説明

音質・画質改善用機能性複合材料及び使用方法

【課題】自動車用・家庭用音響機器などの電圧を使用した機器の電磁波ノイズを抑制することにより音質を改善し、機器内部で発生する高周波電磁波の外部への放出量を極めて減らせることを目的とした高機能複合材料を提供する。機器から発せられる高周波電磁波を抑えるための、高機能性複合材料を提供する。視覚的機器の画質改善用機能性複合材料を提供する。
【解決手段】電磁波ノイズ遮断材は導電性の高い長炭素繊維、微細炭素、及びグラファイトで構成された炭素繊維クロス1を、非伝導体であるポリマー2で挟まれた構造とする。伝導性の高く細い炭素系材料を使用することにより、高い電磁波遮断効果が得られ機器内外で発生する電磁波を精密計測機器および音響機器での測定ノイズ、および音響ノイズを抑制することで音質・画質の改善効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機器外部からの電磁波を吸収することにより音響機器などの電圧を使用した機器の電磁波ノイズを抑制することにより音質を改善し、機器内部で発生する高周波電磁波の外部への放出量を極めて減らせることを目的とした高機能複合材料である。
【背景技術】
【0002】
近年、AM/FM波、携帯電話用電波、内部電子機器発生電波、および各電源から発せられる拡散電波など、さまざまな電磁波が飛び交っていることが知られている。
その中でも携帯電話をはじめとした機器では高周波電磁波を多く使用している。この高周波電磁波は精密測定器や音響機器に対してノイズの原因となりうることが知られている。また、高周波電磁波が人体に対して影響があるという研究から機器から発せられる電磁波を外部へ放出させないための研究が行われている。
【0003】
電子機器は電磁波ノイズ除去のために筐体のシールド性を向上させている。
【0004】
炭素繊維の防磁効果を利用し、機器からの電磁波放出を抑制する研究が行われている。
【特許文献】特許公開2000−207060 特許公開2006−182948 特許公開2005−32970
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高精度の計測、高級音響機器の音場に関してノイズは無視できない状況である。現在の精密測定機器、音響機器は、筐体のみでの電磁波遮断を行っているものがほとんどである。しかし、単一金属の筐体では特定周波数帯の遮断効果しか得られず、その結果ノイズなどの不要出力を出してしまう。
【0006】
高周波電磁波が人体に及ぼす影響があることが明らかになっている。そのため電子機器から発せられる電磁波を極力抑えなければならない。
【0007】
精密計測では金属系電磁波遮断材、出力フィルターなどで対応している。しかし、フィルターをかけることにより実際の出力情報から貴重な情報を失っていた。
【0008】
音響機器は、電磁波ノイズにより音質の低下がみられた。そのため金属筐体のほか、機器内部の電磁波発生箇所にさらにシールをしていた。また完全な音場を得るためには、室内外周部分に電磁波遮断シールドを張り巡らせ、無電波化する必要があり大掛かりでかつ高価になってしまっていた。
【発明が解決するための手段】
【0009】
本発明は、電導性の高く微細の炭素繊維を用いることにより、吸収周波数帯域を広げ、かつ吸収効率を高めることができ、安定した測定を行えるとともに今までフィルターで失っていた情報を得ることが出来る。
【0010】
本発明は、音響機器に対し機器本体及びアナログ信号の通り道(ケーブルなど)を覆うことにより外部ノイズを低減させ、良好な音質を得ることが出来る。
【0011】
電子機器から発生する電磁波を広域にて吸収することにより、人体影響を軽減できる。
【0012】
導電性の高い極細繊維を用いることにより、電磁波吸収効率が格段に向上し、かつ吸収周波数帯が広くなることにより、出力ノイズが低減する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、内外部の電磁波を電線に伝達させることを抑制することで、正確な計測、又は純粋な音場を作ることが出来る。
【0014】
本発明は音響機器に内外部で発生した電磁波を吸収し、純粋な音響環境を得られる。
【0015】
本発明は機能性材料である電導性の高い炭素繊維、微細炭素およびグラファイトを非電動体で挟みこんだ構造であり、吸収した電磁波を電流に変換されるため、内部での渦電流の発生を抑えることによりノイズを抑えることができる。
【0016】
炭素繊維層を積層することにより、さらに電磁波ノイズの除去効果をあげることができる。
【0017】
本機能性複合材料は電子機器回路保護のために、電導性の高い炭素繊維を伝導性のないポリマーで覆う構造に設計している。
【0018】
機能性複合材料として炭素繊維、微細炭素、グラファイトなどの電気伝導性がよいものを使用することで、効果が得られる。
【0019】
本発明部品は後から機器外周に添付しても高い音質改善効果を得ることができる。
【0020】
本発明品は機器から離れていても音質改善効果を得ることができる。
【0021】
本発明品は視覚的機器の画質改善効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施の形態について説明する。
成型品1を成型する基材として、PAN系炭素繊維[繊維径=7μm/フィラメント:3000/サイジング剤:エポキシ/配向:0−90°及び−45−45°/平織り]を1〜10積層し、熱硬化性樹脂で120℃、120分間加熱、硬化させた。
【0023】
成型した発明品を図2のように加工した。
【0024】
外部電波遮断性の確認のために図2の発明品の中に電磁波受信機をいれ、50〜2.4GHzの周波数帯の電磁波を照射し試験を行った。結果を表1に示す。
【0025】
試験周波数及び遮断効果
本表は受信機を本発明品で覆い、外部発生した電磁波で受信できなかったもの、すなわち電磁波を遮断したものを◎として示す。
【表1】

