風力タービン用のFRT(Fault−ride−through)方法、コンバータおよび発電ユニット
【課題】たとえば弱い接続系統を有するネットワークシステムにおいて安定なFRTを可能とするFRT(Fault-ride-through)制御を提供する。
【解決手段】提供されるFRT方法は、電力を送電する送電線(4)における瞬時電圧低下を検出するステップと、送電線(4)において瞬時電圧低下が検出されたとき、複数の送電線を有する電力ネットワークに給電点にて発電ユニット(2)によって供給される有効電流および/または有効電力を、特定値まで減少させるステップと、を有する。
【解決手段】提供されるFRT方法は、電力を送電する送電線(4)における瞬時電圧低下を検出するステップと、送電線(4)において瞬時電圧低下が検出されたとき、複数の送電線を有する電力ネットワークに給電点にて発電ユニット(2)によって供給される有効電流および/または有効電力を、特定値まで減少させるステップと、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービン用の高度なFRT(Fault-ride-through)方法に関する。さらに、本発明は、コンバータ、かかる風力タービン用コンバータを備える発電ユニット、および、かかる発電ユニットを有する少なくとも1つの風力タービンを含むウインドファームに関する。
【背景技術】
【0002】
短絡故障などの歪みが電力系統に発生した場合、電力ネットワークシステムが不安定となる場合がある。一時的な短絡が発生するとき、たとえば電力線が短絡すると、電力システムの構成要素に機能障害または破壊が生じる。
【0003】
発電ユニットが瞬時電圧低下を検出したとき、系統に供給される有効電流は減少される。特に、従来技術のFRT制御においては、接続系統を介して電力ネットワークに供給される有効電流は瞬時電圧低下に応じて減少される。接続系統に供給される有効電流は、比較的短い時間、減少される。その後、有効電力は瞬時電圧低下前の値まで増加される。
【0004】
図1は、従来技術におけるウインドファームに関する送電シナリオの例を示す。このようなウインドファームにはそれぞれがたとえば0.7kVの電圧を発生する複数の風力タービン2が含まれている。風力タービン2の電力は、風力タービン接続線4によって、電圧をたとえば33kVに変換する風力タービン変圧器6に送られる。この電力は、電力線8によってウインドファームコレクタ系統(すなわち、低電圧バスバー)10に供給される。コレクタ系統の電圧値は、ウインドファーム昇圧変圧器12によって、送電システム電圧たとえば132kVに変換される。ローカル負荷16が、分岐点(または第1のバス)14に接続されている。
【0005】
分岐点14(系統分岐ラジアルともいう)から、接続線18が共通接続点(第2のバスともいう)20において送電ネットワークシステムに接続されている。スイッチキャパシタ22は共通接続点に補助要素として接続されている。これらの補助要素は、システムの系統電圧の全般的な無効電力制御のために用いられる。
【0006】
送電ネットワークのネットワーク点28は、発電ユニット32を含む送電系統システムの均等点を構成する。このシステムは、相互接続線(または第1の電力線)24、共通接続点20および地域送電ネットワーク(または第2の電力線)26を介して、第2の発電ユニット34、および、消費者36を含む地域系統システムの消費点30を含んで表される地域送電ネットワークシステムと相互接続されている。
【0007】
例示のシナリオにおいて、電力は送電ネットワークのネットワーク点(または第3のバス)28から、共通接続点20を介して、消費点(または第4のバス)30に送られる。さらに、ウインドファームの風力タービン2から生成された電力はそれぞれ、一般送電系統、接続系統および接続線18を介して、共通接続点20に供給される。
【0008】
故障シナリオの一例では、地域送電線26は、深刻かつ損害を生じさせる短絡障害に曝されると、ネットワーク保護リレーによって切り離される。故障の生じた地域送電線26は重大な損害を受け、修復前に再接続は不可能である。この故障シナリオによれば、地域系統システムの消費点30はウインドファームおよびネットワーク点28に位置する系統システムからはもはや電力の供給は不可能となる。短絡はネットワークシステム全体に深刻な瞬時電圧低下を引き起こす。
【0009】
図2〜9を参照して、従来技術におけるFRTおよび故障後有効電力回復制御アルゴリズムについて説明する。
【0010】
特に、図2〜5は、49基の風力タービン2が接続線18を介して共通接続点20に接続されているシナリオのシミュレーションプロットを示す。図2は、共通接続点20の相対電圧のシミュレーションプロットを示す。短絡故障が地域送電線26において生じた約1秒の時点で150msの深刻な瞬時電圧低下が生じている。故障が解消したとき、共通接続点20における電圧は回復し、故障後電圧振動がおさまった後、点20における電圧は瞬時電圧低下以前と同じ電圧レベルに達する。
【0011】
図3は、風力タービン接続線4の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示す。したがって、図3は、風力タービン2のコンバータの相対電圧を表している。この従来技術のFRT制御において、コンバータは瞬時電圧低下の値に依存する値だけ、風力タービン接続線4に供給される有効電流を減少させる。
【0012】
図4は、統合ウインドファーム変圧器からウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10への全有効電力のシミュレーションプロットを示す。従来技術のFRT制御において、0.5〜1の値を有する係数によって、電流減少と瞬時電圧低下値との間の関係が定義される。このシナリオでは、減少係数は約0.5である。有効電力は、図4に示されるように、故障前の値の15%に減少される。風力タービン接続線4における電圧は、図3に示されるように、故障前の値の約30%である。
【0013】
有効電力は1秒未満という比較的短い時間で故障前の値に戻ることに留意すべきである。有効電力の振動は、基本的に瞬時電圧低下前の値におさまっていく。
【0014】
図5は、ウインドファームの統合風力タービン2によって生成された無効電力のシミュレーションプロットを示す。統合ウインドファーム変圧器からの全無効電力は、ウインドファーム変圧器12の低電圧バス線10に供給される。システム保護リレーが故障の生じた地域送電線26を切り離すことにより、ネットワーク系統のシナリオが変わるので、故障後の無効電力の全量は変化する。
【0015】
地域送電線26における深刻な故障によって引き起こされる瞬時電圧低下の後の比較的短い時間のうちに、ネットワークが安定に維持され、集約化されることに留意すべきである。地域送電線26および地域系統システムの消費点30が共通接続点20から切り離される一方で、ネットワークシステムは集約化される。
【0016】
特定のFRT回復条件は、いわゆる系統コードにより、各送電システムオペレータ、国のサービス提供者および各地方の流通サービス提供者によって標準化されている。
【0017】
図6〜9は、50基の風力タービン2がウインドファーム変圧器12および接続線18を介して共通接続点20に接続されているシナリオを示す。図6は、共通接続点20の電圧のシミュレーションプロットを示す。図6は図2に対応しており、図2は49基の風力タービンだけでウインドファームが構成されている場合を示している。図7は、風力タービン接続線4に電力を供給する風力タービン2のコンバータ電圧のシミュレーションプロットを示す。従って、図7は、接続された風力タービンの数を除いて、図3に対応している。
【0018】
図8は、統合ウインドファーム変圧器からウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10への全有効電力のシミュレーションプロットを示す。したがって、図8は図4に対応しており、図4はウインドファーム12に接続された49基だけの風力タービンのシミュレーションである。
【0019】
最後に、図9は、ウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10に供給される無効電力のシミュレーションプロットを示す。すなわち、図9は図5に対応する。
【0020】
図6〜9からわかるように、地域送電線26の故障により生じる瞬時電圧低下の後、ネットワークは不安定となる。接続線(すなわち接続系統)18は非常に弱い系統システムであるので、ネットワーク、および特に風力タービン2からの電圧および生成された電力は、不安定となる。この場合、ウインドファーム全体を負荷16が接続される分岐点14から切り離す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題を克服し、たとえば弱い接続系統を有するネットワークシステムにおいて安定なFRTを可能とするFRT制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的は、請求項1に係るFRT回復方法、請求項9に係るコンバータ、請求項10に係る発電ユニット、請求項11に係るウインドファーム、および請求項12に係るコンピュータプログラムによって達成される。
