説明

飲料水サーバ

【課題】極めて簡単な機構でトラブルなく細菌の増殖を抑制した飲料水を供給できる飲料水サーバを提供する。
【解決手段】ボトル1から供給された飲料水を貯留する貯留槽2と、貯留槽2の飲料水を供給する供給機構3とを備え、貯留槽2には、ボトル1から飲料水の供給を受ける上側受水層12と、上側受水層12に供給された飲料水を貯めて冷却するための下側冷水層13とを仕切るセパレータ14が設けられ、セパレータ14より上側の上側受水層12に、抗菌剤の包装体18を浮かないように固定する固定部が設けられている。これにより、ボトル1から供給された上側受水層12の飲料水が抗菌剤で抗菌されてから下側冷水層13に貯められるため、確実に抗菌された飲料水が供給機構3から供給され、従来に比べて、装置構成が簡単で、メンテナンスフリーが実現できるうえ、余分な運転エネルギーも生じず、装置としてのコンパクトな体裁が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水を冷却もしくは加熱して供給することができる飲料水サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、一般の生活に浸透してきている飲用のミネラルウォーターには、国内では人々の健康面および安全面への意識が高まるに連れて、細菌などが十分に処理され、また場合によっては飲用時の不快臭を取り除く処理が施され、さらに人体に必須のミネラル分を水分と同時に摂取することができるように調製された商品の利用が急速に伸びてきている。
【0003】
このようなミネラルウォーターとしては、多くの場合はミネラルウォーターのメーカー側で採水し、各種の処理を施したうえでボトルなどに充填し、家庭や飲食店・各種オフィス等に供給されている。
【0004】
このようにして使用されるボトルには、500mLや2L程度の容量で短期間で使い切る目的のものがある一方、12L程度の大容量ボトルを、サーバ(あるいはディスペンサ)と称される採水装置にセットし、必要な時に必要な量だけ取り出すシステムの利用も進んでいる。このような大容量ボトルは、飲用水が充填されると相当な重量になるが、メーカーや仲介業者がユーザーの元まで宅配する事が多く、ユーザーには運搬などの負担がかからないようになっている。
【0005】
ところで、家庭などの水道水から原水を供給するタイプの冷水器では、水道水に添加されている殺菌用の塩素により、水道水自身がある程度の殺菌性を有するため、冷水器内の細菌類の増殖が抑制されている。しかし、前述したようなボトル供給のミネラルウォーターの場合、殺菌用の塩素等は添加されておらず、細菌類の増殖が重要な問題となっている。
【0006】
ミネラルウォーター中での細菌類の増殖は、細菌類が病原性を有するものであれば飲用した人体には有害であり、また病原性がない場合にも、ミネラルウォーターに異味異臭を付加してしまったり、場合によってはミネラルウォーターが懸濁する可能性もあって、飲用時に不快感が生じる。
【0007】
特にボトル供給の場合、ボトルの中が無菌でも、ボトルの交換時に供給部分に空気中の細菌が付着することにより、ミネラルウォーター中に細菌が紛れ込んでしまうことを避けにくい。このようなときでも、サーバからミネラルウォーターを連続的に供給していれば、サーバ内で細菌類が増殖してしまうことは起こりにくいが、例えば、オフィスなどでは、業務を行なっていない夜間や休日には採水されないことから、長時間にわたってサーバ内でミネラルウォーターが停滞し、細菌類が増殖する可能性がある。
【0008】
また、サーバの構造や殺菌対策の方法によっては、長期間にわたって使用しているうちに、細菌類が徐々に増殖してしまうこともある。このため、メーカーや仲介業者による洗浄や殺菌等の定期的なメンテナンスを行わなければならない。このようなメンテナンスは、メーカーや仲介業者にとってもコストになるし、ユーザーにとっても負担となるうえ、本当の意味で常にサーバ内が無菌状態を保っているかどうかは、実のところ定かではないのが実情である。
【0009】
これらのことから考えると、サーバ内部での抜本的な殺菌対策が必要となる。このような細菌類の殺菌処理については、サーバやディスペンサのメーカーでそれぞれ対策が講じられている。
【0010】
例えば、下記の特許文献1(特開2006―076662)や特許文献2(特開2009―083871)では、配管や装置内部を加熱することで殺菌する方法が提案されている。また、特許文献3(特開2009―083868)には、冷水タンク内を紫外線照射によって殺菌することが開示されている。また、特許文献4(特許第4317259号)では、外部からの空気進入が考えられる箇所にオゾン発生手段を設けて、オゾンで殺菌処理を行なうことが開示されている。さらに、特許文献5(実用新案登録第3110564号)では、プラズマイオン発生装置を設け、他の殺菌機構とともに複合的に殺菌処理することが開示されている。
