説明

頭皮毛穴洗浄用ブラシ

【課題】本発明は、頭皮を覆っている髪の毛に邪魔されにくく、毛穴にブラシ用毛の先端が届き易く、抜毛がブラシに絡みにくく、仮に絡んでも容易に除去することができる頭皮毛穴洗浄用ブラシを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、一端の形状がテーパー状で毛穴の直径より細い用毛を複数束ねた毛束を、基台上に植毛した頭皮の毛穴洗浄用ブラシにおいて、複数の毛束の先端部が略一つの平面を構成しており、かつ、各毛束の先端部と隣の毛束の先端部との間に隙間があって前記複数の毛束の先端部が不連続な平面を構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、髪や地肌を洗浄するシャンプーと一緒に使用し、従来は洗浄しにくい頭皮の毛穴近傍および毛穴の中の汚れを除去する効果が高く、同時に地肌をマッサージすることで気持ち良く髪を洗うことができる頭皮毛穴洗浄用ブラシに関し、特に、抜けた毛がブラシに絡みにくく、絡んでも容易に除去することができるメンテナンス性に優れた頭皮毛穴洗浄用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
洗髪時に使用するヘアブラシとして従来から種々のものが知られている。例えばブリッスル先端に球状体を有するものや(特許文献1参照)、球状体を有するブリッスルと球状体を有しないブリッスルを組合せたもの(特許文献2参照)、長さ方向の外周面が凹曲面である略円錐形のブリッスルを有するもの(特許文献3参照)、ブリッスル先端が頭皮に触れて柔軟に屈曲する小突起のあるもの(特許文献4参照)、ブリッスル先端が開口しているもの(特許文献5参照)等がある。
これら従来のヘアブラシはいずれも、洗髪時にブリッスル先端の頭皮に対するマッサージ効果は有するものの、ブリッスル先端が太いため、頭皮上で汚れや匂いの原因となる毛穴から排出される皮脂を除去し、毛穴を洗浄することはできなかった。
【0003】
また、先端が細いブリッスルと太径ブリッスルを組み合わせた頭皮・毛穴洗浄用ブラシとして、第1の基板に直径が1〜200μmの樹脂製の細径ブリッスルの束と太径ブリッスル用の挿通穴を交互に形成し、第2の基板に直径1〜5mm程度の樹脂製の太径ブリッスルを形成し、第1の基板の挿通穴に第2の基板の太径ブリッスルを挿通して第1、第2の基板を組み合わせた構成の頭皮及び毛穴洗浄用ブラシが知られている。(特許文献6参照)
【0004】
また、毛髪の絡みを解いて優れたくし通りを有し、特にシャンプーや育毛剤と併用することにより毛髪、頭皮だけではなく毛穴の洗浄を可能としたマッサージ用ブラシとして、断面楕円形状のブリッスルを基台に定間隔で複数並設し、これらのブリッスルの間に細径ブリッスルの束を植毛してなるブラシが知られている。(特許文献7、8)
【特許文献1】実開昭54−87272号公報
【特許文献2】実開昭54−16673号公報
【特許文献3】実開平3−102928号公報
【特許文献4】特開2005−160684号公報
【特許文献5】実用新案登録第3113002号公報
【特許文献6】特開平11−70019号公報
【特許文献7】特開2000−60640号公報
【特許文献8】特開2000−139567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら従来の洗浄ブラシにあっては、太径ブリッスルが植毛されているので頭皮のマッサージ効果は得られるものの、太径ブリッスルの先端部は毛穴より大きいので太径ブリッスルによる毛穴洗浄効果を望むことはできないとともに、太径ブリッスルの間に設けられている先端が細いブリッスルの植毛密度が低いため、頭皮上で汚れや匂いの原因となる毛穴から排出される皮脂を除去し、毛穴を洗浄する能力には不足であった。
