説明

飲料サーバー

【課題】熱水循環を自動的に行って各部の衛生状態を常に良好に維持することができ、小型軽量化と製造コスト低減も可能とする飲料サーバーを提供する。
【解決手段】飲料容器2に接続される接続部3と、接続部の下方に配置された低温タンク5と、低温タンクの下方に配置された高温タンク6と、低温タンクに設置された冷却器53と、高温タンクに設置された加熱器63と、低温タンク内の飲料を注出するための低温飲料注出コック51と、高温タンク内の飲料を注出するための高温飲料注出コック61と、低温タンクの下部と高温タンクの上部とを接続する接続配管43と、接続配管に設けられた開閉弁44と、接続部と低温タンクとを接続する第1飲料配管41と、接続部と高温タンクの下部とを接続する第2飲料配管42と、冷却器による冷却動作の入切と開閉弁の開閉を制御して、高温タンク内の高温飲料を各部に循環させる制御部7とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料水等の飲料を冷却および加熱して貯留し、それらの飲料を注出する飲料サーバーに関するものであり、さらに詳しくは、飲料サーバー内の各部の衛生状態を常に良好に維持することができ、小型軽量化が可能で安価に製造できる飲料サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミネラルウォーター等の飲料水を冷却して冷水としたものと、加熱して熱水としたものを注出可能な飲料サーバーは公知である。このような飲料サーバーにおいて、細菌等の繁殖を防止するには、飲料水の供給源としてBIB(バッグ・イン・ボックス)タイプなどの密封容器を使用することが好ましい。BIBとは、紙製の箱内に柔軟樹脂からなる袋状容器が配置されたものである。BIB容器では、工場において十分に除菌・殺菌された飲料がBIB容器に充填され、内部が密封状態に保たれて最終消費地まで運搬される。このため、最終消費地に到達するまでBIB容器内の飲料に細菌等が侵入することがない。
【0003】
上記のような飲料サーバーとしては、例えば、下記の特許文献1に記載されたような技術が公知である。特許文献1には、BIBタイプの飲料容器を配置して、その飲料容器から冷水および熱水用の飲料を供給するようにした飲料サーバーが記載されている。この飲料サーバーでは、高温タンクに殺菌用配管が接続されており、循環用ポンプにより高温タンク内の熱水を各部の配管に循環させて各部の殺菌処理が行われる。また、このような殺菌処理としての熱水循環を行わず、単に飲料容器の飲料水を冷水および熱水として注出するだけの飲料サーバーも存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−21893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱水循環を行わない従来の飲料サーバーは、熱水側の供給経路には比較的問題が少ないが、冷水側のタンクおよび供給路には、細菌が発生しやすいという問題点があった。そのため、特に冷水側のタンクおよび供給路の除菌処理等を頻繁に行う必要があった。これにより、メインテナンスに時間とコストがかかり、飲料サーバーのランニングコストの上昇を招いていた。また、メインテナンスを怠ると飲用に適さない飲料が注出されてしまうおそれもあった。
【0006】
また、熱水循環を行うようにした飲料サーバーでは、循環用ポンプにより高温タンク内の熱水を各部の配管に循環させているため、循環用ポンプが必要となり、また、循環用ポンプを定期的に動作させるための制御部の制御動作も複雑なものとなっていた。このため、飲料サーバーが大型化して重量も増大してしまい、飲料サーバーの製造コストも増大してしまうという問題点があった。
【0007】
また、循環用ポンプによって加圧して熱水循環を行うので、熱水循環時にどうしても飲料容器内にも熱水が混入して飲料容器内の飲料の温度が上昇してしまうという問題点もあった。そのため熱水循環の終了後からしばらくの期間は冷水の温度が上昇してしまい、適温の冷水が注出されるまでにはかなりの待ち時間を要してしまう。この待ち時間を短縮するために、飲料容器全体を冷却室に収納するようにした飲料サーバーもあるが、その場合も、飲料サーバーが大型化して重量も増大し、さらには製造コストも増大してしまうという問題点は残る。
【0008】
