説明

顧客資産管理システム

【課題】顧客装置情報と該顧客装置情報の更新要求元から送信された更新情報との間における、更新日時及び装置の版数の組合せについての整合性の判断結果に基づいて、該顧客装置情報の更新の許否を判断する顧客資産管理システムを提供する。
【解決手段】顧客資産管理システム1が、顧客装置2から更新情報を受信し、DBMSシステム10の顧客装置情報DB101から顧客装置情報を読み出す。そして、顧客資産管理システム1が、顧客装置情報に含まれる最新更新日時と更新情報に含まれる更新日時との比較結果、及び、更新情報に含まれる新装置版数と接続装置の情報とによって決まる装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報が、版数組合せテーブル16中の版数組合せ情報と合致するかの判断結果に基づいて、該顧客装置情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客資産管理システムに関し、特に、予め記憶手段に記憶された顧客装置情報と該顧客装置情報の更新要求元から送信された更新情報との間における、更新日時及び装置の版数の組合せについての整合性の判断結果に基づいて、該顧客装置情報の更新の許否を判断する顧客資産管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
データベース管理システムに関する従来技術として、下記の特許文献1に、複数の部門から入力されたデータがたとえ一時的に矛盾していても、その入力部門及び用途に応じてデータを受け入れて記憶し、重複したデータ間の整合性を監視して、操作者からの入力要求に応じて最適な情報を取り出すデータベース管理システムについて記載されている。
また、下記の特許文献2に、前回更新時間を持つ情報更新要求データに基づいて、情報データの内で、更新されている情報のみで最新情報データを作成し、該最新情報データでデータベースの情報データを更新する情報サービス装置について記載されている。
【特許文献1】特開平11−39202号公報
【特許文献2】特開2001−5709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
システムサポート又はシステムメンテナンスのために、顧客が運用する装置の情報を管理するためのシステムにおいては、特に多数の顧客から非同期に該顧客が運用する装置の情報の更新が要求された時に、該顧客が運用する装置の情報に矛盾が発生するおそれがある。
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載された技術及び上記特許文献2に記載された技術は、いずれも、データベース中のデータと該データの更新要求時に発行される更新情報との間における、データの更新日時及びデータの組合せについての整合性の判断結果に基づいて、該データベース中のデータの更新の許否を判断することは行っていない。従って、上記従来技術では、多数の顧客から非同期にデータベース中のデータの更新要求があった場合に、データに矛盾が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、予め記憶手段に記憶された、顧客が運用する装置の情報(顧客装置情報)と該顧客装置情報の更新要求元から送信された更新情報との間における、更新日時及び装置の版数の組合せについての整合性の判断結果に基づいて、該顧客装置情報の更新の許否を判断する顧客資産管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、次のようにして前記課題を解決する。
