説明

飲料供給装置

【課題】冷水タンクはもとより他の箇所でも細菌の増殖が持続的に抑制され、衛生的な飲料を供給できる飲料供給装置を提供することにある。
【解決手段】ミネラル水等の飲料が貯留された飲料ボトル10と、飲料ボトル10から導出された飲料に塩素を付加する塩素発生器30と、塩素発生器30から導出された飲料を冷却する冷水タンク40と、冷水タンク40から導出された飲料を注水する注水管50とを備えた構造となっている。これにより、飲料ボトル10から導出され飲料に対して塩素発生器30で発生した塩素が付加されるため、飲料中の有効塩素濃度が高くなる。有効塩素濃度が高くなった飲料水が冷水タンク40で冷却され、注水管50を通じて飲料者に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然水等の飲料水を供給する飲料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の飲料供給装置として、特開2000−85893号公報に記載されたものが知られている。
【0003】
この飲料供給装置では、飲料貯留部から冷水タンク及び温水タンクにミネラル水等の飲料水が供給され、冷水タンクに供給された飲料水は冷却装置によって冷却されて冷水となり、一方、温水タンクに供給された飲料水はヒータによって加熱されて温水となる。ここで、冷水バルブを開くときは冷水タンクの蛇口から冷水が注出され、温水バルブを開くときは温水タンクの蛇口から温水が注出される。
【0004】
また、飲料供給装置は細菌繁殖防止用の冷水循環装置と紫外線殺菌器とを有し、冷水循環装置の駆動により冷水タンクの飲料水が循環撹拌される一方、紫外線殺菌器への通電により冷水タンク内に紫外線が照射され、冷水タンク内の細菌の繁殖が防止される。
【特許文献1】特開2000−85893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の飲料供給装置では、紫外線殺菌される箇所は冷水タンクのみであり、他の箇所での細菌の増殖を抑制できなかった。また、紫外線を照射している間は細菌の増殖を抑制できるが、一旦、紫外線照射を停止した後は再び細菌が増殖し、この紫外線殺菌方法では殺菌効果の持続性に欠けるという問題点を有していた。
【0006】
本発明の目的は前記従来の問題点に鑑み、冷水タンクはもとより他の箇所でも細菌の増殖が持続的に抑制され、衛生的な飲料を供給できる飲料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記従来の課題を解決するため、請求項1の発明に係る飲料供給装置は、ミネラル水等の飲料が貯留された飲料貯留部と、飲料貯留部から導出された飲料に塩素を付加する塩素発生部と、塩素発生部から導出された飲料を冷却する飲料冷却部と、飲料冷却部から導出された飲料を注水する注水管路とを備えた構造となっている。
【0008】
請求項1の発明によれば、飲料貯留部から導出され飲料に対して塩素発生部で発生した塩素が付加されるため、飲料中の有効塩素濃度が高くなる。有効塩素濃度が高くなった飲料水が飲料冷却部で冷却され、注水管路を通じて飲料者に提供される。
【0009】
なお、飲料供給装置は、請求項2の発明の如く、飲料貯留部の飲料出水量を調整するリザーブタンク部を有するものでも良いし、また、請求項3の発明の如く、塩素発生部が飲料貯留部の飲料出水量を調整可能になっているものでも良い。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の発明に係る飲料供給装置において、塩素発生部は飲料に直流電圧を印加する一対の電極を有する構造となっている。これにより、電極を通じて飲料に直流電圧が印加されるため、飲料中に含まれている塩素イオンが反応して次亜塩素酸濃度が上昇し、飲料が殺菌される。
【0011】
請求項4に係る飲料供給装置において、請求項5の発明はリザーブタンクに無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を有し、また、請求項6の発明は飲料貯留部に無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を有している。これにより、飲料貯留部に貯留された飲料が塩素イオン含有率の低いものとなっているときでも、飲料中に塩化物を供給してこの含有率を上昇させることができ、飲料を有効に殺菌することができる。