そこで、本発明は、熱水循環を自動的に行うことによって各部の衛生状態を常に良好に維持することができ、ランニングコストを減少させることのできる飲料サーバーを提供することを目的とする。また、小型軽量化が可能であるとともに安価に製造できる飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の飲料サーバーは、飲料容器に接続される接続部と、前記接続部の下方に配置され、前記飲料容器から流出された飲料を冷却した状態で貯留する低温タンクと、前記低温タンクの下方に配置され、前記飲料容器から流出された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンクと、前記低温タンクに設置された冷却器と、前記高温タンクに設置された加熱器と、前記低温タンク内の飲料を注出するための低温飲料注出コックと、前記高温タンク内の飲料を注出するための高温飲料注出コックと、前記低温タンクの下部と前記高温タンクの上部とを接続する接続配管と、前記接続配管に設けられた開閉弁と、前記接続部と前記低温タンクとを接続する第1飲料配管と、前記接続部と前記高温タンクの下部とを接続する第2飲料配管と、前記冷却器による冷却動作の入切と前記開閉弁の開閉を制御して、前記高温タンク内の高温飲料を前記低温タンク、第1飲料配管および第2飲料配管を介して循環させ、また、その循環を停止させる制御部とを有するものである。
【0010】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記第2飲料配管は、放熱性の大きなものであることが好ましい。
【0011】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記低温飲料注出コックと前記低温タンクとを接続する配管に設けられた第2加熱器を有し、前記制御部は、高温飲料の循環動作を開始する場合には、前記冷却器による冷却動作を停止させ、前記開閉弁を開状態とするとともに、前記第2加熱器による加熱動作を開始させるものであり、高温飲料の循環動作を停止する場合には、前記冷却器による冷却動作を開始させ、前記開閉弁を閉状態とするとともに、前記第2加熱器による加熱動作を停止させるものであることが好ましい。
【0012】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記高温タンクは、上面に蒸気抜き用の蒸気孔が設けられたものであり、前記蒸気孔と前記第2飲料配管とを接続する蒸気配管を有することが好ましい。
【0013】
また、上記の飲料サーバーにおいて、前記飲料容器は、合成樹脂からなるボトルとすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成されているので、次のような効果を奏する。
【0015】
本発明の飲料サーバーによれば、各部の殺菌処理のための定期的な熱水循環動作を自動的に実行することができ、飲料サーバー内の各部の衛生状態を常に良好に維持することができる。そして、そのためのメインテナンスコストおよびランニングコストを低減させることができる。また、熱水循環動作に循環用ポンプを必要とせず、飲料サーバーを小型軽量化できるとともに製造コストを大幅に低減させることができる。さらに、熱水循環動作を熱対流によって行うようにしたので、熱水循環動作を行っても飲料容器内の飲料の温度はほとんど変化しない。このため、熱水循環動作が終了して通常動作に戻った際に、短時間で適温の冷水が注出されるようになる。また、飲料容器全体を冷却するための冷却室も必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す概略図である。
【図2】図2は、飲料サーバー1の通常動作時の飲料の流通経路を示す図である。
【図3】図3は、飲料サーバー1の殺菌動作時の飲料の流通経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは飲料としては、ミネラルウォーター等の飲料水を例にとって説明する。図1は、本発明の飲料サーバー1の全体構成を示す概略図である。ここでは飲料サーバー1の各部の接続状態を明示するために、飲料サーバー1の本体部カバー等の表示を省略している。飲料サーバー1の最上部には接続部3が配置されている。その接続部3には、口部22を下方に向けた飲料容器2が接続されている。
【0018】
飲料容器2としては、例えば、図示のようなBIB(バッグ・イン・ボックス)タイプの容器が使用できる。BIBとは、紙製の外箱内に柔軟樹脂からなる袋状容器21が配置されたものである。BIB容器では、工場において十分に除菌・殺菌された飲料が袋状容器21に充填され、内部が密封状態に保たれて最終消費地まで運搬される。このため、最終消費地に到達するまでBIB容器内の飲料に細菌等が侵入することはない。なお、飲料容器2としては、BIB容器以外のもの(例えば、合成樹脂製透明ボトル等)を使用することも可能である。
【0019】
飲料容器2は、口部22が下方に向くように倒立状態とされ、その口部22が接続部3に接続される。口部22が接続部3に接続されると、飲料容器2内の飲料が接続部3から飲料サーバー1の各部に流出可能となる。接続部3の下方には低温タンク5が配置されている。そして、その低温タンク5の下方には高温タンク6が配置されている。接続部3と低温タンク5は第1飲料配管41によって接続されており、接続部3と高温タンク6は第2飲料配管42によって接続されている。
【0020】
