説明

飲料注出装置

【目的】 バッグインボックスの交換作業を容易とするとともに保守管理を容易とした飲料注出装置を提供することを目的とする。
【構成】 外箱内に納められる内・外二重の袋1,2を有し、これら袋の開口部に密着固定され外部と内・外袋間との間を連通する圧力流体通路を有するノズル本体22の注出ノズル17を通じて内袋1内の液体を注出するバッグインボックスを用いる飲料注出装置において、該飲料注出装置の装置本体10に前記バックインボックスを外箱7ごと装填し得るバッグインボックス収納部13と、該ボックスの注出ノズル17を通じ飲料を間欠的に定量注出する飲料注出機構19とを設け、この注出機構19は一側が開放された平面形状略U字形として前記注出ノズル17部分を側方から進入させ得るよう形成し、前記装置本体10の前記注出機構開放部分に対応する位置に開閉可能な扉42を設け、この扉42の内面に前記注出機構19の開放部を閉止する閉止部44を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は飲料注出装置(ディスペンサ)に係り、特にバッグインボックスを装填することにより定量注出態勢におかれるようにした飲料注出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば飲料原料のシロップのような液体の取扱いには、開閉可能な蓋あるいは注出用のチューブを付帯した袋体を箱内に納めたバッグインボックスと称される容器が使用されている。
【0003】このバッグインボックスは、内・外二重の袋からなり、内袋と外袋との間に圧力流体(圧縮空気)を供給することにより内袋を加圧して内袋内の液体を注出させる構成を有するもので、一般には図9に断面を示すように扁平形状を有する内袋1および外袋2の各開口部に溶着等により密着固定されるノズル本体3を有し、このノズル本体3の側部には前記内・外袋1,2の間の空間部4へ圧縮空気を流入させるためのホース接続部5から前記空間部4に連通する圧力流体通路6が形成されており、これら袋は段ボール等からなる外箱7内へ納められる。
【0004】従来のバッグインボックスでは、内袋1に飲料シロップ等の液体を充填したのちノズル本体3の先端部にキャップを被せて封止し、これを段ボール製の外箱7内に収納して流通させ、飲料注出装置へセットするときキャップを開け、このノズル本体3の先端部に注出用ホース8を接続して飲料注出装置の注出機構へセットするようになされもの、あるいはバックインボックス内の液体を飲料注出装置の別の容器に移し替えて注出に備えるようになされたものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のようにホース8を接続して使用するものでは、バッグインボックスを飲料注出装置へセットする際にノズル本体3からキャップを外してホース8を接続させなければならず、そのためセット時の作業が面倒であり、また他の容器への移し替えによるものの場合も同様である。
【0006】一方、ホース8が接続されているものでは、そのホース8として外径13φ、内径8φ程度で長さ200〜300mm程度のものが必要となることから、バッグインボックスを外箱7へ詰納する際に狭いスペース内にホース8を納めることが容易でないうえ、飲料注出装置へセットする際にホース8を引出さなければならず、やはりセット時の作業が容易でないという問題点があった。
【0007】そのうえホース8を用いての注出となるので、定量吐出のためのホース8を圧迫して流出を停止させる機構を用いると、その注出機構が大型かつ複雑化することが避けられないとともに、長いホースのため液体と接触する部分が多くなり、洗浄やサニテーション作業が不可欠となって、保守の面においても容易ではなかった。