(1)システムサポート又はシステムメンテナンスのために、顧客が運用する装置の情報を管理するための顧客資産管理システムを設ける。上記システムに、少なくとも上記顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の最新の更新日時を含む顧客装置情報を記憶する顧客装置情報記憶手段と、上記顧客装置情報の更新要求元から送信される、少なくとも上記顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の更新日時を含む更新情報を入力する更新情報入力手段と、上記顧客装置情報記憶手段から上記顧客装置情報を読み出す顧客装置情報読出手段と、上記更新情報における更新日時と上記読み出された顧客装置情報における更新日時とを比較する更新日時比較手段と、上記装置の版数の組合せに関する情報と上記装置の部品の版数の組合せに関する情報とを版数組合せ情報として記憶する版数組合せ情報記憶手段と、上記版数組合せ情報記憶手段から版数組合せ情報を読み出し、上記更新情報における該装置又は該装置の部品の版数が上記読み出された版数組合せ情報と合致するかを判断する版数組合せ判断手段と、更新日時比較手段による上記更新情報における更新日時情報と上記読み出された顧客装置情報における更新日時情報との比較結果と、上記版数組合せ比較手段による上記更新情報における該装置又は該装置の部品の版数が上記読み出された版数組合せ情報と合致するかの判断結果とに基づいて、上記顧客装置情報の更新を許可するか否かを判断する更新判断手段とを設ける。
(2)上記装置の版数の組合せに関する情報は、上記装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報であり、上記装置の部品の版数の組合せに関する情報は、上記装置の部品の版数と上記装置の他の部品の版数との組合せの情報である。
(3)上記更新判断手段が、上記顧客装置情報の更新を許可しないと判断した場合に、上記顧客装置情報の更新要求元に上記顧客装置情報の更新要求内容について問い合わせる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の顧客資産管理システムは、予め記憶手段に記憶された、顧客が運用する装置の情報(顧客装置情報)と該顧客装置情報の更新要求元から送信された更新情報との間における、更新日時及び装置の版数の組合せについての整合性の判断結果に基づいて、該顧客装置情報の更新の許否を判断する。具体的には、本発明の顧客資産管理システムは、顧客装置情報における更新日時が更新情報における更新日時より前であり、かつ、更新情報における装置又は該装置の部品の版数が予め記憶手段に記憶された版数組合せ情報と合致する場合にのみ、該顧客装置情報の更新を許可する。従って、本発明によれば、顧客装置情報の更新が要求された場合に、精度良く更新情報の矛盾を検出して、該顧客装置情報の更新が行われないようにすることができる。特に、多人数で管理している場合、最新情報を誤って古いデータに書きかえることを阻止することができる。その結果、顧客装置情報の信頼性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明の顧客資産管理システムの構成の一例を示す図である。顧客資産管理システム1は、システムサポート又はシステムメンテナンスのために、顧客が運用する装置の情報を管理するためのシステムである。顧客資産管理システム1は、ネットワーク3を介して、PC(パーソナルコンピュータ)100等の顧客装置2と接続されている。
【0009】
顧客資産管理システム1は、通信部11、制御部12、記憶部13、表示装置14、DBMS(Database management system)接続部15、版数組合せテーブル16を備える。通信部11は、インターネット等のネットワーク3を介して顧客装置2と通信する。制御部12は、顧客装置2から送信された更新情報と、DBMSシステム10が備える顧客装置情報DB101から読み出した顧客装置情報と、版数組合せテーブル16とに基づいて、顧客装置情報の更新の許否を判断する。
【0010】
記憶部13は、制御部12によって顧客装置情報DB101から読み出された顧客装置情報を記憶する。表示装置14は、制御部12による顧客装置情報の更新の許否の判断結果に応じたメッセージを表示する。DBMS接続部15は、制御部12とDBMSシステム10との間の通信を媒介する。版数組合せテーブル16には、版数組合せ情報が予め記憶される。版数組合せテーブル16には、例えば、顧客が運用する装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報が、装置系版数組合せ情報として予め記憶される。また、版数組合せテーブル16には、例えば、顧客が運用する装置の部品の版数と上記装置の他の部品の版数との組合せの情報が、部品系版数組合せ情報として予め記憶される。
