説明

靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を取り出し、取り出された製品を、該製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置

【解決手段】本発明は、靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を取り出し、取り出された製品を、該製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置に関する。装置は、環状のピックアップ体(11)に対して径方向に摺動可能なピックアップ部材(29)を支持するピックアップ体(11)を備えている。ピックアップ体(11)は、各ピックアップ部材(29)が靴下類等のための円形編機(100) の針(123) と横方向で面するように編機(100) のニードルシリンダ(121) の周りに同軸に配置され得る。ピックアップ体(11)の軸を向いた各ピックアップ部材(29)の端部が座部(30)を有しており、座部(30)は、針(123) のヘッド(123c)の反対側であり針(123) のラッチ(123d)の近くに設けられた針(123) の軸(123b)の領域と係合可能である。装置は作動手段を備えており、作動手段は、ピックアップ体(11)の軸(11a) に向けてピックアップ部材(29)を摺動させるためにピックアップ部材(29)に作用する弾性手段(33)と、弾性手段(33)の作用とは対照的に、ピックアップ体(11)の軸(11a) から離れる方向にピックアップ部材(29)を摺動させるためにピックアップ部材(29)に作用するラジアル押出器(34)とによって形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を拾い、拾われた製品を該製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
靴下類等のための円形編機を用いた筒状ニット製品の製造分野では、場合によっては、編機で行われ得ない、又は編機で行なうには経済的に好ましくない製品に対して更なる作業を行なうために、製品を製造すべく使用された前記編機から別の製造ユニットへと製品を移す必要がある。
【0003】
特に靴下類の製造分野では、最近、縫製又はルーピングによりつま先を自動的に閉じるための技術が開発されている。これらの技術の内の一部は、製品を製造すべく使用された編機が別の靴下類製品を製造すべく使用されている間、編機とは異なる更なる作業のためのステーションで靴下類製品のつま先を閉じるように、編機から製品を拾い、拾われた製品を編機とは異なる更なる作業のためのステーションへと移すことに基づいている。これらの技術は、製品を製造すべく使用された編機で靴下類製品のつま先を直接閉じることに基づいた他の技術に対して、編機の生産性がそれほど不利ではないという利点を有する。
【0004】
靴下類製品、更に一般的には筒状製品を製造すべく使用される編機から、製品の軸方向端部の閉じ、より一般的には更なる作業が行われる必要があるステーションへと前記製品は、一般的にはピックアップ装置によって移される必要がある。該ピックアップ装置は、ピックアップ部材によって個別に編機の針から製品の編成ループを掴み取り、製品の移動中に編成ループを保持する。
【0005】
つま先を閉じる技術の中には、ピックアップ装置は更に、更なる作業の実行中に製品を支持するために使用されるものがあるが、他の技術では、ピックアップ装置が更なる作業が行われるべきステーションに達すると、ピックアップ装置が、針から既に拾われた編成ループを、例えば処理装置のような更なる作業の実行中に製品を支持すべく設計された別の装置に通常個別に外すので、ピックアップ装置は製品を移すためだけに使用される。このような処理装置は、ピックアップ装置から受け取った編成列の半分に属するループを、該ループが前記編成列の別の半分に属するループに面するように置いて、相互に面する編成ループ対を結合する縫製又はルーピングヘッドが介入している間、相互に面する位置に2つの編成列の半分に夫々属する編成ループ対を支持する。
【0006】
製品を製造する編機から処理装置に製品を単に移すべく使用される公知のタイプのピックアップ装置では、ピックアップ部材と針とは通常、針からピックアップ部材に編成ループを移すために、ピックアップ部材の端部に形成された座部に針のヘッドを挿入することにより係合される。このため、ピックアップ装置は通常、ニードルシリンダの端部と同軸に対向すべく設計された環状のピックアップ体を有している。針のヘッドはニードルシリンダから突出し、ニードルシリンダは、ピックアップ体の軸と平行に設けられた複数のピックアップ部材を支持する。
【0007】
このタイプのピックアップ装置は、例えば欧州特許出願公開第0942086号明細書に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0942086号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このタイプの装置では、ピックアップ部材の一端部と対応する針のヘッドとの係合のために、ピックアップ装置全体の設置と、編機のニードルシリンダに対するピックアップ体の位置決め及び針に対するピックアップ部材の位置決めとの両方に関して高い精度が必要とされる。
【0010】
更に、ピックアップ部材を作動するための任意の部材の存在に加えて、ピックアップ部材を配置することにより、ピックアップ体の軸と平行な方向のピックアップ体の占有面積が比較的大きくなる。この比較的大きな占有面積は、製品を拾うために編機に対するピックアップ体の位置を決める際に問題を引き起こす場合がある。ピックアップ体が編機のニードルシリンダと対向するようにピックアップ体を配置可能とするために、シングルシリンダ円形編機の場合、実際には、ダイヤルと製品を製造するために必要な糸を針に供給すべく使用される糸道とを上昇させることが必要である。この上昇は、糸のもつれを引き起こし、従って、編機で編成を再開するときに問題を引き起こす場合がある。
【0011】
ピックアップ装置がダブルシリンダ円形編機と共に使用される場合、上部ニードルシリンダ全体と該上部ニードルシリンダに接続されたピックアップ部材とをまず上昇させることにより2つのニードルシリンダ間にピックアップ体を配置する必要があるので、ピックアップ体の軸方向の占有面積によって生じる問題は更に大きくなる。
【0012】
本発明の意図は、靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を拾い、拾われた製品を製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置であり、比較的簡単に備えられ、良好な精度で編機の針に連結され得る前記ピックアップ装置を提供することにより、上述された問題を解決することである。
