説明

顕微鏡用電動レボルバ装置および顕微鏡

【課題】対物レンズを位置決めする際の振動を抑制することができる顕微鏡用電動レボルバ装置および当該電動レボルバ装置を備えた顕微鏡を提供すること。
【解決手段】顕微鏡本体側の固定部に対向し、該固定部と相対回転可能に配置され、複数の光学素子を装着可能な回転部と、回転部を回転駆動させる駆動手段と、固定部または回転部の何れか一方に設けられた複数の溝部と、固定部または回転部の何れか他方に設けられた付勢手段と、付勢手段に設けられ、該付勢手段によって溝部へ付勢されて溝部の何れか一つと係合することで光学素子を顕微鏡の観察位置に位置決めする係合部材と、付勢手段に設けられた加速度検知手段と、加速度検知手段が検知した検出値に基づき、駆動手段を制御する制御部とを備えたことを特徴とする顕微鏡用電動レボルバ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学素子から選択された光学素子を光路中に位置決めする光学部材の位置決め装置を備えた顕微鏡用電動レボルバ装置と、当該電動レボルバ装置を備えた顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡の電動レボルバ装置において、対物レンズの位置決めを行う位置決め装置としてクリックストップ機構を用いたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このような位置決め装置は、例えば図11に示すように、レボルバの回転部431側に設けられたV溝443と、レボルバの固定部側に設けられた板ばね446と、板ばね446に装着された鋼球449とで構成される。位置決め装置は鋼球449がV溝443に落ち込むことによって対物レンズの位置決めを行っている。鋼球449がV溝443に落ち込んでいるか否かは、遮光板(図示省略)とホトインタラプタ470とからなる位置センサ473によって検知される。対物レンズを装着するための装着孔437は、装着孔437ごとにアドレスが定められている。アドレスは、装着孔437ごとに設けられた磁石461の配置で表されている。この磁石461の配置を、ホール素子464を用いたアドレスセンサ467で検知することによって光軸上にどの対物レンズが配置されているのかを検知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−98248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成にあっては、鋼球は板ばねによって軌道に押し付けられているので、鋼球がV溝に落ち込む際は、V溝と鋼球との衝突によって振動が発生する。この振動は双眼部における観察像、あるいは各ポートに取り付けられたカメラの画像の揺れとして確認される。また、IVF(In Vitro Fertilization:体外受精)や電気生理実験等に使用される、先端を細く加工したガラス管であるニードルがステージ上に配置されている場合などは、レボルバの振動によって先端部が破損してしまうことがある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、対物レンズを位置決めする際の振動を抑制することができる顕微鏡用電動レボルバ装置および当該電動レボルバ装置を備えた顕微鏡を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る顕微鏡用電動レボルバ装置は、顕微鏡本体側の固定部に対向し、該固定部と相対回転可能に配置され、複数の光学素子を装着可能な回転部と、前記回転部を回転駆動させる駆動手段と、前記固定部または前記回転部の何れか一方に設けられた複数の溝部と、前記固定部または前記回転部の何れか他方に設けられた付勢手段と、前記付勢手段に設けられ、該付勢手段によって前記溝部へ付勢されて前記溝部の何れか一つと係合することで前記光学素子を前記顕微鏡の観察位置に位置決めする係合部材と、前記付勢手段に設けられた加速度検知手段と、前記加速度検知手段が検知した検出値に基づき、前記駆動手段を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る顕微鏡は、上記顕微鏡用電動レボルバ装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対物レンズを位置決めする際の振動を抑制することができる顕微鏡用電動レボルバ装置および当該電動レボルバ装置を備えた顕微鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る顕微鏡用電動レボルバ装置を備えた顕微鏡の構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係るレボルバの側面図である。
【図3】第1実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を鏡筒側(図2中の矢印K方向)から見た図である。
【図4】軌道の一部を拡大して示す図である。
【図5】各アドレスの磁石取り付け部への磁石の取り付けの有無を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を鏡筒側(図2中の矢印K方向)から見た図である。
【図7】回転部に設けられた軌道のV溝近傍の断面図である。
