説明

食材輸送ネットワーク最適化方法

【課題】 食材輸送ネットワークを最適な経済性を達成するように最適化できるとともに、食材のロスや需要先での供給不足に対する輸送手段の強化や改善の有効性を評価できる食材輸送ネットワーク最適化方法を提供する。
【解決手段】 コンピュータに、選択した食材の鮮度劣化速度、輸送手段の種類毎の最大輸送能力、平均速度及び運搬時食材温度、供給元の位置と搬出時における鮮度劣化度、集荷配送センターの位置と受入時の食材の鮮度劣化度の上限値及び集荷配送センター内での食材の鮮度劣化度の増加値、需要先の位置と食材需要量及び受入時の食材の鮮度劣化度の上限値、鮮度劣化度に応じた食材の販売価格、輸送手段の種類毎の運送費用と制約条件の各データを入力し、食材の輸送量を最適化変数とし、食材輸送ネットワーク全体の総利益を目的関数として、入力された各条件の下で目的関数が最大となる輸送手段の種類毎の輸送量を算出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生鮮食材を生産地から消費地(最終加工地も含む)まで輸送する食材輸送ネットワークを最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、生鮮食品と呼ばれる農産物や魚介類等の食材は、基本的に時間の経過とともに鮮度が低下していくものである。鮮度の低下速度は、気温、湿度、日光など、食材が置かれる環境によって大きく異なるため、これらの劣化要因をなるべく小さくするためにコールドチェーンの整備が進められている。
【0003】
しかしながら、保管条件や輸送条件が十分に整っていない地域においては、多くの食材が廃棄処分となるケースもある。現在、地球規模で進行中の人口爆発に伴う食糧危機問題に対処するためには、食材のロスを最小限に抑制することも重要な課題の一つである。
【0004】
また、従来においては、食材ロスを低減するために、コールドチェーンの他、市場要求に合わせて生産量を制限したり、食材の不要部分を燃料や化学原料として再利用したり、賞味期限切れや売れ残りの食材を、肥料や家畜飼料、あるいはバイオマスエネルギーとして利用することが行われている。
【0005】
また、例えば、特許文献1に記載されているように、ITネットワークを利用して、生産者と消費者との間をネットワークで結んで、需要と供給のバランスを保ちながら食材を迅速に流通させるシステムも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−87351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
食材の鮮度は、時間の経過とともに劣化が進む特性を有し、また、温度が高くなるほど劣化速度が増加する傾向にあるため、鮮度が維持される適切な条件下で、生産地から消費地まで流通させる必要がある。
【0008】
また、従来では、食材の鮮度は、プロの目利きに頼って判断しており、鮮度の劣化の度合いを、素人が判断することは難しく、食材の生産地等の供給元から消費地等の需要先に至る一連の輸送システムを全体的に最適化しようとする配慮がなされていないため、食材の販売利益が少なく、食材のロスや需要先での供給不足が発生する問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、食材の供給元から需要先に至る食材輸送ネットワークを、輸送手段の種類や能力の制約の中で最適な経済性を達成するように最適化できるとともに、食材のロスや需要先での供給不足に対する輸送手段の強化や改善の有効性を評価できる食材輸送ネットワーク最適化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的のために提供される本発明の食材輸送ネットワーク最適化方法は、コンピュータに、最適化の対象として選定した食材の鮮度劣化速度を定義したモデル関数を入力するステップと、前記コンピュータに、前記食材の運搬に利用する輸送手段の種類毎に、最大輸送能力、平均速度及び運搬時の食材温度を入力するステップと、前記コンピュータに、食材の供給元となるソースノードの位置、当該ノードにおける食材の供給量及び搬出時における食材の鮮度劣化度を入力するステップと、前記コンピュータに、食材の集荷配送センターとなるユーティリティーノードの位置、当該ノードにおける受入時の食材の鮮度劣化度の上限値及びノード内での食材の鮮度劣化度の増加値を入力するステップと、前記コンピュータに、食材の需要先となるシンクノードの位置、当該ノードにおける食材の需要量及び受入時の食材の鮮度劣化度の上限値を入力するステップと、前記コンピュータに、鮮度劣化度に応じて定められた食材の販売価格を入力するステップと、前記コンピュータに、輸送手段の種類毎に運送費用を入力するステップと、前記コンピュータに、輸送手段の種類毎に各ノード間における制約条件を入力するステップと、前記コンピュータに、各ノード間の食材の輸送量を最適化変数とし、シンクノードにおける全体の売上高から全体の運送費用を減じて得られる総利益を目的関数として、前記各ステップで入力された各条件の下で、前記目的関数を最大値にするような、輸送手段の種類毎の各ノード間の輸送量を算出させるステップからなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る食材流通システム最適化方法によれば、食材の供給元(ソースノード)と需要先(シンクノード)間の食材輸送ネットワークを効率化して、食材の販売利益の増加を図ることができるとともに、食材輸送におけるボトルネックとなっている箇所を見つけ出して、食材のロスや需要先における供給不足を解消するための輸送手段の強化や改善の有効性を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の食材輸送ネットワーク最適化方法を実施するためのコンピュータによる処理手順を概略的に示すフロー図である。
【図2】環境温度の違いによる食材の鮮度劣化の傾向を模式的に示すグラフである。
【図3】温度と鮮度劣化速度との関係を片対数グラフ上にプロット値とともに示したグラフである。
【図4】生産地、集荷配送センター、消費地の各位置を座標上にプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の食材輸送ネットワーク最適化方法は、生産地等の供給元から消費地等の需要先へ食材を輸送する際に、生産サイドの利益を最大化するために、種々の輸送手段(トラック、列車等)の輸送量を最適化する方法を提供し、食材のロスや需要先での供給不足に対する輸送手段の強化や改善の有効性を評価できるようにするものである。本発明においては、各輸送手段の輸送量の最適化計算を汎用コンピュータにより、図1に示す手順で実行する。以下、図1に従って本発明の概略を説明する。
【0014】
(S1)
本発明においては、はじめに、解析対象とする農産物や魚介類等の生鮮食材を選定して、当該食材の鮮度劣化データをコンピュータに入力する。ここでは、当該食材の鮮度劣化速度と温度との関係式をコンピュータに入力して記憶させておく。なお、詳細は後述する。
【0015】
(S2)
次に、輸送手段の仕様と能力を入力する。ここでは、食材の輸送に使用できる輸送手段を1つ乃至複数種類選定して、それぞれの最大輸送能力、平均速度及び運搬時の食材温度をコンピュータに入力して記憶させる。なお、詳細は後述する。
【0016】
(S3)
次に、ノードデータを入力する。ここで、ノードとは後で詳述するように、ソースノード(食材供給元)、シンクノード(食材需要先)及びユーティリティーノード(集荷配送センター)があり、これらの名称をコンピュータに入力して記憶させる。
【0017】
また、各ソースノードにおいては、これらから食材が搬出される時点での鮮度をコンピュータに入力して記憶させる。また、各シンクノード及びユーティリティーノードにおいては、これらのノードへの搬入時に食材の受入可能な限界鮮度をコンピュータに入力して記憶させる。
【0018】
さらに、各ソースノードまたはユーティリティーノードから、各シンクノードまたはユーティリティーノード間の輸送所要時間をコンピュータに入力して記憶させる。
【0019】
(S4)
次いで、コンピュータに経済評価データを入力する。ここでは、需要先への搬入時の食材鮮度と売値の関係式を入力して記憶させる。また、各輸送手段の運賃を入力して記憶させる。なお、詳細は後述する。
【0020】
(S5)
