説明

飛行機を断熱および防音するための遮蔽構造体

本発明は、飛行機を断熱および防音するための、少なくとも1つの重量層(8)を有する遮蔽構造体(2)に関する。本発明に係る遮蔽構造体(2)は、さらに吸収層(6)を有し、重量層(8)は少なくとも所定の面積において穿孔されており、重量層の穿孔された面積の比率は、重量層(8)が、遮蔽構造体(2)の二重壁の周波数よりも低い周波数の音を透過するように、適合されていることを特徴とする。これによって、二重壁の周波数よりも低い低周波数の音を、可能な限り効率よく、減衰させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
本願は、2008年8月8日出願のUS仮特許出願第No.61/188 328号、および、2008年8月8日出願のドイツ特許出願第No.10 2008 037 143.2号の優先権を主張する。これらの出願の内容を参照して本願に含める。
【0002】
[技術分野]
本発明は、飛行機を断熱および防音するための遮蔽構造体に関する。
【0003】
[発明の背景]
最近の飛行機は、断熱および防音されており、熱的快適性が確保されると共に、客室内の騒音のレベルが制限されている。ここで実際に低減の対象となる騒音は、飛行機の外部で、例えば、飛行機の胴体上の乱流境界層やエンジンの排気ジェットによって生成されたものであることが多い。旅客の快適性に対する欲求が益々増大していることに加えて、飛行速度がより速くなっていることや、繊維複合材料から成る飛行機の胴体が一体構造の金属材料と比べて音響的に欠点を有していることが、防音に関するさらなる改良が望まれている原因である。このため、特に、防音材の音響効率に対する要求は、音の減衰および吸音に関して益々増大している。これらの要求を従来の遮蔽構造体によって満たすことは不可能である。
【0004】
飛行機の胴体の断熱材(いわゆる一次断熱材)は、通常、薄膜で包装された比較的密度の低い(例えば10kg/mよりも低い)グラスウールから成るマット状の断熱材アセンブリから構成されている。ここでは、フレーム間における、飛行機の胴体の縦方向の補強材として用いられる縦通材よりも上の外板領域用のマット、および、このフレームを包むためのマットが用いられている。
【0005】
この従来の断熱材は、防音機能も果たしているため、温度および騒音に関する客室の快適性を確保することに寄与している。従来用いられているグラスウールアセンブリの音響効率は、実質的に音声了解度の範囲を含む高周波数領域においては比較的高いが、500Hzよりも低い周波数においては、音が少し減衰されるだけである。例えば、企業用または個人用の飛行機のように、機内の騒音に対する快適性に関してより厳しい要求に応える必要がある場合は、とりわけ、ニードルフェルト材料が用いられることが多い。このニードルフェルト材料は、部分的に飛行機の胴体から離間されて、例えばフレームの上端に固定される。
【0006】
公報WO2005/095206および公報WO2006/114332によれば、飛行機の客室内の音響的快適性を増大させるために、異なる材料から構成された多層構造の防音アセンブリを用いることが可能である。また、ある構造の音の減衰度は、飛行機の外板の質量を増大させることによって、または比重が比較的高いさらなる層を遮蔽構造体に用いることによって、特に低周波数(例えば500Hzよりも低い)の領域において増大可能であることが、当業者には知られている。この場合、飛行機の胴体の単位面積当りの重量は、例えば、外板上にいわゆる制振被覆材または重量層を直接貼り付けるという方式によって、増大され得る。
【0007】
さらに、二重壁構造は、単一壁と比べて有利な音響特性を有していることも知られている。音響伝送を低減するための手段が、完全に同じ重量である場合、この同一の重量が、単一の壁に集中するよりも、2つの壁素子に分配されることによって、音の減衰度はより高くなる。特に飛行機の建造では、音響手段に用いられる重量は限られており、そのため当業者は、最も良好に騒音を低減することを可能にするために、二重壁の構造または多重壁の構造の構成を好む。
【0008】
上述のWO2006/114332では、企業用の飛行機内で用いるための遮蔽構造体が開示されている。ここでは、飛行機の外板と共に、多孔質吸音材料と重量膜とを組み合わせたアセンブリを用いることによって、外板と重量膜とから構成される二重壁構造が生成されている。しかしこの構造は、いくつかの欠点を有している。この構造によって形成された二重壁は、重量膜の質量から、および、重量膜と飛行機の外板との間の距離から実質的に生じるいわゆる二重壁の共鳴周波数において、音の減衰度が低下し、この二重壁の共鳴周波数よりも高い周波数でないと、既知の有利な音響特性を示さない。飛行機の胴体、重量膜、および客室内の内装板もまた、多重壁構造を形成する。この多重壁構造は、別の共鳴効果を有すると共に、特に飛行機の側壁領域において関連する音の減衰度の低下を生じさせる。これらの二重壁および多重壁の共鳴は、補強部材の領域内の壁に取り囲まれた空気がバネのように作用し、振動するバネ質量系が形成されるために、生成されるものである。