【0012】
なお、飲料貯留部やリザーブタンクに抗菌部材、例えば金、銀又は銅等の金属が含有されているときは、抗菌部材の抗菌作用によって、飲料中に浮遊する細菌の繁殖が抑制されるため、その分、塩素発生部で付加される塩素量を少なくすることができる(請求項7、請求項8及び請求項9)。
【0013】
請求項10に係る飲料供給装置は、水道水の原水を導水する給水管路と、給水管から導出された飲料に塩素を付加する塩素発生部と、塩素発生部から導出された飲料を冷却する飲料冷却部と、飲料冷却部から導出された飲料を注水する注水管路とを備えた構造となっている。
【0014】
請求項10の発明によれば、水道水等などの飲料に対して塩素発生部で発生した塩素が付加されるため、飲料中の有効塩素濃度が高くなる。有効塩素濃度が高くなった飲料水が飲料冷却部で冷却され、蛇口等の端末を通じて飲料者に提供される。
【0015】
なお、請求項10に係る飲料供給装置において、塩素発生部の飲料に直流電圧を印加する一対の電極を設けたり(請求項11)、塩素発生部に無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を設けるようにしてもよい(請求項12)。
【0016】
請求項13の発明は、請求項5、請求項6及び請求項12に係る飲料供給装置において、塩化物供給部は、塩化物を収納する塩化物収納タンクと、塩化物収納タンクに収納された塩化物を導出する塩化物導出管路と、塩化物導出管路から導出される塩化物供給量を制御する制御弁とを有する構造となっている。請求項13の発明によれば、塩化物供給部から供給される塩化物供給量を制御できるため、飲料中の塩素イオン濃度等に対応した量の塩化物を供給できる。
【0017】
請求項14の発明は、請求項1乃至請求項13に係る飲料供給装置において、塩素発生部の飲料を飲料冷却部に導く飲料用導水管路と、塩素発生部の飲料を外部に導く洗浄用導水管路とを有する構造となっている。
【0018】
請求項14の発明によれば、塩素発生部から導出された飲料は殺菌されており、飲料に好適なものとなっている。また、塩素発生部で次亜塩素酸濃度を高く設定するときは、殺菌機能に優れた水となるため、食器などの洗浄水として好適なものとなるし、また、洗浄後のすすぎ水としても有効なものなる。
【0019】
なお、前述の如く、塩素発生部内の飲料を洗浄水として利用するときは、飲料に適さない次亜塩素酸濃度となっている場合があるので、塩素発生部内の飲料を全て排出する必要がある。そこで、請求項15に係る飲料供給装置の如く洗浄水導水管路内の流量を検知する流量検知手段を設け、塩素発生部内の飲料が全て排出されたか否かを検知するようになっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、塩素発生部により飲料に塩素が付加されているため、飲料の殺菌作用が長時間に亘って維持され、衛生的な飲料を確実に供給することができる。また、飲料自体に細菌抑制作用を備えているため、従来の紫外線照射による殺菌構造と比較して細菌抑制作用が持続するという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1乃至図3は本発明に係る飲料供給装置の第1実施形態を示すもので、図1は飲料供給装置の断面図、図2(a)(b)は飲料供給操作に係る駆動制御を示すタイムチャート、図3は洗浄水供給操作に係る駆動制御を示すタイムチャートである。
【0022】
本実施形態に係る飲料供給装置は、飲料貯留部、例えばミネラル飲料水等の飲料が貯留された樹脂製の飲料ボトル10からなり、飲料ボトル10の下端に有する注水口10aから後述するリザーブタンク20内に飲料を流下するようになっている。また、飲料ボトル10の構成材料である樹脂として、例えば金、銀或いは銅などの抗菌性を有する金属を担持したものを用いるときは、飲料ボトル10が抗菌作用を備えることとなり、これにより、飲料ボトル10内に生息する細菌を殺菌したり、また、この細菌の繁殖を抑制することができる。
【0023】
