説明

風呂追焚き装置

【課題】循環ポンプのメンテナンス作業を容易に行えるようにした風呂追焚き装置を提供する。
【解決手段】追焚き回路を浴槽1に接続する循環金具8を浴槽1に設ける。循環金具8に、浴槽1の湯水を追焚き回路に循環させる循環ポンプ10を設ける。循環金具8に、浴槽1の側壁を貫通して固定される胴部9と、先端が浴槽1内に向かって開口して追焚き回路に連通する連通筒部11とを設ける。循環ポンプ10の駆動軸23に設けられたポンプ羽根24を、駆動軸23の軸線方向に沿って連通筒部11の開口から抜き取り自在に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の湯水を循環させつつ加熱して追焚きする風呂追焚き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風呂追焚き装置として、浴槽を設置した浴室の壁を隔てた外部に循環加熱装置(例えば、風呂追焚き機能付き給湯器)を設置し、循環加熱装置と浴槽との間で湯水を循環させることにより加熱された湯水を浴槽に供給して追焚きを行うものが知られている。
【0003】
この種の風呂追焚き装置においては、循環加熱装置が、浴槽に接続される追焚き回路と、この追焚き回路を循環する湯水を加熱する追焚き加熱手段とを備えており、循環加熱装置から浴室の壁を貫通して配管される追焚き回路の追焚き往き管と追焚き戻り管とが、浴槽に設けられた循環金具に接続されて追焚き時の循環経路を形成している。
【0004】
この循環経路における湯水の循環は、循環ポンプにより強制的に行われる。そして、この種の風呂追焚き装置においては、循環ポンプの耐熱性やエアかみを考慮して、循環ポンプを循環金具に設けたものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0005】
循環ポンプを循環金具に設けることにより、循環加熱装置の筐体内に設けた場合に比べて循環ポンプへの熱の影響を軽減することができ、循環ポンプの耐久性が向上する。更に、追焚き動作時には、循環金具に浴槽の湯水が満たされるので、呼び水のための動作が不要となって追焚き動作が迅速に行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−222410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、追焚き回路に異物(髪の毛等)が侵入すると、回転するポンプ羽根に異物が付着して、循環ポンプの円滑な動作が阻害される。通常、循環金具にはフィルタが設けられているが、フィルタを通過した異物が追焚き回路に侵入することがあり、フィルタを設けるだけでは不十分である。このため、循環ポンプに対して掃除等のメンテナンスを行う必要がある。
【0008】
しかし、循環ポンプに対するメンテナンス作業は、循環ポンプが循環金具に設けられている場合、先ず、循環金具を浴槽から取り外し、次いで循環金具を分解する等によって循環ポンプを循環金具から取り外して行われる。このため、循環ポンプのメンテナンス作業は極めて手数がかかる不都合がある。また、循環金具と浴槽との間には浴槽からの水漏れを防止するためのパッキンが設けられているが、循環ポンプのメンテナンス作業時にパッキンを傷付けたり、メンテナンス作業終了時にパッキンの取り付けが不十分である場合には、循環金具と浴槽との間から水漏れが発生するおそれがある。
【0009】
上記の点に鑑み、本発明は、循環ポンプのメンテナンス作業を容易に行えるようにした風呂追焚き装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明は、浴槽と、該浴槽に設けた循環金具を介して該浴槽に接続される追焚き回路と、該追焚き回路を介して前記浴槽内の湯水を循環させる循環ポンプと、前記追焚き回路を循環する湯水を加熱する追焚き加熱手段とを備える風呂追焚き装置において、前記循環ポンプは前記循環金具に設けられ、前記循環金具は、前記浴槽の側壁を貫通して固定される胴部と、該胴部に形成され、先端が前記浴槽内に向かって開口して前記追焚き回路に連通する連通筒部とを備え、前記循環ポンプは、駆動軸と該駆動軸に設けられたポンプ羽根とを備えると共に、少なくとも該ポンプ羽根が前記駆動軸の軸線方向に沿って前記連通筒部の開口から抜き取り自在に配設されていることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、前記連通筒部の開口から前記ポンプ羽根を抜き取って循環ポンプの掃除を行うことができるので、浴槽から循環金具を取り外したり、循環金具を分解する等の作業が不要となり、循環ポンプのメンテナンス作業の煩わしさを飛躍的に軽減することができる。
