説明

食品容器

【課題】容器の周縁に設けた嵌め合せ部が変形しにくく、確実に密封できる食品容器を提供する。
【解決手段】本発明の食品容器1は、シート厚13μm〜30μmの薄肉合成樹脂シートから形成してなり、容器本体部2のフランジ部21に上方又は下方に突出させて形成した嵌め合せ部22を設け、蓋部3のフランジ部31に該嵌め合せ部22に嵌め合せ可能な被嵌め合せ部32を設けてあり、該嵌め合せ部22及び該被嵌め合せ部32の先端側の折り曲げ部分23,33を角張らせて形成してあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートからなる、食品などを包装する食品容器に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂シートからなる食品容器は、主に弁当容器や食品パックなどとして食品を包装するために用いられている。
このような食品容器は、内部に収容した食料品などから水分が流れ出すおそれがあるため、本体と蓋との隙間から水分が漏出しないように密封性を高める必要がある。
そこで、密封性を高めるために、容器及び蓋に設けた屈曲嵌合縁部の口縁側を略S字状に屈曲させた密封容器が開発されている(下記特許文献1の請求項1、図2など参照)。
また、容器の開口縁に凸状嵌部を形成し、凸状嵌部を蓋の周縁に設けた凹状嵌部に嵌め合わせ可能に形成し、凸状嵌部及び凹状嵌部を嵌め合わせた際、凸状嵌部の頂部表面と凹状嵌部の頂部裏面との間に空間を形成した包装用容器が開発されている(下記特許文献2の請求項1、図3など参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−177764号公報
【特許文献2】特開2007−216976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような食品容器の嵌め合せ部は、円弧状乃至湾曲状に折り曲げて形成してあるため強度がなく、嵌め合せた際に、嵌め合せ部が変形し、密封できなくなることがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、容器の周縁に設けた嵌め合せ部が変形しにくく、確実に密封できる食品容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の食品容器は、シート厚13μm〜30μmの薄肉合成樹脂シートから形成してなり、容器本体部のフランジ部に上方又は下方に突出させて形成した嵌め合せ部を設け、蓋部のフランジ部に該嵌め合せ部に嵌め合せ可能な被嵌め合せ部を設けてあり、該嵌め合せ部及び該被嵌め合せ部の先端側の折り曲げ部分を角張らせて形成してあることを特徴とする。
【0007】
従来では、肉厚があるため折り曲げ部分は円弧状乃至湾曲状に形成されていたが、本発明では、シート厚を13μm〜30μmの薄肉にすることにより、該嵌め合せ部及び該被嵌め合せ部の先端側の折り曲げ部分を角張らせて形成することができ、このように形成した食品容器は、嵌め合せ部及び被嵌め合せ部の先端側の強度が高まり変形しにくく、密封性を確保することができる。
【0008】
前記嵌め合せ部及び前記被嵌め合せ部を全周に渡り形成することが好ましい。
【0009】
このような構成にすることにより、内部の密封性を高めることができるとともに容器全体の強度も高めることができる.
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の食品容器の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の食品容器の斜視図、図2は図1の食品容器の横断面図、図3は図1の食品容器の嵌め合せ部及び被嵌め合せ部の拡大断面図である。
【0011】
本発明の一実施形態の食品容器1は、図1に示すように、容器本体部2と蓋部3とからなり、容器本体部2のフランジ部21に設けた嵌め合せ部22を、蓋部3のフランジ部31に設けた被嵌め合せ部32に嵌め合せ可能に形成してある。
【0012】
食品容器1は、シート厚13μm〜30μm、好ましくは15μm〜21μmの合成樹脂シートを熱成形して製造することができ、例えば、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、ポリエチレンテレフタレート系樹脂シートなどの熱可塑性樹脂シートを、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、熱板成形などの熱成形をして製造することができる。
【0013】
容器本体部2は、略矩形状の底面部2aの周囲から上方に向け形成した周壁部2bを有し、周壁部2bの上端には外方に張り出したフランジ部21が形成してある。
フランジ部21には、周方向に上方に突出した嵌め合せ部22が形成してあり、嵌め合せ部22は、図3に示すように、基端側が若干窄まり、上端両隅部が傾斜状になるように形成してあり、また、先端側の折り曲げ部分23は角張らせて形成してある。
【0014】
蓋部3は、略矩形状の上面部3aの周囲から下方に向け形成した周壁部3bを有し、周壁部3bの下端には外方に張り出したフランジ部31が形成してある。
フランジ部31には、周方向に上方に突出した被嵌め合せ部32が形成してあり、被嵌め合せ部32の内側に嵌め合せ部22が嵌め合せできるようにしてある。被嵌め合せ部32は、図3に示すように、基端側が若干窄まり、上端両隅部が傾斜状になるように形成してあり、また、先端側の折り曲げ部分33は角張らせて形成してある。
嵌め合せ部22と被嵌め合せ部32とは嵌め合せた際、図3に示すように、上端両隅の傾斜状に形成した部分は空間になるようにしてあり、他の部分は略密着するように形成してある。
【0015】
食品容器1は、シート厚を13μm〜30μmの薄肉にしたため、折り曲げ部分23,33を角張らせて形成することができ、このように形成した嵌め合せ部及び被嵌め合わせ部は強度に優れており、変形しにくく密封性を確保することができる。
【0016】
本発明の食品容器の他の形態としては、図4に示すように、嵌め合せ部及び被嵌め合せ部の上端両隅部を略直角状に折り曲げて形成することもできる。また、嵌め合せ部及び被嵌め合せ部は、下方に突出させて形成することもできる。
上記実施形態では、全周に渡り嵌め合せ部22及び被嵌め合せ部32を形成してあるが、断続的に周方向に形成することも可能である。
【0017】
上記実施形態の構成態様は、本発明を限定するものとして挙げたものではなく、技術目的を共通にするかぎり変更は可能であり、本発明はそのような変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の食品容器を示した斜視図である。
【図2】図1の食品容器を示した横断面図である。
【図3】図1の食品容器の嵌め合せ部及び被嵌め合せ部を示した拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態の食品容器の嵌め合せ部及び被嵌め合せ部を示した拡大断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1食品容器 2容器本体部 2a底面部 2b周壁部 21フランジ部 22嵌め合せ部 23折り曲げ部分 3蓋部 3a上面部 3b周壁部 31フランジ部 32被嵌め合せ部 33折り曲げ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート厚13μm〜30μmの薄肉合成樹脂シートから形成してなり、容器本体部のフランジ部に上方又は下方に突出させて形成した嵌め合せ部を設け、蓋部のフランジ部に該嵌め合せ部に嵌め合せ可能な被嵌め合せ部を設けてあり、該嵌め合せ部及び該被嵌め合せ部の先端側の折り曲げ部分を角張らせて形成してある食品容器。
【請求項2】
前記嵌め合せ部及び前記被嵌め合せ部を全周に渡り形成してある請求項1に記載の食品容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−58838(P2010−58838A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229395(P2008−229395)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(390041058)シーピー化成株式会社 (16)
【Fターム(参考)】