説明

頭部マッサージ機

【課題】どのような体格の被施療者であっても他人に気兼ねすることなく気軽に頭皮(頭部)のマッサージを行うことができる頭部マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明の頭部マッサージ機1は、被施療者Uの頭部を覆う頭部覆い体2に被施療者の頭部をマッサージするマッサージ部5を備えていることを特徴とするものである。頭部覆い体2は、帽子形状の外覆い体3と、当該外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を覆う第1の内覆い体41と、外覆い体3と第1の内覆い体41との間に設けられた第2の内覆い体42とを備えており、第1の内覆い体41と第2の内覆い体42との間にマッサージ部5が配備されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の頭部をマッサージする頭部マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者が頭に被ってその頭部のマッサージを行う頭部マッサージ機としては、例えば特許文献1に示すようなものが知られている。
特許文献1の頭部マッサージ機は、被施療者の頭部の周囲を取り囲むヘルメットのような支持部材を備えている。この支持部材の内側には被施療者の頭頂部や後頭部に対応した位置に当て具(カフ材)が設けられており、支持部材を空気圧の作用で頭部に押し付けることにより被施療者の頭頂部や後頭部に対するマッサージが可能となっている。
【特許文献1】特開2008−86529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の頭部マッサージ機は、ヘルメットのような支持部材を備えており、また支持部材を被施療者の頭部に押し付けるベルトやエアーバッグなどの部材を付帯していて、外観が非常に大掛かりで見栄えの悪いものになっている。それゆえ、被施療者が他人に気兼ねすることなく気軽に頭皮(頭部)のマッサージを行うことができず、被施療者に快適な環境で心地よいマッサージを提供することができないという問題があった。
【0004】
また、頭部マッサージ機を着用しようとする被施療者には体格が大きい者もいれば小さい者もいて、頭部のサイズも様々である。当然、被施療者の頭部のサイズが異なればマッサージ部(当て具)の位置がずれてしまうため、被施療者によってはマッサージして欲しい位置に対して確実なマッサージができないという問題もあった。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑みて為されたものであって、どのような体格の被施療者であっても他人に気兼ねすることなく気軽に頭皮(頭部)のマッサージを行うことができる頭部マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る頭部マッサージ機は、被施療者の頭部を覆う頭部覆い体に当該被施療者の頭部をマッサージするマッサージ部を備えていることを特徴とする。
好ましくは、前記頭部覆い体は、帽子形状の外覆い体と、当該外覆い体の内側に配備されて被施療者の頭部を覆う内覆い体とを備えており、前記外覆い体と内覆い体との間に前記マッサージ部が配備されているとよい。
【0006】
このように頭部覆い体、特に帽子形状の外覆い体の内側に配備された内覆い体にマッサージ部を設ければ、マッサージ部が露出状態でなくなり、他人に気兼ねすることなく気軽に頭皮(頭部)のマッサージを行うことができる。また、マッサージ部が設けられた内覆い体を帽子形状の外覆い体で覆えば、内覆い体が被施療者の頭部にぴったりとフィットするため、どのような体格の被施療者であっても頭部を確実にマッサージをすることができる。
【0007】
好ましくは、前記マッサージ部が、前記外覆い体と内覆い体のいずれか一方に取り付けられているとよい。
好ましくは、前記被施療者の頭部の形状に合わせて折れ曲がり可能なベルト部材を備えると共に、前記ベルト部材に沿ってマッサージ部が取り付けられていて、前記マッサージ部が取り付けられたベルト部材の端部が、前記外覆い体の縁部と内覆い体の縁部とで挟み込まれて固定されているとよい。
