説明

食器ケース

【課題】箸等の食器を洗浄した後、客が使用するまでの間、完全に清潔な状態を保つことができ、しかも箸等の食器の使用者に対して清潔感や安心感を与えることができる食器ケースを提供する。
【解決手段】マット23に浸み込んだ除菌剤Mは少しずつ気化して小孔11を通過し、食器収容部13へ流入する。そして、食器収容部13内の箸Cの除菌、ウィルス除去及び消臭が行われ、箸Cだけでなく食器収容部13の内部も清潔に保たれることになる。箸Cを使用する者は、開閉蓋17を開いて解放された食器収容部側開口5aから食器収容部13に収容されている箸Cを取り出す。この際に指が取り出す箸C以外の箸Cや食器収容部13の内面に触れても、上記した除菌剤Mの作用によって、食器収容部13内の箸C、食器収容部13の内面は清潔に保たれることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器ケースに係り、特に多数の箸等の食器を収容して飲食店のテーブル等に設置されて使用する食器ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年はエコロジーに対する関心が高まっており、とりわけ地球温暖化防止の観点から森林破壊防止が叫ばれている。そこで、主に飲食店において使用されている割り箸の代わりに洗浄して再使用できるプラスチック製等の箸の使用が推進されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、再使用できる箸の使用を広めるためには、洗浄した後、客が使用するまでの間に清潔な状態を完全に保つ必要があり、また割り箸の使用に慣れた者の抵抗感を排除できるように、箸の使用者に対して清潔感や安心感を与える必要もある。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、箸等の食器を洗浄した後、客が使用するまでの間、完全に清潔な状態を保つことができ、しかも箸等の食器の使用者に対して清潔感や安心感を与えることができる食器ケースを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するために為されたものであり、請求項1の発明は、開口を有し食器を収容する食器収容部を有するケース本体と、前記ケース本体の開口を塞ぐ状態と開口を開放する状態とに動作可能な開閉蓋と、前記ケース本体に収容された食器を除菌する除菌手段とを備えたことを特徴とする食器ケースである。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載された食器ケースにおいて、除菌手段は除菌剤を食器収容部へ供給する除菌剤供給手段によって構成されていることを特徴とする食器ケースである。
【0006】
請求項3の発明は、請求項2に記載された食器ケースにおいて、除菌剤供給手段は、食器収容部に隣接して備えられた除菌剤収容部と前記除菌剤収容部に備えられる除菌剤が収容された除菌剤容器と、前記除菌剤から排出される除菌剤を食器収容部へ導入する除菌剤導入部とによって構成されていることを特徴とする食器ケースである。
【0007】
請求項4の発明は、請求項3に記載された食器ケースにおいて、除菌剤導入部は除菌剤を吸収して拡散させる拡散部材と、除菌剤収容部と食器収容部とを連通させており前記拡散部材から拡散される除菌剤の通路となる除菌剤通過路とから成ることを特徴とする食器ケースである。
【0008】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載された食器ケースにおいて、除菌剤が収容された除菌剤容器は除菌剤収容部に対して着脱自在であることを特徴とする食器ケースである。
【0009】
請求項6の発明は、請求項5に記載された食器ケースにおいて、除菌剤容器は除菌剤が収容された状態で密閉されており、前記除菌剤容器を除菌剤収容部に装着すると、除菌剤の密閉を解除して除菌剤を放出させる密閉解除手段が備えられていることを特徴とする食器ケースである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食器ケースによれば、箸等の食器を洗浄した後、客が使用するまでの間、完全に清潔な状態を保つことができる。しかも、箸等の食器の使用者に対して清潔感や安心感を与えることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。本実施の形態では、食器ケースの一例として主に飲食店のテーブル上に配置する箸ケース1を説明する。
符号3はケース本体3を示し、このケース本体3上面に開口部5を有する横長の箱状に形成されている。ケース本体3内には仕切り部7が設けられており、この仕切り部7は、図2において左端部寄りに位置している。仕切り部7はケース本体3の底部9から上方へ向って垂直に延び、開口部5の近傍で右方向へ直角に曲がり、更に先端部が上方へ直角に曲がって開口部5に到達している。仕切り部7の全体には多数の小孔11が形成されている。多数の小孔11は後述するように除菌剤通過路となる。
本体ケース3の仕切り部7を境にして図2において右側の空間が食器収容部13となり、左側の空間が除菌剤収容部15となる。
【0012】
開閉蓋17はケース本体3にヒンジを介して開閉自在に取り付けられており、開口部5の食器収容部13に対応する食器収容部側開口5aを覆う状態と開放する状態に開閉動作できる。
閉じ蓋19は、その一部が開口部5の除菌剤収容部15に対応する除菌剤収容部側開口5bに嵌っており、除菌剤収容部側開口5bを覆っている。
【0013】
除菌剤収容部15の底部には密閉解除手段としての突起部21が設けられており、この突起部21の先端は鋭く尖っている。また、除菌剤収容部15には拡散部材としてのマット23が備えられており、このマット23は不織布製であり、高い吸水性を有すると共に、表面に多数のひだが形成され表面積が大きくなるように加工されている。マット23は除菌剤収容部15の底部と仕切り部7に接触した状態で固定されている。前記突起部21はマット23を貫通して、マット23から突き出ている。
【0014】
符号25は中空の円柱状の除菌剤容器を示し、この除菌剤容器25はプラスチック製で除菌剤Mが封入されている。除菌剤Mとしては例えば二酸化塩素ガス溶存液が使用される。
