靴の歩数計測具
【課題】 歩いたり走ったりする動作で無電源で起電し、既存する靴を何ら加工することなく、その靴の狭いスペース内に起電部や圧力検出部を設けて如何なる靴にも装着でき、その起電した電気や圧力を検出して歩数や走数を計測する従来に無い「靴の歩数計測具」を提供すること。
【解決手段】 歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力が加わると、その圧力によって起電する起電部や圧力変化を検出する圧力検出部を靴内の狭いスペース内に平板状に設け、足を踏み下ろす圧力で起電する電気や圧力変化の信号を靴の外側へと給電する配線材を設け、その配線材に靴の外側で歩数計測部を接続して計測する。その配線材は固定具や固定式配線材によって靴の所望の開口部分や部位に固定して装着できる。
【解決手段】 歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力が加わると、その圧力によって起電する起電部や圧力変化を検出する圧力検出部を靴内の狭いスペース内に平板状に設け、足を踏み下ろす圧力で起電する電気や圧力変化の信号を靴の外側へと給電する配線材を設け、その配線材に靴の外側で歩数計測部を接続して計測する。その配線材は固定具や固定式配線材によって靴の所望の開口部分や部位に固定して装着できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製の靴に装着して歩行や走行での足踏みの動作を検出し、その歩数や走数を計測する靴の歩数計測具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体に装着して体の動きを検出して歩数を計測する歩数計があるが、体の動きには歩く運動の他にも様々な運動があり、そのためその歩く以外の動きを誤って検出して測定誤差も起きていた。そこでその測定誤差を無くす発明として、圧電素子の出力を検出して歩数を計測する考案として、例えば実開平5−93209号公報が提案されている。しかしその考案の問題点として、まず靴に圧電変換素子や計数装置を取り付けた構成であるが、その装置を取り付けて加工した靴を履かない限り歩数計測ができなかった。そして靴に圧電変換素子や計数装置を取り付けるには、実際に製作するのが非常に困難であり、その実施には実際の靴内に取付ける収容スペースの問題、製作上かなりコスト高になる問題、靴を洗濯できない問題、さらに歩数を計測するには必ずその歩数計測装置を取り付けた靴を履かなければならなく、靴が消耗した場合は計測するにはまた同じ靴を買わなければならない等の問題があった。また実開平5−93209号公報の構成に関しては、靴底上に設ける実際の圧電変換素子の構造が示されてないが、実際に圧電セラミックでなる圧電変換素子単体を靴底上に設けた場合、その圧電変換素子上に加わる荷重でその圧電変換素子は割れてしまうため、実際には実施できない問題もあった。
【0003】
また靴内に圧力を検出する圧力検出センサを設けて、その圧力検出センサに加わる圧力の変化を検出して歩数をカウントする提案もされており、例えば特開平2007−300951号公報で提案されてるが、実際に靴内に圧力センサや衝撃センサや足の動きを検出するための装置や電源、さらにそれらを各接続して繋げる配線を設けるには、靴内には次に列挙する過酷な条件があり、実際に実施できない問題があって、例えば提案の特開平2007−300951号公報には実際どう設けるのかその構成が全く示されてない。
1)靴を履いて足を入れる靴内は非常に狭い空間であり、その非常に狭い空間内に圧力センサや衝撃センサや足の動きを検出するための装置や電源、さらにそれらを各接続して繋げるための配線を靴内に設けるには、狭い靴内では実際には実施できない。
2)靴内は歩いたり走ったりする足の動きで、常に靴全体にあらゆる方向への圧力が加わるため、靴内で接続して繋げた配線にはもろにその圧力による張力が加わるため、靴内で配線した各接続部分が非接触になったり断線したり、コネクタ接続にあっては接続部分が非接触になったり断線したり接触不良を起してしまう。
【0004】
この靴内での配線の問題については、実開昭60−155302号公報、実開昭60−155305号公報、実開昭60−83401号公報でも具体的に詳述されてるが、靴内に設けて配線するリード線には靴を履いて様々な運動(歩き、走り、飛び跳ね等)をすると、そのリード線とセンサ部分との直結した接続部分には張力が直接加わるため、その直結した接続部分で断線や接触不良等を起こし易く、靴内で実際に配線して実施することは非常に難しかった。これについて実際の歩数で考えると、1日1万歩歩くと10日で10万歩、100日で100万歩、1年で365万歩歩くことになり、従って靴内にはこの歩きの動作によって1年間に365万回圧力が加ることになり、そしてそのリード線をセンサ部分と直結した接続部分では、少なくとも数10万回以上は張力が加わることになる。従って靴内で実際にリード線を配線して実施するのは非常に難しく困難であった。
【0005】
また靴内は非常に蒸れて湿気が多いため、その靴内でリード線を配線して接続する接続部分は、その接続部分が錆びて接触不良を起し易く、さらに前記したようにそのリード線とセンサ部分の直結した接続部分や、又はコネクタ式にしてリード線とセンサ部分の接続部分をコネクタで接続固定した部分には、やはりその直結した部分や、コネクタで接続した接続部分(コネクタハウジング内のコンタクトピンとリード線とを接続固定した部分)には靴の動きで張力が加わるため、前記のようにその接続した接続部分で断線や接触不良や非接触が起き易く、そのため実施が非常に難しかった。
3)靴内に例えば小さな小石が入っても痛い思いをして違和感があるように、靴内に実際に違和感が無いように圧力センサや足の動きを検出する装置や電源を設けることは非常に困難で実施が難しかった。
【0006】
【表1】
【0007】
前記したように靴内に圧力を検出する圧力センサや衝撃センサを設ける場合において、その取付けて加工した靴を履かない限り、歩数計測ができないなどの問題があったし、そして表1に示すように従来の靴に設けた歩数計測具では、歩きも走りも総て歩きの歩数として検出して計測してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−93209号公報
【特許文献2】特開平2007−300951号公報
【特許文献3】実開昭60−155302号公報
【特許文献4】実開昭60−155305号公報
【特許文献5】実開昭60−83401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述した従来の問題に鑑みて発明したものであり、歩いたり走ったりする動作によって足踏みすることで、その足の裏に加わる荷重(圧力)で起電する起電量の大きさを検出する起電部や、その荷重(圧力)による圧力の変化を検出する圧力検出部を靴内の靴底上に着脱式に設け、既製の靴に何ら加工することなく、既製の靴の狭いスペースの靴底上に平板状に設けることで、如何なる既製の靴にも着脱可能に装着でき、そして歩いたり走ったりする動作で足の裏に加わる荷重(圧力)で起電する起電量の大きさや圧力の変化を計測し、そして靴内で断線や接触不良や非接触の不具合が起きることなく、そして歩数や走数を完全に分離して計測できる従来に無い「靴の歩数計測具」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するために、歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力(荷重)が加わると、その圧力(荷重)によって起電する起電部を靴内の狭いスペースの靴底上に、その起電部が設けられるように平板状に形成し、その平板状に形成した起電部上に足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力に追従して起電部の圧電体が歪んで起電でき、その起電部で起電した電気を靴の外側へと給電する配線材を設けて、その配線材に歩数計測部を接続して計測するようにした構成であり、その給電する配線材を靴内の空いたスペース内に配線し、その配線材を靴の所望する開口部分に固定具によって固定させることで、既製の靴に着脱可能に装着できるようにした構成である。また靴の所望の開口部分に挟んで固定して且つ給電もする固定式配線材を設けて、既製の靴にその固定して且つ給電する固定式配線材によって着脱可能に装着できるようにした構成である。
【0011】
平板状の起電部を構成するのに、その起電部は可撓性がある平板状の基板上に平薄状の圧電体を設けた圧電起電部で構成して実施でき、その平板状の基板上に足を踏み下ろす圧力が加わってその基板が圧力で撓んで変形することで、その変形に追従して基板上に設けた平薄状の圧電体も撓んで起電できる構成である。
【0012】
また、歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力(荷重)が加わると、その圧力(荷重)による圧力の変化を検出する圧力検出部を、靴内の狭いスペースの靴底上に設けられるように平板状に形成し、その平板状に形成した圧力検出部上に足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力によって出力検出部で出力変化を検出でき、その圧力検出部で検出した出力変化の信号を靴の外側へと通電する配線材を設けて、その配線材に歩数計測部を接続して計測するようにした構成であり、その通電する配線材は靴内の空いたスペース内(空間内)に配線し、その配線材を靴の所望する開口部分に固定具によって固定させることで、既製の靴に着脱可能に装着できるようにした構成である。また靴の所望の開口部分に挟んで固定し且つ通電もする固定式配線材を設けて、既製の靴にその固定して且つ通電する固定式配線材によって着脱可能に装着できるようにした構成である。さらに歩きや走りによる足踏みによって、起電部で起電する起電量の大きさや圧力検出部の圧力の変化を、それぞれ歩数と走数を各分離して検出して計測する構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の「靴の歩数計測具」は、如何なる既製の靴でも何ら加工することなく、そしてどんな狭い靴内でも靴底上に起電部や圧力検出部を載置して起電量や圧力変化量を検出でき、そして固定具や固定式配線材によって靴に着脱可能に固定して装着できて実施できる。そして本発明の「靴の歩数計測具」は装着する人が所望する靴の開口部分に装着できるため、その装着する位置を後方や側方に任意に設定できる。そして起電部を設けた構成にあっては、無電源で起電する起電気を計測できるため、その計測するための電源電池の消費を抑えて寿命をかなり長くできる。また本発明の起電部及び圧力検出部は平板状で嵩張らず、上からの圧力(荷重)や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができるため、その力を吸収して衝撃力を和らげるクッションの役目を果たす効果があり、そして既製の靴に着脱可能に装着して実施することができる。また本発明の構成によって歩く時と走る時のそれぞれその圧電起電部の起電量の大きさや、圧力検出部に加わる圧力(荷重)の圧力変化量を検出でき、予めその起電量や圧力変化によるその検出量を歩きや走りの起電量や検出量として設定しておくことで、歩数と走数をそれぞれ各分離して計測できる。これは従来の携帯する歩数計や靴に装着する歩数計測具の構成では、各分離して計測することは全くできなかったことである。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例の構成を図面を基に詳細に説明する。図1、図2は本発明の「靴の歩数計測具」の実施例の全体図を示し、図3は本発明の「靴の歩数計測具」の起電部の各構成の実施例を示すものである。
【0015】
図1において、起電部2の外形を略円状で平板状に形成し、その起電部2で起電する電気を給電する配線材3を接続して具備し、その配線材3として靴内から靴の外側へと給電する平行2芯ケーブルを約10cmの長さに形成し、その配線材3を靴の所望の位置に固定する固定具4としてクリップ4aを設け、そのクリップ4aの端部に図13(a)で示す歩数計測部6を具備した筐体5を一体にして設ける。そのクリップ4aの内側に溝4dを形成してその溝4dに配線材3を嵌合して設け、その配線材3の先端を筐体5内に挿入して歩数計測部6に接続する。固定具4としてはクリップ4aを適当に可撓する樹脂材等でU字状に形成することで、靴の所望の淵に挟んで固定できる。
【0016】
図1(b)はクリップ4aが通常の負荷をかけてない状態を示しており、そのクリップ4aは可撓性があるため、矢印の方向へ撓ませて図1(c)の状態にすると、クリップ4aは図1(b)の元の形状に戻ろうとして常に内側へと戻ろうとする力が加わる。そのため靴の開口の淵にクリップ4aで挟むことで、その可撓性の性質で挟んだ状態で固定できる。尚、本実施例ではクリップ4aと筐体5を一体型に構成したが、クリップ4aと筐体5を別体にして構成して実施してもよい。
【0017】
図4は、図1で示した本発明の「靴の歩数計測具」の実施例の構成を、実際に既製の靴に固定具4のクリップ4aで挟んで装着した状態を示すものである。図のようにクリップ4aを靴の開口の淵に挟ませることで、前記したクリップ4aの可撓性によって、その淵に挟んでしっかり固定でき、図4(b)に示す状態で固定できる。
【0018】
図5は、図1に示した本発明の「靴の歩数計測具」を靴に装着した状態の縦断面図を示す。図5(a)に示すように、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2及び後述する圧力検出部13が平板状であり、平薄に形成することで靴内の狭いスペースの靴底上に載置して装着することができ、そして実際に靴を履いて歩いても邪魔にならないし違和感が無い。そして図5(b)の靴を履いた状態であると、踵が起電部2上に載った状態で歩いたり走ったりする度に、平板状の起電部2上に体の荷重が加わり、その荷重で起電部2を構成する圧電起電部2Aの圧電体2bにはその圧力で歪みの変形が起き、その歪みの変形によって圧電体2bから起電流が発生する。その実際の起電原理については図7で後述する。尚、図1の構成において、クリップ4aはアルミ等の金属板や樹脂材で形成してもよい。