【0008】
好ましくは、前記頭部覆い体は、帽子形状の外覆い体と、当該外覆い体の内側に配備されて被施療者の頭部を覆う第1の内覆い体と、前記外覆い体と第1の内覆い体との間に設けられた第2の内覆い体と、を備えており、前記第1の内覆い体と第2の内覆い体との間、又は第2の内覆い体と外覆い体との間に前記マッサージ部が配備されているとよい。
好ましくは、前記外覆い体、第1の内覆い体、第2の内覆い体のいずれかにマッサージ部が取り付けられているとよい。
【0009】
好ましくは、前記被施療者の頭部の形状に合わせて折れ曲がり可能なベルト部材を備えると共に、前記ベルト部材に沿ってマッサージ部が取り付けられていて、前記マッサージ部が取り付けられたベルト部材の端部が、前記第1の内覆い体の縁部と第2の内覆い体の縁部とで挟み込まれて固定されているとよい。
好ましくは、前記マッサージ部は、磁気を発生可能なソレノイドと、当該ソレノイドで発生する磁気によって出退するマッサージ体とを有しているとよい。
【0010】
このようなソレノイド式(電磁式)のマッサージ機構は軽量でありながら快適なマッサージ効果を発揮できるため、頭部マッサージ機に特に好ましく用いることができる。
好ましくは、前記マッサージ部は、当該マッサージ部が発生する打撃力を調整可能とする打撃力調整手段を備えるとよい。
好ましくは、前記打撃力調整手段は、マッサージ体の突出方向前方に配備されたクッション部材であるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明にかかる頭部マッサージ機によれば、どのような体格の被施療者であっても他人に気兼ねすることなく気軽に頭皮(頭部)のマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態の頭部マッサージ機の使用態様を示す図である。(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
【図2】第1実施形態の頭部マッサージ機において外覆い体を取り除いた図である。
【図3】第1実施形態の頭部マッサージ機を底面側から見た図である。
【図4】図3のA−A線断面図(マッサージ部の断面図)である。
【図5】第2実施形態の頭部マッサージ機(内覆い体)の側面図である。
【図6】第2実施形態の頭部マッサージ機を底面側から見た図である。
【図7】その他の実施形態の図である。
【図8】第3実施形態の頭部マッサージ機を示した図である。
【図9】第4実施形態の頭部マッサージ機を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明にかかる第1実施形態の頭部マッサージ機1を図に基づいて説明する。
図1に示すように、第1実施形態の頭部マッサージ機1は、被施療者U(被マッサージ者)の頭部を覆う頭部覆い体2と、この頭部覆い体2に外部から電力を供給する電源部(図示略)とを備えている。この電源部は、100〜240Vの外部電源を12V程度の電圧に下げて後述するマッサージ部5に供給できるようになっている。また、この頭部覆い体2は、帽子形状の外覆い体3と、外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を覆う内覆い体4とを備えていて、この内覆い体4には被施療者Uの頭部をマッサージするマッサージ部5がさらに設けられている。頭部マッサージ機1では、マッサージ部5に電源部から電力を供給してマッサージ部5を作動させることにより被施療者Uの頭部のマッサージが可能となる。
【0014】
以下、頭部マッサージ機1を着用した被施療者Uから見た前後方向を頭部マッサージ機1を説明する際の前後方向と呼び、被施療者Uから見た左右方向を頭部マッサージ機1を説明する際の左右方向と呼ぶ。また、頭部マッサージ機1を着用した被施療者Uから見た上下方向を頭部マッサージ機1を説明する際の上下方向と呼ぶ。
図2に示すように、頭部覆い体2は、被施療者Uがその頭部に着用するものであって、被施療者Uの頭部のすぐ外側に配備される内覆い体4と、この内覆い体4を外側から覆う外覆い体3とを備えている。
【0015】
