説明

飲料水用サーバー

【課題】飲料水が空気に触れることを極力抑制する。
【解決手段】貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に容器1が着脱可能であり、前記容器1内に気体bが侵入することによりその容器1内の飲料水wが貯水タンク10内へ流下し、その貯水タンク10から伸びる送水管21に開閉自在の供給バルブ20を設けて飲料水wを供給できるようにした飲料水用サーバーにおいて、前記導水管11に気体導入装置40を接続してその気体導入装置40から前記導水管11内に気体bを導入可能とし、前記気体導入装置40から前記導水管11を通じて前記容器1内に気体bを侵入させ、その気体bの侵入により前記容器1内の飲料水wを貯水タンク10内へ流下させるとともに、前記貯水タンク10の上端に設けた通気孔28を通じてその貯水タンク10内の気体aを全て排出することによりその貯水タンク10内を常に満水状態に維持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、容器に収容されたミネラルウォーター等の飲料水をタンク内に貯留した後、その貯留した飲料水を適宜供給できるようにした飲料水用サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の飲料水用サーバーは、例えば、図6(a)に示すように、貯水タンク10から上方に伸びる導水管11及び台座17に容器1が着脱可能であり、その容器1内の飲料水wが、その自重により(落差により)、導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下するようになっている。
【0003】
この容器1は硬質の樹脂等で成型されており、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水wが、例えば、20リットル程度の単位で封入されて、密閉された状態で市場に供給されているものである。容器1が硬質の樹脂で成型されているため、内部の飲料水wが減少してもその形状がほぼ維持されるようになっている。
【0004】
図6(b)に示すように、容器1内の飲料水wが貯水タンク10に向かって徐々に流下していくとともに、容器1内には導水管11を通じて徐々に貯水タンク10内の空気(気体)aが入り込んでいき、その容器1内の気圧が平常に保たれる。同時に、貯水タンク10内の空気aは、飲料水wが流入することにより通気孔28から外部に排出される。
【0005】
貯水タンク10内の水位が、図6(c)に示すように導水管11の下端に達すると、容器1への空気aの流入が止まる。このため、自重により流下しようとする飲料水wの流下圧により容器1内がいわゆる負圧状態となり、それ以上の飲料水wの流下を不可能とする。すなわち、貯水タンク10内の液面に作用する空気圧と、容器1内の液面に作用する空気圧とのバランスにより、容器1内から貯水タンク10への水の流下が自動的に止まるようになっている。
【0006】
また、その貯水タンク10から送水管21が引き出されており、その送水管21に開閉自在の供給バルブ20が設けられている。
供給バルブ20を開放すれば、貯水タンク10内の飲料水wが適宜外部へ供給でき、また、供給バルブ20を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。
【0007】
この送水管21からの飲料水wの供給により、貯水タンク10内の水位が図6(c)に示す高さからわずかに低下すれば、再度、容器1内の飲料水wが貯水タンク10内に流下を開始する。貯水タンク10内の水位が、導水管11の下端に達して前記空気圧のバランスが取れる状態になると流下が止まり、貯水タンク10内の水位が維持される。
【0008】
なお、一般的には、貯水タンク10に冷却装置(図示せず)を設けて、貯水タンク10内の飲料水を冷却して冷水として供給する場合が多いが、その貯水タンク10とは別に加熱装置31を備えた貯水タンク10(以下、「温水タンク30」という)を設け、その加熱装置31を備えた温水タンク30と前記冷却装置を備えた貯水タンク10とを給水管32で接続した飲料水用サーバーもある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−104494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の図6に示す飲料水用サーバーによれば、貯水タンク10内の飲料水wが、常に、空気などの気体aに触れた状態となる。
飲料水wは、できる限り気体aに触れないことが、衛生管理上望ましいといえる。