【0008】本発明はこれに鑑み、バッグインボックスを外箱ごとセットするときその注出ノズルが所定の注出位置にセットされ、バッグインボックスの交換作業を容易とするとともに洗浄やサニテーション等を不要として保守管理を容易とした飲料注出装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記従来の技術が有する問題点を解決する手段として、本発明は、外箱内に納められる内・外二重の袋を有し、これら袋の開口部に密着固定され外部と内・外袋間との間を連通する圧力流体通路を有するノズル本体の注出ノズルを通じて内袋内の液体を注出するバッグインボックスを用いる飲料注出装置において、該飲料注出装置の装置本体に前記バックインボックスを外箱ごと装填し得るバッグインボックス収納部と、該ボックスの注出ノズルを通じ飲料を間欠的に定量注出する飲料注出機構とを設け、この注出機構は一側が開放された平面形状略U字形として前記注出ノズル部分を側方から進入させ得るよう形成し、前記装置本体の前記注出機構開放部分に対応する位置に開閉可能な扉を設け、この扉の内面に前記注出機構の開放部を閉止する閉止部を設けたことを特徴とする。
【0010】
【作用】装置本体のバッグインボックス収納部にバッグインボックスを装填し、そのノズル本体の注出ノズルを装置本体の注出機構の側方の開放側から進入させて扉を閉じると、その扉の内面に閉止部が注出ノズルを注出機構の所定位置に安定保持し、注出ノズルからバッグインボックスの内袋内の液体を注出することができる態勢におかれる。
【0011】以後、公知のようにバッグインボックス内の内・外袋間にノズル本体の圧力流体通路を通じて圧力流体(圧縮空気)を供給して内袋を加圧するとともに注出機構のバルブを開閉することにより注出ノズルを通じて内袋内の液体を定量注出することができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面に示す実施例を参照して説明する。
【0013】図1は飲料注出装置の一例の概要を示すもので、台上に設置される装置本体10の外殻を構成するケース11内に、飲料を充填したバッグインボックス12を外箱ごと装填し得る収納室13を有し、その後方のスペースには冷却用機器14をはじめ注出に必要な機器類が納められている。図中15は給水口、16はコンプレッサを示す。
【0014】前記装置本体10の前部側には、バッグインボックスの注出ノズル17をセットし、これを間欠的に開閉させて液体を一定量ずつ流出させるバルブ18を有する注出機構19が設けられており、その下方にはコップ等の容器20を置く容器置台21が設けらている。
【0015】バッグインボックスのノズル本体22は、図3に示すように従来と同様、内袋1および外袋2の各開口部に気密に溶着させるフランジ部23,24を有し、ノズル本体22の一側部には圧力流体供給用のホース接続部25が形成され、内袋1と外袋2との間の空間部4へ圧力流体(圧縮空気)を供給するようになっている。
【0016】ノズル本体22の先端の注出ノズル17は、図示の実施例ではブロー成形による薄肉フィルムで筒状に形成され、先端は盲状とされている。図3では図9R>9示の既存のノズル本体を利用しているため、ノズル本体22の開口端のフランジ26に密着嵌合する嵌合部27を有する先端部材28が別体とされ、この先端部材28の円筒部29と押え筒30との間に盲チューブ31の基部を挟着して一体化させ、これらにより注出ノズル17を構成するようにしている。
【0017】前記フランジ26の上面には環状の溝32があり、前記嵌合部27の内面には上記溝32に嵌合する環状の凸状33があって、これらの嵌合により密封性を確保するようになされている。また前記円筒部29の外周面には数条の溝34が形成されており、押え筒30の内周面には凸条35が形成されていてこの間で盲チューブ31の抜止めおよび気密性が保たれるようにしている。
【0018】前記盲チューブ31の基部は前記円筒部29と略同長を有し、この基部の先端に円筒部29よりやや小径で基部と略同長の大径部31a、この先端にこれより小径で前記基部と略同長の小径部31bが連設されており、これら連設部分は屈撓しやするため屈撓段部31c,31dが形成されている。この屈撓段部31c,31dは、大径側から延びるアール状の部分が小径側に鋭角状に連なる構成とされ、小径部31bを押し込んだとき大径部31aが反転して屈撓しやすくされている。
【0019】前記小径部31bの先端近くの外周面には2条の凸条31e,31eが形成されており、盲チューブ31を引出す際の手掛けとされるとともに盲部分を切除する際の目印とされる。
