説明

音声出力装置

【課題】ハウリングを防止することができる音声出力装置を提供する。
【解決手段】使用者の少なくとも一方の耳の近傍で音声を出力する音声出力部8を備える音声出力装置4であって、使用者が音声入出力装置100を付けた状態で該音声出力装置を装着した場合に、前記音声出力部と前記音声入出力装置との間に位置する消音部材12を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、難聴者でもハイファイステレオにて音声を聴くことができる補聴装置に関し、ハウリング対策のためヘッドフォンをオープンエア型にする技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−130696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のヘッドフォンは、オープンエア型であることからヘッドフォンから音が漏れ、公共の環境において使用した際に周囲へ迷惑をかけるおそれがある。また、近年の補聴器の性能向上により、単にオープンエア型のヘッドフォンを使用しただけでは、ハウリングを防止できなくなっている。
【0005】
本発明の目的は、ハウリングを防止することができる音声出力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音声出力装置は、使用者の少なくとも一方の耳の近傍で音声を出力する音声出力部を備える音声出力装置であって、使用者が音声入出力装置を付けた状態で該音声出力装置を装着した場合に、前記音声出力部と前記音声入出力装置との間に位置する消音部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の音声出力装置によれば、ハウリングを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態に係るヘッドフォンを使用者が装着した状態を示す図である。
【図2】実施の形態に係る左側ヘッドフォンユニットの内部構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るヘッドフォンユニットの変形例を示す図である。
【図4】実施の形態に係るヘッドフォンユニットの変形例を示す図である。
【図5】実施の形態に係るヘッドフォンユニットの変形例を示す図である。
【図6】実施の形態に係るヘッドフォンユニットの変形例を示す図である。
【図7】実施の形態に係るヘッドフォンユニットのブロック構成図である。
【図8】実施の形態に係るヘッドフォンユニットの変形例のブロック構成図である。
【図9】実施の形態に係る単眼ヘッドマウントディスプレイを使用者が装着した状態を示す図である。
【図10】実施の形態に係る単眼ヘッドマウントディスプレイの正面図である。
【図11】実施の形態に係る単眼ヘッドマウントディスプレイの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るヘッドフォンについて説明する。本実施の形態ではヘッドフォンを示しているが、それに限らない。耳の近くにスピーカを配置する用途、例えば電話やヘッドマウントディスプレイ等にも適用することができる。図1は実施の形態に係るヘッドフォンを使用者が装着した状態を示す図である。この図に示すように、ヘッドフォン2は使用者が頭部に装着した際に、左耳に対向して配置される左側ヘッドフォンユニット4と、右耳に対向して配置される右側ヘッドフォンユニット6とを備え、左側ヘッドフォンユニット4と右側ヘッドフォンユニット6とが連結部8により接続されている。
【0010】
図2は、左側ヘッドフォンユニット4の内部構成を示す図である。なお、右側ヘッドフォンユニット6の構成は、左側ヘッドフォンユニット4の構成と同様であるため説明を省略する。また、この図において破線で示すものは使用者の耳であり使用者の耳には補聴器100が装着されている。補聴器100は、使用者の耳孔内に挿入する部分にスピーカ100Aを備え反対側の面にマイク100Bを備えている。左側ヘッドフォンユニット4は内部にヘッドフォンスピーカ8を備えると共に、ヘッドフォンスピーカ8の周囲を囲む耳あて部10を備えている。耳あて部10には吸音材により構成される円板状の消音部材12がヘッドフォンスピーカ8と補聴器100との間に位置するように設けられている。
【0011】
この実施の形態に係るヘッドフォンによれば、補聴器とヘッドフォンのヘッドフォンスピーカとの間に配置される消音部材を備えるため、この消音部材により補聴器から漏れた音声を消音し、補聴器から漏れた音声がヘッドフォンユニットの内部で反射して補聴器のマイクに入力されないようにすることにより、使用者が補聴器を装着している場合にハウリングの発生を防止することができる。
【0012】
図3〜図6は、実施の形態に係るヘッドフォンのヘッドフォンユニットの変形例を示す図である。ここで左側ヘッドフォンユニット4と右側ヘッドフォンユニット6とは同一の構成であるため、図3〜図6の説明においては、左側ヘッドフォンユニット4についてのみ説明を行う。
【0013】
図3に示す左側ヘッドフォンユニット4においては、消音部材12はヘッドフォンスピーカ8に対向する位置からずれた位置であって、マイク100Bの位置を移動させた補聴器100のマイク100Bを収容可能な位置に配置され、マイク100Bを収容可能な形状を有している。ここで図3に示す補聴器100は、補聴器100からコード100cで接続されたマイク100Bを引き出すことができ、引き出されたマイク100Bが消音部材12内に収容される。
【0014】
この図に示すヘッドフォンユニットにおいては、消音部材により補聴器から漏れた音声を消音し、補聴器から漏れた音声がヘッドフォンユニットの内部で反射して補聴器のマイクに入力されないようにすることにより、使用者が補聴器を装着している場合にハウリングの発生を防止することができる。
【0015】
図4に示すヘッドフォンユニットは、図2に示すヘッドフォンユニットの消音部材12を、補聴器100側の面に多数の凹凸により構成される無響構造を有する消音部材14に変更したものである。
【0016】
この図に示すヘッドフォンユニットにおいては、補聴器から漏れた音声の消音をより効果的に行うことができ、使用者が補聴器を装着している場合にハウリングの発生を防止することができる。
【0017】
図5に示すヘッドフォンユニット4は、図2に示すヘッドフォンユニット4の消音部材12に代えて、補聴器100の周辺部を覆う密閉部材16を備えるものである。
【0018】
この図に示すヘッドフォンユニットにおいては、補聴器から漏れる音声を減少させることができ、使用者が補聴器を装着している場合にハウリングの発生を防止することができる。なお、この場合には密閉部材16を別に用意し、着脱可能とすることにより通常のヘッドフォンとして使用することができる。
【0019】