リザーブタンク20は前記飲料ボトル10を着脱自在に支持するものである。リザーブタンク20の上部には飲料ボトル10の注入口10aが挿入されており、リザーブタンク20内に飲料ボトル10内の飲料が流入するようになっている。また、リザーブタンク20の上部には外部と連通する空気筒20aが設置されており、空気筒20aを通じてリザーブタンク20内に大気圧がかかるようになっている。これにより、リザーブタンク20内の水位が注入口10aの下端開口より低くなったときは、この下端開口から飲料ボトル10内に空気が流入する一方、その空気が流入した分、飲料ボトル10からリザーブタンク20に飲料が流出する。従って、リザーブタンク20は飲料ボトル10の飲料出水量を制御するようになっている。また、リザーブタンク20の下部には開口20bを有し、この開口20bを通じて後述の塩素発生器30に飲料が流入するようになっている。
【0024】
塩素発生器30は有底箱状のシスターン30aとシスターン30a内に配置された陰陽一対の電極30bを有している。直流電源30cの直流電圧が電極30bを介して飲料に印加され、シスターン30a内の次亜塩素酸濃度(有効塩素濃度)を高くするようになっている。また、シスターン30aの底部には飲料用導水管30dと洗浄用導水管30eが接続されている。飲料用導水管30dは後述する飲料冷却部(冷水タンク40)に連通している。洗浄用導水管30eは冷水タンク40を貫通して外部に延在している。また、洗浄用導水管30eの先端側には洗浄用導水管30eを開閉する洗浄水供給弁30fを設け、また、洗浄水供給弁30fより上流側には洗浄水導水管路30eの流量を検知する流量検知器30gを設けている。
【0025】
冷水タンク40は飲料用導水管30dを通じて流入した飲料を貯留するものである。冷水タンク40は断熱壁にて区画されたタンク本体40aを有し、タンク本体40aの内壁には図示しない冷凍装置の冷媒気化部分である蒸発器40bが設置されている。この蒸発器40bの冷媒気化作用により、タンク本体40a内にアイスバンク40cが形成され、これにより、タンク本体40a内の飲料が冷却されるようになっている。また、タンク本体40aの上部には前記リザーブタンク20が設置され、また、タンク本体40a内には前記塩素発生器30が収容されている。一方、タンク本体40aの下部には後述する注水管50が連結している。
【0026】
注水管50は冷水タンク40内の飲料を導出するもので、注水管50の上端がタンク本体40aの底部を通じてタンク本体40a内に連通する一方、注水管50の下端が飲料に用いられるカップCに向かって延在されている。また、注水管50の下端側には注水管50を開閉する飲料供給弁50aが設置されている。
【0027】
以上のように構成された飲料供給装置は飲料供給操作及び洗浄水供給操作を実行することができ、これらの操作は飲料スイッチ60及び洗浄スイッチ61で操作される。また、各スイッチ60,61及び流量検知器30gからの信号に基づき制御装置62が飲料供給弁50a、直流電源20a及び洗浄水供給弁30fを図2及び図3のタイムチャートに示すように駆動制御する。なお、この制御装置62はマイクロコンピュータで構成されており、メモリには飲料供給弁50aの開時間T1や直流電源30cの通電時間T2が記憶されている。
【0028】
まず、飲料供給操作に関する駆動制御について図2(a)を参照して説明する。飲料スイッチ60がオンしたとき(飲料を希望する者が飲料スイッチ60を入れたとき)、飲料供給弁50aが時間T1に亘って開き、冷水タンク40内の飲料が注水管50を通じてカップCに注水される。また、飲料スイッチ60がオンしたとき直流電源30cも電極30bに時間T2に亘って通電を行う。このように、飲料供給を開始する毎に塩素発生器30で塩素を発生させる。この理由は、飲料供給によりタンク本体40a内の水位が下がり、これに伴い、塩素発生器30にリザーブタンク20を通じて飲料タンク10の飲料が流入し、塩素発生器30内の有効塩素濃度が低下するため、これを補う必要があるからである。図2(b)は他の飲料供給操作に関する駆動制御を示すものである。本駆動制御において前記駆動制御と異なるところは、飲料供給弁50aが閉じた後に直流電源30cから各電極30bに通電するようにした点である。このように飲料供給操作の後に有効塩素濃度を上昇させるようにしたので、塩素発生器30で新たに付加された塩素がシスターン30内に留まり、タンク本体40aからカップC側に流れ出すことがなく、タンク本体40aを効率よく殺菌することができる。
