顔用防寒具
【課題】鼻から頬にかけて密接して冷気の流入を防止するので防寒性に優れており、必要に応じて口を露出させて飲食、会話や発声、喫煙などが可能であるので、日常の行動及び仕事を円滑に行うことができる実用性に優れた顔用防寒具を提供する。
【解決手段】防寒具本体2は、複数枚の不織布口を重ねて形成し、鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材3に、柔軟性のある肉厚パット4を内設して構成してある。防寒具本体2の横方向両端にはゴム製の耳掛け部6が設けてある。口が露出するように防寒具本体2には開口部7が形成してある。開口部7は外側から開閉可能な通気性口覆い体8で閉塞するようになっている。
【解決手段】防寒具本体2は、複数枚の不織布口を重ねて形成し、鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材3に、柔軟性のある肉厚パット4を内設して構成してある。防寒具本体2の横方向両端にはゴム製の耳掛け部6が設けてある。口が露出するように防寒具本体2には開口部7が形成してある。開口部7は外側から開閉可能な通気性口覆い体8で閉塞するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地において厳しい寒さから顔を防寒し、しかも必要に応じて口を使うこともできるので、屋内外での作業、遊び、スポーツの際に着用して好適な顔用防寒具に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地での屋外作業時や、例えば氷上ワカサギ釣り等の遊びの時には顔が冷気に晒されることから、防寒用にマスクを用いることが行われている。しかし、マスクは防寒を本来の目的にするものでないから、防寒効果が十分でないという問題がある。また、帽子に口元覆い布を設けた防寒帽も従来から使用されているが、口が塞がれた状態になるので口を使うことが出来ないし、デザイン的にもあまり良くないという欠点がある。また、例えば、耳を覆う耳あて部2を有するイヤーキャップ1に、鼻あて部3と口あて部4を設けることにより、防寒効果を向上させたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−170719号公報(第1頁、第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されるイヤーキャップは防寒のための鼻あて部3と口あて部4を有するが、この鼻あて部3と口あて部4は具体的には例えば可撓性を有する合成樹脂材で一体形成するものであることから、鼻や頬の高低が相違する着用者の各々の顔に対応できず、鼻と頬の間に隙間が形成されて冷気が流入するために、確実な防寒効果を得られないという欠点がある。また、口を常時覆った状態にあることから口の当る分部が次第に湿気を帯び、外面側は外気温度にまで冷やされてしまう事態になり、冷やされた冷たい空気を吸込むことになるという欠点もある。
【0005】
また、イヤーキャップには呼吸気を通過させる小孔を形成してあるが、飲食の時には顔から外さなければならないし、口が塞がれて声が籠るために警備員のように明瞭な発音による伝達が求められる職業人が使用するのには適さないという欠点もある。更に、屋外と屋内との間を出入りする場合、屋内に入ると温度が急に上昇する変化から不快感を覚えるため、その都度防寒具を取外したい気持ちになるが、装着の手間を考えると面倒であることから、作業者は我慢して装着しているという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点や欠点に鑑みなされたもので、口を囲む鼻、顎から両頬にかけて密接することで冷気の流入を防止するので防寒性に優れており、しかも必要に応じて口元を露出させて飲食、会話や発声、喫煙などが可能であるから、日常の行動及び仕事を円滑に行うことができる実用性に優れた顔用防寒具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する本発明を構成する手段は、口を中心に鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材に、柔軟性のある肉厚パットを設けてなる防寒具本体と、該防寒具本体の横方向両端に設けた耳掛け部と、少なくとも前記口が露出するように前記防寒具本体に形成した開口部と、該開口部を外側から開閉可能に閉塞する通気性口覆い体とからなる。
【0008】
そして、前記肉厚パットは、前記顔面覆い材に取外し可能に設ける構成にするとよい。
【0009】
また、前記通気性口覆い体は、前記開口部の口縁に係止する係合部を有し、中央側には通気部が形成してある構成にするとよい。
【0010】
また、前記通気部は、複数のスリット又は細孔から構成するとよい。
【0011】
