説明

面光源装置

【課題】簡単な構成でありながら光源の利用効率に優れた面光源装置を提供すること。
【解決手段】点光源11が縦方向および横方向にマトリクス状に多数配置されて構成される点光源群TKと、レンチキラーレンズLZが多数並べて配置された第1のレンチキラーシート12と、レンチキラーレンズLZが第1のレンチキラーシート12に対して直交する方向に延びるように配置され重ね合わされた第2のレンチキラーシート13と、を有し、点光源群TKに対し、第1および第2のレンチキラーシート12,13が所定の距離L1だけ離して配置され、かつ、それぞれのレンチキラーレンズLZが縦方向または横方向に沿うように配置され、それぞれの点光源11からの光が第1のレンチキラーシート12および第2のレンチキラーシート13によって縦方向および横方向に拡大されて矩形状となっており、点光源群TKによる矩形状の光KGが全体として面状となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の点光源を用いて面光源を実現した面光源装置に関する。本発明は、例えば液晶表示パネルのバックライト用光源として用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示パネルのバックライト用光源として、冷陰極管が多く用いられている。また、冷陰極管に代えて、発光ダイオード(LED)もしばしば用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、光源、偏光制御パネル、レンチキラーレンズ、および位相差板を組み合わせた面光源装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、点光源である発光源が2次元方向に多数配列された光源部と、1種類又は複数種類の略楕円筒の一部である単位レンズを出射側に多数並べて配置したレンチキュラーレンズシートとを備えた面光源装置が提案されている。
【特許文献1】特開2007−164116
【特許文献2】特開2007−12517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来において、光源の利用効率は必ずしも優れたものではなかった。
【0006】
例えば、特許文献1においては、光源からの光が偏光制御パネルおよび位相差板を通過するので、これによって光の減衰が起こる可能性がある。また、光源として面光源を用いる必要がある。
【0007】
特許文献2においては、レンチキラーレンズを用いているものの、光源からの光が必ずしも効果的に用いられているとは言い切れない。また、光源として、赤、青、緑の各色の発光ダイオードを用いるため、白色の面光源装置とするためにはその配置および輝度などの調整が容易ではないという問題もある。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成でありながら光源の利用効率に優れた面光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る面光源装置は、点光源が縦方向および横方向にマトリクス状に多数配置されて構成される点光源群と、レンチキラーレンズが多数並べて配置された第1のレンチキラーシートと、レンチキラーレンズが前記第1のレンチキラーシートに対して直交する方向に延びるように多数並べて配置されかつ前記第1のレンチキラーシートに重ね合わされた第2のレンチキラーシートと、を有し、前記点光源群に対し、前記第1のレンチキラーシートおよび第2のレンチキラーシートが所定の距離だけ離して配置され、かつ、それぞれのレンチキラーレンズが前記縦方向または前記横方向に沿うように配置され、これによって、それぞれの前記点光源からの光が前記第1のレンチキラーシートおよび前記第2のレンチキラーシートによって縦方向および横方向に拡大されて矩形状となっており、しかも前記点光源群による矩形状の光が全体として面状となっている。
【0010】
好ましくは、前記第1のレンチキラーシートおよび前記第2のレンチキラーシートは、1つのレンチキラーシートに一体に形成される。
【0011】
また、好ましくは、前記第1のレンチキラーシートまたは前記第2のレンチキラーシートの外側の表面に、乳白色の半透明のフィルムシートが配置される。
【0012】
好ましくは、前記点光源は、白色の発光ダイオードである。また、電球でもよい。つまり、点光源は厳密な意味での点光源である必要はなく、所定の面積を持っている現実的な光源でよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、簡単な構成でありながら光源の利用効率に優れた面光源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る面光源装置1を分解して示す斜視図、図2はレンチキラーシートの構成の例を示す側面図、図3は矩形状の光が配置される様子を示す図、図4は矩形状の光が全体として面状となった様子を示す図、図5は光源の光がレンチキラーシートによって拡大される様子を示す図、図6は点光源の光がレンチキラーシートによって拡大されて線状になる様子を示す図、図7はレンチキラーレンズの光学特性を説明する図である。