【0029】
次に、洗浄水供給操作に関する駆動制御について図3を参照して説明する。まず、洗浄水供給操作を実行する際は、予め飲料ボンベ10をリザーブタンク20から外しておく。そして、洗浄スイッチ61がオンしたとき(食器の洗浄やすすぎを希望する者が洗浄スイッチ61を入れたとき)、洗浄水供給弁30fが開く。これにより、塩素発生器30から洗浄水導水管30eを通じて有効塩素濃度の水が注水され、食器洗浄やすすぎに利用される。ここで、洗浄水供給弁30fは流量検知器30gが水流を検知している間は開状態となっている。即ち、塩素発生器30及びリザーブタンク20内の水が全て流出し終わるまで洗浄水供給弁30fを開放するよう設定されている。
【0030】
本実施形態によれば、塩素発生器30で有効塩素濃度の飲料が生成され、この飲料によって冷水タンク40内はもとより注水管50内の細菌繁殖が抑制されるため、飲料の殺菌作用が長時間に亘って維持され、衛生的な飲料を確実に供給することができる。また、飲料自体が細菌抑制作用を備えているため、従来の紫外線照射による殺菌構造と比較して細菌抑制作用が持続する。更に、塩素濃度の高い水を洗浄水として利用でき、便利なものとなっている。
【0031】
図4及び図5は本発明に係る飲料供給装置の第2実施形態を示すものである。本実施形態は前記第1実施形態に係る飲料供給装置に塩化物供給器70を設置したものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0032】
塩化物供給器70は、塩化物を収納する塩化物タンク70aと、塩化物タンク70aに接続した塩化物導出管70bと、塩化物導出管70bを開閉する塩化物供給弁70cとを有している。ここで、塩化物としては人体に無害な塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの粉状物が用いられている。なお、これら無機塩化物を溶かした水溶液を用いるようにしても良い。塩化物導出管70bはリザーブタンク20の上部に貫通しており、塩化物供給弁70cを開くとき塩化物タンク70aからリザーブタンク20に塩化物が供給されるようになっている。
【0033】
本実施形態の飲料供給操作を図5を参照して説明する。飲料スイッチ60がオンしたときは、前記第1実施形態と同様に、飲料供給弁50aが開いて冷水タンク40内の飲料がカップCに注水され、また、直流電源30cの電極30bにも通電され有効塩素濃度を上昇させる。本実施形態はこの駆動制御に加え、直流電源30cの通電中に塩化物供給弁70cが開くようにしている。これにより、リザーブタンク20及び塩素発生器30に塩化物が溶け込み、塩素発生器30内の飲料が塩素イオン含有率が上昇するため、電解時に発生する次亜塩素酸量を増大させることができる。なお、その他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0034】
図6は本発明に係る飲料供給装置の第3実施形態を示すものである。本実施形態は前記第2実施形態に係る塩化物供給器70を飲料ボトル10に設置したものである。なお、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0035】
即ち、塩化物供給器70の塩化物導出管70bの下端を飲料ボトル10の上部に接続し、塩化物タンク70aを飲料ボトル10内に供給するようになっている。このような構造によっても、電解時に発生する次亜塩素酸量を増大させることができる。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
【0036】
図7は本発明に係る飲料供給装置の第4実施形態を示すものである。前記第1乃至第3実施形態では塩素発生器及びリザーブタンクを冷水タンクに設置している。これに対して、本実施形態では塩素発生器31を冷水タンク41から離隔して別個に設け、かつ、塩素発生器31にリザーブタンク機能を付加した構造となっている。なお、前記第2実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0037】
