説明

音楽再生装置

【課題】 駆動機構の動作回数を減少させることにより、駆動機構の消費電力を削減可能な音楽再生装置を提供する。
【解決手段】 ディスク状の記憶媒体11を回転駆動して、記憶媒体11から音楽ファイルを読み出す駆動機構12と、記憶媒体11からの音楽ファイルが格納される不揮発メモリ10aと、不揮発メモリ10aから音楽ファイルを読み出して再生するプロセッサ140aとを備え、プロセッサ140aは、電源投入時に駆動機構12を動作させずに不揮発メモリ10aから音楽ファイルを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリで駆動可能な携帯型の音楽再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽ファイル(音楽データ)の圧縮技術の普及により、大容量の記憶媒体を内蔵した携帯型の音楽再生装置の開発が進んでいる。記憶媒体としてメモリカード又は組み込みの不揮発メモリが使用される場合、小型アクチュエータを含む機械的駆動機構(以下、単に「駆動機構」という。)は不要である。よって、記憶媒体としてメモリカード又は組み込みの不揮発メモリを記憶媒体として使用する音楽再生装置においては、デジタル信号処理による低消費電力化が図られている。近年、多くの楽曲を携帯したいという需要に応えるために、ハードディスクを搭載した音楽再生装置も登場してきている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、記憶媒体としてハードディスクを使用する場合、ハードディスクの駆動機構による消費電流が非常に大きい。したがって、バッテリにより駆動される音楽再生装置の動作可能時間が短くなってしまう。また、ハードディスクの駆動機構は振動・衝撃に弱く、音楽再生装置を故障から守るためには駆動機構をできるだけ停止させておくことが望ましい。
【特許文献1】特開2003−295896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、駆動機構の動作回数を減少させることにより、駆動機構の消費電力を削減可能な音楽再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、(イ)記憶媒体を回転駆動して、記憶媒体から音楽ファイルを読み出す駆動機構と、(ロ)記憶媒体からの音楽ファイルが格納される不揮発メモリと、(ハ)不揮発メモリから音楽ファイルを読み出して再生するプロセッサとを備え、(ニ)プロセッサは、電源投入時に駆動機構を動作させずに不揮発メモリから音楽ファイルを読み出す音楽再生装置であることを要旨とする。
【0006】
本発明の一態様は、記憶媒体と記憶媒体を回転駆動する駆動機構とを具備する取り外し可能な記憶媒体から読み出された音楽ファイルを再生する音楽再生装置であって、(イ)取り外し可能な記憶媒体が装着されるコネクタと、(ロ)記憶媒体から読み出された音楽ファイルが格納される不揮発メモリと、(ハ)不揮発メモリから音楽ファイルを読み出して再生するプロセッサとを備え、(ニ)プロセッサは、電源投入時に駆動機構を動作させずに不揮発メモリから音楽ファイルを読み出す音楽再生装置であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駆動機構の動作回数を減少させることにより、駆動機構の消費電力を削減可能な音楽再生装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態を説明する。以下の第1及び第2実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0009】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る音楽再生装置1aは、図1に示すように、不揮発メモリ10a、記憶媒体11、駆動機構12、入力装置13、集積回路14、及び表示装置16を備える。更に、集積回路14は、プロセッサ140a、バスライン141、インタフェース(I/F)142、コントローラ143a、不揮発メモリコントローラ145、デジタル/アナログ(D/A)コンバータ146、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)I/F147を備える。駆動機構12は、記憶媒体11を回転駆動して、記憶媒体11から音楽ファイルを読み出す。不揮発メモリ10aには、記憶媒体11からの音楽ファイルが格納される。プロセッサ140aは、不揮発メモリ10aから音楽ファイルを読み出して再生する。また、プロセッサ140aは、電源投入時に駆動機構12を動作させずに不揮発メモリ10aから音楽ファイルを読み出す。