【0011】
DBMSシステム10は、顧客装置情報DB101を管理するシステムであって、制御部12から送信される、SQLを用いた顧客装置情報の読み出し要求又は書き込み要求に応じて、顧客装置情報DB101内の顧客装置情報の読み出し又は書き込み処理を行う。顧客装置情報DB101は、顧客装置情報を記憶する。上記顧客装置情報は、少なくとも顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の最新の更新日時を含む情報である。
【0012】
顧客装置2は、顧客が操作する装置である。または、顧客からの連絡を受けるコールセンタ等の受付オペレータが操作する装置である。顧客装置2は、前述したように、PC100等からなり、顧客資産管理システム1に対して、顧客装置情報を更新するための更新情報を送信する。顧客装置2は、更新情報を含む電子メールを顧客資産管理システム1に送信することによって、更新情報を顧客資産管理システム1に対して送信してもよいし、WEB入力によって更新情報を顧客資産管理システム1に対して送信してもよい。上記更新情報は、少なくとも顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の更新日時を含む情報である。
【0013】
制御部12は、更新情報入力部121、顧客装置情報読出部122、更新時刻比較部123、版数組合せ判断部124、更新判断部125、顧客装置情報書込部126を備える。更新情報入力部121は、顧客装置2から送信された更新情報を入力する。顧客装置情報読出部122は、入力された更新情報に対応する顧客装置情報を顧客装置情報DB101から読み出して取得し、取得した顧客装置情報を記憶部13に記憶する。更新時刻比較部123は、記憶部13に記憶された顧客装置情報に含まれる装置又は該装置の部品の最新の更新日時と、更新情報に含まれる装置又は該装置の部品の更新日時とを比較する。
【0014】
版数組合せ判断部124は、版数組合せテーブル16から版数組合せ情報を読み出して、更新情報における装置又は該装置の部品の版数が読み出された版数組合せ情報と合致するかを判断する。
【0015】
更新判断部125は、更新日時比較部123による、顧客装置情報に含まれる装置又は該装置の部品の最新の更新日時と更新情報に含まれる装置又は該装置の部品の更新日時との比較結果と、版数組合せ判断部124による、更新情報における装置又は該装置の部品の版数が読み出された版数組合せ情報と合致するかの判断結果とに基づいて、顧客装置情報の更新を許可するか否かを判断する。また、更新判断部125は、顧客装置情報の更新を許可しないと判断した場合に、上記顧客装置情報の更新要求元である顧客装置2に上記顧客装置情報の更新要求内容について問い合わせる。
【0016】
顧客装置情報書込部126は、更新判断部125によって顧客装置情報の更新が許可された場合に、更新情報に基づいて、顧客装置情報DB101中の該顧客装置情報を更新する。
【0017】
図2は、顧客資産管理システムの動作処理の概要を説明する図である。図2中に示す#1において、顧客装置2から更新情報が顧客資産管理システム1に対して送信されることによって更新要求が行われると、#2において、顧客資産管理システム1は、DBMSシステム10の顧客装置情報DB101から顧客装置情報を読み出す。次に、#3において、顧客資産管理システム1は、読み出した顧客装置情報に含まれる最新更新日時と、更新情報に含まれる更新日時とを比較し、#4において、該顧客装置情報に含まれる最新更新日時が更新情報に含まれる更新日時より前であるかを判定する。また、#5において、顧客資産管理システム1は、更新情報に含まれる新装置版数(更新対象の装置の新しい版数)と接続装置(更新対象の装置と接続する装置)の情報とによって決まる、装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報が、版数組合せテーブル16中の版数組合せ情報と合致するか(整合するか)を判断する。
【0018】