【0013】
この意図の範囲内で、本発明は、製品を拾うとき製品を製造すべく使用される編機に対するピックアップ装置の位置決めを単純化するように、軸方向の占有面積が特に制限され得るピックアップ装置を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、製品を製造すべく使用される編機の針の径方向の位置に関する誤差を回避し得るピックアップ装置を提供することを別の目的とする。
【0015】
本発明は、動作における高い信頼性を保証する装置を提供することを別の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を取り出し、前記製品に更なる作業を行なうべく適合されたユニットに前記製品を移すためのピックアップ装置であり、複数のピックアップ部材を支持する環状のピックアップ体を備え、該ピックアップ部材は前記ピックアップ体に対して径方向に摺動可能であり、前記ピックアップ体は、各ピックアップ部材が靴下類等のための円形編機の針に横方向に面するように前記編機のニードルシリンダの周りに同軸に配置されることが可能であり、各ピックアップ部材を対向させる前記編機の針と各ピックアップ部材とを係合させるか又は係合を外すために、前記ピックアップ部材を前記ピックアップ体の軸に向かう方向又は該軸から離れる方向に移動させるべく前記ピックアップ部材に作用する作動手段を更に備えており、各ピックアップ部材は、前記針に保持された編成ループを拾うべく適合されている前記ピックアップ装置において、前記ピックアップ体の軸に向いた各ピックアップ部材の端部が座部を有しており、該座部は、前記針のヘッドの反対側であり前記針のラッチの近くに設けられた前記針の軸の領域と係合可能であり、前記作動手段は、前記ピックアップ体の軸に向けて前記ピックアップ部材を摺動させるために前記ピックアップ部材に作用する弾性手段と、該弾性手段の作用とは対照的に、前記ピックアップ体の軸から離れる方向に前記ピックアップ部材を摺動させるために前記ピックアップ部材に作用するラジアル押出器とを含んでいることを特徴とする装置により達成される。
【0017】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面に非限定例として例証された本発明に係るピックアップ装置の好ましい、しかし限定するものではない実施形態の説明によって更に明瞭となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るピックアップ装置を、該ピックアップ装置のピックアップ体が靴下類等のための円形編機のニードルシリンダに対して上方で且つ同軸に配置されている状態で示す軸方向断面略図である。
【図1a】図1を詳細に示す拡大図である。
【図2】図1に示された位置のピックアップ装置を示して、複数の部分を仮想線及び鎖線で示す拡大平面略図である。
【図2a】図2を詳細に示す拡大図である。
【図3】本発明に係るピックアップ装置を、該ピックアップ装置のピックアップ体が靴下類等のための編機上に降ろされた状態で示す軸方向断面略図である。
【図4】図3に示された位置のピックアップ装置を示す拡大平面略図である。
【図4a】図4を詳細に示す拡大図である。
【図5】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的にはピックアップ部材と編機の針との係合の前に、製品を製造すべく使用される編機のニードルシリンダの周りに配置されたピックアップ体を示す軸方向断面図である。
【図6】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には図5と同様、ピックアップ部材と編機の針との係合を示す軸方向断面図である。
【図7】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には編機の針からピックアップ部材への編成ループの移動を示す軸方向断面図である。
【図8】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には針の軸に支えられた本発明に係るピックアップ装置のピックアップ部材を示す拡大側面図である。
【図9】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には針からピックアップ部材へと編成ループを移動させている間、針の軸に連結された本発明に係るピックアップ装置のピックアップ部材を示す拡大側面図である。
【図10】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には横断面で示された針の軸に連結された本発明に係るピックアップ装置のピックアップ部材を示す拡大平面図である。
【図11】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には製品を製造すべく使用される編機の針からのピックアップ体による製品の外しを示す軸方向断面図である。
【図12】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には製品を製造すべく使用される編機から製品が離間されている間のピックアップ体を示す軸方向断面図である。
【図13】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には製品を製造すべく使用される編機から離間された更なる作業のためのステーションに配置された処理装置でのピックアップ体の位置決めを示す軸方向断面図である。
【図14】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的にはピックアップ体から処理装置へと製品を移動させている間、処理装置に配置されたピックアップ体を示す軸方向断面図である。
【図15】製品を製造すべく使用される編機からの製品の拾い、及び製品に更なる作業を行うためのステーションでのピックアップ装置の位置決め中の本発明に係るピックアップ装置の動作を示す概略図であり、更に具体的には製品が処理装置へと外された後の製品の更なる作業のためのステーションからのピックアップ体の離隔を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る装置は、参照番号100 によって通常示されたシングルシリンダ円形靴下編機への適用例に関連して示されているが、ダブルシリンダ円形靴下編機の下部ニードルシリンダに配置された針から製品101 を拾うため、又はダブルシリンダ円形靴下編機の上部ニードルシリンダに配置された針から製品を拾うためにも使用され得る。しかしながら、上部ニードルシリンダに配置された針から製品を拾うために使用される場合には、本発明に係る装置は、添付図面に示された構成に対して上下逆に取り付けられる必要がある。
【0020】