この塩素発生器31は有底箱状のシスターン31aと、シスターン31aの上面開口を閉塞する蓋体31bと、シスターン31a内に配置された陰陽一対の電極31cを有している。この電極31cには、前記各実施形態と同様に、直流電源31dから給電され、シスターン31a内の有効塩素濃度を上昇させることができる。また、蓋体31bには前記飲料ボトル10の注入口10aが挿入されており、シスターン31a内に飲料ボトル10内の飲料が流入するようになっている。また、蓋体31bには外部と連通する空気筒20aが設置されており、空気筒20aを通じてシスターン31a内に大気圧がかかるようになっている。これにより、シスターン31a内の水位が注入口10aの下端開口より低くなったときは、この下端開口から飲料ボトル10内に空気が流入する一方、その空気が流入した分、飲料ボトル10からシスターン31aに飲料が流入する。従って、塩素発生器31は飲料ボトル10の飲料出水量を制御する機能も兼ね備えている。また、蓋体31bには前記第2実施形態と同様の塩化物供給器70が設置されており、塩化物供給器70内の塩化物を塩素発生器31内に供給できるようになっている。更に、シスターン31aの底部には、前記各実施形態と同様に、飲料用導水管30dと洗浄用導水管30eが接続されている。飲料用導水管30dは冷水タンク41の上部に連通している。洗浄用導水管30eは冷水タンク41を貫通することなく外部に延在しており、前記各実施形態と同様に、洗浄水供給弁30f及び流量検知器30gを設けている。
【0038】
冷水タンク41は箱状に形成され、前記各実施形態と同様にタンク本体41aの内壁には蒸発器41bを設置し、タンク本体41a内に形成されたアイスバンク41cで飲料を冷却するようになっている。なお、冷水タンク41の底部には前記各実施形態と同様に飲料供給弁50aを備えた注出管50が接続している。
【0039】
本実施形態によれば、塩素発生器31がリザーブタンクの機能を兼ね備え、飲料供給装置全体の構造が簡単となっている。なお、その他の構成、作用は前記第2実施形態と同様である。
【0040】
図8乃至図10は本発明に係る飲料供給装置の第5実施形態を示すものである。前記第4実施形態に係る塩素発生器31の水位はリザーブタンク機能により調整されている。これに対して、本実施形態に係る塩素発生器32はフロートスイッチ32eを用いて飲料ボトル10の飲料出水量を調整する構造となっている。なお、前記第4実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0041】
塩素発生器32は有底箱状のシスターン32aと、シスターン32aの上面開口を閉塞する蓋体32bと、シスターン32a内に配置された陰陽一対の電極32cを有している。この電極32cには、前記各実施形態と同様に、直流電源32dから給電され、シスターン32a内の有効塩素濃度を上昇させることができる。また、蓋体32bには前記第2実施形態と同様の塩化物供給器70が設置されており、塩化物供給器70内の塩化物を塩素発生器32内に供給できるようになっている。更に、シスターン32aの底部には、前記第4実施形態と同様に、飲料用導水管30dと洗浄用導水管30eが接続されている。
【0042】
このように構成された塩素発生器32において、本実施形態に係る飲料ボトル10には飲料ボトル10内の飲料を塩素発生器32に導く飲料注入管11を有している。また、飲料注入管11にはこれを開閉する給水弁11aを有している。更に、塩素発生器32内にはシスターン32a内の飲料の水位を検知するフロートスイッチ32eを有している。
【0043】
以上のように構成された飲料供給装置において、塩素発生器32内の水位制御操作及び洗浄水供給操作を図9及び図10を参照して説明する。ここで、前記実施形態で説明したように、制御装置62には直流電源32dの通電時間T2などが設定されており、また、飲料スイッチ60、洗浄スイッチ61、フロートスイッチ32e、流量検知器30gなどからの信号に基づき直流電源32d、給水弁11a、塩化物導入弁70c、洗浄水供給弁30fなどを制御するようになっている。
【0044】
