説明

顔の湿潤装置

【課題】顔面上に手で上水道の水を跳ねかけるという現在の構成および手法と比較して利点をもたらす、ユーザーの顔に水を供給することを可能にする顔の湿潤装置の提供。
【解決手段】ユーザーの顔を受容するように適合した略凹部を有し、ユーザーの口と連通するように適合した呼吸用の空気通路手段20を含む顔の湿潤装置10であって、当該装置内にユーザーの顔を受容したとき、当該顔の表面に水を供給する手段を有する顔の湿潤装置。前記顔の表面に水を供給する手段は、ユーザーの顔に対し水を放射する手段を含む。前記凹部は、その表面に具備された複数のウォータージェット開口部16を有する。当該装置は、ユーザーの顔の少なくとも部分的な浸漬を可能にするため前記凹部内に水を保持するように適合している。前記凹部は、その下方に、排水を可能にするための排水開口部18を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は顔の湿潤装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なフェィシャル・トリートメント(顔の処置)が知られており、また医学および治療動機双方のために広範に利用されているが、この種のトリートメントの効果は、顔の皮膚について水分補給の度合いに依存する可能性がある。更に、皮膚に対する規則的な水の導入がトリートメントまたは治療を強化することに役立ち得るし、また皮膚に対しその自己利益になるのは立証可能であることが認識されている。
【0003】
しかしながら、通常、顔の皮膚に対する水の導入は、顔面上に手で上水道の水を跳ねかけるのが代表的なやり方であるというのが、屡々不都合、不便かつ水を現実に皮膚に接触させるという潜在的に不整合なやり方に起因して、場合により不十分となることを示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、現在のこの種の水導入に関する構成および手法と比較して利点をもたらす、ユーザーの顔に水を供給することを可能にする顔の湿潤装置を提供することを意図するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、顔の湿潤装置であって、ユーザーの顔を受容するようにした略凹部を有し、かつユーザーの口と連通するようにした呼吸用の空気通路手段を含み、前記装置は更に、装置内にユーザーの顔を受容したとき、その顔に水を供給させるようにしている。
【0006】
この装置は、空気通路手段との組合せにおける凹部の利用により、ユーザーの呼吸条件と関係なくあらゆる適切な時間長さに亘り、ユーザーの顔に対し水を効率的かつ正確に導入し得る構成がもたらされるという点で有利である。
【0007】
好ましくは、ユーザーの顔の表面に水を供給する前記手段は、ユーザーの顔に対し水を発射するための手段を含んで構成される。
【0008】
この方法において、たとえば供給する水の方向、速度、温度および体積に関し、有利に制御されたやり方で、ユーザーに対し水を供給することができる。
【0009】
特に、前記略凹部の表面に複数のウォータージェット開口部を設けてもよい。
【0010】
更に、前記装置はその中に、少なくともユーザーの顔の部分的浸漬を許容するように、凹部内に水を保持するように構成してもよい。
【0011】
ユーザーの顔の少なくとも部分的浸漬を要するか否かとは無関係に、装置の凹部が排水開口部をその下方領域に有利に含んでいてもよく、それは凹部からの排水のために設けられる。
【0012】
また、装置は凹部の表面内に開口部(空気導入用開口部)を設けてもよく、それを介して凹部内に収容された如何なる水中においても泡を生成するように、前記凹部内に空気を導入してもよい。この種の特長は前記装置の治療利点を強化することが出来る。
【0013】
更なる利点として、前記凹部を形成する表面形状は、人間の顔の一般的形状を反映するように輪郭付けされる。
【0014】
この方法において、前記凹部は、その表面と相対的に密接に適合させることによりユーザーの顔を容易に受容するようにしてある。
【0015】
そのようなものとして、前記凹部の表面はユーザーの顔と接触するように構成してもよく、特に前記表面はユーザーの顔と接触するための複数の直立表面形状部を含んでいてもよい。
【0016】
この種形状部の輪郭および寸法は、ユーザーの顔に適用されるトリートメントによって異なってもよい。一実施例において、前記表面形状部は複数本の可撓性植毛(bristle)を含んで構成されていてもよい。
【0017】
有利なのは、使用を容易にさせ、かつ空気通路手段に譲歩することなく装置に関しユーザーの顔の動きを容易とし、それにより呼吸成果を提供するために、空気通路手段が実質的な凹部の表面と相対的に可動であるようにすることである。
【0018】
特に、前記空気通路手段は、可撓性空気通路手段、たとえば可撓性および/または伸縮自在の管構成を含んでいてもよい。
【0019】
また更に、空気通路手段はユーザーの口と容易に係合するためのマウスピースを含んでいてもよく、そしてこれは安心および安全と、ユーザー口内の保持のためにバイト・タブ(商標:Bite-Tab)を含んでいてもよい。
【0020】
装置は、更に水容器を含み、ユーザーの顔に導入すべき水を当該水容器からポンプ手段によって汲み上げるように構成してもよい。代替手段として、装置は外部供給源からの水の導入のためにアダプター手段を含んでいてもよい。