そして、#6において、顧客資産管理システム1は、上記#4において顧客装置情報に含まれる最新更新日時が更新情報に含まれる更新日時より前であり、かつ、上記#5において、装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報が、版数組合せ情報と合致する場合に、該顧客装置情報の更新指示を出し、#7において、該顧客装置情報を更新する。
【0019】
図3は、更新情報と顧客装置情報の一例を示す図である。この例では、顧客が、自身が運用する装置の版数を更新する場合に、顧客装置2から顧客資産管理システム1に対して送信される更新情報と、該更新情報に対応する顧客装置情報とについて説明する。
【0020】
図3(A)は、更新情報のデータ構成例を示す。図3(A)に示す更新情報は、指示NO、顧客名、対象装置名、設置場所、号機、現装置版数、新装置版数、情報入力者、・・・、更新日時といったデータ構成を有する。指示NOは、該更新情報を一意に識別する番号、顧客名は、顧客の名称、対象装置名は、更新対象である装置の名称、設置場所は、更新対象である装置の設置場所、号機は、更新対象である装置の号機の情報、現装置版数は、更新対象である装置の現在の版数、新装置版数は、更新対象である装置の新たな(更新後の)版数、情報入力者は、更新情報を入力した者の情報、更新日時は、更新対象である装置の版数を更新した日時である。
【0021】
図3(B)は、顧客装置情報のデータ構成例を示す。図3(B)に示す顧客装置情報は、顧客名、対象装置名、設置場所、稼働状態、製造番号、号機、現装置版数、接続装置、、・・・、最新更新日時といったデータ構成を有する。顧客名は、顧客の名称、対象装置名は、更新対象である装置の名称、設置場所は、更新対象である装置の設置場所、稼働状態は、更新対象である装置の稼働状態、製造番号は、更新対象である装置の製造番号、号機は、更新対象である装置の号機の情報、現装置版数は、更新対象である装置の現在の版数、接続装置は、更新対象である装置と接続する装置(接続装置)の名称及び該接続装置の版数の情報、最新更新日時は、該顧客の該更新対象である装置に対応する顧客装置情報の最新更新日時である。
以上は、顧客が自身が運用する装置の版数を、顧客装置2を使用して更新するケースを説明した。これ以外に例えばコールセンタで顧客からの連絡を受けて顧客装置2を使用するケースでも同様である。
【0022】
図4は、更新情報と顧客装置情報の他の例を示す図である。この例では、顧客が、自身が運用する装置の部品の版数を更新する場合に顧客装置2から顧客資産管理システム1に対して送信される更新情報と、該更新情報に対応する顧客装置情報とについて説明する。
【0023】
図4(A)は、更新情報のデータ構成の他の例を示す。図4(A)に示す更新情報は、指示NO、顧客名、対象装置名、設置場所、号機、入替部品名と版数、情報入力者、・・・、更新日時といったデータ構成を有する。指示NOは、該更新情報を一意に識別する番号、顧客名は、顧客の名称、対象装置名は、更新対象である部品からなる装置の名称、設置場所は、該装置の設置場所、号機は、該装置の号機の情報、入替部品名と版数は、更新対象である部品の名称と該部品の版数(更新後の版数)、情報入力者は、更新情報を入力した者の情報、更新日時は、更新対象である部品の版数を更新した日時である。
【0024】
図4(B)は、顧客装置情報のデータ構成の他の例を示す。図4(B)に示す顧客装置情報は、顧客名、対象装置名、設置場所、稼働状態、製造番号、号機、現装置版数、部品Aの版数、部品Bの版数、・・・、最新更新日時といったデータ構成を有する。顧客名は、顧客の名称、対象装置名は、更新対象である部品からなる装置の名称、設置場所は、該装置の設置場所、稼働状態は、該装置の稼働状態、製造番号は、該装置の製造番号、号機は、該装置の号機の情報、現装置版数は、該装置の現在の版数、部品Aの版数は、該装置の部品である部品Aの現在の版数、部品Bの版数は、該装置の部品である部品Bの現在の版数、最新更新日時は、該顧客の該更新対象である部品からなる装置に対応する顧客装置情報の最新更新日時である。
以上は顧客が顧客装置2を使用して更新するケースを説明した。これ以外に例えば顧客からの連絡を受けるコールセンタ等で顧客装置2を使用するケースでも同様である。
【0025】
