説明

飛行における方向転換および姿勢制御のためのシステム及び方法

飛行ビークルにおけるスラスタ制御のためのシステム及び方法が提供される。このシステム及び方法は方向転換及び姿勢制御(DAC)システムでスラストコマンドを決定するために比例微分マトリックス制御技術を使用する。比例微分マトリックス制御システム400は入力としてピッチ、ロール、ヨーコマンド404を受信し、出力としてスラストコマンド410を発生するように構成されている。比例微分マトリックス制御装置の性能により、スラストコマンドが減少された燃料消費で、所望の姿勢角度を迅速に実現できる。マトリックス制御システムは異なるモーメントアームを有する非対称スラスタを含む種々のスラスタを効率的に制御できる。マトリックス制御システムは姿勢制御用に構成された非対称スラスタを有するDACシステムの制御に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はミサイル、弾頭破壊飛行体、宇宙船を含んだ飛行ビークルの制御のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本願は2009年10月1日出願の米国非暫定特許出願第12/572,138号明細書について優先権を主張している。
【0003】
本発明は契約番号N00024-00-C-5390の下で米国政府の援助で行われた。米国政府は本発明においてある権利を有している。
【0004】
方向転換及び姿勢制御(DAC)システムはミサイル、弾頭破壊飛行体(kill vehicle:KV)または宇宙船のような飛行ビークルを操縦することに使用される。典型的なDACシステムは方向転換操縦、姿勢制御、飛行ビークルの安定化に使用されるスラスタを含んでいる。幾つかのこのようなシステムでは、スラスタの任意の燃焼は連続的に、ピッチ、ヨー、ロールモーメントを発生する。効率的な動作のために、DACシステムはこれらの反復性のモーメントを補償できることを必要とする。制御が正確ではなくこれらのモーメントを補償するのに十分に高速度ではないならば、飛行ビークルは所望のパスをオーバーシュートまたはアンダーシュートする可能性がある。さらに、指向エラーはターゲットのミスを生じる可能性がある。最終的に、限界安定を有するシステムは燃料を浪費する可能性がある。
【0005】
したがって、必要とされていることは、飛行ビークル制御の正確さ及び効率を改良する飛行ビークルの方向転換および姿勢制御のための改良されたシステム及び方法である。本発明のその他の所望な特性及び特徴は添付図面とその背景を参照にした以下の詳細な説明と請求項から明白になるであろう。
【発明の概要】
【0006】
飛行ビークルのスラスタ制御のためのシステム及び方法が提供される。このシステム及び方法は方向転換及び姿勢制御(DAC)システムでスラストコマンドを決定するために比例微分制御技術を使用する。比例微分制御システムは入力として、ピッチ、ロール、ヨーコマンドを受信し、出力としてスラストコマンドを発生する。比例微分制御装置の性能によって、スラストコマンドは減少された燃料消費で、所望の姿勢角度を迅速に実現できる。
【0007】
制御システムは異なるモーメントアームを有する非対称のスラスタを含めた種々のスラスタを効率的に制御できる。制御システムは姿勢制御用に構成されている非対称のスラスタを有するDACシステムの制御に特に適している。このような非対称のスラスタは低い数のスラスタで姿勢を制御できるが、各スラスタの点火で発生されるモーメントのために従来必要とされたコンピュータによる複雑な制御技術を有する。制御装置は全体的な燃料消費を減少しながらこれらのモーメントを効率的に補償するために非対称のスラスタを制御できる。
【0008】
1実施形態では、制御システムは視線レートコマンドを受信し、指向エラーを減少するように動作する。付加的に、1実施形態では制御システムは重心シフトデータを受信し、燃料の燃焼及びその他の原因による重心のシフトから生じるモーメントを消去するように動作する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の1実施形態による例示的な飛行ビークルの等角図である。
【図2】本発明の1実施形態による例示的なスラストの図である。
【図3】本発明の1実施形態によるスラストベクトルの表を示す図である。
【図4】本発明の1実施形態によるスラスト制御システムの概略図である。
【図5】本発明の1実施形態によるスラスト値を計算する方法のフロー図である。
【図6】本発明の1実施形態によるスラスト制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の少なくとも1つの例を以下、図面を伴って説明し、同じ参照符号は同じ素子を示している。
以下の詳細な説明は本質的に単なる例示であり、本発明またはその応用および本発明の使用を限定することを意図しない。さらに、前述の背景技術または以下の詳細な説明で与えられている任意の論理によって限定される意図はない。
【0011】
飛行ビークルにおけるスラスタ制御のためのシステム及び方法が与えられる。システム及び方法は方向転換および姿勢制御(DAC)システムでスラストコマンドを決定するために比例微分制御技術を使用する。通常、比例微分技術はリッジボディの姿勢をグローバルに安定化するために姿勢エラーおよび角速度の四元数のフィードバックを使用する。さらに、角速度のフィードバックは四元数の非線形フィルタにより与えられ、したがって直接的な角速度測定の必要性を除去する。比例微分制御システムは入力としてピッチ、ロール、ヨーコマンドを受信し、出力としてスラストコマンドを発生するように構成されている。比例微分制御装置の性能により、スラストコマンドは減少された燃料消費で所望の姿勢角度を迅速に実現できる。1実施形態では、制御システムは視線レートコマンドを受信し、指向エラーを減少するように動作する。付加的に、1実施形態では制御システムは重心シフトデータを受信し、燃料の燃焼及びその他の原因による重心のシフトから生じるモーメントを消去するように動作する。