低温タンク5は飲料を冷水としての適温(例えば、5〜7℃以下)を保持した状態で貯留するためのものである。また、高温タンク6は飲料をほぼ一定の高温(例えば、80〜90℃)に保った状態で貯留するためのものである。飲料容器2から供給された飲料は、接続部3の下方で2つに分岐し、第1飲料配管41を介して低温タンク5に流入するとともに、第2飲料配管42を介して高温タンク6に流入する。
【0021】
低温タンク5には冷却器53が設けられており、低温タンク5内の飲料を適温に冷却している。また、この冷却器53には冷却装置54によって低温に冷却された冷媒が供給される。冷却装置54は制御部7によってオン・オフ制御されている。低温タンク5には温度センサが設けられており、低温タンク5内の飲料が適温となるように制御部7によって制御されている。
【0022】
高温タンク6の内部には加熱器63が設けられている。加熱器63は、飲料を加熱してその温度を高温に保つためのものである。高温タンク6にも温度センサが設けられており、高温タンク6内の飲料がほぼ一定の高温を保つように制御部7によって加熱器63が制御されている。
【0023】
低温タンク5内の飲料は配管52を介して冷水コック51に供給される。冷水コック51のレバーを操作して開状態とすると、低温の冷水が冷水コック51から注出される。冷水コック51から冷水が注出されると、同量の飲料が飲料容器2から低温タンク5内に導入される。このように、低温タンク5内は常に満水状態となっている。なお、低温タンク5の周囲は断熱部材によって包囲されており、低温タンク5を外部から熱的に遮断している。
【0024】
なお、低温タンク5内部の上面近傍には整流板56が設けられている。第1飲料配管41から低温タンク5に飲料が流入する際に、飲料は整流板56によって流れの向きを低温タンク5外周方向に変更される。さらに飲料は低温タンク5の外壁に沿って下降する。低温タンク5の外壁は冷却器53によって低温に冷却されているので、流入した飲料も外壁を介して効率よく冷却される。低温タンク5内部ではその下部の飲料がほぼ一定の低温となるように保たれており、その適温の飲料が冷水コック51に供給される。
【0025】
冷水コック51と低温タンク5を接続する配管52には外周を包囲するように加熱ジャケット55が設けられている。殺菌処理のために定期的に行われる熱水循環状態において、配管52には熱水が循環されないため、加熱ジャケット55によって配管52を加熱して殺菌処理を行う。加熱ジャケット55のオン・オフ制御は制御部7によって行われる。飲料サーバー1の通常の動作状態では、加熱ジャケット55はオフとされ加熱は行われない。熱水循環状態では、加熱ジャケット55がオンとされ、配管52を加熱殺菌する。
【0026】
高温タンク6内の飲料は配管62を介して熱水コック61に供給される。熱水コック61のレバーを操作して開状態とすると、高温の熱水が熱水コック61から注出される。熱水コック61から熱水が注出されると、同量の飲料が飲料容器2から高温タンク6内に導入される。このように、高温タンク6内は常に満水状態となっている。高温タンク6の周囲も断熱部材によって包囲されており、高温タンク6を外部から熱的に遮断している。なお、高温タンク6の下面側には、非使用時に低温タンク5および高温タンク6内の飲料を完全に排出するための排水パイプ65および排水弁66が設けられている。
【0027】
飲料は第2飲料配管42を通って高温タンク6に供給されるが、第2飲料配管42は高温タンク6の下部位置で高温タンク6に接続されている。高温タンク6の下部から流入した飲料は加熱器63によって加熱されて高温となり、高温タンク6の上部に上昇する。高温タンク6内部ではその上部の飲料がほぼ一定の高温となるように保たれており、その適温の飲料が熱水コック61に供給される。
【0028】
低温タンク5の下面側と高温タンク6の上面側は、接続配管43によって互いに連結されている。接続配管43には開閉弁44が設けられている。開閉弁44は、制御部7によって開閉制御可能なものであり、電磁開閉弁等が好ましい。開閉弁44を開状態とすると、低温タンク5と高温タンク6の間で、接続配管43を介して飲料が流通可能となる。開閉弁44を閉状態とすると、低温タンク5と高温タンク6の間は遮断される。飲料サーバー1の通常の動作状態では、開閉弁44が閉状態とされている。殺菌処理のために定期的に行われる熱水循環状態では、開閉弁44が開状態とされる。
【0029】
また、高温タンク6の上面には、水蒸気が排出できる程度の小径の蒸気孔64が設けられている。高温タンク6の内部には加熱により水蒸気が発生して上部に溜まってしまうので、高温タンク6を常に満水状態に保つためにこの水蒸気を高温タンク6から排出する必要がある。この蒸気孔64は蒸気配管45によって第2飲料配管42に接続されている。蒸気孔64から高温タンク6の外部に排出された水蒸気は、さらに蒸気配管45、第2飲料配管42を通って飲料容器2の内部に流入する。
【0030】
