説明

面材の固定構造及び天井の施工方法

【課題】耐火性に優れるとともに、コストを削減することができる面材の固定構造及び天井の施工方法を提供する。
【解決手段】切返し梁3を挟んで第一床根太1と第二床根太2の配設方向が異なる場合の面材の固定構造であって、切返し梁3の周囲において、第一下張り面材31と下張り調整面材32との目地G2は、第一上張り面材41と第二上張り面材43との目地H3、並びに、第一上張り面材41と上張り調整面材42との目地H3と切返し梁3の幅方向に所定の距離でずれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井、壁等に用いられる面材の固定構造及び天井の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井、壁等は、複数の面材を下地部材等に隙間無く留め付けて構成されている。例えば、建物における天井構造は、下地部材とこの下地部材に留め付けられた複数の天井面材とで構成されている。特許文献1には、石膏ボード等の天井面材を、目地をずらしながら上下に二重に留め付けることが記載されている。この構成によれば、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが直線状に連通しないので、熱や炎が天井裏に侵入し難い。
【0003】
図15は、従来の天井枠組を示す図であって、一階側から天井を見た図である。図16は、図15に天井面材が留め付けられた状態を示した図である。図15に示すように、従来の枠組壁工法における天井構造では、例えば室内が平面視L字状である場合や、外壁からバルコニーが張り出す場合等、床根太の配設方向が変化する場合がある。例えば、図15に示すように、従来の天井枠組100は、二階床根太の配設方向が変化する境となる切返し梁101と、切返し梁101に対して平行に配設された複数の第一床根太102と、切返し梁101に対して垂直に配設された複数の第二床根太103と、を備えている。さらに、天井枠組100は、第一床根太102に対して直交して配設された複数の第一下地部材104と、第二床根太103に対して直交して配設された複数の第二下地部材105と、切返し梁101に沿って配設された切返し下地部材106と、を備えている。
【0004】
隣り合う第一床根太102同士、隣り合う第二床根太103同士、隣り合う第一下地部材104同士、隣り合う第二下地部材105同士は、例えば455mm間隔となるように配設され、平面視格子状を呈するように構成されている。
【0005】
石膏ボード等の天井面材は、建物の寸法に合わせて1820mm×910mmで形成されている。つまり、通常の天井面材の寸法は455mm(基本モジュール)の整数倍になっているため、天井面材を留め付ける下地部材の位置を455mmずつ移動させたり、天井面材の配置方向を変えたりして、下張り目地と上張り目地とをずらしながら天井面材を留め付けることができる。例えば、図16には、5枚の下張り面材121と、2枚の上張り面材122が留め付けられた状態を示している。隣り合う下張り面材121同士は長手方向の半分の長さ(910mm)でずらしながら留め付けられている。一方、隣り合う上張り面材122は、下張り面材121の4分の一の長さ(455mm)でずらしながら留め付けられている。かかる構成によれば、下張り面材121同士の目地G1は、上張り面材122で覆われることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−30007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、例えば、隣り合う第一下地部材104同士及び第二下地部材105同士の間隔を広くすることができれば、各下地部材の本数を少なくすることができるため、材料コストや作業手間を削減することができる。
【0008】
図17は、第一床根太及び第二床根太の間隔は455mmのままで、第一下地部材同士及び第二下地部材同士の間隔を606mmにした場合を示す図である。図17に示すように、天井構造100’では、第一下地部材104と第二下地部材105の間隔を606mmに設定している。天井構造100’では、従来のように、切返し梁101を挟んで下張り面材121を留め付けると、下張り面材121の角部Nが第一下地部材104の位置に対応しなくなる。下張り面材121の角部Nが第一下地部材104に留め付けられないと、角部Nが浮いた状態になるため、隣り合う面材同士に不陸ができてしまう。
【0009】
そこで、例えば、切返し梁101を境にして、第一下地部材104側は下張り面材121及び上張り面材122を横使いにして固定し、第二下地部材105側は下張り面材121及び上張り面材122を横使いについて固定することにより、各面材の角部と第一下地部材104又は第二下地部材105とを対応させることができる。しかし、このようにして面材を固定すると、切返し梁101において、下張り面材121同士の目地と上張り面材122同士の目地が上下方向に連通してしまうという問題があった。つまり、下地部材の間隔が基本モジュールの整数倍とはならない場合、下張り面材及び上張り面材を下地部材に対応した位置に配設しつつ、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とをずらすことが困難になるという問題があった。
【0010】
本発明は、前記した問題に鑑みて創案されたものであり、耐火性に優れるとともに、コストを削減することができる面材の固定構造及び天井の施工方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、切返し部材と、前記切返し部材からa寸法間隔で平行に配設された複数の第一支持部材と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接しa寸法間隔で配設された複数の第二支持部材と、前記切返し部材において前記切返し部材に対して平行に固定された切返し下地部材と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に固定された複数の第一下地部材と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に固定された複数の第二下地部材と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一下張り面材と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二下張り面材と、長方形からなり前記第一下張り面材と前記第二下張り面材の間に配設され、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の下張り調整面材と、前記第一下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一上張り面材と、前記第二下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二上張り面材と、長方形からなり前記第一上張り面材と前記第二上張り面材の間に配設され、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の上張り調整面材と、を有し、隣り合う前記第一下張り面材同士の目地は、前記第一上張り面材で覆われており、隣り合う前記第二下張り面材同士の目地は、前記第二上張り面材及び前記上張り調整面材で覆われており、前記第一上張り面材は、隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地と、他の隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地とがずれるように千鳥状に配設されており、前記第二上張り面材は、隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地と、他の隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地とがずれるように千鳥状に配設されており、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地と前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずれていることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、切返し部材の周囲における下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とをずらすことができる。