【0019】
次に本発明の「靴の歩数計測具」の装着について、図4(c)に示すように靴の開口した淵の側方(X)と後方(Z)の所望の位置にクリップ4aを挟んで固定することができる。そのためその固定する位置によって、側方(X方向)又は後方(Z方向)で計測した歩数を確認できる。尚、図4(c)の実施構成においては、起電部2を靴の底面上に貼って固定した状態で、配線材3を予め長めに形成しておくことで、図5(b)に示す様に踵の後ろで靴内の後端域の空いたスペース内(空間内)に、その長めの余った配線材3を沿わすことができ、そして固定具4の固定位置を所望の位置で固定して装着できるようになる。この構成であれば配線材3と起電部2との接続部分と配線部分が靴内の空いたスペース内にあるため、靴内で様々な足の動きによる圧力が生じても、配線材3の接続部分には張力が加わることが無く、靴内で配線材3が断線したり接触不良になることが無い。また固定具4によって固定する場合、特にクリップ4aによって靴の所望位置に挟んで固定する場合は、靴の開口した淵以外に靴紐を結ぶ部分や足の甲当て部分に固定して装着してもよいし、また靴内の空いたスペースは、踵の後ろで靴内の後端域以外に、靴内の前方や側方の空いたスペースを利用しても良い。
【0020】
図2は、本発明の「靴の歩数計測具」の固定具4の他の実施例の構成を示すものである。図2(a)(b)は、固定具4として係着材4bで構成し実施するもので、歩数計測部6を内蔵した筐体5の裏面に係着材4bを具備した構成である。その係着材4bとしては、例えば接着材を塗付しておき、その接着材面から剥離紙を剥がして靴の所望の位置に、その係着材4bを接着させて実施してもよいし、また図2(b)に示すように、互いに係着する係着材4b、4bを具備しておき、図6に示すように、靴の所望の位置に一方の係着材4bを適当な大きさで貼っておき、もう一方の係着材4bをその係着材4bに互いに係着させて実施してもよい。この構成であれば、係着材4bを係着させる位置を一方の係着材4bの大きさによって幾らか可変でき、筐体5の位置を適当に可変して固定できる。ここで互いに係着する係着材4b、4bとしては、例えば面ファスナーやマグネット同士やマグネットと鉄板等で実施できる。図2(c)(d)は、固定具4としてテープ材4cで構成して実施するものである。テープ材4cを縦幅8cm、横幅2cm位の大きさに形成し、そのテープ材4cで配線材3を覆い靴の淵の内側から外側にかけて貼り付けて固定するもので、この固定方法であれば配線材3に遊びが無くしっかりと固定できる。このテープ材4cの実施方法としては、例えばテープ材4cから剥離紙を剥がして靴の淵に貼って固定することができる。テープ材4cとしては、例えばビニルテープ、布粘着テープ、アルミ箔テープ等で実施できる。その他の実施例としては、固定具4として配線材3の面上に予め塗付した接着材を具備した構成にして実施してもよい。
【0021】
図3は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2におけるその各実施例の構成を示すものである。「靴の歩数計測具」を構成する起電部2は、その起電する平板状の構成として圧電起電部2Aでなり、その圧電起電部2Aは図8に示す構成で実施でき、その圧電起電部2Aの構成について次に詳述する。本発明を構成する図8(a)(b)に示す圧電セラミックでなる圧電起電部2Aは、適当な厚みで可撓性があり好ましくは金属板でなる平板状の基板2aで構成し、その基板2aの面上に設けた適当な大きさと厚みでなる平薄状の圧電体2bと、その圧電体2bの上面に電極面2cを設けて構成した構造である。一般に圧電セラミックの圧電体は弾性が無く強い衝撃や曲げによって割れてしまうが、その圧電セラミックを平薄状に形成することで、その平薄状に形成した圧電セラミックにはある程度弾性が出て、ある程度まで割れずに曲げることができる。そのため図8(a)(b)に示す構造にして、平板状で可撓性のある金属板でなる基板2a上に、圧電セラミックの圧電体2bを平薄状に設けることで、その圧電体2bが割れない範囲内で撓ませて起電させることができる。そのため本発明を構成する圧電起電部2Aは、可撓性がある基板2aとその面上に平薄状に設けた圧電体2bによって構成することで、適当に撓んで割れずに曲げられ、その構造は非常に平薄状に構成できて嵩張らずに上からの圧力や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができ、そしてその力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たすことができるため、靴内の靴底上に設けても違和感が無く実施できる。従って圧電起電部2Aを構成する可撓性がある基板2aによって、次の3つの効果を奏することができる。基板2aが持つ可撓性によって若干撓む変形をすることで、その基板2a上に設けた圧電セラミックの平薄状の圧電体2bも、その若干の変形に追従して撓む変形であるため、その圧電セラミックを割れずに曲げる変形をさせて起電できること。可撓性のある基板2aによって上からの力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たすこと。図7の起電の原理で後述するように、可撓性のある基板2a上に設けた平薄状の圧電体2bが内側に撓んで起電した後、その可撓性がある基板2aの性質によって自力で元の形状に戻る変形が起き、その元の形状に戻る変形によっても起電できること。
【0022】
本発明の実施例として圧電起電部2Aを構成する基板2aは、適当な厚みで可撓性がある金属等で構成でき、実施例としては黄銅、アルミ、銅や、合金でなる42ALLOY等で実施できる。また基板2aを薄いプラスチック材で、その面上にアルミ蒸着して形成したり導電性のカーボン等を成膜して構成してもよい。また基板2a全体を導電ゴムや導電性プラスチック材で形成して構成してもよい。基板2aの厚みとしては適当に撓んで可撓性を持つ厚さであればよく、金属板で形成した場合は実施例として、その金属の材質にもよるが実施例として2〜1mm以下から0.5〜0.3mm以下で、0.2mm以下であればさらに良い。圧電体2bを形成する圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の他に、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等を焼結して分極処理したもので構成でき、実施例として0.2〜0.06mmの厚みで実施できる。また図8(a)(b)に示す圧電体2bを圧電フィルムで構成してもよく、圧電フィルムとしてはフィルム状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)等で構成して実施できる。いずれの物質も圧力を加えることで、物質内に電気分極が生じて起電流を発生する。また圧電フィルムで実施する場合、図8(c)に示すように圧電体2bを圧電フィルム単体で構成し、その圧電フィルムの両面に電極面2cを設けて構成してもよい。また圧電フィルムの面に電極面2cを設けず直接導電性の基板2aを接面させて構成してもよい。また図8(d)に示すように、圧電フィルム全体を樹脂で内包した圧電起電部2Aで構成してもよい。その端部から突出させた電極からは起電した起電気が出力される。
【0023】
図3で本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2の各実施例を順に説明する。図3(a)は、起電部2が圧電起電部2Aだけでなる構成である。圧電起電部2Aの構造は前述した通りであり、配線材3の先端に露出した各芯線を基板2aと可撓性を持つ電極板2Bの面に、それぞれはんだ付け等で接続しており、その接続した電極板2Bの面と圧電体2bの電極面2cを互いに接面させて構成したものである。この図3(a)の構成で、図5に示すように靴の底面上(靴底上)に載置して設けても、靴底には元々若干弾性があるため、基板2aと電極板2Bはその可撓性によって、踵から受ける荷重を吸収して適当に撓む変形が起き、その撓む変形に追従して圧電体2bも適当に撓む歪みが起きて起電でき、本発明はこの構成で実施できる。尚、前記電極板2Bに配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続する替わりに、圧電体2bの電極面2cに直接配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続して構成してもよく同様に実施可能である。また図8(c)に示した圧電フィルムの電極面2cや、図8(d)に示した電極に配線材3を各配線して構成し実施することもできる。図3(b)は、図3(a)で示した構成にさらに弾性がある上敷き2Dを重ねて設けて構成するものである。この構成であれば弾性がある上敷き2Dによって、さらに踵から受ける荷重を吸収できるため、実際に靴内に載置して履いた状態でも違和感無く実施できる。図3(c)は、図3(b)で示した構成にさらに弾性のある下敷き2Eを下に重ねて、その下敷き2E上に電極板2Bを配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続し構成したものである。この構成であれば弾性のある上敷き2Dと下敷き2Eによって、さらにもっと踵に加わる荷重を吸収できるため、実際に靴を履いてても全く違和感が無くさらに心地良い感じも得られる。弾性のある上敷き2D及び下敷き2Eとしては、ゴム材や発泡プラスチック等で実施でき、その厚みも例えば0.5〜2mm程度で実施できる。尚、図3(b)で示した構成において、上敷き2Dを設ける替わりに、下敷き2Eのみ基板2aの下に設けて構成して実施してもよい。図3(d)は、上敷き2Dと下敷き2Eを導電性ゴムで構成して実施するものである。導電性ゴムは弾性と導電性があるため、その導電性ゴムでなる上敷き2Dと下敷き2Eに配線材3の各芯線を接続し、その上敷き2Dと下敷き2Eによって圧電起電部2Aをサンドイッチ状態に挟んで構成することで、下敷き2Eの上面と基板2aの下面が接面して導通状態になり、同様に上敷き2Dの下面と圧電体2bの電極面2cとが接面して導通状態になり、その上敷き2Dと下敷き2Eから直接通電できて実施できるため、はんだ付け等の工程が無くなり製作が非常に簡単にできる。尚、この構成で上敷き2Dと下敷き2Eとを互いに絶縁状態にするため、それより若干大きめの紙等でなるドーナツ形状の絶縁材2Cを図のように介在させて設けている。この絶縁材2Cによって、その中央に開口した部分から上敷き2Dの下面と電極面2cのみが電気的に導通状態に接面することになる。尚、各起電部2の構成で各圧電起電部2Aを上下逆さまにして、圧電体2bと電極面2cが下向きで、その上に基板2aが上向きになるように、図3(a)〜(d)で示す各起電部2の構成を上下反転して構成して実施してもよい。また本発明を構成する起電部2の外形の形状も、実施例で示した略円形に限らず角形状でも良いし、図11に示す中敷き(インソール)に形成して実施してもよい。また靴内に載置して設ける起電部2の位置も、踵が当接する位置に限らず土踏まずからつま先の間で当接するように載置して設けても良い。また本発明の構成はサンダルやスリッパにも装着できるため、本発明の「靴の歩数計測具」はサンダルやスリッパ等も対象に含まれる。
【0024】
図13(b)及び図7は、本発明の起電原理を示すものである。図13(b)は圧電起電部2Aで起電する原理を示し、図7は図3(d)で示した起電部2によって起電する原理を示すものである。図13(b)において、歩行動作で踏み下ろす下方向の矢印で示す荷重(圧力)が、基板2a上に設けた圧電体2b上に加わると、その圧電体2bに撓みの歪みが起きると同時に、荷重(圧力)に比例した圧電体2bから起電流i(→)を発生する。そしてその歪ませた圧力を取り去ると、基板2aが持つその可撓性の性質によって基板2aは元の形状に戻り、それに追従して圧電体2bも元の形状に戻るため、同時にその際に逆向きの起電流i(←)を発生する。この起電原理によって、図5(b)に示すように靴を履いて歩いたり走ったりすると、図13(b)に示すように、足を踏み下ろすごとに踵から受ける体重(荷重)によって、圧電起電部2Aにはその体重によって下方向の矢印の荷重が加わり、基板2a及び圧電体2bには若干外側に撓む歪みが起き、その歪みの変形によって圧電体2bが起電して起電流i(→)を発生する。そこでこの起電した起電流を図13(a)で示す歩数計測部6が検出して、その起電流をカウントすることで歩数に換算して計測できる。図13(b)の実施例では、足を上に上げた時に起電する逆向きの起電流i(←)を検出して計測する構成になっている。
【0025】
図7は、本発明の「靴の歩数計測具」によって、ウォーキングの歩数とジョギングやランニングの走数を分けて検出し計測する原理を示すものである。まず図17においてウォーキングの歩く動作と、ジョギングやランニングの走る動作について、その歩く動作と走る動作の違いについて具体的に検証して比較する。まず歩く動作においては、片足を上げて着地する時には必ず両足が地に着いた状態になるため、その状態ではその片足には体重(m)の約半分の荷重(m/2)が加わっている。次に歩く動作でもう一方の片足を上げると、片方の片足には全体重(m)が加わり、次にもう一方の片足を下ろすと再び両足が地面に着いた状態になり、片方の片足には再び荷重(m/2)が加わる。そして次に片方の片足を上に上げると、その片方の片足には体重(荷重)は全く加わらず荷重(m=0)となる。すなわち歩いてる時の体重によって片足の足の裏に加わる荷重をF1とすると、図17(b)に示すようにF1=(m/2)→(m)→(m/2)→(0)→(m/2)→(m)→(m/2)→(0)の変化を繰り返す。
【0026】
次に走る動作においては、走ってる間の片足で地面を蹴った後は着地時には必ずもう一方の片足だけが地面に着地するため、その状態ではその片足の足の裏には全体重の荷重が加わる。そしてジョギングやランニングの走ってる時に、片足の足の裏に加わる荷重をF2とすると、その走る動作で足を踏み下ろして片足に加わる荷重(圧力)F2は、体が一旦空宙を飛んで着地するため、