【0010】
ここで、「電源投入時」とは、例えば、音楽再生装置1aの動作の再開時、即ち再生中断後のスタンバイ状態からの復帰時を意味する。音楽再生装置1aにおいては、再生途中で電源を切るとスタンバイ状態に移行し、再度電源を入れると前回停止した部分から再生を再開される。したがって、プロセッサ140aは、電源投入時には、不揮発メモリ10aに音楽ファイルがあるという前提で動作する。一方、初期状態(リセット)等からの立ち上がり時においては、不揮発メモリ10aに音楽ファイルが格納されていないので、プロセッサ140aは駆動機構12を動作させる。
【0011】
また、記憶媒体11としては、ディスク状の記憶媒体11が使用できる。ここで「ディスク状の記憶媒体」とは、ハードディスク等の磁気記憶媒体又はコンパクトディスク(CD)等の光記憶媒体、或いは磁気記憶と光記憶を併用した記憶媒体等を意味する。以下の説明においては、記憶媒体11としてハードディスクを使用する場合について説明する。尚、不揮発メモリ10aとしては、例えばNAND型のフラッシュメモリが使用できる。入力装置13としては、例えば、キーパッド、タッチスクリーン、スクロールボタン、又はリモートコントローラ等が使用できる。表示装置16としては、例えば液晶表示装置(LCD)、発光ダイオード(LED)パネル、又はエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等が使用できる。
【0012】
更に、記憶媒体11及び不揮発メモリ10aには、例えばムービング・ピクチャ・エキスパート・グループ・オーディオ・レイヤ−3(MP3)等のオーディオフォーマットに準拠した音楽ファイルが格納される。不揮発メモリ10aは、例えば64Mバイト、128Mバイト、又は256Mバイト等の任意の記憶容量に設計される。
【0013】
また、プロセッサ140a、I/F142、コントローラ143a、不揮発メモリコントローラ145、D/Aコンバータ146、USBI/F147、ROM(図示省略)、及びRAM(図示省略)は、バスライン141に接続される。コントローラ143aは駆動機構12に接続される。不揮発メモリコントローラ145は不揮発メモリ10aに接続される。USBI/F147は、図示を省略するUSBケーブルを介してパーソナルコンピュータ(PC)等に接続される。D/Aコンバータ146は、図示を省略するイヤホン又はスピーカ等の音声出力装置に接続される。ROMには、プロセッサ140aが実行するプログラム(ファームウェア)が格納される。RAMは、プロセッサ140aのプログラム実行時における作業領域等として利用される。
【0014】
更に、コントローラ143aは、駆動機構12の電源オン・オフを制御して、記憶媒体11に対する書き込み及び読み出し動作を制御する。不揮発メモリコントローラ145は、不揮発メモリ10aに対する書き込み及び読み出し動作を制御する。プロセッサ140aは、I/F142、コントローラ143a、不揮発メモリコントローラ145、D/Aコンバータ146、及びUSBI/F147等の動作を制御する。
【0015】
更に、音楽ファイルの記録時においては、PCからUSBケーブルを介してUSBI/F147転送された音楽ファイルが記憶媒体11に格納される。一方、再生時においては、プロセッサ140aは、コントローラ143a及び不揮発メモリコントローラ145を制御して、記憶媒体11から1曲単位で音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納させる。不揮発メモリ10aに格納された音楽ファイルは、順次プロセッサ140aに供給されて音楽ファイルの再生処理、即ち音楽ファイルのデコード等が実行される。即ち、駆動機構12を常時電源オンとしておくのではなく、データを不揮発メモリ10aへ転送したら一旦電源をオフし、不揮発メモリ10a内の音楽ファイルが再生される。
【0016】
