風速センサユニット及び風速測定システム
【課題】測定レンジが広く、比較的簡単な構造で消費電力が少ない風速センサユニット及び風速測定システムを提供する。
【解決手段】サーミスタ22を測定管21内に配置し、電力を供給して自己発熱させる。また、測定管21の外に配置される受風部23aと測定管21の内側に配置される絞り部23bとを有する流速調整部材23を、バネ24により揺動可能に支持する。風速が遅いときは、流速調整部材23が殆ど移動せず、サーミスタ22と絞り部23bとの間が狭いため、測定管21内に流入した風はサーミスタ22の部分で流速が増大する。また、風速が速いときは、サーミスタ22と絞り部23bとの間が拡大し、サーミスタ22の部分で流速が増大するものの、その割合は少ない。これにより、サーミスタ22による風速の測定レンジが拡大する。
【解決手段】サーミスタ22を測定管21内に配置し、電力を供給して自己発熱させる。また、測定管21の外に配置される受風部23aと測定管21の内側に配置される絞り部23bとを有する流速調整部材23を、バネ24により揺動可能に支持する。風速が遅いときは、流速調整部材23が殆ど移動せず、サーミスタ22と絞り部23bとの間が狭いため、測定管21内に流入した風はサーミスタ22の部分で流速が増大する。また、風速が速いときは、サーミスタ22と絞り部23bとの間が拡大し、サーミスタ22の部分で流速が増大するものの、その割合は少ない。これにより、サーミスタ22による風速の測定レンジが拡大する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風速測定に使用する風速センサユニット及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2の削減及び環境保護の観点から、工場、大規模オフィスビル及びデータセンターなどの施設においても省エネルギー化が要求されている。これらの施設では、空調に使用する電力が多大であり、空調設備の省電力化とともに、暖房や冷房が局所的に過剰になることを抑えた効率的な空調が望まれている。空調の効率化を図るためには、施設内の各部の温度や風速を随時測定し、その測定結果に基づいて空調機やファン等の空調設備を運転することが好ましい。
【0003】
工場、大規模オフィスビル及びデータセンターなどの施設内の風速を測定するセンサには、小型で消費電力が少なく、安価であることが要求される。この要求を満たすセンサの一つに、サーミスタ式風速計がある。サーミスタ式風速計では、サーミスタを自己発熱させておき、風によりサーミスタの温度が低下するとサーミスタの抵抗値が変化することを利用して、風速を測定する。その他、小型で消費電力が小さく、比較的安価な風速センサとして、ベーン式風速計及びピトー管式風速計等がある。
【0004】
ところで、上述した風速センサは、風速を良好な精度で測定できる範囲(測定レンジ)が比較的狭いという問題がある。この問題を解消すべく、風速センサを風が通流する測定管内に配置し、この測定管に並列に電気駆動方式の風量絞り機構を有するバイパス管を接続した風速センサユニットが提案されている。この風速センサユニットでは、風量絞り機構によりバイパス管に流れるエアーの流量を調整して測定管に流れるエアーの流量を一定範囲内とし、風量絞り機構の絞り量と風速センサの出力とから風速を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−107092号公報
【特許文献2】特開平10−38652号公報
【特許文献3】実用新案登録第3051862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した風速センサユニットでは、バイパス管に流れるエアーの流量を調整するために電気駆動式の風量絞り機構を使用しており、機械的及び電気的な構造が複雑になるという欠点がある。特に、施設内の多くの場所に風速センサを設置する場合、各センサにそれぞれ風量絞り機構を設けることは容易ではなく、初期コストが著しく増大する。また、風速センサユニットの数が多くなると、風量絞り機構で消費される電力も無視できなくなる。
【0007】
以上から、測定レンジが広く、比較的簡単な構造で消費電力が少ない風速センサユニット及び風速測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一観点によれば、両端が解放された測定部材と、前記測定部材内に配置された風速センサと、風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有する風速センサユニットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記一観点の風速センサユニットでは、流速調整部材が風圧により移動して、測定部材内を流れる気体の流速を変化させる。これにより、風速センサ単体で使用するよりも測定レンジが拡大する。また、流速調整部材は風圧で移動するので、電力が不要である。このため、消費電力の増大が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、風速センサとしてサーミスタを使用した風速測定システムの一例を示す模式図である。
【図2】図2は、サーミスタの温度−抵抗特性を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る風速センサユニット、及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムを示す模式図である。
【図4】図4(a),(b)は、風圧による絞り部の移動を示す模式図である。
【図5】図5(a),(b)は、絞り部による流速の変化を示す模式図である。
【図6】図6は、測定管の入口部に突出部を設けた例を示す断面図である。
【図7】図7(a),(b)は、実施例の風速センサユニットを示す上面図及び断面図である。
【図8】図8は、実施例及び比較例の風速センサユニットの特性曲線を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る風速センサユニットの構造を示す模式図である。
【図10】図10(a),(b)は、第2の実施形態の変形例に係る風速センサユニットを示す模式図である。
【図11】図11(a)は第3の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図11(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【図12】図12(a)は第4の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図12(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
【0012】
図1は、風速センサとしてサーミスタを使用した風速測定システムの一例を示す模式図である。図1に示す例では、風の通り道に配置された測定管11内に風速測定用サーミスタ12と温度測定用サーミスタ13とが配置されている。これらのサーミスタ12,13は、いずれも測定回路15に接続されている。
【0013】
風速測定用サーミスタ12は、測定回路15から供給される電力により自己発熱する。測定回路15から供給される電力が一定であるとすると、無風状態のときのサーミスタ12の温度は気温(測定場所の温度)に依存する。しかし、風がある場合は、サーミスタ12が風により冷却されて温度が低下するため、サーミスタ12の抵抗値が変化する。
【0014】
従って、予め実験等によりサーミスタ12の抵抗値と風速との関係を気温毎に求めて測定回路15に記憶しておけば、サーミスタ12の抵抗値とサーミスタ13により測定した気温とから風速を知ることができる。
【0015】
図2は、横軸に温度をとり、縦軸に抵抗値をとって、サーミスタ12の温度−抵抗特性を示す図である。この図2に示すように、サーミスタ12の温度−抵抗特性は指数関数を描く。なお、図2中の数式において、R0はサーミスタ12の温度がT0のときのサーミスタ12の抵抗値(既知)であり、RTはサーミスタ12の温度がT(変数)のときのサーミスタ12の抵抗値、Bは係数である。
【0016】