【図8】各装着孔に対応する凸部の配置位置を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を対物レンズ側(図2の矢印L方向)から見た図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を対物レンズ側(図2の矢印L方向)から見た図である。
【図11】従来のレボルバの固定部と回転部との対向部を鏡筒側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
まず、本発明に係る顕微鏡用電動レボルバ装置を備えた顕微鏡の構成について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る顕微鏡用電動レボルバ装置を備えた顕微鏡の構成を示す概略図である。
【0013】
顕微鏡1は、図1に示すように、顕微鏡本体1aと、顕微鏡本体1aに備えられた落射照明装置4および透過照明装置7と、試料(図示省略)を載置するステージ10と、複数の対物レンズ13を取り付けることができる電動レボルバ装置16とを備えている。顕微鏡1はステージ10に載置された試料に落射照明光あるいは透過照明光を照射し、電動レボルバ装置16に装着されている対物レンズ13で試料からの光を集光し、フィルタ(図示省略)および鏡筒19を介して接眼レンズ22で試料像を観察する構成となっている。電動レボルバ装置16の回転面は、観察光路の光軸に対して所定の角度傾斜して配置されている。つまり水平に対して傾斜している。電動レボルバ装置16には後述するような光学部材の位置決め装置が備えられている。電動レボルバ装置16は、制御部25によって制御されている。
【0014】
以下、光学部材の位置決め装置を備えた電動レボルバ装置16(以後、単にレボルバ16という。)について説明する。なお、以下の説明においては、通常に観察する状態において、顕微鏡1の観察者側を後方側とし、前方向、左右方向、および上下方向は、観察者から見た方向をいう。
【0015】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係るレボルバの側面図である。図3は、第1実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を鏡筒側(図2中の矢印K方向)から見た図であり、図4は、軌道の一部を拡大して示す図である。
【0016】
図2に示すように、レボルバ16は、顕微鏡本体1a側の円形の固定部28と、固定部28に対して相対回転し、複数の対物レンズ13を取り付けることができる円形の回転部31とから構成されている。回転部31は固定部28の下側に配置されている。回転部31と対向する固定部28の面は、前方側(図2において紙面右側)のほうが後方側(図2において紙面左側)よりも上方に位置するように傾いている。したがって回転部31も、前方側のほうが後方側よりも上方に位置するように傾いて配置されている。このように、固定部28と回転部31の互いに対向する面は、水平に対して所定角度傾斜している。回転部31は回転軸を中心にしてモータ34によって回転可能に設けられている。回転部31には、対物レンズ13を装着するための複数の装着孔37が周方向に形成されている。本実施形態においては6個の装着孔37が等間隔に形成されている。6個の装着孔37のアドレス(番地)を周方向に沿って順にそれぞれアドレス1〜6とし、このアドレスによって各装着孔37に取り付けられた対物レンズ13を識別することができる。回転部31に装着された対物レンズ13は、回転部31の後方側(観察者側)に位置した対物レンズ13が観察光路の光軸上に配置される。
【0017】
本実施形態では、回転部31の装着孔37の外径側に、装着孔37ごとにそれぞれ3個の磁石取り付け部58が設けられており、この3個の磁石取り付け部58への磁石61の取り付けの有無の組み合わせを各装着孔37のアドレスとしている。図5は、各アドレスの磁石取り付け部58への磁石61の取り付けの有無を示す図である。なお、図3および図5中、黒丸は磁石61が取り付けられていることを示し、白丸は磁石61が取り付けられていないことを示している。図5に示すように、磁石61の取り付けの有無の組み合わせは各アドレスで全て異なっている。
【0018】
固定部28には3つのホール素子64を用いたアドレスセンサ67が設けられている。アドレスセンサ67は、固定部28の外周側であって、回転部31の磁石取り付け部58と対向する位置に設けられている。アドレスセンサ67は、回転部31が回転し、対向して位置した各装着孔37の磁石取り付け部58に取り付けられた磁石61を検出する。本実施形態においては、アドレスセンサ67は光軸上に配置された対物レンズ13のアドレスを検出できるように、固定部28の後部、すなわち観察者側に取り付けられている。アドレスセンサ67の3つのホール素子64は、対物レンズ13が光軸上に配置されているときに、当該対物レンズ13が装着された装着孔37の磁石取り付け部58に取り付けられた磁石61を検出する。上述したように装着孔37ごとに磁石61の有無の組み合わせは異なっているので、各ホール素子64の磁石61の検出、非検出の組み合わせによって光軸上にどの対物レンズ13が配置されているのかが識別される。こうして制御部25は、アドレスセンサ67からの情報によって、光軸上に位置する対物レンズ13を認識することができる。
【0019】
