説明

音再生機能付き神棚

【課題】 日常の家庭内礼拝に際し礼拝者の精神的充足感を高める工夫の一貫としてなされるものであって、神棚に雅楽等を再生する機能を具えて、拝礼する際に祭神を連想させるような効果音を再生することにより、従来の神棚よりも精神的な充足感を得ることができる新規な神棚の開発を技術課題としたものである。
【解決手段】 本発明の音再生機能付き神棚1は、家庭用礼拝に用いられる神棚であり、このものは、音データを制御する制御部21と、スピーカ23と、スイッチング部22とにより構成される再生装置2を具えたものであって、スイッチング部22により発せられた再生を開始させるための再生信号に応動して音の再生ができることを特徴として成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭内礼拝の際に用いられる神棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭内において日常行われる礼拝は、仏壇とともに神道の信仰に基づく神棚が用いられることが多い。この神道の神棚に関しても、従来から日常の拝礼行為に対してより精神的な充足感を得られるような工夫が求められてきた。
もちろん、家庭内で用いられる仏壇などには、同種の要望を満たすべく「電脳仏壇」等と称されるものが開発され、関連する寺院での読経の音をスピーカから再生する機能なども具えられた仏壇が市場に提供されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−248048号公報(第1頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような日常の家庭内礼拝に際し、礼拝者の精神的充足感を高める工夫の一貫としてなされるものであって、神棚に雅楽等を再生する機能や、拝礼する際に祭神を連想させるような効果音を再生する機能を具えることにより、従来の神棚よりも精神的な充足感を得ることができる新規な神棚の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち請求項1記載の音再生機能付き神棚は、家庭用礼拝に用いられる神棚であって、このものは、主に音データを制御する制御部と、スピーカと、スイッチング部とにより構成される再生装置を具えたものであり、スイッチング部により発せられた再生を開始させるための再生信号に応動して音の再生ができることを特徴として成るものである。
【0005】
また請求項2記載の音再生機能付き神棚は、前記要件に加え、前記スイッチング部は、拍手や一定時間立ち止まる等の拝礼動作を感知することにより再生信号を発することを特徴として成るものである。
【0006】
更にまた請求項3記載の音再生機能付き神棚は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記制御部は、神棚の棚部等に供えられた供物を感知するために備えられた供物センサと接続されており、その供物を感知したことを示す供物信号を検知して前記スイッチング部の機能を有効にさせることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項4記載の音再生機能付き神棚は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記音再生機能付き神棚は、前記再生装置のスイッチング部若しくは前記センサに応動して春日灯篭やかがり火などを模した装飾用電灯の発光作用を制御できることを特徴として成るものである。
【0008】
更にまた請求項5記載の音再生機能付き神棚は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記再生装置は、装飾用電灯、賽銭箱、八足台、三方(三宝)または供物台の受け板の形状をしていることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまた請求項6記載の音再生機能付き神棚は、前記1、2、3、4または5記載の要件に加え、前記再生装置により再生される音データは、記録媒体に保存されており、その内容を書き換えることにより、再生される音データを変更できることを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項7記載の音再生機能付き神棚は、前記4、5または6記載の要件に加