説明

鞍乗型車両

【課題】シートを閉鎖状態に保つロック機構の不正解錠をより確実に防ぎ、かつシートを開放状態にしてもラッチを隠蔽して保護可能な鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両である自動二輪車は、車体フレーム2と、車体フレーム2の上方に位置するシート38と、シート38の下面から突出するストライカ47と、車体フレーム2に設けられるとともにストライカ47に引っ掛かることでシート38を固定可能なラッチ48と、ラッチ48を覆いかつストライカ47が押し当たると周辺の弾性部の変形により広がってストライカ47の侵入を許可するスリット62を有するシートロックカバー46と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの下方にヘルメットなどの物品を収容可能な収納室を備える鞍乗型車両、例えば自動二輪車が知られている。この従来の鞍乗型車両は、車体フレームに固定される車体カバーや容器により収納室を仕切り、シートを収納室の蓋として利用する。また、従来の鞍乗型車両は、防犯性の観点から、蓋としてのシートを閉鎖状態に保つロック機構を備える。ロック機構は、シートに固定されるストライカと、フレームに設けられるラッチと、を備える。
【0003】
ところで、従来の鞍乗型車両は、車体カバーとシートとの隙間から針金などの何らかの道具や工具(以下、「不正解錠道具」と呼ぶ。)を差し込み、ロック機構を直接的に解除(不正解錠)して蓋であるシートを開かれてしまうことを防ぐために、ラッチを覆うシートロックカバーを備える。このシートロックカバーは、ポリプロピレン等の適宜の樹脂製であり相応の剛性を有する。また、シートロックカバーは、ストライカとの干渉を避けてストライカとラッチとの接近を許容する溝を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−278340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の鞍乗型車両は、シートロックカバーにストライカとラッチとの接近を許容する溝を有する。この溝は、シートロックカバーとストライカとの干渉を避けるため、ラッチに引っ掛ける方向におけるストライカの投影形状とほぼ同形状に開口する溝であり、相応の開口面積を有する。
【0006】
一方、収納室の蓋であるシートは、一般に収納室の上方に位置するため、シートは上方から下方に向かって移動して収納室を閉鎖する。したがって、ストライカも上方から下方に向かって移動してラッチに引っ掛かることになる。このストライカの移動との干渉を回避するため、シートロックカバーの溝は上方に向けて開放することになる。
【0007】
しかしながら、上方に向かって開放するシートロックカバーの溝に小石などの異物が落ち込むと、ラッチの動作を阻害してラッチとストライカの引っ掛かりを邪魔したり、接近を阻害したりしてシートの閉鎖に不都合を来したり、シートを閉鎖状態に保つことが困難になる虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、シートを閉鎖状態に保つロック機構の不正解錠をより確実に防ぎ、かつシートを開放状態にしてもラッチを隠蔽して保護可能な鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するため本発明に係る鞍乗型車両は、車体フレームと、前記車体フレームの上方に位置するシートと、前記シートの下面から突出するストライカと、前記車体フレームに設けられるとともに前記ストライカに引っ掛かることで前記シートを固定可能なラッチと、前記ラッチを覆いかつ前記ストライカが押し当たると周辺の弾性部の変形により広がって前記ストライカの侵入を許可するスリットを有するシートロックカバーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シートを閉鎖状態に保つロック機構の不正解錠をより確実に防ぎ、かつシートを開放状態にしてもラッチを隠蔽して保護可能な鞍乗型車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す右側面図。
【図2】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す平面図。
【図4】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図。
【図6】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図。
【図7】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両のシートロックカバーを示す斜視図。
