説明

鞍乗型電動車両の電装品収納構造

【課題】バッテリの取り外しを容易なものにでき、また、駆動用モータへの電源ラインを極力短縮することができる鞍乗型電動車両の電装品収納構造を提供する。
【解決手段】駆動用モータ本体34よりも上方で、メインフレーム4よりも下方に、バッテリユニット38を収納するバッテリホルダ42を設け、バッテリホルダ42を、ホルダ本体部43と、該ホルダ本体部43から車両側方に取り外し可能で、バッテリユニット38の側方移動を規制するプレート部材44と、ホルダ本体部43の後部に設けられ、バッテリユニット38から駆動用モータ本体34への電力供給の接続を行う端子部45と、で構成する。バッテリユニット38と端子部45は、脱着可能に接続する嵌合構造とし、ホルダ本体部43の下部には、バッテリユニット38と駆動用モータ本体34との間の電力供給制御を行うコントロール装置39を固定するコントローラ固定部76を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型電動車両の電装品収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右一対のメインフレームを備える鞍乗型電動車両において、側方からメインフレーム間にバッテリを搭載し、このバッテリをメインフレームで支持する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3949446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る構造は、バッテリを側方から搭載可能とするものであるが、この種の鞍乗型電動車両では脱着を想定したバッテリの搭載性についての更なる改良が求められる。
【0005】
また、特許文献1の構造では、モータをコントロールするコントロール装置がバッテリよりもモータから遠くにあり、コントロール装置からモータまでの電源ラインの短縮化に課題がある。
【0006】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、バッテリの取り外しを容易なものにでき、また、駆動用モータへの電源ラインを極力短縮することができる鞍乗型電動車両の電装品収納構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載の発明は、ヘッドパイプ(3)から車両後方に延びるフレーム(4)の後部下方に駆動用モータ(34)が配置され、前記フレーム(4)と前記駆動用モータ(34)との間にバッテリ(38)が配置される鞍乗型電動車両の電装品収納構造において、前記駆動用モータ(34)よりも上方で、前記フレーム(4)よりも下方に、前記バッテリ(38)を収納するバッテリホルダ(42)を設け、前記バッテリホルダ(42)は、前記バッテリ(38)を収納保持するホルダ本体部(43)と、該ホルダ本体部(43)から車両側方に取り外し可能で、前記バッテリ(38)の側方移動を規制するプレート部材(44)と、前記ホルダ本体部(43)の後部に設けられ、前記バッテリ(38)から前記駆動用モータ(34)への電力供給の接続を行う端子部(45)と、を備え、前記バッテリ(38)と前記端子部(45)は、脱着可能に接続する嵌合構造とし、前記ホルダ本体部(43)の下部に、前記バッテリ(38)と前記駆動用モータ(34)との間の電力供給制御を行うコントロール装置(39)を固定するコントローラ固定部(76)を設け、前記コントローラ固定部(76)を、前記駆動用モータ(34)よりも前方で、前記バッテリ(38)よりも下方に配置したことを特徴とする鞍乗型電動車両の電装品収納構造を提供する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構造において、前記バッテリホルダ(42)が、格子状の枠体で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構造において、前記バッテリホルダ(42)を形成する枠体には、電装品を取付けるための保持板(88F,88R)が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構造において、前記バッテリホルダ(42)の上方であって、前記フレーム(4)に、アクセルポジションセンサ(25)が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の構造において、前記フレーム(4)の前記バッテリホルダ(42)の上方には