固定部28と対向する回転部31の面には、図3に示すように、装着孔37よりも外径側にリング状の軌道40が形成されている。軌道40には、図4に示すように、各装着孔37に対応して断面形状がV字状の溝43(以後、V溝43という。)が形成されている。各V溝43は、回転部31の中心と、対応する装着孔37と隣り合う一方側の装着孔37との中間点とを通る直線上に形成されている。一方、回転部31と対向する固定部28側の面には、外周側の1箇所に板ばね46が固定され、板ばね46には鋼球49が取り付けられている。本実施形態においては、板ばね46の固定位置は、光軸に配置される対物レンズ13に対応する位置に取り付けられている。鋼球49は回転部31の軌道40に対向する位置に取り付けられており、板ばね46の弾性力によって軌道40に押し付けられている。このような構成なので、レボルバ16の回転部31が回転すると、相対的に鋼球49は軌道40上を移動する。なお、鋼球49は、軌道40上を転動するように取り付けてあっても良いし、摺動するように取り付けてあっても良い。鋼球49が軌道40上を移動し、V溝43に落ち込むことで所定の位置に回転部31が位置決めされ、何れかの対物レンズ13が光軸上に配置される。このように、軌道40に形成されたV溝43と、板ばね46と、板ばね46に取り付けられた鋼球49とで対物レンズ13の位置決め装置が構成されている。
【0020】
本実施形態においては、板ばね46には加速度センサ152が取り付けられている。加速度センサ152は一方向の加速度を検知することができる1軸タイプのものを用いている。本実施形態においては、加速度センサ152は回転部31の回転軸方向の加速度(以後、Z軸方向とする)を検出するように配置されている。回転部31が回転し、鋼球49がV溝43に落ち込む際、鋼球49にはZ方向の加速度が加わる。鋼球49は板ばね46によって回転部31側すなわち軌道40に対して押し付けられているので、板ばね46にも鋼球49と同様の振動が加わる。板ばね46には加速度センサ152が取り付けられているので、加速度センサ152はこの振動を加速度として検出する。すなわち鋼球49がV溝43に落ち込む際、加速度センサ152はZ軸方向の大きな加速度を検出する。制御部25は、加速度センサ152がZ軸方向の大きな加速度を検出することにより、鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識する。
【0021】
また、本実施形態においては、加速度センサ152がZ軸方向の大きな加速度、すなわち鋼球49がV溝43に落ち込む際に鋼球49および板ばね46に加わる加速度を検出すると、制御部25はモータ34に印加する電圧を低下させて、モータ34の回転数を少なくする。つまり鋼球49がV溝43に落ち込む際のZ軸方向の大きな加速度を加速度センサ152が検出し、次の瞬間には制御部25がモータ34に印加する電圧を低下させる。電圧が下がればモータ34の回転数が減少し、回転部31の回転速度が遅くなる。回転部31の回転速度が遅くなると、鋼球49のV溝43への落ち込み速度が遅くなる。その結果、鋼球49がV溝43に落ち込んだ際の鋼球49とV溝43との衝突による衝撃が緩和される。こうして、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。なお、加速度センサ152がZ軸方向の大きな加速度を検出したら、モータ34への電力の供給を遮断し、モータ34が慣性で回転するようにしても良い。このようにしても鋼球49のV溝43への落ち込み速度を遅くし、位置決めの際の衝撃を緩和することができる。
【0022】
このように、本実施形態のレボルバ16においては、加速度センサ152で鋼球49のV溝43への落ち込みを検出して鋼球49の落ち込み速度を抑制しているので、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。さらに、加速度センサ152が鋼球49のV溝43への落ち込みの際の加速度を検出することによって鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識できるので、遮光板およびホトインタラプタを用いた位置センサを備える必要がない。そのため、コストの低減を図ることができるという効果も発揮している。
【0023】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係るレボルバの固定部と回転部との対向部を鏡筒側(図2中矢印K方向)から見た図であり、図7は回転部に設けられた軌道のV溝近傍の断面図である。
【0024】
第2実施形態に係るレボルバ116は、第1実施形態と略同様の構成である。すなわち、回転部31に設けられた軌道40とV溝43、さらに固定部28に設けられた板ばね46と鋼球49との構成は第1実施形態と同様の構成である。第2実施形態については、第1実施形態と異なる構成を中心に説明する。
【0025】
第2実施形態に係るレボルバ116においては、加速度センサ152は板ばね46に取り付けられている。加速度センサ152は1軸タイプのものを用いており、Z軸方向の加速度、すなわち回転31の回転軸方向の加速度を検出するように配置されている。
【0026】
本実施形態においては、図7に示すように、軌道40上にはV溝43を挟んで周方向に複数の小さな凸部55が設けられている。各凸部55の高さおよび幅寸法は同一に形成されている。各凸55部の高さ寸法および幅寸法は、V溝43の深さの寸法および幅寸法に比べてそれぞれ小さく形成されている。凸部55は各V溝43ごとに異なる配置パターンで設けられている。1つのV溝43を挟んで両側に設けられた凸部55の配置パターンは対称となっている。これら凸部55は、以下に説明するように、それぞれのV溝43を識別するための識別情報を構成している。言い換えると、これら凸部55は各V溝43に対応する装着孔37のアドレスを示している。
【0027】
