鞍乗型車両
【課題】運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【解決手段】図(a)に示すスポーツモードでは、運転者79は後部ステップ29に足を載せ前傾姿勢で乗車する。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40が図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は図面時計方向へ回転する。すると、図(b)での屈曲角θ2は小さくなる。図(a)に比較して、図(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図(b)は、クルージングモードとなり、運転者79は前部ステップ51に足を載せる。
【効果】一台の車両でありながら、重心位置が変更でき、車体形状が変更できる。
【解決手段】図(a)に示すスポーツモードでは、運転者79は後部ステップ29に足を載せ前傾姿勢で乗車する。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40が図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は図面時計方向へ回転する。すると、図(b)での屈曲角θ2は小さくなる。図(a)に比較して、図(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図(b)は、クルージングモードとなり、運転者79は前部ステップ51に足を載せる。
【効果】一台の車両でありながら、重心位置が変更でき、車体形状が変更できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両、特に乗員が足を載せるステップに配慮した鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がシートを跨いで座る車両は、鞍乗型車両と呼ばれる。走行中は乗員はステップに足を載せる。車両には、左右のステップが設けられる(例えば、特許文献1(図1、図4)参照。)。
【0003】
特許文献1の図4は、底面図であり、パワーユニット(50)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)の下面に、車幅方向延びるステップバー(42)が取付けられ、このステップバー(42)の両端に、左右のステップ(41、41)が取付けられている。
【0004】
特許文献1の図1に示されるように、ステップ(41)は、前輪(18)と後輪(21)の間にて、シート(29)の下方に配置される。走行中、運転者はシート(29)に座りつつ、足をステップ(41)に載せる。
【0005】
ステップ(41)の位置が一義的に決まっている。運転者がシート(29)上でヒップポイントを車両前後へ移動させてもステップ(41)の位置が変わることはない。結果、運転者の乗車姿勢はあまり変えられない。
【0006】
しかし、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−227119公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、乗員がシートを跨いて座る鞍乗型車両であって、
この鞍乗型車両は、前記シートの下方に配置され乗員が足を載せることができる後部ステップと、この後部ステップより車両前方に配置され運転者が足を載せることができる前部ステップを備え、運転者は前記後部ステップと前記前部ステップを選択して使用することができ、
前記前部ステップは、可倒式ステップであって、不使用状態では収納状態にすることができることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、請求項1記載の鞍乗型車両は、前部構造体と後部構造体を主要素とする鞍乗型車両であって、
前記前部構造体は、前部にヘッドパイプを備え車両前後方向に延びる車体フレームと、この車体フレームの後部に設けられる後部ステップと、前記車体フレームの後部から延びるシートフレームと、このシートフレームに支えられるシートと、前記ヘッドパイプに操向可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの上端に取付けられる操向ハンドルと、前記フロントフォークの下端に取付けられる前輪と、からなり、
前記後部構造体は、前記前輪の後方に配置される後輪と、この後輪より車両前方に配置され前記後輪を駆動する駆動源と、この駆動源及び前記後輪を支える支持体と、この支持体の下部に設けられる前記前部ステップからなり、
前記前部構造体と前記後部構造体は、ヒンジ部を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部を軸に前記前部構造体と前記後部構造体を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、前部ステップは、足を載せる踏み板と、車体前後方向に延び踏み板を支持体に揺動可能に止める踏み板支軸と、踏み板と支持体の間に設けられ踏み板を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、車体形状調節機構によってシートが高い位置に調節されたときには、後部ステップが使用され、前部ステップが収納状態とされることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、車体形状調節機構によってシートが低い位置に調節されたときには、前部ステップが使用され、後部ステップが収納状態とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、車両に前部ステップと後部ステップとを備えた。
運転者がスポーツ走行を望んで、前屈みになるときには、後部ステップに足を載せればよい。また、運転者がクルーズ走行を望んで、上半身を起こすときには、前部ステップに足を載せればよい。前部ステップは、不使用状態では収納状態にすることができる。