【0011】
また、特許文献6(特開2009―196650)には、熱伝導や対流によってボトル内の水が加温して細菌感染を抑制するため、上流側と下流側との間に対流を抑制する対流抑制手段を設置することが開示されている。また、この装置では、高温水を循環させることによる清浄化処理を行うことも開示されている。
【0012】
このように、飲料水サーバの殺菌方法としては、従来からさまざまな方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2006―076662号公報
【特許文献2】特開2009―083871号公報
【特許文献3】特開2009―083868号公報
【特許文献4】特許第4317259号公報
【特許文献5】実用新案登録第3110564号公報
【特許文献6】特開2009―196650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、これらいずれの方法においても、装置構成が複雑になったり、メンテナンスが煩雑になったり、ユーザーである人体への影響が懸念されたり、余分な運転エネルギーが生じたり、肝心のミネラルウォーター独自の風味を損なってしまうなど、いずれかの問題があった。また、このようなミネラルウォーターの供給装置は、家庭や飲食店・各種オフィス等への普及を図るためには、価格を抑える必要があり、複雑な装置、部品の導入や運転エネルギーの増加は、できるだけ避けてなるべく簡便な構造にしたいという事情がある。また、設置場所の問題からも、装置自体をコンパクトな体裁とすることが要求されている。
【0015】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、極めて簡単な機構でトラブルなく細菌の増殖を抑制した飲料水を供給できる飲料水サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の飲料水サーバは、飲料水の供給源から供給された飲料水を貯留する貯留槽と、上記貯留槽に貯留された飲料水を供給する供給機構とを備え、
上記貯留槽には、供給源から飲料水の供給を受ける上側受水層と、上側受水層に供給された飲料水を貯めて冷却するための下側冷水層とを仕切るセパレータが設けられ、
上記セパレータより上側の上側受水層に、抗菌剤の包装体を浮かないように固定する固定部が設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の飲料水サーバは、上記構成により、供給源から供給された上側受水層の飲料水が抗菌剤で抗菌されてから下側冷水層に貯められるため、確実に抗菌された飲料水が供給機構から供給される。また、飲料水の供給を受ける上側受水層と下側冷水層がセパレータで仕切られ、下側冷水層の冷却の影響をあまり受けないで常温に保たれた上側受水層に抗菌剤の包装体を固定できる。しかも、上側受水層に飲料水の供給があって貯留された飲料水に揺動があっても、その揺動はセパレータによってガードされ、下側冷水層と上側受水層の温度交換がほとんど行われない。このため、温度変化による抗菌剤の抗菌効果の減殺が起こらない。また、抗菌剤の包装体は浮かないように固定されるため、貯留された飲料水との接触が確実に行われて抗菌効果を発揮する。そして、従来に比べて、装置構成が簡単で、メンテナンスフリーが実現できるうえ、余分な運転エネルギーも生じず、装置としてのコンパクトな体裁が可能となる。
【0018】
本発明において、上記固定部は、セパレータの上側面に設けられている場合には、
セパレータの加工により上側受水層の飲料水を確実に抗菌できるようになるため、設計や構造の大幅な変更をすることなく、既存の装置に対する部品交換だけで確実な抗菌効果を得ることが可能となる。
【0019】
本発明において、飲料水の供給源であるボトルを取り付けるボトル取付部と、上記ボトル取付部にボトルが取り付けられた状態で上記貯留槽を密閉空間にする蓋部材と、上記貯留槽の水位に応じて開閉するフロート弁とを備えている場合には、
内部圧力の開放と吸気のためにフロート弁を併用しても、抗菌剤の包装体が浮きあがってフロート弁を押し上げて閉止し、吸気の妨げとなるような、異常稼動が起こらなくなり、異常稼動を復元するユーザーの手間が防止される。このように、安価な抗菌機構である抗菌剤の利用と、内部圧力の開放と吸気のためのフロート弁の利用を並立させることができ、飲料水サーバとして、極めて簡便かつコンパクトであって、装置コストも抑えられる、安全面で多機能な飲料水サーバが提供できる。