【0012】
制御システムは異なるモーメントアームを有する非対称のスラスタを含む種々のスラスタを効率的に制御できる。制御システムは姿勢制御用に構成された非対称のスラスタを有するDACシステムの制御に特に適している。通常、システムのスラスタが異なるモーメントアームを有するならばシステムは非対称のスラスタを有する。このような非対称のスラスタは大きな利点を有することができる。特にスラスタの非対称の配置は低い数のスラスタが姿勢制御に使用されることを可能にする。例えば対称のスラスタ配置では典型的に完全な姿勢制御のために6個のスラスタを必要とするが、非対称のスラスタのセットは僅か4個のスラスタで姿勢制御を行うことができる。この必要とされるスラスタ数の減少は飛行ビークルの価格と複雑性を非常に減少させる。
【0013】
しかしながら、このような非対称のスラスタはより低い数のスラスタで姿勢を制御できるが、これらは各スラスタの点火で発生されるモーメントによりコンピュータの複雑な制御技術の使用を必要とする。それと対照的に、比例微分制御装置は全体的な燃料消費を減少しながらこれらのモーメントを効率的に補償するために非対称のスラスタを制御できる。したがって比例微分制御装置は広範囲の応用で価格が効率的な非対称のスラスタの使用を容易にできる。
【0014】
図1を参照すると、例示的な飛行ビークル100が示されている。飛行ビークル100は制御装置が使用されることができるビークルのタイプの1例であり、これはミサイル、弾頭破壊飛行体(KV)または宇宙船のような飛行ビークルを含むことができる。種々の実施形態によれば、飛行ビークル100は主要な制御(即ち方向転換操縦)と姿勢制御(即ちピッチ、ヨー、ロール制御)の両者のため飛行中に方向転換及び姿勢制御(DAC)システムを使用する。図1に示されているように飛行ビークル100はロール軸(図1ではX軸)に沿ってその本体軸102が配向されている。DACシステムは方向転換制御のための4個の主スラスタ104と、ピッチ(Y軸を中心とする回転)、ヨー(Z軸を中心とする回転)、ロール制御(X軸を中心とする回転)のための4個の姿勢制御スラスタ106を使用する。
【0015】
以下より詳細に説明するように、姿勢制御スラスタ106は非対称的であり、これらがオーバーラップするピッチ、ロール、ヨー操縦を行うことを可能にする。特に、これらは非対称的であるので、任意の4個のスラスタ106の点火はビークル100においてピッチ、ロール、ヨーモーメントを生成する。このようなシステムは4個の姿勢スラスタのみを使用するので、このようなシステムは固定されたインパルススラスタで構成されるとき比較的廉価であるが高速度の操縦能力を与えることができる。したがって簡単な非対称のスラスタの使用は確実で価格が効率的な解決策を与えることができる。
【0016】
スラスタ106はビークルの重心から離れて飛行ビークル100上に取り付けられる。さらにスラスタ106は重心に近い第1の対(106A、106B)と、重心から離れた第2の対(106C、106D)を含んでいる。さらに、これらの4個のスラスタはY軸またはZ軸と整列されず、代わりにY軸とZ軸との間に位置される。これによってスラスタの性能を非対称的にされ、それは任意のスラスタの任意の推力がピッチ、ロール、ヨーモーメントを発生することを意味する。
【0017】
図2および3を参照すると、主及び姿勢スラスタを有するDACシステムの特定の例が示されている。図2では、4個の主方向転換スラスタT1、T2、T3、T4(例えばスラスタ104)と4個の姿勢制御スラスタT5、T6、T7、T8(例えばスラスタ106)の例示的なセットのスラストベクトルが本体図中に示されており、座標系によりラベルを付されている。4個の主制御スラスタT1、T2、T3、T4はN1、N2、N3、N4とラベルを付されている4個のスラストベクトルを生成する(対応する矢印はスラストベクトルの方向を示している)。4個の姿勢制御スラスタT5、T6、T7、T8はN5、N6、N7、N8とラベルを付されている4個のスラストベクトルを生成する。この本体図で見られるように、4個の姿勢制御スラスタにより生成されたスラストベクトルは非対称的であり、スラスタの点火が異なるモーメントアームを生成することを意味している。スラスタT5、T6、T7、T8はY軸またはZ軸と整列されず、代わりにY軸とZ軸との間に位置される。さらに、T5およびT7はT6およびT8よりも重心に近く、したがってスラスタの点火は異なるモーメントを発生する。
【0018】
図3を参照すると、表300はスラスタT1−T8について重心に関する例示的なスラスタ位置及び方向を示している。表300では、MTA_Zは(0,0,0)点からZ軸に沿ったスラスタT1までの距離であり、MTA_Yは(0,0,0)点からY軸に沿ったスラスタT2までの距離である。同様に、x1は(0,0,0)点からX軸に沿ったスラスタN5およびN7までの距離であり、x2は(0,0,0)点からX軸に沿ったスラスタT6およびT8までの距離である。y1はX軸に垂直なY軸に沿った姿勢スラスタT5、T6、T7、T8の位置距離である。
【0019】
図2および3で見られるように、スラスタの性能は非対称的であり、任意のスラスタの任意の使用はピッチ、ヨー、ロールモーメントを生成する。このために、スラスタ制御が正確ではなく生成されたモーメントを補償するのに十分に高速度でないならば、ビークルはオーバーシュートまたはアンダーシュートする。このようなシステムは限界安定を有し、燃料を浪費し、大きな指向エラーを有する。
【0020】
図1−3のスラスタの構造は姿勢制御のために非対称のスラスタを使用できるタイプの構造の単なる1例であることに注意すべきである。信頼性を改良し、価格を低く維持するために、各スラスタは非常に簡単であることが好ましい。例えば固定されたインパルススラスタの構造は非常に有効であり、姿勢制御を簡単にする。多くの応用では、単発の固定されたインパルススラスタは単一の姿勢制御操縦を行うための高い信頼性があり廉価である解決策を与える。
【0021】
ビークルの飛行中、制御装置は特定された姿勢制御操縦を発生するために計算されるスラストコマンドを発する。典型的な実施形態では、これらのスラストコマンドはスラストが所望の操縦を実現するために各サイクル期間中に必要とされる時間を示すパルス幅変調された信号の形態である。アクチブな閉ループ制御システムでは、システムはピッチ、ヨー、ロール角度を、典型的には慣性ナビゲーションシステムから持続的に受信し、各個々のスラスタに対して各サイクルで必要とされるスラスト時間を決定するためにこれらの値を使用する。例えば飛行ビークルの動作を停止するため、各ピッチおよびヨー平面の回転モーメントの和はゼロでなければならない。このような操縦は、点火のパルス幅変調のタイミングが良好に制御されることを必要とする。例えば各サイクルのスラスト時間が必要とされるよりも長いならば、ミサイルはオーバーピッチ、オーバーヨー、および/またはオーバー回転する。したがって各サイクルのスラスト時間が必要とされるよりも短いならば、ビークルはアンダーピッチ、アンダーヨー、アンダー回転となる。
【0022】
図4を参照すると、スラスタ制御システム400の第1の実施形態が示されている。典型的な実施形態では、スラスト制御システム400はプロセッサにより構成される。この明細書では、用語「プロセッサ」は列挙された動作を行うように構成された1以上の処理エレメントを含むように規定される。したがって、プロセッサは種々のソースから電気信号を受信して適切な応答を発生する1以上の集積回路、ファームウェアコード、および/またはソフトウェアコードの全てまたは一部を含んでいる。幾つかの実施形態では、プロセッサを具備する全ての処理素子は共に位置される。他の実施形態では、プロセッサの素子は多数の位置で多数の装置にわたって分散されることができる。
【0023】
制御システム400は飛行ビークルの方向転換および姿勢制御(DAC)システムのスラストコマンドを決定するために結合マトリックス401とモーメントマトリックス402を使用する。特に、この実施形態ではスラスタ制御システム400はピッチ、ロール、ヨーコマンド404、重心シフト406、視線レートコマンド408、角速度409を入力として受信する。これらから、スラスタ制御システム400は出力としてスラスタコマンド410を発生する。
【0024】
典型的な実施形態では、ピッチ、ロール、ヨーコマンド404は、コマンドを決定するために現在のピッチ、ロール、ヨーを所望のピッチ、ヨー、ロールに対して比較する追跡システムにより発生される。同様に、典型的な実施形態では、視線レートコマンド408と角速度409は誘導システムにより発生され、典型的には秒当りのラジアンの形態である。最後に重心シフト406は典型的に燃料の燃焼から生じるCGシフト距離の評価によって発生され、長さの単位である。
【0025】
スラスタ制御システム400の性能により、スラストコマンドが減少された燃料消費で所望の姿勢角度を迅速に実現できる。さらに、制御システム400は飛行ビークルの指向エラーを減少させ、燃料の燃焼による重心のシフトその他の原因により生じるモーメントを消去する。
【0026】
スラスタ制御システム400は種々のスラスタを効率的に制御でき、特に姿勢制御用に構成された非対称スラスタを有するDACシステムの制御に適している。非対称スラスタはより低い数のスラスタで姿勢を制御できるので、スラスタ制御システム400は飛行ビークルの姿勢制御に対して価格が効率的な解決策を与えることができる。特にスラスタ制御システム400は全体的な燃料消費を減少しながら、生成されたモーメントを効率的に補償するために非対称スラスタを制御できる。
【0027】
通常、スラスタ制御システム400は飛行ビークルのDACシステムのスラストコマンドを決定するために結合マトリックス401とモーメントマトリックス402を使用する。例示的な結合マトリックスとモーメントマトリックスの微分について次に説明する。
【0028】
一般的に、結合マトリックス401は飛行ビークルにおけるX、Y、Z軸のスラスタモーメントを計算することによって特定のスラスタ配置について決定される。特に、結合マトリックス401は特定のスラスタ配置における位置マトリックスとスラスタ力マトリックスとのクロス積として飛行ビークルモーメントベクトルを計算し、X、Y、Z軸のスラスタモーメントを加算することにより決定されることができる。
【0029】
例えばスラストモーメントマトリックスTMは次のように定義される。
[TM]=[P]x[F] 式1
ここでPは位置マトリックスであり、Fは力マトリックスである。X、Y、Z軸のスラスタモーメントを加算することによって、以下の関係が得られる。