え、前記装飾用電灯は、再生される音や、日付、時間、神棚付近の明るさなどの周辺状況に応じて照明方法を変更できることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、従来の神棚とは異なりお祈りの際に関連する効果音を再生することができるので、神宮や大社に参拝に臨み正式な宗教的な作法により参拝したかのような充足感を得ることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、日常のお祈りの際に行われる拝礼行為に反応し関連する音を自動で再生することができるので、一般的に高所に具えられた神棚に対し特段の操作を必要とせず礼拝者の負担を増やすことなく精神的な充足感を得ることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、更に家庭内礼拝として定期的に行われる神棚のお供えしている供物の交換という行為により、この音の再生機能が有効状態に移るようにすることができるので、従来のように礼拝者の一方的な行為になりがちな拝礼行為を双方的なものとして更なる精神的な満足感や連帯感を感じることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、従来お祈りの際にかがり火としてロウソクまたはこれを模した電飾の点火消火をその都度行っており、一般的に高所に具えられた神棚の作業は危険伴うものであるが、再生装置のスイッチング部や供物センサが礼拝者の拝礼行為に反応して自動的に発光し消灯を行うことができるので、礼拝者による神棚の作業が不要となる。
更には従来のロウソクはその火による失火などの危険があったが、裸火の代わりに電気的な発光作用を用いるから、その危険も極めて低く抑えることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、本発明の再生装置は、神棚の主要物品である社殿部と独立した物品である春日灯篭、賽銭箱、八足台や三方(三宝)等の神具の形状とすることにより、予めこの再生装置が具えられていない神棚であっても、その外観を害することなく、後からでも違和感なく付加することが可能である。
【0016】
請求項6記載の発明によれば、記録媒体に繰り返して書き込めて音のバリエーションを多くすることができるので、礼拝者を飽きさせることなく本発明の神棚を長期にわたり使用することができる。
【0017】
請求項7記載の発明によれば、周囲の環境に応じて発光方法を変更することができるので、神棚の周囲の明るさ等に応じて常に自然な発光にすることができるうえ、発色や明るさ等を変更するなどして季節感や、灯篭の火の揺らぎなどを擬似的に再現し、臨場感を持たせるような効果が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであるとともに、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含まれるものである。
以下本発明の音再生機能付き神棚について、図面を参照しながら説明するものであり、はじめに音再生機能付き神棚についてその構成を説明した後、この神棚の作動態様について説明する。
【実施例】
【0019】
図中符号1で示すものが本発明の音再生機能付き神棚であり、このものは再生装置2を具えた神棚である。
この発明の主要部材の再生装置2について説明するに先立ち、この装置が取り付けられる神棚について概説する。
この神棚は、その中心的な要素である社殿部11と、これを収容し設置するための棚部13とにより構成されている。一般的な様式としては、供物15や神具等を乗せるための棚板13dと、この棚板13dを取付壁面Wに固定するための取付フレーム13aと、正面視で前面の上方部にしめ縄や幕を取り付けるための上板13cと、この上板13cを取付フレーム13aに対し支持するための支承部材13bとにより側面視で正面部が解放したコの字状に棚部13が組み立てられるものである。
そして神棚は、図1に示すような配置になるように、棚板13d上に社殿部11と供物15とが置かれ、室内の取付壁面Wの比較的高い個所に取り付けられる。
【0020】
次に再生装置2を構成する要素について詳しく説明する。
まず前記再生装置2について説明すると、このものは図1と図2に示すように制御部21と、スイッチング部22と、スピーカ23と、メモリ部24と、供物センサ25と、装飾用電灯26とにより構成されており、これらの各構成要素は、図に示すようにそれぞれに接続されている。