、前記アクセルポジションセンサ(25)を覆う、燃料タンクを模した電装品ケース(16)が設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の構造において、前記ヘッドパイプ(3)の下側後方、かつ前記フレーム(4)の下方であって、前記バッテリホルダ(42)の前方に、メインスイッチ(103)が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の構造において、前記電装品ケース(16)の左右側面の少なくとも一部を覆うサイドカウル(21,21)が設けられ、該サイドカウル(21,21)が、前記メインスイッチ(103)の少なくとも一部を側方から覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、バッテリの取り外しを容易なものにでき、さらに、車両上方からバッテリ、コントロール装置、駆動用モータが順に並ぶように、バッテリ、コントロール装置を収納配置できるため、コントロール装置から駆動用モータへの電源ラインを可及的に短縮化することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、直接的に走行風をバッテリにあてることで、バッテリの冷却を効果的に行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、バッテリホルダを形成する枠体に電装品を集中配置でき、個別に車体各所に、コネクタやカプラを係止するための専用の保持部を設けなくてすむため、部品点数の削減及びコストダウンが図れる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、電装品をバッテリ周辺に集中配置することで、ハーネス長の短縮化を図れる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、内燃機関を搭載する鞍乗型車両においては、一般にヘッドパイプ後方に配置され、ヘッドパイプから後方に延びるフレームに支持される燃料タンクにより乗員のニーグリップが可能となっているため、ヘッドパイプ後方に位置することになる電装品ケースを擬装燃料タンク形状とし、燃料タンクの形を踏襲することで、ニーグリップを可能な構成にできる。また、アクセルポジションセンナを電装品ケースで覆うことで、専用の保護部材を不要とし、部品点数の削減及びコストダウンが図れる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、3部材で、前方、上方、後方から囲われるアクセスし難い位置にメインスイッチを配置することで、メインスイッチを外乱による不用意なアクセスから保護できる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、メインスイッチに対するアクセスをよりし難くすることで、外乱による不用意なアクセスからの保護性をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る鞍乗型電動車両の左側面図である。
【図2】上記鞍乗型電動車両の右側面図である。
【図3】上記鞍乗型電動車両の要部の左側面図である。
【図4】上記鞍乗型電動車両のハンドルの後面図である。
【図5】上記鞍乗型電動車両の要部の右側面図である。
【図6】上記鞍乗型電動車両のバッテリホルダを右前方から見た斜視図である。
【図7】上記鞍乗型電動車両のバッテリホルダを左前方から見た斜視図である。
【図8】バッテリホルダにバッテリユニットを収納した状態を右前方から見た斜視図である。
【図9】バッテリホルダにバッテリユニットを収納した状態を右後方から見た斜視図である。
【図10】バッテリユニットの後部を示した斜視図である。
【図11】バッテリホルダにバッテリユニットを収納する際の動作を説明する図である。
【図12】上記鞍乗型電動車両の配線図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で用いる図面において、矢印FRは車両の前方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の左方を示している。
【0023】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る構造が適用された鞍乗型電動車両1(以下、車両1と略す)は、比較的小型なオフロードバイクとして構成されている。
【0024】
