説明

【課題】靴の脱着が屈むことなくワンタッチででき、広い足の挿入口が得られ、足の挿入や脱着がスムーズに操作できる靴を提供するものである。
【解決手段】開閉操作部3にて靴本体1の甲部12の甲部カバー2を回動させることにより足の挿入口14を開く靴であって、甲部カバー2を開き方向に押し上げる第1のバネ8と甲部カバー2が開き方向Aに回動するのを阻止する係止部材7と甲部カバー2の回動の阻止を解除するボタン4とを有する開閉操作部3を靴本体1の甲部12の上面でつま先13側に設けて、このボタン4にて甲部カバー2の回動の阻止を解除することによる脱着性に優れた靴である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴の脱着を屈むことなく容易に行うことができる靴に関する。
【背景技術】
【0002】
老人や妊婦や体の不自由な人にとって、運動靴のような履口が狭い靴を履く場合に履口部に足を脱着する動作は極めて困難であり、時には苦痛が伴っていた。そこで、足を脱着しやすくする靴が種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1において、甲被前方に切欠き部を形成し、切欠き部を甲部カバーで被覆し、尚且つ甲部カバーは下端辺のみを甲被に縫着して一体と成し、甲被カバーを前方に倒せば広い履き口を得ることができる構造の靴が提案されている。
【0004】
また、特許文献2において、外側部、内側部、靴底部から成る靴本体及び胛部と爪先部から成る靴蓋部を有する靴において、該靴蓋部を別体で形成して前記靴蓋部と前記靴本体の先端部を縫着固定し、前記靴蓋部の両側及び前部と、対応する前記外側部と前記内側部にスライドファスナーを装着する。さらに踵履部を縦割りとして、該縦割り部にスライドファスナーを形成して開き自在とする。以上により、靴蓋部と踵履部を開きすれば靴が平面状に展開された状態となり、靴底内面に足を置いて、外側部、内側部、靴蓋部で足を包み込むように靴が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−333号公報
【特許文献2】実用新案登録第3040271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1の提案による靴および特許文献2の提案による靴にあっては、何れも脱着を容易に行うことができるが、屈みこんで手で行わなくてはならないなどの問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消し、屈むことが辛くなった、老人や妊婦や体の不自由な人が屈むことなく容易に靴の脱着ができる靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開閉操作部にて靴本体の甲部の甲部カバーを回動させることにより足の挿入口を開く靴であって、甲部カバーを開き方向に押し上げる第1のバネと甲部カバーが開き方向に回動するのを阻止する係止部材と甲部カバーの回動の阻止を解除するボタンとを有する開閉操作部を靴本体の甲部の上面でつま先側に設けたことを特徴とする。
【0009】
また、開閉操作部にて靴本体の甲部の甲部カバーを回動させることにより足の挿入口を開く靴の具体構成として、前記開閉操作部は、前記係止部材を板状として、甲部カバーを回動させる歯車と、甲部カバーの下端と連結した第1のバネと、係止部材の一端を歯車の歯切り部と係合させるように押圧させる第2のバネと、係止部材の一端と歯車の歯切り部との係合を解除するボタンと、係止部材の下面に設けたストッパーとからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
開閉操作部にて靴本体の甲部の甲部カバーを回動させることにより足の挿入口を開く靴であって、甲部カバーを開き方向に押し上げる第1のバネと甲部カバーが開き方向に回動するのを阻止する係止部材と甲部カバーの回動の阻止を解除するボタンとを有する開閉操作部を靴本体の甲部の上面でつま先側に設けることにより、屈むことが辛くなった老人や妊婦や体の不自由な人が屈むことなく足の挿入や脱着がスムーズに操作できる。
【0011】
また、前記開閉操作部は、前記係止部材を板状として、甲部カバーを回動させる歯車と、甲部カバーの下端と連結した第1のバネと、係止部材の一端を歯車の歯切り部と係合させるように押圧させる第2のバネと、係止部材の一端と歯車の歯切り部との係合を解除するボタンと、係止部材の下面に設けたストッパーとからなり、簡単な構成で靴本体の甲部の甲部カバーを回動させることができ、屈んで操作することなく足の挿入口を開くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施例を図面に基づいて以下、説明する。
【0013】