更に、前記通気性口覆い体は、前記防寒具本体と別体に構成し、連結材によって該防寒具本体に係留する構成にするとよい。
【0012】
更にまた、前記通気性覆い体は、一側縁を連結部として前記防寒具本体に回動可能に連結した構成にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)防寒具本体は、口を中心に鼻、顎から両頬を覆うと共に、肉厚パットが顔面に密接する構成にしたから、確実に防寒効果を発揮することができ、しかも必要に応じて開口部を開放できるので会話、発声、会話、飲食などを円滑に行うことができる。
(2)肉厚パットは防寒具本体に取外し可能に設けてあり、外気温や作業現場の温度状況に応じてその使用を選択することができるから、不快感を覚えることなく作業を快適に行うことができる。
(3)通気性口覆い体は通気部が形成してあるから、口を冷気に曝すことなく楽に呼吸を行うことができ、しかも開口部を自在に開閉することが可能であるから、必要に応じて取外すことにより食事、会話、警笛を吹く等の動作を円滑に行うことができるし、話し声がこもって第三者が聴き難い事態を解消できる。
(4)通気部はスリット又は細孔により形成してあるから、防寒性を維持しつつ呼吸を楽に行うことができる。
(5)通気性口覆い体は防寒具本体と別体に構成し、連結材によって防寒具本体に係留してあり、飲食等のために外した場合には開口部を完全に開放した状態にできるから、飲食等を容易に行うことができるし、紛失を防止できる。また、通気性口覆い体が地面等に落ちて汚れる事態を確実に防止できる。
(6)通気性口覆い体は一側縁を防寒具本体に回動可能に連結したから、開閉操作を速やかに行うことができるし、通気性口覆い体の紛失を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1乃至図9は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は顔用防寒具の前側斜視図である。
【図2】顔用防寒具の後側斜視図である。
【図3】顔用防寒具の平面図である。
【図4】顔用防寒具の横断面図である。
【図5】顔用防寒具の中央縦断面図である。
【図6】通気性口覆い体の前側斜視図である。
【図7】通気性口覆い体の後側斜視図である。
【図8】顔用防寒具の着用状態の説明図である。
【図9】通気性口覆い体を外した顔用防寒具の着用状態説明図である。
【図10】第2の実施の形態に係る顔用防寒具の斜視図である。
【図11】第3の実施の形態に係る顔用防寒具の分解斜視図である。
【図12】第4の実施の形態に係る顔用防寒具の使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図1乃至図9は第1の実施の形態を示す。図において、1は顔用防寒具、2は該顔用防寒具1を構成する防寒具本体を示す。該防寒具本体2は、着用者の顔51を構成する口52、鼻53及び顎54を含み、上下の幅が鼻53の上側から顎54までの中央覆い部2Aと、該中央覆い部2Aから両横に伸長して顔51の両頬55、55を覆う頬覆い部2B、2Bとによって横長長方形をなしており、上部側中央は鼻梁53Aに沿うように略V字状の突出部2Cが前方に向けて形成してある。
【0016】
3は上記防寒具本体2を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材3は例えばコットン不織布とポリプロピレン不織布を材料とし、多層に重ねることによって柔軟性を持たせて成形してある。
【0017】
4は防寒具本体2を構成し、前記顔面覆い体3内に設けたポリウレタン製の肉厚パットを示す。該肉厚パット4は、上下は鼻53から顎54にかけて、左右は両頬55、55にかけて覆うように略四角形に形成してあり、上部側中央は鼻梁53Aに沿うように緩やかな逆V字状の突出部4Aに形成してある。そして、該突出部4Aには細い帯状の芯金5を横向きに設けてあり、肉厚パット4を含んで防寒具本体2が着用者の鼻梁53Aに沿って略逆V字状に変形し、密接するようにしてある。6、6は防寒具本体2の横方向両端に設け、防寒具本体2を顔51に密接した状態に支持するためのゴム紐からなる耳掛け部である。
【0018】
かくして、防寒具本体2は、不織布からなる顔面覆い材3と、該顔面覆い材3に内設した軟質合成樹脂、例えばポリウレタン製の肉厚パット4と、一対の耳掛け部6、6とから構成してあり、防寒具本体2は肉厚パット4を有していることで、口52を中心に鼻53、顎54から両頬55、55にかけて密接することができる。また、中央上部側の突出部4に芯金5を設けてあり、防寒具本体2は鼻筋53Aに沿った形状になって鼻53から頬55にかけて隙間が出来ないから、冷気の流入を確実に防止することができる。
【0019】
