説明

風速センサ装置

【課題】簡素な構造で誤検出を防止できる風速センサ装置を提供する。
【解決手段】風速センサ装置10は、風力源側に取り付けられる取付具11と、取付具11に取り付けられるセンサ本体12と、センサ本体12に当たる風の強さに応じて、センサ本体12を覆う第1位置と、センサ本体12を露出させる第2位置とに、取付具11に回動自在に取り付けられたダンパ部材13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発熱体を冷却するファンの風力を検出する風速センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の風速センサ装置として、各電動ファンの各空気流通路の流入側に、センサにより、ある電動ファンの停止が検知されたとき、停止した電動ファンの空気流通路を閉鎖する閉鎖手段を設置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の風速センサ装置は、閉鎖手段が、互いに重なり合っていて、電動ファンが正常なときに開成されて各電動ファンの各空気流通路径を最適にする。
特許文献1に記載の風速センサ装置は、閉鎖手段が、電動ファンの停止時に、停止した電動ファンの空気流通路を閉鎖する複数のプレートと、これらのプレートに夫々一体化され、各プレートを稼動させる複数のピニオンとを備える。
特許文献1に記載の風速センサ装置は、閉鎖手段が、複数のピニオンと噛み合うギアを内周部に有し、回転自在に設けられた外輪と、この外輪と電動ファンの周辺の基体部との間に張架された引っ張りばねとを備える。
特許文献1に記載の風速センサ装置は、閉鎖手段が、外輪に設けられた穴と電動ファンの周辺の基体部に形成された穴とに挿入され、外輪の回転を停止させる留めピンとを備える。
特許文献1に記載の風速センサ装置は、ファン装置の駆動中に所定の電動ファンが停止したことをセンサが検知すると、引抜き装置が駆動する。
そして、特許文献1に記載の風速センサ装置は、引っ張りばねが縮んで外輪が回転し、外輪のギアと噛み合っているピニオンが回転することによりプレートが起伏し、停止した電動ファンの閉鎖手段の内径を完全に閉じる。
そのため、特許文献1に記載の風速センサ装置は、停止した電動ファンの空気流通路を閉鎖する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−180857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の風速センサ装置は、停止した電動ファンの閉鎖手段の内径が閉じられることにより、停止した電動ファンからの逆流を防止できる。
しかし、特許文献1に記載の風速センサ装置は、複数のプレートと、プレートを稼動させる複数のピニオンと、複数のピニオンと噛み合うギアを内周部に有する外輪と、外輪と電動ファンの周辺の基体部との間に配置された引っ張りばねとを備える。
従って、特許文献1に記載の風速センサ装置は、部品点数が多くなって複雑な構造を有ために、コスト面で不利であるばかりか、組立作業性が良好ではない。
【0005】
ところで、図4および図5に示すように、特許文献1に記載の風速センサ装置と同様に、複数の電動ファンが並列に配置された回転電機において電動ファンの駆動を検出する風速センサ装置100が提案されている。
このような従来の風速センサ装置100は、取付具101が電動ファンの筐体に取り付けられており、センサ本体102が取付具101から突出して取り付けられている。
このような従来の風速センサ装置100は、電動ファンが駆動されることにより発生した風Wがセンサ本体102に当たることにより、センサ本体102により電動ファンが駆動されていることが検出される。
このような従来の風速センサ装置100は、複数の電動ファン毎に装備されて、複数の風速センサ装置100が近接して配置される。
すると、このような従来の風速センサ装置100は、駆動されていない電動ファンに装備されているセンサ本体102に、駆動されている電動ファンから風Wが当たる場合がある。
従って、このような従来の風速センサ装置100は、駆動されていない電動ファンに装備されているセンサ本体102が、電動ファンが駆動されていると誤検出する。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡素な構造で誤検出を防止できる風速センサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る風速センサ装置は、風力源側に取り付けられる取付具と、前記取付具に取り付けられるセンサ本体と、前記センサ本体に当たる風の強さに応じて、前記センサ本体を覆う第1位置と、前記センサ本体を露出させる第2位置とに、前記取付具に回動自在に取り付けられたダンパ部材とを備える。
【0008】
本発明に係る風速センサ装置は、前記ダンパ部材は、前記センサ本体に対して風の指向性を付与する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る風速センサ装置によれば、簡素な構造で誤検出を防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態の風速センサ装置の斜め上方から視た外観斜視図である。
【図2】本発明に係る一実施形態の風速センサ装置の正面図である。
【図3】本発明に係る一実施形態の風速センサ装置の左側面図である。
【図4】従来の風速センサ装置の正面図である。
【図5】従来の風速センサ装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態の風速センサ装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の風速センサ装置10は、不図示の電動ファン等の風力源側に取り付けられる取付具11と、取付具11に取り付けられるセンサ本体12とを備える。
また、風速センサ装置10は、センサ本体12に当たる風の強さに応じて回動するダンパ部材13を備える。風速センサ装置10は、複数の風力源にそれぞれ設けられる。
【0012】
取付具11は、厚みの薄い例えば金属製の板部材を折り曲げ成形して形成されており、風力源の後側に配置される後板14と、後板14の側部に接続された一対の側板15とを備える。
取付具11は、後板14の下方側が切除されており、一対の側板15の下端部に枢支軸16が挿通されている。
【0013】
センサ本体12は、器具配線17を通じて不図示の制御回路に電気的に接続されている。センサ本体12は、一定温度に熱せられたヒータ素子が環境や風速の影響により、変動した熱量を測定する。
センサ本体12は、風速が高いと、例えば大きな電流値(電圧値)の電気信号を発生し、これに反して、風速が低いと、例えば微笑な電流値(電圧値)の電気信号を発生する。そして、電気信号が制御回路により演算処理されて風速値が得られる。
【0014】