また、これら以外の周辺部材として電源部pや配線ケーブルcなどが設けられている。この電源部pは、家庭用コンセントに接続するタイプのほかに、乾電池や充電池などのバッテリbや、光発電モジュールを利用した電源などを用いることが可能である。
なお、以下説明する本発明の実施例については、再生装置2の構成要素(制御部21、スイッチング部22、スピーカ23、メモリ部24、供物センサ25)を社殿部11の外部に適宜配置したものを中心に図示して説明していくが、勿論専用設計した社殿部11の内部に対して、これらの構成要素を内臓させた社殿部埋込型のもの(図示省略)も可能である。
【0021】
まず制御部21について説明すると、このものは後述するスイッチング部22からの再生信号に応じて、スピーカ23よりメモリ部24に記憶されている音データの再生と、装飾用電灯26の発光を制御するためのものであり、複数の半導体もしくはこれらと電子素子とを組み合わせて構成されているものである。
またこの制御部21は、後述するが各種の供物センサ25による信号を受けて演算処理等を行い、更に所定の機能を管理運用する。
更にこの制御部21は、その取付けに関しては、一般的な社殿部11を用いる場合は、後述する装飾用電灯26や賽銭箱4や供物台受け板5や、三方(三宝)6や、八足台(図示省略)などの内部に納められたタイプを用いたり、棚部13の奥方などの比較的目立たない場所に取り付ける。
なお、装飾品などに埋め込んだ一体型タイプについては、装飾用電灯26の一つである春日灯篭3に埋め込んだものを春日灯篭型再生装置31とし、賽銭箱4に埋め込んだものを賽銭箱型再生装置41とし、供物台受け板5に埋め込んだものを供物受け板型再生装置51とし、三方6に埋め込んだものを三方型再生装置61として他の実施例として後述する。
【0022】
次にスイッチング部22について説明する。
このものは、再生を開始するための合図である再生信号を制御部21に対して発信するための機器であり、一例として制御部21に併設されたものである。
このスイッチング部22の具体的な構成は、図1と図2に一例として示すように棚板13dの手前側に感知部分が設けられており、このものは、礼拝者Hが自ら操作するように単なる引き出されたトグルスイッチなどの手動スイッチ22aを用いた構成であってもよく、更に礼拝者Hの所定の変化を感知する動作センサ22bを具える構成であっても差し支えない。そしてスイッチング部22は、これらから発せられた信号に応じて、制御部21に対して再生信号を発する。
またこの所定の変化とは、一例として拝礼動作を感知した場合などで、例えば神棚の前に礼拝者Hが一定時間立ち止まったことや拍手の音などを感知したなどである。このスイッチング部22は、これらを適宜検知するために動作センサ22b(例えば音センサ22cや、動きを感知できるカメラユニット(図示省略)など)を具える。
もちろんこの所定の変化には、拝礼行為に関わらず目覚まし時計のように指定の時刻になるとともに再生信号を送るようなタイマーにしても差し支えない。
【0023】
次にスピーカ23について説明する。
このものは、礼拝者Hに対して音データを出力するためのものである。このスピーカ23の取り付け方法については、礼拝者Hに向けるとともにその存在により神棚自体の外観を損なわないようにして配置させることが好ましい。具体的な取付け態様としては、図1に示すように礼拝者Hから見え難い上板13cの上や、その存在を認識されにくい平面パネル状のスピーカユニット(図示省略)を用いるなどが可能である。
【0024】
次にメモリ部24について説明すると、このものは主に再生するための音データを記録保存するためのものであって、その内部に半導体や磁気や光学的な方法による記録媒体24aを具えたものである。この記録媒体24aは、記録媒体用スロット24bを用いて着脱自在な構造にすることも差し支えない。
この音データとは、神道の祭事の際に演奏される雅楽の演奏(もちろん他の分野の演奏であっても構わない)、また御札などに関連する神社の周囲の雰囲気を出す音(木立の音、野鳥・虫の声、川や滝の音、波の音)、メッセージ(標語的なフレーズや、日時や季節に応じたメッセージ)などがある。また詳細については後述するが、この音データのほかに関連する情報を保存することも差し支えない。
【0025】
次に供物センサ25について説明する。
