飲料ディスペンサ
【課題】上部貯氷庫内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明による飲料ディスペンサは、連絡通路7を介して上部貯氷庫5に下部貯氷庫6を接続し、温度検出部によって検出されたコールドプレートの表面温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御する構成である。
【解決手段】本発明による飲料ディスペンサは、連絡通路7を介して上部貯氷庫5に下部貯氷庫6を接続し、温度検出部によって検出されたコールドプレートの表面温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御する構成である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば炭酸飲料等の飲料を供給する飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の飲料ディスペンサとしては、例えば特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来装置には、外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、コールドプレートを介して飲料を冷却するための氷片が貯められる下部貯氷庫とが設けられている。上部貯氷庫の底面は傾斜面により構成されており、この底面の上部に、上部貯氷庫と下部貯氷庫との間を連通する開口部が設けられている。すなわち、氷片が上部貯氷庫に優先的に貯まり、上部貯氷庫内の氷片が一定量を超えた場合に上部貯氷庫内の氷片が下部貯氷庫に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−315493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の飲料ディスペンサでは、上部貯氷庫内の氷片が一定量を超えた場合にしか、上部貯氷庫内の氷片が開口部を通って下部貯氷庫に供給されないので、飲料ディスペンサの動作によっては、下部貯氷庫の氷片の量が飲料冷却に必要な量を下回ることがある。氷片が下部貯氷庫に優先的に貯まるようにして、下部貯氷庫が満氷になった後に上部貯氷庫に氷片を貯めるように構成することも考えられるが、このような構成では、下部貯氷庫に氷片が潤沢に貯められているにも拘わらず、上部貯氷庫内の氷片が不足するという事態が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上部貯氷庫内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる飲料ディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飲料ディスペンサは、外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、上部貯氷庫の下方に配置され、連絡通路を介して上部貯氷庫に接続された下部貯氷庫と、下部貯氷庫に設けられるとともに、内部に流路を有し、下部貯氷庫に貯められた氷片との熱交換により流路を通る飲料体を冷却するコールドプレートと、コールドプレートに取付けられ、コールドプレートの表面温度を検出する温度検出部と、連絡通路に設けられ、連絡通路を開閉する開閉器と、温度検出部及び開閉器に接続され、温度検出部によって検出された温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫から下部貯氷庫への氷片の供給を制御する氷片供給制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料ディスペンサによれば、連絡通路を介して上部貯氷庫に下部貯氷庫を接続し、温度検出部によって検出された温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫から下部貯氷庫への氷片の供給を制御するので、上部貯氷庫内に氷片を優先的に貯めつつ、飲料ディスペンサの使用状況に応じて飲料冷却に必要な氷片を下部貯氷庫に供給できる。これにより、上部貯氷庫内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図である。
【図2】一部のカバーを取り外した状態の図1の飲料ディスペンサを示す斜視図である。
【図3】図1の上部貯氷庫の内部構造を示す斜視図である。
【図4】図1の下部貯氷庫を前方斜め上方から見たときの下部貯氷庫の断面斜視図である。
【図5】図4のコールドプレートを示す斜視図である。
【図6】図4のコールドプレートを示す底面図である。
【図7】図6の温度検出部を拡大して示す拡大図である。