【0020】
本発明において、上記上側受水層に貯留された飲料水が導入されて加熱され、それを温水として貯留する温水槽が、上記貯留槽とは別個に設けられ、
温水槽の温水を供給する温水供給機構をさらに備えている場合には、
冷却した飲料水と温水を同時に供給できる装置となり、このような装置において、極めて簡単な機構でトラブルなく抗菌した飲料水を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態の飲料水サーバの全体構成を示す図である。
【図2】第2実施形態の飲料水サーバの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の飲料水サーバの第1実施形態を示す概略図である。
【0024】
この飲料水サーバは、サーバ筐体4と、飲料水の供給源から供給された飲料水を貯留する貯留槽2と、上記貯留槽2に貯留された飲料水を供給する供給機構3とを備えている。この例は、飲料水の供給源としてボトル1を使用している。
【0025】
上記サーバ筐体4は、上部にボトル1を逆さまにして取り付け、前面に設けた供給機構3を構成するコック5から飲料水を供給するようになっている。この例では、サーバ筐体4の内部に、ボトル1から供給された飲料水を貯留する貯留部が2つ設けられている。すなわち、上記貯留槽2は、飲料水を冷やして冷水として貯留し、この貯留槽とは別に、飲料水を加熱して温水として貯留する温水槽6が設けられている。そして、貯留槽2の冷水は冷水供給管7を介してコック5から取り出され、温水槽6の温水は温水供給管8を介してコック(図では隠れて見えない)から取り出される。
【0026】
以下、より詳しく説明する。
【0027】
上記ボトル1は、例えばPET製のガロンボトルを使用することができる。ボトル1を逆さまにしてボトルネック10を下向けにした状態で、サーバ筐体4の上部に設けられたボトル取付部9に取り付けられる。上記ボトル取付部9は、ボトルネック10が嵌合される嵌合部の中央に、ボトル1の口から差し込まれて飲料水の供給を受けるための受水管11が立設されている。上記ボトル1から供給された飲料水は、貯留槽2に貯留される。
【0028】
上記貯留槽2には、ボトル1から飲料水の供給を受ける上側受水層12と、上側受水層12に供給された飲料水を貯めて冷却するための下側冷水層13とを仕切るセパレータ14が設けられている。
【0029】
上記セパレータ14は、貯留槽2の内部空間を上側空間である上側受水層12と下側空間である下側冷水層13に仕切るもので、セパレータ14の周囲と貯留槽2の内面との間には隙間15が形成されて、ボトル1から上側受水層12に受け入れられた飲料水は上記隙間15を通って下側冷水層13に流れるようになっている。
【0030】
上記貯留槽2の外周には、セパレータ14で仕切られた下側冷水層13に対応する部分に、冷却管21が巻回され、下側冷水層13に貯留された飲料水を冷却する。また、貯留槽2の底部には、下側冷水層13に連通するように冷水供給管7が接続され、下側冷水層13において冷却された冷水をコック5から取り出せるようになっている。
【0031】
また、セパレータ14の中央部には、二次供給管17を介して温水槽6に通じる貫通管16が垂下していて、上側受水層12に受け入れられて貯留されている飲料水を、貫通管16および二次供給管17を通して、貯留槽2の下側に設けられた温水槽6に供給するようになっている。
【0032】
上記セパレータ14は、上記貫通管16の周囲に、抗菌剤の包装体18を収容するための凹部19が設けられている。上記凹部19の上部開口は、メッシュ状の固定蓋20が取り付けられて、凹部19に収容された抗菌剤の包装体18を水に浮かないように固定している。
【0033】
このような具体的構造により、本実施形態の飲料水サーバは、上記セパレータ14より上側の上側受水層12に、抗菌剤の包装体18を浮かないように固定する固定部が、セパレータ14の上側面に設けられている。
【0034】
温水槽6は、貯留槽2の下側に設けられ、上記二次供給管17および貫通管16を介して、貯留槽2の上側受水層12と連通し、上側受水層12に受け入れられて貯留されている飲料水が、貫通管16および二次供給管17を通してほとんど冷却されることなく温水槽6に供給されるようになっている。上記温水槽6には、内部に貯留された飲料水を加熱するヒータ22が設けられている。上記温水槽6の上部には、温水供給管8が接続されてコック(図では隠れて見えない)から温水を取り出せるようになっている。このとき、温水槽6に貯留された温水には、二次供給管17および貫通管16を介して上部の貯留槽2に貯留された水の水圧がかかっているため、コックを開けるとその水圧で温水が取り出される。また、上記温水槽6の底部には、ドレン管23が接続されている。