図5は、版数組合せ情報の一例を示す図である。図5(A)は、部品系版数組合せ情報であって、装置Xを構成する複数のPT板(PT板A、B、C、D、・・・)の版数の組合せ情報を示す。図5(A)において、例えば、PT板Aの版数が「01」、PT板Bの版数が「01〜03」、PT板Cの版数が「01〜04」、PT板Dの版数が「01〜02」という版数の組合せが、許可される版数組合せ情報として版数組合せテーブル16に設定されている。同様に、PT板Aの版数が「02」、PT板Bの版数が「02〜04」、PT板Cの版数が「05」、PT板Dの版数が「02〜03」という版数の組合せ、PT板Aの版数が「03〜04」、PT板Bの版数が「03〜05」、PT板Cの版数が「06〜09」、PT板Dの版数が「04」という版数の組合せ、PT板Aの版数が「05」、PT板Bの版数が「06」、PT板Cの版数が「10〜11」、PT板Dの版数が「05〜07」という版数の組合せが、許可される版数組合せ情報として版数組合せテーブル16に設定されている。
【0026】
図5(B)は、部品系版数組合せ情報であって、装置Yを構成する複数のケーブル(ケーブルAA、BC、CC、DA、・・・)の版数の組合せ情報を示す。図5(B)において、例えば、ケーブルAAの版数が「01A」、ケーブルBCの版数が「01A〜03B」、ケーブルCCの版数が「01A〜04C」、ケーブルDAの版数が「01A〜02D」という版数の組合せが、許可される版数組合せ情報として版数組合せテーブル16に設定されている。同様に、例えば、ケーブルAAの版数が「02A〜03B」、ケーブルBCの版数が「02A〜04A」、ケーブルCCの版数が「05A〜05E」、ケーブルDAの版数が「02A〜03C」という版数の組合せ、ケーブルAAの版数が「03C〜04B」、ケーブルBCの版数が「03A〜05B」、ケーブルCCの版数が「06A〜09A」、ケーブルDAの版数が「04A〜04D」という版数の組合せ、ケーブルAAの版数が「05A〜05C」、ケーブルBCの版数が「06A〜06C」、ケーブルCCの版数が「10A〜11D」、ケーブルDAの版数が「05A〜07C」という版数の組合せが、許可される版数組合せ情報として版数組合せテーブル16に設定されている。
【0027】
図6は、版数組合せ情報の他の例を示す図である。図6においては、装置系版数組合せ情報であって、GGチャネル装置の版数と、GGチャネル装置と接続する接続装置であるSS磁気ディスク装置、HH磁気テープ装置、YYRAID装置等の版数の組合せ情報を示す。図6において、例えば、GGチャネル装置の版数が「10A〜12D」、SS磁気ディスク装置の版数が「20A〜22C」、HH磁気テープ装置の版数が「15A〜15F」、YYRAID装置の版数が「10C〜13D」という版数の組合せと、GGチャネル装置の版数が「13A〜15D」、SS磁気ディスク装置の版数が「23A〜23E」、HH磁気テープ装置の版数が「15A〜15F」、YYRAID装置の版数が「14A〜14F」という版数の組合せとが、許可される版数組合せ情報として版数組合せテーブル16に設定されている。
【0028】
図7は、更新情報送信処理フロー及び更新判断処理フローの例を示す図である。図7(A)は、更新情報送信処理フローの一例である。まず、顧客装置2が、顧客資産管理システム1に対して、更新情報を含む更新要求メールを送信する(ステップS1)。次に、顧客装置2は、顧客資産管理システム1から入力フォーマットを受信したかを判断する(ステップS2)。上記入力フォーマットとは、更新情報を入力するためのフォーマットである。例えば、図9(A)に示すような、顧客資産管理システム1に対して電子メール形式で返信するための入力フォーマット(メール送信フォーマット)が、顧客資産管理システム1から受信される。また、例えば、図9(B)に示すような、顧客資産管理システム1に対してWEB入力形式で通知するための入力フォーマット(WEB入力フォーマット)が、顧客資産管理システム1から受信される。
【0029】
顧客装置2が、顧客資産管理システム1から入力フォーマットを受信していないと判断した場合は、ステップS2に戻る。顧客装置2が、顧客資産管理システム1から入力フォーマットを受信したと判断した場合は、入力フォーマットに従って更新情報を入力して、該更新情報を顧客資産管理システム1に対して返信して(ステップS3)、処理を終了する。例えば、顧客が図9(A)に示すメール送信フォーマットに示される項目の空欄に情報を入力して電子メールで送信すると、前述した図3(A)又は図4(A)に示すデータ構成を有する更新情報が顧客資産管理システム1に送信される。また、例えば、顧客が図9(B)に示すWEB入力フォーマットに示される項目の空欄に情報を入力して送信ボタンを押下すると、前述した図3(A)又は図4(A)に示すデータ構成を有する更新情報が顧客資産管理システム1に送信される。
