説明

風速センサ

【課題】計測値の個体差によるばらつきが低減した風速センサを提供する。
【解決手段】風速センサ10は、互いに熱的に結合している2つの感温抵抗素子を備えており、2つの感温抵抗素子11a、11bは電気的に並列に接続されている。風速センサ10は、2つの感温抵抗素子11a、11bを駆動し且つ平均化された抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部20を有する。駆動検出回路部20は、2つの感温抵抗素子11a、11bに電力を供給する単一の電力供給源としての定電流回路21と、外部電力から電力の供給を受けて定電流回路21に直流電力を供給するDC回路22とを有する。また、駆動検出回路部20は、感温抵抗素子11a、11bの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗25と、この分圧を増幅するオペアンプ23と、オペアンプ23の出力電圧をアナログ値からデジタル値へ変換するA/Dコンバータ24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風速センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風速を計測するために風速センサが用いられている。
【0003】
従来の例による風速センサを図1に示す。
【0004】
図1に示す風速センサ100は、1個のサーミスタ等の感温抵抗素子110と、感温抵抗素子110に電力を供給すると共に感温抵抗素子110の出力値を受け取って外部に計測値を出力する回路部120とを有する。サーミスタ等の感温抵抗素子110は、温度によって抵抗値が変化する特性を有しており、この特性が風速センサとして利用される。
【0005】
個々の感温抵抗素子の特性には個体差によるばらつきがあるので、個々の風速センサ100の計測値にもばらつきが生じる。
【0006】
そこで、風速センサの計測値のばらつきを補償するために、計測値を校正して、個体差によるばらつきを低減することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−29224号公報
【特許文献2】特開平08−153287号公報
【特許文献3】特開2005−135686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、データセンタ又は工場等の広い室内の空調を制御するためには、温度センサと共に、多数の風速センサを用いることが考えられている。そして、このような広い空間の空調を効率良く制御するためには、数百個〜数万個の風速センサを有する大規模センシングシステムを用いることが有効であると考えられる。
【0009】
しかし、数百個〜数万個の風速センサを有する大規模センシングシステムでは、個々の風速センサを校正する作業及び費用は莫大になることが予想される。
【0010】
そこで、個体差による計測値のばらつきが少ない風速センサを採用する方法もあるが、このような風速センサは値段が高い。また、入手できる個体差による計測値のばらつきの範囲が、必要とされるばらつきの範囲よりも広い場合もある。
【0011】
一方、校正を施さずに個々の風速センサを用いた場合には、風速を精度良く計測することができないために、広い空間の空調を効率良く制御できないおそれがある。
【0012】
本明細書では、計測値の個体差によるばらつきが低減される風速センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書に開示する風速センサの一形態によれば、互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を備える。
【発明の効果】
【0014】
上述した本明細書に開示する風速センサの一形態によれば、平均化された抵抗値に基づく計測値が出力されるので、計測値の個体差によるばらつきが低減される。
【0015】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
【0016】
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、クレームされている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の例による風速センサを示す図である。
【図2】本明細書に開示する風速センサの第1実施形態を示す図である。
【図3】感温抵抗素子の抵抗値の確率分布を示す図である。
