説明

風船用ホルダー

【課題】ホルダーを安価に製造でき、出荷時に嵩張らず風船を傷つけるおそれがなく、販売時の手間がきわめて容易で使用時の強度も優れた風船用ホルダーを提供する。
【解決手段】シートSに形成された逆三角形状を成す複数枚の支持片2を折りたたみ、支持片2が連続するホルダー1を設ける。各支持片2で囲まれて略漏斗状を成したホルダー1下端部に挿通孔3を開穿し、該挿通孔3に前記保持棒20をスライド自在に挿入する。ホルダー1は、一対の支持片2が対向するように設けられ、該支持片2は出荷時に前記保持棒20を挿通した状態で重ねられ、使用時に略漏斗状に広げて前記風船10を保持するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入口の内部に逆止弁を設けた風船と、該風船の注入口に空気を注入するように連結されたストロー状の保持棒との連結部分に装着する風船用ホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、風船の注入口に逆止弁を設け、該風船の注入口に空気注入用ストローを連結した風船装置が記載されている。この風船装置は、ストローから風船に空気を注入すると共に、このストローを風船の保持棒として用いるものである。この保持棒は、風船の注入口に差し込んだ状態でテープ等にて連結され、この連結部を保持部(以下、ホルダーと称する)が被覆している。このホルダーは、注入口と保持棒との離脱を防止し、膨らませた風船を保持棒の先で安定させるために用いるもので、注入口から風船の膨らんだ部分にかけて保持するように断面略漏斗状を成している。
【0003】
特許文献2は、前記特許文献1のホルダーと保持棒とを改良したものである。すなわち、文献1のホルダーや保持棒に代わる留め具を設けることで、風船と分離した状態で出荷できるようにしたフィルム風船に関するものである。
【0004】
特許文献3には、ホルダーを安価に提供できるようにした風船ホルダが記載されている。このホルダでは、従来のプラスチック製のホルダーを紙製にすると共に、略漏斗状のホルダーをスティック状に形成することで、ホルダーの製造価格を安価にしたものである。
【0005】
【特許文献1】実開昭64−3698号公報
【特許文献2】特開平9−285648号公報
【特許文献3】特開2002−143571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の風船装置では、略漏斗状のホルダーをプラスチックで成形しているので、このホルダーの製造価格が他の部材と比較して著しく高くなる不都合があった。このような風船玩具を扱う業界では、玩具として如何に安価な提供ができるかを最重要課題としており、一部の部材にすぎないホルダーの価格が風船玩具全体の価格を大きく引き上げている状況が重大な課題になっていた。
【0007】
しかも、この略漏斗状のホルダーと風船とを連結して出荷する場合、極めて薄く折り畳まれる風船10や細い保持棒20に比べて、漏斗状のホルダー100が大きく嵩張るものであった(図8参照)。このように、嵩張るホルダー100によって、一度に出荷できる数が制限されるので、更に価格に反映する不都合がある。また、風船10と共に包装するホルダー100の梱包に注意を払わなければ、大きく張り出た漏斗状のホルダー100が風船10に接触して傷付けるおそれもあるので、梱包作業に十分な注意が必要になるなど、出荷時の手間も多くなっていた。
【0008】
ところが、特許文献2のように、出荷時に、風船のみを分離した状態にすると、販売時において、風船を膨らませた後、保持棒に留め具で固定するといった面倒な作業が必要になる。この種の風船玩具は、展示するだけでも多数の商品を並べる必要があるので、できるだけ簡単な作業で販売できるのが望ましい。したがって、特許文献2のように、販売時に風船を固定するといった作業は、既に保持棒に連結されている風船を販売する作業に比べて頗る面倒な作業にならざるを得ない。
【0009】
一方、特許文献3では、プラスチック製のホルダーを紙製にすることで、風船玩具を安価に提供できるようにしたものである。ところが、特許文献3においても、販売時に膨らませた風船を紙製のホルダーに連結する作業が必要になるので、前記特許文献2と同様に、販売時に多くの手間を要するものである。また、紙製のホルダーは強度的にも問題があり、ホルダーに保持している風船が何度も揺れ動くと、ホルダーの保持力が次第に低下して風船を十分に保持できなくなるおそれがあった。このように、ホルダーの保持力が低下すると、風船と保持棒との連結部分に直接負荷がかかり、保持棒から風船が離脱し易くなる。
