説明

食器の袋詰め装置

【課題】スプーンを袋に確実に、かつ容易に詰め込むことができるスプーンの袋詰め装置を提供する。
【解決手段】上端が開口し、左右両側部及び下端部が閉じた袋1の左右両側部を挟持部32A,32Bによってそれぞれ挟持させ、所定の受け入れ位置まで搬送する。スプーンSをスプーン搬送手段40により、受け渡し位置まで搬送する。スプーンSは、受け渡し位置において鉛直に直立させる。受け渡し位置に位置しているスプーンSをスプーン投入手段40により、袋1の開口部の前上の投入位置まで移動させる。このとき、スプーンSの長手方向を水平方向に対して所定の角度だけ傾斜させる。スプーン投入手段40がスプーンSを自然落下させることにより、スプーンSを袋1内にその上端開口部から入り込ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スプーンやフォーク等の細長い食器を袋に詰めるための食器の袋詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の袋詰め装置としては、下記特許文献1に記載のものがある。この袋詰め装置は、上下に対向した2枚のフィルムを水平方向へ移動させるとともに、下側のフィルム上にスプーンを所定の間隔毎に送り込む。その後、2枚のフィルムの両側部、及び二つのスプーン間に位置する部分を溶着する。次いで、スプーン間の溶着部をその中央部で切断する。これにより、スプーンが詰め込まれた袋を製造するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−34302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成のスプーンの袋詰め装置では、上下2枚のフィルムとスプーンとを一緒に搬送しているが、搬送中にスプーンがフィルムに対して移動し、スプーンの一部がフィルムの溶着部に位置してしまうことがある。このような状態では2枚のフィルムを溶着することができず、不良品になってしまう。また、スプーンを間にした上下2枚のフィルムの左右方向の両側部及び前後方向の両端部をそれぞれ溶着するものであるため、袋にスプーン以外のもの、例えば粉体をスプーンと一緒に詰め込もうとすると、フィルムを溶着する前に粉体の一部が2枚のフィルム間から脱落してしまう。このため、粉体等のスプーン以外のものをスプーンと一緒に詰め込むことが難しいという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記の問題を解決するために、互いに対向する2枚のシートの左右両側部間及び下端部間が閉じられることによって形成された袋に、その上端開口部からスプーン等の細長い食器を装入するための袋詰め装置であって、上記袋を所定の受け入れ位置まで搬送する袋搬送手段と、上記食器を上記受け入れ位置近傍に定められた所定の受け渡し位置まで搬送する食器搬送手段と、上記受け渡し位置に搬送された食器を上記受け入れ位置に搬送された袋の開口部の上方の投入位置まで移動させる食器投入手段とを備え、上記食器投入手段は、上記投入位置において上記食器の長手方向が水平方向に対して傾斜するように上記食器を保持し、保持した上記食器を自然落下させて上記袋内にその上端開口部から投入することを特徴としている。
この場合、上記袋搬送手段が、上記袋の2枚のシートの左右両側部をそれぞれ保持する一対の袋保持部を有し、この一対の袋保持部の少なくとも一方は、他方に対して左右方向へ所定距離だけ接近移動することにより、上記袋の開口部を開いた状態に維持することが望ましい。
上記食器投入手段が、基端部を中心として回転可能な回転アームと、この回転アームの先端部に設けられ、上記食器を保持する保持部とを有し、上記保持部が上記受け渡し位置に位置している食器を保持した後、上記回転アームが上記食器を上記投入位置まで回転させることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
上記特徴構成を有するこの発明によれば、袋搬送手段が袋を受け入れ位置まで搬送する。一方、食器搬送手段が、スプーン等の食器を受け渡し位置まで搬送する。食器投入手段は、受け渡し位置に搬送された食器を袋の開口部の上方の投入位置まで移動させた後、食器を自然落下させる。これにより、食器を袋内のその上端開口部から投入することができる。