風速センサとして自己発熱方式のサーミスタ12を使用する場合、特性曲線の傾きが大きい低温域(強風域に対応)又は特性曲線の傾きが小さい高温域(微風域に対応)において計測精度が低下し、計測レンジが比較的狭いという問題がある。計測レンジを拡大するためにサーミスタ12の自己発熱量を増加させることも考えられるが、その場合は消費電力が増加するという新たな問題が発生する。
【0017】
以下、実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る風速センサユニット、及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムを示す模式図である。また、図4(a),(b)は、風速センサユニットの流速調整部材の動作を示す模式図である。
【0019】
図3に示すように、本実施形態に係る風速測定システムは、風速センサユニット20と、温度測定用サーミスタ25と、測定回路30とを有している。また、風速センサユニット20は、測定管(測定部材)21と、風速測定用サーミスタ22と、受風部23a及び絞り部23bを有する流速調整部材23と、流速調整部材23を所定の方向に移動可能に支持する一対のバネ(支持部材)24とを有している。更に、測定回路30は、インターフェース部31と、信号処理部32と、変換テーブル記憶部33とを有している。
【0020】
測定管21は円筒状の部材であり、その中心軸を風の流れ方向に平行にして配置される。図3では、風が上から下に流れるものとしている。測定管21の側面には窓21aが設けられており、この窓21aを流速調整部材23の受風部23aと絞り部23bとの連結部分が挿通している。また、この窓21a内に、流速調整部材23を所定の方向(図3では上下方向)に移動可能に支持する一対のバネ24が配置されている。
【0021】
流速調整部材23の絞り部23bは、縦断面(測定管21の中心軸に平行な方向の断面)がほぼ二等辺三角形状に形成されており、底面を測定管21の内壁面に対向させて配置されている。また、流速調整部材23は、測定管21の外側に配置された受風部23aに風を受けると、風圧により風下方向に移動する。流速調整部材23の移動量は風の強さ(風速)とバネ24のバネ定数とに関係する。
【0022】
風速測定用サーミスタ22は、図4(a)に示すように無風状態のときの絞り部23bの頂角に対向する位置に配置されている。図4(b)に示すように風により流速調整部材23が移動すると、サーミスタ22と絞り部23bとの間の間隔が変化する。すなわち、サーミスタ22の位置(図4(a),(b)に一点鎖線で示す位置)における風の流路断面積が、流速調整部材23の移動量に応じて変化する。
【0023】
図3に示すように、風速測定用サーミスタ22は測定回路30のインターフェース部31に接続されており、インターフェース部31から電力が供給されて自己発熱する。また、インターフェース部31には、気温(測定場所の温度)を測定するための温度測定用サーミスタ25も接続されている。本実施形態では温度測定用サーミスタ25が測定管21の外に配置されているが、温度測定用サーミスタ25を測定管21の内側に配置してもよい。また、測定場所の温度変化が小さい場合は、温度測定用サーミスタ25を使用しなくてもよい。
【0024】
インターフェース部31にはオペアンプ及びA/D(アナログ/デジタル)変換器等の回路が設けられている。このインターフェース部31は、風速測定用サーミスタ22及び温度測定用サーミスタ25の抵抗値をデジタル信号に変換し、測定データとして出力する。
【0025】
変換テーブル記憶部33には、予め実験等により求められた風速測定用サーミスタ22の抵抗値(又は、温度)と、風速と、気温との関係を示す変換テーブルが記憶されている。信号処理部32は、インターフェース部31から測定データを入力すると、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブルを参照し、測定データを風速に換算して出力する。
【0026】
ところで、サーミスタ22の温度と抵抗との間には下記(1)式(Steinhart-Hart式)に示す関係がある。
【0027】
【数1】
但し、Tはサーミスタ22の温度、Rはサーミスタ22の抵抗値、a,b,cはサーミスタ22に固有の係数である。
【0028】
サーミスタ22が加熱状態のときに測定管21内に風が流入すると、サーミスタ22は冷却されて抵抗値が増加する。本実施形態では、前述したようにサーミスタ22の抵抗値をインターフェース部31によりデジタル信号に変換する。そして、信号処理部32において、変換テーブル記憶部33に記憶された変換テーブルを参照し、サーミスタ22の抵抗値を風速に換算して出力する。
【0029】
以下に、風速(測定管21の外の風速)と流速調整部材23の絞り部23bによる絞り量との関係について説明する。ここで、図4(a)に示すように絞り部23bの頂部がサーミスタ22に対向しているときの位置を基準(移動量0)とし、流速調整部材23の風下方向への最大移動量をMとする。本実施形態では、流速調整部材23(絞り部23b)の移動量と絞り量との間には負の相関がある。すなわち、流速調整部材23の移動量が大きいほどサーミスタ22の位置(図4(a),(b)に一点鎖線で示す位置)における絞り量(絞り部23bの断面積)が小さくなる。
【0030】
ベルヌーイの定理より、受風部23aに受ける動圧をPとすると、動圧Pは下記(2)式で表される。
【0031】
【数2】
但し、ρは気流の密度、Cdは風力係数、Vは測定管21の外の風速である。
【0032】
受風部23aの面積をSとすると、受風部23aで風により受ける力Fは、下記(3)式で表される。
【0033】
【数3】
ここで、バネ24のバネ定数をkとすると、絞り部23bの移動量Xは下記(4)式で表される。
【0034】
【数4】
更に、絞り量と絞り部23bの移動量との間に負の比例関係があるとする。この場合、絞り量が最小のときのサーミスタ22の位置における流路断面積をA、絞り部23bの移動量をX、絞り部23bの移動量がXのときのサーミスタ22の位置における流路断面積をA'とすると、これらの間には下記(5)式に示す関係がある。
【0035】
【数5】
但し、Cは、絞り量と絞り部23bの移動量との間の比例係数である。なお、ここでは説明の都合上、絞り量と絞り部23bの移動量とが負の比例関係にあるとしているが、本実施形態に係る風速センサユニット20では絞り量と絞り部23bの移動量との関係が負の相関関係であればよく、比例関係でなくてもよい。
【0036】
常温において気流密度が一定であるとすると、サーミスタ22の位置における流路断面積A'と風速Vとは下記(6)式に示す関係がある。
【0037】
【数6】
但し、D=C(ρ・S・Cs)/2kである。
【0038】
すなわち、風速が遅い場合はサーミスタ22の位置における流路断面積が小さくなり、風速が速い場合はサーミスタ22の位置における流路断面積が大きくなる。
【0039】
ここで、測定管21の入口部における流路断面積をA0、サーミスタ22の位置における流路断面積をA'、測定管21の外の風速をV、サーミスタ22の位置における風速をV'、測定管21の入口部における風量をQとすると、質量保存則により、Q=A0・V=A'・V'の関係が成り立つ。
【0040】
従って、測定管21の外の風速Vとサーミスタ22の位置における風速V'との間には、下記(7)式で示す関係がある。
【0041】
【数7】
(7)式と(6)式とにより、最終的にサーミスタ22の位置における風速V'と測定管21の外の風速Vとの関係は下記(8)式のようになる。
【0042】
【数8】
すなわち、測定管21の外の風速Vが遅いときは、サーミスタ22の位置における流路断面積A'が小さくなる。この場合、図5(a)に示すように、測定管21内に入った風は絞り部23bの斜面に沿って移動し、流路断面積が徐々に小さくなるため風圧が高くなって速度が速くなる。このため、微風時でも良好な感度で風速を計測できる。
【0043】
逆に、測定管21の外の風速Vが速い場合は、図5(b)に示すように流速調整部材23が移動してサーミスタ22の位置における流路面積A'が大きくなる。この場合、測定管21内に流入した風は絞り部23bの斜面に沿って移動するものの、風圧が十分高くなる前にサーミスタ22の位置を通過する。このため、風速を増加させる効果が少ない。