F2=m+mg(F:力、m:体重、g:重力加速度)の式で表すF2が加わることになり、F2=(m+mg)→(0)→(m+mg)→(0)の変化を繰り返す。そしてF2=m+mg=m(1+9.8)=10.8mであり、足の裏に加わる荷重は歩く時に加わるF1より、走ってる時に加わる荷重F2の方が約10倍大きくなる。特に走ることで加わる重力加速度F=mg分については、圧電電子ライターでその圧電体に加速度をつけて衝撃力を加えると大きな起電量が得られるように、それと同じ原理で重力加速度F=mg分のFがさらに加わることで大きな起電量が得られる。そのため歩く動作で足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)をF1として、走る動作でその足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)をF2とすると、各最大値はF1=m、F2=m+mgであるため、F1とF2の中間域の値をTとすれば、F1<T<F2、T=(F1+F2)/2が成立ち、Tをしきい値(スレッシュホールドレベル)として歩数と走数を完全に分離でき、そして足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)Tの時に起電する起電量を予めisとして、実際に測定した起電量の測定値をiとすれば、i<isの時は歩いてる時で、is<iの時は走ってる時として完全に分類して各測定できる。そのため足の裏に設けた圧電起電部2Aで起電する起電量iの変化を常に測定することで、それぞれ歩数と走数に換算でき、走る動作時には歩く動作時に比べて必ず起電量がi<ni(数倍以上)になるため、この起電する起電量(起電流)iの大きさを歩数計測部6で計測して、その起電量iの大きさで分類することで、歩数と走数に各分離して計測できる。尚、前記の計測した起電量isを比較回路で歩数と走数に2分化してもいいが、ジョギングとランニングとを比較した場合、ランニング時の方が着地時に足の裏に加わる荷重が大きいため、その分起電量isが大きくなることから、走数をジョギング数とランニング数にさらに分けるように、起電量isを比較回路で3分化して歩数(ウォーキング数)と走数(ジョギング数とランニング数)に各分類して計測しカウントするようにしても良い。
【0027】
前述したように本発明の歩数と走数を各分類して計測する構成は、人間が歩いて進む動作と走って進む動作において、その足の裏に加わる荷重の変化を検出するものであり、特に本発明者は歩きでは着地時は必ず両足で着地するのに対して、走りでは必ず片足で着地することに着目して本発明を発明したものであり、人間が2足で速く前に進むためには、まず片方の足で強く地面を蹴り、それによって体を前方へと空宙を飛ばせて移動することで、着地時には必ず片足のみで着地するため、その片足で着地する時にはその足の裏に体重(m)と重力加速度(mg)分のF=m+mgの荷重(圧力)がさらに加わることになり、歩きと走りの違いをこの足の裏が受ける荷重(圧力)の差によって分離して検出できるもので、本発明はまさに自然法則を利用して歩きと走りの違いを検出して計測する構成の発明である。そして従来の歩数計測具では走ってる時も総て歩きとして検出してカウントするため、歩数と走数を分類することなく両方を歩数として計測してたものであり、そのため正確な歩数だけを測れなかった上に、走数を歩数と分離して測れなかった。特に加速度センサでは誤差が大きく歩数と走数を正確に分離しては測るのは困難であった。
【0028】
本発明の構成において、歩きと走りのどちらの動作においても、一旦地面に足を下ろした足を再び上に持ち上げると、それまで足の裏から圧電起電部2A上に加わってた荷重(圧力)が無くなり、同時に基板2aに加わってた荷重(圧力)も無くなるため、それによって可撓性があるその基板2aは自力で元の形状に戻るため、その基板2aが元の形状に戻るのに追従して圧電体2bも元の形状に戻るため、図7(a)の状態に戻ることで、この足を下ろしてから足を上げる動作の間で逆向きの起電流(←)が流れる。そのため図13(b)に示すように、一方向に流れる起電流i(→)でLEDを点灯させて、逆方向に流れる起電流i(←)を1歩数又は1走数として歩数計測部6で計測することが可能である。
【0029】
図9は、図3で示した起電部2の構成で、足を下ろした時に基板2aと一体の圧電体2bが大きく屈曲し、大きな起電量が得られるようにした構成である。その実施例の図9(a)(b)(c)において、基板2aの下面と下敷き2Eの上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚適当に離して平行に介在させ構成したものである。その構成で足を踏み下ろせば、図のように基板2aと下敷き2Eとの間に隙間があるため、その隙間分基板2aが大きく屈曲し、同時に一体の圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。もうひとつの実施例の図9(d)(e)(f)は、下敷き2Eの下面と靴7の上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚適当に離して平行に介在させて構成するものである。この構成にして足を踏み下ろせば、図のように下敷き2Eと靴7との間に隙間があるため、その隙間分下敷き2Eとその上に載置した基板2aが大きく屈曲し、同時に圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。ここで介在する挿入板2Fの厚みとしては、実施例として0.5mm〜1.0mm位で実施できる。また図9(d)(e)(f)の構成で、挿入板2Fの左右2枚を一体に繋げる図示しない板で連結して構成してもよい。
【0030】
図10は、図2で示した本発明の「靴の歩数計測具」において、靴への他の装着方法の実施例の構成を示したものである。起電部2で起電した電気を給電する配線材3として、適当に硬くて剛性がある金属でなる固定式配線材3Aで構成したものである。金属の性質として適当に剛性や可撓性があり、ある程度撓ましてもその剛性や可撓性によって元の形状に戻りその形状を保持する性質がある。そのため前実施例で示した配線材3を固定具4によって靴に装着する替わりに、適当に剛性や可撓性がある金属を導電線でなる固定式配線材3Aで給電する配線材3として構成することで、靴の縁にその固定式配線材3Aのみを挟んで固定して装着できて本発明を実施できる。固定式配線材3Aによる靴への固定方法としては、予め真直ぐな形状の固定式配線材3Aを靴の縁に合わせて屈曲させて挟んで固定してもよいし、又は予めクリップ形状に曲げておいた固定式配線材3Aを靴の縁に挟んで固定させて装着してもよい。この固定式配線材3Aは起電部2で起電した電気を給電する役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、靴の外側で歩数計測部6に接続させる3つの役目を果たすことができ、この固定式配線材3Aによって実施が非常に容易になる。その実施例の構成としては、給電する配線材3全体を固定式配線材3Aにして構成してもよいし、靴の縁に固定させる部分のみ固定式配線材3Aで構成してもよい。固定式配線材3Aを形成する導電性のある金属材としては、実施例として適当に剛性がある鉄材やアルミ材等で実施でき、その固定式配線材3Aの形状も図のように平薄状の短冊状でもよいが、断面が丸い線状でもよい。また固定式配線材3A全体を導電性があるプラスチック材やカーボン材で平板状に構成して実施してもよく、さらに固定式配線材3Aを適当に可撓性があるプラスチック材で形成し、そのプラスチック材に通電する電線を沿わせて設けても良いし、そのプラスチック材内に通電する電線をモールドさせて設けても良い。いずれの構成も靴内で電線のみ露呈させずに構成できるため、この構成であればその電線には靴の動きによって張力が及ぶことが全く無い。図10に示す実施例の構成では、固定式配線材3Aの先端にコネクタ10が設けられており、筐体5に設けたコネクタ10と抜き差し式にして靴の外側で装着して実施できる。
【0031】
図11は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する圧電起電部2Aを中敷き内に設けた実施例の構成である。図11(a)において、歩数計測部6を具備した筐体5にコネクタ10を設けてあり、さらに筐体5にパソコンにデータを転送するUSB端子11を設けてある。この構成で筐体5のコネクタ10を抜いて筐体5を取り外し、このUSB端子11をパソコンに接続することで、計測した歩数(又は走数)データをパソコン上で日々管理できる。また筐体5とは別体の記録媒体9を用意しておき、その記録媒体9を媒介にして計測した歩数(又は走数)データをパソコンに送って、パソコン上で日々管理することもできる。記録媒体9としては実施例としてSDカードで実施できる。またパソコンへのデータの転送方法としては、記録媒体9以外に赤外線送信やブルートゥース送信による無線送信させても良い。
【0032】
図11(b)(c)は本発明の「靴の歩数計測具」を構成する圧電起電部2Aを中敷き内に設けたもうひとつの実施例の構成である。図11(b)はその上面図を示し、図11(c)はその裏面から見た図である。中敷き12内に圧電起電部2Aを設けて、その圧電起電部2Aの各電極に平薄状の接続電極面2Gを接続して、その接続電極面2Gを中敷き12の裏面まで折り曲げて伸ばして、図のように貼り付けて構成したものである。この構成であれば、この構成の中敷き12を靴内に敷くだけで、図12で図示する固定式配線材3Aの電極面と接面するだけで電気的に接続して通電(給電)できる。図11に示す接続電極面2Gは例えば平薄状のアルミ箔等で構成して実施できる。
【0033】
図12は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する固定式配線材3Aの実施例の構成を示すものである。適当に剛性や可撓性があって且つ導電性がある固定式配線材3Aを、図のような形状に形成して本発明を実施するものである。この固定式配線材3Aの先端部分に面状(図では半円状)の電極面を形成しており、その固定式配線材3Aを靴の淵に挟んで固定し、その面状(図では半円状)の電極面を靴底上に載置して、その上に図11で示した中敷き12の裏面に設けた接続電極面2Gの面に接面させて接続するだけで、起電部2で起電した起電流を靴の外へと給電できる構成である。この構成する固定式配線材3Aは前記と同様に起電部2で起電した電気を給電する役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、歩数計測部6を靴の外側で接続して固定させる役目の3つの役目を果たすことができる。これによって別体の歩数計測部6を内蔵した筐体5を着脱式に取り付けることができる。このためこの固定式配線材3Aによって、歩数計測部6を内蔵した筐体5ごと靴体から着脱式に固定式配線材3Aに取り外したり交換したりすることができる。また前記の面状にした接続電極面2Gと固定式配線材3Aの電極面とが互いに面接触による接続であるため、様々な足の前後左右の動きによって靴内に圧力が加わって変形し、接続電極面2Gと固定式配線材3Aとの互いに面接触する電極面が幾らかずれたとしても、さらにその電極面が足の裏から受ける上からの圧力が加わって互いに面接触する電極面が幾らかずれたとしても、その互いに面接触する電極面は互いに面と面とが接面した状態で接続してるため、前記の如何なる前後左右や上方向からの圧力が加わっても、互いに接面する接触面が互いにずれることでその圧力を吸収してしまい、その各圧力に全く影響されること無く給電(通電)を維持できる。従って従来靴の中にリード線(電線)を配線して構成した歩数計のように、断線や接触不良や非接触等の故障は本発明の構成では全く起こらない。また互いに接面する接触面を適当な面積にして形成できるため、その接触面が互いにいくらかずれたとしても、両者の間の接触抵抗は殆んど変らないし接触不良も全く起こらない。また互いの接触面が互いに適度にずれて擦れることで、その接触面は常に表面に錆ができ難くもなる効果もある。これが従来のように互いにリード線(電線)を接続して固定した構成であれば、様々な足の動きによってその電線には必ず張力が加わるため、断線や接触不良や非接触の故障が起き易かったし、湿気等によっても接触不良や非接触を起し易かった。そのため従来は実際に実施できなかったのが現状である。固定式配線材3Aとしては平板状のアルミや鋼材や導電性プラスチックやカーボン材等で形成して実施でき、前記したように固定式配線材3Aに電線を沿わせて設けても良いし、電線をモールドして設けても良い。そしてその電線の先には図3に示すように面状の電極板2Bを接続することで、その電極板2Bと接続電極面2Gとを面接触による面接続させて通電できる。尚、実施例として筐体5を固定式配線材3Aに抜き差し式に着脱できる構成以外に、その他の固定方法(嵌め込み式等)によって着脱させる構成にしてもよい。図12(a)(b)では固定式配線材3Aを靴の後方の淵で挟む構成になっており、図12(c)(d)では固定式配線材3Aを靴の側方の淵で挟む構成になってるため、靴を履く時には固定式配線材3Aは邪魔にならない。
【0034】
図13(a)は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する歩数計測部6内の実施例を示すものである。圧電起電部2Aで起電した起電流は計測部6aでパルス信号として計測(カウント)でき、その計測(カウント)した計測数は表示部6bで逐次表示される。またデータ格納部6dでは時計機能部6cと同期して時間ごとにデータが格納され、時間ごとや日ごとや週ごとに歩数や走数が格納される。次にデータ記録部6eではデータ格納部6dで格納したデータを記録媒体9に記録する。計測部6aで計測したパルス信号の大きさをA/D変換することで、図7(b)(c)で示した起電流の大きさによって、検出した起電流を歩数データと走数データとにそれぞれ分離して計測できる。そのため1日の間で或いは1週間や1ヶ月の間で歩いた歩数が何歩で、走った走数が何歩かも表示して管理できる。尚、人によって体重が異なるため、その人によって歩く時や走る時に起電部2に加わる荷重量と起電量が変るため、測定者の体重での変動を補正するため、操作部6fから測定者の体重を入力することで、その変動を補正して正確に測定することができる。そして測定者の測定した歩数や走数を記録媒体9やUSB端子11でパソコンに入力することで、日ごとや週ごとや月ごとに歩いた時間と走った時間、それぞれの距離、消費カロリー、脂肪燃焼量などを算出してそれぞれ管理できる。