【図8】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両のシートロックカバーを示す斜視図。
【図9】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る鞍乗型車両の実施形態について図1から図9を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す右側面図である。
【0014】
本実施形態に係る鞍乗型車両の一例は自動二輪車1である。
【0015】
なお、本実施形態において、前後上下左右の表現は、自動二輪車1に乗車するライダーを基準にする。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、所謂アンダーボーン形式の車体フレーム2と、車体フレーム2の前方に位置する前輪5と、車体フレーム2の前方に位置して前輪5を回転自在に支持するステアリング機構6と、車体フレーム2の後方に位置する後輪7と、後輪7を上下方向へ揺動自在に支持するスイングアーム8と、車体フレーム2の下方に位置するエンジン9と、を備える。
【0017】
車体フレーム2は、所謂アンダーボーン形式であり、複数の鋼鉄製中空管を一体に組み合わせたものである。車体フレーム2は、前上部に位置するヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から分岐して後方下向きに傾斜して延びるメインフレーム12と、メインフレーム12の後端部から分岐して後方上向きに傾斜して延びる左右一対のリヤフレーム13と、メインフレーム12とリヤフレーム13との連結部分から下方に垂下する複数のエンジンブラケット15、16と、を備える。
【0018】
ヘッドパイプ11はステアリング機構6を車両の左右方向へ操舵可能に支持する。
【0019】
メインフレーム12およびリヤフレーム13は、一体成形されても良いし、別部品として成形したものを一体に接合しても良い。
【0020】
エンジンブラケット16は、エンジン9の他にスイングアーム8の揺動中心となるピボット軸17を支持する。
【0021】
ステアリング機構6は、サスペンション機構(図示省略)を内装して前輪5を回転自在に支持する左右一対のフロントフォーク18と、前輪5の上方に覆い被さるフロントフェンダ20と、フロントフォーク18の頂部に接続する左右一対のハンドル21と、を備える。ライダーは、ハンドル21を左右に操舵することによって自動二輪車1を旋回できる。車両の右側にあるハンドル21はアクセルグリップ21aである。
【0022】
スイングアーム8は、後輪7を回転自在かつ上下揺動自在に支持する。リアクッションユニット22は、車体フレーム2とスイングアーム8との間に介在して後輪7から車体フレーム2に伝わる力を緩衝する。
【0023】
エンジン9は、エンジンブラケット15、16を介してメインフレーム12の下方に吊り下がる。エンジン9は、50ccクラスや125ccクラスの小排気量で、例えば単気筒、4サイクルの内燃機関であり、シリンダ(図示省略)の中心線を自動二輪車1の前後方向に向け、略水平に前傾するシリンダヘッド26およびシリンダブロック27をクランクケース28の前面に配置する。
【0024】
エンジン9の排気系統に接続する排気マフラ29は、後輪7の右側に位置する。
【0025】
後輪7は、車両の左側に位置してエンジン9から延びるチェーンユニット31を介して駆動力を得る。
【0026】
また、自動二輪車1は、車体フレーム2の前部を覆う樹脂製のフロントカバー32およびレッグシールド33と、車体フレーム2の後部を覆う左右一対の樹脂製のフレームカバー35と、を備える。
【0027】
フレームカバー35は、メインフレーム12とリヤフレーム13との連結部分の上部に位置して上方へ開口する有底箱状の収納ボックス36と、収納ボックス36の後方に位置してリヤフレーム13間に架設される燃料タンク37と、を納める。収納ボックス36はヘルメット等を収容可能な容量を持つ。
【0028】
シート38は、ライダーが着座可能な前半部38aと、パッセンジャーが着座可能な後半部38bと、を備える。
【0029】
また、シート38は、収納ボックス36および燃料タンク37の上部を覆ってフレームカバー35に連接する。シート38は、収納ボックス36の前上部に位置するヒンジ39を中心に揺動できる。ヒンジ39を回転中心にしてシート38の後端を上方へ持ち上げることによって、収納ボックス36への物品の出し入れや燃料タンク37への給油等が可能になる。
【0030】
リヤフェンダ41は、燃料タンク37の下方から後方へ向かって延び、後輪7の上方を覆う。
【0031】
ピリオンライダーハンドル42は、シート38の後方に位置し、シート38に着座するパッセンジャーが掴む取っ手である。
【0032】