[M]=[B][T] 式2
ここでMはビークルモーメントマトリックスであり、Tはスラストコマンドマトリックスであり、Bは結合マトリックスである。式2では、結合マトリックスBはスラスタにより与えられるスラストと飛行ビークル上で発生されるモーメントとの関係を規定していることが分かる。モーメントマトリックスM、結合マトリックスB、スラストコマンドマトリックスT間の関係が与えられると、スラスタ制御システム400の動作は以下のように表されることができる。
T=[B]−1M 式3
計算されるとき、スラストマトリックスT中の各エレメントはDACシステム中のスラストの1つに対して発生されたスラストコマンドに対応する。
【0030】
スラスタ制御システム400の構成において、モーメントマトリックスMは好ましくは飛行ビークルにおいて動作する種々のモーメントを考慮に入れて構成される。例えば位置コマンド、レートフィードバック、視線レートコマンド、角速度、重心シフトを考慮する。スラストコマンドマトリックスTのスラストコマンドについて解くためにモーメントマトリックスMと結合マトリックスBを使用することによって、スラスト制御システム400は飛行ビークルの効率的で正確な姿勢制御を行うことができる。
【0031】
結合マトリックスBとモーメントマトリックスMの幾つかの特別な例を説明する。これらの例は図1乃至3に示されているスラスタ106(T5、T6、T7、T8)の非対称スラスタ配置に対応する。しかし、このスラスタ配置は制御システムが制御のために構成されることができるタイプのスラスタ配置の単なる1例であることに注意する。
【0032】
4個のスラスタを有するこのような実施形態では、位置ベクトルP5乃至P8は以下のように規定されることができる。
P5=[−x1、−y1、0]
P6=[−x2、−y1、0]
P7=[−x1、y1、0]
P9=[−x2、y1、0] 式4
ここでx1、x2、y1は前述したようにスラスタへの距離である。力ベクトルF5−F8は同様に以下のように規定されることができる。
F5=[0,cos(A5),−sin(A5)]
F6=[0,cos(A6),sin(A6)]
F7=[0,−cos(A7),sin(A7)]
F9=[0,−cos(A8),−sin(A8)] 式5
ここでA5−A8はそれぞれスラスタT5−T8についてのY軸に関するスラスタ角度である。X=−x1−rcxおよびX=−x2−rcxを規定し、ここでrcxは方向転換平面からx軸に沿って前方向の重心シフト距離である。
【0033】
式1を使用して、スラストモーメントマトリックスTMはしたがって以下のように規定される。
【数1】

【0034】
X、Y、Z軸のスラスタモーメントを合計することによって、ビークルモーメントマトリックスMは以下のように規定される。
【数2】

【0035】
式7は前述の式2で説明されている一般的関係の特別な構成を規定している。したがって、この式はスラスタにより与えられるスラストと飛行ビークル上で発生されるモーメントとの関係を規定する結合マトリックスBを説明している。
【0036】
図2で示されている例および表300で与えられるスラスタ構造では、結合マトリックスBの特別な構成はしたがって以下のように規定されることができる。
【数3】

【0037】
式3で前述されている関係を使用して、結合マトリックスBとビークルモーメントマトリックスMはスラストコマンドを決定するために使用されることができる。このような構成では、ビークルモーメントマトリックスMは位置コマンド、レートフィードバック項、視線レート項、角速度を考慮するように構成される。このようなシステムでは、モーメントマトリックスMACSは以下のように規定されることができる。
【数4】

【0038】
ここでKp、Kp、KpはX、Y、Z座標における位置利得の正のスケーラであり、Kv、Kv、KvはX、Y、Z座標における速度利得の正のスケーラであり、δr、δp、δyはそれぞれロール、ピッチ、ヨーの正のコマンドであり、ω、ω、ωは角速度フィードバック項であり、σσσは視線レート項である。このように規定されると、モーメントマトリックスMACS中の各エレメントは姿勢エラー、視線レート、角速度の項において飛行ビークル上のモーメントの比例微分表現を規定する。
【0039】
この実施形態では、利得スケーラKp、Kp、Kp、Kv、Kv、Kvは飛行ビークルの物理的寸法に基づいて計算される。このような計算はシステム性能を最適化するために試行錯誤により行われることができる。ロール(δr)、ピッチ(δp)、ヨー(δy)コマンドは典型的にビークルシステム追跡装置により与えられ、そのビークルシステム追跡装置は慣性誘導システムからの姿勢データとターゲット基準データを受信し、適切なコマンドを発生する。これらのコマンドは典型的に各コマンドのデルタ角度位置値である。同様に、各座標方向(ω,ω,ω)に対するフィードバック項は典型的に角速度であり、慣性ナビゲーションシステム(INS)により発生される。
【0040】
同様に、視線レート項(σσσ)は所望のターゲットを追跡するために使用される視線レートコマンドの変化速度を表し、システムの指向エラーを減少させるフィードフォワード項として作用する。これらの視線レート項は指向エラーを減少するために付加され、そうでなければ、指向エラーが姿勢制御スラスタが付勢されないデッドバンド領域内にある指向エラーから生じる可能性がある。このために、視線レート項の使用は付加的に、指向エラーがデッドバンド領域を超過してオーバーシュート応用を生じるとき、姿勢制御スラスタが過度の補償する機会を減少する。これらの値は典型的に誘導システムにより発生され、典型的に秒当りラジアンの形態である。1例として、視線レートコマンドは以下のように規定されることができる。