したがって、1曲分のデータを読み出す間だけ駆動機構12を動作させて、その後は、次の曲のデータが要求されるまで駆動機構12を停止させることで低消費電力化が実現される。また、記憶媒体11のバッファメモリとして不揮発メモリ10aを使用しているので、電源投入時(再生再開時)の駆動機構12の動作が不要になり、その分低消費電力化が図れるのみでなく、電源投入から再生開始までの時間を短縮できる。
【0017】
或いは、プロセッサ140aは、音楽ファイルの再生順序を示す再生順情報に基づいて、不揮発メモリ10aの記憶容量内で、複数曲の音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納させる。複数曲の音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納させた後は、記憶媒体11内のデータの更新時及びユーザによる再生曲順の選択・変更時以外の駆動機構12の動作を殆ど無くすことができる。
【0018】
ここで、再生順情報としては、例えばユーザが任意に再生順序を指定したプレイリストが利用できる。プレイリストはファイルとして、音楽ファイルと同様に記憶媒体11に格納される。プレイリストが無い場合は、記憶媒体11に格納されている曲(音楽ファイル)の順番をそのまま再生順として構わない。記憶媒体11には、格納された音楽ファイルの構成を示すディレクトリ情報も格納される。即ち、選択は曲単位に限らず、ジャンル、歌手、アルバム等のフォルダ単位でも可能であり、フォルダが選択された場合は、その下にある全フォルダの全曲が選択されたことになる。尚、表示装置16には、音楽ファイルのディレクトリ構造が表示可能であるため、ユーザは膨大な数の音楽ファイルの中から再生したいファイルを容易に選択することができる。
【0019】
次に、図2に示すフローチャートを参照して、第1実施形態に係る音楽再生装置1aの再生動作を説明する。但し、音楽再生装置1aの初期状態(リセット)等からの立ち上がり時、且つ、複数曲の音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納する場合について説明する。
【0020】
(イ)音楽再生装置1aに電源の投入後、ステップS11において、ユーザの入力装置13に対する操作により、再生曲(再生ファイル)が決定される。更に、ステップS12において、プロセッサ140aは、コントローラ143aに対して、駆動機構12の電源を投入するように指示する。この結果、駆動機構12は記憶媒体11から音楽ファイルを読み出す。
【0021】
(ロ)ステップS13において、プロセッサ140aは、不揮発メモリコントローラ145に対して、記憶媒体11から読み出された音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納させるように指示する。不揮発メモリ10aに格納された音楽ファイルは、プロセッサ140aに転送されて、再生処理が施される。
【0022】
(ハ)ステップS14において、不揮発メモリコントローラ145は、不揮発メモリ10aに音楽ファイルを格納する空き領域が無くなったか否か判定する。不揮発メモリ10aに空き領域が無くなったと判定された場合、ステップS15に進む。不揮発メモリ10aに空き領域が存在すると判定された場合、ステップS17に進む。
【0023】
(ニ)ステップS15において、プロセッサ140aは、コントローラ143aに対して、駆動機構12の電源を切って、駆動機構12の動作を停止させるように指示する。駆動機構12の動作停止後は、不揮発メモリ10aに格納された音楽ファイルを用いた再生処理のみが行われる。
【0024】
(ホ)ステップS16において、不揮発メモリコントローラ145は、音楽ファイルの再生処理の結果、不揮発メモリ10aに音楽ファイルを格納する空き領域が一定容量以上、例えば空き容量が不揮発メモリ10a全体の記憶容量の3分の2以上程度となったか否か判定する。空き領域が一定容量以上であると判定された場合、ステップS12に処理が戻る。
【0025】
(ヘ)ステップS17において、プロセッサ140aは、音楽ファイルの連続再生が有るか否か、即ち、再生中の音楽ファイルの次の再生予定の音楽ファイルが存在するか否か判定する。音楽ファイルの連続再生が無いと判定された場合、ステップS18に進み、駆動機構12の電源がオフされる。
【0026】