【図8】図7の温度検出部を示す側面図である。
【図9】図2の連絡通路を前方斜め下方から見たときの連絡通路を示す斜視図である。
【図10】図9の開閉器を示す斜視図である。
【図11】図10の開閉器を制御する氷片供給制御部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図であり、図2は一部のカバーを取り外した状態の図1の飲料ディスペンサを示す斜視図である。図1及び図2に示すように、飲料ディスペンサには、ステージ1、氷片放出部2、飲料注出部3、製氷部4、上部貯氷庫5、下部貯氷庫6、及び連絡通路7(図2参照)が設けられている。ステージ1は、利用者によりカップが載置される台である。氷片放出部2は、ステージ1の上方に配置されており、利用者の操作に応じてステージ1上のカップに氷片を放出する。飲料注出部3は、氷片放出部2と並んでステージ1の上方に配置されており、利用者の操作に応じてステージ1上のカップに飲料を注出する。
【0010】
製氷部4及び上部貯氷庫5は、氷片放出部2及び飲料注出部3の上方に配置されている。製氷部4は、例えば周知のオーガ方式やセル方式等の製氷機であり、外部より供給される製氷用水から氷片を生成する。上部貯氷庫5は製氷部4の直下に配置された貯氷庫であり、製氷部4で生成された氷片は上部貯氷庫5に直接供給される。氷片放出部2から放出される氷片は、上部貯氷庫5に貯められた氷片である。
【0011】
下部貯氷庫6は、上部貯氷庫5の下方に配置された貯氷庫であり、連絡通路7(図2参照)を介して上部貯氷庫5に接続されている。すなわち、下部貯氷庫6には、上部貯氷庫5に貯められた氷片が供給される。後に詳しく説明するが、下部貯氷庫6に貯められた氷片は、飲料注出部3から注出される飲料を冷却するためのものである。
【0012】
次に、図3は、図1の上部貯氷庫5の内部構造を示す斜視図である。図において、上部貯氷庫5には、撹拌機構50、複数の計量マス51a,51b、及び連絡開口52が設けられている。撹拌機構50は、外周に複数の羽根部が設けられた円板状のホイール50aと、棒状のアジテータ50bとを有している。ホイール50a及びアジテータ50bは、図示しないモータに接続されており、このモータの駆動力によりホイール50a及びアジテータ50bが回転駆動されることにより、上部貯氷庫5内の氷片が撹拌される。
【0013】
計量マス51a,51bは、内部容量がそれぞれ異なる断面C字状の部材からなるものである。計量マス51a,51bの内部には、ホイール50aが回転駆動されることでホイール50aの羽根部により運ばれた氷片が一定量貯められる。これら計量マス51a,51bは、図示しないモータが接続されており、利用者により氷片放出部2(図1参照)が操作された際に、モータの駆動力により回転駆動される。計量マス51a,51bが回転駆動されると、各計量マス51a,51bの内部容量に応じた一定量の氷片が氷片放出部2から放出される。
【0014】
連絡開口52は、上部貯氷庫5の側面に設けられた開口部であり、上部貯氷庫5と下部貯氷庫6との間を接続する連絡通路7が接続される箇所である。
【0015】
次に、図4は図1の下部貯氷庫6を前方斜め上方から見たときの下部貯氷庫6の断面斜視図であり、図5は図4のコールドプレート62を示す斜視図である。図4に示すように、下部貯氷庫6には、連絡開口60、アジテータ61、及びコールドプレート62が設けられている。連絡開口60は、上部貯氷庫5からの連絡通路7が接続されるための開口であり、下部貯氷庫6の上部に設けられている。アジテータ61は図示しないモータに接続されており、このモータの駆動力によりアジテータ61が回転駆動されることで、下部貯氷庫6内の氷片が撹拌される。
【0016】
コールドプレート62は、下部貯氷庫6の底部に配置されている。下部貯氷庫6内の氷片は、コールドプレート62上に貯められる。図5に示すように、コールドプレート62からは複数の管62aが延びている。図4では概略のみ示すが、管62aは、コールドプレート62内部に蛇行状に配設されている。この管62aには、飲料注出部3から注出される飲料、又はこの飲料を生成するための飲料原液若しくは炭酸水を含む飲料体が通される。すなわち、コールドプレート62は、下部貯氷庫6に貯められた氷片との熱交換により管62a(流路)を通る飲料体を冷却する。
【0017】
次に、図6は図4のコールドプレート62を示す底面図であり、図7は図6の温度検出部65を拡大して示す拡大図であり、図8は図7の温度検出部65を示す側面図である。図6〜図8に示すように、コールドプレート62の底面(下部貯氷庫6の底面側の面)には、温度検出部65が取付けられている。温度検出部65は、例えばサーミスタ等により構成されており、コールドプレート62の表面温度を検出する。コールドプレート62の表面温度は、下部貯氷庫6内の氷片の量が下部貯氷庫6内の管62aを通る飲料体の流量に対して不足した場合に上昇される。すなわち、温度検出部65によりコールドプレート62の表面温度を監視することで、下部貯氷庫6に貯められる氷片が不足しているか否かを監視できる。温度検出部65の出力は、後述の氷片供給制御部8(図11参照)に入力される。