【数5】

【0041】
ここで/Rx/Vはターゲットベクトルへの相対距離および速度であり、Rはベクトル/Rの大きさである。
【0042】
この実施形態の変形では、ビークルの重心のシフトについての付加的なフィードフォワード項が加算される。典型的な飛行ビークルでは、ビークルの重心は燃料が燃焼されて重量が減少されるときに移動する。主スラスタT1−T4が発射されている期間中に重心が動くと、これは主スラスタT1−T4による付加的な角運動を発生する。付加的な重心のフィードフォワード項はこれらのモーメントを消去するためにモーメントマトリックスMに付加される。1例として、MDIVERTマトリックスは次のように規定される。
【数6】

【0043】
ここで、rcxは重心が方向転換平面からビークルのX軸に沿って移動する距離であり、rcyは重心が方向転換平面からビークルのY軸に沿って移動する距離であり、rczは重心が方向転換平面からビークルのZ軸に沿って移動する距離である。MDIVERTマトリックスの使用は位置コマンド、レートフィードバック項、視線レート項、角速度、重心の変化を考慮に入れる単一のビークルモーメントマトリックスを与えるためMACSと組み合わされることができる。特に、この実施形態では最終的なスラストコマンドは次のように生成されることができる。
T=[B]−1[MACS−MDIVERT] 式12
この実施形態では、[MACS−MDIVERT]により規定されるマトリックスはスラストコマンドを発生するために使用されるモーメントマトリックスである。
【0044】
種々の異なった技術がスラスタ制御システム400を構成するために使用されることができる。第1に、例示的なスラスタコマンドマトリックスTは結合マトリックスBとモーメントマトリックスMの積よりも多くのエレメントを含んでいることに注意する。前述の例では、スラスタコマンドマトリックスは4個のエレメントを含んでおり、一方モーメントおよび結合マトリックスの積は3つのエレメントを規定する。したがってこの例では、式12は4個の未知数と3つの式で問題を規定する。数学で理解されているように、3つの式により4個の未知数を解くことは無限の解を生じる。これを克服するために、スラスタ制御システムは好ましくはスラスタ制御システムで実行されることができる扱やすい解を与えるように選択される適切な制約で実行される。
【0045】
図5を参照すると、制約下のマトリックス制御装置でスラストコマンド値を計算するための方法500が示されている。この方法はスラストコマンドマトリックスで規定されているようにスラストコマンド値に対して発生するために使用されることができる。第1のステップ502は初期のスラスト値の解を発生する。これは前述の式12で規定されたマトリックスを乗算することにより行われる。特に、結合マトリックスの疑似反転[B]−1によりモーメントマトリックス[MACS−MDIVERT]を乗算することにより初期のスラストコマンド値のセットが発生される。これらのスラスト値はその後最終的な最適化されたスラスト値を発生するためにステップ504と506で使用される。
【0046】
次のステップ504は、任意のスラストコマンド値が負であるならばスラスト値のアレイをシフトする。このステップで、少なくとも1つの負のスラストコマンド値がゼロにシフトされる。これは定数ベクトルを全てのスラスト値へ付加することにより行われ、ここではベクトルはゼロへの負の値のシフトを生じる。このステップはまたスラスタコマンドマトリックスTの値を正の量へ制約する。典型的なスラスタは正のスラストを発生できるだけであり、規定された最大のスラストに限定されるので、このステップは実際に使用に有効な発生されたスラスト値を含む役目をする。
【0047】
定数ベクトルはゼロモーメントをシステムへ付加するので、ゼロへの負の値のシフトが可能にされる。ゼロモーメントの付加はシステム中では何も変化しなかったことを確認して線形化によって、全ての値はしたがって値が正またはゼロである制約を満たすためにシフトする。シフト後のスラスタコマンド値は依然として初期式に対して有効な解であることにも注意すべきである。さらに少なくとも1つのスラスト値がゼロに設定されるので、少なくとも1つのスラスタ、恐らくそれ以上はこのサイクルでは点火されない。このスラスタの使用の減少は全ての4個のスラスタを使用するよりも消費する燃料が少なく、効率的である。
【0048】
その後、ステップ506で、最大のスラストコマンドが最大のスラストよりも大きい場合には、スラストコマンドは最大のスラストコマンド値により正規化される。そうでなければスラストコマンドは最大のスラストに正規化される。
【0049】
典型的なシステムでは、スラスタは最大のスラストレベルのみを与えることができるが、設計は異なるインパルス量を必要とする。異なるインパルス量を生成するために、スラスタはある時間燃焼し、デューティサイクル当り迅速にスラスタ弁を開閉する。これは典型的にパルス幅変調技術と呼ばれる。各スラスタが各サイクルで燃焼すべき時間を決定するためスラスタ値は各コマンドについてのデューティサイクルの割合へ正規化される。この割合はスラスタが所望のインパルスを得るために燃焼するデューティサイクルの量である。
【0050】