本発明によれば、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両が提供される。
【0015】
請求項2に係る発明では、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0016】
請求項3に係る発明では、クリック機構により、前部ステップの踏み板が、使用位置と不使用位置とで固定される。クリック機構であるから、構造が簡単である。
【0017】
請求項4に係る発明では、シートが高い位置に調節されたときには、後部ステップが使用され、前部ステップが収納状態とされる。高い位置とされたシートに座り、後部ステップに足を載せることで、高速走行が楽しめる。
【0018】
請求項5に係る発明では、シートが低い位置に調節されたときには、前部ステップが使用され、後部ステップが収納状態とされる。低い位置とされたシートに座り、前部ステップに足を載せることで、中速走行が楽しめる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の分解図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】鞍乗型車両の左側面図である。
【図4】車体形状調節機構の断面図である。
【図5】図4の5線断面図である。
【図6】操作子の配置図である。
【図7】車体形状調節機構の斜視図である。
【図8】車体形状調節機構の作用図である。
【図9】図4の作用図である。
【図10】本発明に係る前部ステップの分解斜視図である。
【図11】前部ステップの要部断面図である。
【図12】前部ステップの作用図である。
【図13】鞍乗型車両の作用図である。
【図14】鞍乗型車両の作用図である。
【図15】図2の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本発明の要部である前部ステップについては、図10〜図14で詳しく説明するが、その前に、図1〜図9に基づいて車両全般の構造を説明する。
また、「乗員」は車両に乗る人を指し、そのうちで運転に当たる乗員を「運転者」、運転に当たらない乗員を「同乗者」と呼ぶことにする。
【0022】
図1に示すように、鞍乗型車両10は、前輪21を含む前部構造体20と、後輪41を含む後部構造体40とを主要素とし、前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52を介して、車両側面視で屈曲可能に連結される。屈曲調節は、後部構造体40と前部構造体20に掛け渡す車体形状調節機構60で実施される。
【0023】
前部構造体20は、前輪21を支えるフロントフォーク22と、このフロントフォーク22を支えるヘッドパイプ23を前部に備え車両前後方向に延びる車体フレーム24と、この車体フレーム24の後部から斜め上へ延びるシートフレーム25と、このシートフレーム25に支えられるシート26と、このシート26の前部から車両前方へ延びて車体フレーム24を覆う車体カバー27と、車体フレーム24の後部に設けられるリヤプレート28と、このリヤプレート28の後部に取付けられる後部ステップ29と、車体フレーム24の後部下部に設けられるスタンド31と、フロントフォーク22の上部に取付けられる前照灯32及びメータ類33と、フロントフォーク22の上端に取付けられる操向ハンドル34と、フロントフォーク22の下端に取付けられる前輪21とからなる。
【0024】
後部構造体40は、後輪41と、この後輪41より車両前方に配置され後輪41を駆動する駆動源42と、この駆動源42及び後輪41を支える支持体43とからなる。駆動源42は、電動モータが好適であるが、ガソリンエンジンなどの内燃機関であってもよい。
【0025】
支持体43は、例えば、駆動源42を支える駆動源支持ケース44と、この駆動源支持ケース44にピボット軸45を介して上下揺動可能に取付けられ後輪41を支えるスイングアーム46と、このスイングアーム46と駆動源支持ケース44に渡されるリヤクッション47とからなる。
【0026】
図2に示すように、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は電動モータであり、駆動源支持ケース44には、電動モータ42と共にこの電動モータ42へ供給する電気エネルギーを蓄える走行用バッテリ53が収納される。
【0027】
同一の駆動源支持ケース44に、電動モータ42と走行用バッテリ53が取付けられているため、給電ハーネスが短くなると共に給電ハーネスに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、電動モータ42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0028】
図1に示すように、前部構造体20側のリヤプレート28に後部ステップ29が取付けられているが、後部構造体40側の駆動源支持ケース44に、前部ステップ51が取付けられている。
前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52で連結するとともに、後部構造体40に設けた車体形状調節機構60を前部構造体20に渡すことで、鞍乗型車両が完成する。
【0029】
図3が鞍乗型車両の完成図であり、外観は、通常の自動二輪車と近似するが、この鞍乗型車両10は、シート26の下方に配置され乗員が足を載せることができる後部ステップ29と、この後部ステップ29より車両前方に配置され運転者が足を載せることができる前部ステップ51を備えて点に差異がある。図1に記載の符号を流用し、符号の詳細な説明は省略する。
【0030】
車体カバー27で隠されている車体形状調節機構60の詳細を次に述べる。