【0010】
そこで、この発明は、飲料水が気体に触れることを極力抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、この発明は、貯水タンクから上方に伸びる導水管に容器が着脱可能であり、前記容器内に気体が侵入することによりその容器内の飲料水がその導水管を通じて貯水タンク内へ流下するようになっており、その貯水タンクから送水管を引き出してその送水管に開閉自在の供給バルブを設けてその貯水タンク内の飲料水を供給できるようにした飲料水用サーバーにおいて、前記導水管に気体導入装置を接続してその気体導入装置から前記導水管内に気体を導入可能とし、前記容器内が負圧状態となった際に、前記気体導入装置から前記導水管を通じて前記容器内に気体を侵入させ、その気体の侵入により前記容器内の飲料水を貯水タンク内へ流下させる構成を採用した。
【0012】
容器内の飲料水がその落差で貯水タンクへ流下しようとすることにより、その容器内が負圧となるため、その負圧を解消するように、気体導入装置から導水管、容器へ気体が導入されていく。負圧が解消されると、再度、容器から貯水タンクへ飲料水が流下し、最終的に貯水タンクが満水状態になれば流下が終了する。
このように、気体導入装置から導水管を通じて容器内に気体を導入するようにしたので、貯水タンク内から容器に向かって気体を導入しなくとも、容器から貯水タンクに向かって飲料水を流下させることができる。このため、貯水タンク内に気体を通過させる必要がなくなり、その貯水タンク内の飲料水が気体に触れることを極力抑制できるようになる。
【0013】
また、前記貯水タンクの上端に通気孔を設け、その通気孔に排気手段を設け、その排気手段により、前記貯水タンク内が満水状態となった際にその通気孔を閉じてその貯水タンク内の満水状態を維持できるようにし、且つ、前記貯水タンク内に気体が混入した状態となった際にはその通気孔を開けて貯水タンク内の気体を外部に開放できるようにした構成を採用することができる。
【0014】
この排気手段を備えることにより、貯水タンク内が満水状態となった際に、通気孔が閉じられてその貯水タンク内の満水状態が維持される。また、貯水タンク内に気体が介在すれば、通気孔が開いて気体が外部に排出される。このため、貯水タンク内の飲料水が気体に触れることを、さらに確実に抑えることができる。
なお、貯水タンク内に気体が介在する場合において、その気体の介在により貯水タンク内が加圧状態になっていれば、そのままでは容器からの飲料水の流下が滞る場合があるが、気体の排出により加圧状態が解消すれば、飲料水の流下を再開させることができる。
【0015】
さらに、その排気手段として、前記貯水タンク内が満水状態になった状態で前記供給バルブを開放した際に、前記貯水タンク内が負圧となっても外部の気体をその貯水タンク内へ通さずにその貯水タンク内の負圧状態を維持できるようにした構成を採用することができる。
このようにすれば、前記供給バルブの開放により、貯水タンク内の水位が下がった際に、容器から貯水タンクへの飲料水の流下を促進することができる。
【0016】
これらの排気手段としては、例えば、手動操作により前記通気孔の開閉を行うことができるようにしてもよいし、貯水タンク内の圧力や水位によって自動的に前記通気孔を開閉する構成としてもよい。
【0017】
例えば、その排気手段として、貯水タンク内から貯水タンク外への気体の移動を許容し、貯水タンク外から貯水タンク内への気体の移動を許容しない逆止弁形式の排気弁と、前記貯水タンク内が満水状態となった際に前記通気孔を閉じ、その満水状態から水位が下がった際に前記通気孔を開ける機能を有する開閉弁を備えた構成とすることができる。
この排気弁を備えたことにより、貯水タンク内に気体が混入した状態となった際には、自動的にその通気孔を開けて貯水タンク内の気体を外部に開放でき、また、前記貯水タンク内が負圧となっても外部の気体をその貯水タンク内へ通さずにその貯水タンク内の負圧状態を維持できる。
このとき、開閉弁の機能として、貯水タンク内の水位が低下した(満水状態でない)際に通気孔を開放できるものであれば、前記排気弁開放時の気体の排出を阻害せず、また、貯水タンク内の満水状態で通気孔を閉じることができるものであれば、飲料水が外部に漏れ出ないようにし得る。
【0018】
また、その開閉弁の構成として、例えば、満水状態になると手動で通気孔を閉じるようにした構成を採用してもよいし、あるいは、貯水タンク内の水位の変動に伴って自動的に通気孔を開閉し得る構成としてもよい。自動的に通気孔を開閉する構成として、例えば、貯水タンク内の水位の変動に伴って昇降するフロート弁体を備えた開閉弁とすることができる。水位の変動に伴うフロート弁体の昇降により、満水状態になれば自動的に前記通気孔を閉じ、満水状態から水位が下がれば自動的に前記通気孔を開くようにすることができる。