図2乃至図5において、1は靴本体で、前端にはつま先13が、後端にはかかと11がそれぞれ設けられており、かかと11の上方には足の挿入口14が設けられており、つま先13と足の挿入口14との間には甲部12および甲部カバー2が設けられた構成である。甲部カバー2は開閉操作部3にて開き方向Aに回動することにより足の挿入口14が広く開き、甲部カバーが閉じ方向Bに回動することにより足の挿入口14が図1に示す人Mが靴を装着した状態となるように開閉自在としている。
【0014】
図6は開閉操作部3の構造を示し、開閉操作部3は、甲部12のつま先13側に設けた回動する板状の係止部材7と、甲部カバー2側に設けた歯車6と、甲部カバー2の下端21と連結した第1のバネ8と、係止部材7の一端7Aを歯車6の歯切り部6Bと係合させよう押圧させる第2のバネ9と、係止部材7の一端7Aと歯車6の歯切り部6Bとの係合を解除するボタン4と、係止部材7の下面に設けたストッパー10とからなり、この開閉操作部3は靴本体1の甲部12の上面でつま先13側に設けられている。
【0015】
甲部12の甲部カバー2側には歯車6が歯車軸6Aを回転軸として回動自在に設けられている。甲部カバー2の下端21は歯車軸6Aと連結されており、甲部カバー2は第1のバネ8と連結させて開き方向Aに押し上げられている。
【0016】
甲部12のつま先13側に設けた開閉操作部3には、板状の係止部材7が設けられており、その中間部は支持軸5で回動する。係止部材7の一端7Aは、係合方向Dに係止部材7を回動させることにより、歯車6の歯切り部6Bと係合させている。係止部材7の他端7Bには係止部材7の一端7Aが歯車6の歯切り部6Bと係合するよう押圧させる第2のバネ9が設けられている。このようにして、甲部カバー2は、第1のバネ8により甲部カバー2を開き方向Aに押し上げられる一方、甲部カバー2が開き方向Aに回動するのを阻止する係止部材7が甲部12に設けられている。
【0017】
開閉操作部3の上面には外部に突出し係止部材7を回動操作するボタン4が設けられている。ボタン4を押して、係合解除方向Cに係止部材7を回動させることにより、係止部材7の一端7Aと歯車6の歯切り部6Bとの係合を解除させて、甲部カバー2が開き方向Aに回動して足の挿入口14を開く。また、開いた甲部カバー2を押すことにより甲部カバー2は係合方向Dに回動するが、係止部材7の下面にストッパー10が設けられており、係止部材7が必要以上に甲部カバー2が閉じ方向Bに回動するのを阻止している。
【0018】
(作用)
図1において、人Mは立った状態で、靴本体1の甲部12に開閉自在な甲部カバー2を設けた靴において、開閉操作部3のボタン4を杖Tで押すことで、甲部カバー2が回動して広い足の挿入口14が得られ、靴の脱着が屈むことなくワンタッチででき、足の挿入や脱着がスムーズに操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を適用した使用状態図である。
【図2】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例の靴本体の斜視図である。
【図4】本発明の実施例の甲部カバーの平面図である。
【図5】本発明の実施例を示す側面図である。
【図6】本発明の実施例の開閉操作部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 靴本体
2 甲部カバー
3 開閉操作部
4 ボタン
5 支持軸
6 歯車
6A 歯車軸
6B 歯切り部
7 係止部材
7A 一端
7B 他端
8 第1のバネ
9 第2のバネ
10 ストッパー
11 かかと
12 甲部
13 つま先
14 足の挿入口
21 下端
A 開き方向
B 閉じ方向
C 係合解除方向
D 係合方向
M 人
T 杖

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉操作部にて靴本体の甲部の甲部カバーを回動させることにより足の挿入口を開く靴であって、甲部カバーを開き方向に押し上げる第1のバネと甲部カバーが開き方向に回動するのを阻止する係止部材と甲部カバーの回動の阻止を解除するボタンとを有する開閉操作部を靴本体の甲部の上面でつま先側に設けたことを特徴とする靴。
【請求項2】
前記開閉操作部は、前記係止部材を板状として、甲部カバーを回動させる歯車と、甲部カバーの下端と連結した第1のバネと、係止部材の一端を歯車の歯切り部と係合させるように押圧させる第2のバネと、係止部材の一端と歯車の歯切り部との係合を解除するボタンと、係止部材の下面に設けたストッパーとからなることを特徴とする請求項1記載の靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−22345(P2009−22345A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185619(P2007−185619)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(307024945)
【Fターム(参考)】