【0030】
図7(B)は、更新情報送信処理フローの一例である。まず、顧客資産管理システム1の更新情報入力部121が、顧客装置2から更新要求を受信したか判断する(ステップS11)。更新情報入力部121が、顧客装置2から更新要求を受信していないと判断した場合は、ステップS11に戻る。更新情報入力部121が、顧客装置2から更新要求メールを受信したと判断した場合は、更新情報入力部121は、受信した更新要求が電子メールの形式かを判断する(ステップS12)。更新情報入力部121が、受信した更新要求が電子メールの形式であると判断した場合、更新情報入力部121は、該メール送信元の顧客装置2へ入力フォーマットを送信する(ステップS13)。
【0031】
次に、更新情報入力部121は、顧客装置2からの更新情報の返信を受信したかを判断する(ステップS14)。更新情報入力部121が、顧客装置2からの更新情報の返信を受信していないと判断した場合、更新情報入力部121は、所定の時間が経過したか(タイムアウトとなったか)を判断する。更新情報入力部121が、タイムアウトとなっていないと判断した場合は、ステップS14に戻る。更新情報入力部121が、タイムアウトとなったと判断した場合、更新情報入力部121は、表示装置14に、例えば図10(A)に示すような、タイムアウトエラーがあったことを示すメッセージを出力させる(ステップS27)。
【0032】
上記ステップS12において、更新情報入力部121が、受信した更新要求が電子メールの形式でないと判断した場合、更新情報入力部121は、受信した更新要求がWEB入力によって顧客装置2から通知されたものであるかを判断する(ステップS24)。更新情報入力部121が、受信した更新要求がWEB入力によって顧客装置2から通知されたものであると判断した場合は、ステップS15に進む。更新情報入力部121が、受信した更新要求がWEB入力によって顧客装置2から通知されたものでないと判断した場合は、データ入力形式に応じた処理を行って(ステップS25)、ステップS15に進む。例えば、顧客装置2から受信した更新要求が、電話等によって通知されたものである場合、更新情報入力部121は、当該更新要求に含まれる更新情報を所定のバッファ内に記憶して、後述するステップS15における処理の対象とする。
【0033】
上記ステップS14において、更新情報入力部121が、顧客装置2からの更新情報の返信を受信したと判断した場合、更新情報入力部121は、該更新情報中に更新日時の情報があるかを判断する(ステップS15)。更新情報入力部121が、該更新情報中に更新日時の情報がないと判断した場合、更新情報入力部121は、表示装置14に、例えば図10(B)に示すような、更新情報中に更新日時の情報がないことを示すメッセージを出力させる(ステップS28)。また、更新情報入力部121は、顧客装置2に対して、例えば図11(A)に示すような、顧客装置2に対する問い合わせ時の入力フォーマットを送信して(ステップS29)、更新情報についての問い合わせを行う。図11(A)に示す入力フォーマット中の表示は、顧客に対して更新情報中の更新日時が無いことを通知するとともに、顧客に更新日時の項目の空欄に対する入力を促している。顧客が図11(A)に示す入力フォーマットに従って更新日時の項目に更新日時情報を入力して、該入力フォーマットを電子メール形式で返信すると、更新情報入力部121が該入力フォーマットを受信して、ステップS15の処理を行う。
【0034】
ステップS15において、更新情報入力部121が、該更新情報中に更新日時の情報があると判断した場合、顧客装置情報読出部122が、顧客装置情報101から該更新情報に対応する顧客装置情報を読み出す(ステップS16)。具体的には、顧客装置情報読出部122は、更新情報に含まれる顧客名及び対象装置名をキーとして、顧客装置情報DB101から該当する顧客装置情報を読み出す。
【0035】