車両1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ3から略水平状態で車両後方に延びる水平領域4Hと、この水平領域4Hの後端から下方に湾曲して延びる湾曲領域4Rと、を一体に有するメインフレーム4を備えている。メインフレーム4の湾曲領域4Rの始点近傍には、後上方に延びる左右一対のシートレール5,5が接続され、シートレール5,5の下方には、メインフレーム4の湾曲領域4Rの後部とシートレール5,5の前後方向略中央とを結合する左右一対のサポートフレーム6,6が設けられている。また、メインフレーム4の下部には、下方に向けて延びる左右一対のプレート7,7が接続されている。
【0025】
ヘッドパイプ3には、左右一対のフロントフォーク8,8が操向可能に支持され、フロントフォーク8,8上部間を連結するトップブリッジ9には、バーハンドル10が固定されている。図4を参照し、バーハンドル10の左側端部には筒状の左グリップ10Lが装着され、バーハンドル10の右側端部には軸回りに回転可能な筒状のアクセルグリップ10Rが装着されている。
【0026】
フロントフォーク8,8の下部には、前輪11が回転可能に支持され、フロントフォーク8,8において前輪11とバーハンドル10との間には、前輪11の上方を覆う樹脂製のフロントフェンダ12が固定されている。また、プレート7,7には、上下一対の軸部13,13を介して左右一対のリヤアーム14,14の前端が固定され、リヤアーム14,14の後部には、後輪15が回転可能に支持されている。
【0027】
メインフレーム4の水平領域4Hの上方には、自動二輪車の燃料タンクを模した電装品ケース16が配置され、電装品ケース16はメインフレーム4に沿って前後方向に延びるように位置する。電装品ケース16の後方には、シートレール5,5の上部に固定された乗員が着座するシート17が配置され、シート17は車両前後方向に延在し、その前部を電装品ケース16の後部に上方から重ねている。また、シート17の後方には樹脂製のリヤフェンダ18が後方に延びるように固定されている。
【0028】
電装品ケース16は、ケース本体16Aと、キャップ16Bと、を備えており、ケース本体16Aの上部には上方に突出して開口する開口部16Cが形成され、開口部16Cにキャップ16Bが開閉可能に取付けられている。電装品ケース16は、左右側部をサイドカウル21,21によって覆われ、シート17の後部下方には、左右一対のリヤカウル22,22が設けられている。リヤカウル22,22は、シートレール5,5に固定されており、サポートフレーム6,6の一部を覆っている。
【0029】
図3に示すように、メインフレーム4の水平領域4Hの前側上部に前側ブラケット23が溶着されるとともに、水平領域4Hの後部に後側ブラケット24が溶着されている。電装品ケース16は、各ブラケット23,24に固定されている。ここで、この車両1では、電装品ケース16が燃料タンクの形状を擬装しているため、シート17に着座した乗員が電装品ケース16をニーグリップできるようになっている。
【0030】
電装品ケース16内には、アクセルポジションセンサ25及びブレーカー26が配置され、アクセルポジションセンサ25は、メインフレーム4の水平領域4Hに溶着されて上方に突出するセンサブラケット27に固定されている。ブレーカー26はアクセルポジションセンサ25の前側上部に固定されている。
【0031】
図5に示すように、アクセルポジションセンサ25にはスロットルケーブル28の一端が接続され、スロットルケーブル28の他端はアクセルグリップ10Rに接続されている。アクセルポジションセンサ25は、スロットルケーブル28を介してアクセルグリップ10Rの回転操作量を検出し、この回転操作量に基づき、メインフレーム4の水平領域4Hの後部下方に配置されたモータユニット29の出力が制御される。
【0032】
ブレーカー26は、電装品ケース16の開口部16Cの下方に位置し、上部に前後方向に揺動可能な切替えスイッチ26Aを備え、切替えスイッチ26Aを開口部16C直下に近接させて配置されている。これにより、キャップ16Bが電装品ケース16から取り外されたとき、運転者がブレーカー26を操作することが可能となっている。
【0033】
図3、図5を参照し、メインフレーム4の湾曲領域4Rの上部に左右一対の板状の懸架ブラケット32,32が締結固定され、モータユニット29は、その上部を懸架ブラケット32,32に固定されるとともに、その後部をプレート7,7の前部に固定され、メインフレーム4に懸架されている。図1、図2に示すように、モータユニット29は、ユニットケース33内の前側に駆動用モータ本体34を収容するとともに、後側に図示しない減速器を収容して構成されている。また、ユニットケース33の下部には、左右のステップ36,36が取り付けられている。
