説明

飲料供給装置

【課題】飲料供給装置の給水弁として作動圧力の低い電磁弁を使用することによりコストを安くし、消費電力を少なくする。
【解決手段】飲料水を圧送する水ポンプ4と、水ポンプ4から吐出される飲料水を送水する送水管3,6,8,12,16と、その途中に設けられた給水弁7,9,13,17と、水ポンプ4の作動及び給水弁7,9,13,17の開閉動作を制御する給水制御部31と、を備えた飲料供給装置1において、給水制御部31は、水ポンプ4の稼動中に給水弁7,9,13,17を開動作するとき、水ポンプ4の稼動を一旦停止してそれらの給水弁7,9,13,17を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ式自動販売機や飲料ディスペンサなどに適用する飲料供給装置に関し、特に水ポンプと電磁弁を備えて飲料の供給を制御する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこのような飲料供給装置としては、先に本出願人が出願し、公開された特開2006−198555号公報(特許文献1)に記載されるような飲料供給装置が知られている。この特許文献1に記載される飲料供給装置は、飲料水を貯留する水タンクと、その水タンク内の飲料水を圧送する水ポンプと、水タンクから送出される飲料水から不純物等を取り除く各種フィルタと、その飲料水を電気分解してアルカリ水を生成するアルカリ水生成装置と、アルカリ水生成装置で生成したアルカリ水を貯湯タンクに供給する給水弁と、貯湯タンク内の湯をミキシングボールに供給する給湯弁と、アルカリ水生成装置で生成したアルカリ水を冷水タンクに供給する給水弁と、冷水タンク内の冷水をミキシングボールに供給する冷水弁と、を有し、ミキシングボールで調製される飲料にアルカリ水を供給するものであって、これにより飲料水の安全性の確保はもちろんのこと、飲料としてアルカリ水という所謂機能性を有す飲料水を用いる飲料供給装置を提供することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−198555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような従来の飲料供給装置においては、水ポンプによって飲料水を水タンクから貯湯タンク、または冷水タンクに圧送する場合に、例えば、水タンクに貯留される飲料水を水ポンプにより冷水タンクに圧送している途中で、湯タンク内の湯が不足したため給水弁を開いて湯タンク内に飲料水を供給する場合がある。この場合、水ポンプの稼動中に給水弁としての電磁弁を動作させるため、給水弁として用いられる電磁弁は、水ポンプが稼動したときの配管内部の圧力より高い圧力で動作可能な仕様のものを備える必要がある。しかしながら、作動圧力の高い仕様の電磁弁は、弁を開閉駆動するソレノイドが大型化してコストが高くなるとともに、消費電力が大きくなる問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題に対応するため、給水弁として作動圧力の低い電磁弁を使用することによりコストが安く、消費電力を少なくすることができる飲料供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、飲料水を圧送する水ポンプと、前記水ポンプから吐出される飲料水を送水する送水管と、前記送水管の途中に設けられた給水弁と、前記水ポンプの作動及び前記給水弁の開閉動作を制御する給水制御部と、を備えた飲料供給装置において、前記給水制御部は、前記水ポンプの稼動中に前記給水弁を開動作するとき、前記水ポンプの稼動を一旦停止して前記給水弁を作動させるものである。
これによれば、前記水ポンプの稼動中に前記給水弁を開動作する場合に、前記水ポンプの稼動を一旦停止して前記送水管内の水圧を下げてから、前記給水弁を作動させることができる。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の飲料供給装置において、前記水ポンプの稼動を一旦停止し、所定時間の経過後に前記給水弁を作動させるものである。
これによれば、前記水ポンプの稼動を一旦停止し、所定時間の経過後に前記給水弁を作動させることができるから、前記送水管内の水圧を確実に下げてから、前記給水弁を作動させることができる。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように請求項1に係る発明によれば、水ポンプの稼動中に給水弁を開動作する場合に、水ポンプの稼動を一旦停止してその給水弁が装着される送水管内の水圧を下げてから、給水弁を作動させることができるから、給水弁として作動圧力の低い電磁弁を使用することが可能となり、それによりコストが安く、消費電力を少なくすることができる飲料供給装置を提供することができる。
また、請求項2に係る発明によれば、水ポンプの稼動を一旦停止し、所定時間の経過後に給水弁を作動させることによって、送水管内の水圧を確実に下げてから給水弁を作動させることができるから、高圧状態での給水弁の開動作を確実に防止して故障の少ない高品質の飲料供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態の飲料供給装置の構成を模式的に示す配管系統図である。
【図2】本発明の実施の形態の飲料供給装置の制御構成を示す制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の飲料供給装置の飲料供給動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の飲料供給装置の構成を模式的に示す配管系統図、図2は本発明の実施の形態の飲料供給装置の制御構成を示す制御ブロック図、図3は本発明の実施の形態の飲料供給装置の飲料供給動作を示すタイミングチャートである。
【0010】