ここで、袋の左右両側部及び下端部が予め閉じられているから、袋には粉体等のスプーン以外のものを詰め込むことができる。また、食器の袋への投入時には、食器の長手方向が水平方向に対して傾斜させられており、食器の水平方向の長さが傾斜した分だけ短くなっている。よって、食器を袋内に容易に投入することができる。しかも、投入された食器は、袋内の所定の位置まで落下する。すなわち、袋に粉体等が詰め込まれているときには詰め込まれた粉体等の上まで落下し、粉体等が詰め込まれていない場合には袋の下端部まで落下する。したがって、食器を袋に詰め込んだ後に袋の上端開口部を溶着等によって閉じるとき、食器が溶着部に位置してしまうような事態を招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、この発明に係る食器の袋詰め装置の詰め込み対象たる袋を示す図であって、図1(A)はその正面図、図1(B)はその側面図である。
【図2】図2は、図1に示す袋の上端開口部を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す袋粉体及びスプーンが詰め込まれた状態を示す図であって、図3(A)はその正面図、図3(B)はその側面図である。
【図4】図4は、この発明に係る食器の袋詰め装置の一実施の形態を示す平面図である。
【図5】同実施の形態の、袋を回転テーブルまで搬送するためのベルトコンベアの一例を示す図である。
【図6】同実施の形態の、袋の左右両側部を挟持する挟持手段の一例を示す図である。
【図7】同実施の形態の、袋の開口部を開く開放手段の一例を示す図であって、図7(A)はその正面図、図7(B)はその側面図である。
【図8】同実施の形態の、袋内にその開口部から空気を吹き込んで袋を膨らませる空気吹き込みノズルの一例を示す図であって、図8(A)はその側面図、図8(B)はその平面図である。
【図9】同実施の形態の、袋内に一定量の粉体を投入するための粉体投入手段の一例を示す図である。
【図10】同実施の形態の、スプーンを所定の受け渡し位置まで搬送する食器搬送手段の一例及びスプーンを投入位置まで移動させて袋内に投入する食器投入手段の一例を示す図である。
【図11】図10の要部を拡大して示す正面拡大図である。
【図12】図10の要部を拡大して示す平面図である。
【図13】図10の要部を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
まず、この発明に係る食器の袋詰め装置がスプーン(食器)を投入すべき袋について説明すると、図1及び図2に示すように、袋1は、前後シート1a,1bを有している。前後シート1a,1bは、前後方向に互いに対向して配置されている。しかも、シート1a,1bは、上端部どうしが互いに接触し、その接触部より下側の部分の間隔が下方へ向かうにしたがって広がるように配置されている。シート1a,1bの下端部間には、底シート1cが設けられている。これにより、シート1a,1bの下端部間が閉じられている。底シート1cは、前後シート1a,1bと別体に形成し、その前後方向の両端部を前後シート1a,1bの下端部にそれぞれ固着してもよいが、この実施の形態では、1枚のシートを折り曲げることにより、前後シート1a,1b及び底シート1cが一体に構成されている。
【0009】
前後シート1a,1b及び底シート1cの左右両側部によって形成される三角形の部分には、側シート1d,1eがそれぞれ配置されている。側シート1d,1eの各周縁部は、前後シート1a,1b及び底シート1cの左右の両側部にそれぞれ溶着等によって固着されている。これにより、前後シート1a,1bの両側部間が閉じられている。そして、前後シート1a,1bの下端部間が底シート1cによって閉じられるとともに、前後シート1a,1bの左右の両側部間が側シート1d,1eによって閉じられることにより、上端部が開口した袋1が構成されている。なお、底シート1c及び側シート1d,1eは、図8(B)及び図1(B)に示すように、それぞれの前後方向における中央部において谷折されており、袋1にスプーン(食器)S及び粉体Pが詰め込まれる前は、袋1が薄く折り畳まれている。
【0010】