【0044】
なお、図6に示すように、測定管21内に流入する風量を規制するために、測定管21の入口部(又は、入口部と出口部)に、測定管21の中心軸方向に突出する突出部21bを設けてもよい。
【0045】
以下、実施形態に係る風速センサユニットを実際に製造してその特性を調べた結果について説明する。
【0046】
実施例として、図7(a)に上面図、図7(b)に断面図を示す風速センサユニットを製造した。測定管21の材質はアルミニウムであり、内壁面の半径Rは25mm、長さLは80mmである。絞り部23bは樹脂(PET)により形成した。絞り部23bは、上から見たときには半円状であり、側面から見たときに二等辺三角形となる形状とした。絞り部23bの高さhは30mmである。
【0047】
この風速センサユニットを、風速を可変できる装置内に設置した。そして、風速を変化させて風速とサーミスタの出力(サーミスタの抵抗を電圧に変換した値)との関係を調べた。なお、風速が約1m/sのときに絞り部23bは初期位置(図4(a)に示す位置)から5mmの位置まで移動した。また、風速が約3m/sのときに絞り部23bは初期位置から10mmの位置まで移動し、風速が約5m/sのときに絞り部23bは初期位置から15mmの位置まで移動した。
【0048】
一方、比較例として、図1に示す構造の風速センサユニットを製造し、その特性を実施例と同様に調べた。
【0049】
図8は、横軸に計測電圧(サーミスタの抵抗値に対応)をとり、縦軸に風速をとって、実施例及び比較例の風速センサユニットの特性曲線を示す図である。この図8において、曲線の傾斜は分解能を示しており、傾斜が小さいほど分解能が高いことを意味している。
【0050】
この図8からわかるように、風速が約5m/sのときの比較例の風速センサユニットの分解能は0.060(m/s)/mVであるのに対し、実施例の風速センサユニットの分解能は0.048(m/s)/mVであった。すなわち、実施例の風速センサユニットは、比較例の風速センサユニットに比べて分解能が約20%優れていた。
【0051】
また、風速が10m/s以上の強風域でも、実施例の特性曲線の傾斜は比較例の特性曲線に傾斜に比べてなだらかである。従って、分解能が同じであれば、実施例のセンサユニットは比較例のセンサユニットよりも強い風速域まで計測可能であることがわかる。
【0052】
上述したように、本実施形態に係る風速センサユニット20は、風速に応じて流速調整部材23(絞り部23b)が移動して風速測定用サーミスタ22の位置の流路断面積が変化する。これにより、サーミスタ22単体の場合に比べて測定レンジが拡大する。また、本実施形態に係る風速センサユニット20は、サーミスタ22以外に電力を消費するものがない。このため、消費電力の増加が回避される。更に、本実施形態に係る風速センサユニット20は構造が簡単であり、多数使用する場合も初期コストが低くてすむ。
【0053】
更にまた、本実施形態に係る風速センサユニット20は、受風部23a、絞り部23b及びバネ24を変更するだけで特性を変更することができるため、使用目的に応じた変更(最適化)が容易であるという利点もある。
【0054】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る風速センサユニットの構造を示す模式図である。
【0055】
本実施形態に係る風速センサユニット40は、測定管41と、風速測定用サーミスタ42と、流速調整部材43と、トーションバネ44とを有している。
【0056】
測定管41は円柱状の部材であり、その中心軸を風の流れ方向に平行にして配置される。測定管41内にはサーミスタ42が配置されている。本実施形態では、測定管41の内側のサーミスタ42に対向する位置に、流路断面積を規制する突起部45が設けられている。但し、突起部45は必須ではない。
【0057】
測定管41の風上側に、流速調整部材43がトーションバネ(支持部材)44により揺動可能に取り付けられている。この流速調整部材43は、初期状態(無風状態)のときに、測定管41の中心軸側に若干傾いている。そして、流速調整部材43に風が当たると、流速調整部材43は風の強さとトーションバネ44のバネ定数とに応じた角度で傾き、先端の通風口が窄まって、測定管41内への風の流入量を制限する。
【0058】
本実施形態に係る風速測定ユニット40は、第1の実施形態と同様の測定回路30(図3参照)を使用して風速を測定する。
【0059】
以下に、風速センサユニット40における風速(測定管41の外の風速)と絞り量との関係について説明する。ここでは、絞り量が最大となるとき(流速調整部材43が図中破線の位置にあるとき)の流速調整部材43の角度を基準(絞り角=0)とし、絞り量が最小となるときの流速調整部材43の角度(絞り角)をNとする。また、絞り量と絞り角との間には負の相関があるものとする。更に、ここでは説明を簡単にするために、上から見たときの流速調整部材43の先端部(通風口)の形状は常に円形であるとする。
【0060】
本実施形態においても、流速調整部材43が風により受ける力Fは、前述の(3)式により表わされる。但し、風力係数Cdは一定値ではなく、流速調整部材43の角度(絞り角)θにより変化する。
【0061】
ここで、トーションバネ44のバネ定数をk'とすると、絞り角θは下記(9)式に示すようになる。また、この(9)式を変形すると下記(10)式のようになる。
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
本実施形態の風速センサユニット40では、風速Vが遅いときは絞り角θの値が大きくなり、風速Vが速いときは絞り角θの値が小さくなる。ここで、測定管41の内壁面の半径をR、流速調整部材43の長さをR'とすると、流速調整部材43の先端部における通風口の面積Aは以下の(11)式で表される。
【0064】
【数11】
これらの(10)式及び(11)式からもわかるように、本実施形態に係る風速センサユニット40は、風速Vが遅いときは流速調整部材43の先端の通風口の面積Aが大きくなり、風速Vが速いときには通風口の面積Aが小さくなる。
【0065】
本実施形態では、サーミスタ42が配置された位置における流路断面積A'は一定である。また、前述の(7)式からわかるように、サーミスタ42の位置における風速V'は、流速調整部材43の先端の通風口の面積Aに応じて変化する。すなわち、測定管41の外の風速Vが遅いときはサーミスタ42の位置での風速V'が測定管41の外の風速Vとほぼ同じになり、測定管41の外の風速Vが速いときはサーミスタ42の位置での風速V'は測定管41の外の風速Vよりも遅くなる。
【0066】
これにより、本実施形態の風速センサユニット40においても、サーミスタ42単体の場合に比べて測定レンジが拡大するという効果が得られる。また、本実施形態の風速センサユニット40は、構造が簡単であり、第1の実施形態と同様にサーミスタ42以外に電力を消費するものがないので、消費電力の増加が回避されるという効果もある。
【0067】
(第2の実施形態の変形例)
図10(a),(b)は第2の実施形態の変形例に係る風速センサユニットを示す模式図である。
【0068】
図10(a)に示す風速センサユニット50aは、測定管51の風上側に流速調整部材53がトーションバネ54により揺動可能に取り付けられている。流速調整部材53のうち測定管51の外側の部分が受風部53a、測定管51の内側の部分が絞り部53bとなっている。
【0069】
この流速調整部材53は、初期状態(無風状態)のときに測定管51の中心軸に対し若干傾いている。そして、流速調整部材53に風が当たると、流速調整部材53は風の強さとトーションバネ54のバネ定数とに応じた角度で図中破線に示す方向に傾き、測定管51内への風の流入量を制限する。
【0070】
測定管51内には、第2の実施形態と同様に、風速測定用サーミスタ42と、サーミスタ42の位置における流路断面積を規制する突起部45とが設けられている。
【0071】