次に、コンピュータに種々の制約条件を入力して記憶させる。制約条件としては、量的制約条件、質的制約条件及び食材輸送ネットワーク制約条件がある。ここで、量的制約条件とは、生産量、消費量と輸送量の間の量的バランスを考慮して課せられる制約条件である。
【0021】
また、質的制約条件とは、消費地で要求される鮮度を満たすことを考慮して課せられる制約条件である。また、食材輸送ネットワーク制約条件とは、特定のノード間の接続に関する制約を考慮して課せられる制約条件である。なおこれらの制約条件についての詳細は後述する。
【0022】
(S6)
コンピュータは、前述した(S1)〜(S5)においてそれぞれ入力されたデータに基づいて、各輸送手段に対する輸送量の最適化計算を行う。
【0023】
(S7)
コンピュータは、最適化計算を完了して得られた最適解をモニタ画面やプリンタ等の出力装置に出力し、処理を終了する。
【0024】
以上の手順によって、検討対象とした食材に関して、想定した領域内の地理的な条件や運送能力条件および経済性条件の下で、生産された食材をどれだけ効率良く消費サイドまで届けることができるか、またどれだけの食材のロスになるのか(あるいは供給不足が発生するのか)の食材輸送ネットワーク全体のバランスをマクロに把握することが可能となる。
【0025】
こうして得られた最適解を検討し、食材ロスや供給不足等が発生している場合等、必要があれば入力したデータを変更して計算を繰り返す。
以下、本発明について、より詳細に説明する。
【0026】
(品質の定義)
食材の鮮度を表す尺度は、野菜などの青果物や魚介類において一般的に用いられている鮮度(ATP、k値等で表されることもある)や、肉類の美味しさに重要な影響を与える熟成度や、その他、味には直接関係のない形状や色合いなど、種々のものがあるが、ことに食材の輸送問題を扱う場合には、いかに鮮度を維持するかが、最も重要であると考えられる。
【0027】
食材の中でも、例えば青果物の鮮度は、一般的に収穫直後がもっとも高く、時間が経過するに従って低下する性質を持っている。一方、トマトやメロンのように、収穫後に追熟が必要な品種については、一番の食べごろに至るまでの時間の範囲では鮮度の劣化はないとするべきであるとの考え方もある。
【0028】
一旦低下した鮮度は再生することはできない。葉菜類を冷水に漬けて水を吸収させるような蘇生が行われるケースがあるが、鮮度が戻るものではないと考え、いずれにしても、鮮度の劣化は、時間と食材が置かれる環境によって決まるものと考えられる。
【0029】
食材の鮮度の変化(劣化の度合)を、経過時間と環境変数(温度や湿度等)によって定量的に表すことができれば、鮮度以外の品質も同様に扱うことができる。
そこで、鮮度の指標として鮮度劣化度を導入し、これを下記のように定義する。
鮮度劣化度=f(時間、環境条件) ここで、fは、function(関数)を意味する。
【0030】
環境条件としては、温度、湿度、振動、光、空気組成(酸素濃度、エチレン濃度)などが影響すると考えられるが、一般的には、温度の影響が大きい。そこで、経過時間と温度のみで鮮度劣化を表現できる場合には、鮮度劣化度は下式のように表される。
鮮度劣化度=f(時間、温度)
【0031】
鮮度が劣化する原因は、青果物の場合は、生命を維持するために内部に蓄えられた糖や有機酸を呼吸の基質として使用するための組成変化が原因であると言われている。また、魚類の場合は、自己消化酵素の働きでタンパク質などの分解が進行することが原因であると言われている。
【0032】
このような代謝や分解を抑制するためには、低温で保存したり、窒素を封入したりして鮮度低下を抑制することが行われている。低温で保持する場合は、低温障害を起こさない温度範囲で管理する必要があるが、その範囲内であれば温度は低いほど鮮度は長く保持される。
【0033】
代謝や分解は一種の化学反応であるが、これらの化学反応の速度は一般的に、アレニウス型の反応速度式で表されることが多い。そこで、食材の鮮度劣化速度を近似するモデル式の一つとして、次のような、0次型アレニウス式が用いられることがある。
【0034】
k=Aexp(B/T)
上記の式において、kは鮮度劣化速度定数であり、この場合には鮮度劣化速度に等しくなる。また、A、Bはパラメータ、Tは絶対温度を表す。
【0035】
また、ここでは、便宜上、一般化のために、鮮度劣化度として、表1に示すような尺度を設けることとする。
【表1】