前後シート1a,1bの左右両端部のうち、側シート1d,1eより上側に位置する部分は、溶着等によって固着されている。この溶着部の間に位置する前後シート1a,1b間の部分が開口部とされている。溶着部分の下端部間に位置する前後シート1a,1bには、嵌め合わせ式のファスナー1fが設けられている。前後シート1a,1bのファスナー1fが形成された部分を互いに接近するように押すと、ファスナー1fが互いに嵌り合う。これにより、袋1の上端開口部が気密に閉じられる。その一方、前後シート1a,1bの上端部を互いに離間するように引っ張ると、ファスナー1fが開き、袋1の上端開口部が開かれる。
【0011】
前後シート1a,1b、底シート1c及び側シート1d,1eは、樹脂製の単層若しくは複層のフィルムによって構成されている。勿論、シート1a〜1eは、他の材質、例えば樹脂製のフィルムとアルミニウム等の金属箔とをラミネートしてなるラミネートフィルム、あるいは紙によって構成してもよい。また、各シート1a〜1eを互いに異なる材料によって形成してもよい。
【0012】
なお、二枚のシート1a,1bが左右に長い長方形に形成されることにより、袋1が正面視において左右に長い長方形に形成されているが、袋1は上下に長い長方形としてもよく、あるいは正方形、台形等の形状に形成してもよい。また、袋1の側面視形状が略三角形になっているが、上下に長い長方形にしてもよい。さらに、袋1は、1枚のシートを中央で折り曲げて重ね合わせ、その左右両側部を固着することによって形成してもよい。このように、袋1は、上端部に開口部を有し、下端部及び左右の両側部が閉じられているものであれば、その形状は任意である。
【0013】
図3(A)、(B)は、袋1内に粉体P及びスプーンSが詰め込まれた状態を示している。粉体Pは、袋1内に所定量だけ詰め込まれている。この実施の形態では、粉体Pの上面が底シート1cとファスナー1fとの間の中央より若干下側に位置するように、粉体Pが袋1に詰め込まれている。スプーンSは、その長手方向を左右方向に向け、ほぼ水平になった状態で粉体P上に乗っている。粉体P及びスプーンSが袋1に詰め込まれた後、ファスナー1fが閉じられ、次いでファスナー1fより上側に位置する前後シート1a,1bの上端部どうしが溶着等によって固着される。これにより、袋1内に粉体P及びスプーンSが詰め込まれた製品が製造される。
【0014】
次に、この発明に係る食器の袋詰め装置の一実施の形態について説明する。図4は、この発明に係るスプーンの袋詰め装置(食器の袋詰め装置)10を示す。この袋詰め装置10は、上記袋1に粉体P及びスプーンSを詰め込むためのものであり、回転テーブル20、この回転テーブル20の周りに配置されたベルトコンベア30、スプーン搬送手段(食器搬送手段)40、スプーン投入手段(食器投入手段)50及び製品搬出手段60を有している。なお、この発明に係るスプーンの袋詰め装置10は、必ずしも粉体等のスプーンS以外のものをも詰め込むように構成する必要がなく、スプーンSだけを詰め込むものであってもよい。また、袋1に詰め込む食器としては、スプーンS以外の細長い食器、例えばフォークや箸であってもよい。
【0015】
回転テーブル20は、平面視円形をなしており、その軸線を上下方向に向けて配置されている。回転テーブル20は、モータ等の回転駆動源(図示せず)により回転テーブル20の軸線を中心として所定の角度毎に、この実施の形態では45°毎に間歇回転させられる。いま、回転テーブル20の所定の部位(この実施の形態では図4において下側の部位)の近傍を第1ステーションA1とすると、この第1ステーションA1から時計方向へ90°離れた部位の近傍が第2ステーションA2とされ、第2ステーションA2から45°毎に第3、第4ステーションA3,A4が設定され、第4ステーションA4から90°離れた部位の近傍が第5ステーションA5とされ、この第5ステーション5Aから45°離れた部位の近傍が第6ステーションA6とされている。
【0016】
第1ステーションA1においては、ベルトコンベア30によって搬送された袋1が回転テーブル20側に受け渡される。すなわち、ベルトコンベア30は、第1ステーションA1から回転テーブル20の径方向外側に向かって延びており、袋1を第1ステーションA1に向かって搬送する。袋1は、その開口部側の端部をベルトコンベア30の搬送方向前方(図5において左方)に向け、かつその底部1c側の端部を後続の袋1の開口部側の端部の上に重ねた状態で搬送される。袋1は、その端部どうしを重ねることなく、前の袋1の底部1c側の端部と後の袋1の開口部側の端部とを接触させた状態で搬送してもよい。