図8は、各装着孔37(アドレス)に対応する凸部55の配置位置を示す図である。図8中、黒丸は凸部55が形成されていることを示し、白丸は凸部55が形成されていないことを示している。
【0028】
図8に示すように、各装着孔37(アドレス)に対応する凸部55は、V溝43の両側にそれぞれ1個または2個形成されている。これらの凸部55が形成されている位置は、V溝43から遠い方の位置から近い方の位置に向かってA位置、B位置、C位置とすると、V溝43からA位置、B位置、C位置までの距離は、各V溝43においてそれぞれ同じ距離となっている。図8に示すように、アドレス1ではA位置およびB位置に凸部55が形成され、C位置には形成されていない。アドレス2ではB位置およびC位置に凸部55が形成され、A位置には形成されていない。アドレス3ではA位置およびC位置に凸部55が形成され、B位置には形成されていない。アドレス4〜6についてはそれぞれA位置〜C位置の何れか1箇所に凸部55が形成され、他の2箇所には形成されていない。このように、凸部55はアドレス1〜6がそれぞれ異なる配置パターンとなるように形成されている。
【0029】
レボルバ116の回転部31が回転し、鋼球49が軌道40上を相対移動すると、鋼球49はこれら凸部55を乗り越えて移動することとなる。軌道40上を移動する鋼球49がV溝43に接近し、A位置から順にB位置、C位置と軌道40上を移動すると、凸部55が形成されている位置では当該凸部55を乗り越えて移動するため、鋼球49にZ軸方向の振動が発生する。つまり、平坦な軌道40から凸部55に乗り上げるときと、凸部55の頂上から軌道40に落ちるときに、鋼球49にはZ軸方向の振動が加わる。鋼球49は板ばね46によって回転部31側すなわち軌道40に対して押し付けられているので、板ばね46にも鋼球49と同様の振動が加わる。板ばね46には加速度センサ152が取り付けられているので、加速度センサ152はこの振動を加速度として検出する。このように、凸部55は鋼球49および板ばね46に所定の振動を発生させるために設けられている。鋼球49はA位置からC位置まで移動した後、V溝43に落ち込むこととなる。V溝43の深さは、図7に示すように、凸部55の高さ寸法よりも大きいので、鋼球49は凸部55を乗り越えるときよりもZ軸方向の移動距離が長い。そのため鋼球49および板ばね46には凸部55を乗り越えるときよりも大きな振動すなわち加速度が加わる。また、このときの加速の向きは凸部55に乗り上げるときと逆方向となる。このように、鋼球49がV溝43に落ち込む際は、加速度センサ152は鋼球が凸部55を移動する時の加速度とは逆向きの方向で、より大きな加速度を検出する。
【0030】
回転部31の回転速度は一定であり、各V溝43に対応して形成された凸部55の配置パターンはそれぞれ異なっているので、各V溝43ごとに加速度センサ152によって検知されるA位置からC位置間での加速度の検出回数および検出間隔は異なるものとなる。つまり、加速度センサ152は、鋼球49が各V溝43に落ち込む直前に、V溝43ごとに異なるパターンで凸部55による小さい加速度を検出することとなる。制御部25は各V溝43ごとのA位置からC位置間における凸部55による加速度検出パターンを予め記憶しており、加速度センサ152からの小さい加速度の検出パターンにより、鋼球49がどのV溝43に落ち込むのかを識別することができる。さらに、所定の凸部55のパターンを加速度センサ152が検知し、その後に当該凸部55のパターンに対応するV溝43に鋼球49が落ち込む際には大きな加速度を検出するので、制御部25は、加速度センサ152がこの大きな加速度を検出することにより、鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識する。
【0031】
このように、本実施形態では、凸部55による小さい加速度の検出パターンによって、アドレス1〜6が識別できるようになっているので、例えば板ばね46を固定部28側の光軸に対応する位置に取り付ければ、制御部25は現在どの対物レンズ13が光軸上に配置されているのかを認識することができる。板ばね46を固定部28側の光軸に対応する位置以外の位置に取り付けた場合であっても、板ばね46の位置は固定されており、かつ鋼球49が落ち込んだV溝43がどのアドレスなのかを識別できるので、相対的に光軸上に配置されている対物レンズ13を識別できる。
【0032】
なお、各V溝43に形成された凸部55の配置パターンはV溝43を挟んで円周方向に対称なので、回転部31がどちらの方向に回転しても、一つのV溝43に対応する凸部55による加速度の検出パターンは同一のパターンとなり、識別が可能となっている。また、鋼球49が一旦落ち込んだV溝43から出て軌道40上を移動する時は、当該V溝43に落ち込む直前に通り越した凸部55とは対称のパターンの凸部55を通過することとなる。このとき検出する小さな加速度については、制御部25は考慮しないようにしても良いし、予め記憶されている隣接するV溝43の凸部55のパターンを参照して回転部31の回転方向を認識するようにしても良い。
【0033】