【0023】
本FRT回復方法は、送電を行う電力線における瞬時電圧低下を検出するためにこの電力線を監視する。好ましくは、監視される電力線は、本FRT回復方法を実行する発電ユニットが接続される電力線である。瞬時電圧低下がこの電力線に検出されると、複数の電力線を含む電力ネットワークに発電ユニットにより給電点において供給される有効電流および/または有効電力が、瞬時電圧低下の値に依存しない特定値、たとえば固定されたおよび/または予め定められた値まで減少される。
【0024】
発電ユニットを電力ネットワークに接続する電力線における電圧は、電力ネットワークにおける短絡によって瞬時電圧低下値へと減少しうる。瞬時電圧低下値はたとえば瞬時電圧低下前の値の50%、30%、25%または10%である。
【0025】
従来技術のFRT回復方法は、故障前の発電および瞬時電圧低下値に依存して、発電ユニットにより電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力を減少させる。すなわち、故障前の発電が定格生産であり、瞬時電圧低下値が故障前の電圧の50%である場合、電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力は、発電ユニットの定格電流値のたとえば50%に減少される。
【0026】
図6〜9を参照して上記にて説明したように、複数の、特に多数の発電ユニットたとえば風力タービンが電力ネットワークシステムの弱い接続系統を介して接続される場合には、従来技術のFRTおよび/または故障後の有効電力回復方法によれば不安定なものとなる。
【0027】
本発明の発明者らは、電力線に瞬時電圧低下が検出された場合に有効電流および/または有効電力が特定値まで減少されると、このような不安定さは回避可能であることを認識した。この特定値は、たとえば、所与の、予め定められたおよび/または固定された値である。すなわち、電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力は、瞬時電圧低下値に依存しないか、または、必ずしも瞬時電圧低下値にのみ依存するわけではない特定値まで減少される。したがって、各発電ユニットおよび全体のネットワークまたは電力系統の、向上された、安定なFRT能力が実現される。発電ユニットを接続する弱い接続系統がネットワークに含まれ、深刻な短絡故障に曝される場合に、発電ユニットは切り離される必要はない。これにより、電力ネットワーク全体および各発電ユニットの利用率が向上される。
【0028】
本発明の特に有利な実施形態および特徴は、従属請求項に記載されており、以下の説明にて明らかとされる。
【0029】
有効電流および/または有効電力の特定値、すなわち減少値は、たとえば、発電ユニットが接続される電力ネットワークの性質に依存する。有効電流および/または有効電力の特定値は、たとえば、電力ネットワークの給電点に接続された発電ユニットの数に依存する。電力ネットワークの性質は、たとえば、給電点と他の電力ネットワークを接続する接続系統によって定められる。給電点は、たとえば、共通接続点を構成するバスに接続系統を介して接続される。この性質は、たとえば、電力線、接続系統および/またはこれらに接続された電力構成要素たとえば変圧器の短絡容量、送電容量、インピーダンスその他である。
【0030】
複数の発電ユニットが電力ネットワークの給電点に接続されている場合、より多くの電力が、給電点と電力ネットワークとを接続している送電線または接続系統を介して、電力ネットワークに送られなければならない。
【0031】
給電点が弱い送電線または弱い接続系統によって他の電力ネットワークに接続されている場合、有効電流および/または有効電力の特定値は低いものとされる。さらに、より多くの発電ユニットが弱い電力線または弱い接続系統により電力ネットワークに接続される場合、有効電流および/または有効電力の特定値は調整され、たとえば低いものとされる。電力線または接続系統の性質は、たとえば、電力線または接続系統のインピーダンスおよび送電性質によって定められる。弱い電力線または接続系統は、たとえば、強い電力線または接続系統と比較して、より高いインピーダンスおよび/またはより低い送電容量を有する。FRT回復方法は、たとえばFRT有効電力回復方法である。
【0032】
FRT回復方法は、たとえば、瞬時電圧低下による有効電流および/または有効電力の減少後、有効電流および/または有効電力の振動がおさまるまで待機するステップを含む。その後、たとえば、有効電流および/または有効電力は戻され、すなわち瞬時電圧低下前の値まで増加される。有利には、たとえば、FRT回復方法は、有効電流および/または有効電力の振動が予め定められたしきい値未満に減少するまで待機するステップを含む。故障が解消され、発電機の電圧が予め定められたしきい値まで回復した後では、有効回復電流および/または有効電力は特定値から増加するのみであるため、発電機および電力ネットワーク全体の安定性は保証される。有効電流および/または有効電力の増加は、特に、予め定められた関数、たとえば線形関数により実行可能である。
【0033】
弱い電力線または弱い接続系統により複数の発電ユニットが給電点において電力システムネットワークに接続されている場合に、このFRT回復方法は特に適している。この高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、特に電力ネットワークの弱い電力線または接続系統により多数の発電ユニットが電力システムネットワークに接続されている状況において、電力ネットワークシステムの安定性を向上させ保証するための発電ユニットに関する新規で高度なコンセプトとして解釈可能である。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、より多くの新たな大規模ウインドファームが遠隔の人口のまばらな地帯に配置されていることから、多くの場合弱い系統システムに接続されているウインドファームに特に適している。ウインドファームはたとえば外れの人気のない地帯または海岸沿いまたは沖合に配置されており、既存の強い電力ネットワーク系統から離れている。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカにおける田舎の人口のまばらな地帯などの、地理的な理由から強い相互接続を有しない、電力ネットワークにも適している。
【0034】
高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、電圧が通常の動作状態から瞬時電圧低下の前の故障前の値に回復させるとき、有効電流および/または有効電力を予め定められたおよび/または特定期間にわたって特定値から特定関数により増加させる。特に、故障後有効電流および/または有効電力の回復は、基本的に線形に増加する。ウインドファームおよび発電ユニットを接続する弱い系統の全体的な故障後安定性は、大きく向上させる。
【0035】
予め定められた、故障後有効電流および/または電力回復期間は、ウインドファームまたは発電ユニットが電力システムへの共通接続点にて接続された電力ネットワークの性質、および/または、発電ユニットの数に依存し、そして発電された有効電力は電力ネットワークの給電点に注入される。経験的に、より多くの発電ユニットおよびこのようなより高い有効電力生産が電力ネットワークの給電点にて注入される場合、この特定期間はより長いものとなる。また、発電ユニットを給電点にて電力ネットワークに接続するための弱い電力線または接続系統を電力ネットワークが含む場合、この特定期間はより長いものとなる。
【0036】
この特定期間は、共通接続ネットワーク系統の静的および動的性質に依存し、たとえば典型的には1秒よりも長く、数秒以下である。故障後の有効電流の特定かつ最適化された値および/または特定期間、すなわち、有効電力の戻り時間は、シミュレーションにより定めることができる。
【0037】
