説明

食品包装材及び包装された食品

【課題】長尺食品を切断具を用いないで、いかなる場所や場合にも切断することが出来る包装材を得る。
【解決手段】単層のポリオレフィンフィルム(1)の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材(1)のポリオレフィン側表面に糸又は極細のテープ(2)を任意の等間隔に複数本を平行に載置して両端を除いて仮接着し、この糸又は極細のテープ(2)と直角の方向に柔らかい長尺食品(3)を置き、この長尺商品(3)の外表面を上記単層のポリオレフィンフィルム(1)の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材(1)のポリオレフィン側表面が接するようにして包み込むことが可能となされていることを特徴とする食品包装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺食品3を切断する包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から羊羹やロールケーキ等の棹物と呼ばれている長尺食品3は、食べる時に添付のプラスチックで成形された小刀型包丁や家庭用のナイフや包丁で切り分けて食するしかなく、それら切断具のない場合には食することが出来なかった。
【0003】
切断具を使用した場合には、切断面に食品の残滓が付着し、使用する度に清潔性を保つために洗浄あるいは汚れの払拭を行い、清潔性を保持する必要があった。
【0004】
また、上記の阻害を排除するためには、生産時に切り分けて一体化して包装するか、切断した一片ごとに個別に包装して供すものがあるが、多くの切断面を露出させて表面の乾燥、風味の劣化を促進するものであった。
【先行技術文献】
【0005】
紙管による筒状の容器に入った羊羹の一種で、外周の厚紙部分に糸が付けてあって、中身の羊羹を底から押し上げ、開口部から羊羹を露出させて開口縁に沿わせて切断するものがあるが、この方式では形状が限られる。また、使用された糸は洗浄されることなく、繰り返し何度も反復使用されるため不衛生である。また、羊羹が底部から指で押し上げられることが切断の際の条件になり、羊羮の硬さも限定されることになる。
【非特許文献】
【0006】
佐賀県鹿島市古枝門前の新油屋の「稲荷ようかん」「押し出し糸きり羊羹」の説明書
北海道桧山郡江差町字本町38番地の株式会社五勝手屋本舗の「丸缶羊かん」の説明書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、それら切断具を必要とせず、羊羹やロールケーキ等の長尺食品3を食する際に適切に切り分ける事を実現することを目的とする包装材である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の食品包装材は、単層のポリオレフィンフィルム1の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材1のポリオレフィン側表面に糸又は極細のテープ2を任意の等間隔に複数本を平行に載置して両端を除いて仮接着し、この糸又は極細のテープ2と直角の方向に柔らかい長尺食品3を置き、この長尺商品3の外表面を上記単層のポリオレフィンフィルム1の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材1のポリオレフィン側表面が接するようにして包み込むことが可能となされていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の包装された食品は、請求項1記載の食品包装材によって長尺食品3が包装されていて、上記糸又は極細のテープ2を用いて手による切断が容易となされていることを特徴とする。
【0010】
本発明で用いる単層のフィルム1はポリオレフィン製であり、積層フィルム状素材1を用いる場合は少なくとも一面はポリオレフィンであることが必要である。ポリオレフィンは熱で溶けるから上記糸又は極細のテープ2を熱融着によって仮接着しやすいからである。
【0011】
本発明で用いる糸2は合成繊維糸や綿糸があげられる。また極細のテープ2としてはPET製があげられる。本発明で言う極細テープとしては食品を切断するに適した細さが必要であり、例えばPET製テープの場合にはその幅が0.3mmから0.5mmが好ましい。
【0012】
このフィルム又は積層フィルム状素材1に糸又は極細のテープ2を任意の等間隔に載置するのであるが、包む長尺食品3の種類や柔らかさに応じた食べやすい間隔であればよい。
【0013】
この糸又は極細のテープ2は上記フィルム又は積層フィルム状素材1に両端を除いて仮接着される。両端を除いているのは指で容易に糸や極細のテープ2の終端を摘まめるようにする為である。
【0014】
この糸又は極細のテープ2の上記フィルム又は積層フィルム状素材1への仮接着は、この糸又は極細のテープ2を用いて長尺食品3を結索しようとする時に容易にフィルム又は積層フィルム状素材1から剥離する程度の接着力で着いているのがよい。
【0015】