図2及び図3に示すように、外覆い体3は、布などを縫い合わせて上方に向かって凸状の略半球状に形成されており、その内側に被施療者Uの頭部を収容可能となっている。外覆い体3は、この外覆い体3を見た第三者に「帽子」を連想させるような帽子形状の外観を備えており、一見しても第三者に被施療者Uが頭部のマッサージを受けていると感じさせないような配慮がされている。
【0016】
外覆い体3は、被施療者Uの頭部との間にある程度の隙間を許容しつつ被施療者Uの頭部をゆったり覆うことができるように、被施療者Uの頭部よりやや大きめのサイズに形成されている。このように外覆い体3を被施療者Uの頭部よりやや大きめのサイズに形成しておけば、被施療者Uの頭部との間に内覆い体4が配備可能となり、この内覆い体4とそれに取り付けられたマッサージ部5とを両方とも外覆い体3で覆い隠すことが可能となる。
【0017】
図2及び図3に示すように、内覆い体4は、外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を覆う部材である。内覆い体4は、折れ曲がり可能な材料から形成されたベルト部材6と、ベルト部材6に沿って取り付けられたマッサージ部5とを備えている。
ベルト部材6は、布やゴムなどの可撓性材料を用いて帯状に形成されており、長手方向及び/又は幅方向に折り曲げ自在となっている。このような折り曲げ自在なベルト部材6を設けることにより、内覆い体4は被施療者Uの頭部の形状に合わせて変形して被施療者Uの頭部にぴったりフィットできるようになっている。
【0018】
ベルト部材6は、第1実施形態の内覆い体4では2本設けられており、それぞれの長手方向の中間で互いに直交状(十字状)に重ね合わせられている。そして、それぞれのベルト部材6の両端側及び両ベルト部材6の交差部にはマッサージ部5がそれぞれ設けられている。
本発明の頭部マッサージ機1は複数のマッサージ部5を有しており、第1実施形態の頭部マッサージ機1にも5つのマッサージ部5が配備されている。これらのマッサージ部5には、ベルト部材6の交差部に配備される頭頂マッサージ部5a、この頭頂マッサージ部5aより前側に配備される前頭マッサージ部5b、頭頂マッサージ部5aより後側に配備される後頭マッサージ部5c、頭頂マッサージ部5aの左側に配備される左側頭マッサージ部5d、及び頭頂マッサージ部5aの右側に配備される右側頭マッサージ部5eがある。なお、マッサージ部5の配備位置は、これに限定されず、所望とされる施術部位に対応するように配置するとよい。
【0019】
これらのマッサージ部5a〜5eは、いずれも電磁力を用いてマッサージ体7をソレノイド8から出し入れすることでマッサージを行う電磁式を採用している。各マッサージ部5の間には、後頭マッサージ部5cから頭頂マッサージ部5aを通って前頭マッサージ部5b、左側頭マッサージ部5d及び右側頭マッサージ部5eまで伸びる配線が設けられており、電源部から供給された電流を用いて各マッサージ部5a〜5eにおいてマッサージできるようになっている。
【0020】
図4に示すように、マッサージ部5は、中央が中空部となっているソレノイド8(導線が巻回状態となっている励磁コイル)と、このソレノイド8の中空部に同軸状に挿入され且つ中空部から出入可能となっているマッサージ体7(ピストン)とを有している。また、ソレノイド8の内覆い体4側(被被施療者U側)の表面には、マッサージ体7の先端部に接するように設けられたスプリング9(帯状のスプリング乃至はゴムベルト)が取り付けられている。
【0021】
図4(a)のマッサージ部5では、このマッサージ部5のソレノイド8に電流を流されており、ソレノイド8に生起した電磁力によりマッサージ体7が中空部に収まった位置から、内覆い体4側(図中での下側)に配備されたスプリング9を引き伸ばすような形で、ソレノイド8から飛び出す方向に動く。ソレノイド8から飛び出たマッサージ体7はスプリング9の弾性力により押し返されるが、ソレノイド8に電流を流している間は押し返し力に抗ってマッサージ体7は飛び出た状態のままとなる。
【0022】
ところが、図4(b)に示すように、ソレノイド8の電流を止めると、マッサージ体7に働く力はスプリング9による押し返し力だけとなり、マッサージ体7がソレノイド8の中空部内に戻る方向に動く。