【0017】
ベルトコンベア30の搬送方向の前端部と回転テーブル20との間には、回転移送手段31が設けられている。回転移送手段31は、吸着部31aを有している。吸着部31aは、ベルトコンベア30によってその前端部まで搬送された袋1、つまり先頭に位置する袋1の前シート1aを吸着する。それによって、当該先頭の袋1を保持する。ここで、袋1がその前シート部1aを上方に向けた状態でベルトコンベア31に載置されているため、吸着部31aが前シート1aを吸着保持するが、袋1がその後シート部1bを上方に向けた状態でベルトコンベア31に載置されているときには、吸着部32aは後シート部1bを吸着保持する。回転移送手段31は、袋1を保持した状態で回転軸31bを中心として所定角度だけ回転する。この結果、袋1がその開口部を上側に位置させた状態で鉛直に立ち、後シート部1bが回転テーブル20の外周面と対向させられる。
【0018】
回転テーブル20には、複数の保持手段32が設けられている。各保持手段32は、回転テーブル20の周方向へ互いに離間して配置されている。しかも、周方向に隣接する二つの保持手段32,32間の中心角度は、回転テーブル20の間歇回転角度と同一角度に設定されている。したがって、この実施の形態では、保持手段32が8個設けられている。しかも、8個の保持手段32は、回転テーブル20の回転に応じていずれかの保持手段32が第1ステーションA1に位置し、残りの7つの保持手段32のうちの5つの保持手段32が第2〜第6ステーションA2〜A6にそれぞれ位置し、残りの2つの保持手段32が第1、第2ステーションA1,A2間及び第4、第5ステーションA4,A5間にそれぞれ位置するように配置されている。
【0019】
保持手段32は、図6に示すように、左右一対の挟持部(袋保持部)32A,32Bを有している。各挟持部32A,32Bは、回転テーブル20の接線方向、つまり回転移送手段31によって移送された後の袋1の左右方向へ移動可能に配置されており、袋1が回転移送手段31によって回転テーブル20の外周面と対向する位置に搬送されると、互いに接近し、袋1の左右両側部、それもファスナー1fより若干下側の部分を挟持する。これにより、袋1が回転テーブル20によって保持される。袋1は、挟持部32A,32Bによって挟持させることなく、前シート1aの左右両側部又は後シート1bの左右両側部を吸着手段によって吸着することにより、保持するようにしてもよい。袋1が保持手段32によって保持されているので、回転テーブル20が回転すると、それに追随して袋1が回転する。なお、袋1は、回転テーブル20の外周面から所定距離だけ離間し、かつ後シート部1bの上端部を回転テーブル20の外周面と対向させた状態で保持されている。勿論、袋1の開口部は、袋1の上端に位置している。
【0020】
回転テーブル20が90°回転すると、袋1が第2ステーションA2に搬送される。第2ステーションA2においては、袋1の開口部が開かれる。図7及び図8に示すように、第2ステーションA2には、開放手段33及び空気吹き出しノズル34が配置されている。開放手段33は、一対の吸着部33A,33Bを有している。一対の吸着部33A,33Bは、回転テーブル20の径方向へ互いに対向し、かつ同方向へ移動可能に設けられている。袋1が第2ステーションA2に搬送されてくると、一対の吸着部33A,33Bが互いに接近移動してそれぞれ前シート1a及び後シート1bに接触する。そして、一方の吸着部33Aは、前シート部1aの上端部の左右方向の中央部を真空吸着する。他方の吸着部33Bは、後シート部1bの上端部の左右方向の中央部を真空吸着する。その後、一対の吸着部33A,33Bが所定の位置まで互いに離間移動する。これにより、袋1の上端開口部が開かれる(図8(B)参照)。ここで、袋1の上端開口部が開かれると、その分だけ袋1の上端部の左右方向の幅が狭くなる。そこで、吸着部33A,33Bが離間移動するときには、それに応じて挟持部32A,32Bが互いに接近移動する。
【0021】