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。また、切返し部材の周囲において、下張り調整面材及び上張り調整面材を設けることにより、所定の規格の下張り面材及び上張り面材を下地部材に対応した位置に固定することができる。また、下地部材の間隔を、大きくすることにより、部材点数を削減できるとともに、作業手間を少なくすることができる。
【0013】
また、前記切返し下地部材は、前記切返し部材の下面において幅方向に2本並設されており、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、一方の前記切返し下地部材に沿って形成されており、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地は、他方の前記切返し下地部材に沿って形成されていることが好ましい。
【0014】
切返し下地部材は1本でもよいが、かかる構成のように、2本の切返し下地部材を並設することで、目地を容易にずらすことができる。
【0015】
また、本発明は、切返し部材と、前記切返し部材からa寸法間隔で平行に配設された複数の第一支持部材と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接しa寸法間隔で配設された複数の第二支持部材と、前記切返し部材の隣の前記第一支持部材において前記切返し部材に対して平行に固定された第一切返し下地部材と、前記切返し部材において前記切返し部材に対して平行に固定された第二切返し下地部材と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に固定された複数の第一下地部材と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に固定された複数の第二下地部材と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一下張り面材と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二下張り面材と、長方形からなり前記第一下張り面材と前記第二下張り面材の間に配設され、前記第一切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の下張り調整面材と、前記第一下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一上張り面材と、前記第二下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二上張り面材と、長方形からなり前記第一上張り面材と前記第二上張り面材の間に配設され、前記第二切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の上張り調整面材と、を有し、隣り合う前記第一下張り面材同士の目地は、前記第一上張り面材で覆われており、隣り合う前記第二下張り面材同士の目地は、前記第二上張り面材及び上張り調整面材で覆われており、前記第一上張り面材は、隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地が、他の隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地とずれるように千鳥状に配設されており、前記第二上張り面材は、隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地が、他の隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地とずれるように千鳥状に配設されており、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、前記第一切返し下地部材に沿って形成されており、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地は、前記第二切返し下地部材に沿って形成されていることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、切返し部材の周囲における下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とをずらすことができる。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。また、切返し部材の周囲において、下張り調整面材及び上張り調整面材を設けることにより、所定の規格の下張り面材及び上張り面材を下地部材に対応した位置に固定することができる。また、下地部材の間隔を、大きくすることにより、部材点数を削減できるとともに、作業手間を少なくすることができる。また、2本の切返し下地部材を並設することで、目地を容易にずらすことができる。
【0017】
また、本発明は、切返し部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して平行にa寸法間隔で複数の第一支持部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接させつつa寸法間隔で複数の第二支持部材を配設する工程と、を行う支持部材配設工程と、前記切返し部材において前記切返し部材と平行に切返し下地部材を固定する工程と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に複数の第一下地部材を固定する工程と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に複数の第二下地部材を固定する工程と、を行う下地部材固定工程と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一下張り面材を、前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定する第一下張り面材固定工程と、長方形からなる複数の下張り調整面材を、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する下張り調整面材固定工程と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二下張り面材を、前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定する第二下張り面材固定工程と、隣り合う前記第一下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一上張り面材を前記第一下地部材に千鳥状に固定する第一上張り面材固定工程と、長方形からなる複数の上張り調整面材を前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する上張り調整面材固定工程と、隣り合う前記第二下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二上張り面材を前記第二下地部材に千鳥状に固定する第二上張り面材固定工程と、を含み、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地と、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地とを前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずらしつつ、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地と、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地とを前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずらすことを特徴とする。