【0035】
尚、歩数計測部6の電源としてはボタン電池やコイン型電池を設けて実施でき、その電池の消耗は前記の起電部2で起電した電気信号を検出して表示するのみの消耗であり、その電池の寿命を従来の歩数計と比べてかなり長く伸ばすことができる。また歩数計測部6の電源が振動や起電部2で起電した起電流を検出して電源が入るようにも構成でき、普段は電源OFFの状態にしておくことができる。また前記実施例で示した中敷き12及び上敷き2Dに足の裏を刺激する凸部を形成して構成しもよいし、その凸部から足の裏に電気的刺激を加えることもできる。また太陽電池と普通の電池を組合せ、昼間は太陽電池で駆動し、夜は普通の電池で駆動するように切替えて通電するようにしても良い。それによって普通の電池の消耗を極力抑えることができる。さらに普通の電池の替わりにバッテリーを設け、昼間太陽電池の電源を駆動してない時はその電源でバッテリーを充電しておき、夜はその充電したバッテリーの電源で駆動するようにしても良い。それによって特に電源供給しなくても半永久的に実施できる。
【0036】
前述したように本発明の「靴の歩数計測具」であれば、既製のどんな靴にでも装着でき、靴内に載置した平板状の起電部2によって歩きや走る動作の足踏みする動作で起電でき、その起電部2は圧電起電部2Aの起電によって無電源で検出して実施できる。本発明の「靴の歩数計測具」によって、従来の携帯する歩数計ではできなかった歩数と走数の両方を計測できる上に、足で踏む直接の動作で起電する電気信号を計数するため、測定誤差が全く無く実施できる。
【0037】
図14〜図16は、本発明の「靴の歩数計測具」を歩きや走る動作で足踏みする動作で、その足踏みする動作によって圧力の変化を検出する圧力検出部13を設けて実施する構成である。図14(a)(b)に示すように、圧力検出部13を平板状に形成し、靴内の狭いスペースの靴底上に載置して装着することで、実際に靴を履いて歩いても邪魔にならないし、違和感が無く実施できる。そして図5(b)に示すように、配線材3を圧力検出部13と接続して靴内の空いたスペースに設けて、配線材3に遊びをもたせて設けることで、靴内で様々な足の動きによる圧力が生じても、その配線材3に張力が加わることが無く、靴内で配線材3が断線したり接触不良や非接触になることが無い。そしてその配線材3を靴の外側へと配線して、その配線材3を靴の淵に固定具4で固定して装着でき、その配線材3に靴の外側で歩数計測部6を接続することで、前実施例と同様に既製の靴に装着して実施できる。図15(a)は圧力検出部13を中敷き12内に設けて実施する構成であり、その圧力検出部13に足を載せて足の裏から荷重(圧力)を加えると、その荷重(圧力)に追従して圧力検出部13に圧力が加わり、その圧力に応じた電気信号の変化を検出できる。この圧力検出部13は平板状で適当に弾性や可撓性をもたせて形成することで、足踏み動作で足の裏からの圧力を吸収でき、靴を履いてても違和感がなく実施できる。
【0038】
図14(c)(d)は、前実施例と同様に配線材3を固定具4によって靴に装着する替わりに、適当に剛性や可撓性がある金属の導電材でなる固定式配線材3Aによって構成するものである。前記と同様にこの固定式配線材3Aによって、圧力検出部13から歩数計測部6に検出信号を通電させる役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、靴の外側で歩数計測部6を接続して固定させる3つの役目を果たすことができる。
【0039】
図15は(b)(c)は、中敷き12内に圧力検出部13を設け、図11で示したのと同様に圧力検出部13の各電極に平薄状の接続電極面2Gを接続し、中敷き12の裏面まで折り曲げて伸ばし図のように構成したものである。この構成にすることで、前記の図12に示したように固定式配線材3Aの電極面と接続電極面2Gの電極面とを互いに面接触させるだけで電気的に接続でき、断線したり接触不良や非接触の故障が全く無く通電できる。
【0040】
図16は圧力検出部13によって歩数や走数を測定する構成を示したものである。前述のように歩きの動作と走りの動作によって、足を下ろして地面を足踏みしながら前進する際に足の裏から受ける圧力は、図7、図17で詳述した原理によって、歩きの動作より走りの動作で足の裏から受ける圧力(荷重)の方が重力加速度分が加わって約10倍大きいため、その圧力の有無や圧力の大小の差を圧力検出部13で検出することで、歩数や走数を各分離して計測(カウント)することができる。圧力検出部13は加わる圧力を検出する圧力センサで構成でき、その圧力検出部13を構成する圧力検出方式として、例えば感圧抵抗方式、静電容量方式、電磁誘導方式等で構成して実施でき、圧力を弾性体に加えて生じる弾性体の変形の変位を電気信号に変換する。その変換を検出するインピーダンスとしては抵抗、キャパシタンス、インダクタンスの3種類があり、感圧抵抗方式にあっては受ける圧力によって電気抵抗の変化を電気信号に変換し、その感圧抵抗方式には例えば金属抵抗歪みセンサや半導体抵抗歪みセンサがあり、金属抵抗歪みセンサにあっては細い金属線をベースとしたプラスチックフィルムや紙に貼り付けたワイヤゲージ、箔を貼り付けたファイルゲージ等で実施できる。いずれも平薄に形成できるため、本発明を実施するのに好適である。半導体抵抗歪みセンサは半導体の抵抗を利用するもので、金属よりは感度が高くできる。静電容量方式にあっては受ける圧力で発生する静電容量の変化を電気信号に変換することで実施できる。そして受ける圧力によって抵抗値の変化(増減)をホイートストン・ブリッジで結線して検出する構成にすることで、図16(b)に示す回路で圧力検出部13に電流や電圧を印加すると、受ける圧力に比例した出力電位差が生じて正確に測定できる。圧力を検出するセンサの材料としては、NiCu合金、半導体Si、セラミックや導電性ゴム等で実施できる。
【0041】
尚、本発明の構成は既製の靴に装着可能に設けて実施しても良いが、本発明の構成を最初から靴に設けておいて実施しても良い。従来の靴に歩数計測具を設けた構成では、前記したように大きく次の2つの問題があり、靴内にリード線を配線した構成であると、靴内に生じる圧力でリード線に張力が加わって断線、接触不良、非接触になり易い問題と、歩きや走りも総て歩きとして検出して計測してしまう2つの問題があったが、本発明の構成によってその2つの問題を解消した「靴の歩数計測具」を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の一部の縦断面図(c)(d)本発明の1実施例の縦断面図
【図2】(a)(c)本発明の1実施例の斜視図(b)(d)本発明の1実施例の側面図
【図3】(a)(b)(c)(d)本発明の1実施例の一部分解の斜視図
【図4】(a)本発明の1実施例の側面図と斜視図(b)本発明を実施した一部の側面図(c)本発明を実施した平面図
【図5】(a)(b)本発明の1実施例の縦断面図
【図6】本発明を実施した一部の側面図と斜視図
【図7】(a)(b)(c)本発明の1実施例の一部の縦断面図と回路図
【図8】(a)(c)本発明の1実施例の一部の側面図(b)(d)本発明の1実施例の一部の平面図
【図9】(a)(d)本発明の1実施例の一部の側面図(b)(e)本発明の1実施例の一部の平面図(c)(f)本発明の1実施例の一部の縦断面図
【図10】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の側面図
【図11】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)(c)本発明の1実施例の一部の平面図
【図12】(a)(c)本発明の1実施例の平面図(b)(d)本発明の1実施例の側面図と斜視図
【図13】(a)本発明の1実施例の一部のブロック図(b)本発明の1実施例の一部の側面図と回路図
【図14】(a)(c)本発明の1実施例の斜視図(b)(d)本発明の1実施例の側面図
【図15】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)(c)本発明の1実施例の一部の平面図
【図16】(a)本発明の1実施例の一部のブロック図(b)本発明の1実施例の一部の側面図と回路図
【図17】(a)本発明の歩きと走りの原理を示す側面図(b)本発明の原理で歩きと走りの時に加わる各荷重の変化を示す時系列図
【符号の説明】
【0043】
1 : 靴の歩数計測具
2 : 起電部
2A : 圧電起電部
2a : 基板
2b : 圧電体
2c : 電極面
2B : 電極板
2C : 絶縁材
2D : 上敷き
2E : 下敷き
2F : 挿入板
2G : 接続電極面
3 : 配線材
3A : 固定式配線材
4 : 固定具
4a : クリップ
4b : 係着材
4c : テープ材
4d : 溝部
5 : 筐体
6 : 歩数計測部
6a : 計測部
6b : 表示部
6c : 時計機能部
6d : データ格納部
6e : データ記録部
6f : 操作部
7 : 靴
8 : 足
9 : 記録媒体
10 : コネクタ
11 : USB端子
12 : 中敷き
13 : 圧力検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製の靴に装着して歩行や走行での足踏みの動作を検出し、その歩数や走数を計測する靴の歩数計測具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、体に装着して体の動きを検出して歩数を計測する歩数計があるが、体の動きには歩く運動の他にも様々な運動があり、そのためその歩く以外の動きを誤って検出して測定誤差も起きていた。そこでその測定誤差を無くす発明として、圧電素子の出力を検出して歩数を計測する考案として、例えば実開平5−93209号公報が提案されている。しかしその考案の問題点として、まず靴に圧電変換素子や計数装置を取り付けた構成であるが、その装置を取り付けて加工した靴を履かない限り歩数計測ができなかった。そして靴に圧電変換素子や計数装置を取り付けるには、実際に製作するのが非常に困難であり、その実施には実際の靴内に取付ける収容スペースの問題、製作上かなりコスト高になる問題、靴を洗濯できない問題、さらに歩数を計測するには必ずその歩数計測装置を取り付けた靴を履かなければならなく、靴が消耗した場合は計測するにはまた同じ靴を買わなければならない等の問題があった。また実開平5−93209号公報の構成に関しては、靴底上に設ける実際の圧電変換素子の構造が示されてないが、実際に圧電セラミックでなる圧電変換素子単体を靴底上に設けた場合、その圧電変換素子上に加わる荷重でその圧電変換素子は割れてしまうため、実際には実施できない問題もあった。
【0003】
また靴内に圧力を検出する圧力検出センサを設けて、その圧力検出センサに加わる圧力の変化を検出して歩数をカウントする提案もされており、例えば特開平2007−300951号公報で提案されてるが、実際に靴内に圧力センサや衝撃センサや足の動きを検出するための装置や電源、さらにそれらを各接続して繋げる配線を設けるには、靴内には次に列挙する過酷な条件があり、実際に実施できない問題があって、例えば提案の特開平2007−300951号公報には実際どう設けるのかその構成が全く示されてない。
1)靴を履いて足を入れる靴内は非常に狭い空間であり、その非常に狭い空間内に圧力センサや衝撃センサや足の動きを検出するための装置や電源、さらにそれらを各接続して繋げるための配線を靴内に設けるには、狭い靴内では実際には実施できない。
2)靴内は歩いたり走ったりする足の動きで、常に靴全体にあらゆる方向への圧力が加わるため、靴内で接続して繋げた配線にはもろにその圧力による張力が加わるため、靴内で配線した各接続部分が非接触になったり断線したり、コネクタ接続にあっては接続部分が非接触になったり断線したり接触不良を起してしまう。
【0004】
この靴内での配線の問題については、実開昭60−155302号公報、実開昭60−155305号公報、実開昭60−83401号公報でも具体的に詳述されてるが、靴内に設けて配線するリード線には靴を履いて様々な運動(歩き、走り、飛び跳ね等)をすると、そのリード線とセンサ部分との直結した接続部分には張力が直接加わるため、その直結した接続部分で断線や接触不良等を起こし易く、靴内で実際に配線して実施することは非常に難しかった。これについて実際の歩数で考えると、1日1万歩歩くと10日で10万歩、100日で100万歩、1年で365万歩歩くことになり、従って靴内にはこの歩きの動作によって1年間に365万回圧力が加ることになり、そしてそのリード線をセンサ部分と直結した接続部分では、少なくとも数10万回以上は張力が加わることになる。従って靴内で実際にリード線を配線して実施するのは非常に難しく困難であった。
【0005】
また靴内は非常に蒸れて湿気が多いため、その靴内でリード線を配線して接続する接続部分は、その接続部分が錆びて接触不良を起し易く、さらに前記したようにそのリード線とセンサ部分の直結した接続部分や、又はコネクタ式にしてリード線とセンサ部分の接続部分をコネクタで接続固定した部分には、やはりその直結した部分や、コネクタで接続した接続部分(コネクタハウジング内のコンタクトピンとリード線とを接続固定した部分)には靴の動きで張力が加わるため、前記のようにその接続した接続部分で断線や接触不良や非接触が起き易く、そのため実施が非常に難しかった。
3)靴内に例えば小さな小石が入っても痛い思いをして違和感があるように、靴内に実際に違和感が無いように圧力センサや足の動きを検出する装置や電源を設けることは非常に困難で実施が難しかった。
【0006】
【表1】
【0007】