除菌手段は、除菌剤M、この除菌剤Mが封入された除菌剤容器25及び除菌剤導入部を構成するマット23と小孔11によって構成されている。
箸ケース1は以上のように構成されている。
【0015】
次に、箸ケース1の使用方法について説明する。
食器収容部13には洗浄して再使用できる箸Cを収容しておく。
また、閉じ蓋19を真上へ持ち上げるようにして除菌剤収容部側開口5bを開放し、図3に示すように除菌剤容器25の底面を突起部21に押し付けて穴を開ける。これにより除菌剤容器25の底面の穴から除菌剤Mが排出されてマット23に浸み込む。除菌剤容器25の底面の穴には突起部21が入り込んでいるので、穴は僅かに開口した状態となっている。従って、除菌剤容器25内の除菌剤Mはマット23が除菌剤Mによって十分に湿った状態では排出されず、マット23が保持する除菌剤Mが一定以下になると排出される。
【0016】
マット23に浸み込んだ除菌剤Mは少しずつ蒸発して小孔11を通過し、食器収容部13へ流入する。そして、食器収容部13内の箸Cの除菌、ウィルス除去及び消臭が行われ、箸Cだけでなく食器収容部13の内部も清潔に保たれることになる。
箸Cを使用する者は、開閉蓋17を開いて解放された食器収容部側開口5aから食器収容部13に収容されている箸Cを取り出す。この際に指が取り出す箸C以外の箸Cや食器収容部13の内面に触れても、上記した除菌剤Mの作用によって、食器収容部13内の箸C、食器収容部13の内面が清潔に保たれることになる。従って、箸Cは箸ケース1に収容してから使用されるまでの間、清潔な状態を確実に保つことができるようになる。また、箸ケース1に除菌機能をもたせることによって箸Cの使用者に対して清潔感や安心感を与えることができる。
【0017】
除菌剤容器25内の除菌剤Mが無くなった場合は、閉じ蓋19を開けて、除菌剤容器25を突起部21から引き抜くようにして外す。そして、除菌剤Mが封入されている新しい除菌剤容器25を上記したように除菌剤収容部15に装着してから、閉じ蓋19を閉めておく。なお、必要に応じてマット23も交換する。
【0018】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、食器として箸を示したが、本発明の食器ケースは箸だけでなく、フォーク、ナイフは勿論のこと、皿、茶碗等の食器を収容して使用してもよい。この場合に収容する食器の種類、大きさによって食器ケースの形状やサイズを変更する。
【0019】
また、除菌剤として二酸化塩素ガス溶存液だけでなく、アルコール等の他の除菌剤を使用してもよいのは勿論である。更に、除菌剤は液体のものに限定されず、ゲル状や固体のものを使用してもよいが、有効成分が徐々に気化して長期間にわたり除菌を行うことができるものが望ましい。例えば、二酸化塩素ガス溶存液にゲル化剤を入れてゲル状とし、これを除菌剤収容部15に入れて用いることも可能である。
なお、除菌剤収容部は上記実施の形態のようにケース本体3に設けるだけでなく、除菌剤収容部を開閉蓋17に設ける構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の食器ケースは外食産業をはじめとして、飲食物を提供する産業において広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る食器ケースの斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1の食器ケースの除菌剤収容部の内部構造の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1…箸ケース 3…ケース本体 5…開口部
5a…食器収容部側開口 5b…除菌剤収容部側開口
7…仕切り部 9…(ケース本体の)底部 11…(仕切り部の)小孔
13…食器収容部 15…除菌剤収容部 17…開閉蓋
19…閉じ蓋 21…突起部 23…マット
25…除菌剤容器 C…箸 M…除菌剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有し食器を収容する食器収容部を有するケース本体と、前記ケース本体の開口を塞ぐ状態と開口を開放する状態とに動作可能な開閉蓋と、前記ケース本体に収容された食器を除菌する除菌手段とを備えたことを特徴とする食器ケース。
【請求項2】
請求項1に記載された食器ケースにおいて、除菌手段は除菌剤を食器収容部へ供給する除菌剤供給手段によって構成されていることを特徴とする食器ケース。
【請求項3】
請求項2に記載された食器ケースにおいて、除菌剤供給手段は、食器収容部に隣接して備えられた除菌剤収容部と前記除菌剤収容部に備えられる除菌剤が収容された除菌剤容器と、前記除菌剤から排出される除菌剤を食器収容部へ導入する除菌剤導入部とによって構成されていることを特徴とする食器ケース。
【請求項4】
請求項3に記載された食器ケースにおいて、除菌剤導入部は除菌剤を吸収して拡散させる拡散部材と、除菌剤収容部と食器収容部とを連通させており前記拡散部材から拡散される除菌剤の通路となる除菌剤通過路とから成ることを特徴とする食器ケース。
【請求項5】
請求項3または4に記載された食器ケースにおいて、除菌剤が収容された除菌剤容器は除菌剤収容部に対して着脱自在であることを特徴とする食器ケース。
【請求項6】
請求項5に記載された食器ケースにおいて、除菌剤容器は除菌剤が収容された状態で密閉されており、前記除菌剤容器を除菌剤収容部に装着すると、除菌剤の密閉を解除して除菌剤を放出させる密閉解除手段が備えられていることを特徴とする食器ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−213552(P2009−213552A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58008(P2008−58008)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(394005812)株式会社エム・アイ・ケー (3)
【出願人】(306023602)株式会社エスエヌシ− (5)