【0020】上記の例では、既存のノズル本体3と同じ構造のものを用いているため、先端部材28および押え筒30を用いているが、盲チューブ31を先端部材28と一体成形して押え筒30を省略するようにしてもよく、またノズル本体22に盲チューブ31を一体成形するようにしてもよいことはもちろんである。
【0021】前記注出機構19は、図2に示すように、バッグインボックスの注出ノズル17がセットされる部位に前側が開放されて平面形状略U字状を有するノズル保持部36が配設され、このノズル保持部36の開放側から注出ノズル17を進入させてセットすることができるようになっており、注出ノズル17を進入させたとき注出ノズル17の先端が若干下方に突出しておかれるようになっている。
【0022】このノズル保持部36内には注出ノズル17を押し潰して液体の流出を制御する公知のバルブ18が配設されている。したがって液体の注出時にはバルブ18を閉じ、注出ノズル17の先端の盲部分をカットラインCで切除することにより開口され、注出可能な態勢となる。
【0023】前記ノズル保持部36の下面には、図6に下面形状を示すように一部が分離された管状の希釈水減圧室38がアタッチメントとして取付けられており、この希釈水減圧室38には水道等の希釈水の給水管39が接続されている。
【0024】上記希釈水減圧室38の底部38aには、前記注出ノズル17を中心として複数個の希釈水流出口40,40…が管状に配設されている。この希釈水流出口40,40…は図7に拡大断面を示すように前記注出ノズル17の中心から下方へ延長した延長線Lに対し希釈水減圧室38の下面から高さH(約60mm)離間した位置Pで軸線Mが交わるよう前記延長線Lに対して角度αをもって傾斜して形成されており、この希釈水流出口40の内径は少なくとも希釈水減圧室38の底部38aの肉厚の略1/3 程度とされていて、希釈水の流出時の流出方向の安定性を保つようになっている。なおこの希釈水流出口40については希釈水減圧室38の底部38aに別のノズルを設けて構成するようにしてもよい。図示の例では、希釈水減圧室38への希釈水の流入圧は2.7kg/cm 2 であり、希釈水流出口40,40…は0.8φとして8個形成されている。この希釈水を他の箇所で適正圧力に減圧して供給するようにすれば、減圧室38は必ずしも用いず、上記希釈水減圧室38と同形状の配管に希釈水流出口を設けるようにしてもよい。
【0025】ケース11の前面側に位置する前記注出機構19と対応する位置の装置本体1には、ケース11の前扉41とは別に扉42が横開き状にヒンジ43により開閉可能に設けられており、この扉42の内面側には扉42を閉じたとき前記注出機構19のノズル保持部36の開放側を閉じて注出ノズル17をその適性位置に保持する閉止部44が設けられている。図2中37は扉42のロック機構、45は加圧空気の供給口で、圧縮空気供給源(コンプレッサ16)にホース46により接続され、内部に空気圧で開弁する弁体を有している。
【0026】注出機構19に内蔵されるバルブ18は前述のように公知のものが用いられるが、その一例を図8に示している。これは注出ノズル17の大径部31aが位置する両側に押圧体47,48を配し、その一方の押圧体47をソレノイド49により進退させることにより他方の押圧体48とで注出ノズル17を開放または挾着して注出の開始および停止をなさしめるものである。しかしこのバルブ18の構成に関しては他の機構によるものであってもよい。
【0027】次に上記実施例の作用を説明する。
【0028】飲料供給装置の使用に当っては、ケース11の前扉41および注出機構19部分の扉42を開け、一方、バッグインボックスの注出ノズル17を引出したうえそのバッグインボックスを装置本体10のバッグインボックス収納室13内へ注出ノズル17が手前側下部に位置するようにして装填する。
【0029】ついで注出のノズル17を注出機構19のノズル保持部36の開放側から進入させ、バルブ37を閉状態として注出ノズル17の先端をカットラインCで切除し、扉42,41を閉じる。これによりノズル保持部36の開放側は扉42の内面側の閉止部44により閉じられ、注出ノズル17は注出機構19の所定の適正位置に位置づけられて安定保持される。