このように、第1実施形態によれば、記憶媒体11のバッファメモリとして不揮発メモリ10aを使用することにより、音楽ファイルの再生途中で中断して電源を切った場合でも、再生再開後に記憶媒体11からデータを読み出すこと無く不揮発メモリ10aから音楽ファイルを読み出して再生を再開させることができる。したがって、駆動機構12の動作回数を減少させて、音楽再生装置1a全体の消費電力を削減することが可能となる。また、音楽ファイルの再生中断後の再開時に記憶媒体11から再度音楽ファイルの読み出しを待つこと無く、不揮発メモリ10a内のデータの再生を再開することにより、再生再開に要する時間を短縮できる。
(第1実施形態の第1変形例)
本発明の第1実施形態の第1変形例として、図1に示すプロセッサ140aが、ユーザの入力装置13に対する操作に応じて、耐振動動作を実行しても良い。耐振動動作時おいては、駆動機構12を動作させずに不揮発メモリ10aに格納された音楽ファイルのみがプロセッサ140aにより再生される。或いは、音楽再生装置1aに加速度センサ等のセンサを設けることにより、センサが振動・衝撃の発生を検出して、自動的に耐振動動作に移行しても良い。この場合、ステップS16で不揮発メモリに空き容量ができた場合でも振動・衝撃が収まるまでは駆動機構のある記憶媒体からの読み出しは保留されるが、不揮発メモリに格納された音楽ファイルが再生されるのでユーザは違和感無く音楽を聴き続けることができる。
【0027】
また、ユーザの入力装置13に対する操作に応じて耐振動動作が実行される場合、図3に示すように、ステップS11〜S15で不揮発メモリ10aに格納された音楽ファイルが、ステップS20の耐振動動作時に再生される。第1実施形態の第1変形例によれば、音楽再生装置1aに振動・衝撃の生じる環境下において、駆動機構12を動作させないので、駆動機構12の故障を防止できる。
【0028】
(第1実施形態の第2変形例)
本発明の第1実施形態の第2変形例に係る音楽再生装置1bとして図4に示すように、図1に示した記憶媒体11に代えて、取り外し可能な記憶媒体2が装着されるコネクタ15を備える構成でも良い。取り外し可能な記憶媒体2は、例えばパーソナルコンピュータ・メモリカード国際協会(PCMCIA)規格に準拠した形状が採用される。この場合、コネクタ15として、カードスロットが利用できる。取り外し可能な記憶媒体2は記憶媒体に加えて駆動機構を内蔵するため、取り外し可能な記憶媒体2をPC等に直接装着して使用することも可能である。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る音楽再生装置は、図5に示すように、不揮発メモリ10b内に、1曲単位の音楽ファイル又は再生順情報に応じた複数曲の音楽ファイルが格納されるバッファ領域101に加えて、音楽ファイルの検索時に使用される検索用領域102が設けられる点が第1実施形態と異なる。図1に示すプロセッサ140aは、検索用領域102に対して、複数曲の音楽ファイル毎の先頭部分を格納させる。図5に示す例においては、検索用領域102は、複数の(第1〜第n)記憶領域102_1〜102_nに分割されている(n;2以上の整数)。その他の構成については、図1に示す音楽再生装置1aと同様である。
【0030】
第1実施形態においては、音楽ファイルを頭出しして聞き始める度に1曲全体(例えば数分)を記憶媒体11から読み出して不揮発メモリ10aに格納する、或いは音楽ファイルの再生順に従って、可能な限りの曲数の音楽ファイルを不揮発メモリ10aに格納していた。しかし、音楽ファイルの先頭だけを聞きながら選曲するような使い方をした場合には、駆動機構12は常に動作し続けることになる。
【0031】
したがって、図5に示すように、不揮発メモリ10bのバッファ領域101には、再生中の音楽ファイルの全体が格納される。残りの領域、即ち検索用領域102には、再生中の音楽ファイルに対して再生順序が前後の一定曲数の音楽ファイルの各先頭部分(例えば5秒程度)が格納される。音楽ファイルの先頭5秒程度のデータであれば、MP3形式で40Kバイト程度である。よって、例えば検索用領域102の記憶容量を16Mバイト程度とすれば400曲以上の頭出し選択に対応できることになる。
【0032】
この結果、駆動機構12の不要な動作を減少させることができる。更に、音楽ファイルに付属する曲名、曲の長さ、及びアーティスト名といった管理情報を音楽ファイルと共にデータベースの様に検索用領域102に格納することで管理も容易になる。
【0033】
