説明

面実装型インダクタ

【目的】 面実装時の加熱により外部接続用端子と巻線端末との接続が不良になることがなく、面実装時に外部接続部を修正することなく配線基板の電極に確実に電気接続することができ、また、工程が大掛りになることがなく、自動挿入機による装着に適した面実装型インダクタを得る。
【構成】 環状フェライト磁心1に巻装した巻線31,32の巻線端末13,13を、外部接続用端子61,62の巻線端末接続部8の一対の接続片10,10間に圧入し、固定する。該一対の接続片10,10は、外部接続部7の孔12に圧入固定し、樹脂基板4の磁心搭載面から突出している。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、例えばチョークコイル等の面実装型インダクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば電子回路における電磁ノイズ除去用の面実装型コモンモードチョークコイルとして、図5に示すように、樹脂製基板aの上に、一対の絶縁被覆導線b,bを巻回して巻線c,cを巻装した環状フェライト磁心dを装着し、絶縁被覆を除去し半田処理した巻線端末e,eを前記基板aの側面に植設した外部接続用端子f,fの根元に絡げた後、ディップにより半田g付けしたものか、又は、図6に示すように、外部接続用端子f1を、一端hを前記基板aの上面から突出させて前記基板aに植設し、前記一端hに巻線端末eを絡げて、クリーム半田を塗布し、加熱して半田g1付けしたものが知られている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
図5に示すものは、巻線端末eを前記端末fにディップ半田付け法により、半田付けすることができるが、前記端子fの外部接続部が半田gで被覆されるため寸法精度が不安定であり、また、前記端子fの外部接続部に直接巻線端末eを絡げるため前記端子fが曲がり易い。したがって、チョークコイルを自動挿入機により面実装する場合、配線基板の電極に前記端子fの外部接続部を確実に電気接続できないことがあるという課題があった。
【0004】
また、図6に示すものは、リフロー半田付け法による加熱時、クリーム半田も融解して前記端子fと、巻線端末eとの接続が不良になり、あるいは、配線基板の電極間等を短絡することがあるという課題があり、また半田量、半田位置等の工程管理がディップ半田付け法に比べて難しく、工程も大掛かりなものとなるという課題があった。
【0005】
本考案は、従来のこのような課題を解決し、外部接続用端子と巻線端末との接続が不良になることがないと共に工程が簡単である等の自動挿入機による面実装に適した面実装型インダクタを得ることをその目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の考案は、巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記外部接続用端子は、外部接続部と巻線端末接続部とから成り、該巻線端末接続部は、基板の磁心搭載面から突出し且つ互いに圧接する一対の接続片から成り、前記巻線の端末は、該一対の接続片間に圧入固定されたことを特徴とし、請求項2記載の考案は、巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記外部接続用端子の巻線端末接続部は、基板の磁心搭載面から突出すると共に切り起し舌片を有し、前記巻線の端末は、該切り起し舌片に引っ掛けられ、前記外部接続用端子の巻線端末接続部を根元付近から折り曲げることにより、該巻線端末接続部と基板との間に挾まれて固定されたことを特徴とし、請求項3記載の考案は、巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、該外部接続用端子は、管状体から成り、前記基板の磁心搭載面から突出する巻線端末接続部に巻線端末を挿入した後該巻線端末接続部を潰して巻線端末を圧着固定し、外部接続部を潰したことを特徴とし、請求項4記載の考案は、巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記基板の磁心搭載面に形成された孔に巻線の端末が挿入され、前記基板の側面から前記孔に開口するように形成された装着孔に外部接続用端子を圧入し、その先端部を巻線の端末に圧接したことを特徴とする。
【0007】
【作用】
請求項1乃至4の考案によれば、外部接続用端子の巻線端末接続部と巻線端末とが圧着固定され、確実に電気的に接続される。この接続は半田付けによらないので、コイルの面実装時に、半田が融解して端子と巻線端末との接続が不良にならず、また、この半田が配線基板の電極間を短絡することがない。外部接続用端子の外部接続部に巻線端末を絡げて、半田付けしないので、この外部接続部は曲がらず、また、半田の付着により寸法が不安定になることがなく、そのため、配線基板の電極との電気的接続が外部接続部を修正しないでも損なわれることがなく、自動挿入機による自動装着を行うのに適している。
【0008】
【実施例】
以下本考案の実施例を図面に従って説明する。
【0009】
図1は、面実装型コモンモードチョークコイルに適用された請求項1記載の考案の一実施例を示す。
【0010】
同図において、1は、環状フェライト磁心で、これには、一対のポリウレタン樹脂被覆導線2,2を約4回巻回した巻線31,32が巻装されている。この巻線31,32が巻装された前記磁心1は、樹脂製基板4の上に載置され、固定ガイド片5により固定される。前記基板4には、2対の外部接続用端子61,62及び63,64が固定されており、各外部接続用端子61,62,63,64は、外部接続部7と巻線端末接続部8とから成り、外部接続部7は前記基板4の底面に形成された溝9に嵌合され、巻線端末接続部8は上端及び中間に弯曲部を有する一対の接続片10,10から成り、その下端を前記基板4の穴11を介して外部接続部8の穴12に圧入固定することにより一対の接続片10,10は互いに圧接するようになっている。前記巻線31,32の巻き始めの端末13及び巻終りの端末14はそれぞれ樹脂被覆が除かれ、半田処理されて外部接続用端子61,62及び63,64の一対の接続片10,10間に圧入固定される。
【0011】
図2は請求項2記載の考案の一実施例を示す。
【0012】
外部接続用端子61,62,63,64は、L字状に折曲されて基板4に取付けられ、基板4の側面から突出する外部接続部7には段部が形成され、基板4の磁心1の固定面から垂直に突出する巻線端末接続部8には、切り起し舌片15が形成されている。
【0013】
環状フェライト磁心1に巻装された巻線31,32の巻き始めの端末13と巻き終りの端末14は、それぞれ樹脂被覆が除かれ、半田処理されて図2の左側に示すように、前記切り起し舌片15に引っ掛け、巻線端末接続部8を根元付近から折り曲げて、端末13,14を巻線端末接続部8と基板4で挾み、巻線端末接続部8を巻線31,32の端末13,14に圧接、固定する。
【0014】
図3は、請求項3記載の考案の一実施例を示す。
【0015】
外部接続用端子61,62は管状体であり、基板4に、巻線端末接続部8及び外部接続部7が磁心固定面及び側面から突出するように固定される。
【0016】
巻線の端末13,13を前記端子61,62の巻線端末接続部8の中に挿入し、巻線端末接続部8を潰すことにより巻線の端末13,13は巻線端末接続部8に圧接固定される。
【0017】
前記端子61,62の外部接続部7も配線基板の電極と接続し易いように扁平に潰される。
【0018】
図4は、請求項4記載の考案の一実施例を示す。
【0019】
外部接続用端子61,62は、中間に段部が形成されており、基板4には、磁心固定面に開口する垂直穴16と、この垂直穴16の側壁と基板4の側面とに開口する水平穴17が形成され、水平穴17に対向する垂直穴16の側壁に凹部18が形成されている。
【0020】
巻線の端末13,13を前記垂直穴16に挿入し、水平穴17に外部接続用端子61,62を圧入して、その先端部を凹部18に嵌合して、前記端末13に圧入する。
【0021】
【考案の効果】
本考案は、上述のように構成されているから、面実装時の加熱により外部接続用端子と巻線端末との接続が不良になることがなく、また外部接続用端子の外部接続部が曲がったり、寸法精度が不安定になることがないため、面実装時に配線基板の電極との接続が不良になることがなく、自動挿入機による面実装に適し、また工程が大掛りになることがない等の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載の考案の一実施例の斜面図
【図2】 外部接続用端子の1つが折り曲げられる前の状態を示す、請求項2記載の考案の一実施例の斜面図
【図3】 外部接続用端子の1つが潰される前の状態を示す、請求項3記載の考案の一実施例の要部の斜面図
【図4】 外部接続用端子の1つが水平孔に嵌合される前の状態を示す、請求項4記載の考案の一実施例の要部の斜面図
【図5】 従来の面実装型コイルの正面図
【図6】 従来の面実装型コイルの他例の正面図
【符号の説明】
1 環状フェライト磁心 31,32 巻線
4 基板 61,62,63,64 外部接続用端子
7 外部接続部 8 巻線端末接続部
10 接続片 13,14 巻線端末
15 切り起し舌片 16 垂直穴
17 水平穴