次に、シート38を閉鎖状態に保つロック機構について説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す斜視図である。
【0034】
図3は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す平面図である。
【0035】
図4は、図3のIV−IV線において、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図である。
【0036】
図5は、図3のV−V線において、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図である。
【0037】
図6は、図4のVI−VI線において、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両を示す断面図である。
【0038】
図7および図8は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両のシートロックカバーを示す斜視図である。
【0039】
図2から図8に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、シート38を閉鎖状態に保持可能なロック機構45と、ロック機構45を覆うシートロックカバー46と、を備える。
【0040】
ロック機構45は、シート38の下面から突出するストライカ47と、車体フレーム2に設けられるとともにストライカ47に引っ掛かることでシート38を固定可能なラッチ48と、を備える。
【0041】
ストライカ47は、自動二輪車1の側面視において略U字形状の金具である。ストライカ47は、収納ボックス36をシート38で閉鎖した状態において、ラッチ48に引っ掛かるようシート38の底板51から突出する。また、ストライカ47は、U字形状の2つの先端部分から折れ曲がり自動二輪車1の左右異なる方向へ向けて延びるステイ部52を備える。ステイ部52は、シート38の底板51にストライカ47全体を支える。ストライカ47は、U字形状部とステイ部52とを丸棒などの線材を適宜に折り曲げて形成できる。
【0042】
ラッチ48は、左右のリヤフレーム13に跨がるブリッジ53に位置する。ブリッジ53は、シート38を閉じたとき、ストライカ47とラッチ48とが円滑に引っ掛かり合うようラッチ48を適宜の位置に配置するブラケットである。ラッチ48は、ストライカ受け台55に傾動可能に支持されてストライカ47に引っ掛かる位置とストライカ47との引っ掛かりを解除する位置に移動できる。ストライカ受け台55はラッチ48をブリッジ53に固定するとともに、ストライカ47の侵入深さを規制するストライカ受け溝56を有する。
【0043】
また、ラッチ48は、ストライカ47を押し込むと、一旦ストライカ47を避けて待避し、さらにストライカ47の押し込みが進むと待避位置から引っ掛かり位置へ復帰し、ストライカ47に引っ掛かってシート38を閉鎖状態に保持する。
【0044】
さらに、ラッチ48は、自動二輪車1の適宜の箇所に設けられる錠前(図示省略)の解錠にワイヤ57を介して連動してストライカ47との引っ掛かりを解除してシート38を開放可能にする。
【0045】
なお、ロック機構45において、ストライカ47は、U字形状の他に略J字形状の鉤や、ラッチ48を引っ掛け可能な孔を有する板材であっても良い。また、ロック機構45は、棒状のストライカ47の先端部分を周方向に巻く溝を形成し、ストライカ47の径方向に移動してストライカ47の溝に引っ掛かってシート38を閉鎖状態に保持するラッチ48を組み合わせても良い。
【0046】
シートロックカバー46は、ロック機構45のラッチ48とともにブリッジ53に設けられてラッチ48を覆う。シートロックカバー46は、ブリッジ53ごとラッチ48を覆う大面積の天井壁58と、ラッチ48の前方を覆って天井壁58に連接する前壁59と、を備える。
【0047】
天井壁58は、閉鎖状態におけるシート38の底板51に対面する。また、天井壁58は、ストライカ47が押し当たると周辺の弾性部61の変形により広がってストライカ47の侵入を許可するスリット62を有する。
【0048】
また、天井壁58は、ラッチ48の略真上に位置してスリット62の開口縁となる舌形状部63を備える。舌形状部63の幅は、ストライカ47がラッチ48に引っ掛かる固定状態にあるとき、スリット62を貫通するストライカ47の貫通部分の幅と略同じである。具体的には、U字形状のストライカ47において、上下に延びる2つの棒状部分がスリット62を貫通する一方、舌形状部63の幅は、この棒状部分と略同じである。
【0049】
スリット62は、弾性部61の変形がなくてはストライカ47が通過しない程度に狭隘な隙間である。
【0050】
また、スリット62は、ストライカ47の侵入幅よりも短い周期で蛇行し、舌形状部63を形成する。