本実施形態においては、加速度センサ152が凸部55による所定パターンの小さい加速度を検出した後に所定の大きさより大きな加速度を検出すると、制御部25はモータ34に印加する電圧を下げて、モータ34の回転数を少なくする。所定の大きさより大きな加速度とは、鋼球49が凸部55を乗り越える際に鋼球49に加わる加速度よりも大きな加速度のことである。すなわち鋼球49がV溝43に落ち込む際に鋼球49および板ばね46に加わる加速度である。加速度センサ152がこのような加速度を検出すると、制御部25は回転部31を回転させるためのモータ34に印加する電圧を低下させる。つまり鋼球49がV溝43に落ち込む際のZ軸方向の大きな加速度を加速度センサ152が検出し、次の瞬間には制御部がモータ34に印加する電圧を下げる。電圧が下がればモータ34の回転数が減少し、回転部31の回転速度が遅くなる。回転部31の回転速度が遅くなると、鋼球49のV溝43への落ち込み速度が遅くなる。その結果、鋼球49がV溝43に落ち込んだ際の鋼球49とV溝43との衝突による衝撃が緩和される。こうして、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。なお、加速度センサ152が所定の大きさより大きな加速度を検出したら、モータ34への電力の供給を遮断し、モータ34が慣性で回転するようにしても良い。このようにしても鋼球のV溝への落ち込み速度を遅くし、位置決めの際の衝撃を緩和することができる。
【0034】
このように、本実施形態においては、加速度センサ152で鋼球49のV溝43の落ち込みを検出して鋼球49の落ち込み速度を抑制しているので、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。また、凸部55の配置パターンによる加速度によってアドレスを検出するため、磁石およびホール素子を用いたアドレスセンサを備える必要がない。さらに、加速度センサ152が鋼球49のV溝43への落ち込みの際の加速度を検出することによって鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識できるので、遮光板およびホトインタラプタを用いた位置センサを備える必要がない。そのため、コストの低減を図ることができるという効果も発揮している。
【0035】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、第1および第2実施形態と同様の構成については同じ符号を用いて説明する。
【0036】
図9は、第3実施形態に係るレボルバ216の固定部と回転部との対向部を対物レンズ側(図2の矢印L方向)から見た図である。
【0037】
本実施形態は、固定部28および回転部31の構成は第1および第2実施形態と略同様である。すなわち回転部31は固定部28の下側に配置され、回転部31には対物レンズ13が取り付けられる装着孔37が6個設けられている。本実施形態においては、回転部31と対向する固定部28の面に軌道40が設けられている。軌道40には、断面形状がV字状のV溝43が6箇所設けられている。6箇所のV溝43は等間隔に設けられている。一方、回転部31には所定の位置に板ばね46が設けられ、板ばね46には鋼球49が取り付けられている。本実施形態においては、板ばね46はアドレス1に対応する位置に取り付けられている。鋼球49は軌道40に対向した位置に取り付けられている。したがって、回転部31が回転すると回転部31の回転に伴って鋼球49が軌道40を移動する。鋼球49が軌道40を移動し、V溝43に落ち込むことで回転部31が所定の位置に位置決めされ、対物レンズ13が観察光路の光軸上に配置される。
【0038】
本実施形態においては、加速度センサ52は板ばね46に取り付けられている。加速度センサ52は3軸の加速度センサであり、3次元空間すなわちX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のあらゆる方向に加わる加速度を検出することができる。加速度センサ52が検出した加速度は制御部25で演算処理され、演算処理されたデータはレボルバ16の制御に用いられる。
【0039】
本実施形態においては、制御部25は加速度センサ52が検出する加速度から、回転部31の現在の回転位置を把握している。つまり加速度センサ52をアドレス1の装着孔37に対応する位置に取り付けることで、アドレス1の対物レンズ13の現在位置を把握している。加速度センサ52は、加速度検出方向のX軸方向およびY軸方向が回転部31の回転面と平行な平面に含まれ、Z軸方向が回転部31の回転面の軸方向となるように配置されている。具体的には、加速度センサ52の取り付け方向は、アドレス1の対物レンズ13が光軸上にある状態において、加速度検出方向のX軸方向を回転部31の回転面の前後方向とし、Y軸方向を回転部31の回転面の左右方向とし、Z軸方向を回転部31の回転面に対して垂直となるように配置している。また、このとき、X軸方向は加速度センサ52を中心にして前方向が正の方向で後方向が負の方向とし、Y軸方向は右方向が正の方向で左方向が負の方向とし、Z軸方向は上方向が正の方向で下方向が負の方向とする。以下、アドレス1の対物レンズ13が光軸上に位置しているときの加速度センサ52の位置を基準位置とする。なお、加速度センサ52の取り付け方向は、X軸方向とY軸方向とが逆であっても作用は同じである。
【0040】
レボルバ16の回転部31は前述したように所定角度傾斜して配置されている。加速度センサ52は静的加速度、すなわち重力方向あるいは水平方向に対する加速度センサ52自体の傾きも検出する。例えば加速度センサ52が上記基準位置にある状態において、加速度検出方向のY軸方向は重力方向に対して水平であって傾斜していないが、X軸方向は水平方向に対して傾斜し、Z軸方向は重力方向に対して傾斜している。したがって加速度検出方向におけるXY平面は、水平面に対して傾いている。加速度センサ52は回転部31の外縁部に固定されているので、回転部31の回転とともに回転部31の外縁部と同一の円周上を移動する。つまり、加速度センサ52の移動は水平方向に対して傾いた円の円周上を移動する円運動となる。加速度センサ52が傾いた円の円周上を移動すれば、加速度センサ52の加速度検出方向のX軸方向およびY軸方向の水平方向に対する向きは、円周上のあらゆる位置で異なる方向となる。そして加速度センサ52が傾いた円の円周上を移動すれば、X軸方向およびY軸方向に対する重力方向の傾きは、円周上のあらゆる位置で傾き方向が異なることとなる。言い換えれば、加速度センサ52の加速度検出方向のZ軸方向は、重力方向に対して円周上のあらゆる位置で傾き方向が異なることとなる。