また、これら従来の洗浄ブラシは、毛束とそれに隣接する毛束あるいは太径ブリッスルなどの毛束以外の突起物との間隔が狭く、洗髪時に抜けた毛が絡みやすくて除去しにくく、消費者にとって使用感に優れたものではなかった。
【0006】
また、従来構造の洗浄ブラシにおいて、太径ブリッスルを無くして細径のブリッスルのみを密に植毛して洗浄ブラシを構成するならば、毛穴を洗浄できるようになると考えられる。しかし、人間の毛髪の直径は、人種、性別、年齢、くせ毛の有無などによっても異なるが、一般的な日本人では40〜100μm程度、平均70μm程度とされているので、数本の毛髪が生える毛穴の大きさはそれと同等かそれ以上の大きさと考えられ、平均70μm以上はあると考えられる。このサイズに合わせて毛穴に入るように径を決めた細径ブリッスルを密に植毛してブラシを構成すると、洗髪時に頭皮の毛根にブラシの毛束を押しつけようとしても通常毛髪の人にあっては多数の他の毛髪が細径ブリッスルの進行の阻害となり易く、細径ブリッスルが容易に撓んでしまい、細径ブリッスルが毛穴に到達できる本数が少なくなり、結果として目的の毛穴洗浄効果を得られない問題がある。
【0007】
本発明は、このような毛穴の内部の脂質などの汚れを除去するために先端が毛穴の直径より細いブラシ用毛を使用し、かつ、頭皮を覆っている髪の毛に邪魔されにくく、頭皮上の毛穴にブラシ用毛の先端が届き易いとともに、抜けた毛がブラシに絡みにくく、仮に絡んでも容易に除去することができるメンテナンス性に優れた適切な植毛パターンを有する頭皮毛穴洗浄用ブラシを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明の頭皮毛穴洗浄用ブラシは、一端の形状がテーパー状で毛穴の直径より細い用毛を複数束ねた毛束を、基台上の植毛穴内部が外部から観察できない状態の密度で植毛した頭皮の毛穴洗浄用ブラシにおいて、複数の毛束の先端部が略一つの平面を構成しており、かつ、各毛束の先端部と隣の毛束の先端部との間に隙間があって前記複数の毛束の先端部が不連続な平面を構成していることを特徴とする。
(2)本発明の頭皮毛穴洗浄用ブラシは、一端の直径が1〜100μmの樹脂製のテーパー状の用毛を、毛丈5〜30mmの長さになるよう基台の植毛穴に植毛した頭皮毛穴洗浄用ブラシであり、植毛パターンとして、(A)一穴当たりの用毛の植毛数が10〜50本とされた条件と、(B)基板上の穴の配置パターンとして、毛束に隣接する毛束、あるいは突起物との間隔が2.5mmを越える条件と、(C)基板の穴密度が、基板の植毛面積1cm当たり2〜15個とされてなる条件を満足したことを特徴とする。
【0009】
(3)本発明の頭皮毛穴洗浄用ブラシは、前記(2)に記載の基台上の植毛穴の配置パターンとして、複数配置された植毛穴のうち、任意の1つの植毛穴を基準として、最も距離が近い他の植毛穴との距離、2番目に距離が近い他の植毛穴との距離、3番目に距離が近い他の植毛穴との距離が全て3〜7mmの範囲内に収められてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、毛束間に間隙を設けてテーパー状の用毛を植毛してあるので、頭皮を覆う髪に邪魔されることなく確実に用毛を毛穴に到達させてブラッシングすることが可能で毛穴洗浄性の良好な頭皮毛穴洗浄用ブラシを提供できる。また、毛束間に間隙を設けたことにより、仮に抜け毛が用毛に絡んでも容易に絡んだ抜け毛を除去することができる頭皮毛穴洗浄用ブラシを提供できる。
【0011】
本発明によれば、基台上の植毛穴内部が外部から観察できない状態の密度で植毛したので、植毛穴内に洗浄剤や汚れが詰まって不潔になり難く、かつ毛束内に毛髪が絡みにくい効果がある。