図面を参照すると、本発明に係るピックアップ装置が使用されるべく設計されたシングルシリンダ円形靴下編機100 は、垂直な軸121aを有するニードルシリンダ121 を備えている。ニードルシリンダ121 の外側側面に複数の軸スロット122 が設けられており、各軸スロット122 内に針123 が収容されている。針123 は、編地を形成するために対応する軸スロット122 に沿った往復移動で作動され得る。
【0021】
ニードルシリンダ121 内に、ニードルシリンダ121 と同軸の吸込管124 がそれ自体公知の方法で設けられている。この吸込管124 の上部端は開口しており、ゴブレットの形状である。吸込管124 は、ニードルシリンダ121 の上端部から吸込管124 の拡張部分の一部が突出し得るようにニードルシリンダ121 に対して軸121aに沿って移動可能である。
【0022】
針123 は、例えば単純化のために図示されていないがニードルシリンダ121 の周りに配置されたカムによりそれ自体公知の方法で作動される。前記カムに対するニードルシリンダ121 の自軸121aを中心とした回転により、カムは、ニードルシリンダ121 の側面から径方向に突出する針123 のヒール123aと係合可能である。編機100 は、実質上公知であるタイプの編機であり、単純化のために更に説明されていない。
【0023】
図面を参照すると、参照番号10によって通常示されている本発明に係るピックアップ装置は環状のピックアップ体11を備えており、ピックアップ体11は、ピックアップ体11に対して径方向に摺動可能なピックアップ部材29を支持している。ピックアップ体11は、ピックアップ部材29が編機100 の対応する針123 に横方向に夫々対向するように、円形編機100 のニードルシリンダ121 の周りに同軸に配置され得る。
【0024】
ピックアップ装置10は、ピックアップ部材29に作用する作動手段を備えており、該作動手段により、各ピックアップ部材29を対向させる針123 と各ピックアップ部材29とを係合させるか又は該針123 からピックアップ部材29を外すように、ピックアップ部材29がピックアップ体11の軸11a に向かう方向又は該軸11a から離れる方向に移動させる。各ピックアップ部材29は、以下に更に明らかとなるように、針123 に保持された製品101 の編成ループを拾うべく適合されている。
【0025】
本発明によれば、軸11a を向いた各ピックアップ部材29の端部29a が座部30を有しており、座部30は、ヘッド123cの反対側で針123 のラッチ123dの近くに設けられた針123 の軸123bの領域と係合可能である。また作動手段は、軸11a に向けてピックアップ部材29を摺動させるためにピックアップ部材29に作用する弾性手段と、弾性手段の作用とは対照的に、軸11a から離れる方向にピックアップ部材29を摺動させるためにピックアップ部材29に作用するラジアル押出器34とを含んでいる。
【0026】
更に具体的には、ピックアップ体11は、自軸11a が垂直であるように配置されて、アーム12の端部に固定されている。アーム12は、水平に配置されて、その反対側の端部で垂直軸13a を有するスリーブ13に接続されている。スリーブ13は、中空軸14の周りに同軸に嵌合されて、自軸13a を中心として回転可能に中空軸14にジョイント接続されている。中空軸14は、自軸13a を中心として回転可能に支持構造15によって支持されている。支持構造15は、編機100 の支持構造によって構成され得るか、又は編機100 の支持構造と任意に関連付けられ得る独立した支持構造によって構成され得る。
【0027】
歯車16が、中空軸14に固定されており、はすば歯車18に同軸にジョイント接続された歯車17と噛合する。はすば歯車18はウォームギヤ19に連結されており、ウォームギヤ19は、支持構造15に支持された電動機20の出力軸に固定されている。
【0028】
実質上電動機20の作動により、アーム12は、アーム12のための垂直作動軸を構成する軸13a を中心として支持構造15に対して回転する。それにより、以下に更に明らかになるように、ピックアップ体11が編機100 のニードルシリンダ121 と同軸に配置されるピックアップ位置から、製品101 に更なる作業を行うべく適合されたユニットが配置されている例えば縫製又はルーピングステーションによって構成された更なる作業のためのステーション102 にピックアップ体11が配置されるリリース位置まで、又はその逆方向も同様にピックアップ体11が移動する。
【0029】
上記に述べられたピックアップ位置とリリース位置との間に設けられたスタンバイ位置又は中間位置でアーム12の回転を停止可能であることが好ましい。
【0030】
電動機20の作動に伴いピックアップ体11がとり得る3箇所の位置は、歯車17及びはすば歯車18を支持するブロックに設けられた基準点を検出する3つのセンサ21,22,23によって制御される。
【0031】
スリーブ13は、該スリーブ13に接続されたアーム12と共に、中空軸14に対して軸13a に沿って命令で移動可能である。更に具体的には、スリーブ13は、垂直軸を有する主ねじ24とジョイント接続されており、ねじ軸25が、主ねじ24と係合して、電動機27の出力軸と継手26によって接続されており、電動機27は、中空軸14に固定されたブロックにより支持されている。
【0032】
このようにして、電動機27の作動により、軸13a を中心としたアーム12の任意の角度位置でアーム12が上昇又は下降する。
【0033】
ピックアップ装置10のピックアップ体11は複数のラジアルスロット28を有しており、各ラジアルスロット28内にピックアップ部材29が摺動可能に収容されている。
【0034】
各ピックアップ部材29は、特に図8,9及び10に示されているように、ピックアップ体11の軸11a に関するラジアル面に配置された薄板体を有する。軸11a に向いた各ピックアップ部材29の端部が座部30を有しており、座部30は、軸11a に向いた方向及び該軸11a と平行な方向の両方で、つまり上端部及び底部の両方で開口している。この座部30は、ピックアップ体11がピックアップ位置にあるとき、ピックアップ部材29が対向する針123 の軸123bと連結され得る。
【0035】
更に具体的には、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、編機100 の針123 の数と一致する数のピックアップ部材29を運んでおり、該ピックアップ部材29は、ニードルシリンダ121 の軸121aを中心とした編機100 の針123 間の角度間隔に相当するようにピックアップ体11の軸11a を中心とした角度間隔を置いて設けられている。また、ピックアップ体11は、垂直軸を有するセンタリングピン31を周囲領域に含んでおり、センタリングピン31は、電動機27により行われ得るアーム12の下降によって、単純化のために図示されておらずニードルシリンダ121 に対して横方向に編機100 の支持構造に設けられた対応するセンタリング座部に挿入され得る。センタリングピン31と対応するセンタリング座部との係合により、編機100 のニードルシリンダ121 に対するピックアップ体11及びピックアップ部材29の正確な位置決めが確保される。現在の靴下類等のための円形編機に通常適切に設けられている制御部材が、編機の支持構造に対するニードルシリンダ121 の自軸121aを中心とした正確な角度位置の決定を可能にし、従って、必要なとき対応するピックアップ部材29の座部30と径方向に並んだ編機の各針123 の位置の決定を可能にする。