【0036】
表1に示す鮮度劣化度(度数)は、代表的なポイントを例示したものであり、同表に示すポイント間は連続的に内挿されるものである。例えば、鮮度劣化度=1.5は、度数が0と3の中間の鮮度を意味することになる。
この場合、鮮度劣化速度定数kを表す前述のアレニウス型の式中の各パラメータA、Bは、上記鮮度劣化度の度数の尺度に合わせて、熟練者の経験や実測データから決定される。
【0037】
図2は、環境温度の違いによる鮮度劣化の傾向を模式的に示すグラフである。なお、ここでは、鮮度劣化速度の温度依存性を先述のアレニウス型の反応速度式を用いて近似してもよいし、鮮度劣化速度の近似式は、これに限定するものではなく、例えば、温度の対するn次多項式等で近似し、各項の係数(パラメータ)を表1の度数の尺度に合致するように、経験や実測データに基づいて決定してもよい。ここで、どのような近似式をモデル関数として採用するかは、ケースバイケースで判断すればよい。
【0038】
(ノードの定義)
ここでは、最適化の対象とする地域における食材輸送ネットワークの中に存在する基本拠点をノードと呼ぶ。ノードには、ソース(ソースノード)、シンク(シンクノード)、ユーティリティー(ユーティリティーノード)の3種類が存在する。
【0039】
ここで、ソースとは、食材の生産地や収獲地、或いは、食材の輸入拠点となる港のような食材の供給元となる場所を意味する。また、シンクとは、食材の消費地や、食材を最終的に加工する最終加工地、食材の輸出拠点となる港のような食材の需要先を意味する。さらに、ユーティリティーとは、ソースとシンクの間に介在して、輸送途中で食材が通過する集荷配送センター等を意味する。本実施形態における各ノードの仕様を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
表2において、それぞれのノードの数は、ソース(Source)はNsrc、シンク(Sink)はNsnk、ユーティリティー(Utility)はNutlで表している。また、この表においては、3箇所のソース(Nsrc=3)、5箇所のシンク(Nsnk=5)及び2箇所のユーティリティー(Nutl=2)が存在する場合を示している。
【0042】
各ノードの仕様は、量的なものと質的なもので決定される。量的な仕様は下記の通りとする。
Pp: p=1〜p= Nsrcの各ソースからの食材の供給量(供給能力)を表す。Ppは、ソースが生産地である場合は生産量、輸入の場合は輸入量に相当する。各ソースからは、そこで定められた供給量を超える供給はできないものとする。
【0043】
Sq: q=1〜 Nsnkの各シンクの食材消費量(消費能力)を表す。Sqは、ノードが消費地の場合は、食材の消費需要量、最終加工所の場合は、当該加工所の加工能力に相当する。各シンクにおいては、そこで定められた量以上の食材の受け入れはできないものとする。
【0044】
Mr: r=1〜 Nutlの 各ユーティリティの処理能力を表す。各ユーティリティーにおいては、そこで定められた量以上の食材の受け入れはできないものとする。
【0045】
ここで、食材量は、重量単位あるいは嵩単位で表現することが可能である。そのどちらを選択するかは、扱う食材の特徴に応じて決めることとなる。また、輸送途中で食材の含水量が多少変化するようなこともあるが、ここではソースから出荷する時点における含水量の基準で食材量を表すものとする。
【0046】
質的な仕様は下記の通りとする。
XPp: p=1〜 Nsrcの各ソースから供給される食材の出荷時の鮮度を表す。
XSq: q=1〜 Nsnkの各シンクが受け入れる食材の搬入時の最低要求鮮度(消費限界鮮度)を表す。
XMIr:r=1〜 Nutlの各ユーティリティが受け入れる食材の搬入時の最低要求鮮度(受入限界鮮度)を表す。
XMOr:r=1〜Nutlの各ユーティリティが送出する食材の搬出時の鮮度を表す。
【0047】
(ノード間輸送時間)
ここでは、各ノードの地理上の座標は固定して考える。すなわち、生産地、消費地、集荷配送センター、加工工場などは、地理上の特定の座標位置に固定されているものとする。また食材を各ノード間で輸送する際に、輸送手段別にかかる所要時間は、交通の混雑状況や天候(雪、風)等によって変動するが、ここでは食材輸送ネットワークをマクロに捉える意味で、平均的な所要時間に固定して考える。
【0048】
例1: 産地Aから消費地Bまでの100kmの距離の非保冷車輸送(冷蔵設備を装備しない)は平均時速40kmが期待できるとして、2.5時間の運航時間とし、荷の積み下ろしに平均30分要するとし、トータルの所要時間を3時間とする。
【0049】
例2:集荷配送センターPから消費地Qまでの320kmの距離の冷蔵貨物列車輸送は平均時速80kmが期待できるとして、4時間の運航時間とし、荷の積み下ろしに平均1時間要するとして、トータル所要時間を5時間とする。これらの例のように、任意のノード間の所要時間は、利用できる輸送手段ごとに定めることができる。
【0050】
(輸送に伴う鮮度劣化)
次に、前述したように、任意のノード間の各輸送手段別に決定される所要時間内に生じる鮮度劣化を求める。
【0051】
例1:前述の生産地Aから消費地Bまでの3時間の非保冷車輸送では、温度30℃であるとし、30℃における鮮度劣化速度が0.5度/hであるとすると、3時間での鮮度劣化度は1.5となる。産地Aから出荷する時点の鮮度劣化度が0.5であったとすると、消費地Bに搬入した時点の鮮度劣化度は2.0となる。
【0052】
例2:前述の配送センターPから消費地Qまでの5時間の冷蔵貨物列車輸送では、平均温度10℃での扱いであるとし、10℃における劣化速度が0.3度/hであるとすると、5時間での鮮度劣化度は1.5となる。配送センターPから搬出する時点の鮮度劣化度が2.0であったとすると、消費地Qに搬入した時点の鮮度劣化度は3.5となる。
【0053】
(変数の定義)
(1)輸送量(独立変数)
食材輸送ネットワーク上の独立変数は、各ノード間の輸送量Vである。また、輸送される食材の搬出時鮮度X、および搬入時の鮮度Yの一部は固定パラメータであるが、一部は輸送量Vに従って決定される従属変数である。
【0054】
一例として、Nsrc=3、Nsnk=3、Nutl=2の場合のノード間の輸送量変数を表3に示す。
【表3】