更に本発明によれば、一端の直径が1〜100μmの樹脂製のテーパー状の用毛を用いているので、毛穴の内部に確実に用毛を挿入することができ、毛穴洗浄効果を発揮できる。また、毛丈5〜30mmの長さになるよう植毛したので、頭皮の髪を回避して確実に毛穴に用毛先端部を到達できるので、毛穴洗浄を確実になし得る効果がある。
次に、植毛パターンとして、植毛数を10〜50本、穴間隔2.5mmを越える条件、穴密度が植毛面積1cm当たり2〜15個とされてなるので、頭皮のブラッシング時に頭皮を覆う髪との干渉をできるだけ避けて髪を通過しながら毛穴に到達し、毛穴を確実に洗浄可能であって、毛穴を痛めるおそれも少ない頭皮毛穴洗浄用ブラシを提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明するが、本発明は以下に説明する各実施の形態に制限されるものではない。
図1は本発明の頭皮毛穴洗浄用ブラシの第1実施形態の構造を示すもので、この形態の頭皮毛穴洗浄用ブラシAは、円板状の基台1の一面側(図1では上面側)に複数の植毛が施され、基台1の反対側の一面に中央部に位置するように支柱状の取手部2と摘み型の把持部3とが形成されてなる。
前記基台1の上面側の植毛は、本実施形態では基台1の一面側に複数所定間隔で形成された植毛穴4に対して例えば10〜50本の用毛5が植設されて毛束6とされてなり、基台1の外部に突出されている部分の用毛5の毛丈は例えば5〜30mm、毛束6とそれに隣接する他の毛束6との間の間隙は例えば2.5mmを越える間隙とされている。また、基台1上の植毛穴内部が外部から観察できない状態の密度で毛束6が植毛されている。
以下に本実施形態の頭皮毛穴洗浄用ブラシAにおいて、各部の寸法や形状を規定した理由について説明する。
【0013】
・用毛5の毛丈5〜30mm:
用毛5の毛丈が5mmより短いと、髪の毛が邪魔で用毛5が地肌や毛穴に届きにくく、毛丈が30mmより長いと用毛5が曲がりやすくて地肌や毛穴に届きにくい。植毛した毛丈に多少のばらつきがある場合もあるが、概ね植毛した毛の9割は5〜30mmの範囲に入ることが品質上好ましい。
【0014】
・用毛5の植毛パターン条件(A):一穴当たりの用毛5の植毛数:外部から穴の内部が観察できない状態の密度:より詳細には一穴当たりの用毛5の植毛数10〜50本:
一穴当たりの用毛5の植毛数が穴内を外部から観察できる程度に少ない状態になると、毛束内に抜けた髪の毛が絡みやすく、かつ除去しにくいため好ましくない。また、植毛穴内に洗髪時に使用する洗浄剤やリンス剤などが詰まり易く、洗浄用ブラシAの衛生上好ましくない。それに対して、穴内部が外部から観察できない数だけ植毛した本発明の洗浄ブラシの場合は、毛束内に抜けた髪の毛が絡むことなく、かつ植毛穴に隙間がないので、洗浄剤などが詰まりにくい。
毛穴の断面積に対して植毛数が少ないと、用毛と用毛の間にわずかな隙間が発生し、個人差はあるが概ね直径が70μmである毛髪がそのわずかな隙間に挟まれるため、極めて除去しにくく、不具合な状態になる。
参考例として、直径1.5mmの植毛穴に対し、フィラメントの中央部の直径が190μmの用毛5であれば、21本の用毛を厚さ0.25mmの平線で用毛の中央部で固定して植毛すると、毛内部が外部から観察できない状態にすることができる。この状態を断面積で考えると、植毛穴の断面積である0.75×0.75×3.14=1.77平方mmに対して、用毛の占める断面積は0.095×0.095×3.14×21×2=1.19平方mmとなり、植毛穴の断面積の67%が用毛で占められている状態である。
【0015】
1.77mmの植毛穴に190μm直径の用毛5を21本埋め込む場合に67%であるならば観察できない状態であるが、13本植毛することで観察できない状態の境界の42%になり、この境界42%を下回ると穴を外部から観察できる程の隙間となり、70μm径の毛髪が絡みやすくなる。