図4に示すように、車体形状調節機構60は、駆動源支持ケース44に取付けられるアクチュエータ61と、このアクチュエータ61から延ばされアクチュエータ61により回されるねじ軸62と、このねじ軸62にねじ込まれるナット63と、このナット63に揺動可能に連結され先端が駆動源支持ケース44に連結される第1リンクプレート64及び先端が車体フレーム24に連結される第2リンクプレート65とからなるトグル機構である。
【0031】
本実施例では、アクチュエータ61は、駆動源支持ケース44に取付けたが、車体フレーム24側に取付けることもできる。
アクチュエータ61は、電動機66と、この電動機66の回転速度を減速する減速機67とからなる。アクチュエータ61は、減速機を電動機ケースに内蔵した減速機付き電動機であっても良い。また、油圧モータを主要素とする油圧アクチュエータであってもよい。
【0032】
図5に示すように、減速機67から左右の支軸68、68が延びる。これらの支軸68、68が、駆動源支持ケース44の内面から延ばすブラケット69、69に揺動可能に支持される。結果、アクチュエータ61は駆動源支持ケース44に内蔵され、且つ揺動自在に支持される。
【0033】
図6に示すように、操作ハンドル34に、シーソー型スイッチのような操作子71を設け、例えば運転者の左手親指で操作子71をC(クルーザモード)又はS(スポーツモード)に切り替える。すると、制御部72は電動機66を正転又は逆転制御する。結果、ねじ軸62が回転し、ナット63が上又は下へ移動する。操作子71はシーソー型スイッチに限るものではなく、ON/OFF型スイッチであれば種類は問わない。
【0034】
図7に示すように、第2リンクプレート65は、車体フレーム24に揺動可能に連結される。すなわち、ねじ軸62で移動されるナット63から、ピン73を介して第1リンクプレート64が上方に延びると共に第2リンクプレート65が下方へ延びる。第1リンクプレート64の先端は、ピン74を介して駆動源支持ケース44側のブラケット75に揺動可能に止められ、第2リンクプレート65の先端は、ピン76を介して車体フレーム24側のパイプ77に揺動可能に止められる。
【0035】
車体形状調節機構60の作用を、図8に基づいて説明する。
図8(a)にスポーツモードに対応したナット63の位置が示される。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。
アクチュエータによりナット63を上へ移動すると、広がっていた第1・第2リンクプレート64、65は、図8(b)に示すように、V字形に折り畳まれ、結果、車体フレーム24にブラケット75が接近する。
【0036】
なお、(a)、(b)に示すようにねじ軸62の傾きが変化する。この変化を図4及び図9で説明する。
図4に示す減速機67が支軸68を中心に図時計方向に回転する。減速機67の近傍にて駆動源支持ケース44にポケット部78が設けられている。このポケット部78は、駆動源支持ケース44を局部的に外側へ膨出させることで形成される。
【0037】
図9に示すように、支軸68を中心に回転した減速機67がポケット部78に収納される。
駆動源支持ケース44を全体的に拡げることなく、局部的に膨出することで、揺動するアクチュエータ61を収納することができ、駆動源支持ケース44のコンパクト化が達成される。
【0038】
次に、前部ステップ51の構造と作用を詳しく説明する。
図10に示すように前部ステップ51は、車体側に設けられる支持ブロック85と、ゴム又は硬質樹脂が上面に設けられている踏み板86と、車体前後方向に延び踏み板86を支持ブロック85に揺動可能に止める踏み板支軸87と、この踏み板支軸87の先端に嵌められ踏み板支軸87の抜け止めを図るクリップ88と、支持ブロック85と踏み板86との間に設けられ踏み板86を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構90とからなる。
【0039】
クリック機構90は、例えば、ばね91と、このばね91で付勢されるボール92と、このボール92が嵌る第1クリック穴93及び第2クリック穴94が設けられ踏み板支軸87が通過しうる通穴95を備え回り止め片96を有するクリック板97とからなる。クリック機構90は安価で、簡単な構造である。
【0040】
図11に示すように、クリック板97は支持ブロック85の一端と踏み板側の腕部89との間に置かれる。回り止め片96が腕部89に掛かっているため、クリック板97は腕部89に連れて回転する。
一方、支持ブロック85の一端にばね収納穴98が設けられ、このばね収納穴98にばね91が収納される。このばね91はボール92をクリック板97へ押し付ける。
【0041】
図12(a)に示すように、前部ステップ51が使用状態にあるときには、ボール92が第1クリック穴93に嵌って固定され、踏み板86が上下にふらつくことはない。次に、踏み板86の先端を人手で持ち上げると、持ち上げ力がクリック力を超え、結果、踏み板86は図面反時計方向に略90°回転する。
図12(b)に示すように、前部ステップ51が不使用状態にあるときには、ボール92が第2クリック穴94に嵌って固定され、踏み板86が図面時計方向に倒れる心配はない。
【0042】
図13(a)に示すように、スポーツモードでは、運転者79は前傾姿勢で乗車する。
駆動源支持ケース44の地上高さをH1とする。運転者79は後部ステップ29に足を載せる。不使用の前部ステップ51は収納状態にしておく。
第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。ヒンジ部52の中心を通りステアリング軸81に直交する第1線分82と、ヒンジ部52の中心を通り後輪41の中心を通る第2線分83とのなす屈曲角θ1は、180°弱になる。
【0043】
この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40がヒンジ部52の軸回りに図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は同じくヒンジ部52の軸回りに図面時計方向へ回転する。
【0044】
