説明

食器棚

【課題】 上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱隙間部を設けることにより、食器棚オープン部に置いたオーブンや炊飯器等の家電製品の熱や蒸気を上方へ自然対流にて放出することが出来ると共に、移動コンセントにより家電製品の熱や蒸気があたる位置を避けることができ、コンセントを傷める事もなく、安全に使用できる食器棚を提案する。
【解決手段】 食器棚オープン部の上に位置する上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱するための排熱隙間部を設けてなることを特徴とする食器棚。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に食器棚に排熱隙間部及び/または移動コンセントを設けてなる食器棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な食器棚には電子レンジ、オーブンレンジなどの家電製品を設置するためのオープン部分を設けたものが多い。(レンジ台の家電製品を置くスペースの上に収納部分があるものを含む。)
実際に家電製品を使用した場合、家電製品が発する熱、蒸気が食器棚オープン部分内にこもってしまい、食器棚、家電製品双方に悪影響を及ぼす可能性が高い。
そのため、食器棚オープン部分の裏板に熱抜き孔をあけたり、裏板そのものにパンチングの孔を多数あけたものもある。
しかし、食器棚を住宅内に設置する場合は壁面にぴったりとつけるのが普通であるため、裏板に熱抜き孔等をあけても熱を十分に逃がすことが困難であった。また、食器棚オープン部分に前にスライドする台を設け、その上に家電製品を設置するというものもある。(家電製品を使用する際は家電製品を台ごと前にスライドさせておく。)
しかし、狭いキッチン内で使用時、台を十分にスライドさせておくことはなかなか困難であり、ついそのまま家電製品を使用することになりがちである。
また、オープン部分内にはコンセントを取り付けておくのが現在の食器棚の常識となっている。
コンセントは、家電製品を設置する位置を制限しないため、オープン部分の上方、奥に取り付けるのが一般的であるが、そのコンセントに熱、蒸気があたるとコンセントの故障の原因となる。そのため、食器棚メーカーは「コンセントに家電製品の蒸気を絶対にあてないでください。」などと注意を喚起する表示をしているが、根本的な解決策はないのが現状だった。
【0003】
また、特許的に見たとき、下部に凹部が形成された食器棚本体と、電気器具等を乗せて床上を移動可能な収納ワゴンとを有し、該収納ワゴンを前記食器棚本体の凹部に収納・引出し自在に設け、収納状態で該収納ワゴンの縦壁が、食器棚前面を形成するように設定したことを特徴とする収納ワゴン付き食器棚がある。(特許文献1参照)
【0004】
別の従来技術として、家具本体における上部収納部の下方に、電熱機器等の調理機器を載置するための載置台を有する少なくとも前面開放状の作業空間部を形成し、前記載置台の上面奥側には、空気を前記上部収納部の下面方向に放出するための換気装置を設けたことを特徴とする家具がある。(特許文献2参照)
【特許文献1】 特開平6−14818号公報
【特許文献2】 特開平9−224763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1は、収納ワゴン付のものであり、炊飯器を使用する場合、いちいち収納ワゴンを前方に出して使用しなければならず、手間であり、収納して使用する場合、蒸気等が内部にこもり、結露やカビ発生の原因となる。
【0006】
また、上記特許文献2では、換気装置を設けることにより、上部収納部の下面方向に放出してなるもので、コスト高となると共に、電気代も掛り、かつ、載置台が狭くなる等の問題がある。
さらに、両者共に、移動コンセントを設けていないものである。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするもので、上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱隙間部を設けることにより、食器棚オープン部に置いたオーブンや炊飯器等の家電製品の熱や蒸気を上方へ自然対流にて放出することが出来ると共に、移動コンセントにより家電製品の熱や蒸気があたる位置を避けることができ、コンセントを傷める事もなく、安全に使用できる食器棚を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、食器棚オープン部の上に位置する上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱隙間部を設けてなる。