毛髪の絡み易さの面から見ると、先の境界42%を下回ると、毛髪が絡みやすくなる。このため、42%以上、85%以下の範囲が好ましい。また、用毛の占める割合が85%を超えると植毛穴が割れやすくなる上、植毛した毛が開くので好ましくない。
【0016】
植毛穴4に対する植毛数が10本より少ないと毛穴の洗浄効果に乏しく、植毛数が50本より多いと、大きい植毛穴を基台1に開ける必要があるため、植毛穴内に洗髪時に使用する洗浄剤やリンス剤などが詰まり易く、洗浄用ブラシAの衛生上好ましくない。先の植毛数にばらつきがある場合もあるが、概ね植毛した穴の9割は10〜50本の範囲に入ることが品質上好ましい。
ここで仮に毛束6が基台1上において隙間無く密に配置されていると、頭皮、毛穴を洗浄する洗髪行動において、頭皮上の毛髪表面が物理的な障害となって用毛5が曲げられ、用毛5の先端が頭皮や毛穴に到達し難くなるため好ましくない。このため、頭皮上の毛髪と毛髪の間を毛束6の用毛5が支障なくすり抜け、毛穴部分とその周囲にできる限り多くの用毛5が到達するために、毛束6を構成する用毛5の本数と、隣接する毛束6どうしの間隔が重要となる。
【0017】
本実施形態のブラシAにおいて、前述の10〜50本の用毛5からなる毛束6は、隣接する毛束6どうしが接触したり、過度に近接しないように所定の間隔をあけて配置されている。
・用毛5の植毛パターン条件(B):毛束6と隣接する他の毛束6あるいは他の突起物との間隔Dが2.5mmを越える間隔:
毛束6どうしの間隔Dが2.5mm以内だと、毛が絡みやすく、かつ除去しにくい。毛束6どうしの間隔Dが2.5mmより広い場合の制限は特にないが、下記(C)に示すように穴密度が低くなると、用毛5の密度が疎になりすぎて毛穴の洗浄効果に劣るようになる。
なお、前記2.5mmを越える間隔Dにすることが好ましい理由として、10〜50本の用毛5からなる毛束6を2.5mmを越える間隔Dで配置することにより、複数の毛束群6に毛が絡み難く、仮に毛束6間に毛が絡みついた場合であっても除去しやすい構造とすることができるからである。
【0018】
以下に、抜けた1本の人毛が本実施形態のブラシAの材質がポリエチレンテレフタレートで直径190μm、先端径20μmの毛束6間に絡んだ場合を例にしてこの間隔の説明をする。人毛および本実施形態の用毛5を水道水で濡らした状態を観察すると、人毛1本には、最大で直径1.5mmの水滴が、ブラシAの用毛5には最大で直径1.0mmの水滴が付着する。即ち、ブラシAの毛束6の端から水滴の半径分である0.5mmと人毛に付着している直径1.5mmの合計値である2.5mmの間隔Dが、人毛と用毛5が最大径の水滴を接して並ぶ境界の間隔である。ブラシAの毛束6の間隔Dがそれより狭いと、人毛は水の表面張力を介してブラシAの毛束6と2ヵ所で接することになり、容易に除去できない。しかし2.5mmより間隔Dが広いと、人毛はブラシの毛束6と1ヵ所で接するため、除去が容易である。それは同時に洗髪使用時に毛が毛束6の用毛5に絡みにくいことを意味している。また、これは、毛束6と毛束6の間隔だけのことではなく、毛束6と隣接した基台1上の他の突起物の場合も同様と考えられる。
【0019】
・植毛パターン条件(C):植毛穴の穴密度が基台植毛面積1cm当たり2〜15個:
植毛穴の穴密度が2個より少ないと毛穴の洗浄効果に劣り、15個より多いと密度が高すぎて用毛が地肌に届きにくい。なお、本計算の基になる基台の植毛面積とは基台そのものの面積ではなく、基台の植毛部分の最外周に囲まれた部分の面積のことを示す。
また、前記基台1上の植毛穴4の配置パターンとして、基台1に複数配置された植毛穴4のうち、任意の1つの植毛穴4を基準として、最も距離が近い他の植毛穴4との距離、2番目に距離が近い他の植毛穴4との距離、3番目に距離が近い他の植毛穴4との距離が全て3〜7mmの範囲内に収められてなることが望ましい。
【0020】