前記したように靴内に圧力を検出する圧力センサや衝撃センサを設ける場合において、その取付けて加工した靴を履かない限り、歩数計測ができないなどの問題があったし、そして表1に示すように従来の靴に設けた歩数計測具では、歩きも走りも総て歩きの歩数として検出して計測してしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平5−93209号公報
【特許文献2】特開平2007−300951号公報
【特許文献3】実開昭60−155302号公報
【特許文献4】実開昭60−155305号公報
【特許文献5】実開昭60−83401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述した従来の問題に鑑みて発明したものであり、歩いたり走ったりする動作によって足踏みすることで、その足の裏に加わる荷重(圧力)で起電する起電量の大きさを検出する起電部や、その荷重(圧力)による圧力の変化を検出する圧力検出部を靴内の靴底上に着脱式に設け、既製の靴に何ら加工することなく、既製の靴の狭いスペースの靴底上に平板状に設けることで、如何なる既製の靴にも着脱可能に装着でき、そして歩いたり走ったりする動作で足の裏に加わる荷重(圧力)で起電する起電量の大きさや圧力の変化を計測し、そして靴内で断線や接触不良や非接触の不具合が起きることなく、そして歩数や走数を完全に分離して計測できる従来に無い「靴の歩数計測具」を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記した課題を解決するために、歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力(荷重)が加わると、その圧力(荷重)によって起電する起電部を靴内の狭いスペースの靴底上に、その起電部が設けられるように平板状に形成し、その平板状に形成した起電部上に足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力に追従して起電部の圧電体が歪んで起電でき、その起電部で起電した電気を靴の外側へと給電する配線材を設けて、その配線材に歩数計測部を接続して計測するようにした構成であり、その給電する配線材を靴内の空いたスペース内に配線し、その配線材を靴の所望する開口部分に固定具によって固定させることで、既製の靴に着脱可能に装着できるようにした構成である。また靴の所望の開口部分に挟んで固定して且つ給電もする固定式配線材を設けて、既製の靴にその固定して且つ給電する固定式配線材によって着脱可能に装着できるようにした構成である。
【0011】
平板状の起電部を構成するのに、その起電部は可撓性がある平板状の基板上に平薄状の圧電体を設けた圧電起電部で構成して実施でき、その平板状の基板上に足を踏み下ろす圧力が加わってその基板が圧力で撓んで変形することで、その変形に追従して基板上に設けた平薄状の圧電体も撓んで起電できる構成である。
【0012】
また、歩いたり走ったりする動作で足を踏み下ろす圧力(荷重)が加わると、その圧力(荷重)による圧力の変化を検出する圧力検出部を、靴内の狭いスペースの靴底上に設けられるように平板状に形成し、その平板状に形成した圧力検出部上に足を踏み下ろす圧力が加わることで、その圧力によって出力検出部で出力変化を検出でき、その圧力検出部で検出した出力変化の信号を靴の外側へと通電する配線材を設けて、その配線材に歩数計測部を接続して計測するようにした構成であり、その通電する配線材は靴内の空いたスペース内(空間内)に配線し、その配線材を靴の所望する開口部分に固定具によって固定させることで、既製の靴に着脱可能に装着できるようにした構成である。また靴の所望の開口部分に挟んで固定し且つ通電もする固定式配線材を設けて、既製の靴にその固定して且つ通電する固定式配線材によって着脱可能に装着できるようにした構成である。さらに歩きや走りによる足踏みによって、起電部で起電する起電量の大きさや圧力検出部の圧力の変化を、それぞれ歩数と走数を各分離して検出して計測する構成である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の「靴の歩数計測具」は、如何なる既製の靴でも何ら加工することなく、そしてどんな狭い靴内でも靴底上に起電部や圧力検出部を載置して起電量や圧力変化量を検出でき、そして固定具や固定式配線材によって靴に着脱可能に固定して装着できて実施できる。そして本発明の「靴の歩数計測具」は装着する人が所望する靴の開口部分に装着できるため、その装着する位置を後方や側方に任意に設定できる。そして起電部を設けた構成にあっては、無電源で起電する起電気を計測できるため、その計測するための電源電池の消費を抑えて寿命をかなり長くできる。また本発明の起電部及び圧力検出部は平板状で嵩張らず、上からの圧力(荷重)や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができるため、その力を吸収して衝撃力を和らげるクッションの役目を果たす効果があり、そして既製の靴に着脱可能に装着して実施することができる。また本発明の構成によって歩く時と走る時のそれぞれその圧電起電部の起電量の大きさや、圧力検出部に加わる圧力(荷重)の圧力変化量を検出でき、予めその起電量や圧力変化によるその検出量を歩きや走りの起電量や検出量として設定しておくことで、歩数と走数をそれぞれ各分離して計測できる。これは従来の携帯する歩数計や靴に装着する歩数計測具の構成では、各分離して計測することは全くできなかったことである。
【実施例】
【0014】
本発明の実施例の構成を図面を基に詳細に説明する。図1、図2は本発明の「靴の歩数計測具」の実施例の全体図を示し、図3は本発明の「靴の歩数計測具」の起電部の各構成の実施例を示すものである。
【0015】
図1において、起電部2の外形を略円状で平板状に形成し、その起電部2で起電する電気を給電する配線材3を接続して具備し、その配線材3として靴内から靴の外側へと給電する平行2芯ケーブルを約10cmの長さに形成し、その配線材3を靴の所望の位置に固定する固定具4としてクリップ4aを設け、そのクリップ4aの端部に図13(a)で示す歩数計測部6を具備した筐体5を一体にして設ける。そのクリップ4aの内側に溝4dを形成してその溝4dに配線材3を嵌合して設け、その配線材3の先端を筐体5内に挿入して歩数計測部6に接続する。固定具4としてはクリップ4aを適当に可撓する樹脂材等でU字状に形成することで、靴の所望の淵に挟んで固定できる。
【0016】
図1(b)はクリップ4aが通常の負荷をかけてない状態を示しており、そのクリップ4aは可撓性があるため、矢印の方向へ撓ませて図1(c)の状態にすると、クリップ4aは図1(b)の元の形状に戻ろうとして常に内側へと戻ろうとする力が加わる。そのため靴の開口の淵にクリップ4aで挟むことで、その可撓性の性質で挟んだ状態で固定できる。尚、本実施例ではクリップ4aと筐体5を一体型に構成したが、クリップ4aと筐体5を別体にして構成して実施してもよい。
【0017】
図4は、図1で示した本発明の「靴の歩数計測具」の実施例の構成を、実際に既製の靴に固定具4のクリップ4aで挟んで装着した状態を示すものである。図のようにクリップ4aを靴の開口の淵に挟ませることで、前記したクリップ4aの可撓性によって、その淵に挟んでしっかり固定でき、図4(b)に示す状態で固定できる。
【0018】
図5は、図1に示した本発明の「靴の歩数計測具」を靴に装着した状態の縦断面図を示す。図5(a)に示すように、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2及び後述する圧力検出部13が平板状であり、平薄に形成することで靴内の狭いスペースの靴底上に載置して装着することができ、そして実際に靴を履いて歩いても邪魔にならないし違和感が無い。そして図5(b)の靴を履いた状態であると、踵が起電部2上に載った状態で歩いたり走ったりする度に、平板状の起電部2上に体の荷重が加わり、その荷重で起電部2を構成する圧電起電部2Aの圧電体2bにはその圧力で歪みの変形が起き、その歪みの変形によって圧電体2bから起電流が発生する。その実際の起電原理については図7で後述する。尚、図1の構成において、クリップ4aはアルミ等の金属板や樹脂材で形成してもよい。
【0019】
次に本発明の「靴の歩数計測具」の装着について、図4(c)に示すように靴の開口した淵の側方(X)と後方(Z)の所望の位置にクリップ4aを挟んで固定することができる。そのためその固定する位置によって、側方(X方向)又は後方(Z方向)で計測した歩数を確認できる。尚、図4(c)の実施構成においては、起電部2を靴の底面上に貼って固定した状態で、配線材3を予め長めに形成しておくことで、図5(b)に示す様に踵の後ろで靴内の後端域の空いたスペース内(空間内)に、その長めの余った配線材3を沿わすことができ、そして固定具4の固定位置を所望の位置で固定して装着できるようになる。この構成であれば配線材3と起電部2との接続部分と配線部分が靴内の空いたスペース内にあるため、靴内で様々な足の動きによる圧力が生じても、配線材3の接続部分には張力が加わることが無く、靴内で配線材3が断線したり接触不良になることが無い。また固定具4によって固定する場合、特にクリップ4aによって靴の所望位置に挟んで固定する場合は、靴の開口した淵以外に靴紐を結ぶ部分や足の甲当て部分に固定して装着してもよいし、また靴内の空いたスペースは、踵の後ろで靴内の後端域以外に、靴内の前方や側方の空いたスペースを利用しても良い。
【0020】
図2は、本発明の「靴の歩数計測具」の固定具4の他の実施例の構成を示すものである。図2(a)(b)は、固定具4として係着材4bで構成し実施するもので、歩数計測部6を内蔵した筐体5の裏面に係着材4bを具備した構成である。その係着材4bとしては、例えば接着材を塗付しておき、その接着材面から剥離紙を剥がして靴の所望の位置に、その係着材4bを接着させて実施してもよいし、また図2(b)に示すように、互いに係着する係着材4b、4bを具備しておき、図6に示すように、靴の所望の位置に一方の係着材4bを適当な大きさで貼っておき、もう一方の係着材4bをその係着材4bに互いに係着させて実施してもよい。この構成であれば、係着材4bを係着させる位置を一方の係着材4bの大きさによって幾らか可変でき、筐体5の位置を適当に可変して固定できる。ここで互いに係着する係着材4b、4bとしては、例えば面ファスナーやマグネット同士やマグネットと鉄板等で実施できる。図2(c)(d)は、固定具4としてテープ材4cで構成して実施するものである。テープ材4cを縦幅8cm、横幅2cm位の大きさに形成し、そのテープ材4cで配線材3を覆い靴の淵の内側から外側にかけて貼り付けて固定するもので、この固定方法であれば配線材3に遊びが無くしっかりと固定できる。このテープ材4cの実施方法としては、例えばテープ材4cから剥離紙を剥がして靴の淵に貼って固定することができる。テープ材4cとしては、例えばビニルテープ、布粘着テープ、アルミ箔テープ等で実施できる。その他の実施例としては、固定具4として配線材3の面上に予め塗付した接着材を具備した構成にして実施してもよい。
【0021】
図3は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2におけるその各実施例の構成を示すものである。「靴の歩数計測具」を構成する起電部2は、その起電する平板状の構成として圧電起電部2Aでなり、その圧電起電部2Aは図8に示す構成で実施でき、その圧電起電部2Aの構成について次に詳述する。本発明を構成する図8(a)(b)に示す圧電セラミックでなる圧電起電部2Aは、適当な厚みで可撓性があり好ましくは金属板でなる平板状の基板2aで構成し、その基板2aの面上に設けた適当な大きさと厚みでなる平薄状の圧電体2bと、その圧電体2bの上面に電極面2cを設けて構成した構造である。一般に圧電セラミックの圧電体は弾性が無く強い衝撃や曲げによって割れてしまうが、その圧電セラミックを平薄状に形成することで、その平薄状に形成した圧電セラミックにはある程度弾性が出て、ある程度まで割れずに曲げることができる。そのため図8(a)(b)に示す構造にして、平板状で可撓性のある金属板でなる基板2a上に、圧電セラミックの圧電体2bを平薄状に設けることで、その圧電体2bが割れない範囲内で撓ませて起電させることができる。そのため本発明を構成する圧電起電部2Aは、可撓性がある基板2aとその面上に平薄状に設けた圧電体2bによって構成することで、適当に撓んで割れずに曲げられ、その構造は非常に平薄状に構成できて嵩張らずに上からの圧力や衝撃に対して、その力の大きさに比例して適当に撓むことができ、そしてその力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たすことができるため、靴内の靴底上に設けても違和感が無く実施できる。従って圧電起電部2Aを構成する可撓性がある基板2aによって、次の3つの効果を奏することができる。基板2aが持つ可撓性によって若干撓む変形をすることで、その基板2a上に設けた圧電セラミックの平薄状の圧電体2bも、その若干の変形に追従して撓む変形であるため、その圧電セラミックを割れずに曲げる変形をさせて起電できること。可撓性のある基板2aによって上からの力を吸収して衝撃を和らげるクッションの役目を果たすこと。図7の起電の原理で後述するように、可撓性のある基板2a上に設けた平薄状の圧電体2bが内側に撓んで起電した後、その可撓性がある基板2aの性質によって自力で元の形状に戻る変形が起き、その元の形状に戻る変形によっても起電できること。
【0022】