7は防寒具本体2の中央覆い部2Aに形成した開口部を示す。該開口部7は突出部2Cの位置で上辺が三角形状に突出し、下側は四角形状の形状からなり、口52を露出させて発声、飲食、喫煙等のための動作を円滑に行うのに必要な大きさにしてあり、開口部7の両側口縁は段付の係合縁7A、7Aになっている。なお、本実施の形態において、防寒具本体2の外縁、開口部7の口縁は超音波溶着その他の適宜の溶着手段で縁取りすることにより、柔軟性を保ちつつ形態を保持している。
【0020】
8は前記開口部7に嵌脱可能に嵌合する通気性口覆い体を示す。該通気性口覆い体8は、前面板8A、該前面板8Aの下縁から略L字状に伸長する下面板8B、前面板8Aの横幅方向両縁から後方に伸長する側面板8C、8C、該各側面板8Cの先端から外向きに突出し、開口部7の係合縁7Aに係脱する係合部8Dを、例えばポリウレタンによって一体成形することにより、横断面略冂字状、縦断面略L字状の上方と後方が開放した形状をなしている。そして、前面板8Aには複数のスリットからなる通気部8Eが設けてある。
【0021】
9は前記通気性口覆い体8を防寒具本体2に係留する連結材を示す。該連結材9は軟質合成樹脂材により紐状に成形してあり、一端が防寒具本体2に、他端が通気性口覆い体8の側面板8Cに結合することによって、開口部7から外した通気性口覆い体8をポケット等に収納する手間が不要であるし、地面に落すことや、紛失する事態を確実に防止することができる。
【0022】
本実施の形態に係る顔用防寒具1は上述の構成からなり、その使用方法はマスクを装着するのと略同様である。通気性口覆い体8を嵌着して閉塞してある開口部7を口52に対向させた状態にし、鼻53、顎54、頬55を覆うように防寒具本体2を当て、耳掛け部6、6を耳56に係合し、芯金5を鼻梁53Aに合うように指先で変形させる。
【0023】
これにより、防寒具本体2の肉厚パット4が、口52を除いて鼻53から顎54、両頬55、55にかけて密接した状態になるので、冷気が流入して顔51が冷やされるのを確実に防止することができる。他方、口52は肉厚パット4から開放した状態にあるから、話をすることも可能であるし、通気性口覆い体8には通気部8Dが形成してあるから、息苦しくなることもなく普通に行動することができる。また、通気性口覆い体8は上方が開放しており、防寒具本体2との間に空隙Sが形成されるから呼吸を楽に行うことができ、鼻の息苦しさを覚えることがない。
【0024】
このように顔51に顔用防寒具1を装着した状態で、例えば警備員が大きな声で警告を発する事態や警笛を鳴らす事態が生じた時には、通気性口覆い体8を防寒具本体2から外すことで口52を大きく使うことができるから、明瞭な音声で警告することも、警笛を吹くこともできる。また、休憩時には顔用防寒具1は装着したままの状態で、通気性口覆い体8を防寒具本体2から外して開口部7から口52を露出させることにより、飲食、喫煙、会話等の動作を顔51に寒さを感じることなく円滑に行うことができる。
【0025】
なお、本実施の形態において、開口部7は口52が露出する程度の大きさと説明したが、口52と共に鼻53も露出する大きさにしても良いものである。
【0026】
また、通気性口覆い体8に設ける通気部8Eは、複数のスリットに替えて複数の細孔で構成してもよい。
【0027】
次に、図10は第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態及び以下に述べる他の実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。図において、11は防寒具本体、12は該防寒具本体11を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材12は第1の実施の形態の顔面覆い材3と同じ構成からなり、開口部13を設けると共に、上辺に開口するポケット14を設けてある。15は該ポケット14に挿脱可能に挿装する肉厚パットで、該肉厚パット15は抜き穴15Aを形成した略ロ字状をなしている。なお、肉厚パット15の挿脱は、開口部13から通気性口覆い体8を外し、ポケット14の口を指先で押し広げた状態にして行う。
【0028】
本実施の形態によれば、外気温や作業現場の温度情況に応じて肉厚パット15を顔面覆い材12のポケット14に挿脱することにより、着用時に冷えすぎたり、暑すぎたりすることの無い快適な使用ができる。
【0029】
図11は第3の実施の形態を示す。図において、21は防寒具本体、22は該防寒具本体21を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材22は不織布を多層に重ねて形成してあり、中央に開口部23が形成してある。24は該開口部23と略同形の抜き穴24Aを形成した略ロ字状の肉厚パットで、該肉厚パット24は例えば面状ファスナー25によって顔面覆い材22の裏面に着脱可能になっている。
【0030】
上述の構成からなる本実施の形態によれば、外気温や作業現場の温度情況に応じて肉厚パット24を顔面覆い材22に着脱することにより、着用時に冷えすぎたり、暑すぎたりすることの無い快適な使用ができる。