まず、塩素発生装置32内の水位制御操作について図9を参照して説明する。塩素発生器32内の水位が下がりフロートスイッチ32eの下限値となったときはオンし、フロートスイッチ32eのオン信号に基づき給水弁11aが開動作する。これにより、飲料ボトル10内の飲料が飲料注入管11を通じて塩素発生器32内に流入する。また、この飲料注入と同時に直流電源32dから各電極32cに通電され、塩素発生装置32内の有効塩素濃度を上昇させる。この飲料注入により塩素発生装置32内の水位が上昇しフロートスイッチ32eの上限値に達したときは、給水弁11aが閉動作する。これにより、飲料ボトル10内の飲料の注入操作が終了する。直流電源32dの通電時間は前記第1実施形態と同様であり時間T2に亘って通電を行い、塩化物供給弁70cが開くようにしている。これにより、塩素発生器32に塩化物が溶け込み、塩素発生器32内の飲料が塩素イオン含有率が上昇するため、電解時に発生する次亜塩素酸量が増大する。
【0045】
次に、洗浄水供給操作に関する駆動制御について図10を参照して説明する。洗浄スイッチ61がオンしたとき、洗浄水供給弁30fが開く。これにより、塩素発生器32から洗浄水導水管30eを通じて有効塩素濃度の水が注水され、食器洗浄やすすぎに利用される。ここで、洗浄水供給弁30fは流量検知器30gが水流を検知している間は開状態となっている。即ち、塩素発生器32及びリザーブタンク20内の水が全て流出し終わるまで洗浄水供給弁30fを開放するよう設定されている。
【0046】
このような洗浄水供給操作の継続中に塩素発生器32の水位が下がるため、フロートスイッチ32eの下限値に至りフロートスイッチ32eがオンするが、給水弁11aは閉となっている。一方、洗浄水供給操作が終了したときはフロートスイッチ32eのオン信号を受け給水弁11aが開動作する。これにより、飲料ボトル10から塩素発生器32に飲料が注入される。この飲料注入により塩素発生装置32内の水位が上昇しフロートスイッチ32eの上限値に達したときは、給水弁11aが閉動作する。これにより、飲料ボトル10内の飲料の注入操作が終了する。この飲料注入操作が終了したときは、直流電源32dから所定時間に亘って電極32cに直流電流が通電されるとともに、塩化物供給弁70cが開動作して塩化物が塩素発生器32に投入される。これにより、塩素発生器32内の飲料の有効酸素濃度が上昇し待機状態となる。
【0047】
図11は本発明に係る飲料供給装置の第6実施形態を示すものである。本実施形態は前記第5実施形態に係る塩化物供給器70を飲料ボトル10に設置したものである。なお、前記第5実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0048】
即ち、塩化物供給器70の塩化物導出管70bの下端を飲料ボトル10の上部に接続し、塩化物タンク70aを飲料ボトル10内に供給するようになっている。このような構造によっても、電解時に発生する次亜塩素酸量を増大させることができる。なお、その他の構成、作用は前記第5実施形態と同様である。
【0049】
図12は本発明に係る飲料供給装置の第7実施形態を示すものである。前記各実施形態では飲料ボトル内の飲料を飲料水として用いたり或いは洗浄水として用いている。これに対して、本実施形態は水道水を飲料水或いは洗浄水として用いるものである。なお、前記第5実施形態と同一構成部分は同一符号を用いており、その説明を省略する。
【0050】
即ち、水道水が導かれる給水管80を塩素発生器32の蓋体32bに接続し、水道水を塩素発生器32内に給水するようになっている。また、給水管80には給水弁80aを設置している。なお、塩素発生器32内の水位制御操作及び洗浄水供給操作は、前記第5実施形態に係る給水弁11aを給水弁80aに置き換えればよく、他は前記第5実施形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施形態に係る飲料供給装置の断面図
【図2】第1実施形態に係る飲料供給装置の飲料供給操作の駆動制御を示すタイムチャート
【図3】第1実施形態に係る飲料供給装置の洗浄水供給操作の駆動制御を示すタイムチャート
【図4】第2実施形態に係る飲料供給装置の断面図
【図5】第2実施形態に係る飲料供給装置の飲料供給操作の駆動制御を示すタイムチャート
【図6】第3実施形態に係る飲料供給装置の一部省略断面図
【図7】第4実施形態に係る飲料供給装置の断面図
【図8】第5実施形態に係る飲料供給装置の断面図
【図9】第5実施形態に係る飲料供給装置の水位調整操作の駆動制御を示すタイムチャート
