合した金属粉入りコンパウンド15が適当な厚みで塗布され、この金属粉入りコンパウンド15の外周面には、誘導加熱用コイル14が巻回される。そして、この誘導加熱用コイル14には、図示しない誘導電源が接続される。
【0015】すなわち、上記図3における構成の誘導加熱部において、最も外側に巻回された誘導加熱用コイル14に高周波の電力を供給すると、該誘導加熱用コイル14の内側にセラミック管11との間に塗布された金属粉入りコンパウンド15に誘導電流が生じジュール熱が発生される。これにより、上記被加熱体としてのセラミック管11が誘導加熱されるようになる。
【0016】この場合、前記図1における第1実施例に示した非金属材料の誘導加熱状態に較べ、金属粉13を充填するための耐熱性非金属の袋状あるいは筒状の布12等を要しないので、その誘導加熱部の構成はさらに簡単になる。
【0017】図4は形状が複雑な被加熱体に対する非金属材料の誘導加熱状態を示すもので、例えば被加熱体としてのセラミック管11の外周壁面に複雑な凹凸部11a,11bが一体形成されている場合でも、金属粉13、特に、金属粉入りコンパウンド15を用いれば、それに含まれる鉄粉15aは上記凹凸部11a,11bの細部にまで充分に充填されるようになり、確実な誘導加熱処理が施せるようになる。
【0018】したがって、上記のようにした非金属材料の誘導加熱方法によれば、非金属材料からなる被加熱体としてのセラミック管11の周囲を、耐熱性非金属の布12により被うと共に、この布12とセラミック管11の表面との間の空間を、透磁率の高い金属粉13にて充填し、この金属粉13を、高周波電力が供給される誘導加熱用コイル14を巻回して誘導加熱するので、被加熱体としてのセラミック管11も加熱処理されようになり、非金属材料、例えば木材等をも大掛りな加熱装置なくして簡便に加熱することができる。
【0019】この場合、上記誘導加熱体として、金属粉13や金属粉入りコンパウンド15を用いているので、該誘導加熱体を被加熱体の形状に忠実に従わせることができ、被加熱体に対する加熱処理の均一化が図れるようになる。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、非金属材料からなる被加熱体の周囲に密接して金属粉を充填し、この金属粉を電磁誘導体として誘導加熱し、その内側の被加熱体を加熱処理するので、大掛りで複雑な加熱装置を要することなく、簡便に非金属材料を誘導加熱処理することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係わる非金属材料の誘導加熱状態を示す図。
【図2】上記非金属材料の誘導加熱状態におけるA−A線断面構成を示す図。
【図3】上記非金属材料の誘導加熱状態の第2実施例を示す図。
【図4】形状が複雑な被加熱体に対する非金属材料の誘導加熱状態を示す図。
【符号の説明】
11…セラミック管、11a,11b…凹凸部、12…耐熱性非金属の布(袋状,筒状)、13…金属粉、14…誘導加熱用コイル、15…金属粉入りコンパウンド、15a…鉄粉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 非金属材料からなる被加熱体の周囲に密接して金属粉を充填し、この金属粉を電磁誘導体として誘導加熱し、その内側の被加熱体を加熱処理することを特徴とする非金属材料の誘導加熱方法。
【請求項2】 非金属材料からなる被加熱体の周囲に密接して金属粉を混合した金属粉入りコンパウンドを塗布し、この金属粉入りコンパウンドを電磁誘導体として誘導加熱し、その内側の被加熱体を加熱処理することを特徴とする非金属材料の誘導加熱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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