【0031】
更に、図12は第4の実施の形態を示す。その特徴とするところは、通気性口覆い体31の一側縁を防寒具本体2の開口部7の一側縁に連結部32を介して回動可能に連結したことにある。このように構成することにより、通気性口覆い体31は防寒具本体2と一体になっているから、開口部7の開閉動作を速やかに行うことができるし、紛失することもない。
【0032】
なお、通気性口覆い体31は、第1の実施の形態の通気性口覆い体8と同様に、前面板31A、該前面板31Aの下縁から略L字状に伸長する下面板31B、前面板31Aの両縁から後方に伸長する側面板31C、31C、該各側面板31Cの先端から外向きに突出し、開口部7の係合縁7Aに係脱する係合部31Dを、例えばポリウレタンによって一体成形することにより、横断面略冂字状、縦断面略L字状の上方と後方が開放した形状をなしている。そして、前面板31Aには複数のスリットからなる通気部31Eが設けてある。
【符号の説明】
【0033】
1 顔用防寒具
2、11、21 防寒具本体
3、12、22 顔面覆い材
4、15、24 肉厚パット
6 耳掛け部
7 開口部
8、31 通気性口覆い体
8D 係合部
8E 通気部
9 連結材
32 連結部
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地において厳しい寒さから顔を防寒し、しかも必要に応じて口を使うこともできるので、屋内外での作業、遊び、スポーツの際に着用して好適な顔用防寒具に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地での屋外作業時や、例えば氷上ワカサギ釣り等の遊びの時には顔が冷気に晒されることから、防寒用にマスクを用いることが行われている。しかし、マスクは防寒を本来の目的にするものでないから、防寒効果が十分でないという問題がある。また、帽子に口元覆い布を設けた防寒帽も従来から使用されているが、口が塞がれた状態になるので口を使うことが出来ないし、デザイン的にもあまり良くないという欠点がある。また、例えば、耳を覆う耳あて部2を有するイヤーキャップ1に、鼻あて部3と口あて部4を設けることにより、防寒効果を向上させたものが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−170719号公報(第1頁、第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に開示されるイヤーキャップは防寒のための鼻あて部3と口あて部4を有するが、この鼻あて部3と口あて部4は具体的には例えば可撓性を有する合成樹脂材で一体形成するものであることから、鼻や頬の高低が相違する着用者の各々の顔に対応できず、鼻と頬の間に隙間が形成されて冷気が流入するために、確実な防寒効果を得られないという欠点がある。また、口を常時覆った状態にあることから口の当る分部が次第に湿気を帯び、外面側は外気温度にまで冷やされてしまう事態になり、冷やされた冷たい空気を吸込むことになるという欠点もある。
【0005】
また、イヤーキャップには呼吸気を通過させる小孔を形成してあるが、飲食の時には顔から外さなければならないし、口が塞がれて声が籠るために警備員のように明瞭な発音による伝達が求められる職業人が使用するのには適さないという欠点もある。更に、屋外と屋内との間を出入りする場合、屋内に入ると温度が急に上昇する変化から不快感を覚えるため、その都度防寒具を取外したい気持ちになるが、装着の手間を考えると面倒であることから、作業者は我慢して装着しているという問題がある。
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点や欠点に鑑みなされたもので、口を囲む鼻、顎から両頬にかけて密接することで冷気の流入を防止するので防寒性に優れており、しかも必要に応じて口元を露出させて飲食、会話や発声、喫煙などが可能であるから、日常の行動及び仕事を円滑に行うことができる実用性に優れた顔用防寒具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する本発明を構成する手段は、口を中心に鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材に、柔軟性のある肉厚パットを設けてなる防寒具本体と、該防寒具本体の横方向両端に設けた耳掛け部と、少なくとも前記口が露出するように前記防寒具本体に形成した開口部と、該開口部を外側から開閉可能に閉塞する通気性口覆い体とからなる。
【0008】
そして、前記肉厚パットは、前記顔面覆い材に取外し可能に設ける構成にするとよい。
【0009】
また、前記通気性口覆い体は、前記開口部の口縁に係止する係合部を有し、中央側には通気部が形成してある構成にするとよい。