【0019】
この逆止弁形式の排気弁と、フロート弁体を備えた開閉弁とを併用し、例えば、1本の通気孔に対して排気弁を外側(貯水タンク外寄り)に開閉弁を内側(貯水タンク内寄り)に配置することができる。
このようにすれば、貯水タンク内が満水状態から水位が低下して開閉弁が開いても、貯水タンク内は負圧状態であるので排気弁は開かない。また、貯水タンク内に気体が入った場合には水位が下がって開閉弁が開き、また排気弁も開くので、貯水タンク内の気体が貯水タンク外に排出されるようにできる。
【0020】
また、この構成において、前記導水管の前記気体導入装置の接続箇所よりも下方に、前記容器側から貯水タンク側への流体の流れのみを許容する逆止弁を設けた構成とすることもできる。このようにすれば、容器から貯水タンク内へ飲料水が流下する際に、貯水タンクから容器への空気の移動を防止することができる。
さらに、この構成によれば、貯水タンク内が満水状態において、その貯水タンクと前記容器との間を閉塞することができるので、貯水タンクから容器への飲料水の逆流(対流)が防止でき、より衛生的であるといえる。
【0021】
また、これらの構成において、前記気体導入装置と前記導水管とは接続管で接続されており、その接続管に、前記気体導入装置側から導水管側への流体の流れのみを許容する逆止弁を設けた構成とすることもできる。
このようにすれば、容器及び導水管内の飲料水が逆流して気体導入装置に入り込むことを防止し得る。
【0022】
また、同じく、容器及び導水管内の飲料水が逆流して気体導入装置に入り込むことを防止する目的で、前記接続管を、前記導水管への接続箇所よりも高い位置を通過して前記気体導入装置に至るようにした構成を採用することができる。
【0023】
また、前記気体導入装置から前記導水管内への気体の導入を、容器内が負圧状態になった際に圧力をもって強制的に導入する構成を採用することも可能である。
すなわち、前述の各構成において、飲料水の貯水タンクへの流下により容器内が負圧になった際、その容器内の負圧を解消するように気体導入装置から自然に気体が導入される構成とし得るが、その気体の導入を、容器内が負圧状態となった際にその負圧状態を解消するように、接続管に接続したポンプやボンベ等によって圧力をもって強制的に行う手法も考えられる。このようにすれば、容器内の負圧状態の解消が早まり、その容器から貯水タンクへの飲料水の流下が促進され、貯水タンクへの飲料水の補給が、よりスムースであるといえる。
【0024】
なお、これらの飲料水用サーバーを用いた飲料水の供給方法として、以下の構成を採用することができる。
すなわち、貯水タンクから上方に伸びる導水管に容器が着脱可能であり、前記容器内に気体が侵入することによりその容器内の飲料水がその導水管を通じて貯水タンク内へ流下するようになっており、その貯水タンクから送水管を引き出してその送水管に開閉自在の供給バルブを設けてその貯水タンク内の飲料水を供給できるようになっており、前記導水管に気体導入装置を接続してその気体導入装置から前記導水管内に気体を導入可能とし、前記容器内が負圧状態となった際に、前記気体導入装置から前記導水管を通じて前記容器内に気体を侵入させ、その気体の侵入により前記容器内の飲料水を貯水タンク内へ流下させるようにしたことを特徴とする飲料水用サーバーを用いた飲料水の供給方法である。
【発明の効果】
【0025】
この発明は、以上のように、気体導入装置から導水管を通じて容器内に気体を導入するようにしたので、貯水タンク内から容器へ気体を導入しなくとも、容器から貯水タンクに向かって飲料水を流下させることができる。このため、貯水タンク内の飲料水が気体に触れることを極力抑制できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明の実施形態を図1及び図4に基づいて説明する。この実施形態の飲料水用サーバーは、図2に示すように、冷却装置29を備えた貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に硬質樹脂製の容器1が着脱可能であり、その容器1内の飲料水wが、その自重により(落差により)、導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下するようになっている。
【0027】
容器1及び貯水タンク10は、それぞれ、図1に示す飲料水用サーバー2の容器収納部3、及び本体4の内部に収容されている。その貯水タンク10から送水管21が引き出されて本体4外へ伸びており、その送水管21に開閉自在の供給バルブ20が設けられている(図2参照)。