本発明の実施例として圧電起電部2Aを構成する基板2aは、適当な厚みで可撓性がある金属等で構成でき、実施例としては黄銅、アルミ、銅や、合金でなる42ALLOY等で実施できる。また基板2aを薄いプラスチック材で、その面上にアルミ蒸着して形成したり導電性のカーボン等を成膜して構成してもよい。また基板2a全体を導電ゴムや導電性プラスチック材で形成して構成してもよい。基板2aの厚みとしては適当に撓んで可撓性を持つ厚さであればよく、金属板で形成した場合は実施例として、その金属の材質にもよるが実施例として2〜1mm以下から0.5〜0.3mm以下で、0.2mm以下であればさらに良い。圧電体2bを形成する圧電セラミックとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の他に、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛、ニオブ酸リチウム等を焼結して分極処理したもので構成でき、実施例として0.2〜0.06mmの厚みで実施できる。また図8(a)(b)に示す圧電体2bを圧電フィルムで構成してもよく、圧電フィルムとしてはフィルム状のポリフッ化ビニリデン(PVDF)等で構成して実施できる。いずれの物質も圧力を加えることで、物質内に電気分極が生じて起電流を発生する。また圧電フィルムで実施する場合、図8(c)に示すように圧電体2bを圧電フィルム単体で構成し、その圧電フィルムの両面に電極面2cを設けて構成してもよい。また圧電フィルムの面に電極面2cを設けず直接導電性の基板2aを接面させて構成してもよい。また図8(d)に示すように、圧電フィルム全体を樹脂で内包した圧電起電部2Aで構成してもよい。その端部から突出させた電極からは起電した起電気が出力される。
【0023】
図3で本発明の「靴の歩数計測具」を構成する起電部2の各実施例を順に説明する。図3(a)は、起電部2が圧電起電部2Aだけでなる構成である。圧電起電部2Aの構造は前述した通りであり、配線材3の先端に露出した各芯線を基板2aと可撓性を持つ電極板2Bの面に、それぞれはんだ付け等で接続しており、その接続した電極板2Bの面と圧電体2bの電極面2cを互いに接面させて構成したものである。この図3(a)の構成で、図5に示すように靴の底面上(靴底上)に載置して設けても、靴底には元々若干弾性があるため、基板2aと電極板2Bはその可撓性によって、踵から受ける荷重を吸収して適当に撓む変形が起き、その撓む変形に追従して圧電体2bも適当に撓む歪みが起きて起電でき、本発明はこの構成で実施できる。尚、前記電極板2Bに配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続する替わりに、圧電体2bの電極面2cに直接配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続して構成してもよく同様に実施可能である。また図8(c)に示した圧電フィルムの電極面2cや、図8(d)に示した電極に配線材3を各配線して構成し実施することもできる。図3(b)は、図3(a)で示した構成にさらに弾性がある上敷き2Dを重ねて設けて構成するものである。この構成であれば弾性がある上敷き2Dによって、さらに踵から受ける荷重を吸収できるため、実際に靴内に載置して履いた状態でも違和感無く実施できる。図3(c)は、図3(b)で示した構成にさらに弾性のある下敷き2Eを下に重ねて、その下敷き2E上に電極板2Bを配線材3の一方の芯線をはんだ付け等で接続し構成したものである。この構成であれば弾性のある上敷き2Dと下敷き2Eによって、さらにもっと踵に加わる荷重を吸収できるため、実際に靴を履いてても全く違和感が無くさらに心地良い感じも得られる。弾性のある上敷き2D及び下敷き2Eとしては、ゴム材や発泡プラスチック等で実施でき、その厚みも例えば0.5〜2mm程度で実施できる。尚、図3(b)で示した構成において、上敷き2Dを設ける替わりに、下敷き2Eのみ基板2aの下に設けて構成して実施してもよい。図3(d)は、上敷き2Dと下敷き2Eを導電性ゴムで構成して実施するものである。導電性ゴムは弾性と導電性があるため、その導電性ゴムでなる上敷き2Dと下敷き2Eに配線材3の各芯線を接続し、その上敷き2Dと下敷き2Eによって圧電起電部2Aをサンドイッチ状態に挟んで構成することで、下敷き2Eの上面と基板2aの下面が接面して導通状態になり、同様に上敷き2Dの下面と圧電体2bの電極面2cとが接面して導通状態になり、その上敷き2Dと下敷き2Eから直接通電できて実施できるため、はんだ付け等の工程が無くなり製作が非常に簡単にできる。尚、この構成で上敷き2Dと下敷き2Eとを互いに絶縁状態にするため、それより若干大きめの紙等でなるドーナツ形状の絶縁材2Cを図のように介在させて設けている。この絶縁材2Cによって、その中央に開口した部分から上敷き2Dの下面と電極面2cのみが電気的に導通状態に接面することになる。尚、各起電部2の構成で各圧電起電部2Aを上下逆さまにして、圧電体2bと電極面2cが下向きで、その上に基板2aが上向きになるように、図3(a)〜(d)で示す各起電部2の構成を上下反転して構成して実施してもよい。また本発明を構成する起電部2の外形の形状も、実施例で示した略円形に限らず角形状でも良いし、図11に示す中敷き(インソール)に形成して実施してもよい。また靴内に載置して設ける起電部2の位置も、踵が当接する位置に限らず土踏まずからつま先の間で当接するように載置して設けても良い。また本発明の構成はサンダルやスリッパにも装着できるため、本発明の「靴の歩数計測具」はサンダルやスリッパ等も対象に含まれる。
【0024】
図13(b)及び図7は、本発明の起電原理を示すものである。図13(b)は圧電起電部2Aで起電する原理を示し、図7は図3(d)で示した起電部2によって起電する原理を示すものである。図13(b)において、歩行動作で踏み下ろす下方向の矢印で示す荷重(圧力)が、基板2a上に設けた圧電体2b上に加わると、その圧電体2bに撓みの歪みが起きると同時に、荷重(圧力)に比例した圧電体2bから起電流i(→)を発生する。そしてその歪ませた圧力を取り去ると、基板2aが持つその可撓性の性質によって基板2aは元の形状に戻り、それに追従して圧電体2bも元の形状に戻るため、同時にその際に逆向きの起電流i(←)を発生する。この起電原理によって、図5(b)に示すように靴を履いて歩いたり走ったりすると、図13(b)に示すように、足を踏み下ろすごとに踵から受ける体重(荷重)によって、圧電起電部2Aにはその体重によって下方向の矢印の荷重が加わり、基板2a及び圧電体2bには若干外側に撓む歪みが起き、その歪みの変形によって圧電体2bが起電して起電流i(→)を発生する。そこでこの起電した起電流を図13(a)で示す歩数計測部6が検出して、その起電流をカウントすることで歩数に換算して計測できる。図13(b)の実施例では、足を上に上げた時に起電する逆向きの起電流i(←)を検出して計測する構成になっている。
【0025】
図7は、本発明の「靴の歩数計測具」によって、ウォーキングの歩数とジョギングやランニングの走数を分けて検出し計測する原理を示すものである。まず図17においてウォーキングの歩く動作と、ジョギングやランニングの走る動作について、その歩く動作と走る動作の違いについて具体的に検証して比較する。まず歩く動作においては、片足を上げて着地する時には必ず両足が地に着いた状態になるため、その状態ではその片足には体重(m)の約半分の荷重(m/2)が加わっている。次に歩く動作でもう一方の片足を上げると、片方の片足には全体重(m)が加わり、次にもう一方の片足を下ろすと再び両足が地面に着いた状態になり、片方の片足には再び荷重(m/2)が加わる。そして次に片方の片足を上に上げると、その片方の片足には体重(荷重)は全く加わらず荷重(m=0)となる。すなわち歩いてる時の体重によって片足の足の裏に加わる荷重をF1とすると、図17(b)に示すようにF1=(m/2)→(m)→(m/2)→(0)→(m/2)→(m)→(m/2)→(0)の変化を繰り返す。
【0026】
次に走る動作においては、走ってる間の片足で地面を蹴った後は着地時には必ずもう一方の片足だけが地面に着地するため、その状態ではその片足の足の裏には全体重の荷重が加わる。そしてジョギングやランニングの走ってる時に、片足の足の裏に加わる荷重をF2とすると、その走る動作で足を踏み下ろして片足に加わる荷重(圧力)F2は、体が一旦空宙を飛んで着地するため、
F2=m+mg(F:力、m:体重、g:重力加速度)の式で表すF2が加わることになり、F2=(m+mg)→(0)→(m+mg)→(0)の変化を繰り返す。そしてF2=m+mg=m(1+9.8)=10.8mであり、足の裏に加わる荷重は歩く時に加わるF1より、走ってる時に加わる荷重F2の方が約10倍大きくなる。特に走ることで加わる重力加速度F=mg分については、圧電電子ライターでその圧電体に加速度をつけて衝撃力を加えると大きな起電量が得られるように、それと同じ原理で重力加速度F=mg分のFがさらに加わることで大きな起電量が得られる。そのため歩く動作で足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)をF1として、走る動作でその足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)をF2とすると、各最大値はF1=m、F2=m+mgであるため、F1とF2の中間域の値をTとすれば、F1<T<F2、T=(F1+F2)/2が成立ち、Tをしきい値(スレッシュホールドレベル)として歩数と走数を完全に分離でき、そして足の裏に設けた圧電起電部2A上に加わる力(荷重)Tの時に起電する起電量を予めisとして、実際に測定した起電量の測定値をiとすれば、i<isの時は歩いてる時で、is<iの時は走ってる時として完全に分類して各測定できる。そのため足の裏に設けた圧電起電部2Aで起電する起電量iの変化を常に測定することで、それぞれ歩数と走数に換算でき、走る動作時には歩く動作時に比べて必ず起電量がi<ni(数倍以上)になるため、この起電する起電量(起電流)iの大きさを歩数計測部6で計測して、その起電量iの大きさで分類することで、歩数と走数に各分離して計測できる。尚、前記の計測した起電量isを比較回路で歩数と走数に2分化してもいいが、ジョギングとランニングとを比較した場合、ランニング時の方が着地時に足の裏に加わる荷重が大きいため、その分起電量isが大きくなることから、走数をジョギング数とランニング数にさらに分けるように、起電量isを比較回路で3分化して歩数(ウォーキング数)と走数(ジョギング数とランニング数)に各分類して計測しカウントするようにしても良い。
【0027】
前述したように本発明の歩数と走数を各分類して計測する構成は、人間が歩いて進む動作と走って進む動作において、その足の裏に加わる荷重の変化を検出するものであり、特に本発明者は歩きでは着地時は必ず両足で着地するのに対して、走りでは必ず片足で着地することに着目して本発明を発明したものであり、人間が2足で速く前に進むためには、まず片方の足で強く地面を蹴り、それによって体を前方へと空宙を飛ばせて移動することで、着地時には必ず片足のみで着地するため、その片足で着地する時にはその足の裏に体重(m)と重力加速度(mg)分のF=m+mgの荷重(圧力)がさらに加わることになり、歩きと走りの違いをこの足の裏が受ける荷重(圧力)の差によって分離して検出できるもので、本発明はまさに自然法則を利用して歩きと走りの違いを検出して計測する構成の発明である。そして従来の歩数計測具では走ってる時も総て歩きとして検出してカウントするため、歩数と走数を分類することなく両方を歩数として計測してたものであり、そのため正確な歩数だけを測れなかった上に、走数を歩数と分離して測れなかった。特に加速度センサでは誤差が大きく歩数と走数を正確に分離しては測るのは困難であった。
【0028】
本発明の構成において、歩きと走りのどちらの動作においても、一旦地面に足を下ろした足を再び上に持ち上げると、それまで足の裏から圧電起電部2A上に加わってた荷重(圧力)が無くなり、同時に基板2aに加わってた荷重(圧力)も無くなるため、それによって可撓性があるその基板2aは自力で元の形状に戻るため、その基板2aが元の形状に戻るのに追従して圧電体2bも元の形状に戻るため、図7(a)の状態に戻ることで、この足を下ろしてから足を上げる動作の間で逆向きの起電流(←)が流れる。そのため図13(b)に示すように、一方向に流れる起電流i(→)でLEDを点灯させて、逆方向に流れる起電流i(←)を1歩数又は1走数として歩数計測部6で計測することが可能である。
【0029】
図9は、図3で示した起電部2の構成で、足を下ろした時に基板2aと一体の圧電体2bが大きく屈曲し、大きな起電量が得られるようにした構成である。その実施例の図9(a)(b)(c)において、基板2aの下面と下敷き2Eの上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚適当に離して平行に介在させ構成したものである。その構成で足を踏み下ろせば、図のように基板2aと下敷き2Eとの間に隙間があるため、その隙間分基板2aが大きく屈曲し、同時に一体の圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。もうひとつの実施例の図9(d)(e)(f)は、下敷き2Eの下面と靴7の上面との間に、図のように弓形状の挿入板2Fを2枚適当に離して平行に介在させて構成するものである。この構成にして足を踏み下ろせば、図のように下敷き2Eと靴7との間に隙間があるため、その隙間分下敷き2Eとその上に載置した基板2aが大きく屈曲し、同時に圧電体2bも大きく屈曲するため大きな起電量が得られる。ここで介在する挿入板2Fの厚みとしては、実施例として0.5mm〜1.0mm位で実施できる。また図9(d)(e)(f)の構成で、挿入板2Fの左右2枚を一体に繋げる図示しない板で連結して構成してもよい。
【0030】