【0010】
このように、従来の風船玩具に用いるホルダーでは、前述した製造価格、出荷時の梱包作業、販売時の手間および使用時の強度などについての各課題を全て同時に解決できるものはなかった。そこで、本発明は上述の課題を解決すべく創出されたもので、ホルダーを安価に製造でき、出荷時に嵩張らず風船を傷つけるおそれもなく、販売時の手間がきわめて容易で使用時の強度にも優れた風船用ホルダーの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の手段は、注入口11に逆止弁12を設けた風船10と、該風船10の注入口11に連結して空気を注入するストロー状の保持棒20とを設け、該保持棒20の連結部分を被覆して風船10の注入口11周囲を保持する断面略漏斗状を成したホルダー1において、該ホルダー1は、シートSに形成した逆三角形状を成す複数の支持片2が折りたたむことで形成され、該支持片2で囲まれた断面略漏斗状を成すと共に、該ホルダー1下端部に挿通孔3を設け、該挿通孔3に前記保持棒20をスライド自在に挿入したことにある。
【0012】
第2の手段における前記ホルダー1は、一対の前記支持片2が対向するように設けられ、該支持片2は出荷時において挿通孔3に挿通した前記保持棒20と共に重ねられ、使用時に略漏斗状に広げて前記風船10を保持するように設けられている。
【0013】
第3の手段の前記ホルダー1は、前記支持片2が3面連続する略三角錐状になるように設けられたものである。
【0014】
第4の手段において、前記ホルダー1は合成樹脂製又は紙製のシートSを折りたたんで形成され、前記風船10は合成樹脂製又はゴム製の風船10を用いたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1により、シートSを折りたたんで形成されたホルダー1により、極めて安価な提供が可能になり、従来のようにホルダー1の製造価格が風船玩具の価格を吊り上げるといった不都合は解消された。また、ホルダー1は、風船10の注入口11に連結した保持棒20をホルダー1の挿通孔3に差し込むだけで装着できるので、販売時に保持棒に連結する他の風船玩具に比べて、販売時の手間を極力少なくすることができる。しかも、ホルダー1は、逆三角形状を成す複数枚の支持片2が連続して略漏斗状を成しているので、高い支持強度が得られ、仮に手荒に扱われたとしても、風船10を長時間しっかりと保持することができる。
【0016】
請求項2により、一対の前記支持片2が対向するように設けられ、該支持片2は出荷時に前記保持棒20を挿通した状態で重ねられ、使用時に略漏斗状に広げて前記風船10を保持するように設けたことで、ホルダー1を組み合わせた状態で出荷する場合でも、ホルダー1が嵩張る不都合が解消された。しかも、出荷時に折り重ねられたホルダー1は、風船10を傷付けるおそれも極めて少なくなっているので、従来のように、風船やホルダーの梱包時に多くの注意を払う必要もなく、出荷時の手間も省くことができる。
【0017】
請求項3では、支持片2が3面連続する略三角錐状になるように設けたことで、特に、強度に優れると共に、ホルダー1の各支持片2に宣伝広告等を表示できるなど、ホルダー1を有効利用することが可能になる。また、ホルダー1と風船10とを別々に梱包することも可能である。この場合、販売時において、ホルダー1の挿通孔3に保持棒20を挿通させるのみの作業でよいから、販売時の省力化を図ることができる。
【0018】
請求項4により、合成樹脂製又は紙製のシートSから極めて多彩なホルダー1を設けることが可能になる。しかも、合成樹脂製又はゴム製の風船10など、多くの風船10に装着することができる。
【0019】
このように本発明によると、ホルダーを安価に製造でき、梱包時に風船を傷つけるおそれもなく、販売時の手間がきわめて容易で使用時の強度も優れた風船用ホルダーを提供できるなどといった有益な種々の効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の最良の形態は、シートSに形成された逆三角形状を成す複数枚の支持片2を折りたたみ、該支持片2の側縁2Aを介して連続するホルダー1を設ける。各支持片2で囲まれて略漏斗状を成したホルダー1下端部に挿通孔3を設け、該挿通孔3に保持棒20をスライド自在に挿入する。ホルダー1は、一対の支持片2が対向するように設けられる。該支持片2は出荷時において挿通孔3に挿通した保持棒20に重ねられ、使用時に略漏斗状に広げて前記風船10を保持するように設けることで、当初の目的を達成するものである。