したがって、本発明は、また、FRT回復イベントをシミュレートする方法によって適切な固定値を定める方法を開示する。統合発電ユニットが接続される電力ネットワークのデータが提供される。電力ネットワークについてのデータはたとえば発電ユニットのための給電点を電力システムネットワークに接続する接続系統または電力線のデータを含む。接続系統に接続されるべき少なくとも1つの統合発電ユニットのデータが提供される。少なくとも1つの統合発電ユニットのデータには、たとえば、発電ユニットのインピーダンス、最大供給電力、電力制御の完全なデータおよびコンバータのデータなどが含まれる。FRT回復は、電力ネットワークおよび少なくとも1つの統合発電ユニットにおける電圧、電流、電力および/または瞬時電圧低下をシミュレートすることによりシミュレートすることができる。電気装置および電力ネットワーク全体の値をシミュレートする必要はない。典型的には、他のネットワークに対する給電点に接続される送電線または接続系統の静的状態および動的性質に関するデータおよび電気的な値のみが考慮されるべきである。有効電流およびまたは有効電力の適切な特定値は電力ネットワークの少なくとも一部の性質に依存し、完全なFRTおよび/または故障後シーケンスイベントをシミュレートすることにより定められる。FRT回復をシミュレートすることにより、電力ネットワークの給電点に接続される発電ユニットの数および生成される有効電力生産に依存して、適切な特定値を定めることができる。適切な特定値は、たとえば、許容される時間内に、電力ネットワークの少なくとも一部の不安定さを引き起こすことなく、かつ、発電ユニットの不安定な動作のリスクを生じさせることなく、通常の動作が保持されるように定められる。
【0038】
また、本発明は、FRTおよび/または回復シーケンスイベントをシミュレートすることにより適切な予め定められた期間を定める方法を開示する。発電ユニットが接続される電力ネットワークの少なくとも一部のデータが提供される。電力ネットワークに接続される少なくとも1つの発電ユニットのデータが提供される。FRTおよび/または故障後有効電流および/または有効回復は、電力ネットワークの少なくとも一部および少なくとも1つの発電ユニットにおける電圧、電力および/または瞬時電圧低下をシミュレートすることによりシミュレートされる。適切な故障後有効電力回復時間および/または関数は、FRTおよび/または故障後有効電力回復イベントシーケンスをシミュレートすることにより、電力ネットワークの少なくとも一部の性質に依存して定められる。適切な予め定められたまたは特定期間および/または関数は、たとえば、発電ユニットの数および電力ネットワークの給電点に注入された生成された有効電力生産に依存して、FRTおよび/または故障後有効電力回復をシミュレートすることにより、定められる。予め定められた期間および/または関数は、たとえば、瞬時電圧低下後の許容される時間の通常動作が保持され、かつ、電力ネットワークまたは発電ユニットにおける不安定性が生じないように選択される。FRTおよび/または故障後有効電力回復をシミュレートする第1および第2の方法は組み合わされてもよい。
【0039】
本発明は、瞬時電圧低下を検出する検出器、および、高度なFRTを実行するリデューサを有するコンバータおよび/または故障後有効電力回復方法を開示する。検出器は、たとえば、監視ユニットから信号を受信するインタフェース、または、瞬時電圧低下の発生を示す決定ユニットである。
【0040】
各風力タービンは、1つのコンバータを有する。コンバータは、たとえば、サイリスタ、TRIAC、パワーFET、IGBT、PWMなどのパワーエレクトロニクス部品を有する。
【0041】
さらに、本発明は、このようなコンバータを有する発電ユニットを開示する。この発電ユニットは、たとえば、風力タービンである。
【0042】
本発明は、また、複数の風力タービンを有するウインドファームを開示し、ここでは、少なくとも1つの風力タービンが上述の発電ユニットを有する。
【0043】
また、本発明は、FRTおよび/または故障後有効電力回復方法ならびにFRTをシミュレートする方法のステップを実行するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を開示する。これらの方法は、プログラム可能なコンピュータにおいて実行可能である。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法はまた、プログラム可能なロジック要素を含んでも良いロジック要素によって実行されても良い。
【0044】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、図面は例示のみを目的としたものであり、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】昇圧変圧器および電力線を介して送電システムネットワークの相互接続点に接続される発電ユニットを有するウインドファームの概略を示す。
【図2】従来技術のFRT方法の相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図3】従来技術のFRT方法の風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図4】従来技術のFRT方法のウインドファーム変圧器を介して供給された統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図5】従来技術のFRT方法のウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図6】従来技術のFRT方法の相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図7】従来技術のFRT方法の風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図8】従来技術のFRT方法のウインドファーム変圧器を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図9】従来技術のFRT方法のウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図10】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法における相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図11】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法における風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図12】本発明に係る高度なFRTおよび故障後有効電力回復制御シーケンスを示す。
【図13】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファーム変圧器を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図14】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図15】電力線に接続された風力タービンの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面中、同様の番号は全体を通して同様の対象を意味する。図面中の対象は必ずしも寸法を表すものではない。
【0047】
本発明について好ましい実施形態およびその変形として開示するが、種々のさらなる修正および変形が本発明の範囲を逸脱することなくなし得ることは理解されるべきである。
【0048】
本発明にかかる高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法について、図1、10〜14を参照して説明する。図1を参照して、60基の風力タービン2がウインドファームコレクタバス10を介してウインドファーム昇圧変圧器12に接続されている。60基の風力タービンは共通接続点(または第2のバス)20および地域送電線26を介して地域系統システムの消費点30に電力を供給する。上述のように、消費者36は風力タービン2により生成される電力、および、たとえば第1の発電ユニット32のネットワーク系統システムから送られる電力を消費する。
【0049】
シミュレートされる故障シナリオでは、上述のように、地域送電線26の故障および切り離しが発生する。したがって、シミュレートされる故障シナリオは、従来技術のFRT方法に関して図1〜9を参照して説明されたシナリオに、弱い接続系統または接続線18を有する電力ネットワークに更に多くの風力タービン、たとえば20%より多くの風力タービンが接続されていることを除いて対応している。
【0050】
図10はFRTの間の共通接続点20の相対電圧のシミュレーションプロットを示す。地域送電線26が短絡故障に曝されてその後切り離されるため、1秒の時点で瞬時電圧低下が発生する。地域送電線26の切り離しおよび高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法の開始後、共通接続点20の相対電圧は故障前の値に戻る。
【0051】
図11は、本発明1に係るFRTにおける統合風力タービン接続線4の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示す。地域送電線26の切り離しおよび高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法の開始の後、風力タービン接続線4の相対電圧は故障前の値に戻る。
【0052】
