説明

頭部用装着具

【課題】汗取りのほか必要に応じて頭部や頸部の冷却や保温を行うことができ、かつ、被り物の装着感を向上させることができる頭部用装着具を提供する。
【解決手段】頭部用装着具10は、略帯状の本体12に、保冷剤18A及び18Bを収納可能な収納部14及び16が形成された構成となっており、吸湿性に優れた布地により形成されている。前記頭部用装着具10は、端部12Aが後頭部側を向き、端部12Bが正面側を向くようにヘルメット100の内側に置き、前記端部12Bを、環状帯正面側106Aと帽体102の間に通して保冷剤18Bが装着者の額に当たるように巻き込むことによって、ヘルメット100に取り付けられる。ヘルメット100を被ると、装着者の頭頂部及び額を保冷剤18A及び18Bにより冷やすとともに、本体12により汗を吸収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルメットなどの被り物の内側に取り付けられる頭部用装着具に関し、更に具体的には、前記被り物の装着感の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や建築現場などではヘルメットの装着が義務付けられている。ヘルメットは、頭部を保護するために、硬質プラスチックや金属などで構成されており、通気性に欠けるのが一般的である。このため、夏場の作業の際には、頭部が蒸れたり汗が滴り落ちたりして作業に集中できなくなるのを防ぐために、頭部とヘルメットの間にタオルなどを挟み込むことがある。しかしながら、タオルが適切な大きさでないと視界を遮ることになったり、ヘルメットを装着しにくくなったりするという不都合がある。また、タオルを挟むだけでは、汗を吸収することはできても、積極的に頭部や頸部を冷やすことまではできない。
【0003】
一方、ヘルメット装着時に頭部を冷却するための技術としては、以下の特許文献1に記載の保冷マットつきヘルメットや、特許文献2に記載の汗とり鉢巻がある。まず、特許文献1の保冷マットつきヘルメットは、ヘルメットの内側に保冷マットを着脱可能に内装したものであって、ヘルメット着用者の頭部を冷却することが可能となっている。また、特許文献2に記載の汗とり鉢巻は、吸水性のよい布地で帯状に形成された鉢巻本体に、保冷剤を収納するためのポケットが設けられており、頭部の冷却と汗取りを同時に行う構成となっている。
【特許文献1】特開2000−96333公報
【特許文献2】実用新案登録第3099822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような背景技術には次のような不都合がある。まず、特許文献1に記載の保冷マットつきヘルメットでは、主に頭頂部の冷却を行うこととなっており、額や頸部を冷却することはできず、汗取りについても考慮されていない。また、特許文献2に記載の汗とり鉢巻では、冷却と汗取りを同時に行うことができるものの、冷却が可能なのは頭囲のみであり、頭頂部を冷やすことはできない。また、ヘルメットと鉢巻を別々に装着しなければならないため、装着に手間がかかるという不都合もある。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、汗取りのほか必要に応じて頭部や頸部の冷却又は保温を行うことができ、かつ、被り物の快適な装着感が得られる頭部用装着具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、頭囲に沿う環状帯を内側に備えた被り物に取り付けられる頭部用装着具であって、前記被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能な帯状体に形成されるとともに、少なくとも一方の端部が、前記環状帯と被り物の隙間に挿通可能であることを特徴とする。
【0007】
他の発明は、頭囲に沿う環状帯を内側に備えた被り物に取り付けられる頭部用装着具であって、第1の帯状体の略中央に、第2の帯状体が略直交した略T字状ないし略十字状に形成されており、前記第1及び第2の帯状体の少なくとも一つの端部が、前記環状帯と被り物の隙間に挿通可能であるとともに、前記被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能な略帯状,略T字状,略十字状のいずれかに頭部用装着具を形成し、これらの端部を前記被り物とその内側に設けられた環状帯の隙間に挿通可能とした。そして、頭部や頸部の汗取り又は保温を行うとともに、必要に応じて保冷剤を収納して冷却することとしたので、被り物の装着感を向上させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例の構造を示す斜視図,図1(B)はヘルメットへの取り付け状態を示す図である。図1(C)〜(E)は変形例を示す図である。図1(A)及び(B)に示すように、本実施例の頭部用装着具10は、全体が装着者の頭頂部をほぼ被覆可能な幅の略帯状に形成されており、該略帯状の本体12の略中央部付近には、保冷剤18Aを収納するための収納部14が設けられている。また、端部12Bには、他の保冷剤18Bを収納するための収納部16が形成されている。このような本体12を構成する素材としては、例えば、マイクロファイバーなどの吸湿性に優れた布地が用いられる。一方、前記頭部用装着具10を取り付けるヘルメット100は、図1(B)に示すように、帽体102の内側に、内装体104と、頭囲に概略沿う環状帯106のほか、顎紐108を備えている。前記環状帯106の端部106B及び106Cは、図示しない調節具によって、装着者の頭囲に応じて長さ調節が可能となっている。