図10(b)に示す風速センサユニット50bは、受風部57a及び絞り部57bを有する流速調整部材57を有する。この流速調整部材57は、受風部57aと絞り部57bとの連結部分が測定管56の側部に設けられた窓を挿通するように配置されている。また、この流速調整部材57は、トーションバネ58により、受風部57aと絞り部57bとの連結部分を中心として所定の角度範囲を回転可能に支持されている。更に、測定管56の内側には、第2の実施形態と同様に風速測定用サーミスタ42が配置されている。
【0072】
この風速センサユニット50bにおいて、初期状態(無風状態)のときには、流速調整部材57(受風部57a及び絞り部57b)は測定管56の中心軸に対し垂直になる。この場合、サーミスタ42の位置における流路断面積は最小となる。一方、受風部57aに風を受けると、流速調整部材57が回転してサーミスタ42の位置における流路断面積が増大する。
【0073】
この図10(a),(b)に示す風速センサユニット50a,50bにおいても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
図11(a)は第3の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図11(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【0075】
本実施形態に係る風速センサユニット60が第1の実施形態の風速センサユニット20と異なる点は、測定管内に配置された風速センサがベーン(風車)式であることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、図11(a),(b)において、図3と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0076】
本実施形態の風速センサユニット60は、円筒状の測定管21と、この測定管21の側部に設けられた窓を挿通し、バネ(図示せず)により揺動可能に支持された流速調整部材23とを有している。また、測定管21内には、ベーン式風速センサ61が配置されている。このベーン式風速センサ61は、風速に応じた回転数でベーンが回転する。そして、ベーンの回転数はピックアップコイル等により検出されて、測定回路に入力される。
【0077】
本実施形態の風速センサユニット60においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
(第4の実施形態)
図12(a)は第4の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図12(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【0079】
本実施形態に係る風速センサユニット65が第1の実施形態の風速センサユニット20と異なる点は、測定管内に配置された風速センサがピトー管式であることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、図12(a),(b)において、図3と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施形態の風速センサユニット65は、円筒状の測定管21と、この測定管21の側部に設けられた窓を挿通し、バネ(図示せず)により揺動可能に支持された流速調整部材23とを有している。また、測定管21内には、ピトー管式風速センサ66が配置されている。
【0081】
ピトー管65は同心円状に配置された内管及び外管からなる二重管構造を有し、内管の先端部及び外管の側面にそれぞれ開口部が設けられている。そして、内管で受ける動圧と外管で受ける静圧との差圧に基づいて測定管21内の風速を検出する。
【0082】
本実施形態の風速センサユニット65においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0084】
(付記1)両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材と
を有することを特徴とする風速センサユニット。
【0085】
(付記2)前記流速調整部材は、前記測定部材の外に配置されて風圧により風下方向に移動する受風部と、該受風部に連結され、前記測定部材内に配置されて前記受風部の移動にともない前記風速センサの位置における気体の流路断面積を変化させる絞り部とを有することを特徴とする付記1に記載の風速センサユニット。
【0086】
(付記3)前記絞り部はその断面形状が三角形であり、無風状態のときに前記絞り部の頂角が前記風速センサに対向する位置に配置されることを特徴とする付記2に記載の風速センサユニット。
【0087】
(付記4)前記流量調整部材は、前記受風部に風圧を受けると前記支持部材に支持された点を中心として回転し、前記絞り部は無風状態のときその先端部が前記風速センサに対向し、前記受風部が回転すると先端部が前記風速センサから離れる方向に回転することを特徴とする付記2に記載の風速センサユニット。
【0088】
(付記5)前記流速調整部材は、前記測定部材の風上側端部に配置され、風圧に応じた角度で傾斜して前記測定部材内に流入する気体の流量を制限するものであることを特徴とする付記1に記載の風速センサユニット。
【0089】
(付記6)前記風速センサが、自己発熱方式のサーミスタであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の風速センサユニット。
【0090】
(付記7)風速センサユニットと、
前記風速センサユニットの出力と風速との関係が予め記憶された記憶部を有し前記風速センサユニットの出力信号に基づいて風速を算出する測定回路とを具備し、
前記風速センサユニットが、
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とする風速測定システム。
【0091】
(付記8)更に、前記風速センサユニットが配置された場所の温度を測定する温度センサを備え、
前記測定回路の前記記憶部には前記風速センサユニットの出力と風速と前記温度センサにより測定した温度との関係が記憶されていることを特徴とする付記7に記載の風速測定システム。
【符号の説明】
【0092】
11…測定管、12…風速測定用サーミスタ、13…温度測定用サーミスタ、15…測定回路、20…風速センサユニット、21…測定管、21a…窓、22…風速測定用サーミスタ、23…流速調整部材、23a…受風部、24…バネ、23b…絞り部、25…温度測定用サーミスタ、30…測定回路、31…インターフェース部、32…信号処理部、33…変換テーブル記憶部、40…風速センサユニット、41…測定管、42…風速測定用サーミスタ、42…流速調整部材、44…トーションバネ、45…突起部、50a,50b…風速センサユニット、53…流速調整部材、54…トーションバネ、56…測定管、57……部材、57a…受風部、57b…絞り部、60…風速センサユニット、61…ベーン式風速センサ、65…風速センサユニット、66…ピトー管式風速センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、風速測定に使用する風速センサユニット及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO2の削減及び環境保護の観点から、工場、大規模オフィスビル及びデータセンターなどの施設においても省エネルギー化が要求されている。これらの施設では、空調に使用する電力が多大であり、空調設備の省電力化とともに、暖房や冷房が局所的に過剰になることを抑えた効率的な空調が望まれている。空調の効率化を図るためには、施設内の各部の温度や風速を随時測定し、その測定結果に基づいて空調機やファン等の空調設備を運転することが好ましい。
【0003】
工場、大規模オフィスビル及びデータセンターなどの施設内の風速を測定するセンサには、小型で消費電力が少なく、安価であることが要求される。この要求を満たすセンサの一つに、サーミスタ式風速計がある。サーミスタ式風速計では、サーミスタを自己発熱させておき、風によりサーミスタの温度が低下するとサーミスタの抵抗値が変化することを利用して、風速を測定する。その他、小型で消費電力が小さく、比較的安価な風速センサとして、ベーン式風速計及びピトー管式風速計等がある。