図12は、本発明に係る高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御シーケンスを示す。故障の検出後、有効電力および/または電流は所定の値まで減少される。有効電力基準も特定値まで減少する。FRTの停止後、風力タービンにより供給される故障後有効電流は戻り時間にわたって線形に増加する。戻り時間は、たとえば、2秒より長く、好ましくは4秒より長く、より好ましくは6秒より長く、最も好ましくは8秒より長い。
【0053】
図13は、本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法のウインドファーム変圧器12を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示す。瞬時電圧低下の後、各風力タービン2により供給される有効電力は予め定められた値まで減少される。FRTの停止後、故障後有効電力は予め定められた時間にわたって増加し、好ましくは有効電力は線形に増加する。図13から理解されるように、振動がおさまるかまたは予め定められたしきい値未満まで減少した後、有効電力は予め定められた値まで増加される。これにより、ウインドファームおよび電力ネットワークの安定性および利用率は向上され、弱い接続系統18を含む電力ネットワークにより多くの風力タービン2が接続可能である。
【0054】
図14は、本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示す。無効電力は統合風力タービンの動的な電圧制御を反映し、包括的なサポートを提供し、故障後系統電圧を安定化するために用いられる。電流および/または電力は、振動が予め定められたしきい値未満に減少した後、安定な値まで戻される。この方法は、電力ネットワークの安定性および利用率を向上させ、弱い接続系統18を含む電力ネットワークにより多くの風力タービン2が接続可能である。
【0055】
ネットワーク構成は、地域送電線26、および/または、地域系統システム30の消費点に接続された別の系統要素を切り離すことにより変更されるので、図14に記載のシミュレーションにおいて無効電力は故障前の値まで戻らない。
【0056】
風力タービンの詳細を示す図15を参照する。この風力タービンは3本のブレード38を有する。ブレード38は発電機のロータ40に接続され、ロータ40はステータ42に囲まれている。発電機により生成される電力はコンバータ機械ブリッジを介してACからDCリンクに整流され、さらにネットワークブリッジインバータによって変換され、風力タービン接続線8を介して電力ネットワークに注入される。風力タービンはさらにコンバータターミナル電圧と風力タービン接続線4の電力状態を監視する監視ユニット50を有する。瞬時電圧低下が発生する場合、監視ユニット50は瞬時電圧低下が発生していることを示す信号をコンバータ46の検出器48に送る。その後、コンバータ46のリデューサ52の高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御システムは、上述の改善されたFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法を実行開始する。
【0057】
このようなリデューサ52は、サイリスタ、TRIAC、パワーFET、IGBT、PWMなどのパワーエレクトロニクス部品および/または本発明において適切な有効電流および/または電力を減少するソフトウェアから構成される。
【0058】
本発明に係る高度なFRT方法は、複数の発電ユニットが弱い接続系統を含む電力ネットワークに接続された電力ネットワークに関して、新たな系統コードまたは補助系統コードを定義可能である。このような高度なFRT方法によれば、電力ネットワークの安定性および利用率が向上され、より多くの発電ユニットが弱い接続系統を含む電力ネットワークに接続可能となる。
【0059】
意味を明りょうとするため、本願の全体において「1つの」とは複数を除くものではなく、「含む」、「有する」、「備える」とは他のステップまたは要素を除く物ではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0060】
2 風力タービン、 4 風力タービン接続線、 6 風力タービン変圧器、 8 電力線、 10 ウインドファームコレクタ系統、 12 ウインドファーム昇圧変圧器、 14 分岐点、 16 局所負荷、 18 接続線、 20 共通接続点、 22 スイッチキャパシタ、 24 相互接続線、 26 地域送電ネットワーク、 28 ネットワーク点、 30 消費点、 32 発電ユニット、 34 発電ユニット、 36 消費者
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービン用の高度なFRT(Fault-ride-through)方法に関する。さらに、本発明は、コンバータ、かかる風力タービン用コンバータを備える発電ユニット、および、かかる発電ユニットを有する少なくとも1つの風力タービンを含むウインドファームに関する。
【背景技術】
【0002】
短絡故障などの歪みが電力系統に発生した場合、電力ネットワークシステムが不安定となる場合がある。一時的な短絡が発生するとき、たとえば電力線が短絡すると、電力システムの構成要素に機能障害または破壊が生じる。
【0003】
発電ユニットが瞬時電圧低下を検出したとき、系統に供給される有効電流は減少される。特に、従来技術のFRT制御においては、接続系統を介して電力ネットワークに供給される有効電流は瞬時電圧低下に応じて減少される。接続系統に供給される有効電流は、比較的短い時間、減少される。その後、有効電力は瞬時電圧低下前の値まで増加される。
【0004】
図1は、従来技術におけるウインドファームに関する送電シナリオの例を示す。このようなウインドファームにはそれぞれがたとえば0.7kVの電圧を発生する複数の風力タービン2が含まれている。風力タービン2の電力は、風力タービン接続線4によって、電圧をたとえば33kVに変換する風力タービン変圧器6に送られる。この電力は、電力線8によってウインドファームコレクタ系統(すなわち、低電圧バスバー)10に供給される。コレクタ系統の電圧値は、ウインドファーム昇圧変圧器12によって、送電システム電圧たとえば132kVに変換される。ローカル負荷16が、分岐点(または第1のバス)14に接続されている。
【0005】
分岐点14(系統分岐ラジアルともいう)から、接続線18が共通接続点(第2のバスともいう)20において送電ネットワークシステムに接続されている。スイッチキャパシタ22は共通接続点に補助要素として接続されている。これらの補助要素は、システムの系統電圧の全般的な無効電力制御のために用いられる。
【0006】
送電ネットワークのネットワーク点28は、発電ユニット32を含む送電系統システムの均等点を構成する。このシステムは、相互接続線(または第1の電力線)24、共通接続点20および地域送電ネットワーク(または第2の電力線)26を介して、第2の発電ユニット34、および、消費者36を含む地域系統システムの消費点30を含んで表される地域送電ネットワークシステムと相互接続されている。
【0007】
例示のシナリオにおいて、電力は送電ネットワークのネットワーク点(または第3のバス)28から、共通接続点20を介して、消費点(または第4のバス)30に送られる。さらに、ウインドファームの風力タービン2から生成された電力はそれぞれ、一般送電系統、接続系統および接続線18を介して、共通接続点20に供給される。
【0008】
故障シナリオの一例では、地域送電線26は、深刻かつ損害を生じさせる短絡障害に曝されると、ネットワーク保護リレーによって切り離される。故障の生じた地域送電線26は重大な損害を受け、修復前に再接続は不可能である。この故障シナリオによれば、地域系統システムの消費点30はウインドファームおよびネットワーク点28に位置する系統システムからはもはや電力の供給は不可能となる。短絡はネットワークシステム全体に深刻な瞬時電圧低下を引き起こす。
【0009】
図2〜9を参照して、従来技術におけるFRTおよび故障後有効電力回復制御アルゴリズムについて説明する。
【0010】
特に、図2〜5は、49基の風力タービン2が接続線18を介して共通接続点20に接続されているシナリオのシミュレーションプロットを示す。図2は、共通接続点20の相対電圧のシミュレーションプロットを示す。短絡故障が地域送電線26において生じた約1秒の時点で150msの深刻な瞬時電圧低下が生じている。故障が解消したとき、共通接続点20における電圧は回復し、故障後電圧振動がおさまった後、点20における電圧は瞬時電圧低下以前と同じ電圧レベルに達する。
【0011】
図3は、風力タービン接続線4の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示す。したがって、図3は、風力タービン2のコンバータの相対電圧を表している。この従来技術のFRT制御において、コンバータは瞬時電圧低下の値に依存する値だけ、風力タービン接続線4に供給される有効電流を減少させる。