したがって、ステップ506の第1の部分では、スラストコマンド値のうちの1つがスラスタにより発生されることができる最大のスラストを超過するならば、正規化はスラストコマンドが最大の利用可能なスラストへスケールダウンされ、他の値はそれに比例してスケールされる結果を生じる。したがって、最大のスラストコマンドは1の値にスケールされ、これはフルデューティサイクルにわたるフルスラストの適用を示している。
【0051】
そうでなければ、ステップ506の第2の部分で、スラストコマンドは最大のスラストにより正規化される。この場合には、最大のコマンドは最大のスラストコマンドに等しくないが、最大のスラスト値よりも小さい幾らかの割合である。
【0052】
ステップ506は正規化を行い、これは高速度の応答コマンド計算および増加された効率を有する最適な性能を与える。したがって、方法500を使用し、反復して各デューティサイクルでコマンドを送信し、必要とされるインパルスを得るための時限のスラスタ燃焼で、制御システムは安定した性能を与え、使用する燃料が少なくなり、その追跡システムに対してより大きな効率を与える。
【0053】
このプロセスの1例として、モーメントと反転結合マトリックスの乗算は[10,5,0,−5]のスラスタT5−T8についての初期スラスト値を発生する。T8についてのスラスト値が負であるので、ステップ504は少なくとも1つの値がゼロにシフトされ全ての他の値が負ではないようにスラスタの値をシフトする。この例では、スラスト値は適切な定数ベクトルをスラストコマンドマトリックスに付加することによりシフトされることができる。前述の例を使用して、スラスト値[10,5,0,−5]は[15,10,5,0]へシフトされることができる。この場合にも定数ベクトルの付加はゼロモーメントをシステムへ付加し、結果的なシフトされた値はしたがって依然として適切な解である。
【0054】
次のステップ506では、最大のスラストコマンドが最大のスラストよりも大きいならば、そのスラストコマンドは最大のスラストコマンド値により正規化される。そうでなければ、スラストコマンドは最大のスラストを正規化される。
【0055】
現在の例では、最大の利用可能なスラストが8であるならば、[15,10,5,0]のシフトされた値は最大のスラストコマンド(この例では15)により正規化され、したがって[1,0.67,0.33,0]に正規化される。スラスタの制御に使用されるこれらの最適化されたスラスト値により、スラスタT5はフルデューティサイクルを燃焼し、T6はデューティサイクルの約67パーセントを燃焼し、T7はデューティサイクルの33パーセントを燃焼し、T8は燃焼しない。
【0056】
別の例では、最大の利用可能なスラストが8であり、シフトされた値が[6,5,0,4]であるならば、これらの値はステップ506の第2の部分にしたがって最大のスラストにより正規化される。これは[0.75,0.625,0,0.5]の正規化されたスラスト値を生じる。これらの最適化されたスラスト値がスラストの制御に使用されるとき、T5はデューティサイクルの75パーセントを燃焼し、T6はデューティサイクルの約63パーセントを燃焼し、T7は燃焼せず、T8はデューティサイクルの50パーセントを燃焼する。
【0057】
このようなスケーリング及び正規化は最適な性能を与え、高速度の応答コマンド計算と、安定した性能と、少ない使用燃料を生じ、その追跡システムに対してより大きな効率を与える。
【0058】
典型的なシステムでは、発生されたスラストコマンドはパルス幅変調器(PWM)へ転送され、このPWMは変調コマンドを計算する。燃料消費および電流を最小にするために、PWMは信号を発生し、それによってスラストコマンドがサンプリング時間に等しいかそれよりも大きいならば2以上のサンプリング時間について弁が開かれる。そうでなければ、弁はその特定されたサイクル速度(例えば180Hz)で動作する。
【0059】
図6を参照すると、スラスト制御装置600の特定の例が概略的に示されている。スラスト制御装置は重心(CG)シフトモーメントシステム620、追跡装置システム622、ロールオフセット624、慣性ナビゲーションシステム626、誘導システム628からデータを受信する。制御装置600はそれ自体、増幅器602および604と、加算器608、610、612と、マルチプレクサ611と、結合マトリックス606と、ソルバ607とを含んでいる。通常、制御装置600は前述したマトリックス制御技術を実行し、最適化されたスラストコマンドをパルス幅変調システム628へ出力し、これはスラスタ630の点火を制御する。
【0060】
CGシフトモーメントシステムは燃料の燃焼による飛行ビークルの重心における変化を追跡する。このデータは典型的に現在の重心に対応する長さの寸法の形態であり、これは重心における変化を補償するために使用されることができる。
【0061】
追跡装置システム622は測定されたピッチおよびヨー値を所望のピッチ及びヨーに対して比較し、その差を表すデルタ値(δp,δy)を発生する。ピッチ及びヨー(δp,δy)のこれらのデルタ値はマルチプレクサ611へ送られる。
【0062】
ロールオフセット624はデフォルトロールコマンドを与える。例えば幾つかのケースでは、定数−45度のロールが所望であり、ロールオフセット624はこのようなオフセットを加算器612へ与えることができる。慣性ナビゲーションシステム626はボディロール角度(θ)を与え、これはデルタロール値(δr)を与えるために加算器612でロールオフセットに加算される。デルタロール値(δr)はマルチプレクサ611へ送られ、ここでデルタピッチ(δp)とデルタヨー(δy)値と組合わされる。結果はその後増幅器602へ送られる。
【0063】