前記用毛5の一例として本実施形態では、図3に示す如く両端にテーパー部5aを有する必要本数(5〜25本程度)のフィラメントをU字状に湾曲し、これらの湾曲部を基台1の植毛穴4に押し込み植毛してなる構成を採用することができる。この植毛した状態において基台1の表面から突出した分の用毛5の毛丈が前記の範囲とされている。
なお、植毛方法は、下記の条件で示された植毛パターンを満たせば特に制限はない。例えば、本出願人の発明である、特開2001−309818などの金属製の平線で基板の穴内に用毛の束を固定する方法や、特開平10−42956、特開平10−52317などの金属を使用しないで融着あるいは接着する方法が可能である。
【0021】
前記用毛5を構成するフィラメントは後述の合成樹脂からなり、その両端部にテーパー部5aが形成されている。これらのフィラメントはテーパー部5aの先端から1mm、3mm、5mm、8mmの各部位における用毛径がテーパーを形成していないフィラメントの中央部の径に対して25〜35%、55〜70%、80〜90%、90〜100%とされている。ここで使用者の頭皮の毛穴の清掃を考慮し、テーパー部5aの先端の直径を1〜100μmの範囲とするのが望ましい。
前記基台1に植毛された複数の用毛5を構成するフィラメントはそれらの先端部5aの各位置を±2mm程度以内の範囲内に揃えることで基台1からの突き出し長さに相当する毛丈を揃えて植毛されている。なお、±2mmの範囲を越える水準になるように、例えば毛丈の長いものと短いものの2水準で段差2mmを越えるようにフィラメントを植毛すると、長い毛丈のフィラメントは毛穴に届くが、短い毛丈のフィラメントは毛穴に届かないので、毛穴の洗浄効果が低下するおそれがある。
【0022】
本実施形態の用毛5を構成するフィラメントを構成する材料には特に制限はないが、一般的な樹脂材質であるポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ナイロン、ポリエステルなどの使用が適している。また、例えば、特開平11−253236に記載されているような美観向上などを目的に合成樹脂主体の素材に他成分を混合したものや、耐久性を向上させるために抗菌剤などを添加した用毛も使用することができる。
なお、金属製など硬い素材の場合、細くても強度を確保できるため、テーパー形状ではなく直毛状のものも可能となるが、使用時に折れた場合などを想定すると、切断面の形状が鋭利になってマッサージ時に肌を傷つけるため、安全性上好ましくない。
用毛5を構成するフィラメントをテーパー形状に加工する方法については制限はない。直毛形状のフィラメントを用い、薬品などの化学的な方法で樹脂を溶解して先端をテーパー状に加工することもできるし、直毛形状の用毛の先端周囲を機械力で研削することでテーパー状に加工することも可能である。
また、各用毛5を構成するフィラメントがそれぞれの先端部5aをテーパー形状としているので、頭皮上の毛髪に先端部5aの毛先が当たった際の弱い力であっても毛髪間の隙間を避けるように曲がって頭皮の毛穴に到達することができる。
なお、テーパー毛は毛先が細いため、強い力で洗浄すると 毛先が曲がって毛穴の汚れを落とすことが困難となる。概ね300g〜1000gの加重を手からブラシに加えて洗浄することが好ましい。
【0023】
一方、基台1の植毛穴の大きさや形状には特に制限はなく一穴当たり10〜50本の毛を植毛するのに必要な植毛穴の大きさであれば良い。また、植毛穴の形状は一般的には円形であるが、例えば特開2000−50955に示されているように、品質向上や製造効率の向上を目的として非円形状の植毛穴にすることも可能である。
植毛後の中間品は、通常、植毛後の基台に取っ手などを取り付け、包装することで製品となるが、例えば、特開2001−46149に示されるように、植毛後のブラシの品質を向上させるなどの目的で、植毛後の中間品を冷却・加熱処理するなど何らかの別の処置を施す方法も、本発明を損なわない範囲で可能である。