【0011】
次に、図1(B)を参照して、本実施例の装着例の一例を説明する。まず、頭部用装着具10の収納部14に保冷剤18Aを収納する。そして、一方の端部12B(収納部16)を、環状帯106の正面側106Aと帽体102の間に通したのち、収納部16に保冷剤18Bを入れて、端部12Bを環状帯106の内側に巻き込む。他方の端部12Aは、環状帯106の端部106B(106C)と帽体102の隙間に通すようにしてもよいし、通さないままとしてもよい。このようにして頭部用装着具10を取り付けたヘルメット100を被ると、保冷剤18Aにより頭頂部が冷やされ、保冷剤18Bにより額が冷やされる。汗をかいた場合は、本体12により汗が吸収される。また、必要に応じて、端部12A側を図1(A)及び(B)に点線で示すように長く形成して頸部に垂らすことにより、頸部の日焼けを防止するようにしてもよい。更に、前記端部12A自体を長くするほか、図1(B)に示す延設片20を、図に点線で示す両面テープ21などによって、本体12の端部12Aに着脱可能に接続し、必要に応じて使用するようにしてもよい。
【0012】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)略帯状の本体12の一方の端部12Bを、ヘルメット100の帽体102と環状帯106の間に巻き込むこととしたので、簡単に装着できる。
(2)吸湿性の高い布地を用いることとしたので、汗を吸収してヘルメット100の装着感を高めることができる。
(3)収納部14及び16に、必要に応じて保冷剤18A及び18Bを収納することとしたので、積極的に頭部を冷却することができ、熱中症などを防止して夏場などの作業を快適に行うことができる。また、ヘルメット100を被ることにより保冷剤18Aや18Bを押さえることができるため、安定性がよく作業に集中することができる。
(4)後頭部側の端部12Aを必要に応じて長く形成する,あるいは、延設片20を取り付けて長くすることとしたので、頸部の日焼けを防止することができる。
(5)汗を多量にかいたときは、本体12を絞ることにより繰り返し使用することができる。
(6)使用しないときは折り畳んで作業服のポケットなどに入れることができるため、携帯性に優れている。
【0013】
次に、図1(C)〜(E)を参照して、本実施例の変形例を説明する。まず、図1(C)に示す頭部用装着具10Aは、収納部14Aが保冷剤18Aを本体12の長手方向から収納できるように形成されている。また、本体12の一方の端部12Bには収納部が形成されていないが、該端部12Bによって保冷剤18Bを巻き込んで環状帯106と帽体102の間に挟み込むことにより、上述した頭部用装着具10と同様の効果が得られる。図1(D)に示す頭部用装着具10Bでは、収納部14Bは、4隅のみが縫製されており、保冷剤18Aを本体12の長手方向もしくは該長手方向と直交する方向のいずれの向きからでも収納可能となっている。更に、図1(E)に示す頭部用装着具10Cは、収納部16のみが形成されている例であり、必要に応じて、このようなタイプの装着具を用いるようにしてもよい。以上のような頭部用装着具10,10A〜10Cは、上述した説明では、端部12A側を後頭部側へ向けるようにしたが、端部12B側を後頭部へ向けて取り付けるようにしてもよいし、必要に応じて頭頂部を横切るように設けて側頭部を冷やすようにしてもよい。
【実施例2】
【0014】
次に、図2を参照しながら、本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図2(A)は本実施例の構成を示す平面図,図2(B)は本実施例の使用状態を示す図である。図2(C)〜(F)は、本実施例の変形例を示す図である。上述した実施例1は、頭部用装着具が略帯状の場合について説明したものであるが、本実施例は、頭部用装着具が略T字状の例である。なお、ヘルメット100の構造については、前記実施例1と同様である。
【0015】