また、検索用領域102の容量が許す限りの検索データ(頭出し楽曲)を格納するには、記憶媒体11内からデータを集める必要がある。例えば、PCからの音楽ファイルの書き込み終了後に、USB I/F147からUSBケーブルを外すと、表示装置16上に「テーブル作成中」と表示され、駆動機構12が動作状態となる。よって、音楽再生装置1aのプロセッサ140aの処理能力では、テーブル作成に長時間を必要とする。更に、テーブル作成時に電力を消費する。
【0034】
したがって、USB I/F147等でPCと接続して記憶媒体11にデータを書き込む際、初期検索データも作成して不揮発メモリ10bの検索用領域102にPCから書き込むことが望ましい。その際、全ての曲の検索データを格納可能な検索用領域102の記憶容量が無い場合は、プレイリストに従って可能な限りのデータを格納しても良い。更に、使用するプレイリストが1つ、または優先順位が付けられる場合には、それに従って音楽ファイルの本体もバッファ領域10bに可能な限り格納しておけば、さらに記憶媒体11へのアクセスを減らすことができる。
【0035】
次に、図6に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係る音楽再生装置の再生動作を説明する。但し、第1実施形態に係る音楽再生装置の再生動作と同様の動作については重複する説明を省略する。また、図5に示す検索用領域102に予め複数曲の音楽ファイルの各先頭部分が格納されているとする。
【0036】
(イ)音楽再生装置に電源の投入後、ステップS21において、図1に示す入力装置13に対する操作により、再生曲(再生ファイル)が決定される。更に、ステップS22において、図1に示すプロセッサ140aは、不揮発メモリコントローラ145に対して、図5に示す検索用領域102に格納された音楽ファイル(先頭部分)を読み出すよう指示する。検索用領域102から読み出された音楽ファイルは、プロセッサ140aにより再生処理が施される。
【0037】
(ロ)ステップS23において、プロセッサ140aは、入力装置13に対する操作によりスキップ動作、即ち前曲頭出し又は次曲頭出しが要求されたか否か判定する。スキップ動作が要求された場合、ステップS21に処理が戻る。スキップ動作が要求されない場合、ステップS24に進む。
【0038】
(ハ)ステップS24において、不揮発メモリコントローラ145は、再生中の音楽ファイル(先頭部分)の再生余裕時間(残り時間)が一定時間以下となったか否か判定する。例えば、検索用領域102の各記憶領域102_1〜102_nに5秒分の音楽ファイルが格納されている場合、残り時間が2秒程度となったか否か判定される。再生余裕時間(残り時間)が一定時間以下となった場合、ステップS25に進む。再生余裕時間(残り時間)が一定時間以下となっていない場合、ステップS23に処理が戻る。
【0039】
(ニ)ステップS25において、プロセッサ140aは、コントローラ143aに対して、駆動機構12の電源を投入するように指示する。この結果、駆動機構12は記憶媒体11から音楽ファイルを読み出す。ここで、記憶媒体11から読み出される音楽ファイルは、ステップS24で再生余裕時間(残り時間)が一定時間以下となった音楽ファイルと同一の音楽ファイルであり、且つ、先頭部分を除いた残り時間に相当する音楽ファイルである。記憶媒体11から読み出された音楽ファイルは、図5に示すバッファ用領域101に格納される。
【0040】
(ホ)ステップS27においてはバッファ用領域101を用いた通常動作、即ち図2のステップS14以降の動作と同様の動作が行われる。
【0041】
このように、第2実施形態によれば、ユーザによる選曲時には検索用領域102に予め格納された音楽ファイルを再生し、検索用領域102内の音楽ファイルの再生時間が一定時間を超えた場合にのみ駆動機構12を動作させることが可能となる。更に、記憶媒体11のバッファメモリとしてバッファ領域101を使用することにより、音楽ファイルの再生途中で中断して電源を切った場合でも、再生再開時に記憶媒体11からデータを読み出すことなくバッファ領域101から音楽ファイルを読み出して再生を再開させることができる。また、ユーザによる選曲時には、検索用領域102に予め格納された音楽ファイルを再生するので、選曲時における再生開始時間を短縮できる。
【0042】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0043】