供給バルブ20を開放すれば、貯水タンク10内の飲料水wが、図1に示す供給部5から、適宜外部のコップやペットボトル等の容器へ供給でき、また、供給バルブ20を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。その供給バルブ20の開閉は、前記供給部5に設けたレバー操作により可能である。
【0028】
また、この飲料水用サーバー2には、前記貯水タンク10の下方に加熱装置31を備えた別の貯水タンク10(以下、加熱装置31を備えた下方の貯水タンク10を「温水タンク30」と記載し、冷却装置29を備えた上方の「貯水タンク10」と区別する)が設けられており、その温水タンク30と前記貯水タンク10とが給水管32で接続されている。この給水管32は、前記貯水タンク10の上部と温水タンク30の下部とに接続されている。なお、この実施形態では、温水タンク30の配置場所を、貯水タンク10の下方としているが、温水タンク30の配置場所はこの実施形態に限定されず、例えば、温水タンク30を貯水タンク10の側方や、あるいは上方に配置した構成も考えられる。
【0029】
この給水管32を通じて、貯水タンク10内の飲料水wが、その自重により、前記温水タンク30内へ流下するようになっている。なお、冷却装置29は、例えば、パイプ内に冷媒が流れるなどして貯水タンク10内の飲料水wを冷却する機能を備えた周知の冷却手段を採用でき、また、加熱装置31は、通電によって温水タンク30内の飲料水wを加熱する機能を備えた電熱器等を採用し得る。
【0030】
この温水タンク30及び加熱装置31等も、それぞれ、図1に示す飲料水用サーバー2の本体4の内部に収容されている。その温水タンク30から第二送水管25が引き出されて本体4外へ伸びており、その第二送水管25に開閉自在の第二供給バルブ24が設けられている。
【0031】
第二供給バルブ24を開放すれば、温水タンク30内の加熱された飲料水wが、図1に示す供給部6から、適宜外部のコップやペットボトル等の容器へ供給でき、また、供給バルブ24を閉鎖すれば、その供給が止まるようになっている。その第二供給バルブ24の開閉は、同じく、前記供給部6に設けたレバー操作により可能である。
【0032】
なお、貯水タンク10及び温水タンク30の底部には、それぞれ排出バルブ22,26付きの排出管23,27が設けられている。排出バルブ22,26は、ともに、通常は閉鎖状態に維持される。排出バルブ22,26をそれぞれ開放することにより、貯水タンク10及び温水タンク30の底部に沈殿した異物等を、内部の飲料水wとともに外部に排出できる。
【0033】
また、貯水タンク10や温水タンク30の底部を、例えば、下方に向かうにつれて徐々に狭まるテーパー状として、前記排出管23,27をそのテーパ状の底部の最下端部に開口して設けることもできる。
このようにすれば、異物の排出効果がさらに高まるといえる。
【0034】
内部に飲料水wを収容した前記容器1は、予め殺菌処理等が施された状態の飲料水wが封入されて密閉された状態で市場に供給されているものであり、その容器1の開口部に、前記貯水タンク10から上方に伸びる導水管11を差し込み可能である。
【0035】
この容器1の着脱構造としては、周知の構造を採用してよいが、この実施形態では、上記のように、樹脂製の容器1の開口部内に前記導水管11を差し込むように取付けることにより、樹脂製容器1が台座17によって支えられるとともに、その開口部と導水管11との間の液密がパッキン等により維持されるようになっている。
このため、容器1内の飲料水wが周囲にこぼれることなく、導水管11を通じて貯水タンク10内へ自重により流下するようになっている。
【0036】
なお、上記のように、容器1の開口部内周と導水管11外周との間は液密が維持されているが、仮に、わずかにこぼれた飲料水wがあった場合、その飲料水wは、台座17の凹部17aの底に設けた排出路18a,18cを通じて受け部19へ排出されるようになっている。このため、台座17の凹部17a内にこぼれた水が滞留することがない。
【0037】
前記導水管11の途中に、接続管41を通じて気体導入装置40が接続されている。この気体導入装置40は、内部に中空の空気溜まり43を有し、その空気溜まり43と外部とがエアフィルタ44を介して隔てられている。
【0038】
また、その気体導入装置40と前記導水管11とを繋ぐ接続管41の途中に、前記気体導入装置40側から導水管11側への流体の流れのみを許容する逆止弁42が設けられている。逆止弁42は、前記気体導入装置40側から導水管11側への流体(特に、空気(気体)b)の流れを許容し、逆に、導水管11側から気体導入装置40側への流体(特に、飲料水w)の流れを許容しない。