【図4】本明細書に開示する風速センサの第2実施形態を示す図である。
【図5】本明細書に開示する風速センサの第3実施形態を示す図である。
【図6】図5に示す風速センサに供給する電流波形を示す図である。
【図7】本明細書に開示する風速センサシステムの一実施形態を示す図である。
【図8】本明細書に開示する風速センサの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本明細書で開示する風速センサの好ましい第1実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図2は、本明細書に開示する風速センサの第1実施形態を示す図である。
【0020】
本実施形態の風速センサ10は、互いに熱的に結合している2つの感温抵抗素子11a、11bを備える。2つの感温抵抗素子11a、11bは、測定気流中に露出しており、気流にさらされることにより熱が奪われて温度が低下する。2つの感温抵抗素子11a、11bは、図2に示すように、矢印に示す測定対象の気流の向きに対して、重ならないように、且つ垂直に配置されることが好ましい。
【0021】
感温抵抗素子11a、11bは、電気抵抗が温度変化に対して大きく変化する特性を有する。感温抵抗素子11a、11bとしては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0022】
ここで、互いに熱的に結合しているとは、感温抵抗素子11a、11bが、互いに物理的に接触しているか、又は近接していることをいう。
【0023】
2つの感温抵抗素子11a、11bが近接しているとは、2つの感温抵抗素子11a、11bの温度差が1℃以内にあるか、又は、2つの感温抵抗素子11a、11bが、0.1W/m・K以上の熱伝導率を有する熱媒体を介して配置されていることをいう。
【0024】
風速センサ10では、2つの感温抵抗素子11a、11bが電気的に並列に接続されている。風速センサ10では、2つの感温抵抗素子11a、11bの平均的な抵抗値を用いて、風速が計測される。
【0025】
風速センサ10は、2つの感温抵抗素子11a、11bを駆動し、且つ平均化された抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部20を有する。具体的には、駆動検出回路部20は、2つの感温抵抗素子11a、11bに電力を供給すると共に、感温抵抗素子11a、11bの出力値を受け取って外部に計測値を出力する。
【0026】
駆動検出回路部20は、2つの感温抵抗素子11a、11bに電力を供給する単一の電力供給源としての定電流回路21と、外部電力から電力の供給を受けて定電流回路21に直流電力を供給するDC回路22とを有する。2つの感温抵抗素子11a、11bには、同じ電力供給源から電力が供給される。また、駆動検出回路部20は、感温抵抗素子11a、11bの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗25を有する。抵抗25は、アースされている。
【0027】
また、駆動検出回路部20は、抵抗25を用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ23と、オペアンプ23の出力電圧をアナログ値からデジタル値へ変換するA/Dコンバータ24とを有する。駆動検出回路部20は、A/Dコンバータ24が出力するデジタル信号を、風速の計測値として外部に出力する。
【0028】
上述した風速センサ10では、例えば、長さが3mm程度の感温抵抗素子11a、11bとしての2つのサーミスタが、空気を介在させて1mm程度離間して配置され得る。2つの感温抵抗素子11a、11bを、このように配置することによって、互いに熱的に結合した状態が形成される。
【0029】
2つの感温抵抗素子11a、11bは、駆動検出回路部20から例えば数mA程度の定電流が流されて自己発熱させられる。この定電流の大きさは、感温抵抗素子の自己発熱による熱量と周囲に放熱される熱量とが平衡して、2つの感温抵抗素子11a、11bの温度が所定の平衡状態として得られる量とすることが好ましい。
【0030】
この状態で、2つの感温抵抗素子11a、11bに測定気流があたると、感温抵抗素子は熱が奪われ温度が低下し抵抗値が変化する。定電流が流されている2つの感温抵抗素子11a、11bでは、抵抗値が変化すると電圧が変化するので、この電圧の変化を抵抗25における分圧として取り出し、デジタル化された信号が風速の計測値として外部に出力される。
【0031】
次に、風速センサ10の計測値の個体差によるばらつきが低減される効果を、図3を参照して、以下に説明する。
【0032】
図3には、1個の感温抵抗素子による抵抗値の確率分布(n=1)と、電気的に並列に接続された2個の感温抵抗素子による合成抵抗値の確率分布(n=2)と、電気的に並列に接続された3個の感温抵抗素子による合成抵抗値の確率分布(n=3)と、が示される。各確率分布は、規格化されたガウス分布を示している。図2に示す本実施形態は、n=2の場合に対応する。
【0033】
図3の横軸は、感温抵抗素子の抵抗値を示しており、感温抵抗素子の母集団の平均値が横軸のゼロであり、この平均値からの偏位が任意単位によって与えられている。図3の縦軸は、その抵抗値を有する感温抵抗素子の確率を示す。感温抵抗素子の母集団は、n=1の場合には、多数の単一の感温抵抗素子によって形成される集団を意味する。また、n=2の場合には、電気的に並列に接続された2個の感温抵抗素子によって形成される集団を意味する。n=3の場合も同様である。
【0034】
図3に示すように、電気的に並列に接続される感温抵抗素子の数が増加すると共に、各抵抗値の確率分布の分散が1/√nに減少し、且つ平均値の抵抗値を有する確率が増加する。
【0035】
本実施形態の風速センサ10は、電気的に並列に接続された2個の感温抵抗素子を有しているので、1個の感温抵抗素子のみから形成されている場合に比べて、感温抵抗素子に起因した抵抗値のばらつきによる計測値への影響が大幅に低減されることが分かる。
【0036】
このように、並列に接続される感温抵抗素子の数の増加と共に、分布の分散が減少するが、平均値から遠く離れた抵抗値を有する感温抵抗素子の確率がゼロになるわけでない。そこで、多数の感温抵抗素子によって形成された母集団から、この母集団における抵抗値の平均値から所定の範囲以内の抵抗値を有する複数の感温抵抗素子を選択して、風速センサに用いることが、風速センサの個体差による計測値のばらつきを更に低減する上で好ましい。
【0037】
例えば、図3に示す横軸の値として、±2以内の抵抗値を有する感温抵抗素子を選択して、風速センサに用いる。そして、n=1の場合には、母集団から約20%の感温抵抗素子が除外される。即ち、母集団の内、約80%の感温抵抗素子が風速センサとして使用され得る。また、本実施形態のようにn=2の場合には、母集団から約2%の感温抵抗素子(2個の感温抵抗素子が並列接続されたもの)が除外される。即ち、母集団の内、約98%の感温抵抗素子が風速センサとして使用され得る。更に、n=3の場合には、母集団から約0.2%の感温抵抗素子(3個の感温抵抗素子が並列接続されたもの)が除外される。即ち、母集団の内、約99.8%の感温抵抗素子が風速センサとして使用され得る。
【0038】
従って、電気的に並列に接続される複数の感温抵抗素子を用いて風速センサを形成することによって、選択によって除外される感温抵抗素子の数を大幅に減少させると共に、風速センサの個体差による計測値のばらつきを低減することができる。電気的に並列に接続される感温抵抗素子の数は、例えば、求められる風速センサの個体差による計測値のばらつきの範囲によって決定され得る。
【0039】
また、感温抵抗素子の有する抵抗値のばらつきの程度が事前に分かっている場合は、この分布を利用することで風速センサの個体差による計測値のばらつきを更に低減することができる。例えば、抵抗値の平均値に対してプラス方向にx及びマイナス方向にx(任意単位)だけ偏位した感温抵抗素子を用意する。そして、プラス方向にx偏位した感温抵抗素子と、マイナス方向にx偏位した感温抵抗素子とを用いて、電気的に並列に接続して風速センサ10を形成する。
【0040】
この場合、風速センサとしての感温抵抗素子の抵抗率の偏位は、平均値に対して1/2×1/√2×x、即ち1/2√2×xの偏位に低減される。
【0041】
上述した例では、感温抵抗素子として、平均値からの±xだけ偏位した2つグループを用意して風速センサを形成することを述べた。更に、感温抵抗素子として、抵抗値の平均値からの多数の水準の偏位したグループを用意することによって、感温抵抗素子が電気的に並列に接続されて形成された風速センサ10の抵抗率の偏位を更に低減することもできる。
【0042】
上述した本実施形態の風速センサ10によれば、風速の計測値の個体差によるばらつきが大きく低減される。
【0043】
従って、数百個〜数万個の風速センサを有する大規模センシングシステムの風速センサとして、本実施形態の風速センサを用いれば、感温抵抗素子に対する補正処理が無くなるので、大幅なコストダウンにつながる。
【0044】
また、感温抵抗素子としてのサーミスタは、熱時定数や熱放散定数といった風速センサに重要な特性が良好であるものは、サーミスタの個体差が大きい場合が多く大規模システムには適用が困難であった。しかし、サーミスタを本実施形態の風速センサの感温抵抗素子として用いれば、熱時定数や熱放散定数といった風速センサに重要な特性が良好であるサーミスタを使用して、風速の計測値の個体差によるばらつきが大きく低減される風速センサを安価で開発できるようになる。
【0045】
更に、電気的に並列に接続される複数の感温抵抗素子を用いて風速センサを形成することによって、母集団の抵抗値の平均値から離れていることによって除外される感温抵抗素子の数を大幅に減少させることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、感温抵抗素子の数を主に2つの場合について説明を行ったが、感温抵抗素子の数は3つ以上であっても良い。
【0047】
次に、本明細書に開示する第2及び第3実施形態の風速センサを、図面を参照しながら以下に説明する。第2及び第3実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図4及び図5において、図2と同じ構成要素に同じ符号を付してある。
【0048】
図4は、本明細書に開示する風速センサの第2実施形態を示す図である。
【0049】
本実施形態の風速センサ10は、2つの感温抵抗素子11a、11bが第1熱媒体12を介して互いに熱的に結合している。具体的には、風速センサ10では、2つの感温抵抗素子11a、11bが、第1熱媒体12を介して物理的に接触している。このようにして、風速センサ10では、2つの感温抵抗素子11a、11bの間の熱的な結合が更に高められている。
【0050】
2つの感温抵抗素子11a、11bの温度が速やかに近い温度になる上で、第1熱媒体の熱伝導率は、0.5W/m・K以上であることが好ましい。第1熱媒体として、例えば、銅やステンレス等の金属を用いることができる。
【0051】
また、2つの感温抵抗素子11a、11b及び第1熱媒体12は、第2熱媒体13によって覆われている。
【0052】
風速センサ10は、2つの感温抵抗素子11a、11bを覆う第1熱媒体12の層と、この第1熱媒体12を覆う第2熱媒体13の層とによって形成される2重構造を有する。
【0053】
第1熱媒体を有さずに、2つの感温抵抗素子11a、11bが第1熱媒体12を介して互いに熱的に結合しているだけの構造の場合には、第1熱媒体12による風速変化に対する温度変化の優れたレスポンスのために、計測値にノイズが発生するおそれがある。そこで、風速センサ10では、第1熱媒体12の周囲を第2熱媒体13で覆うことで、第1熱媒体12における表面部分の風速変化に対する温度変化のレスポンスを若干鈍らせてノイズを低減している。
【0054】
上述した観点から、第2熱媒体13の熱伝導率は、第1熱媒体13の熱伝導率よりも低いことが好ましい。具体的には、第2熱媒体13の熱伝導率は、2.0W/m・K以下であることが好ましい。第2熱媒体13としては、例えば、エポキシ樹脂又はガラスを用いることができる。
【0055】
上述した本実施形態の風速センサ10によれば、第1熱媒体12及び第2熱媒体13による2層構造内に2つの感温抵抗素子11a、11bが配置される。内側の層である第1熱媒体12によって、2つの感温抵抗素子11a、11bの間の熱的な結合が更に高められる結果、計測値の個体差によるばらつきが一層低減される。また、外側の層である第2熱媒体13によって、風速の計測値に対するノイズが低減される。
【0056】
図5は、本明細書に開示する風速センサの第3実施形態を示す図である。
【0057】
本実施形態の風速センサ10では、駆動検出回路部20が、2つの感温抵抗素子11a、11bそれぞれに電力を供給する独立した電力供給源としての定電流回路21a、21bを有する。即ち、2つの感温抵抗素子11a、11bそれぞれには、異なる電力供給源から電力が供給される。2つの定電流回路21a、21bには、単一のDC回路22から直流電力が供給される。
【0058】
また、駆動検出回路部20は、2つの感温抵抗素子11a、11bそれぞれの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗25a、25bを有する。
【0059】
更に、駆動検出回路部20は、抵抗25aを用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ23aと、抵抗25bを用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ23bと、を有する。
【0060】
オペアンプ23a、23bの出力電圧は、A/Dコンバータ24によって、アナログ値からデジタル値へ変換されて、計測値として外部に出力される。
【0061】
図6は、図5に示す風速センサ10に供給する電流波形の一例を示す図である。電流波形S1は、感温抵抗素子11aに供給される電流波形である。電流波形S2は、感温抵抗素子11bに供給される電流波形である。
【0062】
感温抵抗素子11aと感温抵抗素子11bとは、交互に電流が供給されている。このように、一方の感温抵抗素子のみを加熱しても2つの感温抵抗素子が熱的に結合していれば、加熱していない他方の感温抵抗素子は一方の感温抵抗素子と同じ抵抗値に変化するので、両感温抵抗素子の電圧を検出し、両者の出力値を演算することで2つのサーミスタの平均的な値を読み取ることが可能となる。
【0063】
このような観点から、2つの感温抵抗素子それぞれに電流を供給する間隔は、例えば1秒間とすることができる。
【0064】
また、風速センサ10は、上述した第2実施形態と同様に、第1熱媒体12及び第2熱媒体13を有する。
【0065】
上述した本実施形態の風速センサ10によれば、2つの感温抵抗素子それぞれに電流を供給する定電流回路を有しているが、消費電力を低減するができる。また、上述し第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
図7は、本明細書に開示する風速センサシステムの一実施形態を示す図である。
【0067】
本実施形態の風速センサシステム30は、室内の空間に分散して配置された複数の風速センサ10を備える。各風速センサ10は、互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を備える。風速センサ10としては、例えば、上述した第1〜第3実施形態の風速センサを用いることができる。
【0068】
また、風速センサシステム30は、複数の風速センサ10の計測値が入力されるサーバ31を備える。複数の風速センサ10によって計測された計測値は、まず、中継機34に入力された後、上位中継機35を経由して、サーバ31へ入力される。
【0069】
また、風速センサシステム30は、温度を測定する複数の温度センサ(図示しない)を備える。この温度センサの計測値も、サーバ31へ入力される。
【0070】
また、風速センサシステム30は、計測された風速及び温度の計測値を用いて、サーバ31によって制御される複数の空調機32を備える。更に、風速センサシステム30は、計測された風速及び温度の計測値を用いて、サーバ31によって制御される複数の気流制御器33を備える。上述した観点から、各風速センサ10は、空調機32及び気流制御器33を効率良く制御するための風速分布を測定するように、室内の各地点に配置されることが好ましい。同様に、上記温度センサは、空調機32及び気流制御器33を効率良く制御するための温度分布を測定するように、室内の各地点に配置されることが好ましい。
【0071】
風速センサシステム30は、例えば、工場、データセンタ、ビル、オフィス、農場、店舗等の広い室内において、空調機32及び気流制御器33を制御するシステムとして使用され得る。
【0072】
広い室内における空調を効率よく制御するためには、多数の地点における風速を計測することが好ましい。このような観点から、風速センサシステム30は、風速センサを10以上、又は100以上、又は1000以上、又は10000以上、又は100000以上備えることが好ましい。
【0073】
上述した本実施形態の風速センサシステム30によれば、複数の風速センサを用いて精度の高い風速を計測し、この風速の計測値を用いて、空調機32及び気流制御機33が制御されるので、広い室内の空調を効率よく制御することができる。従って、電気エネルギー等のエネルギー消費量を低減できる。
【0074】
本発明では、上述した各実施形態の風速センサ及び風速センサシステムは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0075】
例えば、上述した実施形態では、2つの感温抵抗素子が電気的に並列に接続されていたが、図8に示すように、2つの感温抵抗素子が電気的に直列に接続されていても良い。この場合にも、図3を用いて説明したように、風速の計測値の個体差によるばらつきの低減効果が得られる。
【0076】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
【0077】
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0078】
(付記1)
互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を備える風速センサ。
【0079】
(付記2)
複数の前記感温抵抗素子は、互いに物理的に接触している付記1に記載の風速センサ。
【0080】
(付記3)
複数の前記感温抵抗素子は、近接している付記1に記載の風速センサ。
【0081】
(付記4)
複数の前記感温抵抗素子を駆動し、且つ平均化された抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部を有する付記1〜3の何れかに記載の風速センサ。
【0082】
(付記5)
複数の前記感温抵抗素子は電気的に並列に接続されている付記1〜4の何れか一項に記載の風速センサ。
【0083】
(付記6)
複数の前記感温抵抗素子は電気的に直列に接続されている付記1〜5の何れか一項に記載の風速センサ。
【0084】
(付記7)
複数の前記感温抵抗素子は第1熱媒体を介して熱的に結合している付記1〜6の何れか一項に記載の風速センサ。
【0085】
(付記8)
前記第1熱媒体の熱伝導率は、0.5W/m・K以上である付記7に記載の風速センサ。
【0086】
(付記9)
複数の前記感温抵抗素子及び前記第1熱媒体は、第2熱媒体によって覆われている付記7又は8に記載の風速センサ。
【0087】
(付記10)
前記第2熱媒体の熱伝導率は、前記第1熱媒体の熱伝導率よりも低い付記9に記載の風速センサ。
【0088】
(付記11)
前記第2熱媒体の熱伝導率は、2.0W/m・K以下である付記9又は10に記載の風速センサ。
【0089】
(付記12)
複数の前記感温抵抗素子は、
多数の感温抵抗素子によって形成された母集団から、前記母集団における抵抗値の平均値から所定の範囲以内の抵抗値を有する感温抵抗素子が選択されたものである付記1〜11の何れか一項に記載の風速センサ。
【0090】
(付記13)
複数の前記感温抵抗素子に電力を供給する単一の電力供給源を有する付記1〜12の何れか一項に記載の風速センサ。
【0091】
(付記14)
複数の前記感温抵抗素子それぞれに電力を供給する独立した電力供給源を有する付記1〜13の何れか一項に記載の風速センサ。
【0092】
(付記15)
室内の空間に分散して配置された複数の風速センサと、
複数の前記風速センサの計測値が入力されるサーバと、
を備え、
前記風速センサは、互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を有する風速センサシステム。
【符号の説明】
【0093】
10 風速センサ
11a、11b 感温抵抗素子
12 第1熱媒体
13 第2熱媒体
20 駆動検出回路部
21 定電流回路
22 DC回路
23 オペアンプ
24 A/Dコンバータ
25 抵抗
30 風速センサシステム
31 サーバ
32 空調機
33 気流制御器
34 中継器
35 上位中継器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を備える風速センサ。
【請求項2】
複数の前記感温抵抗素子は、互いに物理的に接触している請求項1に記載の風速センサ。
【請求項3】
複数の前記感温抵抗素子は、近接している請求項1に記載の風速センサ。
【請求項4】
複数の前記感温抵抗素子を駆動し、且つ平均化された抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部を有する請求項1〜3の何れかに記載の風速センサ。
【請求項5】
複数の前記感温抵抗素子は、
多数の感温抵抗素子によって形成された母集団から、前記母集団における抵抗値の平均値から所定の範囲以内の抵抗値を有する感温抵抗素子が選択されたものである請求項1〜4の何れか一項に記載の風速センサ。
【請求項6】
室内の空間に分散して配置された複数の風速センサと、
複数の前記風速センサの計測値が入力されるサーバと、
を備え、
前記風速センサは、互いに熱的に結合している複数の感温抵抗素子を有する風速センサシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−99738(P2011−99738A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253957(P2009−253957)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)