説明

音高表示器

【課題】音高表示器の携帯型の楽器への搭載を容易にする。
【解決手段】音高の順に従って並ぶ特定の音高に対応して視覚的に変化する表示部分3を、少なくとも1オクターブ分用意して、オクターブ数の異なる音高に対して同じ表示部分を対応させることで表示部分の面積を縮小した。また、この表示器は楽器に組み込むことで組み込まれた楽器を使い易いものにすることが出来る。特に、連続的な物理量の変化を検出して音階に従った楽音を発生する楽器にあっては、音高表示器が内蔵されていることが利便性の向上に大きく寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽音の音高を演奏者に伝える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器を演奏するときに、特に初心者は自分が現在出している音の高さが分からないことがある。この対策として既に電子鍵盤楽器では鍵盤の上部などに五線譜上に音符を並べた形の音高表示器を備えたものが市販されている。これらは表示する音高が上がるに従い、対応する表示部分が一方向に伸びて表示していることで、感覚的に音高が把握し易い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
音高表示器を楽器に搭載する場合にキーボードのように十分な大きさのある楽器であれば問題ないが、例えば携帯型の楽器にあっては、楽器の大きさの制約からその楽器の出せる音の全てを一方向に表示することが出来ないことがある得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、音高の順に従って並ぶ特定の音高に対応して視覚的に変化する表示部分3を、少なくとも1オクターブ分用意して、図1に示すようにオクターブ数の異なる例えば2Cと3Cと4Cと5Cの音高に対して同じ表示部分Cを対応させることで表示部分の面積を縮小した。
【0005】
表示部分3は例えば発光ダイオード(LED)であったり、液晶画面上の輝点であったりする。以下、表示部分3を表現の簡便化の為にLEDとして話を進めるが、視覚に訴える表示装置であれば良く適用はLEDに限るものではない。
【0006】
LEDを直線状に例えば1オクターブ分CDEFGABと配置すると、音高が3Bから3Cに移るときに右から左にLEDの発光が一気に移動する。音高は段階的に変わっているのに表示は一気に移動することは本表示器を利用する人間の感性に違和感を感じさせることがある。
【0007】
この問題に対してはLEDを環状に配置することで対策できる。
例えば図3aでは音高が1オクターブ、図3bでは2オクターブ上がる毎に輝点が1回転して音高の変化を使用者に伝えることが出来る。
【0008】
LEDの数は1オクターブが最も表示器の専有面積も小さくコストも安く済むが、演奏する楽曲によっては発光する輝点がめまぐるしく移動するために2オクターブかそれ以上で1周期とした図3bの方が使い易いこともある。
【0009】
また、この表示器は楽器に組み込むことで組み込まれた楽器を使い易いものにすることが出来る。
【0010】
特に、連続的な物理量の変化を検出して音階に従った楽音を発生する楽器にあっては、音高表示器が内蔵されていることが利便性の向上に大きく寄与する。(特許文献1参照)
【0011】
更に内部入った人の手指の動きで形状の変化する人形7に組み込まれた楽器の一部を本表示器が構成する場合は、楽器の構造上表示面積が強く限定されるために本表示器の特長が最大限に発揮される。
【0012】
【特許文献1】 実用新案登録3118541
【発明の効果】
【0013】
上述したように本発明の音高表示器は、オクターブ数の異なる複数の音高に対して共通の表示部分を対応させることで音高表示手段の面積を縮小した。
【0014】
このことにより、携帯型楽器への搭載が容易になる。
【0015】
更にLEDを環状に配置することで不連続的に輝点が移動する違和感を無くすことができる。環状部の中央には7セグメント表示器等でオクターブ数を表示することで利便性を一層高めることも出来る。
【0016】
また、多少表示空間に余裕があれば環状の表示器を2オクターブ上がる毎に輝点が1回転させることで、音程が激しく上下する楽曲での視認性を改善することが出来る。
【0017】
また、この表示器は単独で使用できることはもちろん、楽器に組み込むことで組み込まれた楽器を使い易いものにすることが出来る。
【0018】
特に、連続的な物理量の変化を検出して音階に従った楽音を発生する楽器にあっては、これまで音高表示器が搭載されることがある鍵盤楽器よりも演奏者にとって音高の確認が困難であるために、音高表示器が内蔵されていることが利便性の向上に大きく寄与する。
【0019】
更に内部入った人の手指の動きで形状の変化する人形7に組み込まれた楽器の一部を本表示器が構成する場合は、楽器の構造上表示面積が強く限定されるために本表示器の専有面積が小さいながらも視覚的に音高を把握しやすいという特長が最大限に発揮される。
【0020】
なお、本出願の説明は文章も図も音名を基準に行っているが、これは階名であっても全く同様に適用できるものである。
【発明を実施するために最良の形態】
【0021】
図5最良の形態のにブロック図を示す。特許文献1の例で説明すると、携帯型のパペットに組み込まれた電子楽器であって、パペット人形の口の開度を検出手段5で検出し、制御回路6で音階に変換するものである。
【0022】
この種の楽器にあっては、操作がパペットの口の開度というアナログ的な量であるために、演奏者は操作する自分の手からの情報では音高を把握することは困難を伴う。また、音高表示のために大きな面積を確保する事が出来ない。このような用途で特に本発明は有効である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 実際の音と表示される音高の典型的関係を示す。
【図2】 実際の音と表示される音高の関係が2オクターブ周期で変化する場合を示す。
【図3】 音高が環状に表示される例である。aは1オクターブ周期、bは2オクターブ周期である。
【図4】 本発明の最小限の構成を示すブロック図である。
【図5】 本発明の最適な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1 音高検出手段
2 音高表示手段
3 表示部分
4 音声発生手段
5 物理量の連続的な変化を検出し得る電気的検出手段
6 音高を決める制御回路
7 内部に入れた人の手指の動きで外形が変化する人形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音高検出手段1と音高表示手段2と、音高表示手段2の表示面上に音高の順に従って並んでいて特定の音高に対応して視覚的に変化する複数の表示部分3を有し、一つの表示部分3がオクターブ数の異なる同じ音名または階名の音高に対応することを特徴とする音高表示装置。
【請求項2】
表示部分3が環状に配置されていることを特徴とする、請求項1の音高表示装置。
【請求項3】
音高が変化し得る音声発生手段4を有することを特徴とする請求項2の音高表示装置。
【請求項4】
物理量の連続的な変化を検出し得る電気的検出手段5と、該電気的検出手段の出力信号の変化に応じて音高を決める制御回路6を有し、該制御回路によって決定される音高が、音階に従って段階的に変化することを特徴とする請求項3の音高表示装置。
【請求項5】
人形の内部に入れた人の手指の動きで外形が変化する人形7に組み込まれた楽器の一部を構成することを特徴とする請求項4の音高表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−197605(P2008−197605A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60885(P2007−60885)
【出願日】平成19年2月10日(2007.2.10)
【出願人】(596093743)有限会社トゥロッシュ (7)
【Fターム(参考)】