【0015】
図1において、面光源装置1は、多数の点光源11,11,11…からなる点光源群TK、レンチキラーシート(第1のレンチキラーシート)12、およびレンチキラーシート(第2のレンチキラーシート)13を有して構成される。
【0016】
点光源11として、白色の発光ダイオードまたは電球などが用いられる。しかし、特定の色光源としたい場合には、その色の発光ダイオードまたは電球などを用いればよい。これら点光源11は、基板21の表面に、縦方向および横方向にマトリクス状に多数配置されている。マトリクス状に配置された多数の点光源11の集合が点光源群TKである。
【0017】
レンチキラーシート12,13は、いずれも、ピッチなどが同じサイズのレンチキラーレンズLZが多数並べて配置されることによって構成される。レンチキラーシート12,13は、透明な合成樹脂またはガラスを材料として製作される。
【0018】
図7に示すように、レンチキラーシート12,13のレンチキラーレンズLZは、それぞれ焦点f0を有し、焦点f0を通過する光はレンチキラーレンズLZの表面を屈折することなくそのまま真っ直ぐに通過する。レンチキラーシート12は、通常、その裏面RGに、各レンチキラーレンズLZの幅に対応して複数の圧縮画像を配置することにより、表面側における視点位置に応じて見える圧縮画像が異なるものである。つまり、裏面RGのある一点から出た光は、レンチキラーシート12の中を通った後、1つのレンチキラーレンズLZからはほぼ平行な光となって射出する。
【0019】
これらレンチキラーシート12,13それ自体の構造および製作方法は、公知のものを用いることが可能である。
【0020】
これらレンチキラーシート12,13は、それぞれに形成されたレンチキラーレンズLZが互いに直交する方向に延びるように配置され、かつ、これらレンチキラーシート12,13の表面が互いに接するように重ね合わせて配置される。
【0021】
そして、これらレンチキラーシート12,13は、点光源群TKに対し、所定の距離L1だけ離して配置され、かつ、それぞれのレンチキラーレンズLZが縦方向または横方向に沿うように、つまり点光源群TKにおける点光源11の配置の方向とそれぞれ一致するように配置される。これによって、それぞれの点光源11からの光がレンチキラーシート12,13によって縦方向および横方向に拡大されて矩形状となり、しかも点光源群TKによる矩形状の光が全体として面状となる。
【0022】
すなわち、図5に示すように、レンチキラーシート12が点光源11から距離L1だけ離れて配置されている状態で、点光源11からの光は、レンチキラーシート12の裏面から入射して表面から出射するが、ユーザの視点STから見ると、レンチキラーシート12におけるレンチキラーレンズLZの幅方向に沿った方向のある範囲L2に入射した光が線状に拡大されて見える。つまり、1つのレンチキラーシート12によって、点光源11の光は一次元方向に拡大される。
【0023】
したがって、図6に示すように、点光源11からの点状の光KG0は、第1のレンチキラーシート12によって一次元方向に拡大されて線状の光KG1となり、これが第2のレンチキラーシート13によってさらに他の一次元方向に拡大されて面状の光KG2となる。結局、2つのレンチキラーシート12,13によって2次元方向に拡大され、点光源11は矩形状の光KG2に拡大される。
【0024】
図3に示すように、隣合う点光源11によって、それぞれ矩形状の光KG2が形成されるが、これら隣合う矩形状の光KG2は、互いに接するか、または若干の間隙を有し、または若干の重なりを有する。このようにして、点光源群TKからの光は、レンチキラーシート12,13により、図4に示すように全体として面状の光となる。
【0025】
ところで、図1に示す面光源装置1では、2つのレンチキラーシート12,13は、それぞれのレンチキラーレンズLZが上面となるように配置される。つまり、図2(A)に示すように、第1のレンチキラーシート12のレンチキラーレンズLZが、第2のレンチキラーシート13の裏面(下面)に接する。
【0026】
しかし、2つのレンチキラーシート12,13の表裏の配置はこれ以外であってもよい。例えば、図2(B)に示すように、第1のレンチキラーシート12のレンチキラーレンズLZが下面となり、レンチキラーレンズLZが形成されていない面同士が接するようにしてもよい。また、レンチキラーレンズLZが形成されている面同士が接するように配置してもよい。
【0027】
また、図には示していないが、2つのレンチキラーシート12,13のそれぞれのレンチキラーレンズLZが下面となるように配置してもよい。
【0028】
図2(A)(B)に示した例では、2つのレンチキラーシート12,13を別体で製作し、それらを重ね合わせ、透明な粘着剤または接着剤などを用いて固定したが、2つのレンチキラーシート12,13を当初から一体となるように製作してもよい。
【0029】
つまり、図2(C)に示すように、透明なシート状体の表裏に、それぞれレンチキラーレンズLZが互いに直交方向に延びるように形成することによって、2つのレンチキラーシート12,13を1つのレンチキラーシートとして一体に形成する。
【0030】