このものは、制御部21に接続され、神棚の棚板13dや三方(三宝)6や八足台等の神具の上に置かれた供物15(水入れ15a、お米15b、お塩15c、お神酒15d、榊15e)の有無を感知し、その信号である供物信号を発するためのものであり、一例として図2に示すように供物15が供えられている所定の場所に受皿状の押しスイッチや圧力センサを取り付けたものである。この供物センサ25(水入れセンサ25a、お米センサ25b、お塩センサ25c、お神酒センサ25d、榊センサ25e)は、すべての供物15毎に対しても取り付けることはもちろん、その一部の供物15に対してのみ取り付けることも差し支えない。
更に供物センサ25は、このような供物15の有無を感知することができる機器(光学的に感知する装置など)であれば当然適用し得るものである。
【0026】
次に装飾用電灯26について説明する。
このものは、従来から神棚に供えられてきたロウソクを用いたものや、電球式の「かがり火」や「春日灯篭」などの灯火類を模した代替するものであって、その発光部には発光ダイオード26aを供えており、配線ケーブルcにより電源部pに接続されている。
【0027】
なお、このほかにも上述したように神棚とともに用いられる賽銭箱4や供物台受け板5がある。これらについては、賽銭箱4は神社などに設置されている賽銭箱をそのまま小さくしたようなものであり、お賽銭を投入することができる構造になっているタイプにものがある。また、供物台受け板5は、図6に示すように本出願人が開発した供物台50を棚板13dの上に安定して置けるようにした板状のものである。
【0028】
本発明の音再生機能付き神棚1は、一例として上述したように構成されるものであり、以下この使用手順を説明しながら、本発明の作動状態を説明する。
【0029】
〔準備設置段階〕
まず図1と図2に示すように、予め社殿部11の前方に供えられている供物15の配置場所に対して供物センサ25を設置し、更にスイッチング部22の動作センサ22b、スピーカ23、装飾用電灯26を所定の位置に設置する。なお再生装置2を電源部pに接続することは言うまでもない。
【0030】
〔初期設定段階〕
設置が終わったら、再生装置2に接続された動作センサ22bや供物センサ25の調整を行う。この動作センサ22bの調整は、礼拝者Hの所定の動作(拍手など)を感知できるようにその感度や感知範囲などを調整するものである。
また供物センサ25の調整は、はじめに複数ある供物15のうちどの供物15に付けるか選択し、その供物センサ25が正しく当該供物15の有無を判定しているか調整する。
【0031】
次に、制御部21の初期設定を行う。
この設定は、作動条件、再生する音データの指定、再生態様を予め定めておくための作業であり、一例としてその再生装置2に複数設けられたディップスイッチ(図示省略)や、ロータリースイッチ(図示省略)を操作して設定する。勿論、他の設定手法としては、液晶タイプのディスプレイと複数のボタンを備えた操作パネルを操作する手法や、リモートコントローラで設定する手法を用いることも可能である。
具体的には、制御部21に接続された供物センサ25から供物交換の供物信号が届いてからの稼動許容時間を設定する。この稼動許容時間とは、一回の供物15の取り替えに対して再生機能を有効にさせている間の時間を指すものである。例えば、供物15の水入れ(水玉)15aに関しては、その交換から1日は再生機能を有効にさせるとか、またお神酒(瓶子)15dに関しては、その交換から7日間は有効とさせるなどの設定が可能であり、複数の条件を設定した場合にはそれらの条件がすべて満たされていなければ有効な状態にならないことは言うまでもない。もちろん一度の交換作業により、それ以降再生機能を永続的に有効とさせることも可能である。
【0032】
次に、再生などに関する初期設定を行う。
具体的には、その礼拝者Hの身体的な状況に応じてスピーカ23の音量の設定や、その音質を変更し聞き取りやすい音になるように調整を行う。
更に再生する音データについて設定を行う。この音データには上述のように雅楽のデータ、効果音のデータ、メッセージのデータが含まれており、希望の音データの種類を選択する、勿論不規則にそれら音データを再生するように選択することも差し支えない。
また拝礼行為を行っているときに、従来のロウソクなどによる灯火器に換えて発光ダイオード26aを用いた装飾用電灯26を灯火させるように設定することができ、かつこの点灯してから自動で消灯するまでの時間も設定できる。