つまり、マッサージ部5では、電流がソレノイド8に供給されるとマッサージ体7の先端側の一部がソレノイド8の中空部から突出し、電流が遮断されるとマッサージ体7はスプリング9の弾性力によりソレノイド8の中央にある中空部に戻る。それゆえ、ソレノイド8にパルス電流のように電流のON/OFFが繰り返される電流を供給すれば、マッサージ体7が出退を繰り返して頭皮(頭部)に打撃マッサージ(叩きマッサージ)を加えることが可能になる。
【0023】
上記の如く、マッサージ部5は、マッサージ体7の突出はソレノイド8の電磁力で行われ、マッサージ体7の退行はソレノイド8の前面に配備されたスプリング9(帯状のゴムベルト)によるため、マッサージ部5は無重力下でも問題なく作動する。また、左右の側頭マッサージ部5d、5eのように上下方向に向かって切り立った状態にある患部に対しても確実にマッサージすることが可能となる。
【0024】
なお、ソレノイド8の電流を止め場合、マッサージ体7は、患部への強力な打撃力の反作用力によりソレノイド8の中空部内に戻るように動く。それ故、ソレノイド8の前面に設けられたスプリング9が存在しなくとも、マッサージ体7が出退の繰り返し運動を実現することは可能であり、その点では、スプリング9は必須構成要件ではない。
このような電磁式(ソレノイド式)のマッサージ部5は、電動モータなどを用いた電動式マッサージ機構に比べて軽量であるため、被施療者Uの頭部に長時間に亘って装着しても被施療者Uに余計な疲労を与えにくい。また、エアバッグやエアポンプなどが必要なエアバッグ式マッサージ機構に比べて頭皮に対する強いマッサージ効果を発揮できる。それゆえ、電磁式のマッサージ機構は、頭部マッサージ機1に特に好ましく用いることができる。
【0025】
上述した頭部マッサージ機1では、マッサージ部5が設けられた内覆い体4が帽子形状の外覆い体3に覆われていてマッサージ部5が外部から見えることがない。そのため、本発明の頭部マッサージ機1では、被施療者Uが他人に気兼ねすることなく頭皮(頭部)のマッサージを手軽に行え、快適な環境で心地よいマッサージを受けることができる。
また、マッサージ部5がヘルメットなどの支持部材に固定されたマッサージ機では、マッサージ部5の位置が施療して欲しい位置とずれている場合、マッサージ位置の調整が非常に困難になる。しかし、本発明の頭部マッサージ機1では、内覆い体4と外覆い体3とが別体になっていて、外覆い体3に対して内覆い体4だけをずらすことができる。そのため、マッサージ部5の位置を施療して欲しい位置に確実に位置合わせすることができ、頭部に対するより効果的なマッサージが可能となる。
【0026】
さらに、マッサージ部5が設けられた内覆い体4は、被施療者Uの頭部の形状に合わせて自在に伸縮してその形状を変化させることができる。それゆえ、体格が異なる被施療者Uに対しても、その頭部のサイズに合わせて内覆い体4が伸縮してマッサージ部5a〜5eを被施療者Uの頭部にぴったりとフィットさせることができ、頭部のさらに効果的なマッサージが可能となる。
[第2実施形態]
第2実施形態の頭部マッサージ機1は、内覆い体4として、被施療者Uの頭部を被覆可能な半球状に形成すると共に頭部の形状に合わせて伸縮可能なインナーキャップ10を採用している。なお、外覆い体3及びマッサージ部5については、第2実施形態の頭部マッサージ機は第1実施形態の頭部マッサージ機と同じである。
【0027】
インナーキャップ10は、ちょうどスイミングキャップのように下方に向かって開口する半球状に形成されており、被施療者Uの頭部を被覆可能となっている。インナーキャップ10は、伸縮性のある繊維から形成された布などを縫い合わせて形成されており、頭部のサイズに合わせて自在に伸縮できるようになっている。それゆえ、例えば体格が異なる被施療者Uが着用した場合にも、その頭部のサイズの変化に合わせて自在に伸縮することができ、さまざまな体格の被施療者Uの着用を可能としている。そして、第2実施形態の内覆い体4では、このインナーキャップ10の表面にマッサージ部5が複数取り付けられている。
【0028】