【0004】
ところで、上述した風速センサは、風速を良好な精度で測定できる範囲(測定レンジ)が比較的狭いという問題がある。この問題を解消すべく、風速センサを風が通流する測定管内に配置し、この測定管に並列に電気駆動方式の風量絞り機構を有するバイパス管を接続した風速センサユニットが提案されている。この風速センサユニットでは、風量絞り機構によりバイパス管に流れるエアーの流量を調整して測定管に流れるエアーの流量を一定範囲内とし、風量絞り機構の絞り量と風速センサの出力とから風速を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−107092号公報
【特許文献2】特開平10−38652号公報
【特許文献3】実用新案登録第3051862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した風速センサユニットでは、バイパス管に流れるエアーの流量を調整するために電気駆動式の風量絞り機構を使用しており、機械的及び電気的な構造が複雑になるという欠点がある。特に、施設内の多くの場所に風速センサを設置する場合、各センサにそれぞれ風量絞り機構を設けることは容易ではなく、初期コストが著しく増大する。また、風速センサユニットの数が多くなると、風量絞り機構で消費される電力も無視できなくなる。
【0007】
以上から、測定レンジが広く、比較的簡単な構造で消費電力が少ない風速センサユニット及び風速測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一観点によれば、両端が解放された測定部材と、前記測定部材内に配置された風速センサと、風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有する風速センサユニットが提供される。
【発明の効果】
【0009】
上記一観点の風速センサユニットでは、流速調整部材が風圧により移動して、測定部材内を流れる気体の流速を変化させる。これにより、風速センサ単体で使用するよりも測定レンジが拡大する。また、流速調整部材は風圧で移動するので、電力が不要である。このため、消費電力の増大が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、風速センサとしてサーミスタを使用した風速測定システムの一例を示す模式図である。
【図2】図2は、サーミスタの温度−抵抗特性を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る風速センサユニット、及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムを示す模式図である。
【図4】図4(a),(b)は、風圧による絞り部の移動を示す模式図である。
【図5】図5(a),(b)は、絞り部による流速の変化を示す模式図である。
【図6】図6は、測定管の入口部に突出部を設けた例を示す断面図である。
【図7】図7(a),(b)は、実施例の風速センサユニットを示す上面図及び断面図である。
【図8】図8は、実施例及び比較例の風速センサユニットの特性曲線を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る風速センサユニットの構造を示す模式図である。
【図10】図10(a),(b)は、第2の実施形態の変形例に係る風速センサユニットを示す模式図である。
【図11】図11(a)は第3の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図11(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【図12】図12(a)は第4の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図12(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について説明する前に、実施形態の理解を容易にするための予備的事項について説明する。
【0012】
図1は、風速センサとしてサーミスタを使用した風速測定システムの一例を示す模式図である。図1に示す例では、風の通り道に配置された測定管11内に風速測定用サーミスタ12と温度測定用サーミスタ13とが配置されている。これらのサーミスタ12,13は、いずれも測定回路15に接続されている。
【0013】
風速測定用サーミスタ12は、測定回路15から供給される電力により自己発熱する。測定回路15から供給される電力が一定であるとすると、無風状態のときのサーミスタ12の温度は気温(測定場所の温度)に依存する。しかし、風がある場合は、サーミスタ12が風により冷却されて温度が低下するため、サーミスタ12の抵抗値が変化する。
【0014】
従って、予め実験等によりサーミスタ12の抵抗値と風速との関係を気温毎に求めて測定回路15に記憶しておけば、サーミスタ12の抵抗値とサーミスタ13により測定した気温とから風速を知ることができる。
【0015】
図2は、横軸に温度をとり、縦軸に抵抗値をとって、サーミスタ12の温度−抵抗特性を示す図である。この図2に示すように、サーミスタ12の温度−抵抗特性は指数関数を描く。なお、図2中の数式において、R0はサーミスタ12の温度がT0のときのサーミスタ12の抵抗値(既知)であり、RTはサーミスタ12の温度がT(変数)のときのサーミスタ12の抵抗値、Bは係数である。
【0016】
風速センサとして自己発熱方式のサーミスタ12を使用する場合、特性曲線の傾きが大きい低温域(強風域に対応)又は特性曲線の傾きが小さい高温域(微風域に対応)において計測精度が低下し、計測レンジが比較的狭いという問題がある。計測レンジを拡大するためにサーミスタ12の自己発熱量を増加させることも考えられるが、その場合は消費電力が増加するという新たな問題が発生する。
【0017】
以下、実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る風速センサユニット、及びその風速センサユニットを使用した風速測定システムを示す模式図である。また、図4(a),(b)は、風速センサユニットの流速調整部材の動作を示す模式図である。
【0019】
図3に示すように、本実施形態に係る風速測定システムは、風速センサユニット20と、温度測定用サーミスタ25と、測定回路30とを有している。また、風速センサユニット20は、測定管(測定部材)21と、風速測定用サーミスタ22と、受風部23a及び絞り部23bを有する流速調整部材23と、流速調整部材23を所定の方向に移動可能に支持する一対のバネ(支持部材)24とを有している。更に、測定回路30は、インターフェース部31と、信号処理部32と、変換テーブル記憶部33とを有している。
【0020】
測定管21は円筒状の部材であり、その中心軸を風の流れ方向に平行にして配置される。図3では、風が上から下に流れるものとしている。測定管21の側面には窓21aが設けられており、この窓21aを流速調整部材23の受風部23aと絞り部23bとの連結部分が挿通している。また、この窓21a内に、流速調整部材23を所定の方向(図3では上下方向)に移動可能に支持する一対のバネ24が配置されている。
【0021】
流速調整部材23の絞り部23bは、縦断面(測定管21の中心軸に平行な方向の断面)がほぼ二等辺三角形状に形成されており、底面を測定管21の内壁面に対向させて配置されている。また、流速調整部材23は、測定管21の外側に配置された受風部23aに風を受けると、風圧により風下方向に移動する。流速調整部材23の移動量は風の強さ(風速)とバネ24のバネ定数とに関係する。
【0022】
風速測定用サーミスタ22は、図4(a)に示すように無風状態のときの絞り部23bの頂角に対向する位置に配置されている。図4(b)に示すように風により流速調整部材23が移動すると、サーミスタ22と絞り部23bとの間の間隔が変化する。すなわち、サーミスタ22の位置(図4(a),(b)に一点鎖線で示す位置)における風の流路断面積が、流速調整部材23の移動量に応じて変化する。
【0023】