慣性ナビゲーションシステム626はまた角速度(ω,ω,ω)の形態のフィードバック項を加算器610へ与える。誘導システム628は秒当りのラジアンの形態の視線レート項(σσσ)を加算器610へ与える。これらの値は加算器610により組合わされ、増幅器604へ送られる。
【0064】
増幅器602と604はそれぞれ位置利得ベクトルKpと速度利得ベクトルKvによって入来する信号を増幅する。前述したように、位置利得ベクトルKpは3つのスカラーエレメントKp、Kp、Kpを含んでおり、速度利得ベクトルKvは3つのスカラーエレメントKv、Kv、Kvを含んでいる。結果はその後加算器によりCGシフトモーメントと共に加算される。
【0065】
この増幅及び乗算は前述したようにモーメントマトリックス[MACS−MDIVERT]を効率的に発生する演算を行う。これらの結果はその後、反転結合マトリックス[B]−1により乗算される。マトリックス乗算の結果は各姿勢制御スラスタについて、初期スラストコマンド値[T]のアレイを発生することである。
【0066】
初期スラストコマンド値はソルバ607へ与えられる。ソルバは最適化されたスラストコマンドを発生するために図5を参照して前述した技術を使用する。これは負の値を消去するためにスラスト値をシフトし、適切なように最大のスラストコマンドまたは最大のスラストによって正規化する処理を含んでいる。これはスラスタ630について最終的なパルス幅変調された制御信号を発生するためにパルス幅変調器628へ転送される最適化されたスラストコマンドを生じる。
【0067】
スラスト制御装置600の動作の結果、減少された燃料消費で迅速に所望の姿勢角度を実現し、重心のシフトから生じるモーメントを消去でき、指向エラーを減少することのできるスラストコマンドが得られる。このようなシステムは特に、姿勢制御用に構成された非対称のスラスタを有するDACシステムの制御に適している。
【0068】
少なくとも1つの例示的な実施形態を前述の詳細な説明で提示したが、多数の変形が存在することを認識すべきである。例示的な実施形態は単なる例であり、本発明の技術的範囲、応用能力または構造を限定することは何等意図していないことも認識すべきである。前述の詳細な説明は本発明の例示的な実施形態を構成するための便利なロードマップを当業者に与える。種々の変更が請求項に記載されているように本発明の技術的範囲から逸脱せずに例示的な実施形態に記載されているエレメントの機能および構成において行われることができることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスラスタを具備する飛行ビークルのスラスタ制御システムにおいて、
ピッチ、ヨー、およびロールコマンドを受信するように構成され、前記ピッチ、ヨー、ロールコマンドに対する応答はマトリックス制御技術を使用して複数のスラスタに対して前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されているプロセッサを具備しているスラスタ制御システム。
【請求項2】
前記プロセッサはさらに、前記飛行ビークル中の重心シフトモーメントを示すデータを受信するように構成され、前記プロセッサはさらに前記マトリックス制御技術を使用して前記複数のスラスタコマンドにより前記重心シフトモーメントを補償するように構成されている請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項3】
前記プロセッサはさらに、前記飛行ビークルの視線レートコマンドを受信するように構成され、前記プロセッサはさらに前記マトリックス制御技術を使用して前記視線レートコマンドに応答して前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されている請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項4】
前記複数のスラスタは、少なくとも1つの非対称スラスタを含んでいる請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項5】
前記複数のスラスタは、前記飛行ビークル上の液体の方向転換及び姿勢制御システムの一部である請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、スラスタ値のアレイを発生し、全てのスラスタ値が正の値であるようにスラスタ値の前記アレイをシフトすることによって、前記複数のスラスタの前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されている請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、スラスタ値のアレイを発生し、少なくとも1つのスラスタ値がゼロにシフトされるようにスラスタ値の前記アレイをシフトすることによって、前記複数のスラスタの前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されている請求項1記載のスラスタ制御システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、最大のスラスタ値が最大値を超えた場合にはスラスタ値の前記アレイ中の前記最大のスラスタ値によってスラスタ値の前記アレイをさらに正規化することによって、前記複数のスラスタに対して前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されている請求項7記載のスラスタ制御システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、最大のスラスタ値が最大値を超えない場合にはスラスタ値の前記アレイを前記最大値によりさらに正規化することによって、前記複数のスラスタに対して前記複数のスラスタコマンドを発生するように構成されている請求項8記載のスラスタ制御システム。