また、2つのレンチキラーシート12,13を別体とした場合であっても、枠材などで機械的に固定する場合には接着剤などで固定しなくてもよい。
【0031】
また、図2(D)に示すように、レンチキラーシート12,13の外側の表面に、合成樹脂からなる乳白色の半透明のフィルムシート14を配置してもよい。フィルムシート14を配置することにより、光源の輝度むらがより一層一様化される。なお、この場合に、フィルムシート14を配置する側は、2つのレンチキラーシート12,13で構成されるレンチキラーシートの外側の2つの表面のうち点光源11から遠い側であってもよくまた近い側であってもよい。
【0032】
なお、レンチキラーシート12と点光源11との距離L1は、レンチキラーレンズLZのサイズおよびピッチ、および点光源11のピッチP1などに応じて、図4または図3に示す面状の光KG2が得られるように決定される。
【0033】
上に述べた本実施形態の面光源装置1によると、点光源11からの光を拡大するために2つのレンチキラーシート12,13を用いているだけであり、これらレンチキラーシート12,13の光透過率は高く、吸収されまたは反射される光は極めて僅かであるから、点光源11の光の利用効率が極めて高い。また、2つのレンチキラーシート12,13と点光源11とを一定の関係となるように配置するだけであるから、構成が簡単である。
【0034】
上に述べた実施形態において、面光源装置1を実際に用いる際には、基板21に配置された点光源群TK、および2つのレンチキラーシート12,13を、適当なケ−スに収納して一体化すればよい。
【0035】
上に述べた実施形態においては、レンチキラーシート12,13の各レンチキラーレンズLZはピッチなどが互いに同じであるが、レンチキラーシート12のレンチキラーレンズLZとレンチキラーシート13のレンチキラーレンズLZとが異なるサイズ(ピッチなど)のものを用いてもよい。これにより、面状の光KG2の形状を、正方形または長方形とすることが可能であり、また、点光源11の縦横の配置ピッチが異なる場合や、点光源11が厳密な点光源でなく所定の有為な面形状を持っている場合などにも対応することが可能である。
【0036】
その他、点光源11、2つのレンチキラーシート12,13、または面光源装置1の全体または各部の構造、構成、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る面光源装置を分解して示す斜視図である。
【図2】レンチキラーシートの構成の例を示す側面図である。
【図3】矩形状の光が配置される様子を示す図である。
【図4】矩形状の光が全体として面状となった様子を示す図である。
【図5】光源の光がレンチキラーシートによって拡大される様子を示す図である。
【図6】点光源がレンチキラーシートにより線状に拡大される様子を示す図である。
【図7】レンチキラーレンズの光学特性を説明する図である。
【符号の説明】
【0038】
1 面光源装置
11 点光源
12 レンチキラーシート(第1のレンチキラーシート)
13 レンチキラーシート(第2のレンチキラーシート)
14 フィルムシート
TK 点光源群
LZ レンチキラーレンズ
K 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点光源が縦方向および横方向にマトリクス状に多数配置されて構成される点光源群と、
レンチキラーレンズが多数並べて配置された第1のレンチキラーシートと、
レンチキラーレンズが前記第1のレンチキラーシートに対して直交する方向に延びるように多数並べて配置されかつ前記第1のレンチキラーシートに重ね合わされた第2のレンチキラーシートと、を有し、
前記点光源群に対し、前記第1のレンチキラーシートおよび第2のレンチキラーシートが所定の距離だけ離して配置され、かつ、それぞれのレンチキラーレンズが前記縦方向または前記横方向に沿うように配置され、これによって、それぞれの前記点光源からの光が前記第1のレンチキラーシートおよび前記第2のレンチキラーシートによって縦方向および横方向に拡大されて矩形状となっており、しかも前記点光源群による矩形状の光が全体として面状となっている、
ことを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
前記第1のレンチキラーシートおよび前記第2のレンチキラーシートは、1つのレンチキラーシートに一体に形成されている、
請求項1記載の面光源装置。
【請求項3】
前記第1のレンチキラーシートまたは前記第2のレンチキラーシートの外側の表面に、乳白色の半透明のフィルムシートが配置されている、
請求項1または2記載の面光源装置。
【請求項4】
前記点光源は、白色の発光ダイオードである、
請求項1ないし3のいずれかに記載の面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−48838(P2009−48838A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−212878(P2007−212878)
【出願日】平成19年8月17日(2007.8.17)
【出願人】(591243893)株式会社フオトクラフト社 (26)