次に、更新時刻比較部123が、読み出された顧客装置情報から最新更新日時情報を取得し(ステップS17)、顧客装置情報から取得された最新更新日時が更新情報中の更新日時より前であるかを判断する(ステップS18)。更新時刻比較部123が、顧客装置情報から取得された最新更新日時が更新情報中の更新日時より後である(更新情報中の更新日時が顧客装置情報から取得された最新更新日時より前である)と判断した場合、更新時刻比較部123は、表示装置14に、例えば図10(C)に示すような、更新情報中の更新日時が顧客装置情報の最新更新日時より前の時刻であって更新が許可されないことを示すメッセージを出力させる(ステップS30)。また、更新時刻比較部123は、顧客装置2に対して、例えば図11(B)に示すような、顧客装置2に対する問い合わせ時の入力フォーマットを送信して(ステップS31)、更新情報についての問い合わせを行う。
【0036】
上記ステップS18において、更新時刻比較部123が、顧客装置情報から取得された最新更新日時が更新情報中の更新日時より前であると判断した場合、図8のステップS19に進む。
【0037】
更新判断処理フローの例を示す図である図8のステップS19において、版数組合せ判断部124は、更新対象が装置か部品かを判断する(ステップS19)。版数組合せ判断部124が、更新対象が装置であると判断した場合、版数組合せ判断部124は、版数組合せテーブル16から該装置(例えば図3(A)に示す更新情報に含まれる対象装置名の項目に設定された名称を持つ装置)に対応する装置系版数組合せ情報を読み込む(ステップS20)。
【0038】
版数組合せ判断部124が、更新対象が部品であると判断した場合、版数組合せ判断部124は、版数組合せテーブル16から、該部品からなる装置(例えば図4(A)に示す更新情報に含まれる対象装置名の項目に設定された名称を持つ装置)に対応する部品系版数組合せ情報を読み込む(ステップS21)。版数組合せ判断部124が、更新対象が装置でも部品でもないと判断した場合、版数組合せ判断部124は、表示装置14に、例えば図10(D)に示すようなメッセージを出力させる(ステップS32)。また、版数組合せ判断部124は、例えば図12(A)に示すような、顧客装置2に対する問い合わせ時の入力フォーマットを送信して(ステップS33)、更新情報についての問い合わせを行う。
【0039】
ステップS22において、版数組合せ判断部124は、更新情報に基づいて決まる装置又は該装置の部品の版数の組合せがステップS21又はステップS20において読み込んだ版数組合せ情報と合致するかを判断する(ステップS22)。例えば、更新対象が装置である場合、版数組合せ判断部124は、例えば図3(A)に示す新装置版数の項目に設定された、該装置の新たな版数と、図3(B)に示す顧客装置情報中の接続装置の項目に設定された、該装置と接続する接続装置の版数との組合せが、ステップS20において読み込んだ装置系版数組合せ情報と合致するかを判断する。また、例えば、更新対象が部品である場合、版数組合せ判断部124は、図4(A)に示す更新情報中の入替部品名と版数の項目に設定された情報(例えば、更新対象である部品Aの名称と該部品Aの更新後の版数)から、例えば更新対象が部品Aであることと、部品Aの更新後の版数とを認識する。そして、版数組合せ判断部124は、該認識された部品Aの更新後の版数と、例えば図4(B)に示す部品Bの版数との組合せが、ステップS21において読み込んだ部品系版数組合せ情報と合致するかを判断する。
【0040】
ステップS22において、版数組合せ判断部124が、更新情報に基づいて決まる装置又は該装置の部品の版数の組合せが版数組合せ情報と合致しないと判断した場合、版数組合せ判断部124は、表示装置14に、例えば図10(E)に示すような、更新情報に基づいて決まる装置又は部品の版数の組合せが版数組合せ情報と合致せず、更新が許可されないことを示すメッセージを出力させる。また、更新時刻比較部123は、顧客装置2に対して、例えば図12(B)に示すような、顧客装置2に対する問い合わせ時の入力フォーマットを送信して(ステップS35)、更新情報についての問い合わせを行う。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の顧客資産管理システムの構成の一例を示す図である。