すると、図13(b)に示すように、第1線分82と第2線分83とがなす屈曲角θ2は小さくなる。連動して、(a)のキャスタ角α1に対して、(b)のキャスタ角度α2
は大きくなる。キャスタ角α1は例えばクルーザモードに好適な26°で、キャスタ角α2はスポーツモードに好適な30°である。
結果、(a)のホイールベースW1に対して、(b)のホイールベースW2は長くなる。
【0045】
(a)に比較して、(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図13(b)は、クルージングモードとなり、運転者79は上半身が起きた姿で乗車する。運転者79は前部ステップ51に足を載せる。
【0046】
すなわち、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
【0047】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0048】
図14に示すように、運転者79の車両後方に同乗者99が同乗するときには、運転者79が前部ステップ51に足を載せ、同乗者99が後部ステップ29に足を載せればよい。
この例によれば、従来のピリオンステップと称する同乗者専用ステップは不要となる。
【0049】
図15は図2の変更実施例図であり、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は内燃機関であり、駆動源支持ケース44には、内燃機関42と共にこの内燃機関42へ供給する燃料を蓄える燃料タンク84が収納される。
【0050】
同一の駆動源支持ケース44に、内燃機関42と燃料タンク84が取付けられているため、給油ホースが短くなると共に給油ホースに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、内燃機関42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0051】
尚、本発明は、自動二輪車の他、電動自転車にも適用できる。自転車では、スイングアームやリヤクッションを省くことができる。
また、クリック機構は、クリック作用を発揮するものであればよく、本実施例の構造を変更することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の前部ステップ及び後部ステップは、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0053】
10…鞍乗型車両、20…前部構造体、21…前輪、22…フロントフォーク、23…ヘッドパイプ、24…車体フレーム、25…シートフレーム、26…シート、29…後部ステップ、34…操向ハンドル、40…後部構造体、41…後輪、42…駆動源、43…支持体、51…前部ステップ、52…ヒンジ部、60…車体形状調節機構、79…乗員(運転者)、86…踏み板、87…踏み板支軸、90…クリック機構、99…乗員(同乗者)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両、特に乗員が足を載せるステップに配慮した鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がシートを跨いで座る車両は、鞍乗型車両と呼ばれる。走行中は乗員はステップに足を載せる。車両には、左右のステップが設けられる(例えば、特許文献1(図1、図4)参照。)。
【0003】
特許文献1の図4は、底面図であり、パワーユニット(50)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)の下面に、車幅方向延びるステップバー(42)が取付けられ、このステップバー(42)の両端に、左右のステップ(41、41)が取付けられている。
【0004】
特許文献1の図1に示されるように、ステップ(41)は、前輪(18)と後輪(21)の間にて、シート(29)の下方に配置される。走行中、運転者はシート(29)に座りつつ、足をステップ(41)に載せる。
【0005】
ステップ(41)の位置が一義的に決まっている。運転者がシート(29)上でヒップポイントを車両前後へ移動させてもステップ(41)の位置が変わることはない。結果、運転者の乗車姿勢はあまり変えられない。
【0006】
しかし、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−227119公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、乗員がシートを跨いて座る鞍乗型車両であって、
この鞍乗型車両は、前記シートの下方に配置され乗員が足を載せることができる後部ステップと、この後部ステップより車両前方に配置され運転者が足を載せることができる前部ステップを備え、運転者は前記後部ステップと前記前部ステップを選択して使用することができ、
前記前部ステップは、可倒式ステップであって、不使用状態では収納状態にすることができることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明では、請求項1記載の鞍乗型車両は、前部構造体と後部構造体を主要素とする鞍乗型車両であって、
前記前部構造体は、前部にヘッドパイプを備え車両前後方向に延びる車体フレームと、この車体フレームの後部に設けられる後部ステップと、前記車体フレームの後部から延びるシートフレームと、このシートフレームに支えられるシートと、前記ヘッドパイプに操向可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの上端に取付けられる操向ハンドルと、前記フロントフォークの下端に取付けられる前輪と、からなり、
前記後部構造体は、前記前輪の後方に配置される後輪と、この後輪より車両前方に配置され前記後輪を駆動する駆動源と、この駆動源及び前記後輪を支える支持体と、この支持体の下部に設けられる前記前部ステップからなり、