【0034】
車両上下方向においてメインフレーム4とモータユニット29(駆動用モータ本体34)との間に、バッテリユニット38が配置され、バッテリユニット38の下方に、モータユニット29の駆動用モータ本体34に対し電力供給制御を行うコントロール装置39が配置されている
【0035】
図3、図5を参照し、バッテリユニット38は、側面視長方形状であり、車両前後方向に長手方向を沿わすバッテリケース40内に複数のリチウム二次電池から構成されるバッテリ41を収容してなる。バッテリ41の電力は、コントロール装置39を介してモータユニット29に供給される。なお、図中符合75は、バッテリケース40に形成されたユーザ把持用の取っ手を示している。
【0036】
バッテリユニット38は、メインフレーム4の水平領域4Hに懸架されたバッテリホルダ42に収納されており、図6、図7も参照し、バッテリホルダ42は、バッテリユニット38を収納保持するホルダ本体部43と、ホルダ本体部43から車両右方に取り外し可能で、バッテリユニット38の側方移動を規制するプレート部材44と、ホルダ本体部43の後部に設けられ、バッテリユニット38からモータユニット29への電力供給の接続を行う端子部45と、を備えて構成されている。
【0037】
図6、図7を併せて参照し、ホルダ本体部43は格子状の枠体で形成されており、メインフレーム4の水平領域4Hの後部左右に両端部をボルト46,46により締結固定されるコ字状の後側フレーム部47と、メインフレーム4の水平領域4Hの前後方向略中央部左側面にボルト48により一端を締結固定されて下方に延びる前側フレーム部49と、を備えている。前側フレーム部49は下方に延びた後、水平方向に折れ曲がって右方に延びるL字状に形成されている。
【0038】
後側フレーム部47は、メインフレーム4から垂下する左右の垂下部47L,47Rを連結する底部47Uを、略水平方向に沿わせてバッテリユニット38の載置面とし、前側フレーム部49は、メインフレーム4から垂下する垂下部50の下端から折れ曲がる底部51を略水平方向に沿わせてバッテリユニット38の載置面とし、バッテリユニット38を支持する。また、後側フレーム部47の垂下部47Lと、前側フレーム部49の垂下部50上部との間には、前後方向に延在する補強プレート52が架設されている。
【0039】
前側フレーム部49は、その底部51の右端部を下方に折り曲げられて、下方折曲部54を形成され、この下方折曲部54にはネジ切り加工が施された下部締結孔55が形成されている。また、図5、図6を併せて参照し、メインフレーム4の水平領域4Hの前後方向略中央部右側面には、内周にネジ切が施された上側ボス部56が設けられ、後側フレーム部47の垂下部47Rの上部には、ネジ切り加工が施された後部締結孔57が形成されている。
【0040】
プレート部材44は板金材から形成され、下部締結孔55、上側ボス部56、及び後部締結孔57の3点にボルト58・・・を挿通して、ホルダ本体部43に固定されている。図8、図9も参照し、プレート部材44は、上下端部にボルト58の上下挿通孔59、60が形成される上下延在部61と、上下延在部61から後方に延び、後端にボルト58の挿通孔62が形成される後方延在部63と、を一体に形成されたプレート本体64を有し、上下延在部61には前方に突出してバッテリユニット38の前面に当接する移動規制部65が溶着されている。
【0041】
プレート本体64は、バッテリユニット38の右側面に当接してバッテリユニット38の右方への移動を規制する。プレート本体64において後方延在部63は、カラー66を垂下部47Rの間に配して締結されている。後方延在部63は側面視で、後方に鋭角が配される三角形状に形成され、内側を切り抜かれて軽量化が図られている。
【0042】
図6、図7を参照し、端子部45は、後側フレーム部47の垂下部47L,47R間に架設される板状基部67と、板状基部67の前面側に固定される端子台68と、を備えている。端子台68には上から順に、正極端子69、負極端子70、情報伝達用端子71が前方に突出して設けられている。
【0043】