本発明の食品包装材で包む長尺食品3は、例えば羊羹、外郎、カステラ、ロールケーキ、かまぼこ等があげられる。また、その形状としては横断面が長方形、円、楕円、半円形、多角形等があげられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の食品包装材で包装された食品は、食する際にこの食品包装材を開いて、糸又は極細のテープの両端を指で摘んで持ち上げ、仮接着された糸又は極細のテープ2を食品包装材より剥離させつつ、長尺食品3を結索するように上部で交差させることによって容易に食品を切断することができる効果を発揮するものである。
【0017】
本発明の包装された食品は、上記本発明の食品包装材を用いて包装されているので、プラスチックで成形された小刀型包丁を同封する必要もなく、食する度にそのプラスチックで成形された小刀型包丁や家庭用のナイフ又は包丁を使用する必要がないので衛生的である。
【0018】
糸又は極細のテープ2は切断の目的を果たした後は包装材より剥離、離脱して廃棄されるので、使用後の衛生性を保つ洗浄や残滓払拭の保持行為の必要はない。
【0019】
上述した本発明の包装材は、包丁等の切断具のない場所や場合でも長尺食品3を食しやすい寸法に切断して供する効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の食品包装材の実施の一例を示す説明図
【図2】図1におけるA−A線断面図
【図3】本発明の食品包装材を実際の食品に適用している状況を示す説明図
【図4】図3におけるB−B線断面図
【図5】図3におけるC−C線断面図
【図6】本発明の包装された食品を実際に手で切断している状況を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0022】
図1において、縦22センチ、横18センチで厚さ40μの長方形の単層のポリオレフィンフィルム1を用意して、その表面にポリエステル製の60番手の糸2を単層のポリオレフィンフィルム1の端面と糸の終端を揃えて、3センチ間隔で5本を等間隔で長辺に平行に並べて載置し、左右の両端2センチを除いて中央18センチの糸2を3センチ毎に糸の上から熱板を当てて点々と点接着をして仮接着を施して本発明の食品包装材を得た。図2は図1のA−A線断面図であり、単層のポリオレフィンフィルム1と糸2の関係を示している。
【0023】
長尺食品3として長さ18センチ、幅6センチ、高さ3センチの直方体の羊羹を用い、上で得た食品包装材の上に糸2と直角に交差して接する状態で、この羊羹の両端と食品包装材の長辺端面とを揃えて載置し、羊羹の側面と上面が食品包装材に接触するようにして包み込んだ。包み込む状況と包んだ後の状況は図3から図5に示した。図4は図3におけるB−B線断面図、図5は図3におけるC−C線断面図である。
【0024】
次に図6によって、本発明の包装された食品を実際に手で切断する状況を説明する。糸2の仮接着されていない両端を指で摘まみ、持ち上げれば糸2は単層のポリオレフィンフィルム1から仮接着が簡単にはずれ、この糸2を上部で交差させるようにして結索すれば、羊羹は容易に切断することが出来た。
【0025】
したがって、本発明によればプラスチックナイフの同封や家庭の包丁を用意しなくても容易に切断ができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、食する度に切断具を用いることなく、その都度衛生的に切断することができ、食品衛生上利用が多岐にわたる。
【符号の説明】
【0027】
1 フィルム又は積層フィルム状素材
2 糸又は極細のテープ
3 長尺食品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単層のポリオレフィンフィルム(1)の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材(1)のポリオレフィン側表面に糸又は極細のテープ(2)を任意の等間隔に複数本を平行に載置して両端を除いて仮接着し、この糸又は極細のテープ(2)と直角の方向に柔らかい長尺食品(3)を置き、この長尺商品(3)の外表面を上記単層のポリオレフィンフィルム(1)の表面又は少なくとも片面がポリオレフィンからなる積層フィルム状素材(1)のポリオレフィン側表面が接するようにして包み込むことが可能となされていることを特徴とする食品包装材。
【請求項2】
請求項1記載の食品包装材によって長尺食品(3)が包装されていて、上記糸又は極細のテープ(2)を用いて手による切断が容易となされていることを特徴とする包装された食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−219164(P2011−219164A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98277(P2010−98277)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【特許番号】特許第4733216号(P4733216)
【特許公報発行日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(510112246)
【出願人】(510112279)
【Fターム(参考)】