【0012】
また、本発明において、前記追焚き回路は、前記追焚き加熱手段により加熱された湯水を前記浴槽へ送る追焚き往き管と、前記浴槽の湯水を前記追焚き加熱手段へ送る追焚き戻り管とを備え、前記循環金具の前記胴部は、前記追焚き往き管に接続して前記浴槽内に湯水を導入する導入路と、前記追焚き戻り管に接続して前記浴槽内から湯水を導出する導出路とを備え、前記連通筒部は、前記導出路の上流端に設けられてその先端の開口を覆う着脱自在のフィルタを備え、前記ポンプ羽根は、前記駆動軸の軸線と前記連通筒部の軸線とが一致する姿勢とされて、前記フィルタを取り外すことにより前記連通筒部の開口から抜き取り可能となるように設けられていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、例えば、前記フィルタを掃除するために連通筒部の先端から取り外したとき、連通筒部の先端が開放されて、循環金具の内部から連通筒部を通してポンプ羽根を抜き取ることができるようになるので、フィルタの掃除の際に循環ポンプのメンテナンス作業も同時に行えて、その作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の風呂追焚き装置を示す概略構成図。
【図2】本実施形態における循環金具の構成を示す断面説明図。
【図3】流路形成部材の正面図。
【図4】連通筒部の開放作業を示す説明図。
【図5】開放された連通筒部の内部を浴槽内側から示す説明図。
【図6】ポンプ羽根の抜き取り状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の風呂追焚き装置は、図1に概略を示すように、浴室に設置された浴槽1と、浴槽1に接続される追焚き機能付きのガス給湯器2とで構成される。
【0016】
給湯器2は、浴室の壁Wの外側(屋外)に設置されている。また、図示を省略したが、給湯器2の筐体2aの内部には、ガスバーナと、ガスバーナにより加熱される給湯用熱交換器及び追焚き用熱交換器とが設けられている。
【0017】
給湯器2は追焚き機能を備える周知のものを採用することができる。即ち、ガスバーナは、ガス供給管3から供給される燃料ガスを燃料として燃焼運転が行われる。給湯用熱交換器は、給水管4と出湯管5との間に接続されて給湯回路を構成している。追焚き用熱交換器は、追焚き往き管6と追焚き戻り管7との間に接続されて追焚き回路を構成している。なお、本実施形態におけるガスバーナ及び追焚き用熱交換器は、本発明の追焚き加熱手段に相当するものである。
【0018】
追焚き往き管6と追焚き戻り管7とは、浴室の壁Wを貫通して浴室内に延び、循環金具8を介して浴槽1に接続される。循環金具8は、図2に示すように、胴部9と循環ポンプ10とを備えている。
【0019】
胴部9は、浴槽1の側壁を貫通して浴槽1の内側と外側とにわたって取り付けられ、その内部に円筒中空状の連通筒部11を備えている。胴部9は、固定リング12により浴槽1に固定されている。浴槽1を貫通する部分の胴部9の外周面と固定リング12の内周面とには互いに螺合可能となる図示省略した螺条が形成されている。一方、浴槽1の外側に位置する部分の胴部9の外周には段部13が形成されている。
【0020】
そして、胴部9に固定リング12を螺合させて固定リング12を浴槽1の内壁面に圧接させることで、胴部9の段部13がパッキン14を介して浴槽1の外面に密着する。これにより、循環金具8の胴部9は、浴槽1からの水漏れを防止した状態で浴槽1に固定される。
【0021】
胴部9の連通筒部11には、流路形成部材15が抜き取り自在に挿入されている。流路形成部材15には、浴槽1に湯水を導入するための導入路16と、浴槽1から湯水を導出するための導出路17とが形成されている。また、流路形成部材15の後端側外周には環状のシール部材15aが取り付けられており、流路形成部材15が連通筒部11に挿入されているときには、流路形成部材15の外周面と連通筒部11の内周面との間がシール部材15aにより確実に封止される。