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記外部接続用端子は、外部接続部と巻線端末接続部とから成り、該巻線端末接続部は、基板の磁心搭載面から突出し且つ互いに圧接する一対の接続片から成り、前記巻線の端末は、該一対の接続片間に圧入固定されたことを特徴とする面実装型インダクタ。
【請求項2】 巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記外部接続用端子の巻線端末接続部は、基板の磁心搭載面から突出すると共に切り起し舌片を有し、前記巻線の端末は、該切り起し舌片に引っ掛けられ、前記外部接続用端子の巻線端末接続部を根元付近から折り曲げることにより、該巻線端末接続部と基板との間に挾まれて固定されたことを特徴とする面実装型インダクタ。
【請求項3】 巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、該外部接続用端子は、管状体から成り、前記基板の磁心搭載面から突出する巻線端末接続部に巻線端末を挿入した後該巻線端末接続部を潰して巻線端末を圧着固定し、外部接続部を潰したことを特徴とする面実装型インダクタ。
【請求項4】 巻線を巻装した磁心を基板に装着し、該巻線の端末を、該基板に取り付けられた外部接続用端子に接続して成る面実装型インダクタにおいて、前記基板の磁心搭載面に形成された孔に巻線の端末が挿入され、前記基板の側面から前記孔に開口するように形成された装着孔に外部接続用端子を圧入し、その先端部を巻線の端末に圧接したことを特徴とする面実装型インダクタ。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】実開平5−33505
【公開日】平成5年(1993)4月30日
【考案の名称】面実装型インダクタ
【国際特許分類】
【出願番号】実願平3−82135
【出願日】平成3年(1991)10月9日
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)