ダンパ部材13は、例えば樹脂材料により成形されており、風力源の後側に配置される風力受板18と、風力受板18の側部に接続された一対の側板19と、底板20とを有して、センサ本体12を囲んで配置される。
一対の側板19の上端部は、取付具11の一対の側板15に平行に配置されており、一対の側板19の間に、枢支軸16を回転自在に支持するために枢支軸16に外嵌された軸受21を配置している。
【0015】
図2に示すように、ダンパ部材13は、一対の側板19が、取付具11の一対の側板15の間に、枢支軸16を介して取り付けられているために、取付具11に対して回動自在になっている。
【0016】
図3に示すように、風力センサ装置10は、取付具11が風力源に取り付けられるために、センサ本体12およびダンパ部材13は、風力源からの風が当たる位置に取付具11から突出して配置される。
そのため、センサ本体12は、図3中の左方向から右方向へ通過する風の速度を検出する。
そして、ダンパ部材13は、センサ本体12に強い風が当たらないと、センサ本体12を覆う第1位置A1に配置される。
これとは異なり、ダンパ部材13は、センサ本体12に強い風が当たると、センサ本体12を露出させる第2位置A2まで回動される。
【0017】
そして、ダンパ部材13は、風力受板18に直交する方向にセンサ本体12の指向性を設定している。
そのため、ダンパ部材13は、風力受板18に直交する方向から風が当たらないと、センサ本体12を覆う第1位置A1に配置される。
これとは異なり、ダンパ部材13は、風力受板18に直交する方向から風が当たると、センサ本体12を露出させる第2位置A2まで回動される。
風力センサ装置10は、風を受けるダンパ部材13が、取付具11に枢支軸16を介して回動自在に取付けられているために、極めて簡素な構造を有する。
【0018】
次に、風力センサ装置10の特性について説明する。
風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていない場合に、駆動されている他の風力源からの風がセンサ本体12に当たる。
すると、この場合の風が、センサ本体12に対する強い風ではない間接風であって、風力受板18に直交する方向からの風ではないために、ダンパ部材13は、センサ本体12を覆う第1位置A1に配置されたままとなる。
そのため、センサ本体12に対して、図3中の左方向から右方向へ通過する風が与えられず、センサ本体12は、微笑な値の電気信号を発生する。
従って、センサ本体12からの微笑な値の電気信号に基づいて、制御回路により風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていないことが検出される。
【0019】
一方、風力センサ装置10が装備された風力源が駆動された場合、風力源からの風Wがセンサ本体12に直接当たる。
すると、この場合の風Wが、センサ本体12に対する強い風の直接風であり、風力受板18に直交する方向からの風Wであるために、ダンパ部材13は、風力受板18が、その風Wを受けてセンサ本体12を露出させる第2位置A2まで回動される。
そのため、センサ本体12に対して、図3中の左方向から右方向へ通過する風が与えら、センサ本体12は、大きな値の電気信号を発生する。
従って、センサ本体12からの大きな値の電気信号に基づいて、制御回路により風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていることが検出される。
【0020】
このように、センサ本体12は、風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていない場合に、微笑な値の電気信号を発生して、制御回路により風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていないことが検出される。
そして、センサ本体12は、風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されている場合に、大きな値の電気信号を発生して、制御回路により風力センサ装置10が装備された風力源が駆動されていることが検出される。
従って、風力源が駆動されていない場合に、センサ本体12が大きな値の電気信号を発生しないので、誤検出を防止できる。
【0021】
以上、説明したように一実施形態の風速センサ装置10によれば、ダンパ部材13は、センサ本体12に強い風が当たらないと、センサ本体12を覆う第1位置A1に配置される。
また、風速センサ装置10によれば、ダンパ部材13は、センサ本体12に強い風が当たると、センサ本体12を露出させる第2位置A2まで回動される。
従って、風速センサ装置10によれば、風力源が駆動されていない場合に、センサ本体12が大きな値の電気信号を発生しないので、誤検出を防止できる。
【0022】
また、一実施形態の風速センサ装置10によれば、ダンパ部材13が、センサ本体12に対して風の指向性を付与する。
そのため、風速センサ装置10によれば、ダンパ部材13は、風力受板18に対して直交する直接風が当たらないと、センサ本体12を覆う第1位置A1に配置される。
また、風速センサ装置10によれば、ダンパ部材13は、風力受板18に対して直交する直接風が当たると、センサ本体12を露出させる第2位置A2まで回動される。
従って、風速センサ装置10によれば、センサ本体12が有する指向性に基づいて誤検出を防止できる。
【0023】
なお、本発明の風速センサ装置は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上述べたように、本発明の風速センサ装置によれば、簡素な構造で誤検出を防止できるものである。以上の結果として、限りある資源の無駄使いを防止でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0025】
10 風速センサ装置
11 取付具
12 センサ本体
13 ダンパ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力源側に取り付けられる取付具と、
前記取付具に取り付けられるセンサ本体と、
前記センサ本体に当たる風の強さに応じて、前記センサ本体を覆う第1位置と、前記センサ本体を露出させる第2位置とに、前記取付具に回動自在に取り付けられたダンパ部材とを備える風速センサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の風速センサ装置において、
前記ダンパ部材は、前記センサ本体に対して風の指向性を付与する風速センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−173038(P2012−173038A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33145(P2011−33145)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)