【0018】
かかる方法によれば、切返し部材の周囲における下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とをずらすことができる。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。また、切返し部材の周囲において、下張り調整面材及び上張り調整面材を設けることにより、所定の規格の下張り面材及び上張り面材を下地部材に対応した位置に固定することができる。また、下地部材の間隔を、大きくすることにより、部材点数を削減できるとともに、作業手間を少なくすることができる。
【0019】
また、下地部材固定工程では、前記切返し部材の下面に沿って幅方向に2本の前記切返し部材を並設し、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地が、一方の前記切返し下地部材に沿って形成されるように固定するとともに、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地が、他方の前記切返し下地部材に沿って形成されるように固定することが好ましい。
【0020】
切返し下地部材は1本でもよいが、かかる方法によれば、2本の切返し下地部材を並設することで、目地を容易にずらすことができる。
【0021】
また、本発明は、切返し部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して平行にa寸法間隔で複数の第一支持部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接させつつa寸法間隔で複数の第二支持部材を配設する工程と、を行う支持部材配設工程と、前記切返し部材の隣の前記第一支持部材において前記切返し部材に対して平行に第一切返し下地部材を固定するとともに、前記切返し部材において前記切返し部材と平行に第二切返し下地部材を固定する工程と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に複数の第一下地部材を固定する工程と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に複数の第二下地部材を固定する工程と、を行う下地部材固定工程と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一下張り面材を、前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定する第一下張り面材固定工程と、長方形からなる複数の下張り調整面材を、前記第一切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する下張り調整面材固定工程と、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二下張り面材を、前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定する第二下張り面材固定工程と、隣り合う前記第一下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一上張り面材を前記第一下地部材に千鳥状に固定する第一上張り面材固定工程と、長方形からなる複数の上張り調整面材を前記第二切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する上張り調整面材固定工程と、隣り合う前記第二下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二上張り面材を前記第二下地部材に千鳥状に固定する第二上張り面材固定工程と、を含み、前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地が、前記第一切返し下地部材に形成されるように固定し、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地が前記第二切返し下地部材に形成されるように固定することを特徴とする。
【0022】
かかる方法によれば、切返し部材の周囲における下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とをずらすことができる。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。また、切返し部材の周囲において、下張り調整面材及び上張り調整面材を設けることにより、所定の規格の下張り面材及び上張り面材を下地部材に対応した位置に固定することができる。また、下地部材の間隔を、大きくすることにより、部材点数を削減できるとともに、作業手間を少なくすることができる。また、2本の切返し下地部材を並設することで、目地を容易にずらすことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る面材の固定構造及び天井の施工方法によれば、耐火性に優れるとともに、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第一実施形態に係る天井の施工方法の床根太配設工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図2】第一実施形態に係る天井の施工方法の下地部材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図3】図2のI−I断面図である。
【図4】切返し梁を示した斜視図である。
【図5】第一実施形態に係る天井の施工方法の下地部材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図6】図5のII−II断面図である。
【図7】第一実施形態に係る天井の施工方法の下張り面材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図8】図7のIII−III断面図である。
【図9】第一実施形態に係る天井の施工方法の上張り面材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図10】図9のIV−IV断面図である。
【図11】第二実施形態に係る天井の施工方法の床根太配設工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。
【図12】図11のV-V断面図である。
【図13】第二実施形態に係る天井の施工方法の下張り面材固定工程を示す図であって、一階側から天井を見た図である。
【図14】第二実施形態に係る天井の施工方法の上張り面材固定工程を示す図であって、一階側から天井を見た図である。