【実施例】
【0021】
本発明ホルダー1は、注入口11に逆止弁12を設けた風船10と、該風船10の注入口11に連結したストロー状の保持棒20との連結部分に装着するものである(図1参照)。図示の風船10は、合成樹脂製フィルムを張り合わせて形成した風船10を示しているが、この他ゴム製の風船10でもよく、注入口11に逆止弁12を装着した風船10を使用するものであれば、材質、形状、共に任意の変更が可能である。
【0022】
逆止弁12は、注入口11の内部に装着されるもので、図示では、合成樹脂製製の風船10に装着するシート状の逆止弁12を設け、この逆止弁12を注入口11の内部奥に装着している(図6参照)。また、ゴム製の風船10には他の逆止弁12を用いるなど、逆止弁12の形状や材質は任意に変更できるものである。
【0023】
一方、保持棒20は、ストロー状をなし、注入口11に空気を注入できるように、予め注入口11に連結されている(図6参照)。図示例では、注入口11に保持棒20の先端を差込み、テープ13等で固定しているが、この連結手段の変更も任意に行える。
【0024】
ホルダー1は、合成樹脂製又は紙製のシートSを折りたたんで設けられるものである。すなわち、このシートSには、逆三角形状を成す複数枚の支持片2が形成されている(図2、図4参照)。各支持片2は、側縁2Aを介して連続するように形成され、各支持片2で略漏斗状を成すように屈曲し固定することでホルダー1を構成する(図3、図5参照)。そして、この漏斗状のホルダー1下端部に挿通孔3を設け、該挿通孔3に前記保持棒20をスライド自在に挿入し、この保持棒20に沿ってホルダー1をスライドさせる。このホルダー1によって保持棒20の連結部分を被覆すると共に、ホルダー1の広がった上端部で風船10の注入口11周囲を保持するものである(図1参照)。このとき、保持棒20を挿入する挿通孔3は、できるだけ窮屈な挿通孔3とし、保持棒20を強制的にスライドさせるように設けることで、この保持棒20を支えとするホルダー1にて風船10を強固に保持することができる。ホルダー1の装着は、販売時でも容易に行えるが、出荷時に予め装着しておくことも可能である。
【0025】
図3に示すホルダー1は、一対の支持片2が対向するように設けられている。このホルダー1は、図2に示す展開図を有するシートSを折りたたんで形成する。このシートSは、逆三角形状を成す4個の支持片2a〜2dが連続するように形成されている。各支持片2a〜2dは、側縁2Aを介して連続し、折りたたんだ際に、ホルダー1の下端部に挿通孔3が設けられるように、各支持片2a〜2dの頂部に切欠部2Cを形成している。そして、各側縁2Aに沿って支持片2aを支持片2bに折り重ね、更に支持片2cと支持片2dとに順に折り重ねていくことで、二重になった一対の支持片2が対向するホルダー1が形成される(図3(イ)参照)。更に、支持片2cと支持片2dとの各上側縁2Bを介して延長され、支持片2と同形状の折込片4をホルダー1の内側に折り込むと、夫々二重になった支持片2を更に三重にして固定し、扁平な略漏斗状のホルダー1を形成する(図3(ロ)参照)。また、折込片4を形成せずに、重ねた支持片2を、接着手段や止着手段等によって固定し、略漏斗状のホルダー1を設けることも可能である。このような一対の支持片2が対向するホルダー1によると、図7に示す如く、出荷時に保持棒20を挿通した状態で支持片2を重ねて収納し、使用時に略漏斗状に広げて前記風船10を保持することが可能になる。このとき、合成樹脂製のホルダー1を使用することで、ホルダー1の強度をより高めることができる。
【0026】
折込片4は、各支持片2を固定する機能の外に、各支持片2の開口した上端縁、すなわち風船10に接触するがわの上側縁2Bをこの折込片4で覆って滑らかにする効果もある。たとえば、合成樹脂製のシートSを打ち抜き成形した際に、上側縁2Bの切り口が鋭利になっていても、折込片4で被覆することで風船10を傷付けるおそれはなくなる。更に、折込片4をホルダー1の内側に折り込むと、折込片4の下端部が保持棒20に接触して窮屈な挿通孔3が設けられ、挿通孔3に挿通する保持棒20をしっかりと挟持することができる。このとき、折込片4は、保持棒20に対して傾斜して接するので、折込片4を楔のように作用せしめると、風船10にホルダー1を近づける場合はスライドが容易になり、風船10から遠ざかるようにする場合は、スライドがきつくなるように設けることも可能である。このように、折込片4を用いることで、特にテープ13等でホルダー1を固定しなくても、風船10を確実に保持することが可能になるものである。