【0039】
また、前記接続管41は、前記導水管11への接続箇所よりも高い位置を通過して前記気体導入装置40に至っている。具体的には、図中に示すように、前記導水管11への接続箇所から水平方向側方に伸びて、そこで上方へ屈曲し、一定高さまで上方へ伸びた後、その後、再度水平方向に伸びて気体導入装置40の空気溜まり43に至っている。
前記逆止弁42は、その接続管41のうち、上下方向に伸びる部分に設けられている。逆止弁42を接続管41の上下方向に伸びる部分に設ければ、飲料水wの逆流防止に効果的である。
【0040】
また、前記導水管11の前記気体導入装置40の接続箇所よりも下方に、前記容器1側から貯水タンク10側への流体の流れのみを許容する逆止弁12が設けられている。この実施形態では、逆止弁12は、導水管11の下端に設けられている。この逆止弁12は、導水管11の容器1側から貯水タンク10側への流体(特に、飲料水w等)の流れを許容し、逆に、貯水タンク10側から容器1側への流体(特に、飲料水w、空気(気体)a等)の流れを許容しないようになっている。
【0041】
前記貯水タンク10の上端には通気孔28が設けられている。その通気孔28は、貯水タンク10の排気手段として排気弁28aを備える。この排気弁28aは、前記貯水タンク10内が満水状態となった際にその通気孔28を閉じてその貯水タンク10内の満水状態を維持できるようにし、且つ、前記貯水タンク10内に気体aが混入した状態となった際にはその通気孔28を開けて貯水タンク10内の気体aを外部に開放できるように、手動で操作されるものである。
【0042】
この排気弁28aは、前記貯水タンク10の上端に設けた凸部10aに臨むように設けられ、図3(a)(b)に示すように、バネ等の弾性部材の付勢力によって弁体が閉弁方向に付勢されている。また、その付勢力に抗して、弁軸(操作部)28cを手で押すことにより弁体が開弁方向へ移動するようになっている。
【0043】
このため、例えば、容器1内の飲料水wがなくなって新しい容器1に取替える際に、前記貯水タンク10内に空気aが入り込んだ場合、貯水タンク10内の飲料水wの液面上に空気aが介在し、その空気aが凸部10a内に入り込む。このとき、前記弁軸(操作部)28cを手で押せば排気弁28aが開き、通気孔28を通じてこれらの空気aを外部へ排出できるようになっている。なお、排気弁28aは、凸部10a内に介在する空気aを残らず排出できるよう、凸部10a内の最上部に臨むことが望ましい。
なお、この排気弁28aは、飲料水wが入っていない貯水タンク10内に初めて飲料水wを入れる場合等においても使用することができる。
【0044】
この飲料水用サーバー2の作用を説明すると、図4に示すように、貯水タンク10内に飲料水wが全くない状態において、容器1を導水管11に差し込んで台座17に容器1を固定する。樹脂製容器1内の飲料水wが、その自重により、徐々に貯水タンク10内へ流下しようとする。
【0045】
容器1内の飲料水wが、その落差で貯水タンク10、及び給水管32を通じて温水タンク30へ流下しようとすることにより、その容器1内が負圧となる。このため、その負圧を解消するために、前記気体導入装置40から前記導水管11内に空気bが自然に導入されていく。気体導入装置40から導入された空気bが、前記導水管11を通じて前記容器1内に侵入すると、その空気bの侵入により容器1内の負圧が解消される。負圧が解消されると、再度、容器1から貯水タンク10、及び給水管32を通じて温水タンク30へ飲料水wが流下する。
【0046】
このとき、気体導入装置40の空気溜まり43にはエアフィルタ44が設けられているので、清浄な空気bが供給される。この気体導入装置40に、紫外線(UV)灯やオゾン発生器等による空気bの殺菌装置を取付ければ、さらに好ましいといえる。また、接続管41にボンベ等を接続することにより、そのボンベ等に封入された空気以外の気体bを、前記容器1内が負圧となった際にその負圧を解消するように適宜供給できるようにしてもよい。
【0047】
また、前記接続管41に逆止弁42を設けたことにより、容器1内の負圧が解消した際に、飲料水wが気体導入装置40側に逆流することが防止される。
【0048】
容器1から貯水タンク10へ飲料水wが流下する際に、貯水タンク10内には空気aが介在している。このため、飲料水wの流下により貯水タンク10内の空気圧が上昇すれば、その空気圧の上昇により飲料水wの流下が自動的に一時停止する。