図10は、図2で示した本発明の「靴の歩数計測具」において、靴への他の装着方法の実施例の構成を示したものである。起電部2で起電した電気を給電する配線材3として、適当に硬くて剛性がある金属でなる固定式配線材3Aで構成したものである。金属の性質として適当に剛性や可撓性があり、ある程度撓ましてもその剛性や可撓性によって元の形状に戻りその形状を保持する性質がある。そのため前実施例で示した配線材3を固定具4によって靴に装着する替わりに、適当に剛性や可撓性がある金属を導電線でなる固定式配線材3Aで給電する配線材3として構成することで、靴の縁にその固定式配線材3Aのみを挟んで固定して装着できて本発明を実施できる。固定式配線材3Aによる靴への固定方法としては、予め真直ぐな形状の固定式配線材3Aを靴の縁に合わせて屈曲させて挟んで固定してもよいし、又は予めクリップ形状に曲げておいた固定式配線材3Aを靴の縁に挟んで固定させて装着してもよい。この固定式配線材3Aは起電部2で起電した電気を給電する役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、靴の外側で歩数計測部6に接続させる3つの役目を果たすことができ、この固定式配線材3Aによって実施が非常に容易になる。その実施例の構成としては、給電する配線材3全体を固定式配線材3Aにして構成してもよいし、靴の縁に固定させる部分のみ固定式配線材3Aで構成してもよい。固定式配線材3Aを形成する導電性のある金属材としては、実施例として適当に剛性がある鉄材やアルミ材等で実施でき、その固定式配線材3Aの形状も図のように平薄状の短冊状でもよいが、断面が丸い線状でもよい。また固定式配線材3A全体を導電性があるプラスチック材やカーボン材で平板状に構成して実施してもよく、さらに固定式配線材3Aを適当に可撓性があるプラスチック材で形成し、そのプラスチック材に通電する電線を沿わせて設けても良いし、そのプラスチック材内に通電する電線をモールドさせて設けても良い。いずれの構成も靴内で電線のみ露呈させずに構成できるため、この構成であればその電線には靴の動きによって張力が及ぶことが全く無い。図10に示す実施例の構成では、固定式配線材3Aの先端にコネクタ10が設けられており、筐体5に設けたコネクタ10と抜き差し式にして靴の外側で装着して実施できる。
【0031】
図11は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する圧電起電部2Aを中敷き内に設けた実施例の構成である。図11(a)において、歩数計測部6を具備した筐体5にコネクタ10を設けてあり、さらに筐体5にパソコンにデータを転送するUSB端子11を設けてある。この構成で筐体5のコネクタ10を抜いて筐体5を取り外し、このUSB端子11をパソコンに接続することで、計測した歩数(又は走数)データをパソコン上で日々管理できる。また筐体5とは別体の記録媒体9を用意しておき、その記録媒体9を媒介にして計測した歩数(又は走数)データをパソコンに送って、パソコン上で日々管理することもできる。記録媒体9としては実施例としてSDカードで実施できる。またパソコンへのデータの転送方法としては、記録媒体9以外に赤外線送信やブルートゥース送信による無線送信させても良い。
【0032】
図11(b)(c)は本発明の「靴の歩数計測具」を構成する圧電起電部2Aを中敷き内に設けたもうひとつの実施例の構成である。図11(b)はその上面図を示し、図11(c)はその裏面から見た図である。中敷き12内に圧電起電部2Aを設けて、その圧電起電部2Aの各電極に平薄状の接続電極面2Gを接続して、その接続電極面2Gを中敷き12の裏面まで折り曲げて伸ばして、図のように貼り付けて構成したものである。この構成であれば、この構成の中敷き12を靴内に敷くだけで、図12で図示する固定式配線材3Aの電極面と接面するだけで電気的に接続して通電(給電)できる。図11に示す接続電極面2Gは例えば平薄状のアルミ箔等で構成して実施できる。
【0033】
図12は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する固定式配線材3Aの実施例の構成を示すものである。適当に剛性や可撓性があって且つ導電性がある固定式配線材3Aを、図のような形状に形成して本発明を実施するものである。この固定式配線材3Aの先端部分に面状(図では半円状)の電極面を形成しており、その固定式配線材3Aを靴の淵に挟んで固定し、その面状(図では半円状)の電極面を靴底上に載置して、その上に図11で示した中敷き12の裏面に設けた接続電極面2Gの面に接面させて接続するだけで、起電部2で起電した起電流を靴の外へと給電できる構成である。この構成する固定式配線材3Aは前記と同様に起電部2で起電した電気を給電する役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、歩数計測部6を靴の外側で接続して固定させる役目の3つの役目を果たすことができる。これによって別体の歩数計測部6を内蔵した筐体5を着脱式に取り付けることができる。このためこの固定式配線材3Aによって、歩数計測部6を内蔵した筐体5ごと靴体から着脱式に固定式配線材3Aに取り外したり交換したりすることができる。また前記の面状にした接続電極面2Gと固定式配線材3Aの電極面とが互いに面接触による接続であるため、様々な足の前後左右の動きによって靴内に圧力が加わって変形し、接続電極面2Gと固定式配線材3Aとの互いに面接触する電極面が幾らかずれたとしても、さらにその電極面が足の裏から受ける上からの圧力が加わって互いに面接触する電極面が幾らかずれたとしても、その互いに面接触する電極面は互いに面と面とが接面した状態で接続してるため、前記の如何なる前後左右や上方向からの圧力が加わっても、互いに接面する接触面が互いにずれることでその圧力を吸収してしまい、その各圧力に全く影響されること無く給電(通電)を維持できる。従って従来靴の中にリード線(電線)を配線して構成した歩数計のように、断線や接触不良や非接触等の故障は本発明の構成では全く起こらない。また互いに接面する接触面を適当な面積にして形成できるため、その接触面が互いにいくらかずれたとしても、両者の間の接触抵抗は殆んど変らないし接触不良も全く起こらない。また互いの接触面が互いに適度にずれて擦れることで、その接触面は常に表面に錆ができ難くもなる効果もある。これが従来のように互いにリード線(電線)を接続して固定した構成であれば、様々な足の動きによってその電線には必ず張力が加わるため、断線や接触不良や非接触の故障が起き易かったし、湿気等によっても接触不良や非接触を起し易かった。そのため従来は実際に実施できなかったのが現状である。固定式配線材3Aとしては平板状のアルミや鋼材や導電性プラスチックやカーボン材等で形成して実施でき、前記したように固定式配線材3Aに電線を沿わせて設けても良いし、電線をモールドして設けても良い。そしてその電線の先には図3に示すように面状の電極板2Bを接続することで、その電極板2Bと接続電極面2Gとを面接触による面接続させて通電できる。尚、実施例として筐体5を固定式配線材3Aに抜き差し式に着脱できる構成以外に、その他の固定方法(嵌め込み式等)によって着脱させる構成にしてもよい。図12(a)(b)では固定式配線材3Aを靴の後方の淵で挟む構成になっており、図12(c)(d)では固定式配線材3Aを靴の側方の淵で挟む構成になってるため、靴を履く時には固定式配線材3Aは邪魔にならない。
【0034】
図13(a)は、本発明の「靴の歩数計測具」を構成する歩数計測部6内の実施例を示すものである。圧電起電部2Aで起電した起電流は計測部6aでパルス信号として計測(カウント)でき、その計測(カウント)した計測数は表示部6bで逐次表示される。またデータ格納部6dでは時計機能部6cと同期して時間ごとにデータが格納され、時間ごとや日ごとや週ごとに歩数や走数が格納される。次にデータ記録部6eではデータ格納部6dで格納したデータを記録媒体9に記録する。計測部6aで計測したパルス信号の大きさをA/D変換することで、図7(b)(c)で示した起電流の大きさによって、検出した起電流を歩数データと走数データとにそれぞれ分離して計測できる。そのため1日の間で或いは1週間や1ヶ月の間で歩いた歩数が何歩で、走った走数が何歩かも表示して管理できる。尚、人によって体重が異なるため、その人によって歩く時や走る時に起電部2に加わる荷重量と起電量が変るため、測定者の体重での変動を補正するため、操作部6fから測定者の体重を入力することで、その変動を補正して正確に測定することができる。そして測定者の測定した歩数や走数を記録媒体9やUSB端子11でパソコンに入力することで、日ごとや週ごとや月ごとに歩いた時間と走った時間、それぞれの距離、消費カロリー、脂肪燃焼量などを算出してそれぞれ管理できる。
【0035】
尚、歩数計測部6の電源としてはボタン電池やコイン型電池を設けて実施でき、その電池の消耗は前記の起電部2で起電した電気信号を検出して表示するのみの消耗であり、その電池の寿命を従来の歩数計と比べてかなり長く伸ばすことができる。また歩数計測部6の電源が振動や起電部2で起電した起電流を検出して電源が入るようにも構成でき、普段は電源OFFの状態にしておくことができる。また前記実施例で示した中敷き12及び上敷き2Dに足の裏を刺激する凸部を形成して構成しもよいし、その凸部から足の裏に電気的刺激を加えることもできる。また太陽電池と普通の電池を組合せ、昼間は太陽電池で駆動し、夜は普通の電池で駆動するように切替えて通電するようにしても良い。それによって普通の電池の消耗を極力抑えることができる。さらに普通の電池の替わりにバッテリーを設け、昼間太陽電池の電源を駆動してない時はその電源でバッテリーを充電しておき、夜はその充電したバッテリーの電源で駆動するようにしても良い。それによって特に電源供給しなくても半永久的に実施できる。
【0036】
前述したように本発明の「靴の歩数計測具」であれば、既製のどんな靴にでも装着でき、靴内に載置した平板状の起電部2によって歩きや走る動作の足踏みする動作で起電でき、その起電部2は圧電起電部2Aの起電によって無電源で検出して実施できる。本発明の「靴の歩数計測具」によって、従来の携帯する歩数計ではできなかった歩数と走数の両方を計測できる上に、足で踏む直接の動作で起電する電気信号を計数するため、測定誤差が全く無く実施できる。
【0037】
図14〜図16は、本発明の「靴の歩数計測具」を歩きや走る動作で足踏みする動作で、その足踏みする動作によって圧力の変化を検出する圧力検出部13を設けて実施する構成である。図14(a)(b)に示すように、圧力検出部13を平板状に形成し、靴内の狭いスペースの靴底上に載置して装着することで、実際に靴を履いて歩いても邪魔にならないし、違和感が無く実施できる。そして図5(b)に示すように、配線材3を圧力検出部13と接続して靴内の空いたスペースに設けて、配線材3に遊びをもたせて設けることで、靴内で様々な足の動きによる圧力が生じても、その配線材3に張力が加わることが無く、靴内で配線材3が断線したり接触不良や非接触になることが無い。そしてその配線材3を靴の外側へと配線して、その配線材3を靴の淵に固定具4で固定して装着でき、その配線材3に靴の外側で歩数計測部6を接続することで、前実施例と同様に既製の靴に装着して実施できる。図15(a)は圧力検出部13を中敷き12内に設けて実施する構成であり、その圧力検出部13に足を載せて足の裏から荷重(圧力)を加えると、その荷重(圧力)に追従して圧力検出部13に圧力が加わり、その圧力に応じた電気信号の変化を検出できる。この圧力検出部13は平板状で適当に弾性や可撓性をもたせて形成することで、足踏み動作で足の裏からの圧力を吸収でき、靴を履いてても違和感がなく実施できる。
【0038】
図14(c)(d)は、前実施例と同様に配線材3を固定具4によって靴に装着する替わりに、適当に剛性や可撓性がある金属の導電材でなる固定式配線材3Aによって構成するものである。前記と同様にこの固定式配線材3Aによって、圧力検出部13から歩数計測部6に検出信号を通電させる役目と、靴の縁に挟んで固定させる役目と、靴の外側で歩数計測部6を接続して固定させる3つの役目を果たすことができる。
【0039】
図15は(b)(c)は、中敷き12内に圧力検出部13を設け、図11で示したのと同様に圧力検出部13の各電極に平薄状の接続電極面2Gを接続し、中敷き12の裏面まで折り曲げて伸ばし図のように構成したものである。この構成にすることで、前記の図12に示したように固定式配線材3Aの電極面と接続電極面2Gの電極面とを互いに面接触させるだけで電気的に接続でき、断線したり接触不良や非接触の故障が全く無く通電できる。
【0040】
図16は圧力検出部13によって歩数や走数を測定する構成を示したものである。前述のように歩きの動作と走りの動作によって、足を下ろして地面を足踏みしながら前進する際に足の裏から受ける圧力は、図7、図17で詳述した原理によって、歩きの動作より走りの動作で足の裏から受ける圧力(荷重)の方が重力加速度分が加わって約10倍大きいため、その圧力の有無や圧力の大小の差を圧力検出部13で検出することで、歩数や走数を各分離して計測(カウント)することができる。圧力検出部13は加わる圧力を検出する圧力センサで構成でき、その圧力検出部13を構成する圧力検出方式として、例えば感圧抵抗方式、静電容量方式、電磁誘導方式等で構成して実施でき、圧力を弾性体に加えて生じる弾性体の変形の変位を電気信号に変換する。その変換を検出するインピーダンスとしては抵抗、キャパシタンス、インダクタンスの3種類があり、感圧抵抗方式にあっては受ける圧力によって電気抵抗の変化を電気信号に変換し、その感圧抵抗方式には例えば金属抵抗歪みセンサや半導体抵抗歪みセンサがあり、金属抵抗歪みセンサにあっては細い金属線をベースとしたプラスチックフィルムや紙に貼り付けたワイヤゲージ、箔を貼り付けたファイルゲージ等で実施できる。いずれも平薄に形成できるため、本発明を実施するのに好適である。半導体抵抗歪みセンサは半導体の抵抗を利用するもので、金属よりは感度が高くできる。静電容量方式にあっては受ける圧力で発生する静電容量の変化を電気信号に変換することで実施できる。そして受ける圧力によって抵抗値の変化(増減)をホイートストン・ブリッジで結線して検出する構成にすることで、図16(b)に示す回路で圧力検出部13に電流や電圧を印加すると、受ける圧力に比例した出力電位差が生じて正確に測定できる。圧力を検出するセンサの材料としては、NiCu合金、半導体Si、セラミックや導電性ゴム等で実施できる。
【0041】
尚、本発明の構成は既製の靴に装着可能に設けて実施しても良いが、本発明の構成を最初から靴に設けておいて実施しても良い。従来の靴に歩数計測具を設けた構成では、前記したように大きく次の2つの問題があり、靴内にリード線を配線した構成であると、靴内に生じる圧力でリード線に張力が加わって断線、接触不良、非接触になり易い問題と、歩きや走りも総て歩きとして検出して計測してしまう2つの問題があったが、本発明の構成によってその2つの問題を解消した「靴の歩数計測具」を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の一部の縦断面図(c)(d)本発明の1実施例の縦断面図