【0051】
弾性部61は、スリット62の周囲に位置し、舌形状部63を含むスリット62の縁部を変位可能に支持する。また、弾性部61は、ストライカ47をスリット62に押し当て、押し込むと、舌形状部63を含むスリット62の縁部をストライカ47の押し込み方向へ倒れ込ませてスリット62の隙間を一時的に拡大し、ストライカ47の通過を可能にする。弾性部61は、シートロックカバー46全体をエラストマーで形成することで舌形状部63を含むスリット62の縁部全体を変形可能にするものであり、図2および図3中には仮想的に二点鎖線で一部領域のみ示す。なお、弾性部61は、天井壁58の一部にエラストマーを使用し、他部をポリプロピレン等の樹脂製を使用して、舌形状部63を含むスリット62の縁部の周囲を部分的に変形可能にし、舌形状部63を含むスリット62の縁部を変位可能にするよう構成しても良い。
【0052】
前壁59は、ブリッジ53の形状に応じてラッチ48の前後左右の少なくともいずれかの側面を覆う壁状の延長部である。
【0053】
また、シートロックカバー46は、前壁59に位置してストライカ47を回避可能な逆三角形状の逃部65と、天井壁58に位置してラッチ48を回避可能な四角形状の逃部66と、を有する。逃部65は、シート38やロック機構45の位置的な公差を考慮して、前壁59とストライカ47とが干渉してしまいストライカ47とラッチ48とが引っ掛からなくなることを防止する。逃部66は、天井壁58および舌形状部63とラッチ48とが干渉してしまいラッチ48の動作を阻害してしまうことを防止する。
【0054】
ピリオンライダーハンドル42は、ブリッジ53にボルト67で固定される。また、ピリオンライダーハンドル42は、シートロックカバー46を固定するカバー用ブラケット68を備える。カバー用ブラケット68は、シートロックカバー46の固定口69を有する。
【0055】
一方、シートロックカバー46は、天井壁58の裏面に位置する固定用突起73を備える。固定用突起73は、天井壁58から延びる軸部71と、軸部71の先端にあり軸部71よりも大径の膨出部72と、を備える。軸部71はカバー用ブラケット68の固定口69と略同径である。固定用突起73は、エラストマーで形成され、膨出部72が変形することで固定口69を一旦通過し、通過後は膨出部72の形状が復元し、固定口69に軸部71を配置して容易に抜け出せなくなり、シートロックカバー46全体をカバー用ブラケット68に固定する。
【0056】
なお、シートロックカバー46は、ピリオンライダーハンドル42の他に車体フレーム2やフレームカバー35に固定しても良い。また、シートロックカバー46の固定構造は、固定用突起73を固定口69に嵌め込む構造に限らず、ボルトやクリップなどの締結部材を用いる他の固定構造であっても良い。
【0057】
図9は、本発明の実施形態に係る鞍乗型車両の後半部を示す斜視図である。
【0058】
図9に示すように、本実施形態に係る自動二輪車1は、ロック機構45のロックを解除しシート38を開くと、収納ボックス36を開放し、燃料タンク37を露出する。このとき、シートロックカバー46のスリット62は形状を復元して隙間を狭め、小石などの異物がラッチ48に落ち込むことを防止する。
【0059】
なお、本実施形態に係る自動二輪車1のシート38は、前端部分にあるヒンジ39回りに回転して開閉するものであるが、ヒンジ39を車両の左右いずれかの側方や、後端部分に配置してシートの開閉方向を変更しても良い。また、本実施形態に係るロック機構45は、ヒンジ39から極力遠いシート38の後端部に位置するが、必ずしもヒンジ39から遠ざけて配置する必要は無く、シート38の前端付近や車両の左右いずれかの側方付近に位置していても良い。
【0060】
本実施形態に係る自動二輪車1は、ストライカ47が押し当たると周辺の弾性部61の変形により広がってストライカ47の侵入を許可するスリット62を有することによって、シート38の閉鎖状態におけるシートロックカバー46とストライカ47とを密着させることが容易に可能であり、不正解錠道具をラッチ48に到達させることが困難になり、不正解錠を防いで防犯性に優れる。
【0061】
また、本実施形態に係る自動二輪車1は、ストライカ47が押し当たると周辺の弾性部61の変形により広がってストライカ47の侵入を許可するスリット62を有することによって、スリット62の隙間を極力小さくすることが可能であり、シート38を開いていても異物がラッチに落ち込むことを防いでロック機構45の動作不良を生じ難い。
【0062】
さらに、本実施形態に係る自動二輪車1は、ラッチ48の略真上にスリット62の開口縁となる舌形状部63を備えることによって、シート38を閉鎖したときスリット62の押し広げられる範囲をストライカ47が貫通する部分、あるいはその近傍に限定することが可能であり、シートロックカバー46とストライカ47との密着をさらに高め、不正解錠道具がラッチ48に到達することをより困難にし、より防犯性に優れる。特に、舌形状部の幅を、スリット62を貫通するストライカ47の貫通部分の幅と略同じにすることによって、より顕著に防犯性を高めることができる。