前記前部構造体と前記後部構造体は、ヒンジ部を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部を軸に前記前部構造体と前記後部構造体を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構を設けることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、前部ステップは、足を載せる踏み板と、車体前後方向に延び踏み板を支持体に揺動可能に止める踏み板支軸と、踏み板と支持体の間に設けられ踏み板を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構とからなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、車体形状調節機構によってシートが高い位置に調節されたときには、後部ステップが使用され、前部ステップが収納状態とされることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、車体形状調節機構によってシートが低い位置に調節されたときには、前部ステップが使用され、後部ステップが収納状態とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明では、車両に前部ステップと後部ステップとを備えた。
運転者がスポーツ走行を望んで、前屈みになるときには、後部ステップに足を載せればよい。また、運転者がクルーズ走行を望んで、上半身を起こすときには、前部ステップに足を載せればよい。前部ステップは、不使用状態では収納状態にすることができる。
本発明によれば、運転者の好みに応じて乗車姿勢を大きく変えることができる鞍乗型車両が提供される。
【0015】
請求項2に係る発明では、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0016】
請求項3に係る発明では、クリック機構により、前部ステップの踏み板が、使用位置と不使用位置とで固定される。クリック機構であるから、構造が簡単である。
【0017】
請求項4に係る発明では、シートが高い位置に調節されたときには、後部ステップが使用され、前部ステップが収納状態とされる。高い位置とされたシートに座り、後部ステップに足を載せることで、高速走行が楽しめる。
【0018】
請求項5に係る発明では、シートが低い位置に調節されたときには、前部ステップが使用され、後部ステップが収納状態とされる。低い位置とされたシートに座り、前部ステップに足を載せることで、中速走行が楽しめる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の分解図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】鞍乗型車両の左側面図である。
【図4】車体形状調節機構の断面図である。
【図5】図4の5線断面図である。
【図6】操作子の配置図である。
【図7】車体形状調節機構の斜視図である。
【図8】車体形状調節機構の作用図である。
【図9】図4の作用図である。
【図10】本発明に係る前部ステップの分解斜視図である。
【図11】前部ステップの要部断面図である。
【図12】前部ステップの作用図である。
【図13】鞍乗型車両の作用図である。
【図14】鞍乗型車両の作用図である。
【図15】図2の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0021】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本発明の要部である前部ステップについては、図10〜図14で詳しく説明するが、その前に、図1〜図9に基づいて車両全般の構造を説明する。
また、「乗員」は車両に乗る人を指し、そのうちで運転に当たる乗員を「運転者」、運転に当たらない乗員を「同乗者」と呼ぶことにする。
【0022】
図1に示すように、鞍乗型車両10は、前輪21を含む前部構造体20と、後輪41を含む後部構造体40とを主要素とし、前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52を介して、車両側面視で屈曲可能に連結される。屈曲調節は、後部構造体40と前部構造体20に掛け渡す車体形状調節機構60で実施される。
【0023】
前部構造体20は、前輪21を支えるフロントフォーク22と、このフロントフォーク22を支えるヘッドパイプ23を前部に備え車両前後方向に延びる車体フレーム24と、この車体フレーム24の後部から斜め上へ延びるシートフレーム25と、このシートフレーム25に支えられるシート26と、このシート26の前部から車両前方へ延びて車体フレーム24を覆う車体カバー27と、車体フレーム24の後部に設けられるリヤプレート28と、このリヤプレート28の後部に取付けられる後部ステップ29と、車体フレーム24の後部下部に設けられるスタンド31と、フロントフォーク22の上部に取付けられる前照灯32及びメータ類33と、フロントフォーク22の上端に取付けられる操向ハンドル34と、フロントフォーク22の下端に取付けられる前輪21とからなる。
【0024】
後部構造体40は、後輪41と、この後輪41より車両前方に配置され後輪41を駆動する駆動源42と、この駆動源42及び後輪41を支える支持体43とからなる。駆動源42は、電動モータが好適であるが、ガソリンエンジンなどの内燃機関であってもよい。
【0025】
支持体43は、例えば、駆動源42を支える駆動源支持ケース44と、この駆動源支持ケース44にピボット軸45を介して上下揺動可能に取付けられ後輪41を支えるスイングアーム46と、このスイングアーム46と駆動源支持ケース44に渡されるリヤクッション47とからなる。
【0026】