【0012】
図4は、統合ウインドファーム変圧器からウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10への全有効電力のシミュレーションプロットを示す。従来技術のFRT制御において、0.5〜1の値を有する係数によって、電流減少と瞬時電圧低下値との間の関係が定義される。このシナリオでは、減少係数は約0.5である。有効電力は、図4に示されるように、故障前の値の15%に減少される。風力タービン接続線4における電圧は、図3に示されるように、故障前の値の約30%である。
【0013】
有効電力は1秒未満という比較的短い時間で故障前の値に戻ることに留意すべきである。有効電力の振動は、基本的に瞬時電圧低下前の値におさまっていく。
【0014】
図5は、ウインドファームの統合風力タービン2によって生成された無効電力のシミュレーションプロットを示す。統合ウインドファーム変圧器からの全無効電力は、ウインドファーム変圧器12の低電圧バス線10に供給される。システム保護リレーが故障の生じた地域送電線26を切り離すことにより、ネットワーク系統のシナリオが変わるので、故障後の無効電力の全量は変化する。
【0015】
地域送電線26における深刻な故障によって引き起こされる瞬時電圧低下の後の比較的短い時間のうちに、ネットワークが安定に維持され、集約化されることに留意すべきである。地域送電線26および地域系統システムの消費点30が共通接続点20から切り離される一方で、ネットワークシステムは集約化される。
【0016】
特定のFRT回復条件は、いわゆる系統コードにより、各送電システムオペレータ、国のサービス提供者および各地方の流通サービス提供者によって標準化されている。
【0017】
図6〜9は、50基の風力タービン2がウインドファーム変圧器12および接続線18を介して共通接続点20に接続されているシナリオを示す。図6は、共通接続点20の電圧のシミュレーションプロットを示す。図6は図2に対応しており、図2は49基の風力タービンだけでウインドファームが構成されている場合を示している。図7は、風力タービン接続線4に電力を供給する風力タービン2のコンバータ電圧のシミュレーションプロットを示す。従って、図7は、接続された風力タービンの数を除いて、図3に対応している。
【0018】
図8は、統合ウインドファーム変圧器からウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10への全有効電力のシミュレーションプロットを示す。したがって、図8は図4に対応しており、図4はウインドファーム12に接続された49基だけの風力タービンのシミュレーションである。
【0019】
最後に、図9は、ウインドファーム変圧器12の低電圧バスバー10に供給される無効電力のシミュレーションプロットを示す。すなわち、図9は図5に対応する。
【0020】
図6〜9からわかるように、地域送電線26の故障により生じる瞬時電圧低下の後、ネットワークは不安定となる。接続線(すなわち接続系統)18は非常に弱い系統システムであるので、ネットワーク、および特に風力タービン2からの電圧および生成された電力は、不安定となる。この場合、ウインドファーム全体を負荷16が接続される分岐点14から切り離す必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題を克服し、たとえば弱い接続系統を有するネットワークシステムにおいて安定なFRTを可能とするFRT制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的は、請求項1に係るFRT回復方法、請求項9に係るコンバータ、請求項10に係る発電ユニット、請求項11に係るウインドファーム、および請求項12に係るコンピュータプログラムによって達成される。
【0023】
本FRT回復方法は、送電を行う電力線における瞬時電圧低下を検出するためにこの電力線を監視する。好ましくは、監視される電力線は、本FRT回復方法を実行する発電ユニットが接続される電力線である。瞬時電圧低下がこの電力線に検出されると、複数の電力線を含む電力ネットワークに発電ユニットにより給電点において供給される有効電流および/または有効電力が、瞬時電圧低下の値に依存しない特定値、たとえば固定されたおよび/または予め定められた値まで減少される。
【0024】
発電ユニットを電力ネットワークに接続する電力線における電圧は、電力ネットワークにおける短絡によって瞬時電圧低下値へと減少しうる。瞬時電圧低下値はたとえば瞬時電圧低下前の値の50%、30%、25%または10%である。
【0025】
従来技術のFRT回復方法は、故障前の発電および瞬時電圧低下値に依存して、発電ユニットにより電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力を減少させる。すなわち、故障前の発電が定格生産であり、瞬時電圧低下値が故障前の電圧の50%である場合、電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力は、発電ユニットの定格電流値のたとえば50%に減少される。
【0026】
図6〜9を参照して上記にて説明したように、複数の、特に多数の発電ユニットたとえば風力タービンが電力ネットワークシステムの弱い接続系統を介して接続される場合には、従来技術のFRTおよび/または故障後の有効電力回復方法によれば不安定なものとなる。
【0027】
本発明の発明者らは、電力線に瞬時電圧低下が検出された場合に有効電流および/または有効電力が特定値まで減少されると、このような不安定さは回避可能であることを認識した。この特定値は、たとえば、所与の、予め定められたおよび/または固定された値である。すなわち、電力ネットワークに供給される有効電流および/または有効電力は、瞬時電圧低下値に依存しないか、または、必ずしも瞬時電圧低下値にのみ依存するわけではない特定値まで減少される。したがって、各発電ユニットおよび全体のネットワークまたは電力系統の、向上された、安定なFRT能力が実現される。発電ユニットを接続する弱い接続系統がネットワークに含まれ、深刻な短絡故障に曝される場合に、発電ユニットは切り離される必要はない。これにより、電力ネットワーク全体および各発電ユニットの利用率が向上される。
【0028】
本発明の特に有利な実施形態および特徴は、従属請求項に記載されており、以下の説明にて明らかとされる。
【0029】
有効電流および/または有効電力の特定値、すなわち減少値は、たとえば、発電ユニットが接続される電力ネットワークの性質に依存する。有効電流および/または有効電力の特定値は、たとえば、電力ネットワークの給電点に接続された発電ユニットの数に依存する。電力ネットワークの性質は、たとえば、給電点と他の電力ネットワークを接続する接続系統によって定められる。給電点は、たとえば、共通接続点を構成するバスに接続系統を介して接続される。この性質は、たとえば、電力線、接続系統および/またはこれらに接続された電力構成要素たとえば変圧器の短絡容量、送電容量、インピーダンスその他である。
【0030】
複数の発電ユニットが電力ネットワークの給電点に接続されている場合、より多くの電力が、給電点と電力ネットワークとを接続している送電線または接続系統を介して、電力ネットワークに送られなければならない。
【0031】
給電点が弱い送電線または弱い接続系統によって他の電力ネットワークに接続されている場合、有効電流および/または有効電力の特定値は低いものとされる。さらに、より多くの発電ユニットが弱い電力線または弱い接続系統により電力ネットワークに接続される場合、有効電流および/または有効電力の特定値は調整され、たとえば低いものとされる。電力線または接続系統の性質は、たとえば、電力線または接続系統のインピーダンスおよび送電性質によって定められる。弱い電力線または接続系統は、たとえば、強い電力線または接続系統と比較して、より高いインピーダンスおよび/またはより低い送電容量を有する。FRT回復方法は、たとえばFRT有効電力回復方法である。
【0032】
FRT回復方法は、たとえば、瞬時電圧低下による有効電流および/または有効電力の減少後、有効電流および/または有効電力の振動がおさまるまで待機するステップを含む。その後、たとえば、有効電流および/または有効電力は戻され、すなわち瞬時電圧低下前の値まで増加される。有利には、たとえば、FRT回復方法は、有効電流および/または有効電力の振動が予め定められたしきい値未満に減少するまで待機するステップを含む。故障が解消され、発電機の電圧が予め定められたしきい値まで回復した後では、有効回復電流および/または有効電力は特定値から増加するのみであるため、発電機および電力ネットワーク全体の安定性は保証される。有効電流および/または有効電力の増加は、特に、予め定められた関数、たとえば線形関数により実行可能である。
【0033】