なお、この設定作業を終了させて、この再生装置2の主電源スイッチ(図示省略)を操作して日常の使用状態となる。
【0033】
〔供物設置段階〕
以下、日常の使用状態について説明するが、これにあたり一例として次のような設定としたものを用いて説明する。水入れ15aの取り替え後の稼動許容時間を1日とし、お米15bとお塩15cの稼動許容時間を7日、お神酒15dの稼動許容時間を14日とし、榊15eの稼動許容時間を無期限として設定した音再生機能付き神棚1を用いて説明する。
利用者である礼拝者Hは、使用を開始する際(一般に朝の礼拝時)にすべての供物15について新たにお供えする。このことにより、供物15ごとに取り付けられた供物センサ25が、各供物15を感知することによって制御部21は有効期限の減算が開始される。
この各供物15の交換の有無を感知する手法としては、一例として図2に示すようなプッシュスイッチを用いて、交換のために供物15の器を取り出す際の信号(ON状態からOFF状態の変化)と再度置く際の信号(OFF状態からON状態の変化)とを感知することにより供物15の交換がなされたとする手法が取り得る。
【0034】
〔拝礼段階〕
上述の直後は、稼動許容時間を設けている4つの供物15の稼動許容時間内であるから、再生装置2は、礼拝者Hの拝礼行為(例えば拍手、神棚の前に一定時間の静止)の有無をスイッチング部22の動作センサ22bにより感知して、これに応じて設定内容の音データをスピーカ23から再生する。
また拝礼時に、制御部21は、スピーカ23から音データを再生させるとともに、装飾用電灯26の発光ダイオード26aを点灯させる。なお装飾用電灯26は、拝礼行為終了後(拝礼開始から数分後)に自動で消灯させてもよく、また時刻を指定して自動で消灯させることも差し支えない。このような自動式の点灯・消灯とすることにより、高所に供えられた神棚での点灯・消灯作業が不要となり、年配の利用者にとっては、転落等の危険を低く抑えることができるうえ、従来のロウソクのような消し忘れるによる失火の危険をなくすことができる。
また一般的な神棚への拝礼方法は朝と夜との2回行われ、そのうち朝の拝礼時に供物15を交換することが多く、このため稼動許容時間内であれば夜の拝礼時には特段の供物15に関する作業を行うことなく拝礼を行うことができる。
【0035】
〔供物交換段階〕
翌日の朝に拝礼する際は、水入れ15aの有効期限が迫っていることから、礼拝者Hは、水入れ15aを交換してから拝礼行為を行う。上述の設定において水入れ15aを除く供物15に関しては、稼動許容時間内ということから交換の必要性はないが、水入れ15aに関しては、毎日その朝の拝礼時に交換しなければ再生機能が有効に成らない。このようにして7日目朝の拝礼時には、水入れ15aとともにお米15bとお塩15cとの交換をし、14日目の朝には、毎日の水入れ15aの交換と、2回目のお米15bとお塩15cとの交換にあわせて、お神酒(瓶子)15dの交換を行う。
なお、いずれかの供物15の稼動許容時間を経過している場合には所定の音データの再生が始まらない上に、装飾用電灯26の点滅や、スピーカ23からブザー音やメッセージを再生するなどして供物15の交換を促すように警告を発するようにしてもよい。
【0036】
〔他の実施例〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。
〔既存の神棚に後付けするタイプの実施例〕
先に述べた基本の実施の形態では、主に再生装置2が独立したタイプについて説明したが、以下説明する他の実施例は、独立した再生装置2を置くスペースがない場合や、既設の一般的な神棚に対して音再生機能を付加しやすいようにする場合に適した再生装置2の形態に関するものである。
具体的には、取付け後の外観を考慮すると、従来から用いられている神棚用の神具(春日灯篭3、賽銭箱4、八足台、三方(三宝)6)や、供物台受け板5などの内部に本発明の主要部を埋め込ませたものを用いるものが好ましい。
【0037】
まず、装飾用電灯26のひとつである春日灯篭3の内部に、本発明の再生装置2の主要部材(演算部10や、スイッチング部22や、メモリ部24)を埋め込んだ春日灯篭型再生装置31がある。
このものは通常左右一対に配置して用いるものであるために、一例として図4に示すように左右のいずれか一方の春日灯篭3の土台(脚部)に相当する内部に演算部10やスイッチング部22やメモリ部24を納めたものである。