【0036】
センタリングピン31は、アーム12を上昇させることにより対応するセンタリング座部から外されることが可能であり、軸13a を中心としたアーム12の回転を可能にする。
【0037】
各ピックアップ部材29は、その側部の内の一方で対応するラジアルスロット28の底面に支えられて、座部30が設けられた端部が軸11a に向いた方向にラジアルスロット28から突出する。尚、例示された実施形態のように、座部30は相互に対向する2枚の壁により横方向に画定され得るが、1枚の壁によって一側にのみ画定されてもよい。
【0038】
各ピックアップ部材29の端部29a は、上向きに開いたフックのような形状を有して、座部30はフックの後部に設けられていることが好ましい。
【0039】
各ピックアップ部材29の端部29a の反対側にある端部29b が、軸11a に向いた肩部32を画定するように、ヒールのような形状を有して、軸11a と平行に延びており、ピックアップ体11の対応するラジアルスロット28から上向きに突出する。ピックアップ部材29を軸11a に向けて押圧する弾性手段は、軸11a から離れる方向に向いたこのヒールの側部に作用する。前記弾性手段は環状のコイルばね33によって構成されていることが好ましく、コイルばね33の軸は軸11a と一致しており、コイルばね33は、ピックアップ部材29の周りに配置されて、肩部32の反対側にあるヒール状の端部29b の側部に作用する。
【0040】
ラジアル押出器34は、ピックアップ体11に配置されており、コイルばね33の作用とは対照的に、ピックアップ部材29を軸11a から離れる方向に摺動させるように肩部32に命令により作用する。
【0041】
更に具体的には、ピックアップ体11は、軸11a と同心的に配置された環状の固定板35によって上方領域で閉じられている。ピックアップ体11内に、5つのラジアル押出器34が設けられており、ラジアル押出器34は、環状扇形のような形状を有しており、ピックアップ部材29の肩部32に面する。各ラジアル押出器34は、軸11a を中心として相互に角度間隔を置いて軸11a と平行に設けられた1対のピン36に固定されている。これらのピン36は、固定板35に設けられた第1のスロット37を摺動して交差する。同一のラジアル押出器34のピン36が係合する第1のスロット37対は、互いに平行であり、対応するラジアル押出器34を軸11a に向かう方向及び軸11a から離れる方向に径方向に移動させるように設けられている。可動板38が、固定板35の上方に配置されており、同様に環状であり、軸11a と同心的に配置されて、ピックアップ体11によって同一の軸11a を中心として回転可能であるように支持されている。可動板38は第2のスロット39によって横切られており、第2のスロット39はピン36毎に設けられて、ピン36によって夫々摺動して交差される。第2のスロット39は、第1のスロット37に対して傾けられており、このため、ピックアップ体11及び固定板35に対する軸11a を中心とした可動板38の回転が、軸11a に向かう方向又は軸11a から離れる方向へのラジアル押出器34の移動を引き起こす。
【0042】
可動板38は、複動流体作動シリンダ、特には油圧シリンダ40のピストンの軸に接続されており、油圧シリンダ40は、アーム12に取り付けられた板作動手段を形成し、ピックアップ体11に対して可動板38を軸11a を中心として回転させるべく作動され得る。
【0043】
実際には、油圧シリンダ40の作動により、可動板38がピックアップ体11に対して軸11a を中心として一方向に回され、コイルばね33の作用とは対照的に、特に図2,2aに示されているように、ラジアル押出器34を、従ってピックアップ部材29を軸11a から離れる方向に離隔させる。又は油圧シリンダ40の作動により、可動板38がピックアップ体11に対して軸11a を中心として反対方向に回され、ラジアル押出器34を軸11a に接近させて、特に図4,4aに示されているように、コイルばね33の作用によりピックアップ部材29を前記軸11a に向けて移動させる。ピックアップ部材29の軸11a に向かうストロークは、肩部32の反対側に設けられた肩部41によって構成されたストロークを画定する手段によって画定されており、肩部41は、ピックアップ体11内に形成されているか、又はラジアル押出器34自体により形成されている。
【0044】
尚、各ピックアップ部材29は、コイルばね33の作用により対応する針123 の軸123bと係合する。このため、対応する針123 の実際の径方向位置までの軸11a に向かう方向への各ピックアップ部材29のストロークがある種適合される。実際には、ピックアップ部材29の特定の作動により、針123 の不正確な径方向の位置決めが回避され得るので、各ピックアップ部材29の対応する針123 との係合がそれほど重大ではなくなり、いかなる場合でも各ピックアップ部材29の対応する針123 との正確な係合が確保される。また、ピックアップ部材29の特定の作動により、ピックアップ体11の軸方向の占有面積が全体として十分抑制され得ることに加えて、更に、同数の針を有するが、該針は直径が僅かに異なる円柱面に沿って配置されている編機と同一のピックアップ装置10が使用され得る。
【0045】
ピックアップ装置10は更に押え器42を含んでおり、押え器42は、複数の歯が押え器42の垂直な軸42a の周りに配置されている櫛状の周縁外形を有する円形状である。
【0046】
押え器42は、対応するアーム43の端部に接続されており、アーム43は、例示された実施形態ではアーム12の上方に配置されている。アーム43は、反対側の端部で対応するスリーブ44に接続されており、スリーブ44は、スリーブ13に形成された円柱状座部45内で軸13a を中心とした回転と前記軸13a に沿った摺動とを可能にするようにスリーブ13と同軸に連結されている。
【0047】
アーム43は、円柱46の上端部に支えられており、円柱46は、垂直軸を有して、軸13a の周りに配置されており、スリーブ13により形成された対応する座部47内で軸方向に摺動可能であるように収容されている。アーム43は、軸受48により円柱46上に支えられており、軸受48の軸は、アーム12に対するアーム43の軸13a を中心とした回転中、円柱46上でのアーム43の摺動を低減するように軸13a と一致している。
【0048】