弱い電力線または弱い接続系統により複数の発電ユニットが給電点において電力システムネットワークに接続されている場合に、このFRT回復方法は特に適している。この高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、特に電力ネットワークの弱い電力線または接続系統により多数の発電ユニットが電力システムネットワークに接続されている状況において、電力ネットワークシステムの安定性を向上させ保証するための発電ユニットに関する新規で高度なコンセプトとして解釈可能である。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、より多くの新たな大規模ウインドファームが遠隔の人口のまばらな地帯に配置されていることから、多くの場合弱い系統システムに接続されているウインドファームに特に適している。ウインドファームはたとえば外れの人気のない地帯または海岸沿いまたは沖合に配置されており、既存の強い電力ネットワーク系統から離れている。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカにおける田舎の人口のまばらな地帯などの、地理的な理由から強い相互接続を有しない、電力ネットワークにも適している。
【0034】
高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法は、電圧が通常の動作状態から瞬時電圧低下の前の故障前の値に回復させるとき、有効電流および/または有効電力を予め定められたおよび/または特定期間にわたって特定値から特定関数により増加させる。特に、故障後有効電流および/または有効電力の回復は、基本的に線形に増加する。ウインドファームおよび発電ユニットを接続する弱い系統の全体的な故障後安定性は、大きく向上させる。
【0035】
予め定められた、故障後有効電流および/または電力回復期間は、ウインドファームまたは発電ユニットが電力システムへの共通接続点にて接続された電力ネットワークの性質、および/または、発電ユニットの数に依存し、そして発電された有効電力は電力ネットワークの給電点に注入される。経験的に、より多くの発電ユニットおよびこのようなより高い有効電力生産が電力ネットワークの給電点にて注入される場合、この特定期間はより長いものとなる。また、発電ユニットを給電点にて電力ネットワークに接続するための弱い電力線または接続系統を電力ネットワークが含む場合、この特定期間はより長いものとなる。
【0036】
この特定期間は、共通接続ネットワーク系統の静的および動的性質に依存し、たとえば典型的には1秒よりも長く、数秒以下である。故障後の有効電流の特定かつ最適化された値および/または特定期間、すなわち、有効電力の戻り時間は、シミュレーションにより定めることができる。
【0037】
したがって、本発明は、また、FRT回復イベントをシミュレートする方法によって適切な固定値を定める方法を開示する。統合発電ユニットが接続される電力ネットワークのデータが提供される。電力ネットワークについてのデータはたとえば発電ユニットのための給電点を電力システムネットワークに接続する接続系統または電力線のデータを含む。接続系統に接続されるべき少なくとも1つの統合発電ユニットのデータが提供される。少なくとも1つの統合発電ユニットのデータには、たとえば、発電ユニットのインピーダンス、最大供給電力、電力制御の完全なデータおよびコンバータのデータなどが含まれる。FRT回復は、電力ネットワークおよび少なくとも1つの統合発電ユニットにおける電圧、電流、電力および/または瞬時電圧低下をシミュレートすることによりシミュレートすることができる。電気装置および電力ネットワーク全体の値をシミュレートする必要はない。典型的には、他のネットワークに対する給電点に接続される送電線または接続系統の静的状態および動的性質に関するデータおよび電気的な値のみが考慮されるべきである。有効電流およびまたは有効電力の適切な特定値は電力ネットワークの少なくとも一部の性質に依存し、完全なFRTおよび/または故障後シーケンスイベントをシミュレートすることにより定められる。FRT回復をシミュレートすることにより、電力ネットワークの給電点に接続される発電ユニットの数および生成される有効電力生産に依存して、適切な特定値を定めることができる。適切な特定値は、たとえば、許容される時間内に、電力ネットワークの少なくとも一部の不安定さを引き起こすことなく、かつ、発電ユニットの不安定な動作のリスクを生じさせることなく、通常の動作が保持されるように定められる。
【0038】
また、本発明は、FRTおよび/または回復シーケンスイベントをシミュレートすることにより適切な予め定められた期間を定める方法を開示する。発電ユニットが接続される電力ネットワークの少なくとも一部のデータが提供される。電力ネットワークに接続される少なくとも1つの発電ユニットのデータが提供される。FRTおよび/または故障後有効電流および/または有効回復は、電力ネットワークの少なくとも一部および少なくとも1つの発電ユニットにおける電圧、電力および/または瞬時電圧低下をシミュレートすることによりシミュレートされる。適切な故障後有効電力回復時間および/または関数は、FRTおよび/または故障後有効電力回復イベントシーケンスをシミュレートすることにより、電力ネットワークの少なくとも一部の性質に依存して定められる。適切な予め定められたまたは特定期間および/または関数は、たとえば、発電ユニットの数および電力ネットワークの給電点に注入された生成された有効電力生産に依存して、FRTおよび/または故障後有効電力回復をシミュレートすることにより、定められる。予め定められた期間および/または関数は、たとえば、瞬時電圧低下後の許容される時間の通常動作が保持され、かつ、電力ネットワークまたは発電ユニットにおける不安定性が生じないように選択される。FRTおよび/または故障後有効電力回復をシミュレートする第1および第2の方法は組み合わされてもよい。
【0039】
本発明は、瞬時電圧低下を検出する検出器、および、高度なFRTを実行するリデューサを有するコンバータおよび/または故障後有効電力回復方法を開示する。検出器は、たとえば、監視ユニットから信号を受信するインタフェース、または、瞬時電圧低下の発生を示す決定ユニットである。
【0040】
各風力タービンは、1つのコンバータを有する。コンバータは、たとえば、サイリスタ、TRIAC、パワーFET、IGBT、PWMなどのパワーエレクトロニクス部品を有する。
【0041】
さらに、本発明は、このようなコンバータを有する発電ユニットを開示する。この発電ユニットは、たとえば、風力タービンである。
【0042】
本発明は、また、複数の風力タービンを有するウインドファームを開示し、ここでは、少なくとも1つの風力タービンが上述の発電ユニットを有する。
【0043】
また、本発明は、FRTおよび/または故障後有効電力回復方法ならびにFRTをシミュレートする方法のステップを実行するプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム製品を開示する。これらの方法は、プログラム可能なコンピュータにおいて実行可能である。高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復方法はまた、プログラム可能なロジック要素を含んでも良いロジック要素によって実行されても良い。
【0044】
本発明の他の目的および特徴は、添付の図面と関連して考慮される以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。しかし、図面は例示のみを目的としたものであり、本発明を限定するものではないことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】昇圧変圧器および電力線を介して送電システムネットワークの相互接続点に接続される発電ユニットを有するウインドファームの概略を示す。
【図2】従来技術のFRT方法の相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図3】従来技術のFRT方法の風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図4】従来技術のFRT方法のウインドファーム変圧器を介して供給された統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図5】従来技術のFRT方法のウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、49基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図6】従来技術のFRT方法の相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図7】従来技術のFRT方法の風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図8】従来技術のFRT方法のウインドファーム変圧器を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図9】従来技術のFRT方法のウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、50基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図10】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法における相互接続バスの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図11】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法における風力タービン接続線の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図12】本発明に係る高度なFRTおよび故障後有効電力回復制御シーケンスを示す。