【0035】
このような具体的構造により、本実施形態の飲料水サーバは、上記上側受水層に貯留された飲料水が導入されて加熱され、それを温水として貯留する温水槽が、上記貯留槽とは別個に設けられ、温水槽の温水を供給する温水供給機構をさらに備えている。
【0036】
一方、貯留槽2の上部には、上述したように、ボトル1を取り付けるボトル取付部9が設けられている。貯留槽2の上部開口は、上記ボトル取付部9が設けられた蓋部材24により、上記ボトル取付部9にボトル1が取り付けられた状態で上記貯留槽2内を密閉空間にしうるようになっている。また、上記蓋部材24には、上記貯留槽2の水位に応じて開閉するフロート弁25が設けられている。
【0037】
上記フロート弁25は、通常は開弁しており、貯留槽2の水位が一定以上に上がると水面によって押し上げられて閉弁するようになっている。通常時に、冷水または温水が供給機構3によって取り出されると、内部空間に外気を取り入れて供給機構3による水の供給を停止させないようになっている。一定以上水位が下がってボトル1の口より水面が下がると、ボトル1内の飲料水が上側受水層12内に導入され、再びボトル1の口より水面が上がると、ボトル1からの水の導入は停止する。このとき、水位の上昇による上部空間内の圧力を外に逃がすようになっている。
【0038】
一方、ボトル1に万一クラックなどが入っていた場合は、上述した水位の変動によるボトル1からの導入と停止がうまく働かなくなり、ボトル1から貯留槽2に水がどんどん流れ落ち、そのままでは貯留槽2があふれてしまう。そこで、一定以上水位が上昇したときに、フロート弁25が押し上げられて弁を閉じ、上記貯留槽2内を密閉空間にしてボトル1から貯留槽2へ水が流れ落ちるのを停止し、貯留槽2があふれるの防止するようになっている。
【0039】
このように、上記フロート弁25は、貯留槽2の内部圧力の開放と吸気を行ない、万一のリークトラブル発生時には、貯留槽2内の水位を利用した止水弁として機能する。
【0040】
このようなフロート弁25を備えたサーバにおいて、抗菌剤の包装体18をセパレータ14上に固定せずに置くと、抗菌剤の包装体18が、ユーザーの取水などによる貯留槽2内の水の対流によって浮いて動いてしまい、その結果、フロート弁25をその下部から押し上げて閉止してしまい、吸気の妨げとなってトラブルになるおそれがある。一度このような状態が発生すると、サーバを正常な稼動に戻すには、貯留槽2を開放して浮遊する抗菌剤の包装体18をもとの位置に戻すしか方法がなく、その際にサーバ内に雑菌などの混入するリスクを高めることになる問題があった。
【0041】
また、ボトル1としてバックインボックス(BIB)タイプを用いる飲料水サーバの場合には、容器が減容して貯留槽2に給水する構造であるため、貯留槽2内部に浮力を利用したボールタップなどの止水機構を設けている。このような装置において、抗菌剤の包装体18を設置すると、それが浮遊したり動いたりしてしまうことにより、上記止水機構を作動させてしまい、正しい水の流入を阻害する要因となってしまうという問題があった。
【0042】
本実施形態は、抗菌剤の包装体18を不用意に動かさないために、貯留槽2のセパレータ14の上方に、抗菌剤の包装体18を設置するスペースを確保し、温水槽6からの熱の流入を妨げず、かつ、抗菌剤の包装体18の浮遊を抑える構造とした。
【0043】
これにより、抗菌剤が袋内に止まったまま、飲料水サーバ内を滅菌することが可能であり、かつ、貯留槽2の内部には内部圧力の開放と吸気のためにフロート弁25が取り付けられていても、フロート弁25をその下部から押し上げて閉止してしまい、吸気の妨げとなることはない。また、例えば、セパレータフロートを適用したとしても、抗菌剤の包装体18が邪魔になってセパレータフロートの動きを阻害してしまうことが防止できる。
【0044】
そして、雑菌増殖抑制の機構として抗菌性粒状物を用いて、内部圧力の開放と吸気のためにフロート弁25を併用しても、フロート弁25をその下部から押し上げて閉止してしまい、吸気の妨げとなるような、異常稼動が起こらなくなった。したがって、貯留槽2を開放して浮遊する抗菌剤の包装体18を正規の位置に戻すようなめんどうな操作を必要としない。
【0045】
その結果、安価な抗菌機構である抗菌性粒状物の利用と、内部圧力の開放と吸気のためにフロート弁25の利用が並立するため、飲料水サーバのシステムとしては、簡便で装置としてもコンパクトであって、かつ装置コストも抑えられる、安全面で多機能な飲料水サーバが提供できる。
【0046】