【0018】
次に、図9は、図2の連絡通路7を前方斜め下方から見たときの連絡通路7を示す斜視図である。図において、連絡通路7には、上部貯氷庫5に接続された曲管部7aと、下部貯氷庫6に接続された直管部7bとが含まれている。曲管部7aと直管部7bとの間には、開閉器70が組み込まれている。
【0019】
次に、図10は、図9の開閉器70を示す斜視図である。図において、開閉器70には、ブロック体71、遮蔽板72、及びモータ73が含まれている。ブロック体71は、曲管部7aと直管部7bとの間に介在される介在物である。このブロック体71には、曲管部7a及び直管部7bと同径の孔部71aが設けられている。遮蔽板72は、孔部71a内に設けられた円板状の部材であり、回転軸72aを中心に回転自在にブロック体71に支持されている。モータ73は、遮蔽板72の回転軸72aに接続されており、後述の氷片供給制御部8による制御に応じて遮蔽板72を回転駆動する。遮蔽板72の外径は孔部71aの内径と実質的に等しくされており、孔部71aの軸方向に直交する角度で遮蔽板72が停止されることにより連絡通路7内での氷片の移動が規制される。すなわち、開閉器70は連絡通路7を開閉するためのものである。
【0020】
次に、図11は、図10の開閉器70を制御する氷片供給制御部8を示すブロック図である。図において、温度検出部65及び開閉器70のモータ73は、氷片供給制御部8に接続される。氷片供給制御部8は、プログラム等の情報を記憶する記憶部と、この記憶部の情報に基づいて演算処理をする演算部とを有するコンピュータにより構成されている。氷片供給制御部8は、温度検出部65によって検出された温度に基づいて開閉器70の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御する。
【0021】
具体的には、氷片供給制御部8は、温度検出部65により検出されたコールドプレート62の表面温度が所定の基準温度よりも低い場合に、下部貯氷庫6内の氷片量が飲料冷却に十分な量であることを検出し、連絡通路7を閉じるようにモータ73の動作を制御する。このとき、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給が停止されて、上部貯氷庫5内に氷片が貯められる。一方で、氷片供給制御部8は、コールドプレート62の表面温度が所定の基準温度以上である場合に、飲料冷却に下部貯氷庫6内の氷片量が不足していることを検出し、連絡通路7を開くようにモータ73の動作を制御する。このとき、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6に氷片が供給されて、下部貯氷庫6内に氷片が貯められる。
【0022】
このような飲料ディスペンサでは、連絡通路7を介して上部貯氷庫5に下部貯氷庫6を接続し、温度検出部65によって検出された温度に基づいて開閉器70の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御するので、上部貯氷庫5内に氷片を優先的に貯めつつ、飲料ディスペンサの使用状況に応じて飲料冷却に必要な氷片を下部貯氷庫6に供給できる。これにより、上部貯氷庫5内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる。このような構成では、飲料ディスペンサの使用態様が氷片の提供及び飲料冷却のいずれか一方に偏った場合でも、製氷部4で製造された氷片を最大限に有効利用でき、利用者の利便性を大きく改善できる。
【符号の説明】
【0023】
5 上部貯氷庫、6 下部貯氷庫、7 連絡通路、8 氷片供給制御部、65 温度検出部、70 開閉器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば炭酸飲料等の飲料を供給する飲料ディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の飲料ディスペンサとしては、例えば特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来装置には、外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、コールドプレートを介して飲料を冷却するための氷片が貯められる下部貯氷庫とが設けられている。上部貯氷庫の底面は傾斜面により構成されており、この底面の上部に、上部貯氷庫と下部貯氷庫との間を連通する開口部が設けられている。