【図13】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファーム変圧器を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図14】本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示し、ここでは、60基の風力タービンが電力システムネットワークの給電点に接続されている。
【図15】電力線に接続された風力タービンの詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面中、同様の番号は全体を通して同様の対象を意味する。図面中の対象は必ずしも寸法を表すものではない。
【0047】
本発明について好ましい実施形態およびその変形として開示するが、種々のさらなる修正および変形が本発明の範囲を逸脱することなくなし得ることは理解されるべきである。
【0048】
本発明にかかる高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法について、図1、10〜14を参照して説明する。図1を参照して、60基の風力タービン2がウインドファームコレクタバス10を介してウインドファーム昇圧変圧器12に接続されている。60基の風力タービンは共通接続点(または第2のバス)20および地域送電線26を介して地域系統システムの消費点30に電力を供給する。上述のように、消費者36は風力タービン2により生成される電力、および、たとえば第1の発電ユニット32のネットワーク系統システムから送られる電力を消費する。
【0049】
シミュレートされる故障シナリオでは、上述のように、地域送電線26の故障および切り離しが発生する。したがって、シミュレートされる故障シナリオは、従来技術のFRT方法に関して図1〜9を参照して説明されたシナリオに、弱い接続系統または接続線18を有する電力ネットワークに更に多くの風力タービン、たとえば20%より多くの風力タービンが接続されていることを除いて対応している。
【0050】
図10はFRTの間の共通接続点20の相対電圧のシミュレーションプロットを示す。地域送電線26が短絡故障に曝されてその後切り離されるため、1秒の時点で瞬時電圧低下が発生する。地域送電線26の切り離しおよび高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法の開始後、共通接続点20の相対電圧は故障前の値に戻る。
【0051】
図11は、本発明1に係るFRTにおける統合風力タービン接続線4の1つの相対電圧のシミュレーションプロットを示す。地域送電線26の切り離しおよび高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法の開始の後、風力タービン接続線4の相対電圧は故障前の値に戻る。
【0052】
図12は、本発明に係る高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御シーケンスを示す。故障の検出後、有効電力および/または電流は所定の値まで減少される。有効電力基準も特定値まで減少する。FRTの停止後、風力タービンにより供給される故障後有効電流は戻り時間にわたって線形に増加する。戻り時間は、たとえば、2秒より長く、好ましくは4秒より長く、より好ましくは6秒より長く、最も好ましくは8秒より長い。
【0053】
図13は、本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法のウインドファーム変圧器12を介して供給される統合ウインドファームの有効電力のシミュレーションプロットを示す。瞬時電圧低下の後、各風力タービン2により供給される有効電力は予め定められた値まで減少される。FRTの停止後、故障後有効電力は予め定められた時間にわたって増加し、好ましくは有効電力は線形に増加する。図13から理解されるように、振動がおさまるかまたは予め定められたしきい値未満まで減少した後、有効電力は予め定められた値まで増加される。これにより、ウインドファームおよび電力ネットワークの安定性および利用率は向上され、弱い接続系統18を含む電力ネットワークにより多くの風力タービン2が接続可能である。
【0054】
図14は、本発明に係るFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法におけるウインドファームの統合風力タービンにより生成される無効電力のシミュレーションプロットを示す。無効電力は統合風力タービンの動的な電圧制御を反映し、包括的なサポートを提供し、故障後系統電圧を安定化するために用いられる。電流および/または電力は、振動が予め定められたしきい値未満に減少した後、安定な値まで戻される。この方法は、電力ネットワークの安定性および利用率を向上させ、弱い接続系統18を含む電力ネットワークにより多くの風力タービン2が接続可能である。
【0055】
ネットワーク構成は、地域送電線26、および/または、地域系統システム30の消費点に接続された別の系統要素を切り離すことにより変更されるので、図14に記載のシミュレーションにおいて無効電力は故障前の値まで戻らない。
【0056】
風力タービンの詳細を示す図15を参照する。この風力タービンは3本のブレード38を有する。ブレード38は発電機のロータ40に接続され、ロータ40はステータ42に囲まれている。発電機により生成される電力はコンバータ機械ブリッジを介してACからDCリンクに整流され、さらにネットワークブリッジインバータによって変換され、風力タービン接続線8を介して電力ネットワークに注入される。風力タービンはさらにコンバータターミナル電圧と風力タービン接続線4の電力状態を監視する監視ユニット50を有する。瞬時電圧低下が発生する場合、監視ユニット50は瞬時電圧低下が発生していることを示す信号をコンバータ46の検出器48に送る。その後、コンバータ46のリデューサ52の高度なFRTおよび/または故障後有効電力回復制御システムは、上述の改善されたFRTおよび/または故障後有効電力回復制御方法を実行開始する。
【0057】
このようなリデューサ52は、サイリスタ、TRIAC、パワーFET、IGBT、PWMなどのパワーエレクトロニクス部品および/または本発明において適切な有効電流および/または電力を減少するソフトウェアから構成される。
【0058】
本発明に係る高度なFRT方法は、複数の発電ユニットが弱い接続系統を含む電力ネットワークに接続された電力ネットワークに関して、新たな系統コードまたは補助系統コードを定義可能である。このような高度なFRT方法によれば、電力ネットワークの安定性および利用率が向上され、より多くの発電ユニットが弱い接続系統を含む電力ネットワークに接続可能となる。
【0059】
意味を明りょうとするため、本願の全体において「1つの」とは複数を除くものではなく、「含む」、「有する」、「備える」とは他のステップまたは要素を除く物ではないことを理解されたい。
【符号の説明】
【0060】
2 風力タービン、 4 風力タービン接続線、 6 風力タービン変圧器、 8 電力線、 10 ウインドファームコレクタ系統、 12 ウインドファーム昇圧変圧器、 14 分岐点、 16 局所負荷、 18 接続線、 20 共通接続点、 22 スイッチキャパシタ、 24 相互接続線、 26 地域送電ネットワーク、 28 ネットワーク点、 30 消費点、 32 発電ユニット、 34 発電ユニット、 36 消費者
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を送電する送電線(4)における瞬時電圧低下を検出するステップと、
前記送電線(4)において瞬時電圧低下が検出されたとき、複数の送電線を有する電力ネットワークの給電点における発電ユニット(2)によって供給される有効電流および/または有効電力を特定値まで減少させるステップと、