【0021】
前記装置は更に、ユーザーの顔に供給する水の温度を制御するための温度制御手段を含んで成っていてもよい。
【0022】
特に、温度制御手段は加熱手段を含んでいてもよい。
【0023】
また更に、前記装置は振動手段であって、それにより実質的凹部の表面を振動させて、凹部内にある水を攪拌するようにしてもよい。
【0024】
特に、もし、凹部の表面が上述の表面形状部を含んでいる場合、表面形状部とユーザーの顔とが接触している間に、振動手段は、表面形状部に振動および/または発振運動を生じさせるように有利に構成することができる。
【0025】
空気通路手段は、搭載された空気源と連通するように構成するか、または代替的に前記装置外部の大気と通気するように構成してもよい。
【0026】
本発明は更に以下で添付図面を参照して、実施例によってのみ説明するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
先ず、図1を参照すると、本発明を実施するための装置10の平面図が提供され、そして前記装置は直線形容器本体12を含んで構成され、その中に人間の顔の一般的形状を反映するように構成され、かつ輪郭を定めた凹形顔受容域14を設けている。
【0028】
受容域14の表面には、複数個の開口部16が設けられ、これは例示された実施例においては、ウォータージェット・ノズルを構成し、それによって水を顔受容域14内に導入することが出来る。
【0029】
この方法で域14内に導入された水を、前記域の表面の最下方領域中に設けられた排水スロット18手段により、前記域から脱出させる。
【0030】
図1に示す装置の実施態様の詳細は更に図2に関連して示され、これは図1の矢印IIの方向に沿う断面図を構成する。
【0031】
更に図1の平面図中に示されるのは空気通路アレンジメント20であり、これによりユーザーは安全に呼吸を継続することが出来る一方、顔を凹部域14内に受容し、そしてそれに対し水を供給させるものとする。
【0032】
ウォータージェット・ノズル16の配置は、凹部域14が延在するのに対し通常の深さであるように、図2中に更に示されている。
【0033】
図2はまた、排水スロット18と連通する排水通路22を示しており、これを経由して水は凹部域14から脱出し、装置内のチャンバ(図示せず)へ向かうか、あるいは排水路(同様に図示せず)を経由して装置外部へ向かう。
【0034】
上述したように、空気通路手段20はユーザーによる呼吸を楽にするようにしてあり、そこで例示した実施例においては、伸縮自在部24および該伸縮自在部24により提示される内部通路に隣接するマウスピース26を含んでいる。
【0035】
空気通路手段20は、ユーザーにマウスピースの高さの調整を容易とするようにして装置の使用および/または設定を補助するべく、伸縮自在部24を含んでいる。
【0036】
すなわち、伸縮自在部24の高さは、ユーザーがその顔を凹部域14内にどのくらい下降させることを欲するかに依存する結果となり、これはウォータージェット・ノズル16を出て行く水が顔にインパクトをもたらす方法に関して効果を有することになる。
【0037】
また、一実施例(図示せず)であって排水スロット18を設けることなく、あるいは少なくとも閉止されているものにおいて、域14をフェイシャル−バス・アレンジメントとして供してもよく、これは必要とされる水の深さを提供し、その中に顔を少なくとも部分的に浸漬することが出来る。この方法において、容器内に見出だされる水中にユーザーの顔を少なくとも部分的に浸漬させる前に、空気通路手段20の伸縮自在部24を、ユーザーの口と係合させるために水のレベル上方に上昇させるべくアレンジしてもよい。
【0038】
図2に示すように、マウスピース26はやり方を楽にするように、かつそれによってマウスピースが快適になるようにバイト・タブを含んでいてもよく、そしてそれによって空気通路はユーザーにより確実に使用され、その口内に保持される。
【0039】
更に、図2中には容器本体12を介して延在する空気通路28が示されており、そして例示された実施態様において、これはユーザーが大気を呼吸するように装置10を取り巻く環境と通気する。
【0040】
空気通路手段20の伸縮自在構成が作動する方法は、更に図3に例示されており、これは延伸された伸縮自在部24を備える空気通路手段20を示している。また、図3中に示されているのは、マウスピース26の部分として提供されるバイト・タブ30である。
【0041】
最後に、図4に関し、図1の凹部域14の表面組織について詳細な一例が示されている。理解し得るように、前記表面はユーザーの顔の皮膚と接触するように配置された植毛を含んで構成される。
【0042】
図1〜図4の実施態様中には示されていないが、装置は振動手段を含んでいてもよく、これにより凹部域14の表面に対し、振動を与え、もし存在するなら、植毛32に、ユーザーの顔と接触しながら振動を生ずるようにする。
【0043】
このようにして、本発明の例示された実施態様によりフェイシャル・トリートメントを提供することが出来、それはウォータージェット16により送り出される水に基づくウォーター・トリートメントと、振動植毛30によって生起される接触トリートメントとの組合わせを含んでいてもよい。