すなわち、氷片が上部貯氷庫に優先的に貯まり、上部貯氷庫内の氷片が一定量を超えた場合に上部貯氷庫内の氷片が下部貯氷庫に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−315493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の飲料ディスペンサでは、上部貯氷庫内の氷片が一定量を超えた場合にしか、上部貯氷庫内の氷片が開口部を通って下部貯氷庫に供給されないので、飲料ディスペンサの動作によっては、下部貯氷庫の氷片の量が飲料冷却に必要な量を下回ることがある。氷片が下部貯氷庫に優先的に貯まるようにして、下部貯氷庫が満氷になった後に上部貯氷庫に氷片を貯めるように構成することも考えられるが、このような構成では、下部貯氷庫に氷片が潤沢に貯められているにも拘わらず、上部貯氷庫内の氷片が不足するという事態が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、上部貯氷庫内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる飲料ディスペンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る飲料ディスペンサは、外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、上部貯氷庫の下方に配置され、連絡通路を介して上部貯氷庫に接続された下部貯氷庫と、下部貯氷庫に設けられるとともに、内部に流路を有し、下部貯氷庫に貯められた氷片との熱交換により流路を通る飲料体を冷却するコールドプレートと、コールドプレートに取付けられ、コールドプレートの表面温度を検出する温度検出部と、連絡通路に設けられ、連絡通路を開閉する開閉器と、温度検出部及び開閉器に接続され、温度検出部によって検出された温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫から下部貯氷庫への氷片の供給を制御する氷片供給制御部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の飲料ディスペンサによれば、連絡通路を介して上部貯氷庫に下部貯氷庫を接続し、温度検出部によって検出された温度に基づいて開閉器の開閉動作を制御して、上部貯氷庫から下部貯氷庫への氷片の供給を制御するので、上部貯氷庫内に氷片を優先的に貯めつつ、飲料ディスペンサの使用状況に応じて飲料冷却に必要な氷片を下部貯氷庫に供給できる。これにより、上部貯氷庫内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図である。
【図2】一部のカバーを取り外した状態の図1の飲料ディスペンサを示す斜視図である。
【図3】図1の上部貯氷庫の内部構造を示す斜視図である。
【図4】図1の下部貯氷庫を前方斜め上方から見たときの下部貯氷庫の断面斜視図である。
【図5】図4のコールドプレートを示す斜視図である。
【図6】図4のコールドプレートを示す底面図である。
【図7】図6の温度検出部を拡大して示す拡大図である。
【図8】図7の温度検出部を示す側面図である。
【図9】図2の連絡通路を前方斜め下方から見たときの連絡通路を示す斜視図である。
【図10】図9の開閉器を示す斜視図である。
【図11】図10の開閉器を制御する氷片供給制御部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による飲料ディスペンサを示す正面図であり、図2は一部のカバーを取り外した状態の図1の飲料ディスペンサを示す斜視図である。図1及び図2に示すように、飲料ディスペンサには、ステージ1、氷片放出部2、飲料注出部3、製氷部4、上部貯氷庫5、下部貯氷庫6、及び連絡通路7(図2参照)が設けられている。ステージ1は、利用者によりカップが載置される台である。氷片放出部2は、ステージ1の上方に配置されており、利用者の操作に応じてステージ1上のカップに氷片を放出する。飲料注出部3は、氷片放出部2と並んでステージ1の上方に配置されており、利用者の操作に応じてステージ1上のカップに飲料を注出する。
【0010】
製氷部4及び上部貯氷庫5は、氷片放出部2及び飲料注出部3の上方に配置されている。製氷部4は、例えば周知のオーガ方式やセル方式等の製氷機であり、外部より供給される製氷用水から氷片を生成する。上部貯氷庫5は製氷部4の直下に配置された貯氷庫であり、製氷部4で生成された氷片は上部貯氷庫5に直接供給される。氷片放出部2から放出される氷片は、上部貯氷庫5に貯められた氷片である。
【0011】
