説明

食鳥屠体の脱羽装置

【課題】 回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを備える食鳥屠体の脱羽装置であって、棒材が届かない領域が従来に比べて狭い脱羽装置を提供する。
【解決手段】 回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第1脱羽フィンガー列と、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食鳥屠体の脱羽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食鳥屠体の脱羽装置として、横方向に整列して同軸に配設された複数の回転体の周側面に周方向に互いに間隔を隔てて複数の弾性体の棒材を放射状に立設したドラムを、平行に一対配設し、前記一対のドラムの間にシャックルに懸架した食鳥を通し、棒材を食鳥屠体に対して上下方向に接触させて脱羽する装置が、特許文献1に開示されている。
図1、2に示すように、回転円板1aの片面に弾性体の棒材2aを複数立設した脱羽フィンガー3aを、棒材2aを同一方向へ差し向け且つ回転円板1aを同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第1脱羽フィンガー列4aと、回転円板1bの片面に弾性体の棒材2bを複数立設した脱羽フィンガー3bを、棒材2bを同一方向へ差し向け且つ回転円板1bを同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第2脱羽フィンガー列4bとを、棒材2a、2bを同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体5を、向かい合わせに一対配設し、前記一対の脱羽フィンガー集合体5の間にシャックル6に懸架した食鳥Sを通し、棒材2a、2bを食鳥屠体Sに対して上下左右方向に接触させて脱羽する装置も、従来から使用されている。図1の装置は、棒材2a、2bが食鳥屠体Sに接触する方向に多様性がある点で、脱羽効率が特許文献1の装置に比べて高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−074990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1、2の装置には、第1脱羽フィンガー列4aの脱羽フィンガー3aと第2脱羽フィンガー列4bの脱羽フィンガー3bとが上下に整列しているので、図2でハッチングを施した、棒材2a、2bの届かない領域が比較的広いという問題がある。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第1脱羽フィンガー列と、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第2脱羽フィンガー列とを、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設した、食鳥屠体の脱羽装置であって、棒材が届かない領域が従来に比べて狭い脱羽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第1脱羽フィンガー列と、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設したことを特徴とする食鳥屠体の脱羽装置を提供する。
本発明に係る食鳥屠体の脱羽装置においては、第1脱羽フィンガー列と第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、上下に隣接して平行に配設したので、棒材の届かない領域が従来に比べて狭い。この結果脱羽効率が向上する。
【0006】
本発明においては、大径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した大径脱羽フィンガーと、小径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した小径脱羽フィンガーとを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第1脱羽フィンガー列と、大径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した大径脱羽フィンガーと、小径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した小径脱羽フィンガーとを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設したことを特徴とする食鳥屠体の脱羽装置を提供する。
本発明に係る食鳥屠体の脱羽装置においては、大径脱羽フィンガーと小径脱羽フィンガーとを交互に配設して第1脱羽フィンガー列と第2脱羽フィンガー列とを形成しており、且つ、第1脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、第1脱羽フィンガー列と第2脱羽フィンガー列とを上下に隣接して平行に配設したので、棒材の届かない領域が従来に比べて狭い。この結果脱羽効率が向上する。
【0007】
本発明の好ましい態様においては、第1脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面と、第2脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面とが、所定の角度を成して交差する。
第1脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面と、第2脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面とを、所定の角度を成して交差させることにより、食鳥屠体の胴部外形が形成する曲面に添って脱羽フィンガーを配設することができ、脱羽効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】従来の食鳥屠体の脱羽装置を食鳥の搬送方向から見た図である。
【図2】図1のII−II矢視図である。
【図3】本発明の実施例に係る食鳥屠体の脱羽装置を食鳥の搬送方向から見た図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】図3のV−V矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例に係る食鳥屠体の脱羽装置を説明する。
図3、4に示すように、大径回転円板11aの片面にゴム製の棒材12aを複数立設した大径脱羽フィンガー13aと、小径回転円板11a’の片面にゴム製のの棒材12a’を複数立設した小径脱羽フィンガー13a’とを、棒材12a、12a’を同一方向へ差し向け且つ回転円板11a、11a’を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第1脱羽フィンガー列14aと、大径回転円板11bの片面にゴム製の棒材12bを複数立設した大径脱羽フィンガー13bと、小径回転円板11b’の片面にゴム製の棒材12b’を複数立設した小径脱羽フィンガー13b’とを、棒材12b、12b’を同一方向へ差し向け且つ回転円板11b、11b’を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列14bとを、第1脱羽フィンガー列14aの大径脱羽フィンガー13aに対して第2脱羽フィンガー列14bの大径脱羽フィンガー13bが千鳥配置となるように、ひいては第1脱羽フィンガー列14aの小径脱羽フィンガー13a’に対して第2脱羽フィンガー列14bの小径脱羽フィンガー13b’が千鳥配置となるように、棒材12a、12a’、12b、12b’を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体15を、隙間を隔てて向かい合わせに一対配設している。
【0010】