植毛機については、一般的にハブラシを製造するような機械を転用することで本発明の頭皮洗浄ブラシは製造することが可能であり、使用する製造装置の形態に特に制限はない。例えば特開2000−93233に記載の製造装置などを使用することができる。
【実施例】
【0024】
<頭皮洗浄ブラシの製造方法>
植毛部分の直径8cm、厚み0.7cmのポリプロピレン製の円形の基板(基台)に、直径約1.5mmの植毛穴を、毛束と毛束の間隔が全て4mmになるよう、図2のパターンのように配設した。
植毛穴数は総計216個であり、穴密度は約4.3個/cmである。混合樹脂としてPBT:PET=7:3を用いた用毛径190μmの原糸をカットし、薬品加工(加温した高濃度NaCL溶液中に浸漬)した後、両端をテーパー加工してテーパー用毛を得た。
毛先の径は30μmであった。この用毛を通常の平線式植毛機にて円形の基板面の植毛穴に1穴あたり21本植毛することにより、本発明の頭皮毛穴用洗浄ブラシを得た。
基板面から毛先までの長さである毛丈は、平均12mm±0.5mmの範囲内であった。
次に、比較例1の頭皮毛穴洗浄用ブラシとして、基板11の植毛穴14に用毛15からなる毛束16を植毛したブラシであって、毛束16と毛束16の間隔が全て2.0mmから成る図5、図6のパターンのブラシを作成した。この例のブラシでは、植毛穴の総数が916個あり、穴密度は約18個/cmである。用毛と植毛方法及び1穴あたりの植毛本数は、図2のパターンと同じである。
更に、比較例2の頭皮毛穴洗浄用ブラシとして、ナイロンを用いた用毛径150μm、先端径も150μmのテーパー用毛ではない直毛の用毛を、先の実施例と同じ平線式植毛機にて1穴当たり32本を先の実施例と同じ1.5mmの植毛穴に216個植毛した。
【0025】
<頭皮洗浄ブラシの使用方法>
以上のようにして得られた頭皮毛穴洗浄用ブラシの上に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが主界面活性剤であり、25℃で測定した粘度が20Pa・sのジェル状の透明外観の頭髪・地肌用シャンプー組成物を約10gのせ、濡れた頭髪と地肌を本ブラシで約3分間全体的に均一に動かして泡立てながら洗浄する作業を行った。その後は通常のシャンプー行動と同様に、お湯ですすいで、髪を乾燥させた。なお、被験者は髪の長さが耳の上に少しかかる程度で、禿などの状態は観察されない男性パネルを5名用いた。
【0026】
<洗浄効果の評価方法>
洗浄後、地肌を1cm×1cmの範囲において毛をはさみで刈り、毛穴の状態を観察しやすい状態にした。USBマイクロスコープM2(scalar社製)により、200倍に拡大して毛穴の状態を観察し、以下の評価基準で評価した。
○○:全体的に毛穴がすっきりと見える
○:汚れが残っている毛穴は全体の2割以下である。
△:2割〜半分の毛穴に汚れが残っている
×:半分以上の毛穴に汚れが認められる。
その結果、図2に示す本発明パターンの頭皮毛穴用洗浄ブラシでは、パネル5名とも○○であったが、図5に示す比較例1のパターンのブラシではパネル5名中3名が△であり、残り2名が×であり、比較例2のパターンのブラシでは、パネル5名中、1名が△であり、残り4名が×であった。
【0027】
<抜けた毛の除去のしやすさの評価方法>
洗浄後、泡のついた洗髪ブラシをシャワーですすいだ後、絡んだ毛の有無を観察し、絡んだ毛があった場合は、シャワーの流水で洗髪ブラシを全体的にすすぎ流して除去することで、評価を行った。
○○:洗髪後、絡んだ毛が認められなかった
○:洗髪後、絡んだ毛が認められたが、シャワーですすぐことで10秒以内に除去できた
×:洗髪後、絡んだ毛が認められ、かつシャワーですすいでも除去できなかった