図2(A)に示すように、本実施例の頭部用装着具30は、第1の帯状体32と、該第1の帯状体32の略中央に略直交する第2の帯状体34により、全体が略T字状に形成されている。これら第1及び第2の帯状体32及び34を形成する布地は、例えば、前記実施例1と同様に吸湿性に優れた素材が用いられる。本実施例では、前記第1の帯状体32が、装着者の両耳から頭頂部を覆う横帯に相当し、第2の帯状体34が、頭頂部から額まで覆う縦帯に相当するが、第2の帯状部34を後頭部側へ向けるように使用することを妨げるものではない。前記第1の帯状体32の長辺32Cの略中央部には、ワイヤ36が設けられており、更に、端部32A及び32B近傍の縁部32Dには、他のワイヤ38が設けられている。また、必要に応じて、前記第1の帯状体32の略中央には、保冷剤18Aを収納するための収納部39が設けられている。
【0016】
本実施例の頭部用装着具30をヘルメット100に取り付けるときは、まず、第1の帯状体32の長辺32Cを後頭部側へ向け、第2の帯状体34の端部34Aが正面側へくるようにヘルメット100の内側におく。そして、第1の帯状体32の両端部32A及び32Bを、環状帯106と帽体102の隙間に挟み込む。このとき、ワイヤ38により挟み込んだ形状を維持できるため、端部32A及び32Bが環状帯106に固定される。次に、第2の帯状体34の端部34Aを、環状帯正面側106と帽体102の間に挿通し、該端部34Aによって保冷剤18Bを巻き込んで環状帯106に固定する。以上のようにして頭部用装着具30を取り付けたヘルメット100を被り、必要に応じてワイヤ36の形を装着者の頸部に沿って調整することにより、快適な装着感が得られる。もちろん、必要に応じて、前記収納部39に保冷剤18Aを収納して頭頂部を冷やすようにしてもよい。
【0017】
本実施例の基本的な効果は、上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、全体を略T字状にするとともに、必要に応じて縁部にワイヤ36や38を設けることとしたので、ヘルメット100への固定や装着者の頸部に沿った変形が可能となり、装着感をより高めることができる。
【0018】
次に、図2(C)〜(F)を参照して、本実施例の変形例を説明する。前記図2(A)及び(B)に示した頭部用装着具30は、主に汗取りや冷却用に適した構成となっているが、本変形例の頭部用装着具40は、頭部の保温に適した構成となっている。図2(C)に示すように、頭部用装着具40は、第1の帯状体42とそれに略直交する第2の帯状体44により略T字状に形成されており、例えば、フリースなどの保温性に優れた布地により形成されている。また、前記第2の帯状体44は、ヘルメット100の環状帯正面側106Aに挟むことができる程度の長さに形成されており、第1の帯状体42及び第2の帯状体44ともに、保冷剤などを収納するための収納部は設けられていない。更に、前記第1の帯状体42の端部42A及び42B近傍には、装着者の耳に相当する位置に、開口部46A及び46Bが形成されている。
【0019】
このような頭部用装着具40は、図2(D)に示すように、第2の帯状体44の端部44Aを環状帯正面側106Aへ挟み、第1の帯状体42の端部42A及び42Bを環状帯106と帽体102の隙間へ通した状態で、図2(E)に示すように装着する。すると、第1の帯状体42が装着者の耳を覆うようになるため、耳当てとして活用することができる。このとき、帯状体42には開口部46A及び46Bが設けられているため、音が遮られることがなく、安全な作業を行うことができる。なお、第1の帯状体42は、顎紐108を締めることにより、ずれが防止される。あるいは、前記第1の帯状体42の長辺42Cが正面側にくるように頭部用装着具40を頭に被せ、該第1の帯状体42の両端を、図2(F)に示すように頭の後ろ側で結び、その上からヘルメット100を被るようにしてもよい。
【実施例3】
【0020】
次に、図3を参照しながら、本発明の実施例3を説明する。本実施例は、頭部用装着具を略十字状とした例である。図3(A)は本実施例の構造を示す平面図,図3(B)は本実施例の使用状態を示す図である。図3(A)に示すように、本実施例の頭部用装着具50は、第1の帯状体52と、その中央に略直交する第2の帯状体54により、全体が略十字状に形成されている。これら第1及び第2の帯状体52及び54は、前記実施例1と同様に、吸湿性に優れたマイクロファイバーなどの布地により構成されている。前記第1の帯状体52の両端部52A及び52Bには、面テープ56A及び56Bが設けられており、これら端部52A及び52B同士を接着することが可能となっている。また、必要に応じて略中央には、保冷剤を収納するための収納部62が設けられる。
【0021】
一方、第2の帯状体54の一方の端部54Aは、環状帯正面側106Aに巻きつけ可能な長さに形成されており、他方の端部54Bは比較的短く形成されるとともに、縁部54Bに面テープ60が設けられている。更に、本実施例では、前記縁部54Bに着脱可能に取り付け可能な延設片64(図3(B))が用意されている。該延設片64も、前記第1及び第2の帯状体52及び54と同様の素材により形成されている。前記延設片64は、袋状の収納部66と、一枚布の延長部68により構成されており、該延長部68には、第2の帯状体54の端部54Bに設けられた面テープ60と着脱可能に接着する面テープ70が設けられている。前記収納部66には、保冷剤18Cが収納可能な構成となっており、更に、該保冷剤18Cの上下に相当する部分に、ワイヤ72A及び72Bが設けられている。