【0022】
図3により流路形成部材15を正面視して示すように、導出路17は流路形成部材15の中央部に形成されている。導入路16は導出路17の外側空間に位置し、一対の隔壁18,18で区画されることにより形成されている。
【0023】
なお、導入路16は、流路形成部材15の浴槽1の内側に位置する端部(先端)で開放されているが、胴部9(連通筒部11)の先端に着脱自在に嵌着される閉塞部材19により閉塞された状態となる。
【0024】
図2に示すように、導入路16の下流端は、胴部9の先端で径方向に開設された導入口20に連通し、導入路16の上流端は、胴部9に形成された貫通孔21を介して追焚き往き管6と連通する。
【0025】
また、図2に示すように、胴部9の浴槽1の外側に位置する端部(後端)には循環ポンプ10が連結されている。循環ポンプ10は、駆動モータ22と、駆動モータ22の駆動軸23に連結されたポンプ羽根24とを備えている。駆動モータ22は、所謂防水型ブラシレスモータであり、モータケース25の周壁の内部に水密に収納された電機子巻線による固定子26と、駆動軸23に設けられた永久磁石による回転子27とによって構成されている。固定子26の電機子巻線には、給電ケーブル28を介して給湯器2から給電される(図1参照)。これにより、循環ポンプ10は、給湯器2側から制御される。
【0026】
駆動軸23はモータケース25内部の軸受け凹部29に回転自在且つ着脱自在に支持されている。即ち、回転子27及びポンプ羽根24は、駆動軸23と一体の状態で、容易にモータケース25内部から取り外すことができるようになっている。
【0027】
ここで、図2に示すように、ポンプ羽根24や回転子27の外径に比べて、胴部9の連通筒部11の内径が大きく形成されている。更に、回転子27及びポンプ羽根24は、駆動軸23の軸線と連通筒部11の軸線とが一致する姿勢で設けられている。詳しくは後述するが、これによって、駆動軸23と一体の回転子27及びポンプ羽根24を、連通筒部11を介して胴部9の先端側に引き抜くことができる。
【0028】
また、ポンプ羽根24は、胴部9の後端に形成されたポンプ室30に収容されている。ポンプ室30は流路形成部材15の導出路17に連通する。また、ポンプ室30の周壁には、ポンプ羽根24の回転によって流動する湯水を追焚き戻り管7に送出する送出孔31が形成されている。
【0029】
なお、循環ポンプ10は、そのモータケース25が図示しないネジ等の連結部材により胴部9の後端に連結されることにより、胴部9と一体的に設けられている。これにより、ポンプ室30とモータケース25とが連通状態とされる。また、モータケース25の前端面には、環状のシール部材25aが取り付けられており、このシール部材25aによりモータケース25と胴部9との間が液密に封止される。
【0030】
胴部9の先端には浴槽1内の湯水に混在する異物を捕捉するためのフィルタ32が設けられている。フィルタ32は、胴部9の先端を覆うようにして着脱自在に嵌着された支持キャップ33により支持されている。
【0031】
なお、胴部9の先端を覆うようにして嵌着される前記閉塞部材19と支持キャップ33との夫々には、胴部9の先端に形成された導入口20を閉塞することのないように、切欠き34,35が形成されている。
【0032】
循環ポンプ10を作動させることによりポンプ羽根24が回転すると、ポンプ室30に水流が形成される。このとき、ポンプ室30は、流路形成部材15の導出路17に連通していて浴槽1の湯水で満たされた状態にあるため、循環ポンプ10の作動開始時には既に呼び水が得られた状態となっている。従って、上記構成によれば、循環ポンプ10への呼び水の供給が不要であり、循環ポンプ10の作動開始から浴槽1の湯水の循環が開始されるまでの遅れがなく、追焚き運転を迅速に行うことができる。
【0033】
そして、上記構成によれば、循環ポンプ10のメンテナンスや、循環金具8の各部の掃除を極めて容易に行うことができる。即ち、図4に示すように、フィルタ32を支持キャップ33と共に胴部9から取り外し、次いで、閉塞部材19を胴部9から取り外す。続いて、連通筒部11から流路形成部材15を抜き取ると、連通筒部11の先端が開放される。