【請求項10】
複数のスラスタを具備する飛行ビークル用のスラスタ制御システムにおいて、ここで前記複数のスラスタの少なくとも1つは前記複数のスラスタ中の別のスラスタに対して非対称であり、前記スラスタ制御システムは、
プロセッサを具備し、前記プロセッサは、
前記飛行ビークルに対するピッチ、ヨー、ロールコマンドと、
前記飛行ビークル中の重心シフトモーメントを示すデータと、
前記飛行ビークルに対する視線レートコマンドとを受信するように構成されており、
ここで、前記プロセッサはさらに、前記ピッチ、ヨー、ロールコマンド及び前記視線コマンドに応答して複数のスラスタレートコマンドを発生するように構成され、比例微分マトリックス技術を使用して前記重心シフトモーメントを補償するように構成され、それにおいて前記プロセッサは、スラスタ値のアレイを発生し、前記スラスタ値の全てが正でありスラスタ値の前記アレイ中の少なくとも1つのスラスタ値がゼロにシフトされるようにスラスタ値の前記アレイをシフトし、前記最大のスラスタ値が最大値を超過したならばスラスタ値の前記アレイ中の最大のスラスタ値によってスラスタ値の前記アレイを正規化し、前記最大のスラスタ値が前記最大値を超過しないならば前記最大値によってスラスタ値の前記アレイを正規化することによって、前記複数のスラスタについての前記複数のスラスタコマンドを生成するように構成されているスラスタ制御システム。
【請求項11】
複数のスラスタを含む飛行ビークルでのスラスタ制御方法において、
ピッチ、ヨー、およびロールコマンドを受信し、
前記ピッチ、ヨー、およびロールコマンドに応答して、マトリックス制御技術を使用して前記複数のスラスタに対する前記スラスタコマンドを発生するステップを含んでいる方法。
【請求項12】
さらに前記飛行ビークル中の重心シフトモーメントを示すデータを受信するステップを含んでおり、
ここで、前記複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、前記比例微分マトリックス技術を使用して前記複数のスラスタコマンドにより前記重心シフトモーメントを補償するステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記飛行ビークルに対する視線レートコマンドを受信するステップを含み、
ここで、前記複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、前記比例微分マトリックス技術を使用して前記視線レートコマンドに応答して前記複数のスラスタコマンドを発生するステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記複数のスラスタは少なくとも1つの非対称スラスタを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記複数のスラスタは前記飛行ビークル上の液体方向転換および姿勢制御システムの一部である請求項11記載の方法。
【請求項16】
前記複数のスラスタに対して複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、
スラスタ値のアレイを発生し、
全ての前記スラスタ値が正の値であるようにスラスタ値の前記アレイをシフトするステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項17】
前記複数のスラスタに対して複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、
スラスタ値のアレイを発生し、
スラスタ値の前記アレイ中の少なくとも1つのスラスタ値がゼロにシフトされるようにスラスタ値の前記アレイをシフトするステップを含んでいる請求項11記載の方法。
【請求項18】
前記複数のスラスタに対して複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、
さらに、前記最大のスラスタ値が最大値を超過したならばスラスタ値の前記アレイ中の最大のスラスタ値によって前記スラスタ値を正規化するステップを含んでいる請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記複数のスラスタについて複数のスラスタコマンドを発生する前記ステップは、
さらに、前記最大のスラスタ値が前記最大値を超過しないならば前記最大値によってスラスタ値の前記アレイを正規化するステップを含んでいる請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−506812(P2013−506812A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532070(P2012−532070)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/038706
【国際公開番号】WO2011/041000
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)