図2に示すように、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は電動モータであり、駆動源支持ケース44には、電動モータ42と共にこの電動モータ42へ供給する電気エネルギーを蓄える走行用バッテリ53が収納される。
【0027】
同一の駆動源支持ケース44に、電動モータ42と走行用バッテリ53が取付けられているため、給電ハーネスが短くなると共に給電ハーネスに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、電動モータ42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0028】
図1に示すように、前部構造体20側のリヤプレート28に後部ステップ29が取付けられているが、後部構造体40側の駆動源支持ケース44に、前部ステップ51が取付けられている。
前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52で連結するとともに、後部構造体40に設けた車体形状調節機構60を前部構造体20に渡すことで、鞍乗型車両が完成する。
【0029】
図3が鞍乗型車両の完成図であり、外観は、通常の自動二輪車と近似するが、この鞍乗型車両10は、シート26の下方に配置され乗員が足を載せることができる後部ステップ29と、この後部ステップ29より車両前方に配置され運転者が足を載せることができる前部ステップ51を備えて点に差異がある。図1に記載の符号を流用し、符号の詳細な説明は省略する。
【0030】
車体カバー27で隠されている車体形状調節機構60の詳細を次に述べる。
図4に示すように、車体形状調節機構60は、駆動源支持ケース44に取付けられるアクチュエータ61と、このアクチュエータ61から延ばされアクチュエータ61により回されるねじ軸62と、このねじ軸62にねじ込まれるナット63と、このナット63に揺動可能に連結され先端が駆動源支持ケース44に連結される第1リンクプレート64及び先端が車体フレーム24に連結される第2リンクプレート65とからなるトグル機構である。
【0031】
本実施例では、アクチュエータ61は、駆動源支持ケース44に取付けたが、車体フレーム24側に取付けることもできる。
アクチュエータ61は、電動機66と、この電動機66の回転速度を減速する減速機67とからなる。アクチュエータ61は、減速機を電動機ケースに内蔵した減速機付き電動機であっても良い。また、油圧モータを主要素とする油圧アクチュエータであってもよい。
【0032】
図5に示すように、減速機67から左右の支軸68、68が延びる。これらの支軸68、68が、駆動源支持ケース44の内面から延ばすブラケット69、69に揺動可能に支持される。結果、アクチュエータ61は駆動源支持ケース44に内蔵され、且つ揺動自在に支持される。
【0033】
図6に示すように、操作ハンドル34に、シーソー型スイッチのような操作子71を設け、例えば運転者の左手親指で操作子71をC(クルーザモード)又はS(スポーツモード)に切り替える。すると、制御部72は電動機66を正転又は逆転制御する。結果、ねじ軸62が回転し、ナット63が上又は下へ移動する。操作子71はシーソー型スイッチに限るものではなく、ON/OFF型スイッチであれば種類は問わない。
【0034】
図7に示すように、第2リンクプレート65は、車体フレーム24に揺動可能に連結される。すなわち、ねじ軸62で移動されるナット63から、ピン73を介して第1リンクプレート64が上方に延びると共に第2リンクプレート65が下方へ延びる。第1リンクプレート64の先端は、ピン74を介して駆動源支持ケース44側のブラケット75に揺動可能に止められ、第2リンクプレート65の先端は、ピン76を介して車体フレーム24側のパイプ77に揺動可能に止められる。
【0035】
車体形状調節機構60の作用を、図8に基づいて説明する。
図8(a)にスポーツモードに対応したナット63の位置が示される。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。
アクチュエータによりナット63を上へ移動すると、広がっていた第1・第2リンクプレート64、65は、図8(b)に示すように、V字形に折り畳まれ、結果、車体フレーム24にブラケット75が接近する。
【0036】
なお、(a)、(b)に示すようにねじ軸62の傾きが変化する。この変化を図4及び図9で説明する。
図4に示す減速機67が支軸68を中心に図時計方向に回転する。減速機67の近傍にて駆動源支持ケース44にポケット部78が設けられている。このポケット部78は、駆動源支持ケース44を局部的に外側へ膨出させることで形成される。
【0037】
図9に示すように、支軸68を中心に回転した減速機67がポケット部78に収納される。
駆動源支持ケース44を全体的に拡げることなく、局部的に膨出することで、揺動するアクチュエータ61を収納することができ、駆動源支持ケース44のコンパクト化が達成される。
【0038】
次に、前部ステップ51の構造と作用を詳しく説明する。
図10に示すように前部ステップ51は、車体側に設けられる支持ブロック85と、ゴム又は硬質樹脂が上面に設けられている踏み板86と、車体前後方向に延び踏み板86を支持ブロック85に揺動可能に止める踏み板支軸87と、この踏み板支軸87の先端に嵌められ踏み板支軸87の抜け止めを図るクリップ88と、支持ブロック85と踏み板86との間に設けられ踏み板86を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構90とからなる。
【0039】
クリック機構90は、例えば、ばね91と、このばね91で付勢されるボール92と、このボール92が嵌る第1クリック穴93及び第2クリック穴94が設けられ踏み板支軸87が通過しうる通穴95を備え回り止め片96を有するクリック板97とからなる。クリック機構90は安価で、簡単な構造である。
【0040】
図11に示すように、クリック板97は支持ブロック85の一端と踏み板側の腕部89との間に置かれる。回り止め片96が腕部89に掛かっているため、クリック板97は腕部89に連れて回転する。