空気吹き出しノズル34は、その吹き出し口34aを下方に向けて配置されており、吹き出し口34aは、平面視において袋1の開口部の中央に位置している。したがって、吹き出し口34aから空気が吹き出すと、その空気が袋1内に入り込み、折り畳まれた底シート1c及び側シート1d,1eを広げる。そして、袋1を所定の形状に膨らませる。空気吹き出しノズル34は、所定量だけ、若しくは所定時間だけ空気を吹き出すと空気の吹き出しを停止する。
【0022】
袋1の開口部を広げるとともに袋1を膨らませると、吸着部33A,33Bが真空吸着を止め、互いに離間移動して前後シート1a,1bからそれぞれ左右方向へ離間する。吸着部33A,33Bが袋1から離間したとしても、袋1の開口部は開いた状態に維持される。袋1の開口部を開くときに挟持部32A,32Bが接近移動してその位置に留まって、袋1の開口部を開いた状態に維持するからである。袋1から離間した吸着部33A,33Bは、元の初期位置まで戻る。初期位置に戻った吸着部33A,33Bは、次の袋1が第2ステーションA2に搬送されてくるまで待機する。
【0023】
なお、袋1の開口部が、初期状態において図12に示すように開いているのであれば、開放手段33及び空気吹き出しノズル34は設けなくてもよい。また、挟持部32A,32Bが袋1の左右両側部を挟持しつつ左右方向へ互いに接近移動することにより、袋1の開口部を開くことができる場合には、必ずしも開放手段33及び空気吹き出しノズル34を設ける必要がない。
【0024】
第2ステーションA2において開口部が開かれた袋1は、回転テーブル20の回転により第3ステーションA3に搬送される。第3ステーションA3においては、図9に示すように、粉体投入手段35によって袋1内に所定量の粉体Pが投入される。勿論、袋1内に粉体P以外のものを詰め込む場合には、粉体投入手段35に代えて、詰め込むべき物体を袋1に投入するための投入手段が設けられる。粉体投入手段35は、ホッパ35Aを有している。ホッパ35Aは、その内部に粉体Pを貯留している。ホッパ35Aの下端部には開口部35aが設けられており、開口部35aは、扉35bによって開閉される。扉35bを所定時間だけ開いて閉じることにより、ホッパ35Aの下端開口部35aから所定量の粉体Pが自然落下する。
【0025】
ホッパ35Aの下側には、シュート35Bが配置されている。シュート35Bは、ホッパ35Aから落下した粉体を後端部が受け止めるように配置されている。シュート35Bは、前方へ向かって下り勾配をなすように傾斜させられている。したがって、ホッパ35Aからシュート35Bの後端部に落下した粉体Pは、シュート35B上をその前方へ滑り下りる。シュート35Bの前端部の下部には、扉35cが設けられている。この扉35cを開くと、シュート35Bの前端開口部36dから粉体Pが自然落下する。自然落下した粉体Pは、下方に向かって縮径するテーパ筒状のガイド35C内を通って袋1内に入り込む。これにより、袋1内に所定量の粉体Pが詰め込まれる。
【0026】
粉体Pが詰め込まれた袋1は、回転テーブル20が回転することにより、第3ステーションA3から第4ステーションA4まで搬送される。第4ステーションA4に搬送されたときの袋1の位置が受け入れ位置である。したがって、この実施の形態においては、ベルトコンベア30、回転移送手段31、保持手段32及び回転テーブル20により、袋1を受け入れ位置まで搬送する袋搬送手段が構成されている。勿論、袋搬送手段は、上記構成のものに限定されるものでなく、他の各種のものを採用することができる。
【0027】
第4ステーションA4においては、受け入れ位置に搬送された袋1内にスプーンSが次のようにして投入される。すなわち、第4ステーションA4の前方(図4において上方)で回転テーブル20の近傍には、テーブル70が設けられている。このテーブル70上には、スプーン投入手段(食器投入手段)50が設けられており、スプーン投入手段50の図4における右側にはスプーン搬送手段(食器搬送手段)40が設けられている。
【0028】
スプーン搬送手段40は、ホッパ41、シュート42、回転フィーダ43及び直進フィーダ44を有している。ホッパ41は、その内部に多量のスプーンSを貯留している。ホッパ41からは、スプーンSがほぼ一定の割合でシュート42上に排出される。シュート42は、ホッパ41と回転フィーダ43との間に配置されており、ホッパ41側から回転フィーダ43側に向かって下り勾配をなしている。したがって、ホッパ41からシュート42上に排出されたスプーンSは、シュート42上を滑り下り、回転フィーダ43に至る。回転フィーダ43は、振動によって物品を回転フィーダ43の周方向へ移動させつつ所定の姿勢にするものであり、シュート42からランダムな姿勢で送られてきたスプーンSをその掬い部(頭部)を上に、柄部を下にした状態にする。このような機能を有する回転フィーダ43は、公知のものであり、その構造はこの発明において重要ではない。そこで、回転フィーダ43の詳細な構造についてはその説明を省略する。