そこで、貯水タンク10の上部に設けた前記通気孔28の前記排気弁28aを開放して内部の空気aを貯水タンク10外に排出させれば、再度、飲料水wの流下が開始する。
【0049】
このとき、貯水タンク10及び温水タンク30内にある程度の量の飲料水wが溜まるまで、排気弁28aを一定の時間、開放状態に維持しておいてもよいし、あるいは、飲料水wの流下状況を見ながら、流下が止まればその都度排気弁28aを開放するなど、断続的に開放操作を行ってもよい。
貯水タンク10及び温水タンク30へも飲料水wが流下し、温水タンク30が満水状態になった後、貯水タンク10内の水位が上昇していく。
通気孔28を通じてその貯水タンク10内の空気aを全て排出することにより、最終的に貯水タンク10が図4(c)に示すように満水状態になる。この間、樹脂製容器1内の飲料水wがなくなれば、適宜、新しい飲料水w入りの樹脂製容器1に取替えてもよい。
【0050】
図4(c)に示すように、貯水タンク10内が満水状態になり、排気弁28aが閉弁して通気孔28が閉じられると、貯水タンク10内が飲料水wで高圧となることにより、容器1内の飲料水wは落差圧解消のため接続管41に圧をかけ、逆止弁42を気体導入装置40側へ押し上げる。このため、容器1内及び貯水タンク10内がともに高圧を維持した状態に保たれ、飲料水wの流下が終了する。
【0051】
なお、この実施形態では、導水管11の下端に逆止弁12を設けているので、その貯水タンク10内の空気a、あるいは飲料水wが容器1側に逆流しないようになっている。
【0052】
また、飲料水wの流下中、温水タンク30内においても、前記貯水タンク10と同様の空気aの排出操作を行う。すなわち、例えば、給水管32からの飲料水wの流下が停止した場合は、適宜、第二供給バルブ24を開放して内部の空気aを第二送水管25を通じて温水タンク30外に排出させるなどの操作を行う。
あるいは、温水タンク30の上部にも貯水タンク10と同じ機能を有する通気孔28及び排気弁28a等の排気手段を設けてもよい。
【0053】
前記貯水タンク10内が満水状態になった状態で、図4(d)に示すように、前記供給バルブ20を開放すると、貯水タンク10内の飲料水wが、前記供給部5を通じて外部へ供給される。
このとき、貯水タンク10内の水位は一旦低下するが、前記排気弁28aは閉じたままに維持されているので、貯水タンク10内は負圧状態となる。このように貯水タンク10内が負圧状態に維持されるので、その貯水タンク10内の水位低下を補うように容器1から飲料水wが流下する。その飲料水wの流下は、前記気体導入装置40から導水管11を通じて容器1内に空気bが導入されながら続き、貯水タンク10内が満水状態になって停止する。このため、貯水タンク10内は、常に満水状態に維持される。
【0054】
このように、気体導入装置40から導水管11を通じて容器1内に空気bを導入するようにしたので、貯水タンク10内から容器1に向かって空気aを導入しなくとも、容器1から貯水タンク10に向かって飲料水wを流下させることができる。このため、貯水タンク10内を常に満水状態に維持し、内部の飲料水wが空気に触れることを極力抑制できるようになる。
【0055】
なお、前述のように、容器1の差替え時などに、貯水タンク10の上部、特に、その貯水タンク10の上端に設けた凸部10a内に、図3(a)に示すように、若干の空気aが溜まった状態となることがある。このとき、排気弁28aを操作して開弁させれば、その凸部10a内の空気aを排出路18b,18cを通じて、図3(b)に示すように、外部へ排出できる。このとき、空気aに混ざって飲料水wも若干排出されるが、その量はわずかであるのでさしつかえない。わずかに排出された飲料水wは、排出路18bを通じて外部へ排出される。
【0056】
このように空気aを排出すると、凸部10a内には、その空隙を埋めるように容器1からさらに飲料水wが流下しようとする。このため、容器1内が負圧になって、その負圧を解消するように、図4(d)に示すように、気体導入装置40から容器内に空気bが導入されるのである。
【0057】
このため、貯水タンク10内の水位は、図4(c)に示すように満水状態、すなわち、空気aが全く介在しない状態、あるいは、介在したとしてもその量がほんの僅かな状態に戻る。このように、排気弁28aの開閉を適宜操作することにより、貯水タンク10内を常に満水状態に維持することができる。
【0058】
この実施形態は、貯水タンク10の排気手段として、手動操作により通気孔28の開閉を行う排気弁28aを採用したが、他の構成からなる排気手段を採用することもできる。
【0059】