【図15】従来の天井枠組を示す図であって、一階側から天井を見た図である。
【図16】図15に天井面材が留め付けられた状態を示した図である。
【図17】第一床根太及び第二床根太の間隔は455mmのままで、第一下地部材同士及び第二下地部材同士の間隔を606mmにした場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、枠組壁工法で木造住宅を構築する場合における天井の施工方法及び天井面材の固定構造を例示する。より詳しくは、例えば平面視L字状を呈する二階建て住宅の一階の天井を構築する場合を例示する。まずは、本実施形態の天井の施工方法について説明する。
【0026】
本実施形態に係る天井の施工方法では、床根太を掛け渡す床根太配設工程と、床根太に下地部材を固定する下地部材固定工程と、下地部材に下張り面材を留め付ける下張り面材固定工程と、下地部材に上張り面材を留め付ける上張り面材固定工程と、を行う。なお、各部材の接合部分には、適宜釘やビスを用いて接合するが、主要な部分を除いて釘やビスの具体的な説明や図示は省略する。
【0027】
図1は、第一実施形態に係る天井の施工方法の床根太配設工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図1に示すように、床根太配設工程では、図示しない一対の壁組みに第一床根太1、第二床根太2、切返し梁3、下地受け部材4を架け渡す。第一床根太1は特許請求の範囲の第一支持部材に相当し、第二床根太2は第二支持部材に相当し、切返し梁3は切返し部材に相当する。
【0028】
本実施形態では、建物が平面視L字状を呈するため、切返し梁3を境に第一床根太1と第二床根太2の配設方向が90度となるように固定する。つまり、床根太配設工程では、第一床根太1を切返し梁3に対して平行に配設するとともに、第二床根太2を切返し梁3にその端面を当接させつつ切返し梁3に対して90度となるように配設する。第一床根太1,1間の寸法、第一床根太1と切返し梁3との寸法及び第二床根太2,2間の寸法は例えば455mmに設定する。切返し梁3は、第一床根太1及び第二床根太2よりも幅広になっている。下地受け部材4は、切返し梁3の隣に添設する。なお、切返し梁3がより幅広である場合には、下地受け部材4は省略してもよい。
【0029】
図2は、第一実施形態に係る天井の施工方法の下地部材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図3は、図2のI−I断面図である。図4は、切返し梁を示した斜視図である。
【0030】
図2及び図3に示すように、下地部材固定工程では、まず、切返し梁3の下面に第一切返し下地部材11と第二切返し下地部材12とを固定する。第一切返し下地部材11及び第二切返し下地部材12は、断面視クランク形状からなる金属製の部材であって天井面材を固定するための下地部材である。第一切返し下地部材11及び第二切返し下地部材12は、同形状になっている。第一切返し下地部材11と第二切返し下地部材12は、鉛直方向の線に対して線対称となるように対向して配設する。
【0031】
図4に示すように、第一切返し下地部材11及び第二切返し下地部材12は、切返し梁3に固定される第一固定板部13と、第一固定板部13と離間して平行となる第二固定板部14と、第一固定板部13と第二固定板部14とを連結する連結板部15とを備えている。第一固定板部13は切返し梁3に固定される部位である。第二固定板部14は、天井面材が固定される部位である。第一切返し下地部材11及び第二切返し下地部材12は、天井面材を片持ちで支持し、連結板部15が振動することにより、二階の振動が一階に伝達するのを防ぐことができる。
【0032】
図5は、第一実施形態に係る天井の施工方法の下地部材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図6は、図5のII−II断面図である。続いて、下地部材固定工程では、第一下地部材21及び第二下地部材22を固定する。
【0033】
図5及び図6に示すように、下地部材固定工程では、第一床根太1に直交するように複数の第一下地部材21を第一床根太1に固定する。第一下地部材21は、前記した第一切返し下地部材11と同形状からなる部材である。第一下地部材21の一端は下地受け部材4にも固定する。第一下地部材21,21間の寸法は例えば606mmに設定する。
【0034】
続いて、下地部材固定工程では、第二床根太2に直交するように複数の第二下地部材22を第二床根太2に固定する。第二下地部材22は、前記した第一切返し下地部材11と同形状からなる部材である。第二下地部材22,22間の寸法は例えば606mmに設定する。また、第二下地部材22と第二切返し下地部材12との間の寸法は例えば606mmに設定する。
【0035】
なお、下地部材固定工程において、下地部材を固定する順番については限定されるものではない。
【0036】
図7は、第一実施形態に係る天井の施工方法の下張り面材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図8は、図7のIII−III断面図である。図7及び図8に示すように、下張り面材固定工程では、まず、複数の第一下張り面材31を第一下地部材21に隙間無く留め付ける。第一下張り面材31は、1820mm×910mm(以下、「標準サイズ」とも言う)のものを縦使いで用いる。板厚は適宜設定すればよいが、本実施形態では例えば12mmに設定する。
【0037】
下張り面材固定工程は、具体的には、第一下張り面材31の長手方向と第一下地部材21の長手方向とを直交させつつ、4本の第一下地部材21が対応するように位置させ、それぞれビスKで留め付ける。図8に示すように、切返し梁3に隣接する第一下張り面材31については、第一下張り面材31の端部と第一切返し下地部材11の第二固定板部14とをビスKで留め付ける。隣り合う第一下張り面材31,31同士はずらさずに、第一下張り面材31,31同士の目地G1が格子状を呈するように留め付ける。
【0038】
続いて、下張り面材固定工程では、下張り調整面材32を第一切返し下地部材11と第二下地部材22とに架け渡してそれぞれビスKで留め付ける。下張り調整面材32は、縦寸法は910mmであり、横寸法は1820mmよりも短く、かつ、第一切返し下地部材11と第二下地部材22とに留め付け可能な長さに適宜設定する。
【0039】
下張り面材固定工程では、切返し梁3の直下において、複数の下張り調整面材32を、切返し梁3と平行に留め付ける。また、下張り調整面材32と第一下張り面材31との目地G2が、第一切返し下地部材11の第二固定板部14の幅方向の中央部に沿って形成されるように配設する。さらに、下張り調整面材32,32同士の目地G3は、第一下張り面材31,31同士の横方向の目地G1とずれるように配設する。
【0040】
続いて、下張り面材固定工程では、第二下張り面材33を第二下地部材22に固定する。第二下張り面材33は、標準サイズを横使いで用いる。板厚は第一下張り面材31と同等である。
【0041】
下張り面材固定工程では、具体的には、第二下張り面材33の長手方向と第二下地部材22の長手方向を直交させつつ、4本の第二下地部材22が対応するように位置させ、それぞれビスKで留め付ける。第二下張り面材33は、隣の下張り調整面材32と位置を合わせつつ、隙間がないように留め付ける。図8に示すように、下張り調整面材32と第二下張り面材33との目地G4が、第二下地部材22の第二固定板部14の幅方向の中央部に沿って形成されるように配設する。また、具体的な図面は省略するが、下張り面材固定工程では、第二下張り面材33,33同士の縦方向の目地G5が、第二下地部材22の第二固定板部14の幅方向中央に沿って形成されるように配設する。これにより、目地G3,G4,G5は平面視格子状を呈するようになる。
【0042】