円柱46は、円柱46と対応する座部47との間に介装されたばね49によって、アーム43に向かって、従って例示された実施形態では上向きに押圧される。
【0049】
スリーブ13は流体作動シリンダ50を支持しており、流体作動シリンダ50は、垂直軸を有して、ピストンの軸をスリーブ44に支えられている。実際には流体作動シリンダ50は、軸13a を中心として回転可能に、及び前記軸13a に沿った並進移動可能にスリーブ13にジョイント接続されており、ばね49の作用とは対照的に、スリーブ44を、従ってアーム43をアーム12に対して軸13a に沿って例示された実施形態では下向きに並進移動させるために作動され得る。
【0050】
アーム43は、アーム12に向いた側にピン51を備えており、ピン51は、垂直軸を有しており、アーム12に対する軸13a に沿ったアーム43の並進移動によって、垂直軸を有してアーム12に設けられた座部52に挿入され得るか又は前記座部52から引き出され得る。
【0051】
ピン51と座部52との係合により、押え器42のピックアップ体11に対する同軸の位置決めが確保されて、同時に、軸13a を中心として回転可能にアーム12及びアーム43が、従って押え器42及びピックアップ体11がジョイント接続される。
【0052】
座部52の入口が、アーム43を向いたアーム12の面に形成されたスロット53の底部であり閉じた端部に形成されている。スロット53は、軸13a を中心とした円形状の扇形のような形状を有しており、座部52によって占められた端部の反対側にある端部で開口している。アーム43のアーム12の上方での離隔が最大である状態では、ピン51の下端部は、例えば図1及び3に示されているように、座部52から外れているがスロット53と係合可能であるようなレベルにある。このようにして、アーム43のアーム12の上方での離隔が最大である状態では、以下で更に明らかになるように、ピン51がスロット53の開口端部から突出するので、アーム12は、支持構造15に対して軸13a を中心として回転可能であり、アーム43から一方向に外れる一方、反対方向の回転では、ピン51がスロット53の同一の開口端部に入り該開口端部と係合するので、アーム12はアーム43と係合する。
【0053】
特に、押え器42がピックアップ体11と同軸である位置にあるとき、押え器42は、流体作動シリンダ50の作動により、例えば図1,1a,3,5及び6 に示されているように、押え器42がピックアップ体11から上向きに間隔を置いて配置されている上昇位置から、例えば図7,11及び12に示されているように、押え器42がピックアップ部材29間に周縁外形状の歯で入り込む下降位置まで移動可能である。
【0054】
支持台54が、軸13a を中心としたアーム43の回転中にアーム43がたどる経路に沿って配置されており、上昇位置であり、編機100 と更なる作業のためのステーション102 との間のアーム12の略中間位置に相当する位置でアーム43の回転を停止して、アーム43が更なる作業のためのステーション102 にアーム12に追随するのを防止する。逆に、アーム12が更なる作業のためのステーション102 から編機100 まで軸13a を中心として回転し、アーム43を既に解放した中間位置に達するとき、ピン51はスロット53に入り、ピン51の端部で、つまりピン51が座部52と同軸であるとき、ピン51によりアーム43が編機100 に向かう回転に伴われる。
【0055】
更なる作業のためのステーション102 に、軸61a が垂直であるように配置された環状体61を備えた処理装置60を設けることが可能である。環状体61は下面に複数のスパイク62を備えており、スパイク62は、軸61a と一致する軸を有する仮想円柱面に沿って配置されており、前記軸61a と平行に突出している。スパイク62は、軸61a を中心として均一に相互に角度間隔を置いて配置されており、該角度間隔は、ピックアップ装置10のピックアップ部材29間の間隔に相当する。実際には、処理装置60のスパイク62は各ピックアップ部材29に対応しており、ピックアップ装置10が更なる作業のためのステーション102 に配置されているとき、ピックアップ部材29がスパイク62の環の周りに配置されて、各ピックアップ部材29がスパイク62と径方向に並んでいる状態でピックアップ装置10のピックアップ体11は処理装置60の環状体61と同軸に配置されている。
【0056】
軸11a を向いて編機100 の針と係合可能な各ピックアップ部材29の端部に設けられた座部30は、ピックアップ体11の軸方向移動とスパイク62に対するピックアップ部材29の径方向の移動とによりスパイク62と同様に係合され得る。
【0057】
環状体61は、直径軸64を中心として相互に回される2つのハーフリング63a,63b からそれ自体公知の方法で構成され得る。ハーフリング63b によって構成された2つのハーフリングの内の一方は、ハーフリング63b の各スパイク62がハーフリング63a の対応するスパイク62と対向するように直径軸64を中心として他方のハーフリング63a に対して命令で反転され得る。例示された実施形態では、2つのハーフリング63a,63b が共面位置にあるとき、スパイク62の先端が下方に向いており、ハーフリング63b は、ハーフリング63a に下方領域で対向するように直径軸64を中心として反転され得る。
【0058】
ステーション102 には、環状体151 が更に設けられており、その軸が軸61a と一致する環状座部150 に同軸で収容され得る。環状体151 は、図示されていない流体作動シリンダのピストンの軸に接続されており、流体作動シリンダは、軸が軸61a と平行であるように設けられている。流体作動シリンダは、環状体151 を軸61a に沿って一方向又は反対方向に移動させるために作動され得る。
【0059】
環状体151 の上方に向いた面の周縁外形は、ピックアップ体11が更なる作業のためのステーション102 に移動されるときにピックアップ装置10のピックアップ部材29間に挿入され得る歯を有する櫛形状であることが好ましい。
【0060】
本発明に係るピックアップ装置は以下に示す通り動作する。
【0061】
製品101 は、靴下類等のための円形編機を用いて、製品の製造を軸方向一端部から開始して反対側の軸方向端部で終了することにより製造される。
【0062】
編機100 が製品101 の製造を終了している間、ピックアップ装置10は、ピックアップ部材29がピックアップ体11の軸11a から離隔されている状態で、ピックアップ体11が編機100 と更なる作業のためのステーション102 との間の中間位置にあるように配置される。押え器42は、ピックアップ体11に対して上方且つ同軸に配置されており、ピックアップ体11に対して上昇する。
【0063】