【0030】液体注出時には、コンプレッサ16からホース46、加圧用空気供給口45、バルブ本体22の圧力流体通路を通じ内袋1と外袋2との間の空間部4に圧縮空気を送り、内袋1に外圧を与えてバルブ37を開けると、内袋1内の液体は注出ノズル17を通じて鉛直方向へ流下し、希釈水減圧室38からはその底部38aの希釈水流出口40,40…を通じて希釈水が流下する。この希釈水は希釈水流出口40,40…の傾斜により注出ノズル17から流下する液体に対し空中で交差し、その交叉時に液体と希釈水とが空中衝突して微粒化され、混合される。この混合液はその下方の容器20内に注入され、一定量の注出が終わるとバルブ18が閉じるとともに希釈水の供給が停止して1回の注出を終る。
【0031】なお、希釈水流出口40,40…の数および孔径は、希釈割合に応じて適宜選定すればよいが、好ましくは液体(原液)の流下位置をとり囲むように3個以上設け、交差位置を頂点とする逆円錐形の水膜を形成するようにすれば液の飛散もなく、混合も良好になるので望ましい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、飲料注出装置の注出機構の一側を開放した構成とし、バッグインボックスの注出ノズルをその側方から進入させたのち装置本体の扉を閉じることにより前記開放部分を閉止してその閉止部で注出ノズルを所定の適正位置に位置づけして安定保持するようにしたので、飲料注出装置へのバッグインボックス装填時におけるセット作業がきわめて容易となり、しかもバッグインボックスの注出ノズルをそのまま注出機構にセットして注出口として使用することができるので従来のようにその都度配管類の洗浄やサニテーションが一切不要となり、保守管理に要する手数を著しく軽減することができるなど、バッグインボックスの交換時の作業性およびメンテナンス性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する一例としての飲料注出装置の概要を示す斜視図。
【図2】同、要部の一部を断面とした正面図。
【図3】注出ノズルの一例を示す一部を断面とした分解斜視図。
【図4】同、使用状態の断面図。
【図5】同、未使用状態の断面図。
【図6】注出機構のアタッチメントとしての希釈水減圧室の下面図。
【図7】図6のA−A線拡大断面図。
【図8】注出機構に用いられるバルブの一例を示す断面図。
【図9】従来のバッグインボックスの外箱を除去した略示断面図。
【図10】同、外箱に収納した状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 内袋
2 外袋
3,22 ノズル本体
10 装置本体
11 ケース
12 バッグインボックス
13 バッグインボックス収納室
17 注出ノズル
18 バルブ
19 注出機構
20 容器
28 先端部材
30 押え筒
31 盲チューブ
36 ノズル保持部
38 希釈水減圧室
40 希釈水流出口
41 前扉
42 扉
44 閉止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】外箱内に納められる内・外二重の袋を有し、これら袋の開口部に密着固定され外部と内・外袋間との間を連通する圧力流体通路を有するノズル本体の注出ノズルを通じて内袋内の液体を注出するバッグインボックスを用いる飲料注出装置において、該飲料注出装置の装置本体に前記バックインボックスを外箱ごと装填し得るバッグインボックス収納部と、該ボックスの注出ノズルを通じ飲料を間欠的に定量注出する飲料注出機構とを設け、この注出機構は一側が開放された平面形状略U字形として前記注出ノズル部分を側方から進入させ得るよう形成し、前記装置本体の前記注出機構開放部分に対応する位置に開閉可能な扉を設け、この扉の内面に前記注出機構の開放部を閉止する閉止部を設けたことを特徴とする飲料注出装置。
【請求項2】前記バックインボックスの注出ノズルは、前記ノズル本体の先端部に、該ノズル本体先端部の内径より小径で先端が封止された薄肉フィルムからなる盲チューブで構成され、未使用時には盲チューブをノズル本体先端部内に埋設し得るよう屈撓自在に形成し、使用時に盲チューブを引出して先端を切除することにより使用状態となるようにした請求項1記載の飲料注出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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