【0055】
表3において、例えば、V1,1,zはz番の輸送手段によってSrc,1(1番目のSource)からSnk,1(1番目のSink)への輸送量である。輸送手段は、例えば、Z=1を非保冷車輸送、Z=2を冷蔵貨物列車輸送とする。
【0056】
なお、ここではユーティリティ間の輸送は基本的にないものと想定する。しかしながら、異なるユーティリティ間の輸送は、有益な場合も考えられ、そのような場合には異なるユーティリティ間に限り、輸送量変数を定義してもよい。
【0057】
表3に定義された輸送量変数Vの数は25である。輸送手段Zの数がNzあるとすると、全部で25×Nzの変数が定義される。ここで改めて変数を定義すると、
Vi,j,z: i=1 to Nsrc+Nutl、j=1 to Nsnk+Nutl、z=1 to Nz
【0058】
上記変数で定義される輸送対象の食材の供給元は、表4のようになる。
【表4】

【0059】
また、上記変数で定義される輸送対象の食材の供給先は、表5のようになる。
【表5】

【0060】
(2)搬出時鮮度(一部従属変数)
次に、Nsrc=3、Nutl=2の場合の各ノードから搬出される食材の鮮度を表6に示す。
【表6】

【0061】
表6中において、XP1からXP3は生産地からの出荷時の鮮度であるので、固定値とすることができる。XMO1とXMO2については、それぞれのノードへの搬入時鮮度に等しいか、あるいはノード内での保持時間に伴う劣化を考慮した鮮度になる。
【0062】
3)搬入時鮮度(一部従属変数)
同様に、Nsrc=3、Nsnk=3、Nutl=2の場合のノード間で輸送される食材の輸送手段別の搬入時鮮度変数を表7に示す。
【表7】

【0063】
ここで、Y1,1,zはz番の輸送手段によってSrc,1(1番目のSource)からSnk,1(1番目のSink)へ輸送された食材の搬入時の鮮度である。前述の例1に倣うと、z=1(非保冷車)を輸送手段とする場合、鮮度は3時間の輸送中に1.5だけ劣化するので、Y1,1,1=XP1+1.5と計算される。この場合、XP1が固定値であるから、Y1,1,1も固定値となる。
【0064】
同様に、Y4,3,zはz番の輸送手段によってUtl,1(1番目のUtility)からSnk,3(3番目のSink)へ輸送された食材の搬入時の鮮度である。同様に前述の例2に倣うと、z=2(冷蔵貨物列車)を輸送手段とする場合、鮮度は5時間の輸送中に1.5だけ劣化するので、Y4,3,2=XMO1+1.5と計算される。この場合、XMO1はUtl,1への搬入状態によって変化する従属変数であるので、Y4,3,2も従属変数となる。
【0065】
ユーティリティノードに関しては、まず搬入される食材がすべてソースからのものである場合には、Src,1からSrc,3までの全てソースから、全ての輸送手段zについてYi,j,z: i=1 to Nsrc、z=1 to Nzが一意に決まる。なお、シンク及びユーティリティーの各ノードにおいては、搬入時の最低要求鮮度の基準を設けているので、鮮度がその基準を下回ってしまうルートは無効になる。
【0066】
(量的制約条件)
次に、食材輸送の変数に課せられる量的制約条件を表8に示す。
【表8】

ここで、
Σj,z (Vi,j,z)は、変数Vi,j,zをiは固定で、jとzについて足し合わせた合計値を意味する。
Σi,z (Vi,j,z)は、変数Vi,j,zをjは固定で、iとzについて足し合わせた合計値を意味する。
Σi,j, (Vi,j,z)は、変数Vi,j,zをzは固定で、iとjについて足し合わせた合計値を意味する。
【0067】
(質的制約条件)
次に、食材輸送の変数に課せられる質的制約条件を表9に示す。
【表9】