【0041】
制御部25は、鋼球49がアドレス1のV溝43に係合している状態、すなわち基準位置における加速度センサ52の重力方向および水平方向に対する傾きをデータとして記憶している。すなわち、重力方向に対するZ軸方向の傾き方向および傾き角と、このときの水平方向に対するX軸方向およびY軸方向の傾き方向および傾き角を位置データとして予め記憶している。鋼球49がアドレス2〜6の各V溝43に係合している場合についても、それぞれの場合に対応する加速度センサ52の位置におけるX、Y、Z各軸の傾き方向および傾き角を位置データとして記憶している。
【0042】
このように、制御部25は、鋼球49がアドレス1から6のそれぞれのV溝43に係合した場合について、それぞれの場合に対応する加速度センサ52の位置におけるX、Y、Z各軸の傾き方向および傾き角を位置データとして予め記憶している。制御部25は加速度センサ52が検出した加速度からX、Y、Z各軸の傾き方向および傾き角を演算して求め、演算結果と記憶している位置データとを照合することでアドレス1の現在位置を検出している。アドレス1の現在位置が検出できれば、他のアドレス2〜6の位置も相対的に決定する。
【0043】
例として、アドレス1の対物レンズ13が光軸上にある状態から、回転部31を一方向に回転させる場合について、位置決め装置および制御部25の動作を説明する。なお、アドレス1の一方側の隣にはアドレス2の対物レンズ13が位置し、以下周方向に沿って順にアドレス3〜6が位置している。したがってアドレス1の他方側の隣にはアドレス6の対物レンズ13が位置している。
【0044】
まずアドレス1の対物レンズ13が光軸上にある状態において、制御部25は加速度センサ52が検知している静的加速度から、加速度センサ52のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向のそれぞれの傾き方向と傾き角を算出する。算出された値は記憶されている位置データと照合され、その結果、制御部25は、現在アドレス1が光軸上に位置していると判断する。
【0045】
次に、回転部31が一方側に回転し、アドレス1が光軸上にあったときにアドレス2があった位置に向かって移動する。このとき鋼球49は、アドレス1に対応するV溝43から出て、軌道上を一方側の隣のV溝43、すなわちアドレス2があった位置に対応するV溝43に向かって相対的に移動する。また、このとき加速度センサ52は、鋼球49の移動方向と同じ方向つまり回転部31の回転方向と同じ方向の等速円運動をしている。加速度センサ52は移動中も加速度を検出して制御部25に信号を送っているが、移動中の加速度から求められる加速度センサ52の傾きは記憶されている位置データと一致しないので、制御部25はアドレス1の位置を認識していない。そして鋼球49が、アドレス2があった位置に対応するV溝43に係合して回転部31が停止すると、その状態において加速度センサ52が検出する静的加速度から算出される加速度センサ52の各軸の傾き方向および傾き角は、加速度センサ52が基準位置にあったときのアドレス2の位置に対応する傾き方向および傾き角となる。この位置における加速度センサ52の各軸の傾き方向および傾き角は位置データとして制御部25は記憶しているので、制御部25は加速度から算出した各軸の傾き方向および傾き角と位置データとを照合して、アドレス1は現在、基準位置に対応するアドレス2の位置にあると認識する。その結果制御部25は、現在光軸上に位置している対物レンズ13はアドレス6の対物レンズ13であると認識する。アドレス1がさらに他の位置に移動した場合についても、同様にしてアドレス1の位置を認識することができる。つまり、アドレス1が光軸上に位置する状態から回転部31が一方側または他方側に回転すると、鋼球49は回転部31の回転にしたがって順次各V溝43に係合していくが、鋼球49が各V溝43に係合した状態でのアドレス1の位置が認識できれば、アドレス1の位置に対応する他のアドレス2〜6についても相対的に認識することができる。したがって、制御部25はアドレス1の位置を認識することにより、現在どの対物レンズ13が光軸上に位置しているのかを認識することができる。
【0046】
さらに本実施形態においては、加速度センサ52がZ軸方向の大きな加速度を検出すると、制御部25は回転部31を駆動するためのモータ34に印加する電圧を低下させて、モータ34の回転数を少なくする。鋼球49がV溝43に落ち込む際のZ軸方向の大きな加速度を加速度センサ52が検出し、次の瞬間には制御部25がモータ34に印加する電圧を下げる。するとモータ34の回転数が減少し、回転部31の回転速度が遅くなる。回転部31の回転速度が遅くなると、鋼球49のV溝43への落ち込み速度が遅くなる。落ち込み速度が遅くなれば、鋼球49とV溝43との衝突の際の衝撃が緩和される。こうして、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。
【0047】