例えば、前記排気手段として、前記貯水タンク10内から貯水タンク10外への気体aの移動を許容し、貯水タンク10外から貯水タンク10内への気体aの移動を許容しない機能を有する逆止弁形式の排気弁28aと、前記貯水タンク10内が満水状態となった際に前記通気孔28を閉じ、その満水状態から水位が下がった際に前記通気孔28を開ける機能を有する開閉弁28bとを備えた構成とすることができる。
また、その開閉弁28bとしてフロート弁形式の弁装置を採用することができる。フロート弁であれば、弁体が水よりも軽いので、貯水タンク10内の水位が下がれば通気孔28を自動的に開放してその貯水タンク10内の気体aを排出し、貯水タンク10内の水位が上がれば通気孔28を自動的に閉じることができる。
【0060】
開閉弁28bとしてフロート弁体を備えた弁装置を採用した実施形態を、図5に示す。この実施形態は、前記開閉弁28bとしてフロート弁体を備えた構成とするとともに、併せて、貯水タンク10を冷却装置29を備えた貯水タンク10のみとした構成である。温水タンク30の設置は省略している。また、前記排気弁28aとしては逆止弁形式の弁装置を採用している。
飲料水用サーバーの構成としては、前述の実施形態のように、加熱装置31を備えた温水タンク30と冷却装置29を備えた貯水タンク10の両方を備えていてもよいし、この図5に示す形態のように、加熱装置31を備えた温水タンク30を省略した構成としてもよい。また、貯水タンク10の冷却装置29を省略した構成も考えられる。
【0061】
開閉弁28bは、貯水タンク10内の飲料水wの水位が満水状態よりもやや下がっていると、その水位の下降とともにフロート弁体も下降する。フロート弁体が下降すれば、開閉弁28bが開弁する。また、貯水タンク10内の水位が上昇して満水状態になれば、フロート弁体も上昇して開閉弁28bを閉じ、その満水状態で貯水タンク10を密閉することができる。
【0062】
このため、図5(a)(b)に示すように、貯水タンク10内が満水状態から水位が低下すると開閉弁28bが開く。しかし、通気孔28には、その開閉弁28bの上部に逆止弁形式の排気弁28aが設けられているので、貯水タンク10内は負圧状態であれば排気弁28aが開かない。このため、貯水タンク10内の負圧状態は維持され、その負圧状態が解消するまで容器1からの飲料水wの流下が続く。貯水タンク10内が満水状態になれば、前記開閉弁28bが閉じられる。
【0063】
図5(c)に示すように、貯水タンク10内が満水状態になって通気孔28が閉じられると、貯水タンク10内が飲料水wで高圧となることにより、容器1内の飲料水wは落差圧解消のため接続管41に圧をかけ、逆止弁42を気体導入装置40側へ押し上げる。このため、容器1内及び貯水タンク10内がともに高圧を維持した状態に保たれ、飲料水wの流下が終了する。
【0064】
また、容器1の差替え等により、貯水タンク10内に空気aが入った場合には、貯水タンク10内の水位が下がって開閉弁28bが開き、また、空気aが介在することにより加圧状態となれば排気弁28aも開くので、貯水タンク10内に介在する空気aが貯水タンク10外に残らず排出される。
【0065】
このように空気aを排出されると、貯水タンク10内には、その空隙を埋めるように容器1からさらに飲料水wが流下しようとする。このため、容器1内が負圧になって、その負圧を解消するように、図5(d)に示すように、気体導入装置40から容器内に空気bが導入され、貯水タンク10内は常に満水状態に維持されるのである。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】一実施形態の飲料水用サーバーの正面図
【図2】図1の内部の構造を示す正面図
【図3】(a)(b)は排気弁の作用を示す要部拡大図
【図4】(a)〜(d)は、同実施形態の作用を示す正面図
【図5】(a)〜(d)は、他の実施形態の作用を示す正面図
【図6】(a)〜(c)は、従来の飲料水用サーバーの作用を示す正面図
【符号の説明】
【0067】
1 容器
2 飲料水用サーバー
3 容器収納部
4 本体
5 飲料水供給部(常温水/冷水)
6 飲料水供給部(温水)
10 貯水タンク
10a 凸部
11 導水管
12,14,42 逆止弁
17 台座
17a 凹部
18a,18b,18c 排出路
19 受け部
20 供給バルブ
21 送水管
22,26 排出バルブ
23,27 排出管
24 第二供給バルブ(供給バルブ)
25 第二送水管(送水管)
28 通気孔
28a 排気弁(排気手段)
28b 開閉弁(排気手段)
28c 弁軸(操作部)
29 冷却装置
30 温水タンク
31 加熱装置
32 給水管
40 気体導入装置
41 接続管
43 空気溜まり