その結果、図2に示す本発明パターンの頭皮毛穴洗浄用ブラシではパネル5名の内、3名は○○で2名は○であったが、図5に示す比較例のパターンの頭皮毛穴洗浄用ブラシでは5名とも×であった。また、図5に示す比較例パターンの頭皮毛穴洗浄用ブラシでは狭い毛束間に複雑に人毛が絡むため、人毛を手でつまんで除去することも困難であった。
【0028】
<毛髪の抜き取り易さ評価方法>
抜け毛を10本施した人頭大のかつらを図2のパターンの洗髪ブラシで3分間洗浄してすずぎ、絡んだ抜け毛の本数をカウントした。その結果を以下の表1に示す。試験は同じ条件で3回行った。
「表1」
試料No. ブラシに絡んだ毛の本数(本) 評価
1 0, 0, 0, ○
2 0, 0, 0, ○
3 1, 0, 1, △
4 2, 3, 1, ×
5 2, 2, 4, ×
なお、各試料の状態は以下の表2の通りである。
「表2」
試料No. 用毛径(中央部) 本数 占有率
1 190μm 21本 67%
2 190μm 16本 51%
3 190μm 13本 42%
4 190μm 11本 35%
5 190μm 9本 29%
なお、11本より植毛本数の少ない毛束を水に濡らした状態で観察すると、13本以上の植毛本数の毛束では認められないが、毛束が2〜3の小毛束に分かれており、この小毛束の隙間に毛髪が絡むと考えられる。従って植毛穴の断面積に対する占有率において42%以上、即ち、植毛穴の外部から観察できない状態の密度で植毛した場合に毛が絡み難い状態となることを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明に係る頭皮毛穴洗浄用ブラシの一実施形態を示す側面図。
【図2】図2は同ブラシの平面図。
【図3】図3は同ブラシに植毛される用毛のフィラメントの一例を示す側面図。
【図4】図4は同ブラシに植毛される用毛の拡大略図。
【図5】図5は比較例の頭皮毛穴洗浄用ブラシ植毛パターンの一例を示す平面図。
【図6】図6は同比較例のブラシの一例を示す側面図。
【符号の説明】
【0030】
A 頭皮毛穴洗浄用ブラシ、
1 基台、
4 植毛穴、
5 用毛、
5a テーパー部、
6 毛束、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端の形状がテーパー状で毛穴の直径より細い用毛を複数束ねた毛束を、基台上の植毛穴内部が外部から観察できない状態の密度で植毛した頭皮の毛穴洗浄用ブラシにおいて、複数の毛束の先端部が略一つの平面を構成しており、かつ、各毛束の先端部と隣の毛束の先端部との間に隙間があって前記複数の毛束の先端部が不連続な平面を構成していることを特徴とする頭皮毛穴洗浄用ブラシ。
【請求項2】
一端の直径が1〜100μmの樹脂製のテーパー状の用毛を、毛丈5〜30mmの長さになるよう基台の植毛穴に植毛した頭皮毛穴洗浄用ブラシであり、
植毛パターンとして、(A)一穴当たりの用毛の植毛数が10〜50本とされた条件と、(B)基板上の穴の配置パターンとして、毛束に隣接する毛束、あるいは突起物との間隔が2.5mmを越える条件と、(C)基板の穴密度が、基板の植毛面積1cm当たり2〜15個とされてなる条件を満足したことを特徴とする請求項1に記載の頭皮毛穴洗浄用ブラシ。
【請求項3】
前記基台上の植毛穴の配置パターンとして、複数配置された植毛穴のうち、任意の1つの植毛穴を基準として、最も距離が近い他の植毛穴との距離、2番目に距離が近い他の植毛穴との距離、3番目に距離が近い他の植毛穴との距離が全て3〜7mmの範囲内に収められてなることを特徴とする請求項2に記載の頭皮毛穴洗浄用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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