図3に示すように、風速測定用サーミスタ22は測定回路30のインターフェース部31に接続されており、インターフェース部31から電力が供給されて自己発熱する。また、インターフェース部31には、気温(測定場所の温度)を測定するための温度測定用サーミスタ25も接続されている。本実施形態では温度測定用サーミスタ25が測定管21の外に配置されているが、温度測定用サーミスタ25を測定管21の内側に配置してもよい。また、測定場所の温度変化が小さい場合は、温度測定用サーミスタ25を使用しなくてもよい。
【0024】
インターフェース部31にはオペアンプ及びA/D(アナログ/デジタル)変換器等の回路が設けられている。このインターフェース部31は、風速測定用サーミスタ22及び温度測定用サーミスタ25の抵抗値をデジタル信号に変換し、測定データとして出力する。
【0025】
変換テーブル記憶部33には、予め実験等により求められた風速測定用サーミスタ22の抵抗値(又は、温度)と、風速と、気温との関係を示す変換テーブルが記憶されている。信号処理部32は、インターフェース部31から測定データを入力すると、変換テーブル記憶部33に記憶されている変換テーブルを参照し、測定データを風速に換算して出力する。
【0026】
ところで、サーミスタ22の温度と抵抗との間には下記(1)式(Steinhart-Hart式)に示す関係がある。
【0027】
【数1】
但し、Tはサーミスタ22の温度、Rはサーミスタ22の抵抗値、a,b,cはサーミスタ22に固有の係数である。
【0028】
サーミスタ22が加熱状態のときに測定管21内に風が流入すると、サーミスタ22は冷却されて抵抗値が増加する。本実施形態では、前述したようにサーミスタ22の抵抗値をインターフェース部31によりデジタル信号に変換する。そして、信号処理部32において、変換テーブル記憶部33に記憶された変換テーブルを参照し、サーミスタ22の抵抗値を風速に換算して出力する。
【0029】
以下に、風速(測定管21の外の風速)と流速調整部材23の絞り部23bによる絞り量との関係について説明する。ここで、図4(a)に示すように絞り部23bの頂部がサーミスタ22に対向しているときの位置を基準(移動量0)とし、流速調整部材23の風下方向への最大移動量をMとする。本実施形態では、流速調整部材23(絞り部23b)の移動量と絞り量との間には負の相関がある。すなわち、流速調整部材23の移動量が大きいほどサーミスタ22の位置(図4(a),(b)に一点鎖線で示す位置)における絞り量(絞り部23bの断面積)が小さくなる。
【0030】
ベルヌーイの定理より、受風部23aに受ける動圧をPとすると、動圧Pは下記(2)式で表される。
【0031】
【数2】
但し、ρは気流の密度、Cdは風力係数、Vは測定管21の外の風速である。
【0032】
受風部23aの面積をSとすると、受風部23aで風により受ける力Fは、下記(3)式で表される。
【0033】
【数3】
ここで、バネ24のバネ定数をkとすると、絞り部23bの移動量Xは下記(4)式で表される。
【0034】
【数4】
更に、絞り量と絞り部23bの移動量との間に負の比例関係があるとする。この場合、絞り量が最小のときのサーミスタ22の位置における流路断面積をA、絞り部23bの移動量をX、絞り部23bの移動量がXのときのサーミスタ22の位置における流路断面積をA'とすると、これらの間には下記(5)式に示す関係がある。
【0035】
【数5】
但し、Cは、絞り量と絞り部23bの移動量との間の比例係数である。なお、ここでは説明の都合上、絞り量と絞り部23bの移動量とが負の比例関係にあるとしているが、本実施形態に係る風速センサユニット20では絞り量と絞り部23bの移動量との関係が負の相関関係であればよく、比例関係でなくてもよい。
【0036】
常温において気流密度が一定であるとすると、サーミスタ22の位置における流路断面積A'と風速Vとは下記(6)式に示す関係がある。
【0037】
【数6】
但し、D=C(ρ・S・Cs)/2kである。
【0038】
すなわち、風速が遅い場合はサーミスタ22の位置における流路断面積が小さくなり、風速が速い場合はサーミスタ22の位置における流路断面積が大きくなる。
【0039】
ここで、測定管21の入口部における流路断面積をA0、サーミスタ22の位置における流路断面積をA'、測定管21の外の風速をV、サーミスタ22の位置における風速をV'、測定管21の入口部における風量をQとすると、質量保存則により、Q=A0・V=A'・V'の関係が成り立つ。
【0040】
従って、測定管21の外の風速Vとサーミスタ22の位置における風速V'との間には、下記(7)式で示す関係がある。
【0041】
【数7】
(7)式と(6)式とにより、最終的にサーミスタ22の位置における風速V'と測定管21の外の風速Vとの関係は下記(8)式のようになる。
【0042】
【数8】
すなわち、測定管21の外の風速Vが遅いときは、サーミスタ22の位置における流路断面積A'が小さくなる。この場合、図5(a)に示すように、測定管21内に入った風は絞り部23bの斜面に沿って移動し、流路断面積が徐々に小さくなるため風圧が高くなって速度が速くなる。このため、微風時でも良好な感度で風速を計測できる。
【0043】
逆に、測定管21の外の風速Vが速い場合は、図5(b)に示すように流速調整部材23が移動してサーミスタ22の位置における流路面積A'が大きくなる。この場合、測定管21内に流入した風は絞り部23bの斜面に沿って移動するものの、風圧が十分高くなる前にサーミスタ22の位置を通過する。このため、風速を増加させる効果が少ない。
【0044】
なお、図6に示すように、測定管21内に流入する風量を規制するために、測定管21の入口部(又は、入口部と出口部)に、測定管21の中心軸方向に突出する突出部21bを設けてもよい。
【0045】
以下、実施形態に係る風速センサユニットを実際に製造してその特性を調べた結果について説明する。
【0046】
実施例として、図7(a)に上面図、図7(b)に断面図を示す風速センサユニットを製造した。測定管21の材質はアルミニウムであり、内壁面の半径Rは25mm、長さLは80mmである。絞り部23bは樹脂(PET)により形成した。絞り部23bは、上から見たときには半円状であり、側面から見たときに二等辺三角形となる形状とした。絞り部23bの高さhは30mmである。
【0047】
この風速センサユニットを、風速を可変できる装置内に設置した。そして、風速を変化させて風速とサーミスタの出力(サーミスタの抵抗を電圧に変換した値)との関係を調べた。なお、風速が約1m/sのときに絞り部23bは初期位置(図4(a)に示す位置)から5mmの位置まで移動した。また、風速が約3m/sのときに絞り部23bは初期位置から10mmの位置まで移動し、風速が約5m/sのときに絞り部23bは初期位置から15mmの位置まで移動した。
【0048】
一方、比較例として、図1に示す構造の風速センサユニットを製造し、その特性を実施例と同様に調べた。
【0049】
図8は、横軸に計測電圧(サーミスタの抵抗値に対応)をとり、縦軸に風速をとって、実施例及び比較例の風速センサユニットの特性曲線を示す図である。この図8において、曲線の傾斜は分解能を示しており、傾斜が小さいほど分解能が高いことを意味している。
【0050】
この図8からわかるように、風速が約5m/sのときの比較例の風速センサユニットの分解能は0.060(m/s)/mVであるのに対し、実施例の風速センサユニットの分解能は0.048(m/s)/mVであった。すなわち、実施例の風速センサユニットは、比較例の風速センサユニットに比べて分解能が約20%優れていた。
【0051】
また、風速が10m/s以上の強風域でも、実施例の特性曲線の傾斜は比較例の特性曲線に傾斜に比べてなだらかである。従って、分解能が同じであれば、実施例のセンサユニットは比較例のセンサユニットよりも強い風速域まで計測可能であることがわかる。
【0052】
上述したように、本実施形態に係る風速センサユニット20は、風速に応じて流速調整部材23(絞り部23b)が移動して風速測定用サーミスタ22の位置の流路断面積が変化する。これにより、サーミスタ22単体の場合に比べて測定レンジが拡大する。また、本実施形態に係る風速センサユニット20は、サーミスタ22以外に電力を消費するものがない。このため、消費電力の増加が回避される。更に、本実施形態に係る風速センサユニット20は構造が簡単であり、多数使用する場合も初期コストが低くてすむ。