【0068】
(食材輸送ネットワーク制約条件)
食材輸送ネットワークにおける制約条件としては、例えば、集荷配送センターからのみ保冷車が利用できる等の条件を、ネットワーク制約として加味することができる。
具体的には、Vi,j,zの取り得る値の範囲を制限する。例えば、前述した表3中における特定のi,j,zの組み合わせの値を0とすることで、当ソースiとシンクj間のz手段による輸送を断つことができる。
【0069】
(目的関数)
ここでは、食材の輸送ネットワークを改善することによって得られる利益が最大になるように、最適化の目的関数を定める。
目的関数とする利益は、食材の売上高から経費(ここでは運送費用)を差し引いたものと考える。なお、加工品については、加工費を含んだ単価で売上に寄与するものとする。
【0070】
食材輸送ネットワークとしての役割は、生産地から消費地に食材を一定以上の鮮度を維持した状態で届けること、および、一部の食材については、加工を施して加工食品として販売するところまでであると想定する。
【0071】
(1)売上高
基本的に売上高は、食材の単価(価格)に販売数量を掛けたものになる。ここでは販売数量は消費地、あるいは最終加工地に到着した食材量に等しいとする。なお、食材の場合は、最終消費地において、実際には売れ残りが発生することもあり得るが、ここでは、食材輸送ネットワークとして生産された食材を最終消費地の現地販売者(小売店、卸業者等)に引き渡すまでを想定する。
【0072】
輸送した食材の価格は、目的地に到着した時点での鮮度によって評価され、鮮度が高いほど販売価格を高く設定することができるものと考えられる。そこで、食材の価格と鮮度の関係を目的地毎に次のように設定する。
【0073】
販売価格=Gj(鮮度劣化度)、j=1 to Nsnk
ここで、Gは関数を意味し、例えば、下式のような販売価格を想定することができる。
Gj=aj+(6-鮮度劣化度)×bj 円/t
j= 1to Nsnk、 aj,bjは定数。
【0074】
需要先が最終加工所であった場合、加工品の価値によって販売価格が決まるので、鮮度劣化度には関係なく価格が決まる。例えば、j=2の需要先が加工所であった場合、a2=100,000、b2=0 (加工賃込み)というように、鮮度に関係なく加工品そのものの価値が与えられることになる。
【0075】
しかし、加工に適した食材の鮮度には一定の限界が設けられることになる。こうして、食材の売上高は、Σi,j,z (Vi,j,z×Gj(Yi,j,z)) 、i=1 to Nsrc+Nutl, j=1 to Nsnk , z=1 to Nzで求められる。
【0076】
(2)運送費用
食材の輸送手段としては、トラック、貨物列車などが利用される。これらの運送費用は、単位量(1t)を単位距離(1km)運送するのに掛かる運賃の積算で計算できるものとする。
運賃= Fz、z=1 to Nz (円/t・km)
【0077】
これにより、運送手段z毎の運送費用は次式で求められる。
Fz×Σi,j (Vi,j,z) 、i=1 to Nsrc+Nutl、 j=1 to Nsnk+Nutl
したがって、トータルの運送費用は次式で求められる。
Σz (Fz×Σi,j (Vi,j,z))、 z=1 to Nz
なお、実際には、トラックや貨物列車の積み込み具合により、運賃が変動する可能性も考えられるがマクロな最適化を行うに当たっては、そのような変動は考慮しない。
【0078】
(3)目的関数
以上より、最適化の対象とする目的関数(利益)は次式のように表される。
目的関数=Σi,j,z (Vi,j,z×Gj(Yi,j,z)) -Σz (Fz×Σi,j (Vi,j,z))、i=1 to Nsrc+Nutl, j=1 to Nsnk+Nutl, z=1 to Nz
【実施例】
【0079】
次に、本発明の食材輸送ネットワーク最適化方法の実施例について説明する。なお、以下に記載している実施例は、現状に即して想定したケースであって、実際のものではない。
【0080】
(実施例1)
(A1)食材の選定
ここでは、代表的な生鮮食品としてある野菜を選定する。
(A2)鮮度劣化データの入力
ここでは、温度と鮮度劣化速度の対応関係について表10のようなデータが得られた場合を想定する。
【0081】
【表10】

【0082】
図3は、表10の温度と鮮度劣化速度との関係を片対数グラフ上にプロットして示したものである。図中の直線は、プロットデータに基づいて劣化速度と温度との関係を近似したもので、劣化速度は下記のモデル関数で近似的に算出することができる。
【0083】
鮮度劣化速度= 10^( 0.0111×温度−0.641)
この場合、非保冷車の運搬温度を30℃、保冷車の運搬温度を0℃とすると、野菜の鮮度の劣化速度はそれぞれ、0.492 度/h、0.229度/hとなる。
【0084】
(A3)輸送手段と輸送能力の入力
ここでは、輸送手段として、非保冷車と保冷車の2種類の運搬車が利用できると想定した。それぞれの最大運搬総量をt・km/d、すなわち1日当たり何トンの野菜を何キロメートル運ぶことができるかの能力として表11のように設定した。
【0085】
【表11】

ここで、これらの運搬車の運行速度は何れも平均25km/hと想定した。なお、非保冷車の運搬温度を30℃、保冷車の運搬温度を0℃とすると、それぞれの劣化速度は、前記鮮度劣化速度の式より0.492 度/h、0.229度/hとなる。
【0086】
(A4)ノードデータの入力
次に、図4は、各ノード(生産地、集荷配送センター、消費地)の位置を、座標上にプロットした状態を示すものである。ノードとしては、生産地3箇所(表12参照)、集荷配送センター2箇所(表13参照)及び消費地3箇所(表14参照)を想定した。
【0087】
【表12】

これらの生産地からは、採れたて(搬出時鮮度0)の野菜を出荷するものとした。
【0088】
【表13】

これらの集荷配送センターでは、鮮度が2以上に低下した野菜は受け入れないものとする。また、集荷配送センターへ搬入される野菜の鮮度劣化度が最も高い(最も鮮度が落ちている)ものを基準とし、センター内での積み替え時に、鮮度が0.5劣化(鮮度劣化度が0.5だけ増加)して搬出されるものとした。
【0089】
【表14】

これらの消費地では、鮮度劣化度が6以上のものは受け入れないものとした。
【0090】
次に、表15は、各ノード間の距離を表したものである。本実施例においては、各ノード間の距離は、便宜上、地理上の直線距離の1.5倍とした。
なお、現実の解析時には、現地の道路事情等を勘案して、実際の運送距離を求めて入力すればよい。
【0091】
【表15】