【0022】
次に、図3(B)を参照して、本実施例の取り付け手順を説明する。まず、第2の帯状体54の端部54Aが正面側を向くように、頭部用装着具50をヘルメット100の内側におく。そして、第1の帯状体52の端部52A及び52Bを、環状帯106と帽体102の隙間に通し、面テープ56Aと56Bを接着して、端部52A及び52Bを固定する。次に、第2の帯状体54の端部54Aを環状帯正面側106Aと帽体102の間に通し、保冷剤18Bを巻き込んで固定する。そして、前記延設片64の収納部66に保冷剤18Cを収納して、該延設片64を第2の帯状体54の端部54Bに取り付ける。このとき、図示のように、前記端部54Bを伸ばしたまま延設片64を取り付けるようにしてもよいし、前記端部54Bを環状帯106に折り込んだ状態で取り付けることによって延設片64の位置をずらし、保冷剤18Cが当たる位置を調節するようにしてもよい。
【0023】
以上のようにして頭部用装着具50を取り付けたヘルメット100を被り、最後に、前記延設片64のワイヤ72A及び72Bを頸部に沿って変形させることにより、保冷剤18Cをずれにくくすることができる。本実施例の基本的効果は、前記実施例1と同様である。なお、必要に応じて、第1の帯状体52の縁部53に、前記実施例2と同様にワイヤを設け、環状帯106への固定を強力にするようにしてもよい。
【実施例4】
【0024】
次に、図4を参照しながら、本発明の実施例について説明する。本実施例は、頭部装着具を略十字状とするとともに、立体部分を設けた例である。まず、図4(A)に示す頭部装着具80は、第1の帯状体82と、それに略直交する第2の帯状体84により全体が略十字状に形成されている。これら第1及び第2の帯状体82及び84としては、前記実施例1と同様に、吸湿性に優れたマイクロファイバーなどの布地が用いられる。前記第1の帯状体82の両端部82A及び82Bには、面テープ90A及び90Bが設けられており、前記実施例3と同様に、これら端部82A及び82B同士を接着することが可能となっている。このような面テープ90A及び90Bは、必要に応じて設けるようにすればよい。また、略中央部に保冷剤を収納するための収納部(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0025】
一方、第2の帯状体84の一方の端部84Aは、環状帯正面側106Aに巻きつけ可能な長さに形成されており、他方の端部84B側には、保冷剤18Aを収納するための収納部86が形成されている。なお、図示の例では、帯状体84の端部を折り、その折り返し部分の両端を縫製することにより収納部86を形成しているが、上述した実施例3のように、必要に応じて収納部86が着脱できる構成であってもよい。更に、本実施例では、前記第1の帯状体82と第2の帯状体84が直交する後頭部側に、ダーツ88が2ヶ所設けられている。該ダーツ88は、頭部装着具80を頭部の形状に沿うようにするためのものである。
【0026】
本実施例の作用・効果は、基本的には上述した実施例3と同様であるが、本実施例によれば、ダーツ88を設けて頭部装着具80を立体的に形成することとしたので、頭部へのフィット性をより高めることができるという効果がある。なお、本実施例においても、上述した実施例2のように、帯状体の縁部にワイヤなどを設けて形状維持を行うようにしてもよい。
【0027】
次に、本実施例の変形例について説明する。まず、図4(B)に示す頭部装着具80Aは、第1の帯状体82と第2の帯状体84が交わる部分に、略弧状の縫製部92が形成されている。該縫製部92は、頭部装着具80Aを立体的に仕上げるためのものであって、図示の例では、後頭部側にのみ形成されているが、正面側に設けるようにしてもよいし、後頭部及び正面側の双方に形成するようにしてもよい。このように形成することによって、前記図4(A)に示す頭部装着具80と同様の効果が得られる。
【0028】
一方、図4(C)及び(D)に示す頭部装着具80Bは、立体部を側頭部側に形成した例である。この場合は、例えば、図4(D)に示すように、1つの第2の帯状体84と、2つの第1の帯状体82C,82Dを用意し、前記帯状体84の一方の端部を折り、その折り返し部分の両端を縫製することにより収納部86を形成する。次に、前記第1の帯状体82C,82Dの端部83A,83Bを、前記第2の帯状体84の長辺に縫い付ける。すなわち、縦帯に横帯を継ぐようにする。このとき、図4(C)に示すように、縫製部94を境にして第1の帯状体82C,82Dと第2の帯状体84の接合部分が立体的になるように縫製することにより、頭部形状に沿った頭部装着具80Bを得ることができる。また、略長方形の帯状体82C,82D,84を用意すればよいため、略十字状に生地を裁断するよりも生地の利用効率が高く、製造コストを下げることができる。