形成された最終編成列の編成ループは、該編成ループを製造した針123 に保持される。単純化のために示されていないダイヤルが、ニードルシリンダ121 に対して上方且つ同軸に配置されている。ダイヤルにジョイント接続されたカッタが製品101 を製造すべく使用された糸を切断した後、ダイヤルはニードルシリンダ121 から離れる方向に上向きに移動されて、これにより、図5に示されているように、対応する押え器42がピックアップ体11に対して上方且つ同軸に配置された状態でピックアップ装置10のピックアップ体11は、ニードルシリンダ121 に対して上方且つ同軸に位置決めされる。
【0064】
尚、ピックアップ装置10は、ピックアップ体11がニードルシリンダ121 の上方にあるように配置されて、次に、センタリングピン31が編機100 の支持構造に適切に設けられた座部に入るように電動機27の作動により軸121aと一致する軸11a に沿って下げられる。
【0065】
ニードルシリンダ121 は、自軸121aを中心とした回転移動で作動され続けて、そのため、針123 が針作動カムによってまず、保持された編目位置に上昇して、次に針123 のヘッド123cがシンカ125 の下方にある状態に戻されて、その後、保持された編目位置に再度上昇し、同時に吸込管124 が上昇する。そのため、形成された製品101 の最終編成列の編成ループが、針123 のラッチ123dが開いた状態で対応する針123 のヘッド123c内に確実に保持される。最後に、針123 は全て、この場合も針作動カムに対するニードルシリンダ121 の回転によって、吸込管124 と共に目落ち位置に上昇する。この時点で、ニードルシリンダ121 の回転は停止されて、ニードルシリンダ121 は、続く工程の間ニードルシリンダ121 のランダムな回転又は偶発的な回転を排除するように機械的に固定される。ニードルシリンダ121 のこの回転位置では、軸11a を向いた各ピックアップ部材29の端部29a は、対応する針123 の軸123bと径方向に並んでいる。
【0066】
この時点で、図4,4aに示されているように、流体作動シリンダ40が作動されて、可動板38を回転させることによって、ラジアル押出器34を軸11a に向かって移動させて、従って、ばね33によって加えられる押圧力の作用によりピックアップ部材29を軸11a に向かって移動させる。図6に示されているように、更に具体的にはピックアップ部材29と針123 との係合を限定して示す図8及び10に示されているように、軸11a に向いた各ピックアップ部材29の端部は、対応する針123 のラッチ123dの真下の前記針123 の軸123bに座部30を支えられる。
【0067】
ピックアップ部材29が対応する針123 の軸123bと係合した後、ピックアップ体11は、電動機27の作動によって僅かに上昇して、そのため、各ピックアップ部材29の端部29a が、座部30により、針123 の開いたラッチ123dの自由端と前記針123 の軸123bとの間で針123 の軸123bと係合する。
【0068】
その後、吸込管124 が下げられて、流体作動シリンダ50の作動により押え器42は下降位置に移される。下降位置では、押え器42は、針123 とピックアップ部材29との間に周縁外形の歯で入り込む。押え器42のこの軸方向の移動により、図7及び9に示されているように、編成ループは、針123 のラッチ123dの下方でピックアップ部材29のフック状の端部29a 内に押し入れられる。また、ピン51は座部52と係合して、軸13a を中心とした回転可能に、アーム12及びアーム43をジョイント接続する。
【0069】
その後、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、電動機27の作動によりニードルシリンダ121 に対して自軸11a に沿って押え器42と共に上昇する。図11に示されているように、この上昇により、端部29a が対応する針123 の開いたラッチ123dの下方にある状態で既に配置されているピックアップ部材29が対応する針123 のヘッド123cに向けて摺動されて、針123 のヘッド123cにラッチ123dが閉じられて、編成ループが針123 から外される。
【0070】
この工程で、吸込管124 は、製品101 の上昇を補助して、続く工程で針123 の周りに配置された編機の部分との接触から製品101 を保護するために再度上昇する。
【0071】
その後、電動機20の作動により、図12に示されているように、アーム12,43 は、ピックアップ装置10のピックアップ体11及び押え器42を、編機100 から編機100 と更なる作業のためのステーション102 との間の中間位置まで移すように軸13a を中心として回される。この中間位置では、押え器42を支持するアーム43が座部52からピン51と共に外れるように流体作動シリンダ50は非作動状態にされる。
【0072】
その後、図13に示されているように、電動機20による軸13a を中心としたアーム12の回転が終了して、自軸11a が軸61a にある状態でピックアップ体11が更なる作業のためのステーション102 に配置される。尚、軸13a を中心としたアーム12の回転を終了する際、アーム43の回転が支持台54によって阻止されて、スロット53がピン51に沿って通過してピン51から外れるので、アーム43はアーム12に続かない。任意には、この位置で、製品101 は、ピックアップ体11に対して下方且つ同軸に配置された管状体内に空気圧で吸い込まれ得る。
【0073】
その後、相互に共面位置にある2つのハーフリング63a,63b の下方にあるピックアップ体11は、ピックアップ部材29の各座部30がスパイク62の下端部からスパイク62に嵌合するように電動機27の作動により上昇する。
【0074】
その後、環状体151 は軸61a に沿って上昇して、ピックアップ部材29間に周縁外形の歯で入り込み、ピックアップ部材29からスパイク62へと編成ループを個別に移動させる。このようにして、各スパイク62は、図14に示されているように、編機100 の針123 によって形成された最終編成列の編成ループを支持する。
【0075】
この時点で、製品101 は環状体61の上方で反転されることが可能であり、例えば、空気圧による吸込み、又は環状体61を通って軸方向に挿入され得る反転管によってそれ自体公知の方法で製品101 に環状体61を軸方向に通過させる。
【0076】
その後、図15に示されているように、環状体151 は下降位置に戻されて、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、電動機27の作動による下向きの運動、及び電動機20の作動による軸13a を中心とした回転により、更なる作業のためのステーション102 から離れる方向に移されて中間位置に戻される。
【0077】
更なる作業のためのステーション102 では、製品101 のための作業をそれ自体公知の方法で、例えば、一方の半列に属する編成ループを、該編成ループが他方の半列に属する編成ループと面するように配置して、ハーフリング63b をハーフリング63a の下方に反転させ、ハーフリング63a のスパイク62からハーフリング63b のスパイク62へと編成ループを移動させて、その後ハーフリング63b のスパイク62に配置された編成ループ対を縫製して、それにより製品101 の軸方向端部を閉じることにより続けることが可能である。