【0092】
また、前述したように、各運搬車の運行速度は、平均25km/hと想定したので、各ノード間の輸送所要時間は、表16のように算定される。
【表16】

【0093】
(A5)経済評価データの入力
先に述べた販売価格の算出式Gj=aj+(6-鮮度劣化度)×bj 円/t において、ここでは、全ての需要先において、a=10,000 、b=30,000 の係数が適用されると想定した。従って、鮮度劣化度毎の販売価格は、表17のように算定される。
【0094】
【表17】

【0095】
一方、運送費用については、表18のように与えられるものとする。
【表18】

【0096】
(A6)食材輸送ネットワーク制約条件
非保冷車の制約条件を表19に示す。
【表19】

同表は、集荷配送センター間の運搬は行わないことを意味する。
【0097】
次に、表20は、保冷車の制約条件を示す。
【表20】

同表は、生産地からは保冷車を使用することができないことと、収集センター間は運搬を行わないことを意味する。
【0098】
(A7)制約条件付き最適化計算の実施
以上の(A1)〜(A6)の入力データに基づいて最適化計算を実施した。ここでは、
下記の目的関数の値を最大にするように、各ノード間の輸送量(t/d)を最適化した。
目的関数:粗利=売上−運送費用
【0099】
(A8)最適解の確認
非保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表21に示す。
【表21】

【0100】
保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表22に示す。
【表22】

【0101】
生産地の搬出状況を表23に示す。
【表23】

生産地P−2と生産地P−3でロスが発生し、特に生産地P−2では、生産量の100%が無駄になっている。
【0102】
集荷配送センターの搬入搬出状況を表24に示す。
【表24】

集荷配送センターC−1は利用されていない。
【0103】
消費地への供給状況を表25に示す。
【表25】

消費地S−2と消費地S−3には、供給されていない。
【0104】
各ノードの搬出時における鮮度劣化度を表26に示す。
【表26】

【0105】
非保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表27に示す。
【表27】

【0106】
非保冷車による各ノードへの販売単価を表28に示す。
【表28】

【0107】
非保冷車による各ノードへの売り上げを表29に示す。
【表29】

【0108】
非保冷車による各ノードへの運賃を表30に示す。
【表30】

【0109】
保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表31に示す。
【表31】

【0110】
保冷車による各ノードへの販売単価を表32に示す。
【表32】

【0111】
保冷車による各ノードへの売り上げを表33に示す。
【表33】

【0112】
保冷車による各ノードへの運賃を表34に示す。
【表34】

【0113】
以上の結果、全体の粗利は表35に示すように、一日当たり、5,067,192円となった。
【表35】

【0114】
(実施例2)
前述した実施例1では食材のロスが多く、且つ消費地の需要を満たすことができなかった。そこで、本実施例においては、道路インフラが整備改善された場合を想定し、運搬車の運行速度が従前の25km/hから50km/hへ変更された場合について、前述した実施例1と同様な手順で最適化計算を行う。
【0115】
(B1)食材の選定
前述した実施例1の(A1)に準ずる。
(B2)鮮度劣化データの入力
前述した実施例1の(A2)に準ずる。
【0116】
(B3)輸送手段と輸送能力の入力
ここで、輸送手段の諸条件は、前述した実施例1の(A3)に準ずるが、運搬車の運行速度は、平均50km/hと想定した。
【0117】
(B4)ノードデータの入力
ノードの諸条件についても、実施例1の(A4)に準ずるが、運搬車の運行速度を平均平均50km/hと想定したため、各ノード間の輸送所要時間は表36のように変更される。
【表36】

【0118】
(B5)経済評価データの入力
前述した実施例1の(A5)に準ずる。
(B6)食材輸送ネットワーク制約条件の入力
前述した実施例1の(A6)に準ずる。
(B7)制約条件付き最適化計算の実施
以上の(B1)〜(B6)の入力データに基づいて最適化計算を実施した。目的関数は、実施例1の(A7)に準じて各ノード間の輸送量(t/d)を最適化した。
【0119】
(B8)最適解の確認
非保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表37に示す。
【表37】