【0026】
音響音質確認のためCDプレーヤー、アンプ、携帯型音楽プレーヤー、そしてプロジェクタを本発明品で覆ったものとそうでないものを視聴してもらい、評論家を含め120人に音質評価を実施した。なお視聴評価はブラインド評価とし、評価者は本発明品の有無を知らせない状態で行った。
評価結果を表2に示す
【0027】
ブラインド視聴による効果確認結果
本表の割合は、ブラインド試験にて本発明品使用時に良い音質と答えた割合を示す。
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0028】
電子機器電磁波遮断材
精密計測機器筐体及びケース
音響機器筐体及び音質改善部品、ケース
携帯音響機器筐体、ケース、音質改善部品
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の材料構成
【図2】本発明略図
【符号の説明】
【0030】
1 炭素繊維クロス
2 母材ポリマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内外部から発生した電磁波を遮断・拡散させることを目的とした、機能性複合材料。
【請求項2】
請求項1材料は導電率の高い炭素繊維、微細炭素を使用し、非導電体であるポリマーで挟み込む構造を特徴とする機能性複合材料。
【請求項3】
請求項1の材料構成比は導電性の高い炭素長繊維を10〜80重量%とし、非導電性のポリマーを90〜20重量%で構成されることを特徴とする機能性複合材料。
【請求項4】
請求項1の繊維配向は0−90°、30−120°、45−135°、60−150°のいずれか、もしくは、それらの組み合わせで交互に積層する構造を特徴とする機能性複合材料。
【請求項5】
請求項1の機能繊維として炭素繊維、又は炭素繊維と微細炭素繊維の複合化した構造を持つことを特徴とする機能性複合材料。
【請求項6】
上記材料請求項1−5を電気信号測定型装置、自動車用音響機器、家庭用音響機器、携帯用音響機器及び電子機器のアナログ回路に設置することにより内外部への電磁波遮断特性と音質改善性を持つことを特徴とする機能性複合材料を使用した製品。
【請求項7】
上記材料請求項1−5の発明品を自動車用音響機器、電圧増幅器、各再生機、及び家庭用音響機器、携帯用音響機器の音質改善を目的とする機能性複合材料。
【請求項8】
請求項6の機能性複合材料を機器の周りに設置することによる、音質改善方法。
【請求項9】
請求項1の機能性複合材料を音響機器の筐体にすることによる、音質改善方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の音質改善性、または電磁波遮断材を備えていることを特徴とする製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−34773(P2008−34773A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224700(P2006−224700)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(506283754)株式会社創葉 (1)
【Fターム(参考)】