図6に示すヘッドフォンユニットは、図2に示すヘッドフォンユニットに消音部材検出部18を備えるものである。消音部材検出部18を備えるヘッドフォンユニット4においては、図7に示すように、消音部材検出部18によりヘッドフォンユニット4に消音部材12が備えられていることを検出した場合には、音声補正部20により外部AV機器50から入力される音声信号に対して、音質及び音量の少なくとも一方に関する補正を行い、ヘッドフォンスピーカ8から出力される音声の音質及び音量の少なくとも一方を補正する。または図8に示すように、消音部材検出部18によりヘッドフォンユニット4に消音部材12が備えられていることを検出した場合には、外部AV機器50に対して制御信号を送信する。外部AV機器50は制御信号入力部51を介して制御信号を受信すると、音声再生部53により再生される音声信号に対して、音声補正部52により音質及び音量の少なくとも一方に関する補正を行い、音声出力部54を介して音声信号をヘッドフォン2に対して送信する。ヘッドフォン2のヘッドフォンスピーカ8は音質及び音量の少なくとも一方に対して補正された音声の出力を行う。従って、これらの場合には、ヘッドフォンユニットに消音部材が備えられている場合においても、使用者にとって聞きやすい音声の出力を行うことができる。さらに、音声の音質及び音量の補正は消音部材についての補正だけでなく、消音部材と補聴器を総合して補正することもできる。
【0020】
なお、上述の実施の形態において、耳あて部に消音部材が一体に形成されている場合においても、消音部材が一体に形成されている耳あて部を消音部材が形成されていない耳あて部と交換可能にすることにより通常のヘッドフォンとして使用することができる。
【0021】
図9は、実施の形態に係る単眼ヘッドマウントディスプレイを使用者が装着した状態を示す図である。単眼ヘッドマウントディスプレイ60は、使用者が頭部に装着することにより、顔前に位置し表示されている映像を使用者が観察可能な単眼表示部66を備えている。なお、この単眼ヘッドマウントディスプレイ60は、ヘッドフォンユニット62,64を備えるが、ヘッドフォンユニット62,64は、上述の実施形態に係るヘッドフォン2のヘッドフォンユニット4,6と同様な構成を有する。
【0022】
図10に示す単眼ヘッドマウントディスプレイ60には、ヘッドフォンユニット62に消音部材が設けられていない耳あて部63が取り付けられ、ヘッドフォンユニット64に消音部材67が設けられている耳あて部65が取り付けられているが、取り付け位置は交換可能である。使用者が補聴器100を右耳に装着し、効き目が左目の場合には、図11に示す矢印方向に単眼表示部66を倒すことにより使用者の左目の前に単眼表示部66を位置させることができる。この場合には、ヘッドフォンユニット64に消音部材67が設けられている耳あて部65を取り付ける。また、使用者が補聴器を左耳に装着し、効き目が右目の場合には、図11に示す矢印方向と反対側に単眼表示部66を倒すことにより使用者の右目の前に単眼表示部66を位置させることができる。この場合には、ヘッドフォンユニット62に消音部材67が設けられている耳あて部65を取り付ける。
【0023】
なお、上述の実施の形態において、消音部材検出部18によりヘッドマウントディスプレイのヘッドフォンユニット62,64に設けられる消音部材を検出することができるようにしてもよい。即ち、消音部材が検出された場合には、消音部材が検出された側のヘッドフォンスピーカ8は音質及び音量の少なくとも一方に対して補正された音声の出力を行う。
【0024】
また、上述の実施の形態において、両眼ヘッドマウントディスプレイに本発明を用いてもよい。即ち、両眼ヘッドマウントディスプレイのヘッドフォンユニットに設けられる消音部材を検出された場合には、消音部材12が検出された側のヘッドフォンスピーカ8は音質及び音量の少なくとも一方に対して補正された音声の出力を行う。
【0025】
また、上述の実施の形態においては、ヘッドフォン及びヘッドマウントディスプレイについて説明したが、更に電話機などにも本発明を用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
2…ヘッドフォン、4…左側ヘッドフォンユニット、6…右側ヘッドフォンユニット、8…ヘッドフォンスピーカ、10…耳あて部、12…消音部材、16…密閉部材、18…消音部材検出部、60…ヘッドマウントディスプレイ、100…補聴器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の少なくとも一方の耳の近傍で音声を出力する音声出力部を備える音声出力装置であって、
使用者が音声入出力装置を付けた状態で該音声出力装置を装着した場合に、前記音声出力部と前記音声入出力装置との間に位置する消音部材を備えることを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
前記消音部材は、吸音材を備えることを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記消音部材は、無響構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記消音部材は、前記音声出力部に対向する位置からずれた位置であって、マイクの位置を移動させた前記音声入出力装置の前記マイクを収容可能な位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の音声出力装置。
【請求項5】
前記消音部材の有無を検出する検出部と、
前記検出部により前記消音部材が有ることが検出された場合に、前記音声出力部から出力される音声の音質及び音量の少なくとも一方を補正する音声補正部と
を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の音声出力装置。
【請求項6】
前記音声入出力装置の周辺部を覆う密閉部材を備えることを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項7】
前記消音部材を有する耳あて部を備え、該耳あて部は、前記消音部材を有さない耳あて部と交換可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の音声出力装置。
【請求項8】
頭部または顔前に装着して表示されている映像を観察可能な表示部を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の音声出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−18985(P2011−18985A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160842(P2009−160842)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】