上述した実施形態においては、消去及び書き込み可能な不揮発メモリ10a及び10bとしてNAND型のフラッシュメモリを使用する一例を説明したが、強誘電体メモリ(FeRAM)又は磁気メモリ(MRAM)等の他の不揮発メモリを使用しても良い。
【0044】
また、記憶媒体11は、通常の外部記憶装置としても使用できるので、音楽ファイルのみならず、他のアプリケーションのデータファイル、例えば、文書ファイルや画像ファイルも格納可能である。
【0045】
更に、不揮発メモリ10a及び10bの一部の記憶領域を、プロセッサ140a及び140bの作業領域又はプログラム格納領域として使用することにより、作業領域としてのRAM又はプログラム格納領域としてのROMを不要とすることができる。
【0046】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1実施形態に係る音楽再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る音楽再生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態の第1変形例に係る音楽再生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の第2変形例に係る音楽再生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る音楽再生装置の不揮発メモリにおけるデータ配置例を示す模式図である。
【図6】第2実施形態に係る音楽再生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
1a,1b…音楽再生装置
2…取り外し可能な記憶媒体
10a,10b…不揮発メモリ
11…記憶媒体
12…駆動機構
15…コネクタ
101…バッファ領域
102…検索用領域
140a,140b…プロセッサ
145…不揮発メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体を回転駆動して、前記記憶媒体から音楽ファイルを読み出す駆動機構と、
前記記憶媒体からの前記音楽ファイルが格納される不揮発メモリと、
前記不揮発メモリから前記音楽ファイルを読み出して再生するプロセッサ
とを備え、前記プロセッサは、電源投入時に前記駆動機構を動作させずに前記不揮発メモリから前記音楽ファイルを読み出すことを特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
記憶媒体と前記記憶媒体を回転駆動する駆動機構とを具備する取り外し可能な記憶媒体から読み出された音楽ファイルを再生する音楽再生装置であって、
前記取り外し可能な記憶媒体が装着されるコネクタと、
前記記憶媒体から読み出された音楽ファイルが格納される不揮発メモリと、
前記不揮発メモリから前記音楽ファイルを読み出して再生するプロセッサ
とを備え、前記プロセッサは、電源投入時に前記駆動機構を動作させずに前記不揮発メモリから前記音楽ファイルを読み出すことを特徴とする音楽再生装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記音楽ファイルの再生開始から前記音楽ファイルの再生順序に応じた複数曲の音楽ファイルを前記不揮発メモリに格納させることを特徴とする請求項1又は2に記載の音楽再生装置。
【請求項4】
前記不揮発メモリには、前記音楽ファイルの検索時に使用される検索用領域が備えられ、前記検索用領域には、前記記憶媒体内の複数曲の音楽ファイルのそれぞれの先頭部分が格納させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の音楽再生装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、耐振動動作時において、前記駆動機構を動作させずに、前記不揮発メモリに格納された複数曲の音楽ファイルのみを再生することを特徴とする請求項1又は2に記載の音楽再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−235117(P2006−235117A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47946(P2005−47946)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】