なお、第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33と各壁組み(図示省略)との隙間部分には、適宜その隙間の大きさに合わせて下張り面材を留め付ける。第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33を留め付ける順番については、前記した方法に限定されるものではない。
【0043】
図9は、第一実施形態に係る天井の施工方法の上張り面材固定工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図10は、図9のIV−IV断面図である。図9及び図10に示すように、上張り面材固定工程では、まず、第一下張り面材31の下から、複数の第一上張り面材41を第一下地部材21にビスKで留め付ける。第一上張り面材41は、標準サイズを縦使いで用いる。板厚は適宜設定すればよいが、本実施形態では例えば12mmに設定する。
【0044】
切返し梁3の直下に配設される第一上張り面材41a,41bは、第二切返し下地部材12の第二固定板部14と、4本の第一下地部材21が対応するように位置させつつ、それぞれビスKで留め付ける。他の第一上張り面材41は、4本の第一下地部材21が対応するように位置させつつ、横方向に隣り合う第一上張り面材41,41同士を第一下地部材21の一本分、つまり、606mmずらしながらビスで留め付ける。これにより、複数の第一上張り面材41は、目地G1を覆いつつ千鳥状に配設される。
【0045】
続いて、上張り面材固定工程では、下張り調整面材32及び第二下張り面材33の下から、上張り調整面材42と第二上張り面材43を留め付ける。上張り調整面材42は、縦寸法910mm×横寸法1212mmのものを用いる。第二上張り面材43は、標準サイズを横使いで用いる。上張り調整面材42と第二上張り面材43の板厚は第一上張り面材41と同等である。
【0046】
上張り面材固定工程では、切返し梁3に隣接して配設される上張り調整面材42a,42bを、縦方向に910mmあけて、第二切返し下地部材12の第二固定板部14と、2本の第二下地部材22が対応するように位置させ、それぞれビスKで留め付ける。さらに、切返し梁3に隣接して配設される第二上張り面材43a,43b,43cを、上張り調整面材42と交互に、かつ、第二切返し下地部材12の第二固定板部14と、3本の第二下地部材22が対応するように位置させ、それぞれビスKで留め付ける。
【0047】
上張り調整面材固定工程では、第一上張り面材41a,41bと、上張り調整面材42a,42b及び第二上張り面材43a,43bとの目地H3が、第二切返し下地部材12の第二固定板部14の幅方向の中央部に沿って形成されるように配設する。
【0048】
また、第二上張り面材43d,43eは、上張り調整面材42a,42bの隣に隙間無く位置させ、第二下地部材22にそれぞれビスKで留め付ける。上張り面材固定工程では、上張り調整面材42a,42bと第二上張り面材43d,43eとの目地H4が、第二下地部材22の第二固定板部14の幅方向の中央部に沿って形成されるように配設する。
【0049】
他の第二上張り面材43は、第二上張り面材43a,43b,43c,43d,43eの隣に隙間なく留め付ける。これにより、上張り調整面材42及び第二上張り面材43は、目地G3,G4,G5を覆いつつ千鳥状に配設される。また、上張り調整面材42a,42bと第二上張り面材43d,43eとの目地H4と、第二上張り面材43同士の目地H5は、一直線にならず、ずれるようになる。
【0050】
なお、第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43と各壁組みとの隙間部分には、適宜その隙間の大きさに合わせて上張り面材を留め付ける。第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43を留め付ける順番については、前記した方法に限定されるものではない。以上の工程によって、本実施形態に係る天井構造Tが構築される。
【0051】
天井構造Tによれば、第一下地部材21,21同士の間隔及び第二下地部材22,22同士の間隔を455mmよりも広い606mmモジュールとすることができるため、部品点数を少なくすることができるとともに、作業手間も少なくすることができる。
【0052】
また、切返し梁3を境に、第一床根太1の配設方向と第二床根太2の配設方向が変化する場合において、第一下地部材21,21同士の間隔及び第二下地部材22,22同士の間隔を606mmモジュールとしても下張り面材の目地と上張り面材の目地とをずらすことができる。
【0053】
具体的には、図9に示すように、第一下張り面材31と下張り調整面材32との目地G2と、第一上張り面材41と上張り調整面材42及び第二上張り面材43との目地H3が、切返し梁3の幅方向でずれている。このため、第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33によって形成された目地G1,G2,G3,G4,G5は、第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43によって形成された目地H1,H2,H3,H4,H5と上下方向に直線状に連通しない状態で、第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43によって覆われる。
【0054】
言い換えると、切返し梁3に第一切返し下地部材11と第二切返し下地部材12を設け、第一下張り面材31と下張り調整面材32との直線状の目地G2と、第一上張り面材41と上張り調整面材42及び第二上張り面材43との直線状の目地H3とを幅方向でずらしている。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。これにより、耐火性能を向上させることができる。
【0055】
また、下張り調整面材32を用いることで、標準サイズ(1820×910)の第一下張り面材31及び第二下張り面材33の四つの角部が全て第一下地部材21又は第二下地部材22に対応するように隙間無く配設することができる。
【0056】
また、上張り調整面材42を用いることで、標準サイズの第一上張り面材41及び第二上張り面材43の四つの角部が全て第一下地部材21又は第二下地部材22に対応するとともに、千鳥状に隙間無く配設することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、基準モジュールを455mm(a寸法)とし、標準サイズを1820(4a)×910(2a)、下地部材間の寸法を606mm(4a/3)としたが、これに限定されるものではない。a寸法については建物の大きさに応じて適宜設定すればよい。
【0058】
また、第一実施形態では、断面視クランク形状の下地部材を用いたが、これに限定されるものではなく、天井面材を留め付けることができればどのような形状であってもよい。また、第一実施形態では切返し梁3の下に第一切返し下地部材11と第二切返し下地部材12と2本の下地部材を設けたが、これらを1本の下地部材で構成してもよい。また、本実施形態では、第一切返し下地部材11に沿って目地G2が形成され、第二切返し下地部材12に沿って目地H3が形成されるようにしたが、第一切返し下地部材11に沿って目地H3が形成され、第二切返し下地部材12に沿って目地G2が形成されるように構成してもよい。
【0059】
また、第一実施形態では、下張り調整面材32を第一切返し下地部材11と、第一切返し下地部材11に隣接する第二下地部材22とに架け渡したが、下張り調整面材32の横方向の長さをさらに606mm長くして、第一切返し下地部材11と第一切返し下地部材11から二本隣の第二下地部材22とに架け渡してもよい。この場合はそれに伴って、隣接する第二下張り面材の横方向の長さを606mm短くしてもよい。