また、ボトル1としてバックインボックス(BIB)タイプを用いる飲料水サーバで、貯留槽2内部に浮力を利用したボールタップなどの止水機構を設けている場合であっても、抗菌剤の包装体18が浮き上がらないように固定されているため、それが浮遊したり動いたりして止水機構を作動させてしまうトラブルが未然に防止される。
【0047】
ここで、上記抗菌剤の包装体18に収容する抗菌剤としては、抗菌性粒状物を用いることができ、人体に影響の無い物性のものであればどのような種類でもよい。例えば、ゼオライトに銀、銅または直鉛などを担持させたものや、ゼオライトの一部をこれら元素と置換したもの、または低密度ポリエチレンとゼオライトにこれらの金属元素を結合させたものなどを好適に用いることができる。さらに具体的には、低密度ポリエチレンとゼオライトに銀を結合させ加熱成形された抗菌剤(シナネンゼオミック社製、PB6LJ10−1)などをあげることができる。
【0048】
これら以外にも、前述のゼオライトを母材にするようなもの以外にも、非晶質のアルミノ珪酸塩に担持させたものや、アルミノ珪酸塩に結合させたものをシリカゲル母体の表面(細孔表面)に抗菌性アルミノ珪酸塩層を固定化したもの、さらに抗菌金属として銀をリン酸ジルコニウムに保持させたものやリン酸カルシウムやガラス質に銀を担持させたものもある。これらの大部分は粉末状で圧力損失が大きくなるおそれがあるので、粒状物に成形して用いらるのが好ましい。
【0049】
上記抗菌剤を入れた包装体とするために、メッシュ状多孔性の袋を用いる。このような袋としては、ポリエチレンテレフタレート製、ポリエチレン製またはその両方の複合素材からなるものであって、厚み0.1mmの不織布(孔径50〜100μm)を袋状(例えば170mm×90mm)にして、前述の抗菌剤を30g程度装填して使用することができる。
【0050】
図2は、本発明の第2実施形態を示す。
【0051】
この例は、セパレータ14の上面に凹部19を形成せず、抗菌剤の包装体18をドーナツ状または棒状の袋としてセパレータ14の上面に載置し、固定部材26で固定したものである。それ以外は、上記第1実施形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。この例でも、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0052】
1:ボトル
2:貯留槽
3:供給機構
4:サーバ筐体
5:コック
6:温水槽
7:冷水供給管
8:温水供給管
9:ボトル取付部
10:ボトルネック
11:受水管
12:上側受水層
13:下側冷水層
14:セパレータ
15:隙間
16:貫通管
17:二次供給管
18:抗菌剤の包装体
19:凹部
20:固定蓋
21:冷却管
22:ヒータ
23:ドレン管
24:蓋部材
25:フロート弁
26:固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料水の供給源から供給された飲料水を貯留する貯留槽と、上記貯留槽に貯留された飲料水を供給する供給機構とを備え、
上記貯留槽には、供給源から飲料水の供給を受ける上側受水層と、上側受水層に供給された飲料水を貯めて冷却するための下側冷水層とを仕切るセパレータが設けられ、
上記セパレータより上側の上側受水層に、抗菌剤の包装体を浮かないように固定する固定部が設けられていることを特徴とする飲料水サーバ。
【請求項2】
上記固定部は、セパレータの上側面に設けられている請求項1記載の飲料水サーバ。
【請求項3】
飲料水の供給源であるボトルを取り付けるボトル取付部と、上記ボトル取付部にボトルが取り付けられた状態で上記貯留槽を密閉空間にする蓋部材と、上記貯留槽の水位に応じて開閉するフロート弁とを備えている請求項1または2記載の飲料水サーバ。
【請求項4】
上記上側受水層に貯留された飲料水が導入されて加熱され、それを温水として貯留する温水槽が、上記貯留槽とは別個に設けられ、
温水槽の温水を供給する温水供給機構をさらに備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の飲料水サーバ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−162318(P2012−162318A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26081(P2011−26081)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(000126115)エア・ウォーター株式会社 (254)
【Fターム(参考)】