【図10】第5実施形態に係る飲料供給装置の洗浄水供給操作の駆動制御を示すタイムチャート
【図11】第6実施形態に係る飲料供給装置の一部断面図
【図12】第7実施形態に係る飲料供給装置の断面図
【符号の説明】
【0052】
10…飲料ボトル、20…リザーブタンク、30,31,32…塩素発生器、40…冷水タンク、50…注水管、60…飲料スイッチ、61…洗浄スイッチ、62…制御装置、70…塩化物供給器、80…給水管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミネラル水等の飲料が貯留された飲料貯留部と、
前記飲料貯留部から導出された飲料に塩素を付加する塩素発生部と、
前記塩素発生部から導出された飲料を冷却する飲料冷却部と、
前記飲料冷却部から導出された飲料を注水する注水管路とを備えた
飲料供給装置。
【請求項2】
前記飲料貯留部の飲料出水量を調整するリザーブタンク部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記塩素発生部は前記飲料貯留部の飲料出水量を調整可能に形成した
ことを特徴とする請求項1記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記塩素発生部は飲料に直流電圧を印加する一対の電極を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の飲料供給装置。
【請求項5】
前記リザーブタンクへ無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の飲料供給装置。
【請求項6】
前記飲料貯留部へ無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を有する
ことを特徴とする請求項4記載の飲料供給装置。
【請求項7】
前記飲料貯留部の少なくとも一部は抗菌部材を含有してなる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項記載の飲料供給装置。
【請求項8】
前記リザーブタンクの少なくとも一部は抗菌部材を含有してなる
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか一項記載の飲料供給装置。
【請求項9】
前記抗菌部材は、金、銀及び銅の何れかの金属を含む
ことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の飲料供給装置。
【請求項10】
水道水等の原水を導水する給水管路と、
前記給水管から導出された飲料に塩素を付加する塩素発生部と、
前記塩素発生部から導出された飲料を冷却する飲料冷却部と、
前記飲料冷却部から導出された飲料を注水する注水管路とを備えた
飲料供給装置。
【請求項11】
前記塩素発生部は飲料に直流電圧を印加する一対の電極を有する
ことを特徴とする請求項10記載の飲料供給装置。
【請求項12】
前記塩素発生部へ無機系塩化物を供給可能な塩化物供給部を有する
ことを特徴とする請求項11記載の飲料供給装置。
【請求項13】
前記塩化物供給部は、塩化物を収納する塩化物収納タンクと、該塩化物収納タンクに収納された塩化物を導出する塩化物導出管路と、該塩化物導出管路から導出されるの塩化物供給量を制御する制御弁とを有する
ことを特徴とする請求項5、請求項6又は請求項12記載の飲料供給装置。
【請求項14】
前記塩素発生部の飲料を前記飲料冷却部に導く飲料用導水管路と、該塩素発生部の飲料を外部に導く洗浄用導水管路とを有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか一項記載の飲料供給装置。
【請求項15】
前記洗浄水導水管路内の流量を検知する流量検知手段を有する
ことを特徴とする請求項14記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−176179(P2006−176179A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373052(P2004−373052)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】