次に、飲料サーバー1の通常動作状態と、定期的に一定時間行う熱水循環状態について説明する。図2は、飲料サーバー1の通常動作状態におけるの飲料の流通経路を示す図である。通常動作状態では、低温タンク5内で適温に冷却された冷水が冷水コック51から注出可能であり、高温タンク6で適温に加熱された熱水が熱水コック61から注出可能である。この通常動作状態では、制御部7によって開閉弁44が閉状態とされており、低温タンク5と高温タンク6の間は遮断されている。また、加熱ジャケット55はオフとされている。
【0031】
そして、制御部7によって冷却装置54がオン・オフ制御され、低温タンク5内の飲料が適温となるように温度制御されている。例えば、飲料の温度を5〜7℃に維持する場合、飲料温度が7℃を超えると冷却装置54をオンとして、飲料温度が5℃未満になると冷却装置54をオフとするように制御が行われる。
【0032】
さらに、制御部7によって加熱器63がオン・オフ制御され、高温タンク6内の飲料が適温となるように温度制御されている。例えば、飲料の温度を80〜90℃に維持する場合、飲料温度が80℃未満になると加熱器63をオンとして、飲料温度が90℃を超えると加熱器63をオフとするように制御が行われる。
【0033】
この通常動作状態では、飲料容器2から流出した飲料は、矢印で示すように第1飲料配管41と第2飲料配管42とに分岐し、それぞれ低温タンク5と高温タンク6とに流入する。低温タンク5に流入した飲料は、整流板56によって低温タンク5の外壁に沿って下降し、そして、適温に冷却された飲料が配管52を通って冷水コック51から注出される。また、第2飲料配管42から高温タンク6の下部に流入した飲料は、加熱器63によって適温に加熱され、配管62を通って熱水コック61から注出される。加熱時に発生した水蒸気は、点線矢印で示すように蒸気孔64から蒸気配管45を通って排出される。
【0034】
図3は、飲料サーバー1の熱水循環時の飲料の流通経路を示す図である。熱水循環動作は、飲料サーバー1各部の殺菌処理を行い各部を清浄状態に保つために、定期的に一定時間実施される。タイマ設定により、最も使用頻度の少ない時間帯(例えば、深夜2〜3時)に熱水循環動作を開始して一定時間(例えば、40分)継続し、その後、熱水循環動作を終了して通常動作に戻る。この熱水循環動作は、毎日、自動的に実施することができる。また、熱水循環動作を随時手動によって開始および停止させることもできる。
【0035】
熱水循環動作の開始時には、制御部7によって、冷却装置54をオフとするとともに、開閉弁44を開状態とする。これにより、冷却器53による冷却動作は停止され、低温タンク5と高温タンク6の間の接続配管43を飲料が通過することが可能となる。さらに、制御部7によって、加熱ジャケット55がオンとされ配管52が加熱される。また、加熱器63のオン・オフ制御は通常動作時と同様になされており、高温タンク6内の飲料はほぼ一定の高温(80〜90℃)に保たれている。
【0036】
開閉弁44が開状態となっているため、加熱されて膨張し密度の低下した高温飲料は、矢印で示すように接続配管43を通って上昇する。高温飲料はさらに低温タンク5から第1飲料配管41および第2飲料配管42を介して循環し、高温タンク6の下部に戻ってくる。これは熱対流による循環である。また、第2飲料配管42は、放熱性が大きくなるように、熱伝導率の大きな材料(例えば、銅、アルミニウムなど)が使用される。さらに、第2飲料配管42の外周に放熱フィンなどの放熱用構造を設けてもよい。第2飲料配管42の放熱作用により、第2飲料配管42中の飲料が冷却され密度が増大する。これにより熱対流の循環作用が増大される。
【0037】
熱水循環時の飲料サーバー1における各部での飲料の実際の温度は次のようであった。高温タンク6上部の飲料温度は80〜90℃、低温タンク5での飲料温度は約70℃、接続部3下方の配管分岐部での飲料温度は約65℃、第2飲料配管42から高温タンク6下部への接続部近傍での飲料温度は約55℃であった。
【0038】
このように熱水循環時には、高温飲料が、高温タンク6→接続配管43→低温タンク5→第1飲料配管41→第2飲料配管42→高温タンク6と循環して、各部の殺菌処理を行う。この循環は熱対流による自然な循環であり、循環ポンプなどの加圧機器を必要としない。また、高温の飲料を加圧せずに循環させるので、高温飲料が飲料容器2内に進入せず、飲料容器2内の飲料の温度はほとんど変化しない。このため、熱水循環動作が終了して通常動作に戻った際に、短時間で適温の冷水が注出されるようになる。
【0039】
なお、高温飲料の循環経路には配管52が含まれていないため、配管52は加熱ジャケット55によって加熱し殺菌処理を行う。以上のような熱水循環動作を一定時間継続し、その後、熱水循環動作を終了して通常動作に戻る。熱水循環動作の継続時間は40分程度で十分である。
【0040】