一方、支持ブロック85の一端にばね収納穴98が設けられ、このばね収納穴98にばね91が収納される。このばね91はボール92をクリック板97へ押し付ける。
【0041】
図12(a)に示すように、前部ステップ51が使用状態にあるときには、ボール92が第1クリック穴93に嵌って固定され、踏み板86が上下にふらつくことはない。次に、踏み板86の先端を人手で持ち上げると、持ち上げ力がクリック力を超え、結果、踏み板86は図面反時計方向に略90°回転する。
図12(b)に示すように、前部ステップ51が不使用状態にあるときには、ボール92が第2クリック穴94に嵌って固定され、踏み板86が図面時計方向に倒れる心配はない。
【0042】
図13(a)に示すように、スポーツモードでは、運転者79は前傾姿勢で乗車する。
駆動源支持ケース44の地上高さをH1とする。運転者79は後部ステップ29に足を載せる。不使用の前部ステップ51は収納状態にしておく。
第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。ヒンジ部52の中心を通りステアリング軸81に直交する第1線分82と、ヒンジ部52の中心を通り後輪41の中心を通る第2線分83とのなす屈曲角θ1は、180°弱になる。
【0043】
この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40がヒンジ部52の軸回りに図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は同じくヒンジ部52の軸回りに図面時計方向へ回転する。
【0044】
すると、図13(b)に示すように、第1線分82と第2線分83とがなす屈曲角θ2は小さくなる。連動して、(a)のキャスタ角α1に対して、(b)のキャスタ角度α2
は大きくなる。キャスタ角α1は例えばクルーザモードに好適な26°で、キャスタ角α2はスポーツモードに好適な30°である。
結果、(a)のホイールベースW1に対して、(b)のホイールベースW2は長くなる。
【0045】
(a)に比較して、(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図13(b)は、クルージングモードとなり、運転者79は上半身が起きた姿で乗車する。運転者79は前部ステップ51に足を載せる。
【0046】
すなわち、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
【0047】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0048】
図14に示すように、運転者79の車両後方に同乗者99が同乗するときには、運転者79が前部ステップ51に足を載せ、同乗者99が後部ステップ29に足を載せればよい。
この例によれば、従来のピリオンステップと称する同乗者専用ステップは不要となる。
【0049】
図15は図2の変更実施例図であり、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は内燃機関であり、駆動源支持ケース44には、内燃機関42と共にこの内燃機関42へ供給する燃料を蓄える燃料タンク84が収納される。
【0050】
同一の駆動源支持ケース44に、内燃機関42と燃料タンク84が取付けられているため、給油ホースが短くなると共に給油ホースに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、内燃機関42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0051】
尚、本発明は、自動二輪車の他、電動自転車にも適用できる。自転車では、スイングアームやリヤクッションを省くことができる。
また、クリック機構は、クリック作用を発揮するものであればよく、本実施例の構造を変更することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の前部ステップ及び後部ステップは、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0053】
10…鞍乗型車両、20…前部構造体、21…前輪、22…フロントフォーク、23…ヘッドパイプ、24…車体フレーム、25…シートフレーム、26…シート、29…後部ステップ、34…操向ハンドル、40…後部構造体、41…後輪、42…駆動源、43…支持体、51…前部ステップ、52…ヒンジ部、60…車体形状調節機構、79…乗員(運転者)、86…踏み板、87…踏み板支軸、90…クリック機構、99…乗員(同乗者)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員(79、99)がシート(26)を跨いて座る鞍乗型車両であって、
この鞍乗型車両は、前記シート(26)の下方に配置され乗員(79、99)が足を載せることができる後部ステップ(29)と、この後部ステップ(29)より車両前方に配置され運転者(79)が足を載せることができる前部ステップ(51)を備え、運転者(79)は前記後部ステップ(29)と前記前部ステップ(51)を選択して使用することができ、
前記前部ステップ(51)は、可倒式ステップであって、不使用状態では収納状態にすることができることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1記載の鞍乗型車両は、前部構造体(20)と後部構造体(40)を主要素とする車両であって、
前記前部構造体(20)は、前部にヘッドパイプ(23)を備え車両前後方向に延びる車体フレーム(24)と、この車体フレーム(24)の後部に設けられる前記後部ステップ(29)と、前記車体フレーム(24)から延びるシートフレーム(25)と、このシートフレーム(25)に支えられる前記シート(26)と、前記ヘッドパイプ(23)に操向可能に取付けられるフロントフォーク(22)と、このフロントフォーク(22)の上端に取付けられる操向ハンドル(34)と、前記フロントフォーク(22)の下端に取付けられる前輪(21)と、からなり、