更に図4のように左右両方の春日灯篭3は、の発光ダイオード26aが納められた個所の上方部にはスピーカ23を埋め込まれているが、もちろん別途外部に接続するようにしても差し支えない。
【0038】
この春日灯篭型再生装置31は、装飾用電灯26の内部にあることから、装飾用電灯26への配線が不要で、またスピーカ23への配線を不要とすることが可能である。
このものを使用するにあたっては、上述したように埋め込まれていない供物センサ25や電源部pを適宜接続する必要がある。なお電源部pについては、簡便な乾電池等を用いてその内部に納めることも差し支えない。
【0039】
次に、図5に示す神棚用神具の一つである賽銭箱4の内部に再生装置2の主要部材を埋め込んだものがある。このものは、一般に箱状のものであるために、スピーカ23や電源部p(図7のバッテリbを用いたものを含む)などを含めることが容易で、供物センサ25のみを接続することにより複雑な配線を必要とせずに再生機能を既存の神棚に付加させることができるものである。
なお図示を省略するが、この賽銭箱4を用いる場合には、上述した供物センサ25の代わり若しくはそれに追加して賽銭投入センサを設けて、お賽銭が投入されたことにより音再生機能を有効とさせ、その後一定時間内に使用者Hの拝礼行為を感知した場合には、音データを再生するような構成にしてもよい。
【0040】
更に供物台50を利用する場合に、その供物台受け板5とした板状の部材に再生装置2の主要部材を埋め込むことも可能である。
まずこの供物台50について説明すると、このものは、本出願人が開発した図6に示すような供物15を安定させて保持するため台であって、この上面には供物15ごとに合わせた円孔部が設けられ、この裏面には脚部50aが並行に条設されている。
一方の供物台8の下に置かれる供物台受け板5は、図6に示すように供物台50の円孔部の位置に対応した個所に供物センサ25が取り付けられており、更にその供物台受け板5の内部に、再生装置2の主要部材(演算部1や、スイッチング部22や、メモリ部24)を集積させたものであって、使用にあたっては、上述した春日灯篭型再生装置31と同様にスピーカ23やスイッチング部22の動作センサ22bや電源部pや配線ケーブルcを適宜配置して接続する。
この供物台受け板型再生装置51を用いた場合には、上述したタイプの再生装置に比べ各供物センサ25をそれぞれ配線する必要がなくなり取付けが容易であり、またそれら配線ケーブルcが供物台8の下側に収まることから配線ケーブルcなどが煩雑になることを防ぐことができ、更に使用者は、容易に供物15をまとめて交換することができる。
更に、この供物台受け板型再生装置51と同様な構成を取ったものとして、図7に示すような三方(三宝)6の内部に内蔵させた三方(三宝)型再生装置61や、図示は省略するが八足台の内部に内蔵させた八足台型再生装置や、折敷の底部に内臓させて折敷型再生装置などが可能である。
また更に再生装置2(制御部21、スイッチイング部22、メモリ部24など)をスピーカ23の内部に収容させたものであっても差し支えない。
【0041】
また音再生機能付き神棚1の周辺の環境に応じて、再生装置2は、その装飾用電灯26の照明方法を変更することができるようにしても差し支えない。
具体的には、制御部21は、装飾用電灯26に埋め込まれた若しくは接続された光センサ(図示を省略)を通じて明るさ等の周囲の状況を認知し、その状況に適した光の強さ、光の色などを調整して礼拝者が視認しやすくさせる。なお発色を調整するにあたっては、いわゆるマルチカラーLEDと呼ばれる発色調整が可能なものを用いる。
このような自動調整機能を備えることにより、特に高齢により視力が低下した礼拝者Hにとって、常に的確な照明にすることができ、結果として見えやすい発光にすることができる。
更に照明方法は、その拝礼時に再生される音データや、日付や、時間に応じて調整されるようにしてもよい。
なお、このように周囲の状況を認知し、音データの再生方法(音質、音量など)を自動調整し、常にその状況に適した再生を行えるようにすることも差し支えない。
【0042】
更に、上述したように音データを記録媒体24aに複数保存してあるとはいえ、ランダム再生より毎日朝と晩に拝礼する場合には、同じ音データを繰り返して再生しなくてはならない。この音データのバリエーションが多いということは、礼拝者Hに対しては拝礼時に再生される何の音データが再生されるかという期待感をもたせて、更なる精神的な充足感を増すことにつながる。