本実施形態のレボルバ216はこのような構成なので、加速度センサ52で鋼球49のV溝43への落ち込みを検出して鋼球49の落ち込み速度を抑制しているので、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。また、アドレスを検出するために磁石およびホール素子を用いたアドレスセンサを備える必要がない。さらに、加速度センサ52が鋼球49のV溝43への落ち込みの際の加速度を検出することによって鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識できるので、遮光板およびホトインタラプタを用いた位置センサを備える必要がない。そのため、コストの低減を図ることもできるという効果も発揮している。
【0048】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態については、第1〜第3実施形態と同様の構成については同じ符号を用いて説明する。
【0049】
図10は、第4実施形態に係るレボルバ316の固定部と回転部との対向部を対物レンズ側(図2の矢印L方向)から見た図である。
【0050】
本実施形態は、固定部28および回転部31の構成は第1〜3実施形態と略同様である。すなわち回転部31は固定部28の下側に配置され、回転部31には対物レンズ13を取り付けるための6個の装着孔37が周方向に等間隔に形成されている。6個の装着孔37のアドレス(番地)をそれぞれアドレス1〜6とし、このアドレスによって各装着孔37に取り付けられた対物レンズ13を識別することができる。本実施形態では、第3実施形態と同様に、回転部31の装着孔37の外径側に、装着孔37ごとにそれぞれ3個の磁石取り付け部58が設けられており、この3個の磁石取り付け部58への磁石61の取り付けの有無の組み合わせを各装着孔37のアドレスとしている。各アドレスの磁石取り付け部58への磁石61の取り付けの有無は、第1実施形態と同様で図5に示す通りである。
【0051】
固定部28には3つのホール素子64を用いたアドレスセンサ67が設けられている。アドレスセンサ67は、固定部28の外周側であって、回転部31の磁石取り付け部58と対向する位置に設けられている。アドレスセンサ67は、回転部31が回転し、対向して位置した各装着孔37の磁石取り付け部58に取り付けられた磁石61を検出する。本実施形態においては、第1実施形態と同様に、アドレスセンサ67は光軸上に配置された対物レンズ13のアドレスを検出できるように、固定部28の後部、すなわち観察者側に取り付けられている。アドレスセンサ67の3つのホール素子64は、対物レンズ13が光軸上に配置されているときに、当該対物レンズ13が装着された装着孔37の磁石取り付け部58に取り付けられた磁石61を検出する。図5に示す通り、装着孔37ごとに磁石61の有無の組み合わせは異なっているので、各ホール素子64の磁61の検出、非検出の組み合わせによって光軸上にどの対物レンズ13が配置されているのかが識別される。こうして制御部25は、アドレスセンサ67からの情報によって、光軸上に位置する対物レンズ13を認識することができる。
【0052】
本実施形態においては、回転部31と対向する固定部28の面に軌道40が設けられている。軌道40には、断面形状がV字状のV溝43が6箇所設けられている。6箇所のV溝43は等間隔に設けられている。一方、回転部31には所定の位置に板ばね46が設けられ、板ばね46には鋼球49が取り付けられている。本実施形態においては、板ばね46はアドレス1に対応する位置に取り付けられている。鋼球49は軌道40に対向する位置に取り付けられている。したがって、回転部31が回転すると回転部31の回転に伴って鋼球49が軌道40を移動する。鋼球49が軌道40を移動し、V溝43に落ち込むことで回転部31が所定の位置に位置決めされ、対物レンズ13が観察光路の光軸上に配置される。
【0053】
本実施形態においては、加速度センサ152は板ばね46に取り付けられている。加速度センサ152は1軸タイプのものを用いており、Z軸方向の加速度、すなわち回転部31の回転軸方向の加速度を検出するように配置されている。回転部31が回転し、鋼球49がV溝43に落ち込む際には、加速度センサ152はZ軸方向の大きな加速度を検出する。制御部25は、加速度センサ152がZ軸方向の大きな加速度を検出することにより、鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識する。
【0054】
さらに、本実施形態においては、加速度センサ152がZ軸方向の大きな加速度、すなわち鋼球49がV溝43に落ち込む際に板ばね46に加わる加速度を検出すると、制御部25はモータ34に印加する電圧を低下させて、モータ34の回転数を少なくする。つまり鋼球49がV溝43に落ち込む際のZ軸方向の大きな加速度を加速度センサ152が検出し、次の瞬間には制御部25がモータ34に印加する電圧を低下させる。電圧が下がればモータ34の回転数が減少し、回転部31の回転速度が遅くなる。回転部31の回転速度が遅くなると、鋼球49のV溝43への落ち込み速度が遅くなる。その結果、鋼球49がV溝43に落ち込んだ際の鋼球49とV溝43との衝突による衝撃が緩和される。こうして、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。なお、加速度センサ152が所定の大きさ以上の加速度を検出したら、モータ34への電力の供給を遮断し、モータ34が慣性で回転するようにしても良い。このようにしても鋼球49のV溝43への落ち込み速度を遅くし、位置決めの際の衝撃を緩和することができる。