あるいは、図4(E)及び(F)に示す頭部装着具80Cのように、1つの第1の帯状体82と、2つの第2の帯状体84C及び84Dを用意し、前記第1の帯状体82の長辺に、前記第2の帯状体84C,84Dの端部85A,85Bを縫いつけて、立体的な縫製部96を形成するようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,大きさ,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、前記実施例1では、略帯状体の本体12に収納部14や16を設けることとしたが、これらを設けることなく、本体12の端部12Aや12Bで保冷剤18Aや18Bを巻き込んで環状帯106に固定するようにしてもよい。また、前記実施例では、ワイヤなどの利用によって装着者の頸部などに沿う形状に調整することとしたが、ダーツなどを設けて頭部や頸部の形状に合わせるようにしてもよい。また、例えば、帯状体を形成する素材として厚みのある生地を用い、水につけて凍らせてから使用すると、吸汗機能を維持しながら、通常のタオル素材を用いた場合よりも数倍程度の吸水力(保水力)を発揮し、保冷効果を長時間持続させることができる。
【0030】
(2)前記保冷剤18A〜18Cを収納部に固定するような機構を設けるようにしてもよい。実施例1を例にあげると、図5(A)に示すように、収納部14の開放した両端の上下面に、それぞれ面テープ22A,22B及び24A,24Bを設けることにより、収納部14から保冷剤18Aが抜けることがない。また、図5(B)に示すように、保冷剤18Bの両面に面テープ26A及び26Bを設け、収納部16の内側の両面に、前記面テープ26A及び26Bと接着可能な面テープ28A及び28Bを設けることによっても、保冷剤18Bの脱落などを防止することができる。もちろん、これら固定機構も一例であり、他の公知の各種の固定機構を適用してよい。あるいは、図5(C)に示すように、布地をバイアス裁ちすることにより保冷剤を抜けにくくしてもよい。
【0031】
(3)第1の帯状体の両端部の接着や、延設片の接着手段も一例であり、上述した面テープのほか、公知の各種の着脱可能な接着手段を利用してよい。
【0032】
(4)前記実施例の取り付け方法も一例であり、頭頂部,額,頸部のほか、側頭部を冷やすようにしてもよい。また、前記実施例3では、第1の帯状体52の両端部52A及び52Bを、面テープ56A及び56Bにより接着することとしたが、他の公知の各種の接着手段を用いるようにしてもよいし、図2(F)に示す例のように、両端部を結ぶようにしてもよい。
【0033】
(5)前記実施例では、帯状体の端部をヘルメット100の環状帯106に巻き付けたり挟んだりすることにより、頭部装着具を取り付けることしたが、これに加えて位置ずれを防止するための手段を設けるようにしてもよい。例えば、図5(D)及び(E)に示す略T字型の頭部装着具40Aにおいて、第1の帯状体42の長辺42Cの中央付近にゴム48を設け、該ゴム48を、図5(E)示すようにヘルメット100の内装体104の延長部110に掛けることにより、頭部装着具40Aの前方へのずれを防止するようにしてもよい。なお、前記ゴム48も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。
【0034】
(6)前記実施例では、頭部や頸部の冷却,あるいは、頭部や耳の保温などに本発明の頭部用装着具を利用することとしたが、これらに加えて脱臭効果などを付加するようにしてもよい。具体的には、前記収納部のいずれかに固形の脱臭剤を収納したり、端部で脱臭剤を巻き込んだりしてもよいし、布地自体が脱臭作用を有するものを用いるようにしてもよい。あるいは、脱臭剤を生地に含ませるようにしてもよい。また、汗取り剤(吸湿剤)などを収納したり巻き込んだりしてもよい。
【0035】
(7)本発明の頭部用装着具は、工事現場で用いられるヘルメットのほか、自衛隊や消防隊などで用いられるヘルメット全般に適用可能である。また、ヘルメット以外の被り物であっても、本発明の頭部用装着具を取り付け可能な被り物であれば、他の公知の各種の被り物に本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能な略帯状,略T字状,略十字状のいずれかに頭部用装着具を形成し、これらの端部を前記被り物とその内側に設けられた環状帯の隙間に挿通可能とした。このため、頭部や頸部の汗取り又は保温を行うとともに、必要に応じて保冷剤を収納して冷却するができるため、被り物の内側に取り付ける頭部用装着具の用途に適用できる。特に、ヘルメットの内側に取り付ける頭部用装着具の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1を示す図である。
【図2】本発明の実施例2を示す図である。
【図3】本発明の実施例3を示す図である。
【図4】本発明の実施例4を示す図である。