【0009】
用いられる重量膜も、飛行機の胴体に配置された一次断熱材を音響的に覆っている。しかし、これは重量膜と客室の内装板との間の音響エネルギーが吸収されず、客室側の吸収層の効果的な層厚が低減されることを意味している。
【0010】
また、断熱構造の内部の閉鎖された重量膜は防湿材として機能するので、重量膜を使用することによって、結果的に復水が生じる。復水は、隣接する多孔性の断熱材料に吸収される。この断熱材料(insulation material)は完全に被覆されているので、該断熱材料を乾燥させることは困難であるか、または完全には不可能であり、このため、防音・断熱材の材料の重量は、飛行機の耐用年数が続く間はずっと増大し続ける。
【0011】
[発明の概要]
本発明の目的は、重量が少なく、低周波数の騒音を減衰させることに特に適していると共に、断熱に悪影響を与えず、復水を生じさせない、飛行機を断熱および防音するための遮蔽構造体を提供することにある。
【0012】
この目的を、少なくとも1つの重量層と、該重量層の好ましくは客室側に配置された吸収層とを有する、飛行機を断熱および防音するための遮蔽構造体によって達成する。ここで、重量層は、少なくとも所定の領域において穿孔されており、穿孔された領域の比率は、重量層が、遮蔽構造体の二重壁の周波数よりも低い周波数の音を通すように適合されている。
【0013】
重量層が穿孔されているため、音を透過しない重量層について、上述の音の減衰度が低下することは回避される。しかしながら、本発明に係る遮蔽構造体は、重量層によって加えられた重量という点で、二重壁の共鳴周波数よりも高い周波数において、二重壁の有効な音響特性を有している。つまり、穿孔されているため、エアークッションによる囲いがなく、振動するバネ質量系の形成が抑制される。しかし、穿孔の程度または穿孔された面積の比率の調節度合いによっては、重量層は、依然として、本発明に係る遮蔽構造体の二重壁の周波数よりも高い周波数の音を透過しない層と見なされ得る。重量層が穿孔されているため、水蒸気の輸送は継続されるので、飛行機の遮蔽材は、飛行機が地上に滞留している間に乾燥する。従って、本発明に係る穿孔は、重量層が防湿材として機能することを妨げる。
【0014】
本発明に係る、特に有効な遮蔽構造体では、吸収層は、多孔質材から構成される。この材料は、例えばグラスウールから構成されてもよい。こうすることによって、特に効果的な吸音が実現される。
【0015】
本発明に係る、特に有効な遮蔽構造体では、吸収層は、3.5kg/mと25kg/mとの間の密度を有している。通常、飛行機の建造では、特に、部品の重量を可能な限り小さくすることに注意が払われる。ここに示した密度の範囲は、可能な限り最良の吸音と、可能限り小さな重量との間の妥協を示すものである。
【0016】
吸収層の層厚が5mmと55mmとの間の範囲であることも、特に都合がよい。なぜなら、この比較的薄い層厚と穿孔された重量層とを組み合わせることで、低周波数を効果的に吸収すると同時に、本発明に係る遮蔽構造体によって生じる重量および全体の層厚を、許容される限界内に保持することが十分可能だからである。
【0017】
本発明に係る遮蔽構造体では、重量層の単位面積当りの重量が、0.5kg/mと4kg/mとの間であることが好ましい。なぜなら、本構造によるさらなる質量を利用するため、音の減衰度を増大させることが可能であると共に、本発明に係る構造体の効率を向上させることが可能であるからである。ここに記載した単位面積当りの重量の範囲では、低周波数の音を十分に減衰させることが可能である。これは例えば、低周波数の音の減衰させるために好ましく調節された二重壁の周波数によって実現可能である。
【0018】
さらに、本発明に係る遮蔽構造体の他の有効な形態は、取付構成の第1の部材を収容するように設計されている。上記第1の部材は、飛行機体にしっかりと固定された取付構成の第2の部材に対応して、接続を形成する。これは、取付構成の第1の部材のいくつかが既に、遮蔽構造体の製造時に埋め込まれており、第2の部材のいくつかが既に、飛行機の組立時に所定の位置に配置されるために実用的である。このため、飛行機の最終的な組立時に、本発明に係る遮蔽構造体を取り付けるための1つまたは複数の工程を省くことが可能になる。取付構成の第1の部材および第2の部材の位置が対応しているので、本発明に係る遮蔽構造体の上に配置された第1の部材を、第2の部材に連結するだけでよい。これは、好ましくはスナップ式接続または係止接続によって実現される。