【0053】
更にまた、本実施形態に係る風速センサユニット20は、受風部23a、絞り部23b及びバネ24を変更するだけで特性を変更することができるため、使用目的に応じた変更(最適化)が容易であるという利点もある。
【0054】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る風速センサユニットの構造を示す模式図である。
【0055】
本実施形態に係る風速センサユニット40は、測定管41と、風速測定用サーミスタ42と、流速調整部材43と、トーションバネ44とを有している。
【0056】
測定管41は円柱状の部材であり、その中心軸を風の流れ方向に平行にして配置される。測定管41内にはサーミスタ42が配置されている。本実施形態では、測定管41の内側のサーミスタ42に対向する位置に、流路断面積を規制する突起部45が設けられている。但し、突起部45は必須ではない。
【0057】
測定管41の風上側に、流速調整部材43がトーションバネ(支持部材)44により揺動可能に取り付けられている。この流速調整部材43は、初期状態(無風状態)のときに、測定管41の中心軸側に若干傾いている。そして、流速調整部材43に風が当たると、流速調整部材43は風の強さとトーションバネ44のバネ定数とに応じた角度で傾き、先端の通風口が窄まって、測定管41内への風の流入量を制限する。
【0058】
本実施形態に係る風速測定ユニット40は、第1の実施形態と同様の測定回路30(図3参照)を使用して風速を測定する。
【0059】
以下に、風速センサユニット40における風速(測定管41の外の風速)と絞り量との関係について説明する。ここでは、絞り量が最大となるとき(流速調整部材43が図中破線の位置にあるとき)の流速調整部材43の角度を基準(絞り角=0)とし、絞り量が最小となるときの流速調整部材43の角度(絞り角)をNとする。また、絞り量と絞り角との間には負の相関があるものとする。更に、ここでは説明を簡単にするために、上から見たときの流速調整部材43の先端部(通風口)の形状は常に円形であるとする。
【0060】
本実施形態においても、流速調整部材43が風により受ける力Fは、前述の(3)式により表わされる。但し、風力係数Cdは一定値ではなく、流速調整部材43の角度(絞り角)θにより変化する。
【0061】
ここで、トーションバネ44のバネ定数をk'とすると、絞り角θは下記(9)式に示すようになる。また、この(9)式を変形すると下記(10)式のようになる。
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
本実施形態の風速センサユニット40では、風速Vが遅いときは絞り角θの値が大きくなり、風速Vが速いときは絞り角θの値が小さくなる。ここで、測定管41の内壁面の半径をR、流速調整部材43の長さをR'とすると、流速調整部材43の先端部における通風口の面積Aは以下の(11)式で表される。
【0064】
【数11】
これらの(10)式及び(11)式からもわかるように、本実施形態に係る風速センサユニット40は、風速Vが遅いときは流速調整部材43の先端の通風口の面積Aが大きくなり、風速Vが速いときには通風口の面積Aが小さくなる。
【0065】
本実施形態では、サーミスタ42が配置された位置における流路断面積A'は一定である。また、前述の(7)式からわかるように、サーミスタ42の位置における風速V'は、流速調整部材43の先端の通風口の面積Aに応じて変化する。すなわち、測定管41の外の風速Vが遅いときはサーミスタ42の位置での風速V'が測定管41の外の風速Vとほぼ同じになり、測定管41の外の風速Vが速いときはサーミスタ42の位置での風速V'は測定管41の外の風速Vよりも遅くなる。
【0066】
これにより、本実施形態の風速センサユニット40においても、サーミスタ42単体の場合に比べて測定レンジが拡大するという効果が得られる。また、本実施形態の風速センサユニット40は、構造が簡単であり、第1の実施形態と同様にサーミスタ42以外に電力を消費するものがないので、消費電力の増加が回避されるという効果もある。
【0067】
(第2の実施形態の変形例)
図10(a),(b)は第2の実施形態の変形例に係る風速センサユニットを示す模式図である。
【0068】
図10(a)に示す風速センサユニット50aは、測定管51の風上側に流速調整部材53がトーションバネ54により揺動可能に取り付けられている。流速調整部材53のうち測定管51の外側の部分が受風部53a、測定管51の内側の部分が絞り部53bとなっている。
【0069】
この流速調整部材53は、初期状態(無風状態)のときに測定管51の中心軸に対し若干傾いている。そして、流速調整部材53に風が当たると、流速調整部材53は風の強さとトーションバネ54のバネ定数とに応じた角度で図中破線に示す方向に傾き、測定管51内への風の流入量を制限する。
【0070】
測定管51内には、第2の実施形態と同様に、風速測定用サーミスタ42と、サーミスタ42の位置における流路断面積を規制する突起部45とが設けられている。
【0071】
図10(b)に示す風速センサユニット50bは、受風部57a及び絞り部57bを有する流速調整部材57を有する。この流速調整部材57は、受風部57aと絞り部57bとの連結部分が測定管56の側部に設けられた窓を挿通するように配置されている。また、この流速調整部材57は、トーションバネ58により、受風部57aと絞り部57bとの連結部分を中心として所定の角度範囲を回転可能に支持されている。更に、測定管56の内側には、第2の実施形態と同様に風速測定用サーミスタ42が配置されている。
【0072】
この風速センサユニット50bにおいて、初期状態(無風状態)のときには、流速調整部材57(受風部57a及び絞り部57b)は測定管56の中心軸に対し垂直になる。この場合、サーミスタ42の位置における流路断面積は最小となる。一方、受風部57aに風を受けると、流速調整部材57が回転してサーミスタ42の位置における流路断面積が増大する。
【0073】
この図10(a),(b)に示す風速センサユニット50a,50bにおいても、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
図11(a)は第3の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図11(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【0075】
本実施形態に係る風速センサユニット60が第1の実施形態の風速センサユニット20と異なる点は、測定管内に配置された風速センサがベーン(風車)式であることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、図11(a),(b)において、図3と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0076】
本実施形態の風速センサユニット60は、円筒状の測定管21と、この測定管21の側部に設けられた窓を挿通し、バネ(図示せず)により揺動可能に支持された流速調整部材23とを有している。また、測定管21内には、ベーン式風速センサ61が配置されている。このベーン式風速センサ61は、風速に応じた回転数でベーンが回転する。そして、ベーンの回転数はピックアップコイル等により検出されて、測定回路に入力される。
【0077】
本実施形態の風速センサユニット60においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
(第4の実施形態)
図12(a)は第4の実施形態に係る風速センサユニットの上面図、図12(b)は同じくその風速センサユニットの主要部を示す断面図である。
【0079】
本実施形態に係る風速センサユニット65が第1の実施形態の風速センサユニット20と異なる点は、測定管内に配置された風速センサがピトー管式であることにあり、その他の構成は基本的に第1の実施形態と同様である。このため、図12(a),(b)において、図3と同一物には同一符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0080】