以上のように、本発明の飲料サーバー1によれば、各部の殺菌処理のための定期的な熱水循環動作を自動的に実行することができ、飲料サーバー内の各部の衛生状態を常に良好に維持することができる。そして、そのためのメインテナンスコストおよびランニングコストを低減させることができる。また、熱水循環動作に循環用ポンプを必要とせず、飲料サーバーを小型軽量化できるとともに製造コストを大幅に低減させることができる。さらに、熱水循環動作を熱対流によって行うようにしたので、熱水循環動作を行っても飲料容器2内の飲料の温度はほとんど変化しない。このため、熱水循環動作が終了して通常動作に戻った際に、短時間で適温の冷水が注出されるようになる。また、飲料容器2全体を冷却するための冷却室も必要としない。
【0041】
なお、以上の説明では、飲料容器2をBIB容器としているが、本発明は飲料容器として任意のものが使用できる。飲料容器は、例えば、合成樹脂製の透明ボトルであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、熱水循環を自動的に行うことによって各部の衛生状態を常に良好に維持することができ、ランニングコストを減少させることのできる飲料サーバーを提供できる。その飲料サーバーは、小型軽量化が可能であり、安価に製造できる。
【符号の説明】
【0043】
1 飲料サーバー
2 飲料容器
3 接続部
5 低温タンク
6 高温タンク
7 制御部
21 袋状容器
22 口部
41 第1飲料配管
42 第2飲料配管
43 接続配管
44 開閉弁
45 蒸気配管
51 冷水コック
52 配管
53 冷却器
54 冷却装置
55 加熱ジャケット
56 整流板
61 熱水コック
62 配管
63 加熱器
64 蒸気孔
65 排水パイプ
66 排水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器(2)に接続される接続部(3)と、
前記接続部(3)の下方に配置され、前記飲料容器(2)から流出された飲料を冷却した状態で貯留する低温タンク(5)と、
前記低温タンク(5)の下方に配置され、前記飲料容器(2)から流出された飲料を加熱した状態で貯留する高温タンク(6)と、
前記低温タンク(5)に設置された冷却器(53)と、
前記高温タンク(6)に設置された加熱器(63)と、
前記低温タンク(5)内の飲料を注出するための低温飲料注出コック(51)と、
前記高温タンク(6)内の飲料を注出するための高温飲料注出コック(61)と、
前記低温タンク(5)の下部と前記高温タンク(6)の上部とを接続する接続配管(43)と、
前記接続配管(43)に設けられた開閉弁(44)と、
前記接続部(3)と前記低温タンク(5)とを接続する第1飲料配管(41)と、
前記接続部(4)と前記高温タンク(6)の下部とを接続する第2飲料配管(42)と、
前記冷却器(53)による冷却動作の入切と前記開閉弁(44)の開閉を制御して、前記高温タンク(6)内の高温飲料を前記低温タンク(5)、第1飲料配管(41)および第2飲料配管(42)を介して循環させ、また、その循環を停止させる制御部(7)とを有する飲料サーバー。
【請求項2】
請求項1に記載した飲料サーバーであって、
前記第2飲料配管(42)は、放熱性の大きなものである飲料サーバー。
【請求項3】
請求項1,2のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記低温飲料注出コック(51)と前記低温タンク(5)とを接続する配管(52)に設けられた第2加熱器(55)を有し、
前記制御部(7)は、
高温飲料の循環動作を開始する場合には、前記冷却器(53)による冷却動作を停止させ、前記開閉弁(44)を開状態とするとともに、前記第2加熱器(55)による加熱動作を開始させるものであり、
高温飲料の循環動作を停止する場合には、前記冷却器(53)による冷却動作を開始させ、前記開閉弁(44)を閉状態とするとともに、前記第2加熱器(55)による加熱動作を停止させるものである飲料サーバー。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記高温タンク(6)は、上面に蒸気抜き用の蒸気孔(64)が設けられたものであり、
前記蒸気孔(64)と前記第2飲料配管(42)とを接続する蒸気配管(45)を有する飲料サーバー。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載した飲料サーバーであって、
前記飲料容器は、合成樹脂からなるボトルである飲料サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−189951(P2011−189951A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56609(P2010−56609)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(593119538)
【Fターム(参考)】