マッサージ部5は、インナーキャップ10の外表面における頭頂、前頭、後頭、左右側頭に対応した位置に取り付けられている。これらのマッサージ部5が設けられる位置は、第1実施形態における頭頂マッサージ部5a、前頭マッサージ部5b、後頭マッサージ部5c、左右の側頭マッサージ部5と同じ位置とされている。これらの各マッサージ部5間には電源部から電流を供給する配線が設けられている。この配線は、第2実施形態の頭部マッサージ機1では、後頭マッサージ部5cから頭頂マッサージ部5aを通って前頭マッサージ部5bに向かうものと、後頭マッサージ部5cから左右の側頭マッサージ部5に向かうものとの3つで構成されている。
【0029】
第2実施形態の頭部マッサージ機1では、内覆い体4に被施療者Uの頭部の形状に合わせて伸縮するインナーキャップ10を用いており、第1実施形態と同様に内覆い体4は外覆い体3と別体に設けられている。それゆえ、第1実施形態と同様に、マッサージ部5の位置を施療して欲しい位置に確実に位置合わせすることができ、さまざまな体格の被施療者Uの着用も可能となっている。
【0030】
また、第2実施形態の頭部マッサージ機1では、内覆い体4自体がマッサージ部5を被施療者の頭部に強く押し付けるため頭皮に対して効果的なマッサージが可能となり、外覆い体3にニット帽のように柔らかい材料から形成された帽子を用いることが可能となる。それゆえ、外覆い体3の設計(デザイン)の幅が広がってよりファッショナブルな頭部マッサージ機を提供することが可能となる。
【0031】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
上記実施形態では外覆い体3の形状が「鍔ありニット帽」とされた例を挙げて、本発明の頭部マッサージ機1を説明した。しかし、本発明のの頭部マッサージ機1に設けられる外覆い体3の形状は「鍔ありニット帽」に限定されるものではない。例えば、外覆い体3の形状を、図7(a)に示す「鍔なしのニット帽」または図7(b)に示す「鍔なし帽子」とすることもできるし、図示はしていないが「ハンチング帽(鳥打ち帽)」、「ベレー帽」、「野球帽」、「ロシア帽」、「麦わら帽」などのさまざまな帽子とすることもできる。
【0032】
また、上記実施形態ではマッサージ部5が被施療者Uの頭部における頭頂部、前頭部、後頭部、左右側頭部に対応した位置に5箇所に亘って設けられた例を挙げて、本発明の頭部マッサージ機1を説明した。しかし、本発明の頭部マッサージ機1に設けられるマッサージ部5の設置位置はこれらの位置に限定されるものではないし、設置数も5箇所に限定されるものではない。例えば、これら以外の部分で頭皮マッサージの効果が得られる位置にマッサージ部5を新たに設けたり、特にマッサージの要望が大きな位置にマッサージ部5を追加で設けたりすることも可能である。
【0033】
さらに、上記実施形態では100〜240Vの外部電源を12V程度の電圧に下げてマッサージ部5に供給する電源部を備えた例を挙げて、本発明の頭部マッサージ機1を説明した。しかし、本発明の頭部マッサージ機1に用いられる電源部は外部電源を用いたものに限定されるものではない。例えば、乾電池のように取り替え可能な電源を電源部としても良いし、搭載された充電式のバッテリを電源部としても良い。
【0034】
なお、上記実施形態では説明を省略したが、本発明の頭部マッサージ機1においては、複数のマッサージ部5を動作させる際に、その一部だけを動作させたり、各マッサージ部5のマッサージ強度、マッサージ間隔(リズム)、マッサージ時間を変更したりできるようになっている。
また、外覆い体3が柔らかい布などで形成されている場合には、外覆い体3と内覆い体4との間にカラー部材を配備して頭部マッサージ機1を帽子形状に保持するようにしてもよい。
【0035】
なお、マッサージ部5は、頭部をマッサージするマッサージ付与手段としてだけでなく、単に頭部や頭皮に刺激を付与する刺激付与手段として設けられていても良い。また、このような刺激付与手段のマッサージ部5から頭皮に加えられる刺激は上述した「たたき(打撃)」に限定されない。例えば、刺激付与手段のマッサージ部5から頭皮に振動(バイブレーション)を加えるようにしても良いし、頭皮に触れる又は頭皮をなでるような弱いタッチ感覚の刺激を加えるようにしても良い。
[第3実施形態]
次に、本発明にかかる第3実施形態の頭部マッサージ機1を説明する。
【0036】