【0010】
また、前記通気部は、複数のスリット又は細孔から構成するとよい。
【0011】
更に、前記通気性口覆い体は、前記防寒具本体と別体に構成し、連結材によって該防寒具本体に係留する構成にするとよい。
【0012】
更にまた、前記通気性覆い体は、一側縁を連結部として前記防寒具本体に回動可能に連結した構成にするとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)防寒具本体は、口を中心に鼻、顎から両頬を覆うと共に、肉厚パットが顔面に密接する構成にしたから、確実に防寒効果を発揮することができ、しかも必要に応じて開口部を開放できるので会話、発声、会話、飲食などを円滑に行うことができる。
(2)肉厚パットは防寒具本体に取外し可能に設けてあり、外気温や作業現場の温度状況に応じてその使用を選択することができるから、不快感を覚えることなく作業を快適に行うことができる。
(3)通気性口覆い体は通気部が形成してあるから、口を冷気に曝すことなく楽に呼吸を行うことができ、しかも開口部を自在に開閉することが可能であるから、必要に応じて取外すことにより食事、会話、警笛を吹く等の動作を円滑に行うことができるし、話し声がこもって第三者が聴き難い事態を解消できる。
(4)通気部はスリット又は細孔により形成してあるから、防寒性を維持しつつ呼吸を楽に行うことができる。
(5)通気性口覆い体は防寒具本体と別体に構成し、連結材によって防寒具本体に係留してあり、飲食等のために外した場合には開口部を完全に開放した状態にできるから、飲食等を容易に行うことができるし、紛失を防止できる。また、通気性口覆い体が地面等に落ちて汚れる事態を確実に防止できる。
(6)通気性口覆い体は一側縁を防寒具本体に回動可能に連結したから、開閉操作を速やかに行うことができるし、通気性口覆い体の紛失を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1乃至図9は本発明の第1の実施の形態に係り、図1は顔用防寒具の前側斜視図である。
【図2】顔用防寒具の後側斜視図である。
【図3】顔用防寒具の平面図である。
【図4】顔用防寒具の横断面図である。
【図5】顔用防寒具の中央縦断面図である。
【図6】通気性口覆い体の前側斜視図である。
【図7】通気性口覆い体の後側斜視図である。
【図8】顔用防寒具の着用状態の説明図である。
【図9】通気性口覆い体を外した顔用防寒具の着用状態説明図である。
【図10】第2の実施の形態に係る顔用防寒具の斜視図である。
【図11】第3の実施の形態に係る顔用防寒具の分解斜視図である。
【図12】第4の実施の形態に係る顔用防寒具の使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図1乃至図9は第1の実施の形態を示す。図において、1は顔用防寒具、2は該顔用防寒具1を構成する防寒具本体を示す。該防寒具本体2は、着用者の顔51を構成する口52、鼻53及び顎54を含み、上下の幅が鼻53の上側から顎54までの中央覆い部2Aと、該中央覆い部2Aから両横に伸長して顔51の両頬55、55を覆う頬覆い部2B、2Bとによって横長長方形をなしており、上部側中央は鼻梁53Aに沿うように略V字状の突出部2Cが前方に向けて形成してある。
【0016】
3は上記防寒具本体2を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材3は例えばコットン不織布とポリプロピレン不織布を材料とし、多層に重ねることによって柔軟性を持たせて成形してある。
【0017】
4は防寒具本体2を構成し、前記顔面覆い体3内に設けたポリウレタン製の肉厚パットを示す。該肉厚パット4は、上下は鼻53から顎54にかけて、左右は両頬55、55にかけて覆うように略四角形に形成してあり、上部側中央は鼻梁53Aに沿うように緩やかな逆V字状の突出部4Aに形成してある。そして、該突出部4Aには細い帯状の芯金5を横向きに設けてあり、肉厚パット4を含んで防寒具本体2が着用者の鼻梁53Aに沿って略逆V字状に変形し、密接するようにしてある。6、6は防寒具本体2の横方向両端に設け、防寒具本体2を顔51に密接した状態に支持するためのゴム紐からなる耳掛け部である。
【0018】
かくして、防寒具本体2は、不織布からなる顔面覆い材3と、該顔面覆い材3に内設した軟質合成樹脂、例えばポリウレタン製の肉厚パット4と、一対の耳掛け部6、6とから構成してあり、防寒具本体2は肉厚パット4を有していることで、口52を中心に鼻53、顎54から両頬55、55にかけて密接することができる。また、中央上部側の突出部4に芯金5を設けてあり、防寒具本体2は鼻筋53Aに沿った形状になって鼻53から頬55にかけて隙間が出来ないから、冷気の流入を確実に防止することができる。
【0019】