【図2】(a)(c)本発明の1実施例の斜視図(b)(d)本発明の1実施例の側面図
【図3】(a)(b)(c)(d)本発明の1実施例の一部分解の斜視図
【図4】(a)本発明の1実施例の側面図と斜視図(b)本発明を実施した一部の側面図(c)本発明を実施した平面図
【図5】(a)(b)本発明の1実施例の縦断面図
【図6】本発明を実施した一部の側面図と斜視図
【図7】(a)(b)(c)本発明の1実施例の一部の縦断面図と回路図
【図8】(a)(c)本発明の1実施例の一部の側面図(b)(d)本発明の1実施例の一部の平面図
【図9】(a)(d)本発明の1実施例の一部の側面図(b)(e)本発明の1実施例の一部の平面図(c)(f)本発明の1実施例の一部の縦断面図
【図10】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)本発明の1実施例の側面図
【図11】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)(c)本発明の1実施例の一部の平面図
【図12】(a)(c)本発明の1実施例の平面図(b)(d)本発明の1実施例の側面図と斜視図
【図13】(a)本発明の1実施例の一部のブロック図(b)本発明の1実施例の一部の側面図と回路図
【図14】(a)(c)本発明の1実施例の斜視図(b)(d)本発明の1実施例の側面図
【図15】(a)本発明の1実施例の斜視図(b)(c)本発明の1実施例の一部の平面図
【図16】(a)本発明の1実施例の一部のブロック図(b)本発明の1実施例の一部の側面図と回路図
【図17】(a)本発明の歩きと走りの原理を示す側面図(b)本発明の原理で歩きと走りの時に加わる各荷重の変化を示す時系列図
【符号の説明】
【0043】
1 : 靴の歩数計測具
2 : 起電部
2A : 圧電起電部
2a : 基板
2b : 圧電体
2c : 電極面
2B : 電極板
2C : 絶縁材
2D : 上敷き
2E : 下敷き
2F : 挿入板
2G : 接続電極面
3 : 配線材
3A : 固定式配線材
4 : 固定具
4a : クリップ
4b : 係着材
4c : テープ材
4d : 溝部
5 : 筐体
6 : 歩数計測部
6a : 計測部
6b : 表示部
6c : 時計機能部
6d : データ格納部
6e : データ記録部
6f : 操作部
7 : 靴
8 : 足
9 : 記録媒体
10 : コネクタ
11 : USB端子
12 : 中敷き
13 : 圧力検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は起電部(2)に平板状の圧電体を設け、該起電部(2)上に足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面上に載置して、該起電部(2)で起電する電気を靴の外側へと給電する配線材(3)と該配線材(3)を靴の所望の位置で固定して装着する固定具(4)を設け、そして該配線材(3)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記起電部(2)上に足の裏から加わる荷重の圧力で起電する電気を該歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項2】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は起電部(2)に平板状の圧電体を設け、該起電部(2)上に足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面上に載置して、該起電部(2)で起電する電気を靴の外側へと給電して靴の所望の位置に挟んで固定して装着する固定式配線材(3A)を設け、そして該固定式配線材(3A)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記起電部(2)に足の裏から加わる荷重の圧力で起電する電気を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項3】
前記起電部(2)が、適当に可撓性がある平板状の基板(2a)面に平薄状の圧電体(2b)を設けた圧電起電部(2A)で少なくとも構成される請求項1又は2記載の靴の歩数計測具。
【請求項4】
前記圧電起電部(2A)に弾性材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の歩数計測具。
【請求項5】
前記圧電起電部(2A)に導電性ゴム材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の歩数計測具。
【請求項6】
前記起電部(2)が、圧電フィルムの圧電体(2b)でなる圧電起電部(2A)で構成する請求項1又は2記載の靴の歩数計測具。
【請求項7】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は平板状の圧力検出部(13)を設け、該圧力検出部(13)は足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力の変化を検出し、該圧力検出部(13)を靴内の底面上に載置して、該圧力検出部(13)で検出した荷重の圧力の変化の信号を靴の外側へと通電する配線材(3)と該配線材(3)を靴の所望の位置で固定して装着する固定具(4)を設け、そして該配線材(3)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記圧力検出部(13)に足の裏から加わる荷重の圧力で変化する信号を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項8】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は平板状の圧力検出部(13)を設け、該圧力検出部(13)は足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力の変化を検出し、該圧力検出部(13)を靴内の底面上に載置して、該圧力検出部(13)で検出した荷重の圧力の変化の信号を靴の外側へと通電して靴の所望の位置に挟んで固定して装着する固定式配線材(3A)を設け、そして該固定式配線材(3A)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記圧力検出部(13)に足の裏から加わる荷重の圧力で変化する信号を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項9】
前記起電部(2)及び前記圧力検出部(13)との配線材(3)による靴内での配線において、靴内の空いた空間内に配線しその配線材(3)の接続部分に靴内で生じる様々な圧力によって張力が直接加わらない構成にした請求項1又は7記載の靴の歩数計測具。
【請求項10】
前記起電部(2)及び前記圧力検出部(13)との配線材(3)又は固定式配線材(3A)による靴内での接続が、互いに電極面が面接触する接続である請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【請求項11】
前記起電部(2)で起電する起電量の大きさを歩数計測部(6)で計測し、その検出した起電量の大きさによって歩数と走数に各分離して計測する請求項1〜6のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【請求項12】
前記圧力検出部(13)で検出した圧力の変化の信号を歩数計測部(6)で計測し、その検出した信号の変化の大きさによって歩数と走数に各分離して計測する請求項7又は8記載の靴の歩数計測具。
【請求項13】
前記計測した歩数や走数のデータを歩数計測部(6)で表示する請求項1〜12のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【請求項1】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は起電部(2)に平板状の圧電体を設け、該起電部(2)上に足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面上に載置して、該起電部(2)で起電する電気を靴の外側へと給電する配線材(3)と該配線材(3)を靴の所望の位置で固定して装着する固定具(4)を設け、そして該配線材(3)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記起電部(2)上に足の裏から加わる荷重の圧力で起電する電気を該歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項2】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は起電部(2)に平板状の圧電体を設け、該起電部(2)上に足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力で起電し、該起電部(2)を靴内の底面上に載置して、該起電部(2)で起電する電気を靴の外側へと給電して靴の所望の位置に挟んで固定して装着する固定式配線材(3A)を設け、そして該固定式配線材(3A)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記起電部(2)に足の裏から加わる荷重の圧力で起電する電気を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項3】
前記起電部(2)が、適当に可撓性がある平板状の基板(2a)面に平薄状の圧電体(2b)を設けた圧電起電部(2A)で少なくとも構成される請求項1又は2記載の靴の歩数計測具。
【請求項4】
前記圧電起電部(2A)に弾性材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の歩数計測具。
【請求項5】
前記圧電起電部(2A)に導電性ゴム材でなる上敷き(2D)と下敷き(2E)の少なくともどちらか一方を設けてなる請求項3記載の靴の歩数計測具。
【請求項6】
前記起電部(2)が、圧電フィルムの圧電体(2b)でなる圧電起電部(2A)で構成する請求項1又は2記載の靴の歩数計測具。
【請求項7】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は平板状の圧力検出部(13)を設け、該圧力検出部(13)は足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力の変化を検出し、該圧力検出部(13)を靴内の底面上に載置して、該圧力検出部(13)で検出した荷重の圧力の変化の信号を靴の外側へと通電する配線材(3)と該配線材(3)を靴の所望の位置で固定して装着する固定具(4)を設け、そして該配線材(3)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記圧力検出部(13)に足の裏から加わる荷重の圧力で変化する信号を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項8】
靴に装着する歩数計測具であって、該歩数計測具は平板状の圧力検出部(13)を設け、該圧力検出部(13)は足を載せると足の裏から加わる体の荷重の圧力の変化を検出し、該圧力検出部(13)を靴内の底面上に載置して、該圧力検出部(13)で検出した荷重の圧力の変化の信号を靴の外側へと通電して靴の所望の位置に挟んで固定して装着する固定式配線材(3A)を設け、そして該固定式配線材(3A)に靴の外側で歩数計測部(6)を接続して設け、該歩数計測部(6)を設けた靴を履いて歩行したり走行することで、前記圧力検出部(13)に足の裏から加わる荷重の圧力で変化する信号を前記歩数計測部(6)で検出して、少なくとも歩数を計測することを特徴とする靴の歩数計測具。
【請求項9】
前記起電部(2)及び前記圧力検出部(13)との配線材(3)による靴内での配線において、靴内の空いた空間内に配線しその配線材(3)の接続部分に靴内で生じる様々な圧力によって張力が直接加わらない構成にした請求項1又は7記載の靴の歩数計測具。
【請求項10】
前記起電部(2)及び前記圧力検出部(13)との配線材(3)又は固定式配線材(3A)による靴内での接続が、互いに電極面が面接触する接続である請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【請求項11】
前記起電部(2)で起電する起電量の大きさを歩数計測部(6)で計測し、その検出した起電量の大きさによって歩数と走数に各分離して計測する請求項1〜6のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【請求項12】
前記圧力検出部(13)で検出した圧力の変化の信号を歩数計測部(6)で計測し、その検出した信号の変化の大きさによって歩数と走数に各分離して計測する請求項7又は8記載の靴の歩数計測具。
【請求項13】
前記計測した歩数や走数のデータを歩数計測部(6)で表示する請求項1〜12のいずれか1項に記載の靴の歩数計測具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−238209(P2011−238209A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47780(P2011−47780)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(594195797)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(594195797)
【Fターム(参考)】
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