【0019】
発明に係る遮蔽構造体他の有効な形態では、取付構成の1つまたは複数の第2の部材を、飛行機の胴体の内側から、飛行機の外板上に配置するようになっている。これによって、本発明に係る遮蔽構造体を飛行機の外板に直接取り付けることを容易に行うことが可能であり、遮蔽構造体が客室の構造的空間を過度に狭めることはない。
【0020】
また、取付構成の第2の部材が、飛行機の胴体の内側から、1つまたは複数の構造補強部材に配置されることが好ましい。なぜなら、飛行機の胴体と重量層との間の間隔が広がることによって、二重壁の周波数がさらに低減され、本発明に係る遮蔽構造体の効率が向上するからである。補強部材という言葉は、飛行機の胴体を補強するために用いられる、例えば横方向の補強材であるフレームや縦方向の補強材である縦通材といった全ての部材に関するものである。
【0021】
発明に係る遮蔽構造体他の有効な形態では、取付構成の第2の部材は、飛行機体の上に強固に接着されているか、または該飛行機体の中に積層されている。飛行機の胴体が金属材料から製造されている場合、取付構成の第2の部材を接着することが好ましい。これによって、リベット継手またはネジ継手用の孔を開けること、および該リベット継手またはネジ継手の清掃、密封などを省くことが可能である。他方、飛行機の胴体がCFRPなどの繊維複合材料から構成されている場合、飛行機の胴体の製造時に、取付構成の第2の部材を飛行機の胴体の中に積層することが特に好ましい。この場合、後の第2の部材の構成において、ある程度柔軟性が失われるが、飛行機の胴体の事前組み立てをかなり完成した程度まで形成することが可能である。第2の部材を積層することは特に頑丈な接続を形成することでもある。
【0022】
第1の部材と第2の部材とが形状接続または摩擦接続を形成するように設計されていることがさらに好ましい。この種の接続は、これらの部材が、取り付けられる部材の全耐用年数の間は十分に持ちこたえるように形成され得る。これらの接続技術は、比較的容易に形成可能であり、第1の部材および第2の部材に組み入れることが可能である。この場合、接続を作動させることは、多くの場合、工具無しで行うことが可能であるため、極めて容易である。想定可能な形状接続は、例えばスナップ式接続または係止接続である。摩擦接続には、例えばクランプ接続が含まれる。しかしこのクランプ接続は、分離させるために、工具の使用を必要とする場合がある。
【0023】
第1の部材および/または第2の部材が、物体、装置、導線、または類似のものを取り付けるようにも設計されていることがさらに好ましい。この仕様によって、本発明に係る遮蔽構造体用の取付構成は、本発明に係る遮蔽構造体を取り付ける機能を満たすだけでなく、他の物体を第1の部材に取り付けることも可能になる。取付構成の第1の部材は、飛行機の胴体の内部領域の方を向いており、例えば、送電線、酸素路または水道、ケーブル管路などが、比較的容易に、本発明に係る遮蔽構造体に直接隣接して取り付けられるようになっていることが好ましい。
【0024】
本発明の目的は、さらに、少なくとも1つの重量層と少なくとも1つの吸収層とを有する遮蔽構造体の製造方法によって達成される。本発明に係る方法では、次の工程が行われる。すなわち、(1)吸収層および重量層のうち、重量層を穿孔する工程であって、この場合、重量層の穿孔された面積の比率は、重量層が、遮蔽構造体の二重壁の周波数よりも低い周波数の音を透過するように調節される工程、(2)取付構成の少なくとも1つの第1の部材を、上記吸収層および上記重量層のうちの少なくとも1つの層の中に埋め込んで、取付構成の第1の部材を、飛行機体にしっかりと固定された取付構成の第2の部材と連結する工程である。最終的に、本発明の目的は、本発明に係る遮蔽構造体の使用、および発明に係る少なくとも1つの遮蔽構造体を備える飛行機によっても、達成される。
【0025】
本発明の他の特徴、利点、および可能な用途は、以下の、典型的な実施形態および図面の説明より明らかとなろう。ここで、説明および/または図解する全特徴は、該特徴の構成に関わらず、単独および任意の組み合わせで、本発明の対象を個々の請求項またはその関連箇所において規定するものである。また図面では、同一または類似の対象は、同一の参照記号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係る遮蔽構造体を概略的に示す図である。
【図2】図2は、フレームの上端に取付構成を有する、本発明に係る遮蔽構造体を概略的に示す図である。