【0029】
直進フィーダ44は、図10に示すように、ガイド部44Aを有している。ガイド部44は、回転テーブル20の接線方向へ水平に延びており、回転テーブル20から離れた後端部には、回転フィーダ43によって一定の姿勢に揃えられたスプーンSが回転フィーダ43によって順次移送される。したがって、ガイド部44Aには、スプーンSがその掬い部を上側にして直立した状態で移送される。ガイド部44Aの後端部に移送されたスプーンSは、ガイド部44Aの振動に伴ってその先端部側へ移送される。このような機能を有する直進フィーダ44は、公知のものであり、その構造はこの発明において重要ではない。そこで、直進フィーダ44の詳細な構造についてはその説明を省略する。
【0030】
ガイド部44Aの先端部に移送されたスプーンSは、第1ストッパ45によって停止させられる。このときのスプーンSの位置が受け渡し位置である。第1ストッパ45は、図12に示す停止位置とこの停止位置から所定の距離だけ図12の上方(回転テーブル20からその径方向外側へ離間する方向)へ離間した待機位置との間を移動可能である。第1ストッパ45は、停止位置に位置しているときにはスプーンSがガイド部44Aの前方へ移動することを阻止し、待機位置に位置しているときにはスプーンSの前方への移動を許容する。
【0031】
スプーン投入手段50は、可動部51を有している。可動部51は、図11において実線で示す後退位置と、想像線で示す前進位置との間をガイド部44Aの長手方向へ移動可能である。可動部51には、回転アーム52の基端部(図11において左端部)が、ガイド部44Aの長手方向と直交する方向へ延びる水平な軸線を中心として回転可能に設けられている。回転アーム52は、図11において実線で示す挟持位置と想像線で示す解放位置との間を回転可能である。
【0032】
回転アーム52の先端部は、可動部51から突出しており、当該先端部には、一対の挟持爪部(保持部)52a,52bが設けられている。一対の挟持爪部52a,52bは、ガイド部44Aの長手方向と直交する水平方向へ互いに接近離間移動可能とされている。一対の挟持爪部52a,52bは、いずれをも接近離間移動可能にすることなく、一方だけを他方に対して接近離間移動可能にしてもよい。一対の挟持爪部52a,52bは、回転アーム52が挟持位置に位置している状態において、可動部51が前進位置まで移動すると、一対の挟持爪部52a,52b間にスプーンSの柄部が入り込むように配置されている。一対の挟持爪部52a,52b間にスプーンSの柄部が入り込んだ状態において、一対の挟持爪部52a,52bが接近移動すると、一対の挟持爪部52a,52bが受け渡し位置に位置しているスプーンSの柄部を挟持する。挟持爪部51a,51bがスプーンSの柄部を挟持すると、第1ストッパ45が待機位置まで移動し、スプーンSがガイド部44Aから前方へ移動可能になる。したがって、可動部51が後退位置まで移動すると、スプーンSがガイド部44Aから外れる。なお、スプーンSは、一対の挟持爪部52a,52bによる挟持に代えて、他の保持手段によって保持させてもよい。
【0033】
ここで、受け渡し位置に位置しているスプーンS(ガイド部44Aの最前に位置するスプーンS)がガイド部44Aから前方へ外れると、ガイド部44A内に残っているスプーンSが前方へ自由に移動することができるようになり、先頭に位置するスプーンSがガイド部44Aから前方へ外れて落下するおそれがある。このような不都合を防止するために、第2ストッパ46が設けられている。第2ストッパ46は、第1ストッパ45と同様に待機位置と停止位置との間を移動可能であり、第1ストッパ45が停止位置から待機位置へ移動すると同時に、あるいはそれより若干以前に待機位置から停止位置に移動する。停止位置に位置している第2ストッパ46は、受け渡し位置に位置しているスプーンSの後に隣接するスプーンSが前方へ移動することを阻止する。そして、可動部51が後退位置まで移動した後、第1ストッパ45が停止位置まで移動すると、第2ストッパ46が停止位置から待機位置まで移動する。その結果、ガイド部44A内のスプーンSが前進移動可能になり、ガイド部44A内の最前のスプーンSが直進フィーダ44によって受け渡し位置まで移送される。そして、第1ストッパ45によって停止させられる。