【0055】
このように、本実施形態のレボルバ316においては、加速度センサ152で鋼球49のV溝43への落ち込みを検出して鋼球49の落ち込み速度を抑制しているので、鋼球49のV溝43への落ち込みによる位置決めの際の衝撃が緩和される。さらに、加速度センサ152が鋼球152のV溝43への落ち込みの際の加速度を検出することによって鋼球49が正確に当該V溝43に落ち込んだことを認識できるので、遮光板およびホトインタラプタを用いた位置センサを備える必要がない。そのため、コストの低減を図ることができる。
【0056】
以上で各実施形態の説明を終えるが、本発明の構成は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において適宜変更が可能である。また、本発明はフィルタのターレットやスライダにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 顕微鏡
4 落射照明装置
7 透過照明装置
10 ステージ
13 対物レンズ
16 レボルバ
19 鏡筒
22 接眼レンズ
25 制御部
28 固定部
31 回転部
34 モータ
37 装着孔
40 軌道
43 V溝
46 板ばね
49 鋼球
52、152 加速度センサ
55 凸部
58 磁石取り付け部
61 磁石
64 ホール素子
67 アドレスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡本体側の固定部に対向し、該固定部と相対回転可能に配置され、複数の光学素子を装着可能な回転部と、
前記回転部を回転駆動させる駆動手段と、
前記固定部または前記回転部の何れか一方に設けられた複数の溝部と、
前記固定部または前記回転部の何れか他方に設けられた付勢手段と、
前記付勢手段に設けられ、該付勢手段によって前記溝部へ付勢されて前記溝部の何れか一つと係合することで前記光学素子を前記顕微鏡の観察位置に位置決めする係合部材と、
前記付勢手段に設けられた加速度検知手段と、
前記加速度検知手段が検知した検出値に基づき、前記駆動手段を制御する制御部とを備えたことを特徴とする顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記係合部材が前記溝部に係合する際に前記係合部材に加わる加速度を前記加速度検知手段が検知すると、前記駆動手段を介して前記回転部の回転数を減少させることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記加速度検知手段が前記係合部材に加わる前記加速度を検知することにより、前記係合部材が前記溝部に係合したことを認識することを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項4】
前記回転部には、該回転部に装着される前記光学素子を識別するための識別情報が備えられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項5】
前記識別情報は、前記光学素子ごとに対応して備えられた磁石であることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項6】
前記識別情報は、前記係合部材に振動を発生させる振動発生手段であることを特徴とする請求項4に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項7】
前記複数の溝部は前記係合部材が接触して相対移動する接触面に形成され、前記振動発生手段は、前記溝部ごとに対応して異なる配置で前記接触面に設けられた複数の凸部であることを特徴とする請求項6に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記加速度検知手段が検知した前記振動発生手段による振動により、前記観察位置に配置された前記光学素子を認識することを特徴とする請求項6または7に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記加速度検知手段が検知した加速度によって、前記観察位置に配置された前記光学素子を識別することを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項10】
前記制御部が前記観察位置に配置された前記光学素子を識別するための前記加速度は、前記係合部材が前記溝部に係合するごとに前記加速度検知手段が検知する前記加速度検知手段の傾きであることを特徴とする請求項9に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記係合部材が前記溝部に係合するごとに前記加速度検知手段が検知する前記加速度検知手段の傾きから、前記係合部材が前記溝部に係合したことをさらに認識することを特徴とする請求項10に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の顕微鏡用電動レボルバ装置を備えたことを特徴とする顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−128112(P2012−128112A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278492(P2010−278492)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】