【図3】図3は、取付構成を有する、本発明に係る遮蔽構造体を概略的に示す他の図である。
【図4a】図4aは、取付構成の第2の取付部材と、異なる4つの第1の部材とを示す概略的な図である。
【図4b】図4bは、取付構成の第2の取付部材と、異なる4つの第1の部材とを示す概略的な図である。
【図4c】図4cは、取付構成の第2の取付部材と、異なる4つの第1の部材とを示す概略的な図である。
【図4d】図4dは、取付構成の第2の取付部材と、異なる4つの第1の部材とを示す概略的な図である。
【図4e】図4eは、取付構成の第2の取付部材と、異なる4つの第1の部材とを示す概略的な図である。
【図5a】図5aは、取付構成上に配置された、異なる部材を示す図である。
【図5b】図5bは、取付構成上に配置された、異なる部材を示す図である。
【図5c】図5cは、取付構成上に配置された、異なる部材を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る遮蔽構造体を取り付けるための本発明に係る方法の概要を示す図である。
【0027】
[実施形態の詳細な説明]
図1は、本発明に係る遮蔽構造体2を示す図である。遮蔽構造体2は、遮蔽層4、吸収層6、および該遮蔽層4と該吸収層6との間に配置された重量層8を備えている。重量層8は穿孔されており、従って重量層8は、一連の孔10を備えている。重量層の全表面に対する該孔の割合、つまり穿孔された面積の比率は、重量層8が、本発明に係る遮蔽構造体2の二重壁の周波数よりも低い周波数の音を透過するように設定されている。この場合、音を透過するとは、重量層が音波を通すということを意味している。従って、音が透過される場合、吸収層6と遮蔽層4とから構成される消音材の全厚みは、これらの2つの層4および6の層厚から成る。重量層8に孔が開けられていないならば、消音材の全厚みは、吸収層6の層厚まで低減されることになる。周波数に応じて音を透過する重量層8は、音の減衰を向上させるだけでなく、本発明に係る遮蔽構造体2の吸収性能を、より低い周波数の方に広げる。ここで、消音材の全厚みに作用する遮蔽層4の厚みは、この中にある多孔質材の厚みであることに留意されたい。
【0028】
図1によれば、本発明に係る遮蔽構造体は、飛行機の胴体の縦方向に係る補強材として機能する縦通材12の上に来るように配置されていてよい。縦通材12は、飛行機の外板14上に配置されている。重量層8と外板14との間の間隔、および重量層8の質量は、二重壁の周波数を算出する決定的なパラメータである。重量層8と外板14との間の間隔が広がれば広がるほど、二重壁の周波数は低くなる。
【0029】
図2によれば、本発明に係る遮蔽構造体16は、取付構成20によって、フレーム18上に配置されていてよい。図示した実施例では、取付構成20は、接着層24によってフレーム18の上端22の上に接着されているので、取付構成20を飛行機体上に固定するために、孔などを開ける必要はない。
【0030】
取付構成20は、2つの部材、つまり第1の部材26および第2の部材28から構成されていることが好ましい。第2の部材28は、フレーム18の上端22に取り付けられ、第1の部材26は、本発明に係る遮蔽構造体を取り付ける時に、第2の部材28に連結される。このため、本発明に係る遮蔽構造体16は、第1の部材26を収容するように設計されている。遮蔽構造体16は、例えば好適な開口部30を備え、開口部30の中には、第1の部材26の長方形の領域32を挿入することが可能である。
【0031】
示した図では、第1の部材26は、重量層36用の幅広の受容部34を備えており、重量層36と飛行機の外板14との間の間隔をさらに広くすることが可能である。基本的に、図2には示していない吸収層を、例えば飛行機の胴体側から、つまり図示した図の平面において重量層36よりも上から、内装板素子に取り付けることが有効であろう。この場合、上記吸収層は、客室の二次断熱材としても機能することが可能である。
【0032】
本発明に係る遮蔽構造体が装備される飛行機が、繊維強化プラスチック(例えばCFRP)の構造を有している場合、本発明に係る遮蔽構造体38の取り付けは、図3に示したように行うことが可能である。この場合、第2の部材40は、接着層42によって、飛行機の胴体の外板44上に直接接着される。あるいは、取付構成46の第2の部材40は、飛行機体の中に、または、飛行機の胴体の外板44の中に積層されてもよい。これは、飛行機の胴体の製造中に、対応して第2の部材40を埋め込むことによって実現可能である。この場合、後の変更に関する自由度が失われるが、かなりの程度完成した事前組み立てが実現されると共に、第2の部材40を飛行機の胴体の外板44上に極めて確実に取り付けることが可能である。上述の任意の設計の第1の部材48は、第2の部材40と対応して、本発明に係る遮蔽構造体38に中に埋め込まれる。