下部貯氷庫6は、上部貯氷庫5の下方に配置された貯氷庫であり、連絡通路7(図2参照)を介して上部貯氷庫5に接続されている。すなわち、下部貯氷庫6には、上部貯氷庫5に貯められた氷片が供給される。後に詳しく説明するが、下部貯氷庫6に貯められた氷片は、飲料注出部3から注出される飲料を冷却するためのものである。
【0012】
次に、図3は、図1の上部貯氷庫5の内部構造を示す斜視図である。図において、上部貯氷庫5には、撹拌機構50、複数の計量マス51a,51b、及び連絡開口52が設けられている。撹拌機構50は、外周に複数の羽根部が設けられた円板状のホイール50aと、棒状のアジテータ50bとを有している。ホイール50a及びアジテータ50bは、図示しないモータに接続されており、このモータの駆動力によりホイール50a及びアジテータ50bが回転駆動されることにより、上部貯氷庫5内の氷片が撹拌される。
【0013】
計量マス51a,51bは、内部容量がそれぞれ異なる断面C字状の部材からなるものである。計量マス51a,51bの内部には、ホイール50aが回転駆動されることでホイール50aの羽根部により運ばれた氷片が一定量貯められる。これら計量マス51a,51bは、図示しないモータが接続されており、利用者により氷片放出部2(図1参照)が操作された際に、モータの駆動力により回転駆動される。計量マス51a,51bが回転駆動されると、各計量マス51a,51bの内部容量に応じた一定量の氷片が氷片放出部2から放出される。
【0014】
連絡開口52は、上部貯氷庫5の側面に設けられた開口部であり、上部貯氷庫5と下部貯氷庫6との間を接続する連絡通路7が接続される箇所である。
【0015】
次に、図4は図1の下部貯氷庫6を前方斜め上方から見たときの下部貯氷庫6の断面斜視図であり、図5は図4のコールドプレート62を示す斜視図である。図4に示すように、下部貯氷庫6には、連絡開口60、アジテータ61、及びコールドプレート62が設けられている。連絡開口60は、上部貯氷庫5からの連絡通路7が接続されるための開口であり、下部貯氷庫6の上部に設けられている。アジテータ61は図示しないモータに接続されており、このモータの駆動力によりアジテータ61が回転駆動されることで、下部貯氷庫6内の氷片が撹拌される。
【0016】
コールドプレート62は、下部貯氷庫6の底部に配置されている。下部貯氷庫6内の氷片は、コールドプレート62上に貯められる。図5に示すように、コールドプレート62からは複数の管62aが延びている。図4では概略のみ示すが、管62aは、コールドプレート62内部に蛇行状に配設されている。この管62aには、飲料注出部3から注出される飲料、又はこの飲料を生成するための飲料原液若しくは炭酸水を含む飲料体が通される。すなわち、コールドプレート62は、下部貯氷庫6に貯められた氷片との熱交換により管62a(流路)を通る飲料体を冷却する。
【0017】
次に、図6は図4のコールドプレート62を示す底面図であり、図7は図6の温度検出部65を拡大して示す拡大図であり、図8は図7の温度検出部65を示す側面図である。図6〜図8に示すように、コールドプレート62の底面(下部貯氷庫6の底面側の面)には、温度検出部65が取付けられている。温度検出部65は、例えばサーミスタ等により構成されており、コールドプレート62の表面温度を検出する。コールドプレート62の表面温度は、下部貯氷庫6内の氷片の量が下部貯氷庫6内の管62aを通る飲料体の流量に対して不足した場合に上昇される。すなわち、温度検出部65によりコールドプレート62の表面温度を監視することで、下部貯氷庫6に貯められる氷片が不足しているか否かを監視できる。温度検出部65の出力は、後述の氷片供給制御部8(図11参照)に入力される。
【0018】
次に、図9は、図2の連絡通路7を前方斜め下方から見たときの連絡通路7を示す斜視図である。図において、連絡通路7には、上部貯氷庫5に接続された曲管部7aと、下部貯氷庫6に接続された直管部7bとが含まれている。曲管部7aと直管部7bとの間には、開閉器70が組み込まれている。
【0019】
次に、図10は、図9の開閉器70を示す斜視図である。図において、開閉器70には、ブロック体71、遮蔽板72、及びモータ73が含まれている。ブロック体71は、曲管部7aと直管部7bとの間に介在される介在物である。このブロック体71には、曲管部7a及び直管部7bと同径の孔部71aが設けられている。遮蔽板72は、孔部71a内に設けられた円板状の部材であり、回転軸72aを中心に回転自在にブロック体71に支持されている。モータ73は、遮蔽板72の回転軸72aに接続されており、後述の氷片供給制御部8による制御に応じて遮蔽板72を回転駆動する。遮蔽板72の外径は孔部71aの内径と実質的に等しくされており、孔部71aの軸方向に直交する角度で遮蔽板72が停止されることにより連絡通路7内での氷片の移動が規制される。すなわち、開閉器70は連絡通路7を開閉するためのものである。