【0060】
[第二実施形態]
次に本発明の第二実施形態に係る天井の施工方法について説明する。第二実施形態では、第一切返し下地部材11を第一床根太1に固定する点で、第一実施形態と相違する。
【0061】
第二実施形態に係る天井の施工方法では、床根太を掛け渡す床根太配設工程と、床根太に下地部材を固定する下地部材固定工程と、下地部材に下張り面材を留め付ける下張り面材固定工程と、下地部材に上張り面材を留め付ける上張り面材固定工程と、を行う。
【0062】
図11は、第二実施形態に係る天井の施工方法の床根太配設工程を示す模式平面図であって、一階側から天井を見た図である。図12は、図11のV-V断面図である。図13は、第二実施形態に係る天井の施工方法の下張り面材固定工程を示す図であって、一階側から天井を見た図である。図14は、第二実施形態に係る天井の施工方法の上張り面材固定工程を示す図であって、一階側から天井を見た図である。
【0063】
図11に示すように、床根太配設工程では、第一実施形態と同様に、第一床根太1、第二床根太2及び切返し梁3を配設する。そして、図12に示すように、切返し梁3の隣の第一床根太1’に下地受け部材4を添設する。第一床根太1,1間の寸法、第一床根太1’と切返し梁3との寸法、第二床根太2,2間の寸法は例えば455mmに設定する。
【0064】
図11及び図12に示すように、下地部材固定工程では、まず、第一床根太1’の下面に第一床根太1’と平行に第一切返し下地部材11を固定する。続いて、第一床根太1に直交するように複数の第一下地部材21を固定する。第一下地部材21の一端は下地受け部材4にも固定する。第一下地部材21,21間の寸法は例えば606mmに設定する。
【0065】
続いて、切返し梁3の下面に切返し梁3と平行に第二切返し下地部材12を固定する。第二切返し下地部材12と第一切返し下地部材11間の寸法は例えば455mmに設定する。そして、第二床根太2に直交するように複数の第二下地部材22を固定する。第二下地部材22,22間の寸法は例えば606mmに設定する。
【0066】
図13に示すように、下張り面材固定工程では、複数の第一下張り面材31を第一下地部材21に隙間無く留め付ける。第一下張り面材31は、標準サイズを縦使いで用いる。板厚は適宜設定すればよいが、本実施形態では例えば12mmに設定する。
【0067】
具体的には、第一下張り面材31a,31bを第一切返し下地部材11に沿わせつつ、第一下張り面材31a,31bの長手方向と第一下地部材21の長手方向とを直交させる。さらに、第一下張り面材31a,31bと4本の第一下地部材21とが対応するように位置させ、第一下張り面材31a,31bと第一下地部材21及び第一切返し部材11をビスで留め付ける。他の第一下張り面材においては、隣り合う第一下張り面材31,31の長辺同士を合わせて、第一下張り面材31,31同士の目地G1が格子状を呈するように留め付ける。
【0068】
続いて、下張り面材固定工程では、複数の下張り調整面材32を隙間無く留め付ける。下張り調整面材32は、縦寸法910mm×横寸法2577mmのものを用いる。板厚は、第一下張り面材31と同等である。下張り調整面材32の一端側は第一切返し下地部材11に対応させつつ第二切返し下地部材12及び第二下地部材22’’を跨いで第二下地部材22’に対応させる。そして、下張り調整面材32と第一切返し下地部材11、第二切返し下地部材12及び第二下地部材22’,22’’をビスで留め付ける。第一下張り面材31a,31bと下張り調整面材32との目地G2が、第一切返し下地部材11に沿って形成されるように配設する。
【0069】
続いて、下張り面材固定工程では、複数の第二下張り面材33を隙間無く第二下地部材22に留め付ける。第二下張り面材33は、標準サイズを横使いで用いる。第二下張り面材33の板厚は第一下張り面材31と同等である。
【0070】
具体的には、第二下張り面材33の長手方向と第二下地部材22の長手方向を直交させつつ、4本の第二下地部材22が対応するように位置させ、それぞれビスKで留め付ける。第二下張り面材33と下張り調整面材32との目地G4が、第二下地部材22’に沿って形成されるように配設する。
【0071】
なお、第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33と各壁組み(図示省略)との隙間部分には、適宜その隙間の大きさに合わせて下張り面材を留め付ける。第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33を留め付ける順番については、前記した方法に限定されるものではない。
【0072】
図14に示すように、上張り面材固定工程では、第一下張り面材31の下から、複数の第一上張り面材41を第一下地部材21にビスで留め付ける。第一上張り面材41は、標準サイズを縦使いで用いる。第一上張り面材41の板厚は適宜設定すればよいが、本実施形態では例えば12mmに設定する。
【0073】
切返し梁3の直下に配設される第一上張り面材41aは、第一切返し下地部材11を1本跨いで第二切返し下地部材12と第一床根太1に対応させつつ、4本の第一下地部材21が対応するように位置させ、それぞれビスで留め付ける。他の第一上張り面材41は、4本の第一下地部材21が対応するように位置させつつ、横方向に隣り合う第一上張り面材41,41同士を第一下地部材21の1本分、つまり、606mmずらしながらビスで留め付ける。これにより、複数の第一上張り面材41は、第一下張り面材31,31同士の目地G1を覆いつつ千鳥状に配設される。
【0074】
続いて、上張り面材固定工程では、下張り調整面材32及び第二下張り面材33の下から、上張り調整面材42と第二上張り面材43を第二下地部材22に留め付ける。上張り調整面材42は、縦寸法910mm×横寸法606mmのものを用いる。第二上張り面材43は、標準サイズを横使いで用いる。上張り調整面材42と第二上張り面材43の板厚は第二上張り面材41と同等である。
【0075】
上張り面材固定工程では、切返し梁3の直下に配設される上張り調整面材42a,42bを、縦方向に910mmあけて、第二切返し下地部材12と、第二下地部材22’が対応するように位置させ、それぞれビスで留め付ける。さらに、上張り調整面材42a,42bの間において、切返し梁3の直下に配設される第二上張り面材43aを、第二切返し下地部材12と、3本の第二下地部材22が対応するように位置させ、それぞれビスで留め付ける。他の第二上張り面材43は、上張り調整面材42、第二上張り面材43の隣に隙間なく留め付ける。これにより、複数の第二上張り面材43は、第二下張り面材33,33同士の目地G4,G5を覆いつつ千鳥状に配設される。
【0076】
このようにして形成された天井構造T1によれば、第一下地部材21,21同士の間隔及び第二下地部材22,22同士の間隔を455mmよりも広い606mmモジュールとすることができるため、部品点数を少なくすることができるとともに、作業手間も少なくすることができる。
【0077】
また、切返し梁3を境に、第一床根太1の配設方向と第二床根太2の配設方向が変化する場合において、第一下地部材21,21同士の間隔及び第二下地部材22,22同士の間隔を606mmモジュールとしても下張り面材の目地と上張り面材の目地とをずらすことができる。
【0078】
具体的には、図14に示すように、第一下張り面材31と下張り調整面材32との目地G2と、第一上張り面材41と上張り調整面材42と及び第二上張り面材43との目地H3とが、切返し梁3周囲で幅方向にずれている。このため、第一下張り面材31、下張り調整面材32及び第二下張り面材33によって形成された目地G1,G2,G3,G4,G5は、第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43によって形成された目地H1,H3,H4と上下方向に直線状に連通せずに第一上張り面材41、上張り調整面材42及び第二上張り面材43によって覆われる。