バッテリユニット38と端子部45は、脱着可能に接続する嵌合構造に構成されており、図10に示すように、バッテリユニット38の後部には、後方に突出するプレート部材40Aが設けられ、プレート部材40Aには、上から順に、正極端子嵌合孔72、負極端子嵌合孔73、情報伝達用端子嵌合孔74が形成されている。正極端子嵌合孔72、負極端子嵌合孔73、情報伝達用端子嵌合孔74に、正極端子69、負極端子70、情報伝達用端子71が接続されることで、バッテリユニット38からモータユニット29への電力供給が行われる。
【0044】
各嵌合孔72〜74と各端子69〜71との嵌合状態では、クリアランスが生じるように各端子69〜71の幅寸法が設定されている。これにより、バッテリユニット38をバッテリホルダ42に収納する際に、先ず、図11の矢印αに示すように、各端子69〜71に対して斜めにバッテリユニット38をバッテリホルダ42に挿入し、この斜めの状態で、各端子69〜71に各嵌合孔72〜74を係合させることができる。そして、この状態から、矢印βに示すように、バッテリホルダ42を、端子69〜71の位置を軸中心に回動操作するようにして、バッテリホルダ42に収納することができる。
【0045】
次に、図5を参照し、バッテリホルダ42の下部には、板金材から形成されるコントローラ固定部76が溶着され、このコントローラ固定部76にコントロール装置39が固定支持されている。コントローラ固定部76は、モータユニット29(駆動用モータ本体34)よりも前方で、バッテリユニット38よりも下方に、コントロール装置39が位置するようにコントロール装置39を固定しており、コントローラ固定部76は、バッテリホルダ42の下部において前寄りの位置に設けられている。コントローラ固定部76は、図6、図7に示すように、矩形フレーム状の固定部本体77と、前後方向に延在してバッテリホルダ42の底部47U及び51に溶着し、その前部で固定部本体77の前部に溶着するL字状の左右一対の板材78A,78Aと、板材78A,78Aの前側上部及び固定部本体77の前側両側部に溶着するコ字状の板材78Bと、で構成されている。このようにコントローラ固定部76も格子状に枠体で形成されている。
【0046】
固定部本体77には、コントロール装置39を締結固定するためのボルト挿通孔79・・・が左右側部及び前部に形成されている(図6、図7参照)。図3、図5に示すように、ボルト挿通孔79のうち、左側部及び前部に形成されたボルト挿通孔79,79にボルト80が挿通され、図9に示すように、右側部に形成されたボルト挿通孔79にはプレート部材44の下挿通孔60に挿通されたボルト58が挿通され、各ボルトがコントロール装置39に形成された図示しない締結孔に締結されることにより、コントロール装置39が固定されている。
【0047】
詳しくは、コントロール装置39は、コントローラ固定部76に固定されて、駆動用モータ本体34に対して前上方に位置している。図3に示すように、コントロール装置39は、ケース81内にドライバ等の電装部品を収容して構成され、ケース81の左側面には、前から順に、下流側モータ用ハーネス82、電源用ハーネス83、及びセンサ用ハーネス84が接続されている。ここで、駆動用モータ本体34とコントロール装置39とバッテリユニット38の位置関係では、駆動用モータ本体34とコントロール装置39は、後方から前上方に向けて並ぶように位置し、バッテリユニット38は、駆動用モータ本体34とコントロール装置39に跨るようにして、これら駆動用モータ本体34とコントロール装置39の上方に位置する。
【0048】
次に図12は、車両1における各種ハーネスの配線図を示している。同図も参照し、以下、各種ハーネスの配索について説明する。
【0049】
下流側モータ用ハーネス82は、コントロール装置39から後方に引き出され、モータ用カプラ85の下部に接続されている。モータ用カプラ85は、図7に示すように、後側フレーム部47の垂下部47Lに固定された後側カプラ保持板88Rの後部側に固定されている。後側カプラ保持板88Rは、前部、後部、及びこれら前部と後部の間の中央部にカプラ取付部を備えている。
【0050】
モータ用カプラ85の上部に接続された上流側モータ用ハーネス86は、前方に引き出され、バッテリユニット38の後部を通って、図2に示すようにモータユニット29の右側面から駆動用モータ本体34に接続されている。
【0051】
電源用ハーネス83には、図12に示すように、上流側負極ハーネス83m及び下流側正極ハーネス83pが含まれ、図3に示すように、コントロール装置39から後方に引き出されている。電源用ハーネス83は、側面視でバッテリユニット38の後部近傍から前方に湾曲され、電源用カプラ87の上部に接続されている。電源用カプラ87は、図7に示すように、前側フレーム部49の垂下部50に固定された前側カプラ保持板88Fの後部に固定されている。前側カプラ保持板88Fは、前部、後部、及びこれら前部と後部の間の中央部にカプラ取付部を備えている。