【0020】
次に、図11は、図10の開閉器70を制御する氷片供給制御部8を示すブロック図である。図において、温度検出部65及び開閉器70のモータ73は、氷片供給制御部8に接続される。氷片供給制御部8は、プログラム等の情報を記憶する記憶部と、この記憶部の情報に基づいて演算処理をする演算部とを有するコンピュータにより構成されている。氷片供給制御部8は、温度検出部65によって検出された温度に基づいて開閉器70の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御する。
【0021】
具体的には、氷片供給制御部8は、温度検出部65により検出されたコールドプレート62の表面温度が所定の基準温度よりも低い場合に、下部貯氷庫6内の氷片量が飲料冷却に十分な量であることを検出し、連絡通路7を閉じるようにモータ73の動作を制御する。このとき、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給が停止されて、上部貯氷庫5内に氷片が貯められる。一方で、氷片供給制御部8は、コールドプレート62の表面温度が所定の基準温度以上である場合に、飲料冷却に下部貯氷庫6内の氷片量が不足していることを検出し、連絡通路7を開くようにモータ73の動作を制御する。このとき、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6に氷片が供給されて、下部貯氷庫6内に氷片が貯められる。
【0022】
このような飲料ディスペンサでは、連絡通路7を介して上部貯氷庫5に下部貯氷庫6を接続し、温度検出部65によって検出された温度に基づいて開閉器70の開閉動作を制御して、上部貯氷庫5から下部貯氷庫6への氷片の供給を制御するので、上部貯氷庫5内に氷片を優先的に貯めつつ、飲料ディスペンサの使用状況に応じて飲料冷却に必要な氷片を下部貯氷庫6に供給できる。これにより、上部貯氷庫5内の氷片が不足することを回避できるとともに、飲料冷却に必要な氷片の量を維持できる。このような構成では、飲料ディスペンサの使用態様が氷片の提供及び飲料冷却のいずれか一方に偏った場合でも、製氷部4で製造された氷片を最大限に有効利用でき、利用者の利便性を大きく改善できる。
【符号の説明】
【0023】
5 上部貯氷庫、6 下部貯氷庫、7 連絡通路、8 氷片供給制御部、65 温度検出部、70 開閉器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、
前記上部貯氷庫の下方に配置され、連絡通路を介して前記上部貯氷庫に接続された下部貯氷庫と、
前記下部貯氷庫に設けられるとともに、内部に流路を有し、前記下部貯氷庫に貯められた氷片との熱交換により前記流路を通る飲料体を冷却するコールドプレートと、
前記コールドプレートに取付けられ、前記コールドプレートの表面温度を検出する温度検出部と、
前記連絡通路に設けられ、前記連絡通路を開閉する開閉器と、
前記温度検出部及び前記開閉器に接続され、前記前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記開閉器の開閉動作を制御して、前記上部貯氷庫から前記下部貯氷庫への氷片の供給を制御する氷片供給制御部と
を備えていることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項1】
外部に提供するための氷片が貯められる上部貯氷庫と、
前記上部貯氷庫の下方に配置され、連絡通路を介して前記上部貯氷庫に接続された下部貯氷庫と、
前記下部貯氷庫に設けられるとともに、内部に流路を有し、前記下部貯氷庫に貯められた氷片との熱交換により前記流路を通る飲料体を冷却するコールドプレートと、
前記コールドプレートに取付けられ、前記コールドプレートの表面温度を検出する温度検出部と、
前記連絡通路に設けられ、前記連絡通路を開閉する開閉器と、
前記温度検出部及び前記開閉器に接続され、前記前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記開閉器の開閉動作を制御して、前記上部貯氷庫から前記下部貯氷庫への氷片の供給を制御する氷片供給制御部と
を備えていることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−218773(P2012−218773A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86162(P2011−86162)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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