【0044】
更なる代替手段として、凹部域14の表面は開口部を設けていてもよく、それ介して必要により空気を導入してもよい。この方法において、もし水が凹部域14内でユーザーの顔の少なくとも部分的浸漬のために保持されるなら、この種の開口部によって空気を導入し、連続的に気泡を提供するようにしてもよく、これが本発明の装置によって提供されるトリートメントを更に強化することに役立ち得る。
【0045】
本発明は、上述の実施態様の詳細によって制限されるものではないと理解すべきことは勿論である。
【0046】
たとえば、前記装置は必要により、上で論述したような特徴の如何なる組合わせをも備えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施態様による顔の湿潤装置を示す平面図である。
【図2】図1の装置を示す縦断面図である。
【図3】図2に例示した装置の断面部分図であって、その空気通路手段に焦点を合わせたものを示している。
【図4】図2に例示した装置の拡大部分断面図であって、装置の凹部表面組織の更なる詳細を示すために供されたものを示している。
【符号の説明】
【0048】
10 湿潤装置
12 容器本体
14 顔受容域
16 開口部
18 排水スロット
20 空気通路手段
22 排水通路
24 伸縮自在部
26 マウスピース
28 空気通路
30 バイト・タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの顔を受容するように適合した略凹部を有し、ユーザーの口と連通するように適合した呼吸用の空気通路手段を含む顔の湿潤装置であって、当該装置内にユーザーの顔を受容したとき、当該顔の表面に水を供給する手段を有する顔の湿潤装置。
【請求項2】
前記顔の表面に水を供給する手段は、ユーザーの顔に対し水を放射する手段を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記凹部は、その表面に具備された複数のウォータージェット開口部を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ユーザーの顔の少なくとも部分的な浸漬を可能にするため前記凹部内に水を保持するように適合した、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記凹部は、その下方に、排水を可能にするための排水開口部を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記凹部は、その表面内に開口部を有し、必要に応じて前記開口部を介して前記凹部内に空気を導入し得る、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記凹部の表面は、人間の顔の一般的形状を反映するような輪郭を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記凹部の表面は、ユーザーの顔と接触するように適合している、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記凹部の表面は、ユーザーの顔と接触するための複数の表面形状部を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記表面形状部は、植毛を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記空気通路手段は、前記凹部の表面に対して相対的に移動可能である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記空気通路手段は、可撓性および/または伸縮自在の管部構成を含んで成る、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記空気通路手段は、バイト・タブを有するマウスピースを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
更に水容器を含み、ユーザーの顔に導入する水を前記水容器からポンプ手段によって汲み上げる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
ユーザーの顔に供給される水の温度を制御するための温度制御手段を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
更に振動手段を含み、当該振動手段により前記凹部の表面を振動させて、前記凹部内の水を攪拌する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−229349(P2008−229349A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74336(P2008−74336)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(507205690)エナネフ リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】ENANEF LIMITED
【Fターム(参考)】