【0034】
これにより、胴部9から取り外したフィルタ32、閉塞部材19、及び流路形成部材15の掃除が行える。
【0035】
そして、連通筒部11の先端が開放されると、図5において浴槽1の内部から示すように、連通筒部11を介してその奥側にポンプ羽根24が視認できる。前述した通り、連通筒部11の内径は、ポンプ羽根24及び回転子27の外径よりも大きいので、図6に示すように、ポンプ羽根24を把持して引き抜くことにより、ポンプ羽根24及び回転子27を駆動軸23と一体の状態で取り外すことができる。
【0036】
これにより、連通筒部11を介して取り外したポンプ羽根24に付着する異物や、ポンプ室30の内面及びモータケース25の内面に付着する異物を容易に取り除くことができる。
【0037】
以上のように、本実施形態によれば、循環金具8の胴部9を浴槽1から取り外すことなく、容易にポンプ羽根24を取り外すことができ、しかも、図6に示すように、胴部9の内部をその全長にわたって開放された状態とすることができる。これにより、循環ポンプ10のメンテナンス作業や各部の掃除を極めて容易に行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態においては、ポンプ羽根24及び回転子27を駆動軸23と一体の状態で取り外すことができる循環ポンプ10を示したが、本発明はこれに限らない。例えば、それ以外の循環ポンプとして、図示しないが、固定子及び回転子がモータケースに封止され、駆動軸が水密に回転可能な状態でモータケースから突出され、ポンプ羽根が駆動軸から取り外し自在とされているものであっても、上述の実施形態と同様に、ポンプ羽根のみを循環金具から取り外してポンプ羽根の掃除等を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0039】
1…浴槽、6…追焚き往き管、7…追焚き戻り管、8…循環金具、9…胴部、10…循環ポンプ、11…連通筒部、16…導入路、17…導出路、23…駆動軸、24…ポンプ羽根、32…フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、該浴槽に設けた循環金具を介して該浴槽に接続される追焚き回路と、該追焚き回路を介して前記浴槽内の湯水を循環させる循環ポンプと、前記追焚き回路を循環する湯水を加熱する追焚き加熱手段とを備える風呂追焚き装置において、
前記循環ポンプは前記循環金具に設けられ、
前記循環金具は、前記浴槽の側壁を貫通して固定される胴部と、該胴部に形成され、先端が前記浴槽内に向かって開口して前記追焚き回路に連通する連通筒部とを備え、
前記循環ポンプは、駆動軸と該駆動軸に設けられたポンプ羽根とを備えると共に、少なくともポンプ羽根が前記駆動軸の軸線方向に沿って前記連通筒部の開口から抜き取り自在に配設されていることを特徴とする風呂追焚き装置。
【請求項2】
請求項1記載の風呂追焚き装置において、
前記追焚き回路は、前記追焚き加熱手段により加熱された湯水を前記浴槽へ送る追焚き往き管と、前記浴槽の湯水を前記追焚き加熱手段へ送る追焚き戻り管とを備え、
前記循環金具の前記胴部は、前記追焚き往き管に接続して前記浴槽内に湯水を導入する導入路と、前記追焚き戻り管に接続して前記浴槽内から湯水を導出する導出路とを備え、
前記連通筒部は、前記導出路の上流端に設けられてその先端の開口を覆う着脱自在のフィルタを備え、
前記ポンプ羽根は、前記駆動軸の軸線と前記連通筒部の軸線とが一致する姿勢とされて、前記フィルタを取り外すことにより前記連通筒部の開口から抜き取り可能となるように設けられていることを特徴とする風呂追焚き装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−108691(P2013−108691A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254732(P2011−254732)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】