図8に示すように、第3実施形態の頭部マッサージ機1は、帽子形状の外覆い体3と、外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を覆う内覆い体4とを備えており、外覆い体3と内覆い体4との間にマッサージ部5が配備されている。
詳しくは、被施療者Uの頭部の形状に合わせて折れ曲がり可能なベルト部材6を備え、このベルト部材6に沿ってマッサージ部5が取り付けられている。具体的には、第1実施形態と略同様に、折れ曲がり可能な材料(平ゴムなど)から形成されたベルト部材6が十字状に縫いつけられ、ベルト部材6に沿ってマッサージ部5が複数取り付けられている。
【0037】
マッサージ部5が取り付けられたベルト部材6は、その端部が外覆い体3の縁部と内覆い体4の縁部とで挟み込まれた上で重なった状態で縫製される。縫いつけるのではなく接着剤による固定でもよい。このようにすることで、外覆い体3と内覆い体4とが一体となり頭部覆い体2が形成されると共に、外覆い体3と内覆い体4との間にマッサージ部5が配備されることとなる。言い換えれば、ベルト部材6は、外覆い体3と内覆い体4とのどちらにも固定されていることになる。
【0038】
このような構成の頭部マッサージ機1は、マッサージ部5が帽子形状の外覆い体3に覆われていてマッサージ部5が外部から見えることがない。そのため、本発明の頭部マッサージ機1では、被施療者Uが他人に気兼ねすることなく頭皮(頭部)のマッサージを手軽に行え、快適な環境で心地よいマッサージを受けることができる。
ところで、マッサージ部5は、ベルト部材6を用いず、直接マッサージ部5を外覆い体3に取り付けるようにしてもよい。
【0039】
なお、他の構成や奏する作用効果は、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
[第4実施形態]
次に、本発明にかかる第4実施形態の頭部マッサージ機1を説明する。
図9に示すように、第4実施形態の頭部マッサージ機1は、帽子形状の外覆い体3と、外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を覆う第1内覆い体41と、外覆い体3と第1内覆い体41との間に設けられた第2内覆い体42とを備えている。その上で、第1内覆い体41と第2内覆い体42との間、又は第2内覆い体42と外覆い体3との間にマッサージ部5が配備されている。
【0040】
具体的には、外覆い体3は、布などを縫い合わせて上方に向かって凸状の略半球状に形成されており、その内側に被施療者Uの頭部を収容可能となっている。外覆い体3は、この外覆い体3を見た第三者に「帽子」を連想させるような帽子形状の外観を備えている。外覆い体3は、被施療者Uの頭部との間にある程度の隙間を許容しつつ被施療者Uの頭部をゆったり覆うことができるように、被施療者Uの頭部よりやや大きめのサイズに形成されている。
【0041】
第1内覆い体41は、外覆い体3の内側に配備されて被施療者Uの頭部を直接覆う部材である。第1内覆い体41は、伸縮性のある繊維から形成された布などを縫い合わせて形成されており、頭部のサイズに合わせて伸縮できるようになっている。
第1内覆い体41を覆うように配備される第2内覆い体42は、第1内覆い体41と略同様の形状を有していて布などを縫い合わせて形成されている。
【0042】
外覆い体3の内側に沿うように第2内覆い体42を貼り合わせ、その後、第2内覆い体42の内側に沿うように第1内覆い体41を貼り合わせて、各覆い体3,41,42の縁辺部を縫製することで頭部覆い体2が形成される(頭部覆い体2の形成工程)。つまり、本実施形態の頭部マッサージ機1は、外覆い体3、第2内覆い体42、第1内覆い体41の3枚構造(3層構造)となっている。
【0043】
一方で、本発明の頭部マッサージ機1は複数のマッサージ部5を有しており、このマッサージ部5は、ベルト部材6に取り付けられている。
ベルト部材6は、2本の平ゴムが組み合わされて構成されており、それぞれの平ゴムがその長手方向の中途部で互いに直交状(十字型)に重ね合わせられている。各ベルト部材6の端側及び交差した部分の近傍にはマッサージ部5がそれぞれ設けられている。
【0044】