【0063】
さらにまた、本実施形態に係る自動二輪車1は、蛇行するスリット62によって、仮に不正解錠道具をスリット62に強引に押し込んだとしても、ラッチ48を解錠するための不正解錠道具の動作を妨げることが可能であり、さらに防犯性を高めることができる。また、蛇行するスリット62は、例えば針金状の長尺な異物がラッチ48に落ち込むことを確実に防ぐことが可能であり、ロック機構45の動作不良を生じ難い。
【0064】
また、本実施形態に係る自動二輪車1は、シートロックカバー46の前壁59によってロック機構45を覆うことによって、シート38とフレームカバー35との隙間からロック機構を視認し難くなり、不正解錠操作を妨げて、さらに防犯性を高めることができる。
【0065】
なお、本実施形態に係る鞍乗型車両は、自動二輪車1について説明したが、これに限らず、全地形対応車(ATV:All Terrain Vehicle)およびスノーモービルなどユーザがシートに跨って座る車両であれば良い。
【0066】
したがって、本実施形態に係る鞍乗型車両によれば、シート38を閉鎖状態に保つロック機構45の不正解錠をより確実に防ぎ、かつシート38を開放状態にしてもラッチ48を隠蔽して保護することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 自動二輪車
2 車体フレーム
5 前輪
6 ステアリング機構
7 後輪
8 スイングアーム
9 エンジン
11 ヘッドパイプ
12 メインフレーム
13 リヤフレーム
15、16 エンジンブラケット
17 ピボット軸
18 フロントフォーク
20 フロントフェンダ
21 ハンドル
21a アクセルグリップ
22 リアクッションユニット
26 シリンダヘッド
27 シリンダブロック
28 クランクケース
29 排気マフラ
31 チェーンユニット
32 フロントカバー
33 レッグシールド
35 フレームカバー
36 収納ボックス
37 燃料タンク
38 シート
38a 前半部
38b 後半部
39 ヒンジ
41 リヤフェンダ
42 ピリオンライダーハンドル
45 ロック機構
46 シートロックカバー
47 ストライカ
48 ラッチ
51 底板
52 ステイ部
53 ブリッジ
55 ストライカ受け台
56 ストライカ受け溝
57 ワイヤ
58 天井壁
59 前壁
61 弾性部
62 スリット
63 舌形状部
65、66 逃部
67 ボルト
68 カバー用ブラケット
69 固定口
71 軸部
72 膨出部
73 固定用突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームの上方に位置するシートと、
前記シートの下面から突出するストライカと、
前記車体フレームに設けられるとともに前記ストライカに引っ掛かることで前記シートを固定可能なラッチと、
前記ラッチを覆いかつ前記ストライカが押し当たると周辺の弾性部の変形により広がって前記ストライカの侵入を許可するスリットを有するシートロックカバーと、を備えることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記シートロックカバーは、前記ラッチの略真上に位置して前記スリットの開口縁となる舌形状部を備えることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記舌形状部の幅は、前記ストライカが前記ラッチに引っ掛かる固定状態にあるとき前記スリットを貫通する前記ストライカの貫通部分の幅と略同じであることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記スリットは蛇行することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記スリットは、前記ストライカの侵入幅よりも短い周期で蛇行することを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記シートロックカバーは、前記ラッチの前後左右の少なくともいずれかの側面を覆う壁状の延長部を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103566(P2013−103566A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247736(P2011−247736)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)