本実施形態の風速センサユニット65は、円筒状の測定管21と、この測定管21の側部に設けられた窓を挿通し、バネ(図示せず)により揺動可能に支持された流速調整部材23とを有している。また、測定管21内には、ピトー管式風速センサ66が配置されている。
【0081】
ピトー管65は同心円状に配置された内管及び外管からなる二重管構造を有し、内管の先端部及び外管の側面にそれぞれ開口部が設けられている。そして、内管で受ける動圧と外管で受ける静圧との差圧に基づいて測定管21内の風速を検出する。
【0082】
本実施形態の風速センサユニット65においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
以上の諸実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0084】
(付記1)両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材と
を有することを特徴とする風速センサユニット。
【0085】
(付記2)前記流速調整部材は、前記測定部材の外に配置されて風圧により風下方向に移動する受風部と、該受風部に連結され、前記測定部材内に配置されて前記受風部の移動にともない前記風速センサの位置における気体の流路断面積を変化させる絞り部とを有することを特徴とする付記1に記載の風速センサユニット。
【0086】
(付記3)前記絞り部はその断面形状が三角形であり、無風状態のときに前記絞り部の頂角が前記風速センサに対向する位置に配置されることを特徴とする付記2に記載の風速センサユニット。
【0087】
(付記4)前記流量調整部材は、前記受風部に風圧を受けると前記支持部材に支持された点を中心として回転し、前記絞り部は無風状態のときその先端部が前記風速センサに対向し、前記受風部が回転すると先端部が前記風速センサから離れる方向に回転することを特徴とする付記2に記載の風速センサユニット。
【0088】
(付記5)前記流速調整部材は、前記測定部材の風上側端部に配置され、風圧に応じた角度で傾斜して前記測定部材内に流入する気体の流量を制限するものであることを特徴とする付記1に記載の風速センサユニット。
【0089】
(付記6)前記風速センサが、自己発熱方式のサーミスタであることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の風速センサユニット。
【0090】
(付記7)風速センサユニットと、
前記風速センサユニットの出力と風速との関係が予め記憶された記憶部を有し前記風速センサユニットの出力信号に基づいて風速を算出する測定回路とを具備し、
前記風速センサユニットが、
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とする風速測定システム。
【0091】
(付記8)更に、前記風速センサユニットが配置された場所の温度を測定する温度センサを備え、
前記測定回路の前記記憶部には前記風速センサユニットの出力と風速と前記温度センサにより測定した温度との関係が記憶されていることを特徴とする付記7に記載の風速測定システム。
【符号の説明】
【0092】
11…測定管、12…風速測定用サーミスタ、13…温度測定用サーミスタ、15…測定回路、20…風速センサユニット、21…測定管、21a…窓、22…風速測定用サーミスタ、23…流速調整部材、23a…受風部、24…バネ、23b…絞り部、25…温度測定用サーミスタ、30…測定回路、31…インターフェース部、32…信号処理部、33…変換テーブル記憶部、40…風速センサユニット、41…測定管、42…風速測定用サーミスタ、42…流速調整部材、44…トーションバネ、45…突起部、50a,50b…風速センサユニット、53…流速調整部材、54…トーションバネ、56…測定管、57……部材、57a…受風部、57b…絞り部、60…風速センサユニット、61…ベーン式風速センサ、65…風速センサユニット、66…ピトー管式風速センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材と
を有することを特徴とする風速センサユニット。
【請求項2】
前記流速調整部材は、前記測定部材の外に配置されて風圧により風下方向に移動する受風部と、該受風部に連結され、前記測定部材内に配置されて前記受風部の移動にともない前記風速センサの位置における気体の流路断面積を変化させる絞り部とを有することを特徴とする請求項1に記載の風速センサユニット。
【請求項3】
前記絞り部はその断面形状が三角形であり、無風状態のときに前記絞り部の頂角が前記風速センサに対向する位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の風速センサユニット。
【請求項4】
前記流量調整部材は、前記受風部に風圧を受けると前記支持部材に支持された点を中心として回転し、前記絞り部は無風状態のときその先端部が前記風速センサに対向し、前記受風部が回転すると先端部が前記風速センサから離れる方向に回転することを特徴とする請求項2に記載の風速センサユニット。
【請求項5】
前記流速調整部材は、前記測定部材の風上側端部に配置され、風圧に応じた角度で傾斜して前記測定部材内に流入する気体の流量を制限するものであることを特徴とする請求項1に記載の風速センサユニット。
【請求項6】
風速センサユニットと、
前記風速センサユニットの出力と風速との関係が予め記憶された記憶部を有し前記風速センサユニットの出力信号に基づいて風速を算出する測定回路とを具備し、
前記風速センサユニットが、
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とする風速測定システム。
【請求項1】
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材と
を有することを特徴とする風速センサユニット。
【請求項2】
前記流速調整部材は、前記測定部材の外に配置されて風圧により風下方向に移動する受風部と、該受風部に連結され、前記測定部材内に配置されて前記受風部の移動にともない前記風速センサの位置における気体の流路断面積を変化させる絞り部とを有することを特徴とする請求項1に記載の風速センサユニット。
【請求項3】
前記絞り部はその断面形状が三角形であり、無風状態のときに前記絞り部の頂角が前記風速センサに対向する位置に配置されることを特徴とする請求項2に記載の風速センサユニット。
【請求項4】
前記流量調整部材は、前記受風部に風圧を受けると前記支持部材に支持された点を中心として回転し、前記絞り部は無風状態のときその先端部が前記風速センサに対向し、前記受風部が回転すると先端部が前記風速センサから離れる方向に回転することを特徴とする請求項2に記載の風速センサユニット。
【請求項5】
前記流速調整部材は、前記測定部材の風上側端部に配置され、風圧に応じた角度で傾斜して前記測定部材内に流入する気体の流量を制限するものであることを特徴とする請求項1に記載の風速センサユニット。
【請求項6】
風速センサユニットと、
前記風速センサユニットの出力と風速との関係が予め記憶された記憶部を有し前記風速センサユニットの出力信号に基づいて風速を算出する測定回路とを具備し、
前記風速センサユニットが、
両端が解放された測定部材と、
前記測定部材内に配置された風速センサと、
風圧により移動して前記測定部材内を流れる気体の流速を変化させる流速調整部材と、
前記流速調整部材を揺動可能に支持する支持部材とを有することを特徴とする風速測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−226891(P2011−226891A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96233(P2010−96233)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
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