【0027】
図5に示すホルダー1は、前記支持片2が3面連続して略三角錐状になるように設けられている。このホルダー1は、図4に示すシートSを折りたたんで形成する。すなわち、このシートSは、前述の図2に示すシートSの構成とほぼ同じであるが、5個の支持片2と3個の折込片4とを設けている構成などが相違している。そして、支持片2aを支持片2dに折り重ね、支持片2bを支持片2eに折り重ねることで、図5(イ)に示す略三角錐状のホルダー1が形成される。更に、支持片2c、支持片2d、支持片2eの各上側縁2Bを介して延長された折込片4を、ホルダー1の内側に折り込むことで、3面の各支持片2を固定してホルダー1を形成するものである(図5(ロ) 参照)。このような三角錐状のホルダー1によると、強度に優れると共に、ホルダー1の各支持片2に宣伝広告等を有効に表示することができる。
【0028】
尚、本発明における図示例の各構成は、本発明の一実施例に過ぎず、シートSの展開図を変更し、支持片2の数を増加して更に多面状のホルダー1を構成することも可能である。更に、各構成部材の形状、寸法等の設計変更、形態の変更など、現在知られている技術を用いて、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に変更することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】本発明シートの一実施例を示す平面図である。
【図3】本発明ホルダーの一実施例を示し、(イ)は組み立て前、(ロ)は組み立て後の斜視図である。
【図4】本発明シートの他の実施例を示す平面図である。
【図5】本発明ホルダーの一実施例を示し、(イ)は組み立て前、(ロ)は組み立て後の斜視図である。
【図6】本発明の逆止弁の一実施例を示す一部切り欠き正面図である。
【図7】図3に示すホルダーを保持棒と一体に収納した状態を示す側面図である。
【図8】従来のホルダーを保持棒と一体に収納した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0030】
S シート
1 ホルダー
2 支持片 2A 側縁
2B 上側縁
2C 切欠部
3 挿通孔
4 折込片
10 風船
11 注入口
12 逆止弁
13 テープ
20 保持棒
100 ホルダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入口に逆止弁を設けた風船と、該風船の注入口に連結して空気を注入するストロー状の保持棒とを設け、該保持棒の連結部分を被覆して風船の注入口周囲を保持する断面略漏斗状を成したホルダーにおいて、
該ホルダーは、シートに形成した逆三角形状を成す複数の支持片を折りたたむことで形成され、該支持片で囲まれた断面略漏斗状を成すと共に、該ホルダー下端部に挿通孔を設け、該挿通孔に前記保持棒をスライド自在に挿入したことを特徴とする風船用ホルダー。
【請求項2】
前記ホルダーは一対の前記支持片が対向するように設けられ、該支持片は出荷時において挿通孔に挿通した前記保持棒と共に重ねられ、使用時に略漏斗状に広げて前記風船を保持するように設けられた請求項1記載の風船用ホルダー。
【請求項3】
前記ホルダーは、前記支持片が3面連続する略三角錐状になるように設けられた請求項1記載の風船用ホルダー。
【請求項4】
前記ホルダーは合成樹脂製又は紙製のシートを折りたたんで形成され、前記風船は合成樹脂製又はゴム製の風船を用いた請求項1乃至3いずれか記載の風船用ホルダー。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−218165(P2006−218165A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35845(P2005−35845)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【出願人】(000139115)株式会社リングストン (10)
【Fターム(参考)】