マッサージ部5は、第1実施形態と略同様の構成を有していている(図4参照)。すなわち、マッサージ部5は、中央が中空部となっているソレノイド8と、このソレノイド8の中空部に同軸状に挿入され且つ中空部から出入可能となっているマッサージ体7とを有している。このマッサージ部5は、布などで形成された立方体形状の袋体11に納められた上で、この袋体11とベルト部材6とを縫いつけ、当該ベルト部材6に取り付けられるようになっている。
【0045】
袋体11に納められた状態において、マッサージ体7の突出方向前方8(被施療者Uの頭部側)には、布やスポンジなどで形成されたクッション部材12が配備されている。このクッション部材12により、マッサージ部5が発生する打撃力を弱め、被施療者Uにとって最適なマッサージ力を付与することが可能となる。言い換えれば、このクッション部材12は、マッサージ部5が発生する打撃力を調整可能とする打撃力調整手段である。
【0046】
なお、図4に示すマッサージ体7の先端部に接するように設けられたスプリング9(後端部に設けられたスプリングでも同様)も、打撃力調整手段と考えることが可能である。また、ソレノイド8に流れる電流を弱くするようにコントロールする制御部を設けている場合、この制御部が打撃力調整手段となる。
上述したように、マッサージ部5が取り付けられたベルト部材6は、ベルト部材6と相似形(十字型)で有りながら若干形状の大きい、内部空洞の収納袋体13の内部に納められる。収納袋体13の側部には、ベルト部材6を出し入れ可能とする開口14と、この開口14を閉じるファスナー15が設けられている。
【0047】
前述した頭部覆い体2の形成工程において、ベルト部材6が収められた収納袋体13は、その端部(4つの端部)が第1内覆い体41の縁部と第2内覆い体42の縁部とで挟み込まれた上で重なった状態で縫製される。このようにすることで、マッサージ部5は、第1内覆い体41と第2内覆い体42との間の空間を移動自在となり、被施療者Uは、自分の所望とする頭部の部位にマッサージ部5を移動でき、快適な環境で心地よいマッサージを受けることができる。
【0048】
なお、収納袋体13の端部のみでなく全面を、第1内覆い体41や第2内覆い体42に縫いつけるようにしてもよい。ベルト部材6を収納袋体13に入れることなく、ベルト部材6自体の端部を第2内覆い体42の縁部と外覆い体3の縁部とで挟み込んだ状態で一体縫製してもよい。ベルト部材6自体を第1内覆い体41や第2内覆い体42に縫いつけるようにしてもよい。ベルト部材6を用いずに、マッサージ部5自体を第1内覆い体41や第2内覆い体42に取り付けるようにしてもよい。
【0049】
上記したベルト部材6の配備手法を採用することで、外覆い体3の外面側に取り付けの際の縫い形が生じたりせず、頭部マッサージ機1の帽子形状を綺麗な状態で維持できる。また、ベルト部材6すなわちマッサージ部5は、第1内覆い体41と第2内覆い体42との間の空間を移動自在となっている故、被施療者Uは、自分の所望とする頭部の部位にマッサージ部5を移動でき、快適な環境で心地よいマッサージを受けることができる。
【0050】
以上述べた第4実施形態の頭部マッサージ機1であっても、マッサージ部5が帽子形状の外覆い体3に覆われていてマッサージ部5が外部から見えることがない。そのため、本発明の頭部マッサージ機1では、被施療者Uが他人に気兼ねすることなく頭皮(頭部)のマッサージを手軽に行え、快適な環境で心地よいマッサージを受けることができる。
ところで、マッサージ部5は、ベルト部材6を用いず、直接マッサージ部5を第2内覆い体42(内面側でも外面側でも可)などに取り付けるようにしてもよい。
【0051】
なお、他の構成や奏する作用効果は、第1実施形態と略同様であるため、説明を省略する。
ところで、第3実施形態において、ベルト部材6の端部ではなく、ベルト部材6全体を内覆い体4や外覆い体3に縫いつけたり接着したりしてもよい。第4実施形態において、ベルト部材6全体を第1内覆い体41、第2内覆い体42、外覆い体3の少なくとも一つ以上に縫いつけたり接着したりしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 頭部マッサージ機
2 頭部覆い体
3 外覆い体
4 内覆い体
5 マッサージ部
5a 頭頂マッサージ部
5b 前頭マッサージ部
5c 後頭マッサージ部
5d 左側頭マッサージ部
5e 右側頭マッサージ部