【0052】
電源用カプラ87の下部には、下流側負極ハーネス89及び下流側正極ハーネス90が接続され、それぞれ上流側負極ハーネス83m及び下流側正極ハーネス83pに通電する。下流側負極ハーネス89及び下流側正極ハーネス90は、後方に引き出され、下流側負極ハーネス89はバッテリユニット38の後部に延出してバッテリユニット38に通電し、下流側正極ハーネス90は上方に湾曲され、ブレーカー26に接続されている。ここで、電源用ハーネス83、下流側負極ハーネス89、及び下流側正極ハーネス90はクリップ91で纏められている。
【0053】
さらに、図3、図12を参照し、ブレーカー26には、ブレーカ側正極ハーネス92が接続され、このブレーカ側正極ハーネス92は、バッテリユニット38の後部に延出し、バッテリユニット38に通電している。
【0054】
また、図12に示すように、センサ用ハーネス84には、複数本のハーネスが含まれており、このうちの、回転センサ用ハーネス93は、図5を参照し、コントロール装置39からバッテリユニット38後部を横断して、バッテリユニット38の後方に配された回転センサ用カプラ95の上部に接続されている。回転センサ用カプラ95の下部には連結ハーネス97が接続され、この連結ハーネス97は、図2に示すように、モータユニット29の右側面からモータユニット29内部に収容された回転センサ98に接続される。
【0055】
また、図3に示すように、センサ用ハーネス84のうちの、アクセルセンサ用ハーネス94は、コントロール装置39から後方に引き出された後、バッテリユニット38の後部近傍から上方に湾曲され、アクセルポジションセンサ25に接続されている。
【0056】
さらに、図3に示すように、後側カプラ保持板88Rにはメインスイッチ用カプラ99、及び、キルスイッチ用カプラ100が固定されている。図12を参照し、メインスイッチ用カプラ99からは第1ハーネス101、第2ハーネス102が引き出され、第1ハーネス101はメインスイッチ103に接続され、第2ハーネス102は分岐して、ヒューズ104及びコントロール装置39に接続されている。図5を参照し、メインスイッチ103は、メインフレーム4の前端下部に固定されている。
ここで、メインスイッチ103は、ヘッドパイプ3の下側後方、かつメインフレーム4の下方であって、バッテリユニット38及びバッテリホルダ42の前方に設けられている。さらに、図2を参照し、メインスイッチ103は、その少なくとも一部をサイドカウル21,21により側方から覆われている。
【0057】
一方、キルスイッチ用カプラ100から引き出される第3ハーネス105は、キルスイッチ106に接続されるとともに、第4ハーネス107は、コントロール装置39に接続されている。図4を参照し、キルスイッチ106は、バーハンドル10の左グリップ10Lに近接配置されたスイッチボックス108に設けられている。
【0058】
以上に記載したように、上記鞍乗型電動車両1では、ヘッドパイプ3から車両後方に延びるメインフレーム4(厳密には、水平領域4H)の後部下方に駆動用モータ本体34が配置され、メインフレーム4と駆動用モータ本体34との間にバッテリユニット38が配置されている。そして、駆動用モータ本体34よりも上方で、メインフレーム4よりも下方に、バッテリホルダ42が設けられ、バッテリホルダ42にバッテリユニット38が収納されている。
【0059】
そして、バッテリホルダ42は、バッテリユニット38を収納保持するホルダ本体部43と、該ホルダ本体部43から車両側方に取り外し可能で、バッテリユニット38の側方移動を規制するプレート部材44と、ホルダ本体部43の後部に設けられ、バッテリユニット38から駆動用モータ本体34への電力供給の接続を行う端子部45と、を備えており、バッテリユニット38と端子部45は、脱着可能に接続する嵌合構造とされている。そして、ホルダ本体部43の下部には、バッテリユニット38と駆動用モータ本体34との間の電力供給制御を行うコントロール装置39を固定するコントローラ固定部76が設けられ、このコントローラ固定部76は、駆動用モータ本体34よりも前方で、バッテリユニット38よりも下方に配置されている。
【0060】