7は防寒具本体2の中央覆い部2Aに形成した開口部を示す。該開口部7は突出部2Cの位置で上辺が三角形状に突出し、下側は四角形状の形状からなり、口52を露出させて発声、飲食、喫煙等のための動作を円滑に行うのに必要な大きさにしてあり、開口部7の両側口縁は段付の係合縁7A、7Aになっている。なお、本実施の形態において、防寒具本体2の外縁、開口部7の口縁は超音波溶着その他の適宜の溶着手段で縁取りすることにより、柔軟性を保ちつつ形態を保持している。
【0020】
8は前記開口部7に嵌脱可能に嵌合する通気性口覆い体を示す。該通気性口覆い体8は、前面板8A、該前面板8Aの下縁から略L字状に伸長する下面板8B、前面板8Aの横幅方向両縁から後方に伸長する側面板8C、8C、該各側面板8Cの先端から外向きに突出し、開口部7の係合縁7Aに係脱する係合部8Dを、例えばポリウレタンによって一体成形することにより、横断面略冂字状、縦断面略L字状の上方と後方が開放した形状をなしている。そして、前面板8Aには複数のスリットからなる通気部8Eが設けてある。
【0021】
9は前記通気性口覆い体8を防寒具本体2に係留する連結材を示す。該連結材9は軟質合成樹脂材により紐状に成形してあり、一端が防寒具本体2に、他端が通気性口覆い体8の側面板8Cに結合することによって、開口部7から外した通気性口覆い体8をポケット等に収納する手間が不要であるし、地面に落すことや、紛失する事態を確実に防止することができる。
【0022】
本実施の形態に係る顔用防寒具1は上述の構成からなり、その使用方法はマスクを装着するのと略同様である。通気性口覆い体8を嵌着して閉塞してある開口部7を口52に対向させた状態にし、鼻53、顎54、頬55を覆うように防寒具本体2を当て、耳掛け部6、6を耳56に係合し、芯金5を鼻梁53Aに合うように指先で変形させる。
【0023】
これにより、防寒具本体2の肉厚パット4が、口52を除いて鼻53から顎54、両頬55、55にかけて密接した状態になるので、冷気が流入して顔51が冷やされるのを確実に防止することができる。他方、口52は肉厚パット4から開放した状態にあるから、話をすることも可能であるし、通気性口覆い体8には通気部8Dが形成してあるから、息苦しくなることもなく普通に行動することができる。また、通気性口覆い体8は上方が開放しており、防寒具本体2との間に空隙Sが形成されるから呼吸を楽に行うことができ、鼻の息苦しさを覚えることがない。
【0024】
このように顔51に顔用防寒具1を装着した状態で、例えば警備員が大きな声で警告を発する事態や警笛を鳴らす事態が生じた時には、通気性口覆い体8を防寒具本体2から外すことで口52を大きく使うことができるから、明瞭な音声で警告することも、警笛を吹くこともできる。また、休憩時には顔用防寒具1は装着したままの状態で、通気性口覆い体8を防寒具本体2から外して開口部7から口52を露出させることにより、飲食、喫煙、会話等の動作を顔51に寒さを感じることなく円滑に行うことができる。
【0025】
なお、本実施の形態において、開口部7は口52が露出する程度の大きさと説明したが、口52と共に鼻53も露出する大きさにしても良いものである。
【0026】
また、通気性口覆い体8に設ける通気部8Eは、複数のスリットに替えて複数の細孔で構成してもよい。
【0027】
次に、図10は第2の実施の形態を示す。なお、本実施の形態及び以下に述べる他の実施の形態において、第1の実施の形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して援用し、その説明を省略する。図において、11は防寒具本体、12は該防寒具本体11を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材12は第1の実施の形態の顔面覆い材3と同じ構成からなり、開口部13を設けると共に、上辺に開口するポケット14を設けてある。15は該ポケット14に挿脱可能に挿装する肉厚パットで、該肉厚パット15は抜き穴15Aを形成した略ロ字状をなしている。なお、肉厚パット15の挿脱は、開口部13から通気性口覆い体8を外し、ポケット14の口を指先で押し広げた状態にして行う。
【0028】
本実施の形態によれば、外気温や作業現場の温度情況に応じて肉厚パット15を顔面覆い材12のポケット14に挿脱することにより、着用時に冷えすぎたり、暑すぎたりすることの無い快適な使用ができる。
【0029】
図11は第3の実施の形態を示す。図において、21は防寒具本体、22は該防寒具本体21を構成する顔面覆い材で、該顔面覆い材22は不織布を多層に重ねて形成してあり、中央に開口部23が形成してある。24は該開口部23と略同形の抜き穴24Aを形成した略ロ字状の肉厚パットで、該肉厚パット24は例えば面状ファスナー25によって顔面覆い材22の裏面に着脱可能になっている。
【0030】
上述の構成からなる本実施の形態によれば、外気温や作業現場の温度情況に応じて肉厚パット24を顔面覆い材22に着脱することにより、着用時に冷えすぎたり、暑すぎたりすることの無い快適な使用ができる。