この飲料供給装置1は、カップ式自動販売機や飲料ディスペンサにおいて、カップ等に吐出される飲料等を供給する装置として用いられるもので、図1に示すように、水源として飲料水を貯留する水リザーバータンク2と、水リザーバータンク2内に貯留される飲料水を給水管(送水管)3を介して各部に圧送する水ポンプ4と、水ポンプ4から給水管3を通じて送出される飲料水を湯タンク5へ送水する湯タンク送水管(送水管)6と、湯タンク送水管6に設けられた湯タンク給水弁(給水弁)7と、同様に水ポンプ4から送出される飲料水をベンドステージを洗浄するためのシャワー部に送水するシャワー送水管(送水管)8と、シャワー送水管8に設けられたシャワー給水弁(給水弁)9と、水ポンプ4から送出される飲料水を冷却水槽11を介して冷却した後に、ミキシングボールやベンドステージ上のカップ等に供給する冷水供給菅(送水管)12と、冷水供給管12に設けられた冷水給水弁(給水弁)13と、同様に冷却水槽11を介して冷却された冷却水を冷却水槽11内に配置されるカーボネータ15に供給するカーボネータ送水管(送水管)16と、カーボネータ送水管16に設けられたカーボネータ給水弁(給水弁)17と、カーボネータ15により製造された炭酸水をベンドステージ上のカップ等に供給するための炭酸水供給管(送水管)18と、炭酸水供給管18に設けられた炭酸水供給弁19を備えている。また、この飲料供給装置1は、湯タンク5内に貯留される湯を加熱する加熱装置21と、湯タンク5内で加熱された湯をミキシングボールやカップ等に供給するための給湯管(送水管)23と、給湯管23に設けられる給湯弁24と、冷却水槽11内の冷却水を冷却するため冷却装置26を備えている。そして、この飲料供給装置1は、図2に示すように飲料等の供給を制御する給水制御部31を有する制御部30によりその動作が制御される。
【0011】
そして、このように構成される本発明の実施形態の飲料供給装置1は、湯タンク給水弁7,シャワー給水弁9,冷水給水弁13,カーボネータ給水弁17のそれぞれを動作させる際に水ポンプ4が稼動している場合は、その動作を一時的に停止し、配管内の圧力を下げてからそれらを動作させるように給水制御部31により制御される。例えばミキシングボールやベンドステージ上のカップ等に冷却水槽11により冷却された冷水を供給する冷水供給要求と、飲料水を湯タンク5へ補給する湯タンク給水要求とが、同時になされる場合について、図3に示すタイミングチャートに基づいてその動作を説明する。先ず、冷水給水弁13が開動作され、同時に水ポンプ4が駆動されて、水リザーバータンク2内に貯留される飲料水が冷却水槽11により冷却され冷水給水弁13を介して、ミキシングボールやカップ等に供給される。そして、冷水の供給が完了すると冷水給水弁13が閉動作されて、水ポンプ4が所定の時間(本実施の形態の場合は0.5秒)停止される。そうすると、その間に水ポンプ4の稼動により高められていた各配管内の水圧が低下し通常状態となる。そして、このように水圧が低下したところで湯タンク給水弁7を開動作させ、再び水ポンプ4を駆動する。そして、湯タンク5への飲料水の供給が完了したとき湯タンク給水弁7を閉動作すると共に水ポンプ4の動作を停止して飲料水の供給を停止する。このようにして、ミキシングボールやカップ等への冷水の供給と、湯タンク5への飲料水の補給がなされる。
【0012】
以上のように、本発明の飲料供給装置1は、水ポンプ4の稼動中に湯タンク給水弁7を開動作する場合に、水ポンプ4の稼動を一旦停止して送水管内の水圧を下げてから、湯タンク給水弁7を作動させることができる。したがって、これにより湯タンク給水弁7として作動圧力の低い電磁弁を使用することが可能となるから、それによりコストが安く、消費電力を少なくすることができる飲料供給装置1を提供することができる。
また、本発明の飲料供給装置1は、水ポンプ4の稼動を一旦停止し、所定時間の経過後に湯タンク給水弁7を作動させることができるから、給水管3内の水圧を確実に下げてから、湯タンク給水弁7を作動させることができる。すなわち、これによって高圧状態での湯タンク給水弁7の開動作を確実に防止することができるから故障の少ない高品質の飲料供給装置1を提供することができる。
【0013】
なお、本発明は、言うまでもなく本実施の形態に示す装置にのみ限定されず、その趣旨の包含する範囲で応用変更が可能である。例えば、湯タンク給水弁7以外のシャワー給水弁9,冷水給水弁13,カーボネータ給水弁17についても、同様に水ポンプ4の動作を制御することで作動圧力の低い電磁弁を使用することが可能であることは言うまでもない。また、この飲料供給装置1を構成する各構成部の配置、配管構成は、この実施形態に示すものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0014】
1 飲料供給装置
3 給水管(送水管)
4 水ポンプ
6 湯タンク送水管(送水管)
7 湯タンク給水弁(給水弁)
8 シャワー送水管(送水管)
9 シャワー給水弁(給水弁)
12 冷水供給管(送水管)
13 冷水給水弁(給水弁)
16 カーボネータ送水管(送水管)
17 カーボネータ給水弁(給水弁)
31 給水制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水を圧送する水ポンプと、前記水ポンプから吐出される飲料水を送水する送水管と、前記送水管の途中に設けられた給水弁と、前記水ポンプの作動及び前記給水弁の開閉動作を制御する給水制御部と、を備えた飲料供給装置において、前記給水制御部は、前記水ポンプの稼動中に前記給水弁を開動作するとき、前記水ポンプの稼動を一旦停止して前記給水弁を作動させることを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記水ポンプの稼動を一旦停止し、所定時間の経過後に前記給水弁を作動させることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−136260(P2012−136260A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290249(P2010−290249)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】