を有する、ことを特徴とするFRT(Fault-ride-through)方法。
【請求項2】
前記有効電流および/または有効電力の特定値は、前記発電ユニット(2)が接続されている前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存しており、および/または、前記有効電流および/または有効電力の特定値は、前記電力ネットワークの給電点に接続されている前記発電ユニット(2)の数に依存している、請求項1記載のFRT方法。
【請求項3】
有効電流および/または有効電力の減少後、前記有効電流および/または有効電力の振動が実質的におさまるまで待機するステップと、
その後、有効電流および/または有効電力を前記瞬時電圧低下の前に達していた値まで実質的に増加させるステップと、
をさらに備える、請求項1または2記載のFRT方法。
【請求項4】
有効電流および/または有効電力を予め定められた期間にわたって、特定関数により、前記固定値から前記瞬時電圧低下の前に達していた値に増加させるステップをさらに有し、
有効電流および/または有効電力は好ましくは線形に増加される、
請求項1乃至3のいずれか1項記載のFRT方法。
【請求項5】
前記予め定められた期間は、前記発電機(2)が給電点にて接続されている前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存しており、および/または、前記電力ネットワークの給電点にて接続される前記発電ユニット(2)の数に依存している、請求項4記載のFRT方法。
【請求項6】
前記予め定められた期間は、1秒より長く、好ましくは2秒より長く、より好ましくは4秒より長く、より好ましくは6秒より長く、より好ましくは7秒より長い、請求項4または5記載のFRT方法。
【請求項7】
前記特定値および/または前記予め定められた期間は、シミュレーションにより定められる、請求項1乃至6のいずれか1項記載のFRT方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のFRT方法のための適切な特定値および/または適切な特定期間をシミュレーション方法によって定める方法であって、
発電ユニット(2)が接続される電力ネットワークの少なくとも一部のデータを与えるステップと、
前記電力ネットワークに接続される少なくとも1つの発電ユニット(2)のデータを与えるステップと、
前記電力ネットワークの少なくとも一部および前記少なくとも1つの発電ユニット(1)における電圧、電流、電力および/または瞬時電圧低下のシミュレーションにより、FRTおよび/または故障後の電力回復をシミュレートするステップと、
を有し、さらに、
前記FRTおよび/または故障後有効電力回復のシミュレーションにより、前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存して、適切な特定値および/または適切な予め定められた期間を定めるステップ、および/または、
前記FRTおよび故障後有効電力回復シーケンスイベントのシミュレーションにより、前記電力ネットワークの給電点に接続される前記発電ユニット(2)の数に依存して、前記適切な特定値および/または適切な特定期間を定めるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
瞬時電圧低下を検出する検出器(48)と、請求項1乃至7のいずれか1項記載のステップを実行するよう構成されたリデューサ(52)とをさらに備える、コンバータ(46)。
【請求項10】
請求項9記載のコンバータを備える発電ユニット(2)。
【請求項11】
複数の風力タービン(2)を備えるウインドファームであって、少なくとも1つの風力タービン(2)が請求項10記載の発電ユニットを備える、ウインドファーム。
【請求項12】
コンピュータのメモリにロードされて、請求項1乃至8のいずれか1項記載のステップを実行するプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項1】
電力を送電する送電線(4)における瞬時電圧低下を検出するステップと、
前記送電線(4)において瞬時電圧低下が検出されたとき、複数の送電線を有する電力ネットワークの給電点における発電ユニット(2)によって供給される有効電流および/または有効電力を特定値まで減少させるステップと、
を有する、ことを特徴とするFRT(Fault-ride-through)方法。
【請求項2】
前記有効電流および/または有効電力の特定値は、前記発電ユニット(2)が接続されている前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存しており、および/または、前記有効電流および/または有効電力の特定値は、前記電力ネットワークの給電点に接続されている前記発電ユニット(2)の数に依存している、請求項1記載のFRT方法。
【請求項3】
有効電流および/または有効電力の減少後、前記有効電流および/または有効電力の振動が実質的におさまるまで待機するステップと、
その後、有効電流および/または有効電力を前記瞬時電圧低下の前に達していた値まで実質的に増加させるステップと、
をさらに備える、請求項1または2記載のFRT方法。
【請求項4】
有効電流および/または有効電力を予め定められた期間にわたって、特定関数により、前記固定値から前記瞬時電圧低下の前に達していた値に増加させるステップをさらに有し、
有効電流および/または有効電力は好ましくは線形に増加される、
請求項1乃至3のいずれか1項記載のFRT方法。
【請求項5】
前記予め定められた期間は、前記発電機(2)が給電点にて接続されている前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存しており、および/または、前記電力ネットワークの給電点にて接続される前記発電ユニット(2)の数に依存している、請求項4記載のFRT方法。
【請求項6】
前記予め定められた期間は、1秒より長く、好ましくは2秒より長く、より好ましくは4秒より長く、より好ましくは6秒より長く、より好ましくは7秒より長い、請求項4または5記載のFRT方法。
【請求項7】
前記特定値および/または前記予め定められた期間は、シミュレーションにより定められる、請求項1乃至6のいずれか1項記載のFRT方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のFRT方法のための適切な特定値および/または適切な特定期間をシミュレーション方法によって定める方法であって、
発電ユニット(2)が接続される電力ネットワークの少なくとも一部のデータを与えるステップと、
前記電力ネットワークに接続される少なくとも1つの発電ユニット(2)のデータを与えるステップと、
前記電力ネットワークの少なくとも一部および前記少なくとも1つの発電ユニット(1)における電圧、電流、電力および/または瞬時電圧低下のシミュレーションにより、FRTおよび/または故障後の電力回復をシミュレートするステップと、
を有し、さらに、
前記FRTおよび/または故障後有効電力回復のシミュレーションにより、前記電力ネットワークの少なくとも一部の特性に依存して、適切な特定値および/または適切な予め定められた期間を定めるステップ、および/または、
前記FRTおよび故障後有効電力回復シーケンスイベントのシミュレーションにより、前記電力ネットワークの給電点に接続される前記発電ユニット(2)の数に依存して、前記適切な特定値および/または適切な特定期間を定めるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
瞬時電圧低下を検出する検出器(48)と、請求項1乃至7のいずれか1項記載のステップを実行するよう構成されたリデューサ(52)とをさらに備える、コンバータ(46)。
【請求項10】
請求項9記載のコンバータを備える発電ユニット(2)。
【請求項11】
複数の風力タービン(2)を備えるウインドファームであって、少なくとも1つの風力タービン(2)が請求項10記載の発電ユニットを備える、ウインドファーム。
【請求項12】
コンピュータのメモリにロードされて、請求項1乃至8のいずれか1項記載のステップを実行するプログラムコード手段を備える、コンピュータプログラム製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−125144(P2012−125144A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−268986(P2011−268986)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268986(P2011−268986)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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