【0031】
更に、図12は第4の実施の形態を示す。その特徴とするところは、通気性口覆い体31の一側縁を防寒具本体2の開口部7の一側縁に連結部32を介して回動可能に連結したことにある。このように構成することにより、通気性口覆い体31は防寒具本体2と一体になっているから、開口部7の開閉動作を速やかに行うことができるし、紛失することもない。
【0032】
なお、通気性口覆い体31は、第1の実施の形態の通気性口覆い体8と同様に、前面板31A、該前面板31Aの下縁から略L字状に伸長する下面板31B、前面板31Aの両縁から後方に伸長する側面板31C、31C、該各側面板31Cの先端から外向きに突出し、開口部7の係合縁7Aに係脱する係合部31Dを、例えばポリウレタンによって一体成形することにより、横断面略冂字状、縦断面略L字状の上方と後方が開放した形状をなしている。そして、前面板31Aには複数のスリットからなる通気部31Eが設けてある。
【符号の説明】
【0033】
1 顔用防寒具
2、11、21 防寒具本体
3、12、22 顔面覆い材
4、15、24 肉厚パット
6 耳掛け部
7 開口部
8、31 通気性口覆い体
8D 係合部
8E 通気部
9 連結材
32 連結部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口を中心に鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材に、柔軟性のある肉厚パットを設けてなる防寒具本体と、該防寒具本体の横方向両端に設けた耳掛け部と、少なくとも前記口が露出するように前記防寒具本体に形成した開口部と、該開口部を外側から開閉可能に閉塞する通気性口覆い体とから構成してなる顔用防寒具。
【請求項2】
前記肉厚パットは、前記顔面覆い材に取外し可能に設けてあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項3】
前記通気性口覆い体は、前記開口部の口縁に係止する係合部を有し、中央側には通気部が形成してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項4】
前記通気部は、複数のスリット又は細孔からなることを特徴とする請求項3記載の顔用防寒具。
【請求項5】
前記通気性口覆い体は、前記防寒具本体と別体に構成し、連結材によって該防寒具本体に係留してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項6】
前記通気性口覆い体は、一側縁を連結部として前記防寒具本体に回動可能に連結してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項1】
口を中心に鼻、顎から両側の頬を一体に覆う顔面覆い材に、柔軟性のある肉厚パットを設けてなる防寒具本体と、該防寒具本体の横方向両端に設けた耳掛け部と、少なくとも前記口が露出するように前記防寒具本体に形成した開口部と、該開口部を外側から開閉可能に閉塞する通気性口覆い体とから構成してなる顔用防寒具。
【請求項2】
前記肉厚パットは、前記顔面覆い材に取外し可能に設けてあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項3】
前記通気性口覆い体は、前記開口部の口縁に係止する係合部を有し、中央側には通気部が形成してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項4】
前記通気部は、複数のスリット又は細孔からなることを特徴とする請求項3記載の顔用防寒具。
【請求項5】
前記通気性口覆い体は、前記防寒具本体と別体に構成し、連結材によって該防寒具本体に係留してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【請求項6】
前記通気性口覆い体は、一側縁を連結部として前記防寒具本体に回動可能に連結してあることを特徴とする請求項1記載の顔用防寒具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−203001(P2010−203001A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50413(P2009−50413)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(509063373)有限会社理温テック (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(509063373)有限会社理温テック (3)
【Fターム(参考)】
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