6 ベルト部材
7 マッサージ体
8 ソレノイド
9 スプリング
10 インナーキャップ
11 袋体
12 クッション部材(打撃力調整手段)
13 収納袋体
14 開口
15 ファスナー
41 第1内覆い体
42 第2内覆い体
U 被施療者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の頭部を覆う頭部覆い体に当該被施療者の頭部をマッサージするマッサージ部を備えていることを特徴とする頭部マッサージ機。
【請求項2】
前記頭部覆い体は、帽子形状の外覆い体と、当該外覆い体の内側に配備されて被施療者の頭部を覆う内覆い体とを備えており、前記外覆い体と内覆い体との間にマッサージ部が配備されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部マッサージ機。
【請求項3】
前記マッサージ部が、前記外覆い体と内覆い体のいずれか一方に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の頭部マッサージ機。
【請求項4】
前記被施療者の頭部の形状に合わせて折れ曲がり可能なベルト部材を備えると共に、前記ベルト部材に沿ってマッサージ部が取り付けられていて、
前記マッサージ部が取り付けられたベルト部材の端部が、前記外覆い体の縁部と内覆い体の縁部とで挟み込まれて固定されていることを特徴とする請求項2に記載の頭部マッサージ機。
【請求項5】
前記頭部覆い体は、帽子形状の外覆い体と、当該外覆い体の内側に配備されて被施療者の頭部を覆う第1の内覆い体と、前記外覆い体と第1の内覆い体との間に設けられた第2の内覆い体と、を備えており、
前記第1の内覆い体と第2の内覆い体との間、又は第2の内覆い体と外覆い体との間にマッサージ部が配備されていることを特徴とする請求項1に記載の頭部マッサージ機。
【請求項6】
前記外覆い体、第1の内覆い体、第2の内覆い体のいずれかにマッサージ部が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の頭部マッサージ機。
【請求項7】
前記被施療者の頭部の形状に合わせて折れ曲がり可能なベルト部材を備えると共に、前記ベルト部材に沿ってマッサージ部が取り付けられていて、
前記マッサージ部が取り付けられたベルト部材の端部が、前記第1の内覆い体の縁部と第2の内覆い体の縁部とで挟み込まれて固定されていることを特徴とする請求項5に記載の頭部マッサージ機。
【請求項8】
前記マッサージ部は、磁気を発生可能なソレノイドと、当該ソレノイドで発生する磁気によって出退するマッサージ体とを有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の頭部マッサージ機。
【請求項9】
前記マッサージ部は、当該マッサージ部が発生する打撃力を調整可能とする打撃力調整手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の頭部マッサージ機。
【請求項10】
前記打撃力調整手段は、マッサージ体の突出方向前方に配備されたクッション部材であることを特徴とする請求項9に記載の頭部マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−5819(P2012−5819A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19854(P2011−19854)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(592009214)大東電機工業株式会社 (106)
【出願人】(510141936)大東傲勝保健器(蘇州)有限公司 (1)
【氏名又は名称原語表記】DAITO−OSIM HEALTHCARE APPLIANCES(SUZHOU)CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】China−Singapore,Suzhou Industrial Park,No.45 Baiyu Road,Suzuhou Jiangsu 215021 China
【Fターム(参考)】