各脱羽フィンガー集合体15の脱羽フィンガー13a、13a’、13b、13b’の駆動軸16は、それぞれ支持部材の側板17を貫通すると共に、側板17の裏面に固定されたボス部材18に挿通され、軸受19を介して回転可能にボス部材18によって支持されている。ボス部材18から突出した駆動軸16の端部に、プーリー20が固定されている。
図5に示すように、無端ベルト21aが第1脱羽フィンガー列14aに属する全ての脱羽フィンガーのプーリー20に千鳥状に作動係合すると共に、図示しないモータの出力軸22aに作動係合している。同様に、無端ベルト21bが第1脱羽フィンガー列14bに属する全ての脱羽フィンガーのプーリー20に千鳥状に作動係合すると共に、図示しないモータの出力軸22bに作動係合している。
【0011】
上記構成を有する本実施例に係る食鳥屠体の脱羽装置においては、図示しないモータが回転し、無端ベルト21a、21bを介して第1脱羽フィンガー列14a、第2脱羽フィンガー列14bに属する脱羽フィンガーの駆動軸を回転駆動し、ひいては第1脱羽フィンガー列14a、第2脱羽フィンガー列14bに属する脱羽フィンガー13a、13a’、 13b、13b’を回転駆動する。
一対の脱羽フィンガー集合体15の間にシャックル6に懸架した食鳥Sを通し、棒材12a、12b、12a’、12b’を食鳥屠体Sに対して上下左右方向に接触させて脱羽する。
【0012】
本実施例に係る食鳥屠体の脱羽装置においては、大径脱羽フィンガー13aと小径脱羽フィンガー13a’とを交互に配設して第1脱羽フィンガー列14aを形成し、大径脱羽フィンガー13bと小径脱羽フィンガー13b’とを交互に配設して第2脱羽フィンガー列14bを形成しており、且つ、第1脱羽フィンガー列14aの大径脱羽フィンガー13aに対して第2脱羽フィンガー列14bの大径脱羽フィンガー13bが千鳥配置となるように、第1脱羽フィンガー14a列と第2脱羽フィンガー列14bとを上下に隣接して平行に配設したので、図4から分かるように、第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーと第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーとが上下に整列した従来の脱羽装置に比べて、第1脱羽フィンガー列14aの大径脱羽フィンガー13aと第2脱羽フィンガー列14bの大径脱羽フィンガー13bとの間の上下間隔が狭まり、且つ第1脱羽フィンガー列14aの大径脱羽フィンガー13aと、当該大径脱羽フィンガー13aに近接する第2脱羽フィンガー列14bの二つの大径脱羽フィンガー13bとの間の隙間に、第2脱羽フィンガー列14bの小径脱羽フィンガー13b’が嵌まり込み、第2脱羽フィンガー列14bの大径脱羽フィンガー13bと、当該大径脱羽フィンガー13bに近接する第1脱羽フィンガー列14aの二つの大径脱羽フィンガー13aとの間の隙間に、第1脱羽フィンガー列14aの小径脱羽フィンガー13a’が嵌まり込んで、脱羽フィンガーの棒材が届かない領域が従来に比べて狭まり、脱羽効率が従来に比べて向上している。
【0013】
上記実施例では、図3から分かるように、第1脱羽フィンガー列14aに属する回転円板11a、11a’が含まれる平面と第2脱羽フィンガー列14bに属する回転円板11b、11b’が含まれる平面とを同一平面としたが、両平面を所定の角度を成して、より具体的には棒材12a、12a’、12b、12b’が含まれる側に所定の鈍角を形成するように、交差させても良い。食鳥屠体の胴部外形が形成する曲面に添って脱羽フィンガーを配設することができ、脱羽効率が向上する。
上記実施例では、脱羽フィンガー列を大径脱羽フィンガーと小径脱羽フィンガーとで構成したが、同一径の複数の脱羽フィンガーで構成した第1脱羽フィンガー列と、同一径の複数の脱羽フィンガーで構成した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列に属する脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列に属する脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、上下に隣接して平行に配設して脱羽フィンガー集合体を形成しても良い。
第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーと第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーとが上下に整列した従来の脱羽装置に比べて、第1脱羽フィンガー列に属する脱羽フィンガーと第2脱羽フィンガー列に属する脱羽フィンガーとの間の上下間隔が狭まり、脱羽フィンガーの棒材が届かない領域が狭まり、脱羽効率が向上する。
【0014】
各脱羽フィンガー列に属する脱羽フィンガーの数は任意に設定可能である。
脱羽フィンガー集合体に属する脱羽フィンガー列の段数は3段以上でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、食鳥屠体の脱羽に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0016】
2a、2b 棒材
3a、3b 脱羽フィンガー
4a 第1脱羽フィンガー列
4b 第2脱羽フィンガー列
5 脱羽フィンガー集合体
6 シャックル
12a、12a’、12b、12b’ 棒材
13a、13b 大径脱羽フィンガー
13a’、13b’ 小径脱羽フィンガー
14a 第1脱羽フィンガー列
14b 第2脱羽フィンガー列
15 脱羽フィンガー集合体
16 駆動軸
20 プーリー
21a、21b 無端ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した、第1脱羽フィンガー列と、回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した脱羽フィンガーを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設したことを特徴とする食鳥屠体の脱羽装置。
【請求項2】
大径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した大径脱羽フィンガーと、小径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した小径脱羽フィンガーとを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第1脱羽フィンガー列と、大径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した大径脱羽フィンガーと、小径回転円板の片面に弾性体の棒材を複数立設した小径脱羽フィンガーとを、棒材を同一方向へ差し向け且つ回転円板を同一平面内に延在させて交互に横方向に整列して複数配設した第2脱羽フィンガー列とを、第1脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーに対して第2脱羽フィンガー列の大径脱羽フィンガーが千鳥配置となるように、棒材を同一方向へ差し向けて上下に隣接して平行に配設した脱羽フィンガー集合体を、向かい合わせに一対配設したことを特徴とする食鳥屠体の脱羽装置。
【請求項3】
第1脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面と、第2脱羽フィンガー列に属する回転円板が含まれる平面とが、所定の角度を成して交差することを特徴とする請求項1に記載の食鳥屠体の脱羽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−268719(P2010−268719A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122754(P2009−122754)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(504225356)プライフーズ株式会社 (8)