【図2】顧客資産管理システムの動作処理の概要を説明する図である。
【図3】更新情報と顧客装置情報の一例を示す図である。
【図4】更新情報と顧客装置情報の他の例を示す図である。
【図5】版数組合せ情報の一例を示す図である。
【図6】版数組合せ情報の他の例を示す図である。
【図7】更新情報送信処理フロー及び更新判断処理フローの例を示す図である。
【図8】更新判断処理フローの例を示す図である。
【図9】入力フォーマットの一例を示す図である。
【図10】出力されるメッセージの一例を示す図である。
【図11】顧客装置に対する問い合わせ時の入力フォーマットの例を示す図である。
【図12】顧客装置に対する問い合わせ時の入力フォーマットの例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 顧客資産管理システム
2 顧客装置
3 ネットワーク
10 DBMSシステム
11 通信部
12 制御部
13 記憶部
14 表示装置
15 DBMS接続部
16 版数組合せテーブル
100 PC
101 顧客装置情報DB
121 更新情報入力部
122 顧客装置情報読出部
123 更新時刻比較部
124 版数組合せ判断部
125 更新判断部
126 顧客装置情報書込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムサポート又はシステムメンテナンスのために、顧客が運用する装置の情報を管理するための顧客資産管理システムであって、
少なくとも上記顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の最新の更新日時を含む顧客装置情報を記憶する顧客装置情報記憶手段と、
上記顧客装置情報の更新要求元から送信される、少なくとも上記顧客が運用する装置の名称、該装置又は該装置の部品の版数、該装置又は該装置の部品の更新日時を含む更新情報を入力する更新情報入力手段と、
上記顧客装置情報記憶手段から上記顧客装置情報を読み出す顧客装置情報読出手段と、 上記更新情報における更新日時と上記読み出された顧客装置情報における更新日時とを比較する更新日時比較手段と、
上記装置の版数の組合せに関する情報と上記装置の部品の版数の組合せに関する情報とを版数組合せ情報として記憶する版数組合せ情報記憶手段と、
上記版数組合せ情報記憶手段から版数組合せ情報を読み出し、上記更新情報における該装置又は該装置の部品の版数が上記読み出された版数組合せ情報と合致するかを判断する版数組合せ判断手段と、
更新日時比較手段による上記更新情報における更新日時情報と上記読み出された顧客装置情報における更新日時情報との比較結果と、上記版数組合せ比較手段による上記更新情報における該装置又は該装置の部品の版数が上記読み出された版数組合せ情報と合致するかの判断結果とに基づいて、上記顧客装置情報の更新を許可するか否かを判断する更新判断手段とを備える
ことを特徴とする顧客資産管理システム。
【請求項2】
上記装置の版数の組合せに関する情報は、上記装置の版数と該装置に接続する接続装置の版数との組合せの情報であり、上記装置の部品の版数の組合せに関する情報は、上記装置の部品の版数と上記装置の他の部品の版数との組合せの情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の顧客資産管理システム。
【請求項3】
上記更新判断手段が、上記顧客装置情報の更新を許可しないと判断した場合に、上記顧客装置情報の更新要求元に上記顧客装置情報の更新要求内容について問い合わせる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の顧客資産管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−129759(P2008−129759A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312674(P2006−312674)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(598057291)株式会社富士通エフサス (147)
【Fターム(参考)】