【0033】
図4a〜4eは、第1の部材50〜56の異なる実施形態を示す図である。第1の部材50〜56は、可能な限り容易に第2の部材58と連結され、該第2の部材に固定されるように機能する。例えば、図4bは、係止ボール60を有する第1の部材50を示している。係止ボール60は、第2の部材58内の対応する凹部に係合することが可能である。図示した他の例である第1の部材52〜56は、異なるクランプ接続具または係止接続具を備えている。
【0034】
図5a〜5cは、上記取付構成の第1の部材上に他の物体を取り付ける他の可能性を示す図である。例えば、図5aは、取付構成66の第1の部材64に取り付けられる導線束62を示している。このため、第1の部材の中には、受容部68が組み込まれており、この受容部68には、ケーブル管路72などを保持する何らかのフレームまたは取り付け金具70が取り付けられることが可能である。
【0035】
図5bは、酸素路74を取り付けるための類似の実施例を示す図である。ここでは、取付構成78の第1の部材76は、酸素路74を受容部80に特に確実に取り付けることが可能なように設計されている。
【0036】
次に図5cは、比較的太い流体路(例えば、空気調節設備用の送風管82)を、第1の部材84上に配置されたクランプ装置26を用いて取り付けることが可能であることを示している。取付構成88は、追加的な負荷を受けることに応じて設計されている必要があり、特に、第2の部材90が積層されている場合に、第2の部材90が破壊されることが無いように設計されている必要がある。
【0037】
最後に図6は、本発明に係る遮蔽構造体の製造方法を示す図である。本方法は、重量層を用意する工程(92)および吸収層を用意する工程(96)によって開始される。任意により、遮蔽層を用意する工程(94)を行ってもよい。次に、上記遮蔽層を用意する工程(94)を行う前または上記遮蔽層を用意する工程(94)と同時に、重量層を穿孔する工程(98)を行う。この場合、穿孔された面積の比率は、本発明の基本的特徴に応じて形成される。最後に、取付構成の1つまたは複数の第1の部材を少なくとも1つの層の中に埋め込む工程(100)、および、その後、対応して配置された第2の部材に連結させる工程(102)が続く。
【0038】
さらに、「含む、備える、有する」という言葉は、他の素子または工程を排除するものではなく、「1つの」という言葉は、複数を排除するものではない点に留意されたい。また、上述の実施形態のうちのいずれか1つの実施形態に関連して説明した特徴または工程を、上述の他の実施形態の特徴または工程と組み合わせて用いてもよい点に留意されたい。特許請求の範囲における参照番号は、限定する意味に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0039】
2 遮蔽構造体
4 遮蔽層
6 吸収層
8 重量層
10 孔
12 縦通材
14 外板
16 遮蔽構造体
18 フレーム
20 取付構成
22 フレームの上端
24 接着層
26 取付構成の第1の部材
28 取付構成の第2の部材
30 開口部
32 第1の部材の長方形の領域
34 重量層用の受容部
36 重量層
38 遮蔽構造体
40 第2の部材
42 接着層
44 飛行機の胴体の外板
46 取付構成
48 取付構成の第1の部材
50 取付構成の第1の部材
52 取付構成の第1の部材
54 取付構成の第1の部材
56 取付構成の第1の部材
58 取付構成の第2の部材
60 係止ボール
62 導線束
64 取付構成の第1の部材
66 取付構成
68 受容部
70 取り付け金具
72 ケーブル管路
74 酸素路
76 取付構成の第1の部材
78 取付構成
80 受容部
82 送風管
84 取付構成の第1の部材
86 クランプ装置
88 取付構成
90 第2の部材
92 重量層を用意する工程
94 遮蔽層を用意する工程
96 吸収層を用意する工程
98 重量層を穿孔する工程
100 第1の部材を埋め込む工程
102 第1の部材と第2の部材とを連結する工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行機を断熱および防音するための、遮蔽構造体(2・16・38)であって、
少なくとも1つの重量層(8・36)を備え、
上記遮蔽構造体は、さらに吸収層(6)を備え、上記重量層(8・36)は、少なくとも所定の領域において穿孔されており、上記重量層(8・36)の穿孔された領域の比率は、上記重量層(8・36)が、上記遮蔽構造体の二重壁の周波数よりも低い周波数の音を透過するように適合されていることを特徴とする、遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項2】