【0079】
言い換えると、切返し梁3の隣の第一床根太1’に第一切返し下地部材11を設けるとともに、切返し梁3に第二切返し下地部材12を設け、第一下張り面材31と下張り調整面材32との直線状の目地G2と、第一上張り面材41と上張り調整面材42との目地H3及び第一上張り面材41と第二上張り面材43との目地H3とを幅方向でずらしている。これにより、下張り面材同士の目地と上張り面材同士の目地とが上下方向に直線状に連通しなくなるため、熱や火炎が面材の裏側に進入し難くなる。これにより、耐火性能を向上させることができる。
【0080】
また、下張り調整面材32を用いることで、標準サイズの第一下張り面材31及び第二下張り面材33の四つの角部が全て第一下地部材21又は第二下地部材22に対応するように隙間無く配設することができる。
【0081】
また、上張り調整面材42を用いることで、標準サイズの第一上張り面材41及び第二上張り面材43の四つの角部が全て第一下地部材21又は第二下地部材22に対応するとともに、隙間無く千鳥状に配設することができる。
【0082】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨に反しない範囲において適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、天井を構築する場合を例示したが、本発明では壁面材と柱等とで壁を構築してもよい。また、実施形態で説明した根太(支持部材)、下地部材、面材の個数はあくまで例示であって本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 第一床根太(第一支持部材)
2 第二床根太(第二支持部材)
3 切返し梁(切返し部材)
4 下地受け部材
11 第一切返し下地部材
12 第二切返し下地部材
13 第一固定板部
14 第二固定板部
15 連結板部
21 第一下地部材
22 第二下地部材
31 第一下張り面材
32 下張り調整面材
33 第二下張り面材
41 第一上張り面材
42 上張り調整面材
43 第二上張り面材
G1〜G5 目地
H1〜H5 目地
T 天井構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切返し部材と、
前記切返し部材からa寸法間隔で平行に配設された複数の第一支持部材と、
前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接しa寸法間隔で配設された複数の第二支持部材と、
前記切返し部材において前記切返し部材に対して平行に固定された切返し下地部材と、
前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に固定された複数の第一下地部材と、
前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に固定された複数の第二下地部材と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一下張り面材と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二下張り面材と、
長方形からなり前記第一下張り面材と前記第二下張り面材の間に配設され、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の下張り調整面材と、
前記第一下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一上張り面材と、
前記第二下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二上張り面材と、
長方形からなり前記第一上張り面材と前記第二上張り面材の間に配設され、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の上張り調整面材と、を有し、
隣り合う前記第一下張り面材同士の目地は、前記第一上張り面材で覆われており、
隣り合う前記第二下張り面材同士の目地は、前記第二上張り面材及び前記上張り調整面材で覆われており、
前記第一上張り面材は、隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地と、他の隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地とがずれるように千鳥状に配設されており、
前記第二上張り面材は、隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地と、他の隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地とがずれるように千鳥状に配設されており、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地と前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずれていることを特徴とする面材の固定構造。
【請求項2】
前記切返し下地部材は、前記切返し部材の下面において幅方向に2本並設されており、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、一方の前記切返し下地部材に沿って形成されており、
前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地は、他方の前記切返し下地部材に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の面材の固定構造。
【請求項3】
切返し部材と、
前記切返し部材からa寸法間隔で平行に配設された複数の第一支持部材と、
前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接しa寸法間隔で配設された複数の第二支持部材と、
前記切返し部材の隣の前記第一支持部材において前記切返し部材に対して平行に固定された第一切返し下地部材と、
前記切返し部材において前記切返し部材に対して平行に固定された第二切返し下地部材と、
前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に固定された複数の第一下地部材と、
前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に固定された複数の第二下地部材と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一下張り面材と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二下張り面材と、
長方形からなり前記第一下張り面材と前記第二下張り面材の間に配設され、前記第一切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の下張り調整面材と、
前記第一下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定された複数の第一上張り面材と、
前記第二下張り面材の下面において、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなり前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定された複数の第二上張り面材と、
長方形からなり前記第一上張り面材と前記第二上張り面材の間に配設され、前記第二切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定された複数の上張り調整面材と、を有し、