前記後部構造体(40)は、前記前輪(21)の後方に配置される後輪(41)と、この後輪(41)より車両前方に配置され前記後輪(41)を駆動する駆動源(42)と、この駆動源(42)及び前記後輪(41)を支える支持体(43)と、この支持体(43)の下部に設けられる前記前部ステップ(51)からなり、
前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)は、ヒンジ部(52)を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部(52)を軸に前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構(60)を設けることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
前記前部ステップ(51)は、足を載せる踏み板(86)と、車体前後方向に延び前記踏み板(86)を前記支持体(43)に揺動可能に止める踏み板支軸(87)と、前記踏み板(86)と前記支持体(43)の間に設けられ前記踏み板(86)を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構(90)とからなることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記車体形状調節機構(60)によって前記シート(26)が高い位置に調節されたときには、前記後部ステップ(29)が使用され、前記前部ステップ(51)が収納状態とされることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記車体形状調節機構(60)によって前記シート(26)が低い位置に調節されたときには、前記前部ステップ(51)が使用され、前記後部ステップ(26)が収納状態とされることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項1】
乗員(79、99)がシート(26)を跨いて座る鞍乗型車両であって、
この鞍乗型車両は、前記シート(26)の下方に配置され乗員(79、99)が足を載せることができる後部ステップ(29)と、この後部ステップ(29)より車両前方に配置され運転者(79)が足を載せることができる前部ステップ(51)を備え、運転者(79)は前記後部ステップ(29)と前記前部ステップ(51)を選択して使用することができ、
前記前部ステップ(51)は、可倒式ステップであって、不使用状態では収納状態にすることができることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1記載の鞍乗型車両は、前部構造体(20)と後部構造体(40)を主要素とする車両であって、
前記前部構造体(20)は、前部にヘッドパイプ(23)を備え車両前後方向に延びる車体フレーム(24)と、この車体フレーム(24)の後部に設けられる前記後部ステップ(29)と、前記車体フレーム(24)から延びるシートフレーム(25)と、このシートフレーム(25)に支えられる前記シート(26)と、前記ヘッドパイプ(23)に操向可能に取付けられるフロントフォーク(22)と、このフロントフォーク(22)の上端に取付けられる操向ハンドル(34)と、前記フロントフォーク(22)の下端に取付けられる前輪(21)と、からなり、
前記後部構造体(40)は、前記前輪(21)の後方に配置される後輪(41)と、この後輪(41)より車両前方に配置され前記後輪(41)を駆動する駆動源(42)と、この駆動源(42)及び前記後輪(41)を支える支持体(43)と、この支持体(43)の下部に設けられる前記前部ステップ(51)からなり、
前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)は、ヒンジ部(52)を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部(52)を軸に前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構(60)を設けることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
前記前部ステップ(51)は、足を載せる踏み板(86)と、車体前後方向に延び前記踏み板(86)を前記支持体(43)に揺動可能に止める踏み板支軸(87)と、前記踏み板(86)と前記支持体(43)の間に設けられ前記踏み板(86)を使用位置と不使用位置で固定するクリック機構(90)とからなることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記車体形状調節機構(60)によって前記シート(26)が高い位置に調節されたときには、前記後部ステップ(29)が使用され、前記前部ステップ(51)が収納状態とされることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記車体形状調節機構(60)によって前記シート(26)が低い位置に調節されたときには、前記前部ステップ(51)が使用され、前記後部ステップ(26)が収納状態とされることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−18363(P2013−18363A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153140(P2011−153140)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
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