また、食器棚に設けるコンセントにおいて、左右に移動可能な移動具により移動する移動コンセントを設けてなる。
さらに、移動具が、レール部と係止部とにより構成されてなる。
さらにまた、移動コンセントを排熱隙間部に設けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
1)、食器棚オープン部の上に位置する上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱するための排熱隙間部を設けることにより、食器棚オープン部にて使用する家電製品が発する熱や蒸気を効果的に放出(排出)し、内部に熱がこもりにくいため、食器棚や家電製品を傷めることなく使用できる効果がある。
2)、移動コンセントを設けることにより、家電製品からの熱や蒸気の影響のない位置に移動でき、安全・安心に使用できる。
3)、移動具をレール部と係止部により構成することにより、故障しにくく、移動もスムーズに行うことができる。
4)、移動コンセントを排熱隙間部に設けることにより、場所を取らず、食器棚オープン部の空間を有効に利用できる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0010】
食器棚1は、上部収納部2と下部収納部3の間に、両側枠板4aにて支持された食器棚オープン部4を設けてあり、この食器棚オープン部4の上に位置する上部収納部2の裏側(背板5の前面)に、上方Z(天板2aの後部)を貫通する排熱するための排熱隙間部6を設けてなるものである。
【0011】
上記食器棚1の使用例について述べる。
例えば食器棚オープン部4上面に炊飯器SHを置き、使用することにより、蒸気と熱Gが発生するが、排熱隙間部6を通って上方から排出(放出)され、食器棚オープン部4内に熱や蒸気がこもるのを最小限に抑えることができる。
【0012】
つぎに、他の実施例を説明する。
食器棚21は、上記食器棚1の排熱隙間部6を利用し、移動コンセント7を設けてなるもので、排熱隙間部26の下端背面に横長状の平板による当板7aと、この当板7aの相対向する位置(上部収納部22の底板22b)に突出したレール部7a2とこのレール部7a2に係合する略コの字型の係止部7a3とからなる移動具7aの下部にコンセント7bより構成されるもので左右に移動可能に設けてある。
【0013】
上記食器棚21は、食器棚オープン部24内に電気製品D(例えば電子レンジ)を置き、コードKを移動コンセント7のコンセント7bを差し込み、移動具7aのレール部7a2に沿って係止部7a3を移動させることにより、コンセント7bを移動(電気製品Dより離れた位置)させて安全な位置にて使用できるものである。
【0014】
上記各実施例において、移動コンセントの形状は、特に限定するものではなく、例えば、カーテンレールを背板の前面に設ける形状や上部収納部の底板下面に設ける形状等、色々考えられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の第1実施例を示す食器棚の縦断側面図。
【図2】 本発明の第1実施例を示す食器棚の斜視図。
【図3】 本発明の第1実施例を示す食器棚の使用状態の一部縦断側面図。
【図4】 本発明の第2実施例を示す食器棚の斜視図。
【図5】 本発明の第2実施例を示す食器棚の縦断側面図。
【図6】 本発明の第2実施例を示す食器棚の使用状態正面図。
【符号の説明】
【0016】
1−−−食器棚
2−−−上部収納部
2a−−天板
2b−−底板
3−−−下部収納部
4−−−オープン部
4a−−両側枠板
5−−−背板
6−−−排熱隙間部
7−−−移動コンセント
7a−−移動具
7a2−レール部
7a3−係止部
7b−−コンセント
Z−−−上方
SH−−炊飯器
G−−−蒸気と熱
D−−−電気製品
K−−−コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食器棚オープン部の上に位置する上部収納部の裏側に、上方に貫通する排熱するための排熱隙間部を設けてなることを特徴とする食器棚。
【請求項2】
食器棚に設けるコンセントにおいて、左右に移動可能な移動具により移動する移動コンセントを設けてなることを特徴とする食器棚。
【請求項3】
移動具が、レール部と係止部とにより構成されてなることを特徴とする請求項2記載の食器棚。
【請求項4】
移動コンセントを排熱隙間部に設けてなることを特徴とする請求項1記載の食器棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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