【0078】
実際には、本発明に係るピックアップ装置は、弾性手段により作動されるピックアップ体の軸に向けたピックアップ部材の特定の作動と組み合わされたピックアップ部材と針との特定の係合により、ピックアップ部材と針との正確な係合が確保され、それは、針の径方向の位置決め誤差を補償し得るので、意図した目的を完全に達成していることが分かっている。
【0079】
本発明に係るピックアップ装置の更なる利点は、ピックアップ装置がピックアップ体の軸方向の占有面積の低減を可能にし、従って、ピックアップ装置がシングルシリンダ円形編機に使用される場合はダイヤルの上昇を最小限にし、ピックアップ装置がダブルシリンダ円形編機に使用される場合は上部ニードルシリンダの上昇を最小限にすることができることにある。
【0080】
本発明に係るピックアップ装置の別の利点は、ピックアップ装置が、針から製品を拾うため、又は直径が異なる円柱面に沿って配置されたスパイクへと製品を外すために使用され得ることにある。
【0081】
このように考案された装置は、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの調整及び変更を加えることができ、またその細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えてもよい。
【0082】
実際には、用いられる材料並びに寸法は、要望及び技術の状態に応じて如何なるものであってもよい。
【0083】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2008A000398号明細書における開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0084】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照番号が付いているが、これらの参照番号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照番号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下類等のための円形編機から筒状ニット製品を取り出し、前記製品に更なる作業を行なうべく適合されたユニットに前記製品を移すためのピックアップ装置(10)であり、複数のピックアップ部材(29)を支持する環状のピックアップ体(11)を備え、前記ピックアップ部材(29)は前記ピックアップ体(11)に対して径方向に摺動可能であり、前記ピックアップ体(11)は、各ピックアップ部材(29)が靴下類等のための円形編機(100) の針(123) に横方向に面するように前記編機(100) のニードルシリンダ(121) の周りに同軸に配置されることが可能であり、各ピックアップ部材を対向させる前記編機(100) の針(123) と各ピックアップ部材(29)とを係合させるか又は係合を外すために、前記ピックアップ部材(29)を前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向かう方向又は該軸(11a) から離れる方向に移動させるべく前記ピックアップ部材(29)に作用する作動手段を更に備えており、各ピックアップ部材(29)は、前記針(123) に保持された編成ループを拾うべく適合されている前記ピックアップ装置において、
前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向いた各ピックアップ部材(29)の端部(29a) が座部(30)を有しており、
該座部(30)は、前記針(123) のヘッド(123c)の反対側であり前記針(123) のラッチ(123d)の近くに設けられた前記針(123) の軸(123b)の領域と係合可能であり、
前記作動手段は、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向けて前記ピックアップ部材(29)を摺動させるために前記ピックアップ部材(29)に作用する弾性手段(33)と、該弾性手段(33)の作用とは対照的に、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) から離れる方向に前記ピックアップ部材(29)を摺動させるために前記ピックアップ部材(29)に作用するラジアル押出器(34)とを含んでいることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ピックアップ体(11)は、該ピックアップ体(11)が靴下類等のための円形編機(100) のニードルシリンダ(121) の周りに同軸に配置されるピックアップ位置から、前記ピックアップ体(11)が前記編機のニードルシリンダに対して横方向に間隔を置いて設けられてあり、製品(101) に追加の動作を行うべく適合された前記ユニットが配置されている更なる作業のためのステーション(102) に配置されるリリース位置まで、又はその逆方向に命令で移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ピックアップ体(11)は、軸(11a) が垂直であるようにアーム(12)に取り付けられており、
該アーム(12)は、前記ピックアップ体(11)を前記ピックアップ位置から前記リリース位置まで又はその逆方向に移動させるために、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) から間隔を置いて設けられた垂直作動軸(13a) を中心として支持構造(15)に対して命令で回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記アーム(12)は、命令により前記垂直作動軸(13a) に沿って移動可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ピックアップ体(11)は複数のラジアルスロット(28)を有しており、各ラジアルスロット(28)はピックアップ部材(29)を摺動可能に収容しており、
前記ピックアップ体(11)は、前記弾性手段(33)の作用とは対照的に、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) から離れる方向に前記ピックアップ部材(29)を摺動させるために、命令により前記ピックアップ部材(29)に作用する前記ラジアル押出器(34)を支持しており、