【図5】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10,10A〜10C:頭部用装着具
12:本体
12A,12B:端部
14,14A,14B,16:収納部
18A,18B,18C:保冷剤
20:延設片
22A,22B,24A,24B,26A,26B,28A,28B:面テープ
30:頭部用装着具
32,34:帯状体
32A,32B,34A:端部
32C:長辺
32D:縁部
36,38:ワイヤ
39:収納部
40:頭部用装着具
42,44:帯状体
42A,42B,44A:端部
42C:長辺
46A,46B:開口部
48:ゴム
50:頭部用装着具
52,54:帯状体
52A,52B,54A,54B:端部
53:縁部
56A,56B,60,70:面テープ
62:収納部
64:延設片
66:収納部
68:延長部
72A,72B:ワイヤ
80,80A〜80C:頭部装着具
82,82C,82D,84,84C,84D:帯状体
82A,82B,83A,83B,84A,84B,85A,85B:端部
86:収納部
88:ダーツ
90A,90B:面テープ
92,94,96:縫製部
100:ヘルメット
102:帽体
104:内装体
106:環状帯
106A:正面側
106B,106C:端部
108:顎紐
110:延長部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭囲に沿う環状帯を内側に備えた被り物に取り付けられる頭部用装着具であって、
前記被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能な帯状体に形成されるとともに、少なくとも一方の端部が、前記環状帯と被り物の隙間に挿通可能であることを特徴とする頭部用装着具。
【請求項2】
頭囲に沿う環状帯を内側に備えた被り物に取り付けられる頭部用装着具であって、
第1の帯状体の略中央に、第2の帯状体が略直交した略T字状ないし略十字状に形成されており、
前記第1及び第2の帯状体の少なくとも一つの端部が、前記環状帯と被り物の隙間に挿通可能であるとともに、
前記被り物に対して着脱可能、かつ、装着者の頭頂部を被覆可能であることを特徴とする頭部用装着具。
【請求項3】
前記第1の帯状体の両端を接続する接続手段を設けたことを特徴とする請求項2記載の頭部用装着具。
【請求項4】
前記第1の帯状体の両端を頭部の後ろ側で結べる長さに形成したことを特徴とする請求項2記載の頭部用装着具。
【請求項5】
前記第1の帯状体の両端近傍であって前記装着者の耳に対応する位置に開口部を形成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の頭部用装着具。
【請求項6】
前記帯状体に保冷剤を収納可能な収納部を少なくとも一つ以上設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の頭部用装着具。
【請求項7】
前記保冷剤を前記収納部に固定するための固定手段を設けたことを特徴とする請求項6記載の頭部用装着具。
【請求項8】
前記帯状体のいずれかの縁部に設けられており、前記縁部を任意の形状に保持するワイヤを備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の頭部用装着具。
【請求項9】
前記帯状体に接続される延設片と、
該延設片を前記帯状体に着脱可能に接続する接続具と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の頭部用装着具。
【請求項10】
前記延設片に、保冷剤を収納する収納部を設けたことを特徴とする請求項9記載の頭部用装着具。
【請求項11】
前記帯状体に、前記被り物又は環状帯に対して着脱可能な取付手段を設けたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項12】
前記帯状体に、前記装着者の頭部形状に沿う立体部分を一つ以上設けたことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の頭部装着具。
【請求項13】
前記帯状体が、吸湿性ないし吸水性,保温性,脱臭性の少なくともいずれかを有する布地によって形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の頭部用装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−13884(P2008−13884A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−187671(P2006−187671)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(506234907)
【出願人】(506234893)
【Fターム(参考)】