【0034】
可動部51が後退位置に位置し、かつ回転アーム52が挟持位置に位置しているときには、スプーンSが一対の挟持爪部52a,52bにより、鉛直に直立した状態で挟持されている。回転アーム52が挟持位置から解放位置まで回転すると、スプーンSも回転アーム52と一緒に回転して停止する。このときのスプーンSの位置が投入位置である。ここで、回転アーム52の挟持位置と解放位置との間の角度をθとすると、角度θは、60°〜80°程度の90°より小さい角度に設定されている。したがって、回転アーム52が解放位置に回転し、それによってスプーンSが投入位置に位置すると、スプーンSがその長手方向を水平方向に対して(90−θ)°だけ傾斜させた状態になる。特に、この実施の形態では、掬い部を上に、柄部を下にした状態でスプーンSが傾斜する。スプーンSは、掬い部を下に、柄部を上にした状態に傾斜させてもよい。
【0035】
スプーンSが投入位置に位置しているときには、平面視において、スプーンS全体が袋1の開口部の範囲内でその上方に位置させられている。特に、この実施の形態では、スプーンSが袋1の状態開口部の中央に位置するようになっている、したがって、挟持爪部52a,52bが互いに離間してスプーンSの柄部を解放すると、スプーンSが自然落下して袋1内に入り込む。そして、粉体Pの上にほぼ水平になった状態で乗る。このようにして、袋1内に粉体P及びスプーンSが詰め込まれる。なお、スプーンSを解放した回転アーム52は、解放位置から挟持位置まで復帰回転し、スプーン投入手段50が図11において実線で示す元の状態に戻る。その後、上記の動作を繰り返すことにより、袋1へのスプーンSの投入が繰り返される。
【0036】
第1ストッパ45、第2ストッパ46、可動部51、回転アーム52及び挟持爪部52a,52bの各動作は、各種のセンサ及びそのセンサが接続されたコンピュータ(いずれも図示せず)によって制御されているが、その制御方法は公知の制御方法の組み合わせ若しくは変更であり、この発明において重要でもない。そこで、制御方法の詳細な説明は省略する。
【0037】
粉体P及びスプーンSが詰め込まれた袋1は、回転テーブル20が回転することにより、第4ステーションA4から第5ステーションA5まで搬送される。第5ステーションA5においては、袋1の上端部、つまり図3(A)において、袋1の上端縁と想像線とで囲まれる範囲が溶着手段等の固着手段(図示せず)によって固着される。これによって、袋1に粉体P及びスプーンSが詰め込まれた製品が完成する。
【0038】
袋1の上端部の固着部分は、ファスナ1fから上方へ離間させられている。したがって、固着部分は、それとファスナ1fとの間の部分を切断することによって袋1から切り落とすことができる。固着部分が切り落とされた状態では、ファスナ1fより上側の前後シート1a,1bを引っ張ることにより、ファスナ1fを開いて袋1の開口部を開くことができる。その状態では、スプーンSを袋1から取り出し、さらにスプーンSで粉体Pを袋1から取り出すことができる。その一方、ファスナ1fを嵌め合わせることにより、袋1の開口部を閉じることができる。
【0039】
粉体P及びスプーンSが詰め込まれた袋1は、回転テーブル20が回転することにより、第5ステーションA5から第6ステーションA6に搬送される。図4に示すように、第6ステーションA6の前方には、製品搬出手段60が設けられている。製品搬出手段60は、例えば搬送コンベアからなるものであり、その一端部は、保持手段32の挟持部32A,32Bが袋1を解放することによって袋1が自然落下したとき、その袋1を受け止めることができるように配置されている。製品搬出手段60の一端部に落下した袋1(製品)は、製品搬出手段60によってその他端部側へ搬送される。製品搬出手段60は、その長手方向を回転テーブル20の径方向と交差する方向に向けているが、回転テーブル20の径方向に向けて配置してもよい。
【0040】