隣り合う前記第一下張り面材同士の目地は、前記第一上張り面材で覆われており、
隣り合う前記第二下張り面材同士の目地は、前記第二上張り面材及び上張り調整面材で覆われており、
前記第一上張り面材は、隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地が、他の隣り合う前記第一上張り面材の短辺同士の目地とずれるように千鳥状に配設されており、
前記第二上張り面材は、隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地が、他の隣り合う前記第二上張り面材の短辺同士の目地とずれるように千鳥状に配設されており、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地は、前記第一切返し下地部材に沿って形成されており、
前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地は、前記第二切返し下地部材に沿って形成されていることを特徴とする面材の固定構造。
【請求項4】
切返し部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して平行にa寸法間隔で複数の第一支持部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接させつつa寸法間隔で複数の第二支持部材を配設する工程と、を行う支持部材配設工程と、
前記切返し部材において前記切返し部材と平行に切返し下地部材を固定する工程と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に複数の第一下地部材を固定する工程と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に複数の第二下地部材を固定する工程と、を行う下地部材固定工程と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一下張り面材を、前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定する第一下張り面材固定工程と、
長方形からなる複数の下張り調整面材を、前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する下張り調整面材固定工程と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二下張り面材を、前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定する第二下張り面材固定工程と、
隣り合う前記第一下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一上張り面材を前記第一下地部材に千鳥状に固定する第一上張り面材固定工程と、
長方形からなる複数の上張り調整面材を前記切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する上張り調整面材固定工程と、
隣り合う前記第二下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二上張り面材を前記第二下地部材に千鳥状に固定する第二上張り面材固定工程と、を含み、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地と、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地とを前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずらしつつ、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地と、前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地とを前記切返し部材の幅方向に所定の距離でずらすことを特徴とする天井の施工方法。
【請求項5】
下地部材固定工程では、前記切返し部材の下面に沿って幅方向に2本の前記切返し部材を並設し、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地が、一方の前記切返し下地部材に沿って形成されるように固定するとともに、
前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地が、他方の前記切返し下地部材に沿って形成されるように固定することを特徴とする請求項4に記載の天井の施工方法。
【請求項6】
切返し部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して平行にa寸法間隔で複数の第一支持部材を配設する工程と、前記切返し部材に対して前記第一支持部材とは反対側において、前記切返し部材に対して垂直に当接させつつa寸法間隔で複数の第二支持部材を配設する工程と、を行う支持部材配設工程と、
前記切返し部材の隣の前記第一支持部材において前記切返し部材に対して平行に第一切返し下地部材を固定するとともに、前記切返し部材において前記切返し部材と平行に第二切返し下地部材を固定する工程と、前記第一支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第一支持部材に複数の第一下地部材を固定する工程と、前記第二支持部材に対して直交し4a/3寸法間隔で前記第二支持部材に複数の第二下地部材を固定する工程と、を行う下地部材固定工程と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一下張り面材を、前記第一下地部材に対して長辺が直交するように前記第一下地部材に固定する第一下張り面材固定工程と、
長方形からなる複数の下張り調整面材を、前記第一切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する下張り調整面材固定工程と、
縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二下張り面材を、前記第二下地部材に対して長辺が直交するように前記第二下地部材に固定する第二下張り面材固定工程と、
隣り合う前記第一下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第一上張り面材を前記第一下地部材に千鳥状に固定する第一上張り面材固定工程と、
長方形からなる複数の上張り調整面材を前記第二切返し下地部材及び前記第二下地部材に固定する上張り調整面材固定工程と、
隣り合う前記第二下張り面材同士の目地を覆いつつ、縦横寸法が長辺4a×短辺2aの長方形からなる複数の第二上張り面材を前記第二下地部材に千鳥状に固定する第二上張り面材固定工程と、を含み、
前記第一下張り面材と前記下張り調整面材との目地が、前記第一切返し下地部材に形成されるように固定し、
前記第一上張り面材と前記第二上張り面材との目地、並びに、前記第一上張り面材と前記上張り調整面材との目地が前記第二切返し下地部材に形成されるように固定することを特徴とする天井の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2013−32659(P2013−32659A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169822(P2011−169822)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(000174884)三井ホーム株式会社 (87)