このため、例えば季節(神道上の行事を区切りに、それぞれの季節)ごとに対応した記録媒体24aを予め複数用意しておくことも差し支えない。
また本発明の音再生機能付き神棚1を提供する者は、利用者に対して定期的に季節ごとに適した音データを収録した記録媒体24aを送付するサービスを提供してもよい。もちろん電気通信網を用いて、自動的にメモリ部24に保存されている音データを自動で更新するような手法を用いることも差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の音再生機能付き神棚全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の主要部材である再生装置の接続状態を示す説明図と、供物センサを表す説明図である。
【図3】本発明の再生装置の処理手順を表すブロック図である。
【図4】本発明の他の実施例である装飾用電灯に主要部材を埋め込んだ装飾用電灯型再生装置を説明する斜視図である。
【図5】本発明の他の実施例である賽銭箱を模した神具に主要部材を埋め込んだ賽銭箱型再生装置を説明する斜視図である。
【図6】本発明の他の実施例である供物台を受ける供物台受け板に主要部材を埋め込んだ供物台受け板型再生装置を説明する斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例である三方(三宝)に主要部材を埋め込んだ供物台受け板型再生装置を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 音再生機能付き神棚
11 社殿部
13 棚部
13a 取付フレーム
13b 支承部材
13c 上板
13d 棚板
15 供物
15a 水入れ(水玉)
15b お米
15c お塩
15d お神酒(瓶子)
15e 榊
2 再生装置
21 制御部
22 スイッチング部
22a 手動スイッチ
22b 動作センサ
22c 音センサ
23 スピーカ
24 メモリ部
24a 記録媒体
24b 記録媒体用スロット
25 供物センサ
25a 水入れセンサ
25b お米センサ
25c お塩センサ
25d お神酒センサ
25e 榊センサ
26 装飾用電灯
26a 発光ダイオード
3 春日灯篭
31 春日灯篭型再生装置
4 賽銭箱
41 賽銭箱型再生装置
5 供物台受け板
50 供物台
50a 脚部
51 供物受け板型再生装置
6 三方(三宝)
61 三方型再生装置
b バッテリ
c 配線ケーブル
H 礼拝者
p 電源部
W 取付壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用礼拝に用いられる神棚であって、このものは、主に音データを制御する制御部と、スピーカと、スイッチング部とにより構成される再生装置を具えたものであり、スイッチング部により発せられた再生を開始させるための再生信号に応動して音の再生ができることを特徴とした音再生機能付き神棚。
【請求項2】
前記スイッチング部は、拍手や一定時間立ち止まる等の拝礼動作を感知することにより再生信号を発することを特徴とした前記請求項1記載の音再生機能付き神棚。
【請求項3】
前記制御部は、神棚の棚部等に供えられた供物を感知するために備えられた供物センサと接続されており、その供物を感知したことを示す供物信号を検知して前記スイッチング部の機能を有効にさせることを特徴とすることを前記請求項1または2記載の音再生機能付き神棚。
【請求項4】
前記音再生機能付き神棚は、前記再生装置のスイッチング部若しくは前記センサに応動して春日灯篭やかがり火などを模した装飾用電灯の発光作用を制御できることを特徴とした前記請求項1、2または3記載の音再生機能付き神棚。
【請求項5】
前記再生装置は、装飾用電灯、賽銭箱、八足台、三方(三宝)または供物台の受け板の形状をしていることを特徴とする前記請求項1、2、3または4記載の音再生機能付き神棚。
【請求項6】
前記再生装置により再生される音データは、記録媒体に保存されており、その内容を書き換えることにより、再生される音データを変更できることを特徴とする前記請求項1、2、3、4または5記載の音再生機能付き神棚。
【請求項7】
前記装飾用電灯は、再生される音や、日付、時間、神棚付近の明るさなどの周辺状況に応じて照明方法を変更できることを特徴とする請求項4、5または6記載の音再生機能付き神棚。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate