説明

飛翔害虫用組立トラップ

【課題】 使用者の目的や昆虫の生態に合わせて使用することができるトラップを提供する。
【解決手段】正方形状の第1支持体(1)と第2支持体(2)とで、4枚の長方形状の側面体(3)を、各辺で挟み込むことで組み替え可能に支持したものであり、該側面体(3)は、第1支持体(1)及び第2支持体(2)の4辺各辺の中央部に各々形成された差込部(1a)、差込部(2a)に、上端及び下端に各々形成された突起体(3a)が、各々着脱可能に差し込まれることで、回転かつ組み替え可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔害虫用組立トラップに関する。
【背景技術】
【0002】
飛翔害虫用トラップとして、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
該トラップは、上面体と底面体と側面体とで構成され、内部が空洞である本体の内部空間に、誘引剤を設置し、該本体の側面体の主に裏面に粘着物を取り付けると共に縦長のスリットを形成したものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のトラップは、使用者の目的や昆虫の生態に合わせて使用することができなかった。
すなわち、該トラップは、形状を変化させることができず、虫の生態にあわせた効果的な使い方ができなかった。
【0005】
従って、本発明の解決しようとする課題は、使用者の目的や昆虫の生態に合わせて使用することができるトラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1に、
第1支持体と第2支持体とで、粘着体を取り付け可能な側面体を組み替え可能に支持し、
該側面体が、回転可能に取り付けられていることを特徴とする、飛翔害虫用トラップ。
第2に、
側面体の回転が、側面体の上端及び下端に各々形成された突起体を、第1支持体、第2支持体に形成された差込部に各々差し込むことで可能になることを特徴とする、上記第1に記載の飛翔害虫用トラップ。
第3に、
第1支持体と第2支持体とが、四角形状であることを特徴とする、上記第1または第2に記載の飛翔害虫用トラップ。
第4に、
第1支持体と第2支持体とが、三角形状であることを特徴とする、上記第1または第2に記載の飛翔害虫用トラップ。
第5に、
内部に誘引剤を設置することを特徴とする、上記第1〜4のいずれか一つに記載の飛翔害虫用トラップ。
第6に、
誘引剤の設置を、開閉可能なメッシュ保持面で固形状の誘引剤を挟み込むことが可能であると共に、揮発性の誘引剤を収めたボトルを保持することが可能な誘引剤ホルダーを用いることで行うことを特徴とする、上記第5に記載の飛翔害虫用トラップ。
【0007】
誘引剤ホルダーを第1支持体または第2支持体に取り付けるには、例えば、正方形状の支持体の対角線状に切り込み入れ、誘引成分の飛散状況を考慮して、誘引剤ホルダーの上下端のどちらか一方を嵌め込むようにすることで対応できる。
【0008】
ここで、第1支持体と第2支持体とで、側面体を組み替え可能にトラップを構成することで、使用者の目的や昆虫の生態に合わせて、トラップの形状自体を変化させることが可能になる。
【0009】
例えば、第1支持体と第2支持体とが四角形状であって、4枚の側面体を用いると、トラップ全体の形状としては四角柱型になるし、三角形状の第1支持体と第2支持体とを用いると、トラップ全体の形状は三角柱型になるが、これに限定されず、支持体として菱形やより多角形状のものも採用できる。
【0010】
また、粘着体は、側面体の形状に合致した形状のシート状物の四隅に孔を形成し、該孔を、側面体の表裏両面の上下端の四隅に設けた取付用突起物に組み合わせることで、側面体に取り付けることができる。
【0011】
該粘着体の取り付けや交換の際には、側面体の外側に粘着体を取り付けた後に、使用状態に合致するように側面体を回転させて、内側に粘着体が位置するように取り扱うことができる。
【0012】
なお、粘着体の幅と長さを、実体顕微鏡の観察範囲を考慮して死角がないように決定することで、試験の際のカウントを容易にすることが可能になる。
【0013】
使用に際し、各側面体の回転角度を調節することによって、隣接する側面体同士の隙間を、条件に応じて調節することで、誘引剤の飛散方向の調節等も可能になる。
【0014】
第1支持体及び第2支持体に、紐を通す孔を形成することで、吊り下げて使用することも可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のトラップは、第1支持体と第2支持体とで、粘着体を取り付け可能な側面体を組み替え可能に支持し、該側面体が、回転可能に取り付けられているので、使用者の目的や昆虫の生態に合わせて使用することができる。
【0016】
ここで、粘着体の取り付けも、側面体の片面や両面としたり、三角柱型のトラップを横において設置する場合には、底面に位置する側面体の内面だけに取り付けるや、使用しない粘着面を保護する剥離紙を剥がさず予備とする等、条件に応じて自由に決定できる。
【0017】
また、粘着体は、各形状のトラップに使用できるので、粘着体の共通化を図ることができる。
【0018】
加えて、本発明のトラップは、在庫や輸送の際には、個々のパーツ毎に分解することができるので、コンパクトな状態で扱うことができるし、破損の際も最低限の必要なパーツを交換するだけで済むので経済的である。
【0019】
さらに、粘着体を取り付ける側面体を回転可能にしたので、粘着体をトラップの内側に配置する際でも、取り付けや交換が極めて容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る四角柱型の飛翔害虫用組立トラップの斜視図である。
【図2】本発明に係る三角柱型の飛翔害虫用組立トラップの斜視図である。
【図3】本発明に係る飛翔害虫用組立トラップに用いる誘引剤ホルダーの概略図である。
【図4】本発明に係る飛翔害虫用組立トラップの側面体に取り付ける粘着体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1に示す四角柱型の飛翔害虫用組立トラップは、正方形状の第1支持体1と第2支持体2とで、4枚の長方形状の側面体3を、各辺で挟み込むことで組み替え可能に支持したものである。
【0023】
該側面体3は、第1支持体1及び第2支持体2の4辺各辺の中央部に各々形成された差込部1a、差込部2aに、上端及び下端に各々形成された突起体3aが、各々着脱可能に差し込まれることで、回転かつ組み替え可能に支持されている。
【0024】
また、該側面体3の表裏両面の上下端の四隅には、側面体3の形状に合致した長方形状の粘着体4(図4参照)を取り付け可能なように、四隅に取付用突起物3bが形成されている。
【0025】
他方、粘着体4は、図4に示すように、側面体3の形状に合致した形状のシート状物の四隅に取付孔4aを形成し、該孔4aを、側面体3に設けた取付用突起物3bに引っ掛けるようにすることで、側面体3に取り付けることが可能になる。
【0026】
図1中、1b、2bは、図示は省略する地上設置用棒の上端または懸架設置用棒の下端に組み合わせるための、短筒部を示す。
【0027】
図2に示す三角柱型の飛翔害虫用組立トラップは、三角形状の第1支持体21と第2支持体22とで、6枚の長方形状の側面体3を、各辺で2枚ずつ挟み込むことで組み替え可能に支持したものである。
【0028】
該三角柱型の飛翔害虫用組立トラップも、四角柱型の飛翔害虫用トラップと同様に、該側面体3は、第1支持体21及び第2支持体22の三辺各辺の2カ所に各々形成された差込部21a、差込部22aに、上端及び下端に各々形成された突起体3aが、各々着脱可能に差し込まれることで、回転かつ組み替え可能に支持されている。
【0029】
該三角柱型の飛翔害虫用組立トラップは、横に倒した状態で使用することもできる。
【0030】
上記の両タイプの飛翔害虫用組立トラップの内部には、図3に示すような誘引剤ホルダー5を用いて、誘引剤を設置することができる。
【0031】
該誘引剤ホルダー5は、2枚のメッシュ保持面51で固形状の誘引剤を開閉可能に挟み込むことができると共に、揮発性の誘引剤を収めたボトルを保持することができるボトル保持部52を有するものである。
【0032】
図3中、53は誘引剤ストッパーでメッシュ保持面51を上下の2区画に仕切るものであり、54は2枚のメッシュ保持面51の蝶番部分であり、55はボトル側面に形成された切り込みに組み合わせるボトル保持片であり、56は誘引剤ホルダー5を第1支持体1または第2支持体2に取り付けるための取付突起である。
【0033】
ここで、四角形状の第1支持体1及び第2支持体2や、三角形状の第1支持体21及び第2支持体22とで、必要数の側面体3を組み合わせて構成することで、使用者の目的や昆虫の生態に合わせて、トラップの形状自体を変化させることが可能になる。
【0034】
そして、粘着体4の取り付けや交換の際には、側面体3の外側に粘着体4を取り付けた後に、使用状態に合致するように側面体3を回転させて、内側に粘着体4が位置するように取り扱うことができる。
【0035】
使用に際し、各側面体3の回転角度を調節することによって、隣接する側面体3同士の隙間を、条件に応じて調節することが可能になる。
【符号の説明】
【0036】
1 第1支持体
1a 差込部
1b 短筒部
2 第2支持体
2a 差込部
2b 短筒部
21 第1支持体
21a 差込部
22 第2支持体
22a 差込部
3 側面体
3a 突起体
3b 取付用突起物
4 粘着体
4a 取付孔
5 誘引剤ホルダー
51 メッシュ保持面
52 ボトル保持部
53 誘引剤ストッパー
54 蝶番部分
55 ボトル保持片
56 取付突起
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2009−225687号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持体と第2支持体とで、粘着体を取り付け可能な側面体を組み替え可能に支持し、
該側面体が、回転可能に取り付けられていることを特徴とする、飛翔害虫用トラップ。
【請求項2】
側面体の回転が、側面体の上端及び下端に各々形成された突起体を、第1支持体、第2支持体に形成された差込部に各々差し込むことで可能になることを特徴とする、上記請求項1に記載の飛翔害虫用トラップ。
【請求項3】
第1支持体と第2支持体とが、四角形状であることを特徴とする、上記請求項1または2に記載の飛翔害虫用トラップ。
【請求項4】
第1支持体と第2支持体とが、三角形状であることを特徴とする、上記請求項1または2に記載の飛翔害虫用トラップ。
【請求項5】
内部に誘引剤を設置することを特徴とする、上記請求項1〜4のいずれか一つに記載の飛翔害虫用トラップ。
【請求項6】
誘引剤の設置を、開閉可能なメッシュ保持面で固形状の誘引剤を挟み込むことが可能であると共に、揮発性の誘引剤を収めたボトルを保持することが可能な誘引剤ホルダーを用いることで行うことを特徴とする、上記請求項5に記載の飛翔害虫用トラップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−231733(P2012−231733A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102217(P2011−102217)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(391020584)富士フレーバー株式会社 (16)
【Fターム(参考)】