44 エアフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に容器1が着脱可能であり、前記容器1内に気体bが侵入することによりその容器1内の飲料水wがその導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下するようになっており、その貯水タンク10から送水管21を引き出してその送水管21に開閉自在の供給バルブ20を設けてその貯水タンク10内の飲料水wを供給できるようにした飲料水用サーバーにおいて、
前記導水管11に気体導入装置40を接続してその気体導入装置40から前記導水管11内に気体bを導入可能とし、前記容器1内が負圧状態となった際に、前記気体導入装置40から前記導水管11を通じて前記容器1内に気体bを侵入させ、その気体bの侵入により前記容器1内の飲料水wを貯水タンク10内へ流下させることを特徴とする飲料水用サーバー。
【請求項2】
前記貯水タンク10の上端に通気孔28を設け、その通気孔28に排気手段を設け、その排気手段により、前記貯水タンク10内が満水状態となった際にその通気孔28を閉じてその貯水タンク10内の満水状態を維持できるようにし、且つ、前記貯水タンク10内に気体aが混入した状態となった際にはその通気孔28を開けて貯水タンク10内の気体aを外部に開放できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の飲料水用サーバー。
【請求項3】
前記排気手段は、前記貯水タンク10内が満水状態になった状態で前記供給バルブ20を開放した際に、前記貯水タンク10内が負圧となっても外部の気体aをその貯水タンク10内へ通さずにその貯水タンク10内の負圧状態を維持する機能を有することを特徴とする請求項2に記載の飲料水用サーバー。
【請求項4】
前記排気手段は、前記貯水タンク10内から貯水タンク10外への気体aの移動を許容し、貯水タンク10外から貯水タンク10内への気体aの移動を許容しない機能を有する排気弁28aと、前記貯水タンク10内が満水状態となった際に前記通気孔28を閉じ、その満水状態から水位が下がった際に前記通気孔28を開ける機能を有する開閉弁28bとを備えることを特徴とする請求項3に記載の飲料水用サーバー。
【請求項5】
前記導水管11の前記気体導入装置40の接続箇所よりも下方に、前記容器1側から貯水タンク10側への流体の流れのみを許容する逆止弁12を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の飲料水用サーバー。
【請求項6】
前記気体導入装置40と前記導水管11とは接続管41で接続されており、その接続管41に、前記気体導入装置40側から導水管11側への流体の流れのみを許容する逆止弁42を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の飲料水用サーバー。
【請求項7】
前記接続管41は、前記導水管11への接続箇所よりも高い位置を通過して前記気体導入装置40に至ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の飲料水用サーバー。
【請求項8】
前記容器1内が負圧状態となった際に、前記気体導入装置40から前記導水管11内に気体を強制的に導入するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の飲料水用サーバー。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の飲料水用サーバーを用いた飲料水の供給方法であって、貯水タンク10から上方に伸びる導水管11に容器1が着脱可能であり、前記容器1内に気体bが侵入することによりその容器1内の飲料水wがその導水管11を通じて貯水タンク10内へ流下するようになっており、その貯水タンク10から送水管21を引き出してその送水管21に開閉自在の供給バルブ20を設けてその貯水タンク10内の飲料水wを供給できるようになっており、
前記導水管11に気体導入装置40を接続してその気体導入装置40から前記導水管11内に気体を導入可能とし、前記容器1内が負圧状態となった際に、前記気体導入装置40から前記導水管11を通じて前記容器1内に気体bを侵入させ、その気体の侵入により前記容器1内の飲料水wを貯水タンク10内へ流下させるようにしたことを特徴とする飲料水用サーバーを用いた飲料水の供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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