前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向かう前記ピックアップ部材(29)のストロークを画定する手段(41)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向いた前記ピックアップ部材(29)の端部(29a) は、上向きに開いたフック状に形成されており、前記座部(30)は、前記フックの後部に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向いた前記ピックアップ部材(29)の端部(29a) は、前記座部(30)により、針(123) の開いたラッチ(123d)の自由端と前記針(123) の軸(123b)との間で前記針(123) の軸(123b)と係合可能であることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ピックアップ体(11)の軸(11a) を向いた各ピックアップ部材(29)の端部(29a) の反対側の端部(29b) が、ヒール状であり、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) と平行に延びて、対応するラジアルスロット(28)から上向きに突出しており、
前記ヒール状の端部(29b) は、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) を向いた肩部(32)を画定しており、
前記ラジアル押出器(34)は、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に対して反対方向に前記肩部(32)に作用し、前記弾性手段(33)は、前記肩部(32)の反対側にある前記ヒールの側部に作用することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記弾性手段は、前記ピックアップ部材(29)の周りに前記ピックアップ体(11)に配置された環状のコイルばね(33)によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記ラジアル押出器(34)は夫々、環状の扇形のように形成されて、前記ピックアップ体(11)に対して径方向を向いた対応する方向に前記ピックアップ体(11)によって摺動可能に支持されており、
前記ラジアル押出器(34)は夫々、少なくとも2つのピン(36)にジョイント接続されており、該ピン(36)は、前記ピックアップ体(11)に対して軸方向に、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) を中心として互いに角度間隔を置いて設けられており、
前記2つのピン(36)は、対応する第1のスロット(37)と摺動可能に係合しており、該第1のスロット(37)は、互いに平行であり、前記ピックアップ体(11)に対して対応するラジアル押出器(34)を径方向に移動させるように設けられて、前記ピックアップ体(11)と同軸に固定された固定環状板(35)に形成されており、
前記ピン(36)は、前記ピックアップ体(11)と同軸に配置された環状の可動板(38)に設けられた第2のスロット(39)と更に係合しており、
前記第1のスロット(37)に沿って前記ピン(36)を摺動させるために、前記第2のスロット(39)は前記第1のスロット(37)に対して傾斜しており、前記可動板(38)は、前記ピックアップ体(11)に対して該ピックアップ体(11)の軸(11a) を中心として回転可能であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
流体作動シリンダ(40)を含む板作動手段を更に備えており、前記流体作動シリンダ(40)は、前記アーム(12)に取り付けられて、前記流体作動シリンダ(40)のピストンの軸によって前記可動板(38)に接続されており、
前記流体作動シリンダ(40)は、前記ピックアップ体(11)に対して軸(11a) を中心として前記可動板(38)を回転させるために作動され得ることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ピックアップ部材(29)は夫々、前記ピックアップ体(11)が前記リリース位置にある状態で、前記ピックアップ体(11)の軸(11a) に向いた前記ピックアップ部材(29)の端部に形成された前記座部(30)によって、円柱面に沿って配置された複数のスパイク(62)を有して更なる作業のための前記ステーション(102) に配置された処理要素(60)の前記スパイク(62)と係合可能であり、
前記ピックアップ体(11)は、前記リリース位置で、前記スパイク(62)が配置されている円柱面と同軸に配置されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
櫛状の周縁外形を有する円形状の押え器(42)を更に備えており、
前記押え器(42)は、前記ピックアップ部材(29)間に周縁外形の歯で入り込むために、前記ピックアップ体(11)と同軸に対向することが可能であり、前記ピックアップ体(11)に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記押え器(42)は、前記ピックアップ体(11)を支持する前記アーム(12)と共同して又は該アーム(12)に対して前記垂直作動軸(13a) を中心として回転可能な対応するアーム(43)に取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記押え器(42)を支持する前記アーム(43)は、前記ピックアップ体(11)を支持する前記アーム(12)と共同して又は該アーム(12)に対して前記垂直作動軸(13a) に沿って移動可能であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
靴下類等のための円形編機(100) のニードルシリンダ(121) に対して前記ピックアップ体(11)を中心に置くための手段(31)を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記ピックアップ体(11)に対して前記押え器(42)を中心に置くための手段(51,52) を更に備えていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図1a】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2011−514941(P2011−514941A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550121(P2010−550121)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/052040
【国際公開番号】WO2009/112347
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(597009471)
【Fターム(参考)】