第6ステーションA6において袋1を放した保持手段32は、回転テーブル20の回転によって第1ステーションA1に搬送される。そして、別の袋1への粉体P及びスプーンSの詰め込みに供される。つまり、上記の動作が繰り返されることにより、袋1への粉体P及びスプーンSの詰め込みが繰り返される。
【0041】
上記のように、この発明に係る食器の詰め込み装置10によれば、スプーンSを水平に対して傾斜させた状態で袋1に投入しているから、スプーンSの長さが袋1の開口部の長さと同等若しくはそれより若干短いだけであっても、スプーンSを袋1にその開口部から容易に投入することができる。しかも、スプーンSは、袋1内の所定の位置(この実施の形態では粉体Pの上面)まで入り込むから、スプーンSが袋1の上端開口部を溶着等によって固着して閉じるときに、スプーンSが固着部に位置するような事態を未然に防止することができる。したがって、不良品の発生を防止することができる。また、スプーンSが投入される袋1の下端部及び左右両側部が閉じられているから、袋1にはスプーンSのみならず粉体Pをも詰め込むことができる。
【0042】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記の実施の形態においては、回転テーブル20の周りにベルトコンベア30、粉体投入手段35、スプーン搬送手段40及びスプーン投入手段50を配置しているが、回転テーブル20を一直線上に展開させて第1〜第6ステーションA1〜A6を一直線上に配置し、それに応じてベルトコンベア30、粉体投入手段35、スプーン搬送手段40及びスプーン投入手段50を当該一直線に沿って配置してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 袋
1a 前シート
1b 後シート
10 スプーンの袋詰め装置(食器の袋詰め装置)
20 回転テーブル(袋搬送手段)
30 ベルトコンベア(袋搬送手段)
31 回転移送手段(袋搬送手段)
32 保持手段(袋搬送手段)
32A 挟持部(袋保持部)
32B 挟持部(袋保持部)
40 スプーン搬送手段(食器搬送手段)
50 スプーン投入手段(食器投入手段)
52 回転アーム
52a 挟持爪部(保持部)
52b 挟持爪部(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2枚のシートの左右両側部間及び下端部間が閉じられることによって形成された袋に、その上端開口部からスプーン等の細長い食器を装入するための袋詰め装置であって、
上記袋を所定の受け入れ位置まで搬送する袋搬送手段と、上記食器を上記受け入れ位置近傍に定められた所定の受け渡し位置まで搬送する食器搬送手段と、上記受け渡し位置に搬送された食器を上記受け入れ位置に搬送された袋の開口部の上方の投入位置まで移動させる食器投入手段とを備え、上記食器投入手段は、上記投入位置において上記食器の長手方向が水平方向に対して傾斜するように上記食器を保持し、保持した上記食器を自然落下させて上記袋内にその上端開口部から投入することを特徴とする細長い食器の袋詰め装置。
【請求項2】
上記袋搬送手段が、上記袋の2枚のシートの左右両側部をそれぞれ保持する一対の袋保持部を有し、この一対の袋保持部の少なくとも一方は、他方に対して左右方向へ所定距離だけ接近移動することにより、上記袋の開口部を開いた状態に維持することを特徴とする請求項1に記載の食器の袋詰め装置。
【請求項3】
上記食器投入手段が、基端部を中心として回転可能な回転アームと、この回転アームの先端部に設けられ、上記食器を保持する保持部とを有し、上記保持部が上記受け渡し位置に位置している食器を保持した後、上記回転アームが上記食器を上記投入位置まで回転させことを特徴とする請求項1又は2に記載の食器の袋詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−131929(P2011−131929A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295280(P2009−295280)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(591254589)大研工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】