上記吸収層(6)は、多孔質材から構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項3】
上記吸収層(6)は、3.5kg/mと25kg/mとの間の密度を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項4】
上記吸収層(6)は、5mmと55mmとの間の層厚を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項5】
上記重量層(8・36)は、単位面積当りの重量が、0.5kg/mと4kg/mとの間であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項6】
上記遮蔽構造体(2・16・38)は、取付構成の第1の部材を収容するように設計されており、上記第1の部材は、飛行機体に強固に固定された取付構成の第2の部材に対応して、接続を形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項7】
上記取付構成の第2の部材は、飛行機の胴体の内側から、飛行機の外板に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項8】
上記取付構成の第2の部材は、飛行機の胴体の内側から、構造補強部材に、または上記構造補強部材の上端に配置されていることを特徴とする、請求項6に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項9】
上記取付構成の第2の部材は、飛行機体の上に強固に接着されているか、または上記飛行機体の中に強固に積層されていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項10】
上記第1の部材および上記第2の部材は、形状接続または摩擦接続を形成するように設計されていることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項11】
上記第1の部材はさらに物体、装置、導線などを取り付けるように設計されていることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項12】
遮蔽層(4)をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の遮蔽構造体(2・16・38)。
【請求項13】
少なくとも1つの重量層(8・36)を備える遮蔽構造体(2・16・38)の製造方法であって、
−吸収層を用意する工程(96)と、
−重量層を用意する工程(92)と、
−上記重量層を穿孔する工程(98)であって、上記重量層の穿孔された領域の比率は、上記重量層が、上記遮蔽構造体の二重壁周波数よりも低い周波数の音を透過するように適合されている工程と、
−取付構成の少なくとも1つの第1の部材を、上記吸収層および上記重量層のうちの少なくとも1つの層の中に埋め込む工程(100)と、
−上記取付構成の第1の部材を、飛行機体に強固に固定された上記取付構成の第2の部材と連結する工程(102)と含むことを特徴とする、遮蔽構造体(2・16・38)の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の遮蔽構造体の、飛行機における使用。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の遮蔽構造体を少なくとも1つ備える飛行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4c】
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【図4e】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−538898(P2010−538898A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524531(P2010−524531)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059278
【国際公開番号】WO2010/015503
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(504467484)エアバス・オペレーションズ・ゲーエムベーハー (268)