【0120】
保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表38に示す。
【表38】

【0121】
生産地の搬出状況を表39に示す。
【表39】

運搬車の運行速度が上がったことにより、ロスが解消されている。
【0122】
集荷配送センターの搬入搬出状況を表40に示す。
【表40】

【0123】
消費地への食材の供給状況を表41に示す。
【表41】

上記の表に示すように、需要も全て満たされている。
【0124】
各ノードの搬出時鮮度劣化度を表42に示す。
【表42】

【0125】
非保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表43に示す。
【表43】

【0126】
非保冷車による各ノードへの販売単価を表44に示す。
【表44】

【0127】
非保冷車による各ノードへの売り上げを表45に示す。
【表45】

【0128】
非保冷車による各ノードへの運賃を表46に示す。
【表46】

【0129】
保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表47に示す。
【表47】

【0130】
保冷車による各ノードへの販売単価を表48に示す。
【表48】

【0131】
保冷車による各ノードへの売り上げを表49に示す。
【表49】

【0132】
保冷車による各ノードへの運賃を表50に示す。
【表50】

【0133】
以上の結果、全体の粗利は表51に示すように、一日当たり、11,434,781円となった。
【表51】

【0134】
(実施例3)
ここでは、保冷車が生産地からの搬出から使用できるようになった場合を想定する。
(C1)食材の選定
前述した実施例1の(A1)に準ずる。
(C2)鮮度劣化データの入力
前述した実施例1の(A2)に準ずる。
(C3)輸送手段と輸送能力の入力
前述した実施例1の(A3)に準ずる。
(C4)ノードデータの入力
前述した実施例1の(A4)に準ずる。
(C5)経済評価データの入力
前述した実施例1の(A5)に準ずる。
【0135】
(C6)食材輸送ネットワーク制約条件の入力
非保冷車については、前述した実施例1の(A6)に準する。また、保冷車の食材輸送ネットワーク制約条件については表52に示す。
【0136】
【表52】

上記の制約は、集荷配送センター間の運搬を行わないことは、実施例1と同じであるが、食材を生産地から直接保冷車で搬出できるようになったことを意味する。
【0137】
(C7)制約付き最適化計算の実施
以上の(C1)〜(C6)の入力データに基づいて、最適化計算を実施した。目的関数は、実施例1の(A7)に準じて各ノード間の輸送量(t/d)を最適化した。
【0138】
(C8)最適解の確認
非保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表53に示す。
【表53】

【0139】
保冷車の最適化された各ノード間輸送量を表54に示す。
【表54】

【0140】
生産地の搬出状況を表55に示す。
【表55】

上記の表に示すように、本実施例の場合には、生産地P−2でロスが発生している。
【0141】
集荷配送センターの搬入搬出状況を表56に示す。
【表56】

【0142】
消費地への供給状況を表57に示す。
【表57】

この場合には、消費地S−3への搬入が無くなっている。
【0143】
各ノードの搬出時鮮度劣化度を表58に示す。
【表58】

【0144】
非保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表59に示す。
【表59】

【0145】
非保冷車による各ノードへの販売単価を表60に示す。
【表60】

【0146】
非保冷車による各ノードへの売り上げを表61に示す。
【表61】

【0147】
非保冷車による各ノードへの運賃を表62に示す。
【表62】

【0148】
保冷車による各ノードへの搬入時鮮度劣化度を表63に示す。
【表63】

【0149】
保冷車による各ノードへの販売単価を表64に示す。
【表64】

【0150】
保冷車による各ノードへの売り上げを表65に示す。
【表65】

【0151】
保冷車による各ノードへの運賃を表66に示す。
【表66】

【0152】
以上の結果、全体の粗利は表67に示すように、一日当たり、9,757,695円となった。
【表67】

【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の食材輸送ネットワーク最適化方法は、特定された地域内における生産地から消費地への食材輸送手段の種類や能力の制約の中で、最適な経済性を達成しつつ、生産された食材ロスや消費地における供給不足の低減に向けて、輸送手段の強化や改善の定量的な指針を提供する方法として有効に利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、最適化の対象として選定した食材の鮮度劣化速度を定義したモデル関数を入力するステップと、
前記コンピュータに、前記食材の運搬に利用する輸送手段の種類毎に、最大輸送能力、平均速度及び運搬時の食材温度を入力するステップと、
前記コンピュータに、食材の供給元となるソースノードの位置、当該ノードにおける食材の供給量及び搬出時における食材の鮮度劣化度を入力するステップと、
前記コンピュータに、食材の集荷配送センターとなるユーティリティーノードの位置、当該ノードにおける受入時の食材の鮮度劣化度の上限値及びノード内での食材の鮮度劣化度の増加値を入力するステップと、
前記コンピュータに、食材の需要先となるシンクノードの位置、当該ノードにおける食材の需要量及び受入時の食材の鮮度劣化度の上限値を入力するステップと、
前記コンピュータに、鮮度劣化度に応じて定められた食材の販売価格を入力するステップと、
前記コンピュータに、輸送手段の種類毎に運送費用を入力するステップと、
前記コンピュータに、輸送手段の種類毎に各ノード間における制約条件を入力するステップと、
前記コンピュータに、各ノード間の食材の輸送量を最適化変数とし、シンクノードにおける全体の売上高から全体の運送費用を減じて得られる総利益を目的関数として、前記各ステップで入力された各条件の下で、前記目的関数を最大値にするような、輸送手段の種類毎の各ノード間の輸送量を算出させるステップからなることを特徴とする食材輸送ネットワーク最適化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−138000(P2012−138000A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290852(P2010−290852)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)
【出願人】(503142980)有限会社シミュレーション・テクノロジー (2)