このような本実施形態に係る構造では、バッテリユニット38と端子部45が脱着可能に接続する嵌合構造とされることで、バッテリユニット38の取り外しを容易なものにでき、さらに、車両上方からバッテリユニット38、コントロール装置39、駆動用モータ本体34が順に並ぶように、バッテリユニット38、コントロール装置39を収納配置できるため、コントロール装置39から駆動用モータ本体34への電源ラインを可及的に短縮化することができる。また、バッテリユニット38、コントロール装置39が車両前寄りに配置されるので、重量バランスを良好化することもできる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、メインフレーム4の形状は、ヘッドパイプ3から後斜め下方に概略真直ぐに延びるような形状等であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 鞍乗型電動車両
3 ヘッドパイプ
4 メインフレーム(フレーム)
34 駆動用モータ本体(駆動用モータ)
38 バッテリユニット(バッテリ)
39 コントロール装置
42 バッテリホルダ
43 ホルダ本体部
44 プレート部材
45 端子部
76 コントローラ固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(3)から車両後方に延びるフレーム(4)の後部下方に駆動用モータ(34)が配置され、前記フレーム(4)と前記駆動用モータ(34)との間にバッテリ(38)が配置される鞍乗型電動車両の電装品収納構造において、
前記駆動用モータ(34)よりも上方で、前記フレーム(4)よりも下方に、前記バッテリ(38)を収納するバッテリホルダ(42)を設け、
前記バッテリホルダ(42)は、前記バッテリ(38)を収納保持するホルダ本体部(43)と、該ホルダ本体部(43)から車両側方に取り外し可能で、前記バッテリ(38)の側方移動を規制するプレート部材(44)と、前記ホルダ本体部(43)の後部に設けられ、前記バッテリ(38)から前記駆動用モータ(34)への電力供給の接続を行う端子部(45)と、を備え、
前記バッテリ(38)と前記端子部(45)は、脱着可能に接続する嵌合構造とし、
前記ホルダ本体部(43)の下部に、前記バッテリ(38)と前記駆動用モータ(34)との間の電力供給制御を行うコントロール装置(39)を固定するコントローラ固定部(76)を設け、
前記コントローラ固定部(76)を、前記駆動用モータ(34)よりも前方で、前記バッテリ(38)よりも下方に配置したことを特徴とする鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項2】
前記バッテリホルダ(42)は、格子状の枠体で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項3】
前記バッテリホルダ(42)を形成する枠体には、電装品を取付けるための保持板(88F,88R)が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項4】
前記バッテリホルダ(42)の上方であって、前記フレーム(4)に、アクセルポジションセンサ(25)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項5】
前記フレーム(4)の前記バッテリホルダ(42)の上方には、前記アクセルポジションセンサ(25)を覆う、燃料タンクを模した電装品ケース(16)が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項6】
前記ヘッドパイプ(3)の下側後方、かつ前記フレーム(4)の下方であって、前記バッテリホルダ(42)の前方に、メインスイッチ(103)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。
【請求項7】
前記電装品ケース(16)の左右側面の少なくとも一部を覆うサイドカウル(21,21)が設けられ、
該サイドカウル(21,21)が、前記メインスイッチ(103)の少なくとも一部を側方から覆うことを特徴とする請求項6に記載の鞍乗型電動車両の電装品収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−35339(P2013−35339A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171003(P2011−171003)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)